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片割れ chap.12 #11










______K.side______






朝起きてスマホをタップしてみても、要らない通知ばかりに溜め息が漏れた。今日は俺だけ午後からの予定で、すでに皆出かけたであろう孤独な宿舎ゆえ独り言も堂々と言える。


「はぁ…。、あー!そう言えばチャンミニの話ばっか聞いてて俺のギリシャ旅行自慢するの忘れてたぁ…!めっちゃ!楽しかったのに!写真もめちゃくちゃ撮って!あーっ!!」


毎日。多い時は二、三回電話をかけてきてたチャンミニの連絡が十月に入ってぷっつり途絶えた。もう一週間チャンミニの声を聞いてない。6集のカムバに入って本格的に忙しくなっただけかもしれないと思うと、カトクも何となく憚(はばか)られた。それじゃあと直接、部屋へ行ってもチャンミニは留守ばかり。どこへ逃避行してるんだか。


「元気なら、いいんだけどさ…絶対ヘコんだままだろ、あいつ……」


心配な気持ちはもちろんある。
でも俺がなんだか寂しい。

あれだけ相談を聞いてやってたのにとか、それから何か進展はあったのかちょっとくらい教えてくれてもいいのにとか、恩着せがましい事もそりゃ少しは思うけど、単純にチャンミニと話したい。恋愛感情ではないけれどチャンミニのことが好きで堪らないのは俺の素直な気持ちだから。


「あー…、ははっ、撮った撮った♪ウケる。笑」


寝たままスマホのギャラリーを開いて、これまでチャンミニと撮った画像をスクロールして楽しんだ。
一緒にアイスクリーム屋で撮った写真、楽屋でふざけて撮った写真、L.A.のナッツベリーファームとディズニーランドで撮った集合写真。ふらっと皆で食べに行った事務所近くの焼き肉屋の写真。ホテルの部屋で窓枠にトランプを並べるなんて下らないことやって爆笑してるチャンミニ。酔って赤ら顔でふやけてるチャンミニ。ぶれてチャンミニの足や手、頭だけ写りこんだ写真なんかもある。色んな思い出が甦る。
色んなチャンミニを見てきた。


「……何とかできないかな…」


忘れられないのは、俺が昔交通事故で生死をさ迷う大怪我を負った時。俺の元へ駆けつけて体全体で回復を祈ってくれたチャンミニの姿。

『僕は側に居ることしかできないけどそうしたい。半年前、ユノヒョンが異物を飲んで入院した時もこうして駄々をこねた』と自虐的に笑いながら。

ただ側に居てくれた。

韓国と日本の行き来と、文字通り寝る間もない多忙なスケジュールの中、どうやって時間を作って会いに来てくれてたんだろう。ありがとうの、言葉じゃ伝えきれないほど。
チャンミニに感謝してる。

大好きだから。一生の友だと確信してるから。チャンミニが苦しい時は側に居てあげたい。悪友の俺が何とかしてあげたい。

 
「俺が悪者になってもいいから…何か、何かないか……」


世間にバレたらマズイ。チャンミニの言う通り、二人が本気で愛し合ってることがパパラッチされたら事務所ごと相当マズイことになると思う。必ず糾弾される。きっと蔑みを受ける。そんなチャンミニとユノヒョンの愛はやっぱり間違ってるのかもしれない。



でも間違ってるからって、愛には正解もないんだぜ?





