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0715

【パラレルワールド】

また別の平行軸に生きる
ユノとチャンミンのRoad
















______C.side______






「……ふふ」


ヤバい。。笑

ふと目についたまっさらなおしぼりの、くたっとよれた角が無性に可愛く見える。
20本ほど騒然と立ち並ぶ焼酎の空瓶に囲まれて、その儚さは何とも純粋で、愛らしい。



……いや、ただのおしぼりなんだけど。



「……。くあああ~~…。…ふっふっ、ふっ、ふっ、ふっ♪あっはっはっはっはっ!!笑」


久しぶりの休みに羽目を外し過ぎたかも。
今日は昼過ぎから飲んでるから…もう6時間以上は飲み続けてる。すでに僕の話は随分前から成り立ってない。
崩壊して、パボで、おかしくて。笑いが笑いを誘って、叫ぶような大声が後から後から湧いてくる。いつもは呑むと眠くなる僕の酒癖も、今宵は全くその予兆すらない。
僕は感情を麻痺させてる。感情を誤魔化している。


「チャンミニヒョン、さすがに飲み過ぎですよー!明日どうするんですか!はは!笑」

「いいよ!!今日はもう、こいつが主役なんだからっ。チャンミニ、もっと呑め呑め!!笑」


大学時代から慕われて今でもつきあいのある後輩のミンソクは一応は心配の体(てい)で、プロの歌手で親友でもあるキュヒョンはそれこそあからさまに煽ってくる。



でも、



「あー…、今日ホント楽しかった!二人共、ありがとう。でも明日の準備もあるし、これ以上深酒して顔が浮腫むのも嫌だから、そろそろ帰ろうかと思う」



もう十分。

座敷の壁掛け時計は21時ちょうどを指している。



「はあ~。チャンミニヒョン、さすがキャスターですね!顔の手入れとか考えたことないですよ、僕。やっぱキュヒョンさんと同じ、芸能人になったんですねぇ」

「そう、こいつ超絶イケメン記者って業界でも有名だからなあ~。…コホンッ、明日は報道される立場になりますが、シム・チャンミンさん。今のお気持ちは?笑」


キュヒョンがからかって、まるでマイクを向けるように握りしめた拳を差し出してくる。


「くくくっ、僕なんてされる訳ない。本業は記者だし、たま~にスポーツコーナーで人が足りない時、番組に出るくらいなんだから。本物の芸能人のキュヒョンと比べたら気楽なもんだよ」

「チャンミニなら、俳優だってイケるだろ?なんならウチの事務所紹介するから、マジで考えてみる?」

「まさかっ!それに僕なんてもうおじさんだよ。笑」


今年で30歳。大学、兵役、留学を経て、KBSのスポーツ局で取材記者として勤務し2年。
何故か部署の中で僕だけスポーツキャスターとしてニュースや特集番組へ稀に駆り出される機会があるけれど、人見知りの僕はそれがとても憂鬱だった。でもそのおかげで色んな芸能人や職種の人に出会えたこと、自動的に交友が広がったこと、全てが結果、僕の財産になっている。
キュヒョンもそうして知りあえた大切な一人だ。


「チャンミニ、休みどのくらい取れたの?」

「5日間取れた♪」

「そうか。……うん。本当におめでとう」


さっきまでのふざけた態度から一変、心からの祝福を優しい笑顔で伝えてくれる友人達を見て、


「ん…ありがとう。明日は二人共宜しくね…?」

「オッケ♪これでチャンミニ、独身最後の夜を謳歌したなぁー!!」

「チャンミニヒョン、本当におめでとうございますっ!」

「……うん、」




完全に酔いが覚めた。






二人と何度もハグを交わして、タクシーに乗り込む。行き先を告げて、背中をシートに沈める。タクシー特有の香りを肺いっぱい吸い込んで、吐き出す。けど喉が渇いてきてやけに気になる。


