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片割れ chap.12 #15












その頃の俺のことは



たまに今振り返ってみても、















人には説明できない

















「うーん……」



毎日、一日一日を全力で
一生懸命頑張って、妥協せず

今まで通りの自分と変わらない、はずなのに



「プロデューサー!やっぱり暗転のタイミングの時、分かりにくいから。イヤモニで合図出して欲しい。あとちょっと聞こえづらい」

「ユノの、さっきも上げたよね?音量足りない?まだ?」

「うん。もっと大きくして。調整して欲しい」

「オッケー。今確認取ります」

「あとダンサーが集団でバタバタ移動してるの、格好悪く見えるから。出る場所を俺たちと一緒のセンターに変えた方がいいと思う」

「待機場所はー…、そしたら舞台下の、」

「そうそう。あのスペースに全員入れるよ」



情熱はひたすら燃えて
頭は驚くほど働いて体は面白いくらい動いて

俺はちゃんと充実してるはずなのに



「おおおおい!またシカトかっ!笑」

「……。、ん?…え?ヒョジェ、どした?」

「さっきから何回も呼んでたっ。ユノ、ユノ、ユノ~!って。笑」

「ぁ……、ほんと?悪い、悪い。なに?」


電池が切れたように突然ぼんやりしてしまったり
がくんと疲れ果てて急に動けなくなったり




自分が誰なのか忘れてしまう、ような

そんな何て言うか、今にして思えば





不気味な柔らかさが漂っていた


























「チャンミン」


あ、

また……




あれもこれも考え事をしていると無意識に。

マンネで相棒の名前が口から溢れる。特に用はないけど。それは口癖のようなもの。だから。


「はーい。待って、あと10秒で終わりますから」

「…おう…」


必要な用事で呼ばれたと思ってか、スマホでゲームしてても当然のように返ってくる返事に、ふと感慨深さ。前は無視も平気でされてたから。


「…」


チャンミンが俺を無視しなくなったのは、この子が成長して大人になったから。ニューヨークに行った時、二人で大喧嘩して解決した。たわいもない兄弟喧嘩で。俺たち二人、お互いにそうやって成長し   


「…?、」


ノスタルジーが止まる。
一塊の靄(もや)が掛かる。
その門番は、チャンミンの振り向いた背中の影に立ちはだかって、先を見せない。


「お待たせ。何すか?」

「あ?あぁ……なんか…あ、この前のあのバラエティー、こう、色々したやつ。あれすごく評判良かったみたいで、良かったなっ」


変な、妙な、はっきりしない感覚が落ち着かない。きちんと体を向けて首を傾げるチャンミンに悟られたくなくて、思い付いた言葉を力任せに喋った。
だって俺はヒョンだから。ヒョンはしっかりしなくちゃいけない。


「、、最近バラエティーにも数え切れないくらい出たし色々やらされましたけど…、『ランニングマン』?」

「そう、それっ!小学生のペンが特に増えたってさ♪」


チャンミンのドンピシャな回答が嬉しい。自然と声が跳ねた。チャンミンも笑って大きく頷く。
何でもない、普通の、ふとしたこういう瞬間。
とても暖かい。まるで癒される。不思議な温度。


「あー。ドッチボールとかケンケン相撲、かくれんぼに。子ども遊びの要素たくさんありましたしねぇ~」

「そう、そう。楽しかったな♪」


チャンミンは日本から韓国へ戻ってくると生気を取り戻して、ガラス玉みたいな瞳を消した。くまも取れたし、キュヒョンと同じマンションでよっぽど楽しいのか、はたまた彼女のおかげか。俺を頼れと言ったのに。


「…」




まずい。

また、靄の影。




「ユノヒョン…?」

「え…あ、ん?」


俺の簡素な声をすくい取るようにキャッチしてホッとするチャンミン。に、ヒヤリと鼓動が悲鳴を上げた。
心配されるのが恐くて。された時点で、それがこの不気味な変調の決定打になりそうで。