「お、、」


物思いに耽っていると、一枚の画像に目が止まった。けっこう前の写真。TOHOSINKIが再始動してすぐ辺り、同じ局でチャンミニとばったり会って、その時冗談で撮ったもの。人通りの激しい楽屋前の廊下で突然、チャンミニからポーズを提案してきた。
 

『僕らがこんなに仲いいってこと、見せつけてやろうよ』

『あはははっ!いいよ。って誰にだよ。笑』

『…。皆にっ。笑』


そう言ってチャンミニは俺の肩を抱いて頬にキスしようとするポーズでキメて、シャッターを切らせた。ただのおふざけだし、まさかその後、チャンミニとユノヒョンが付き合うなんて考えてもいなかったから。  

…でも、今思えば、あの時……、


「……。ぁあああ~、カラムかっ!だからかっ!!」


新人グループのTHE BOSSもTOHOSINKIと同時期にカムバックして、よく歌番組で競演してた。そのメンバーのカラムは熱狂的なユノペンで、きっとTOHOSINKIの楽屋にも来たはず。チャンミニはどう思った?


「…そうだよ……そうだ…カラムの動画見せた時だって固まってた……」


居心地悪くて、廊下に飛び出したか。


「だっはっはっはっはっ!そうだ!絶対そうだろ!?当て付けじゃんっ。てか俺、ダシにされただけじゃん!あいつめ!笑」


何?俺とふざけてた姿がユノヒョンの耳に入ればいいとでも思った?ユノヒョンの反応を伺おうとした?だとしたら本当に正真正銘の天の邪鬼。素直じゃない。


「素直じゃないな、チャンミニ…」


だけれども。




とてつもない熱量に当てられる。



あのハンサムな顔面で、冷静な脳の裏に隠された、

嫉妬。やけくそ。捨て鉢。情念。
執着。独占欲。
嘘を吐いてまで突き放した激情。



どれもこれも焼け焦げそう






チャンミニの愛は綺麗じゃないけど、間違いじゃない。





「人間臭くて…なあ?そうだよ……」




ユノヒョンも聞き分け良く身を引くんじゃなくて、嫉妬したらいいんだ。腹立てて怒って、醜い感情でチャンミニにぶち当たればいい。勘違いだっていいから。そうやって戦い合うように火花を散らして、また正解のない愛を二人で模索したらいい。

起爆剤を投下。さあ、どうなる?二人。


「……。わ…悪者どころか殺されるかもしれない…っ。けど俺。ははっ。涙」


お節介を承知でチャンミニに電話をかけた。ダメ元で聞く気のなかった耳がチャンミニの声を拾ったせいで、妙にテンションが上がる。久しぶりの親友の声。


『キュヒョナ?』

「、おっ。アンニョー!チャンミナア!お前最近どこにいるんだよ、全然部屋にいないだろっ」

『ぁ……ま…今日は、釜山…』

「あー、映画祭?俺も3日前に出席したわ」

『そう。あと6集のサイン会』

「ふーん、お疲れ。ユノヒョンも?」

『もちろん』

「そっか。ところで今から懐かしぃ~い俺たちの写真、公式Twitterに上げるからさ、後で見ろよ」

『おお~、いつの?』

「秘密ー♪さっきスマホ見てて発掘したっ。そうだな…チャンミンペンに怒られるやつ♪まあせいぜい、お前もユノヒョンに問い詰められて怒られろ。笑」


離れてしまってつべこべ言える筋合いがない今より。この、想いが熟しそうな熱っぽい関係の時の失態の方が効果を期待できるような気がした。

とにかくもう一度、話し合え。ユノヒョンと。


『……』

「チャンミニ?」

『もうそんな事ないよ』

「あるって。絶対ある」

『覚えてないんだから』

「…。ん?何が?」

『うまくいったんだ、全部』

「は?」

『キュヒョナありがとう。僕ももう大丈夫だから』

「嘘つけ」

『最近ちょっと忙しいから…また落ち着いたら一緒に飲もう、楽しく』

「…」

『じゃあそろそろ支度しないといけないから切るよ。良い一日を、キュヒョナ』


いつもは『サランへ』と友情を伝えてくれるチャンミニが、『良い一日を』なんて格好つけた言い方してきた。えらく紳士的なその表現を使う人物を俺はよく知ってるはずなのに、すぐには思い出せない。