「ふうぅぅぅ、……はぁ……」


俯いても顔を上げても、落ち着かない。黒いサマーパーカーから意味もなく手を出したり隠したりを繰り返した。またはキャップを脱いだり被ったり。視線を流れる景色に任せても、心臓はドクン、ドクン、と胸を叩く。自分を誤魔化せない。酔って麻痺させてた心のさざ波は寄せたまま一向に返らず、津波の気色を強くする。

支払いを済ませて車から降りれば夏の夜の空気に襲われ、気持ち悪い。日中の熱をひたすら孕み続けた生暖かい風に吐き気さえ感じる。
こんなふうになる新郎なんて、きっと僕以外いないだろう。頼りなくて、情けない。


「、、っ、」


でも、涙が出る。



「…ヤバ、会いた…っ……ユ…、、…」



僕は明日、結婚式を挙げる。






















「俺、呼んだ?」




「!ユノ…っ!え、なんで……て…っ、」


マンションのエントランス前。

振り返ると、僕とはまた違うグレーのサマーパーカーを着たユノ。僕を見るなり緊迫した鋭い瞳で貫いてくる。その小さな顔を傾けて。掌の腹で涙を拭ってくれながら。偶然。
偶然会いたかった相手が目の前にいる。

……偶然?


「チャンミン、なんで泣いてるの…?」


そうじゃない。つまりは、


「いや、…ふふふっ」


これが運命っていうこと。
すべて運命ということ。


「なんか、、あまりの緊張で。明日の結婚式のこと意識すると、呑んでも酔えないし吐き気するしで自然と涙が。はあ、栄養ドリンク飲まなきゃ。僕のハートは本当に貧弱なガラス玉だから。笑」




その返答にくたりと苦笑いしたユノと僕は、




「それより、おかえり。ユノ、今日は終電ギリギリまで会合なんじゃなかった?」

「うん、まあ肩肘張らないラフな集まりだったんだけどな?俺も明日のこと考えると緊張して全然話進まないし、チャンミンの顔見てとにかく落ち着かなきゃって。皆に謝って、やっぱ帰ってきちゃった!にゃははははは♪」

「あっはっはっはっ!僕もっ。笑」















僕たちは明日から、



夫夫(ふうふ)になる。








同棲の恋人達から、新婚になる。
生活は何も変わらないのに、とても神聖な、改まった気持ちが僕を緊張させている。


「チャンミン、おかえり♪」


でもユノが僕の大好きなその、嬉しくて堪らないって笑顔でふうわり抱きとめてくれるから。僕なんかがユノと結婚していいのかなって不安を、毎日、毎瞬間、蹴散らしてくれる。


「ただいまっ♡早く入ろう?」

「おう」


二人一緒に家へ帰るなんて、お互い全く違う仕事だから久しぶりだ。喜びというにはあまりに些細な幸せをそっと噛みしめながら、


「どう?ユノの叔父さんは動いてくれそう?」


ユノに気になることをそれとなく伺った。
現実を共に受けとめて、お互い違う考えで違う感じ方を尊敬し合って、共に年を重ねる。

そういう伴侶になりたいと、僕は思ってる。


「まだ何とも。だけど、俺は絶対諦めないから。俺の考えに賛同してくれる検事仲間は多いし、裁判官や弁護士だって、本当は皆、おかしいって思ってるはずなんだ。悪い風習にはきちんと声をあげて、情熱をみせれば必ず、少しずつでも変えていけるはずだって信じてる。誰もやれなくても、全ての裁判が公平に正しくあるためなら、俺は革命を起こす」


あまり状況はよくないのかもしれない。ソファーへ並んで座り、一息ついて覗き見たユノの瞼が僅かにきつく瞬きしたから。
でも良くないも何も、すでに本庁の危険分子として上層部から徹底マークされているユノに、『どうするの?』『大丈夫?』なんて聞かない。辺境の地方検察庁へ飛ばされることさえされない今の現状がどれだけ辛い立場なのか考えると、心臓を抉られるように苦しいけれども、ユノは人に心配されることを好まない性格だ。それに何よりこの人ならどんな困難にも打ち勝つだろうと僕自身、一番に信じているから。