「……今日は、…機嫌いいですね」

「?ま、いつも通りかな?うん」

「…。ウッソだあ~。ヒョン、最近毎日毎時間毎分でもテンション違うじゃないっすかあ~。最悪の時なんて、僕にめっちゃ冷たいじゃんっ。笑」

「え、は?そんな事ないだろっ」


でも確実な図星をからかい歌うように声へ乗せるからまだ誤魔化せた、正直ホッとした。俺も。
なんだかよく分からない、分かっちゃいけない、この感じをねじ伏せられる。


「その『 ラン二ングマン』の収録の時だって、ヒョンがあんまり僕のこと敵対視するんで、思わず僕も本気出しちゃいましたよぉ。くくくっ。笑」

「いや、お前が始めに干潟のゲームで俺のこと押してきたんだろ?“あ、この子は今日やる気だな”って思ったら、俺も負けてられないわと思えてさ、」

「あんなの、冗談じゃないですかぁ~。笑」

「ケンケン相撲もお前に先手打たれたし。かくれんぼはまんまとお前に捕まっちゃったし。ヒョン、いいところ見せられなかったな…?悪い……」

「クイズゲームでは股関にボール直撃するし?笑」

「お、お前ねー!!」

「ぶふふふふふっ♪ユノヒョンは本当に、持ってる本来の力を出すだけでいいのに。我を忘れたように自分で見せ場を潰しちゃうから」

「……」


本当に、チャンミンの言う通りで。

うまくいくように本気で取り組んでるはずなのに。行き過ぎて、止まれなくて。空回って、滑って、失敗する。周りはそれも愛嬌だと愛してくれたけど、そういうことが少しずつ、自分の中で広がっていく。


「今のユノヒョンになら勝てるかなって思ったんですけど……血迷った夢でしたねーぃ♪僕も我を忘れて駄目でした。僕はひ弱な都会男だから、とにかくやっぱり、怪我と病気だけを避けて静かに過ごしますぅ~。笑」

「…ははっ、まだチャンミナには負けないぞ!」

「ネ~♪お願いします」

「……」


今まで通りの自分と変わらず、やっていけてるはずなのに。違うんだろうか?やっぱり何かがおかしいんだろうか?俺は。


「……。冗談ついでに…そう言えばこの前、昔の同級生に会ったんです。高校の時の」

「、へえ!いいなっ♪チャンミン男子校だったよな?久しぶりに?どこで?相手は元気だったか?」

「笑。ちょっと…そこまで大した話じゃないって。その前に一度会って、生活に困ってるっていうから少し、100万ウォンお金を貸して、この前は返してもらうために会ったんですけど」

「それで?それで?」


チャンミンの話題が近況報告に変わって、安定しない心持ちが一気に同じ高さで飛び上がって大きく歓喜した。毎日会ってるチャンミンの、どこがそんなに知りたいのか。自分でも謎。


「それで?チングならちゃんと返してくれたろ?」

「やっぱりまたお金を貸して欲しいとお願いされて、今度は1000万ウォン貸しました」

「え……」

「いや、僕は返してもらう気はなくて、あげるつもりで貸したんですけど。結局約束してた期限を過ぎても戻ってこない、、それだけの話…」

「……。いや、それだけの話って。100万ウォンだってそうだし…1000万ウォンはもっと大金だぞ?貸すにもちゃんと考えて貸してやらないと、そいつのためにもなんないだろ?」


淡々と話す声とは裏腹に、俯いて猫背になってゆくチャンミンはたぶん傷付いてる。
たぶん、すごく。


「でも僕も後ろめたい気持ちが彼に昔からあったから貸す時きちんと謝れて、もう会うこともないだろうけどこれで良かったなって…」

「なに?後ろめたいって。何かあったのか?」

「…彼、人懐っこくて明るくて。練習や仕事でなかなか学校に行けなくてクラスに馴染めなかった僕にも、行くと必ず何でも話してくれて、唯一親友だと思ってた奴なんです。……でも芸能人だと思われるのが怖くて、、本当の自分を見てくれなくなるのが怖くて、僕は彼にも他の友達にもずっとデビューする事を内緒にしてたから」