「俺くらいには全部言えよ。お前の男だよ、俺は」


チャンミニの事はすべて知ってる。この前の雑誌のインタビューにだってそう豪語した。自信がある。

チャンミニは苦しんでる。


『だから…大丈夫だって。本当。ありがとね、じゃ』

「……」


俺の応答を待たず通話を切るチャンミニはやはり普段のチャンミニじゃなかった。どこか後ろめたい影を伸ばして逃げた親友は、“俺の男”じゃなかった。


「寂しい……寂しいよ、チャンミニ…」


寂しくて、腹が立つ。


悲しくて、寂しい。




「俺のチャンミニどこだよ…」


『あんな昔の写真、アげるなんて!鬼だキュヒョナは!』なんて怒りながら、密かにユノヒョンの反応を期待してるチャンミニの弾んだ声音の電話があることに望みを賭けてTwitterを起動させた。だけど投稿し終わってもチャンミニからのレスポンスはなかった。何も。

リツイートと“いいね”の数だけ急速に増え続けながら、チャンミニの声は返ってこなかった。




















______C.side______







「チャンミナ、さっきスタイリストからキュヒョンのTwitter?って言うのか?見せてもらったんだけど」

「え…っ、」


夜。ウェスティン朝鮮ホテルの控え室でディオールのタキシードを纏いながらユノヒョンが静かに切り出した。僕が切り出さない限りそんな情報も知らないだろうと高を括っていたから、正直飛び上がるほどビックリして無意識に息を潜めた。

恐怖と同時に、期待。全く出所が分からないこの感情が表現し難い。ただはっきり分かったのは、夜会用の濃いメイクを施された端正なユノヒョンの不機嫌そうな面持ち。それが冷たさをもろに放っている。


「チャンミナと二人で写ってるやつ。二年前のってコメント書いてあったけど、お前もう見た?」

「ぁ、いや、と、…はい。まあ…」

「チャンミナが許可したの?」

「ゃ、後で確認してって言われて…それで見て…」


僕は動揺し、期待してる。何かを。

目線をしっかり合わせてくるユノヒョンに。


「キュヒョンと仲いいのは分かってるから、やるなとは言わないけど。ああいう写真は露出するべきじゃない。スジュは番組でもステージでも盛り上げるためにメンバー同士でキスくらいするけど、うちはそういうカラーじゃないんだから」


でもあんまり期待外れで、期待してしまった分ごっそり心がえぐられる。虚しさが猛烈に胸を走り回る。実体のないものの暴走に、不確かが否めなくて気持ち悪い。


「やっぱりTOHOSINKIとしてのブランドはきちんと守らないと。この間キュヒョンとコラボしたSMTの演出もさ、~~、~~、」


聴けば聴くほど罰に晒されてしまうから、脳が拒否反応を起こしてユノヒョンの話す内容が入ってこない。がらんどうな胸の真ん中が苦しい。

でもこのまま進んでいくことを。
選択をしたのは、僕。
ユノヒョンのせいじゃない。


「キュヒョンにも言っとけ、やり過ぎだって。冗談でもコンセプトの邪魔になる。今大事な時期だろ。やるなら非公開で、内輪でふざけろよ」


最後にそう言い終えて、カフスを着けるか着けないかの話題に変えた今夜のユノヒョンはとんでもなくキマっていて、不健康に痩せ細った体躯にも関わらず上質なタキシードを着こなす。前髪を上げたセットのせいではっきり見せる鋭い輪郭さえ洗練された印象を与えてる。


「行くぞ」

「はい」


それ以降、パーティー会場での観賞タイムでも歓談タイムでも会話らしい会話はしてくれなかった。

ユノヒョンは確かに怒っていた。けれどそれは、僕の怯え期待した怒りじゃなかった。『TOHOSINKIとして相応しくない姿を大衆にお見せしてしまった』、そういう、リーダーとしての純粋な憤慨だった。