僕がユノの役に立つことなんて何もないかもしれないけど、からかったり、いつも通りの話をしながら、ユノがまた少しずつでも元気になってくれたら嬉しい。


「う~わ~♪じゃあ未来は、“法曹界のナポレオン”としてユノが歴史に名を刻むんだねっ」

「、いやいや、そこまでは…。笑」

「ユノ、凄いよ!格好いい!それ実現したら本当に格好いい!」

「…必ず実現してみせるからなっ♡」

「てか、そんな偉業成し遂げたらめっちゃモテそうじゃない?ユノ、今よりモテてどうするの?あ!浮気か!?浮気する気だろ!?笑」

「!ないない!ないない!俺はチャンミンだけ!それにチャンミンの方が格好いいから!仕事柄、芸能人とよく仕事するだろうし、チャンミンの親友のキュヒョンさんだって格好いい歌手だから、実は会うって聞く度…ちょっとハラハラしてる」

「……。でゅふふふふふ…♡」

「こーら、笑うな。笑」


心配いらないトコを心配してるユノが、可愛い。

ユノがこの国の裁判制度に疑問を持ち始めたのは、検察官になって間もなくの頃だったらしい。『裁判はヤメ検(裁判・検察官を辞めて弁護士になった人)を雇った者に有利』、そんな法曹界の暗黙の了解を目の当たりにして、報道番組に取り上げてくれないかとリークまがいの直談判をKBSに持ち掛けて来た。

報道局のミーティングスペースで、首を横に振り続ける編集局長にしつこく食い下がるこの男と初めて目が合った時は、こうなるなんて思ってもみなかった。


「ってゆーか、僕たちもともと異性愛者なんだから。キュヒョンにそんな心配する必要ないでしょ?笑」

「でも俺のこと好きになってくれたし、その可能性もあるかも?なんて…」

「ないない!ないない!ユノのことも、出会ったばかりの頃は付き合うなんて。まさか結婚するなんて夢にも思わなかったしっ」

「ははっ、それ嘘だあー♪」

「お、お!?」

「周りの人達も、付き合っちゃえば~?って、背中押してくれてたじゃん♪俺とチャンミン、お互い背も高いし、お似合いだーって♪あはー!笑」

「面白半分に皆からやいやい言われてうんざりだったよ!僕が仮に両性愛者の人生だったとしても、ユノだけは絶対ないなってそこまで思っ!て、ぁ…………」


さすがに。
言い過ぎた。傷付けた。

そう思って怯んだ僕を、いとも簡単に、


「それって……裏を返せば俺のこと、そこまで気になってたって事?」

「!な…っ、」


ユノは、暴く。


「何にしてもチャンミンの人生で俺だけって…、うん、いい。すっごい嬉しい♪」

「いや、でも…っ、あ、ああの、はじめはっ、ユノも男だし、ユノこそ他にたくさん、アナウンサーの子とかディレクター達に言い寄られ…」

「俺は初めてチャンミンを見た時から何か気付いたよ。髪の毛が一本、アンテナみたいにピーンと立った感じがした。『あ、もしかしてあのコと俺、何かあるかも』って、こういうのをどう言えばいいか分からないけど。本当にそう思ったよ」







「……僕は、」


真剣に詰め寄られて、恥ずかしい。
それを何と言うのか知ってる僕は、照れくさい。


「お前は?初めて会った時何も感じなかったとしたら……。会う度、俺に惹かれてたの?」

「っ、だからそれはっ。ユノがなんだかんだ局の人達と仲良くなっちゃって、躊躇いもなく僕にも話しかけてくるから…っ、物珍しい人だなって…っ、」

「チャンミン、耳真っ赤になった」

「っ。ちっ!」


舌打ちするしかない。両耳をそっと触られながら押し倒されるから、逃げ道なくて参ってしまう。


「格好いいのに、そうやって急に可愛くなるとこも、…っ、大好き…、、」


首元に顔を埋められて、恥ずかしそうに上擦った声でそんなこと言われるから、本当に参る。ユノの気持ちがダイレクトに響いてきて、今度は僕の感情が高ぶる。自ら本心を暴く。