「そうなのか…」


俺のデビューが決まった時は地元の友達皆が喜んでくれた。いつも話を聞いてもらってたし、応援してくれたし、励ましてもらいながら掴んだ夢だから。

チャンミンは複雑。俺にはない繊細な思考。
チャンミンの、頬に落ちる睫毛の影が照明の加減か、今にも消えて。崩れそう。


「デビューしても彼だけは変わらず話しかけてくれる姿に、逆にずっと申し訳なくて……。親友だったのに、あの時言えなくてごめんねって」

「……」


俺には理解出来ないはずなのに、どこからか懐かしい悲しみが駆けて来る。それが胸を圧迫して、苦しい。息さえ難しい。
チャンミンの頭を撫でてやると、チャンミンはやっと、目を瞑って深呼吸をひとつ。ゆっくり、深く。静かに。同じ呼吸で。


「チャンミン、大丈夫だよ」




もう自分の優しさで傷付く必要なんてないよ








俺だけが本当のお前を知れるんだから



だってチャンミンは俺の…………






























この感情は、何だ







「うん…。ま、謝れて良かったですよ、ホント。向こうはビックリしてたから、もう忘れたか気にもしてなかったか…そもそも僕のこと、友達だとも思ってなかったみたいですけど……」

「いや、謝るのはそいつの方だろ…。それに、チャンミナから親友って言われて、嬉しくてビックリしたんじゃない?」

「そんな…僕なんてだいたい一人ぼっちだったし、彼は皆の人気者でしたし。それはないって」

「チャンミナは見た目は可愛いくてか弱い感じだったけど芯は昔から強かったから。うん、絶対チャンミナに憧れてたんだろうな」


心から思ってることがそのまま伝わるように願った。そしたら恥ずかしそうに口元を隠して、照れて笑うチャンミンが見れた。嬉しい。
そのままチャンミンの声音は上がって、口数も背筋もどんどん伸びてゆく。


「あ、そう言えば彼もちゃんと謝ってくれましたよっ。こんな事頼んで申し訳ないって。まずは人生初のアルバイトをしてみるって意気込んでました」

「はあ!!?チャンミナの年でバイトもした事ないのか!?何なの、そいつ!!」

「僕もないっすけど」

「お前は俺とTOHOSINKIしてるだろっ!笑」

「いひひひひひっ」


俺も怒鳴ってるけどツッコミみたいな楽しさで声を上げた。
可笑しそうに首だけ縮めるチャンミンが、綺麗。


「クビになった会社にももう一度頭を下げに行ってみるって言ってたし。何となく1000万ウォンでも足りない雰囲気でしたけど、あとは何が何でも自分でやってみるって。お金を借りるのも僕で最後にするって。僕に会って、自分の人生を変えてみたくなったって言って♪……ま、もう連絡も来ないんで、口からでまかせだかなとも思いますけど…。笑」


うなだれないで

自信持って

花みたいに凛と美しいんだから


「いや、俺は本当のことだと思う。自分で稼いだことないなら金銭感覚もはっきりしてないだろうし、返済計画もミスして当然だろ?今は自分の生活でいっぱいいっぱいで、返す金ができるまでは色々宣言しちゃった分恥ずかしくてチャンミナに連絡できないんじゃないか?俺ならそう思うし、俺はそう信じる。何よりお前が親友だって認めてた奴なんだから、きっとそうだ」

「…。ユノヒョンが言うなら、そうかな?」

「そうだぞ。俺は幼い時からたくさんバイトして練習生時代を過ごしたけど、生きるだけで本当に大変だった」

「……。あ!僕もバイトしたことあった!」

「え!?そうだっけ?何してた?」

「ぷふ…っ…父さんの、靴磨き…っ。笑」

「それ小遣い稼ぎだろ!!笑」


ただチャンミンの話を聞きたい。
それだけだったのに。










あれ。俺のテンション、戻ってる。






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コメント

  • 2018/07/30 (Mon) 08:44
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  • 2018/07/31 (Tue) 18:21
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  • 2018/08/12 (Sun) 11:49
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