ゴールドのシャンパングラスを片手に僕はただ、愛想良く業界人と語らうユノヒョンの背中を眺めるしかない。積極的でオープンなユノヒョンは次々と人を惹き寄せ、華やかに穏やかに笑う。僕へ振り向きもしない。

ユノヒョンも誰も苦しめないこの道が、




すごく寂しい。







すごく寂しくて、苦しい。










「…っ、」


僕は弱くなってしまった。
これしきのことが言い返せないんだから。
これしきのことで涙ぐんでしまうんだから。

やっとお開きになると一目散に着替えを済ませた。会場を後にして、宿泊先のホテルに着くと速攻で与えられた自分のスイートルームに逃げ込んだ。
ベランダから一望できる暗い海雲台をほぼ睨み付けながら電話をかける。するとすぐに出てくれる誠実な男。に、一匙分の気持ちを救われる。


『チャンミン?仕事終わった?』

「終、わりました…」

『お疲れ様♪今日も一日、よく頑張ったな?』

「…ぷっ。見えないくせに…。笑」

『見えるよ、心の目で。それに今夜は釜山だろ?会えないから、今日ずっとチャンミンのことお祈りしてた』

「……」


癒される。誤魔化せないほど。
ベランダに出ると、すぐそこで歌う海岸の波音がさらに僕を落ち着かせた。

心地好い闇の海と、ユノヒョンによく似た男の優しさ。


「会えないですかぁ?シウォニヒョンなら飛行機チャーターすれば、すぐ来れる距離でしょ。笑」

『……うん、そうだな。やっぱり今日も会いたいな。今から俺、そっち行くよ』

「は!?え、ウソっ、ウソ!すいません冗談です!」

『今から飛行機はさすがに無理だけど、車でうまく行けば3時間…4時間で行けるはず。じゃあ、ちょっと待ってて。着いたら電話する』

「寝てます!すいません、僕寝たいし!本当にっ、冗談だから、あの…っ、」


ユノヒョンによく似た情熱的なシウォニヒョンなら、本当に来てしまうかもと、今更ながら焦る。


『じゃあ、明日また夜会える?』

「……はい」


しっとりとした、柔らかい声と、


『また抱くからな…お前のこと…』

「、っちょ、だから、その言い方っ。笑」


大人の色気で笑わせてくれる。照れるけど笑える。
そんな芸当できるのはシウォニヒョンくらいだと思う。


『早く帰っておいで。今日電話くれてありがとう、嬉しかった。明日も待ってるから』

「……はい。お休みなさい…」

『お休み、チャンミン。良い夢を』

「良い夢を」


シウォニヒョンの紳士的な挨拶が格好良くて、わざとじゃなくて、自然と真似してしまう。


ユノヒョンに軽蔑された今日の僕はもう捨てた。
持ってても辛いだけだから。





早く来い、明日。







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コメント

  • 2018/03/02 (Fri) 19:13
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  • 2018/03/02 (Fri) 22:18
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  • 2018/03/02 (Fri) 23:45
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  • 2018/03/03 (Sat) 14:49
    シウォンと?

    なんかショックです笑
    実際も気に入ってはいるだろうけど
    まさかまさか(◞‸◟)
    はやくこのパートが過ぎますように、、

  • 2018/03/04 (Sun) 09:11
    No title

    驚きすぎてコメするのに一昼夜かかったmamです。

    いや、これでいい。
    ユノが病んでるいま、チャンミンまで共倒れするわけにいかない。
    ぎりぎりのチャンミンを支えてくれてシウォンありがとう。

    敢えて言おう。シウォンありがとう。

    そしてカッコいい男は引き際もカッコよく頼むよ、、、
    ほんと、頼む。。。

  • 2018/03/04 (Sun) 14:52
    えぇーーー(T ^ T)

    はじめまして…
    とても、とても、毎回楽しみにしています!が!あまりのショックに……
    どーしよーー。
    早く…このツライ状態が終わって欲しいです…切実に…

    続きも楽しみにしています!!

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