「僕も……。ユ、ユノだから好きになったんじゃん…!」

「チャンミン、…」

「ぁ、ぁ……」


鎖骨を肉厚な唇で甘噛みされて、甘い恋の雰囲気をひっくり返すようなだらしない吐息が漏れた。ぞくりと性が起き上がる。
ユノの頭を掻き抱いて、明日の式で確認することはなかっただろうか?そんなことが浮かんで、消えた。理性を揺さぶられて無我夢中になる。どうでもよくなる。瞼を閉じて。ユノだけ。


「ユノ…ユノ……」


腹からパーカーの薄生地を引き上げられて、晒された乳首に視線を感じてジンとする。下で当たるユノの下半身も完全に興奮していて、ドキッとする。少し体を離して、真上から恍惚と僕を称賛し、感嘆する声は魔法。キラキラ、僕に降りかかる。


「あぁ…チャンミン、本当に格好いい…。俺にはもったいないくらい……」


僕の細胞全てが、貴方なんだと、色めきたつ。


「じゃあ、結婚やめる?」

「いやいや、それはダメっ、だめだめっ!」

「笑。でしょう?だって僕、ユノに愛されるために生まれてきたんだよ。僕たちは運命だよ」


僕の強さと脆さを、同時に煌めかせる。


「年をとってもユノに格好いいって言って貰えるよう、できる限り醜くならないよう、健康的に精一杯努力するから。どうか一生、貴方の隣に寄り添わさせて下さい」

「…チャ、、、」




そうして睫毛を持ち上げて見つめたユノはとんでもなく美しくて。目を見張って息を呑む姿はまるで彫刻のよう。僕はこういう瞬間のユノが一番綺麗に思えて、羨ましい。

見惚れる。溺れる。落ちる。誰にも見せたくなくて、無性に包み込んでしまいたくなる。


ユノは僕の前でただ、極上のユノになる。





















______Y.side______





何度恋に落ちれば、気が済むんだろう。


「……」


芸術的に衣類を乱した半裸の男が、世界一綺麗な瞳で愛の誓いを囁いて、心奪われた。また今日も。


「……。かあ~!もう……っ。その表情(かお)ズルい…ユノこそめっちゃ格好いい…」


と同時に、死への恐怖を感じて動けない。
こいつの悲しむ顔なんて絶対見たくない。
普段つい無茶ばかりしてしまう自分の命が、俺一人だけのものでないことを知る。


「……なに…。早くエッチしよ……?」

「……ぃや、エッチは俺、お爺ちゃんになっても絶対チャンミンといっぱいしたいんだろうなって自信だけはあるから…そんな焦らなくてもいいよ……」

「、だっはっはっはっ!!違うって!明日、式あるしバタバタするだろうからっ。するならするで早く寝たいの!笑」

「あ?ああ…。ごめん、見惚れてた…。チャンミンがお爺ちゃんになってもきっと格好いいだろうし、俺ずっとチャンミンのこと、家族としても恋人としても大好きだよ。たぶんずっと格好いい格好いいって、うるさいくらい言い続けちゃうと思う」

「ぶふっ!は、話聞いてないし…!……くく、くくくくくくく…♡笑」


破裂する笑い声と、堪える笑い声が楽しげに転がってゆく。長身の身体をぐっと折り曲げ、拳を作った両手で顔を隠し、隙間からくしゃっと全力で潰した横顔だけが見えた。喉元と肩が大きく揺れてる。
このチャンミンが隣に居てくれるだけで、俺は、



「……愛してるんだ、チャンミン」



感謝せずには、いられない。


「…ぅん……」


静かにそっと、小さく小さく頷いたチャンミンのこめかみにキスを落として肩から抱き上げた。お互いの服を整えっこしながら、また隣同士ぴったり座り直して、何だか照れくさい。甘酸っぱい。


「ぉ、今日の服…キャップと色が合ってて、似合うね…」


数えきれないほど肌を重ねてきたのに、こんな風に、突然初恋みたいな息苦しさが胸を締めつける。苦しくて、でもこの苦しさは、嬉しさで。


「楽な格好…だけど…ぁ、パーカーはユノが朝着てたから、僕も着ようか…と思って、なんて…へへ」

「、」


また心臓を射貫かれて。このままじゃ違う意味で身が持たない。
だってこんな可愛い人、他にいる?


「チャンミン、愛嬌見せて♡」

また突然…っ……。ネンネミィィ~♪」

「チャンミン、可愛いいいい~~!!!ああ!明日の結婚式が本当に楽しみっ!!この人、俺の人!俺の旦那さん!皆の前でやっと誓える!」

「~っ。ああ…はいはい……」


馬鹿みたいに幼稚にはしゃぐ俺を黙ってぎゅっと抱き締めてくれる。
底なしの甘やかさと、穏やかさ。
いつも静かに居場所を照らしてくれる、俺の光。


「……俺な?この人生だけじゃなくて。もし生まれ変わっても、必ずチャンミンを好きになるよ」


感じるこの暖かさを、きっとどこに居たって俺は選ぶよ。


「…来世だけ?笑」


また冗談で笑わせてくれるお前を。


「あはーはーはー!いいや、次もその次も。ずーっと先も。前世もその前も、ずっと前からチャンミンを好きだった気がする。…ってゆーか、今とは全然違う世界でも、俺、チャンミンのこと好きだ」

「ん?どういうこと?」

「例えば、動物でも!俺が虎で、チャンミンが鹿でも、好きになるだろうし。俺が宇宙人で、チャンミンが天使でも、恋してる」

「あっはっはっはっはっはっ!ぶっ飛び過ぎてて、想像できないっ!笑」


二人でぎゅーぎゅーくっつき合って、楽しい。いつまでも。兄弟のように。初恋のように。心から身体まで淫らに求めながら。永遠のように。

俺たちの愛は変幻自在。


ポンと肩を柔く叩いて嗜(たしな)めてくるチャンミンを、笑って受け止める。


「笑。もう少し現実に寄せたイメージさせてよ。例えばぁ~、異性としか結婚できない世界とか?」

「?ん??どの国も婚姻は男女関係なく認められてるぞ?愛は皆自由に平等であるべきだし、同性愛のみを否定する根拠もない。そんな世界、あるかなぁ」

「あるかもしれないじゃない?実際、異性同士は妊娠しやすいし何度も子どもを産めるけど、男同士は身体の作りが違うから出産も一度しかできないでしょ?女同士はとにかく妊娠しにくいって言うし。より効率性と繁栄性を求めた歴史を人間が歩んでいたら、この世界もそんな世界になってたかもよ」

「はあ、チャンミンって、ホント面白いこと考えるなあ~」

「、、、。ねえ…」


チャンミンの声音が低く鳴って、急に真剣味を帯びた。様子がおかしい。視線は窓から見える三日月を睨んで、縫い付けたように動かない。風もないのにそのような異質のものが俺の頬を撫でた。
何故かとても、とても大事なことを願わなければと思った。


「ねえ、例えば…あり得ないけど、そんな世界で、僕たちは出会ってて、」

「……。おう…」

「僕たちはお互い芸能人なんだ。キュヒョンみたいな、歌手とかアーティストで…ユノとデュオで活動してて、」

「、、、」


なんだかとても、


「でも僕たちは男同士だから…誰も僕たちのこと認めてくれないの……もちろん結婚だってできないし、公表したら僕たち、気持ち悪いって、酷い罵声で蔑まれる…デュオも解散だと思う…」

「解散なんてしない!何があってもグループは俺が守る!!」

「うん、だから…ユノは責任感強いし、悩むだろうね…」

「……」


なんだかとても、


その物語こそ現実のことのように錯覚して。
ある訳ないのに、そんなこと。


「周りの皆も僕たちのために泣いたり、悩んだり、悲しんだりする…………それでも…?」


なんだかとても、


泣きたくなった。





「それでも僕を、好きになってくれる?」


だけど振り向いたチャンミンは、もう大粒の涙を散々に零してた。
こんな綺麗な人、他にいない。


「おいで…」


握り潰しそうなほど強く、指先からチャンミンを搔き抱いた。だけど痛いと一言も漏らさないから。離さない。


「っ、っ、はあ~っ、、なんかっ!はは…、何か話してたら、どんどん光景が浮かんできて。妄想がめっちゃ膨らんだっ。僕、馬鹿すぎ。、笑」

「チャンミン……」

「なんだろ、おっかしいよね?式前日に結婚できない妄想とか。ユノと僕が芸能人とかって設定も無理があるし。そもそも歌手になりたいなんて思ったこともないのに。笑」

「俺はあるよ?歌うのとか踊るの、好きだったし」

「えー。笑」

「チャンミンもすっごい似合いそう。歌上手いし♡そっか、二人でグループ作ったら最高のデュオになりそうだな♪今からやってみる?」

「おじさんデュオなんて売れないよお。それより僕は法曹界のナポレオンに早く会いたいっ。笑」

「あははははは。でもそうだな、結婚自体、当たり前のことじゃなくて。きちんと法律にも神様にも、感謝しないとな?」

「イエス☆」


腕の中にいるチャンミンはふざけて笑いながら、まだ泣いてた。
この心から美しい人を、離せる訳がない。


「けれども俺は、」


俺のせいで色々心配したり、悩んだり、時にはこうやって泣きだしたい時だってあるはずなのに。いつも理解してくれて、ただひたすら俺を信じてくれて、黙って隣で見守ってくれる。

こんな勇者を俺に授けてくれて、本当に心からありがとうございます。


けれどもやっぱり、



一番はチャンミンなんです。



「もしそんな世界と状況で生きていても、必ずチャンミンを好きになって、感謝して…。どんな辛さがやってきても、必ず乗り越えてチャンミンを愛し抜く。だって俺たち、運命だろ?」

「……ぅん、」

「俺はチャンミンを愛するために生まれてきたんだぞ?何をどうしてたって、惹かれ合うだろ?」

「うん……、」

「俺たち、そういうことだろ?」

「うん…っ……ユノ、愛してる…!」


リビングの掛時計が鳴った。
月は登りきり、夜の帳が下りた。

抱き合う温もりが気持ち良くて、感動的。
新しいこの日を境に、膨大な祝福に包まれる。


「愛してるよ、チャンミン。俺と結婚してくれて、本当にありがとう。一生守るからね」

「僕もユノを守る」

「ありがとう、俺のチェガン(最強)チャンミン♪」

「何それっ。笑」


今日は二人の結婚式。
遠い親族まで呼んで、知ってる限りの友人と知人を集めて、皆の前で愛する人への愛を誓う。

チャンミンには内緒だけど、KBSからの撮影依頼も承諾した。チャンミンは人気ないって言ってるけど、ネットではすでにイケメンキャスターとして相当知名度が高いらしいから、夕方には全国ネットで放送されるかもしれない。


「……ホントに二人して芸能人になっちゃうかも……」

「ん??ユノ?」

「いやいや、何もない、何もないっ」

「?」

「さ!チャンミン、式に向けてパックして!俺もしてみようかな?なーんて。あはーはーはー!笑」

「んん?ユノが??絶対やらないでしょう!?あっはっはっはっはっ!笑」




誓うよ






どんな時代でも、どんな世界でも、



胸を張って

皆の前で
















































私たちは今日、



結婚します。








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このお話を、被災された全てのホミンホペン様に捧げます。
僅かな時間でも楽しんで頂けることを心から願います。
(誇りの故郷・広島、頑張れ!)

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コメント

  • 2018/07/25 (Wed) 20:50
    濃いねぇ〜〜(=´∀`)人(´∀`=)

    りょうサン久し振りの更新嬉しいです。゚(゚´ω`゚)゚。力強く勢いのある世界は健在で面白かった〜〜♬ で、故郷だったんですね。連日の報道に、募金以外何も出来ず…。自分に何が出来るか?何時も気に掛けていたいと思います。

  • 2018/07/25 (Wed) 22:40
    No title

    祝、結婚!!
    シアワセのかたまりのお話、
    二人と一緒にアーハーハーハーと笑いながら読んだよー♡

  • 2018/07/26 (Thu) 08:49
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