FC2ブログ

【ホミンホ合同企画ミーアゲ】8月18日のハーモニー、運命の恋人か?なし崩し的彼氏か?~ chap.13~










もう一度、俺を選んで



チャンミン









あの時君がくれた小さな封筒の中身をそのまま知ることはできないけど。俺たちはどうしたって、目には見えない力で惹かれ合っていくんだよ。


君が俺を見つけてくれたように。
俺が君を見つけたように。

なぜか君が俺の情熱へ飛び込んできてくれたように。
いつの間にか俺が君の待つ場所へ誘(いざな)われていたように。


理屈じゃない。


君と俺は、再び出逢って……



そうしたらもう覚悟して








二度と離れない



















______Siwon.side______






今年もオープン時間に一番乗りで来たチャンミンがカウンターの端の席でずっとずっと、ずーっと黙りこくって呑み続けている。


「……チャンミン、グラス空いてるけど…次何にする?」

「…………」

「……おかわり、注いどく」


俺の呼びかけにも、手に添えてる空のジョッキを下げても、チャンミンは反応しない。気を紛らわせてやろうと新しいジョッキをピッチャーの超特大サイズに変えてサーパーからたっぷり生ビールを注いだ。


「ほら♪これくらいお前なら飲めるでしょw?」

「……」


さっきの形そのまま固まった掌へピッチャーの取っ手を納めてやると、何の文句もなく機械的にそれを口へ運ぶ。そんなチャンミンにいい加減苛立ちを覚えた。
毎年、毎年。8月18日はこんな風に俯いて明け方の閉店時間まで呑み続けてるんだから溜まったものじゃない。だってシム財閥の経営してる飲食店の内の一店舗、ここ「シム・ダイニング」で、可愛い実の弟チャンミンからまさか金を取れる訳がない。


「何か言えよ…はあ、明るい店の雰囲気が台無しになるって……」

「……このビール、口開け(封を開けたばかり)だね?美味しい……」

「さすが。よく分かってる」

「さっきと全然違うもん……シウォニヒョンだって分かるよね?」


昔から味覚がずば抜けて良かった弟。女遊びが玉に瑕だったけど、物事の観察眼にも優れてた。勤勉家で、将来の経営は俺よりチャンミンの方が継ぐべきだって家族や役員の目が、苦しかった時期がある。俺は父親の事業に憧れも興味もあったから。


「まあ、何年もここの店任されたから。……チャンミン、ありがとう」


たぶんこの子は、



そんな俺に遠慮してくれたんだと思う。


「なーにが?おかしな事言うヒョンだ……。あぁ~、ここもいいけどヒチョルさんのフード食べたいなぁ。ミノくんとシウミンくんもお酒のセレクトけっこうチャレンジしてたし気になる。今週また新しいの出してそう。テミンくん……合わせる顔もないか……でもカクテルの才能、本当にあったなぁ…お店もよく回してたし」

「なに?《ユノ》の店?ヒョンが買収してうちの傘下にしてあげようか?」

「止めろ。ヒョンでも許さない。ユノが一生懸命作った店だ。ユノの店だ」

それにお店からあの遊園地も見えるんだよと、ふふっと漸く笑ったと思ったのにまたすぐ猫背に沈むチャンミンが、意気揚々と俺に相談してきたのはどれだけ遠い過去だろう。
俺がここに配属されて間もない頃、チャンミンは研修中の新米警察官だったはず。







『ヒョン!』

『おう、チャンミナっ。今日でやっと防犯啓発イベント終わったんだって?炎天下の遊園地なんて暑くて人混みだったろう、お疲れ様。どう?一杯飲んでいけ…』

『僕好きな人ができた!!』

『…。チャンミナ~!良かったなぁ!やっとお前の女遊びも…涙

『男の人だけどっ』

『、え!!?』

『ヤバい、どうしよう。本当に好きっ』


数束のラブレターらしき白いものを両手に持って真っ赤な顔を覆う。
隙間から見えた伏し目の困り笑顔があまりに柔らかで、嬉しそうで。




『好き……』




そんなチャンミン、今まで見たことがなくて。




『……本気、か…?』

『実はその人、僕がイベントで着ぐるみ被ってる姿でしか会ったことないから、僕の見た目なんて知らないんだ。男だってことも気付いてるか分からない。普通は何となく気付くはずだけど、赤いくまのぬいぐるみなんて可愛いもの貰っちゃったし…正直かなり怪しいかもw』


くくくっと楽しそうに、良くできた顔のパーツを寄せて笑う弟から何も迷いも感じない。
とんでもなくおかしなシチュエーションなのに。叶うはずない恋なのに。


そんなことまるで、重要じゃないかのように。


『む、……無理だろ…?男なんだろ、そいつ……チャンミナだって、、なんで好きとか思える?気持ち悪いだろ、普通。理由は…!?』


分からなくて。
だってそんなの、あり得ない。


『好きに理由なんてないよ。ただ僕のことをちゃんと見てくれてる。でも理屈じゃなくて…会いたいって言われる度、目の前がぱあっとひらけてきらきら…眩しい感じになる。なんか…体があったかい…ポカポカする。あの人のためなら、きっと何でもできる』


目を閉じて想いを馳せる、チャンミンの睫毛が凛と跳ねた。


遠慮しない。
誰の目も気にしない。
性別をものともしない。
後ろへ引かない。
譲らない。




この子の、生まれて初めての、




『明日、この店に僕は居ますって小さな手紙を渡して来たから、シウォニヒョンも見てて。絶対僕だって気付いてくれる。僕が男だって分かっても好きになってくれる。なんだかそれが……分かるんだ』




自我を見た。




『ここに?』

『うん。会社(警察)が作った子供向けの備品だけど地図を入れておいた。ほら、ヒョンに頼んで子供SOSの協力店に登録してもらったよね?わざわざ用意するより自然と手元にあるもので手紙を出した方がいいかなって。はあぁ~~っ、ヤバい!緊張する!今日寝れないっw』







次の日からチャンミンに



















年に一度だけ、泣きじゃくる日ができた

それが8月18日












「……結局、」


ユノという男は来なかった。毎年、毎年。
チャンミンは振られ続けた。

いや、去年だけは違ったけど。


「去年彼が来たのは、……ただの気まぐれ?昔の約束を懐かしんで?」

「さあ……何で来てくれたんだろうね……何年も経ってるし、そうかもしれない。。でもユノが現れて僕は声を掛けずにはいられなかったし、断り文句かもしれないけどあの約束を覚えてくれてただけですっごく嬉しかった……だから欲が出たんだね……」

「チャンミナ……」

「何が何でも付き合う形にして1発ヤれば、男同士で関係持てれば、ユノは逃げたくても逃げられないよね!?なんて思考回路に陥り、去年は必死でその日の内にユノの家に…」

「こらこらっ、こらこらw!!実の兄に性の赤裸々な告白までするなw!!しっかしあれは他人の振りしてチラ見してるこっちが笑いそうになった♪チャンミナの態度であれがユノかってすぐ分かったよ。お前、落ち着いてるようにみせてたけど…相当パニクってたねw」

「ふふふふふふ♪『《これで》簡単には縁が切れない。いつかあの時の僕だって気付いてくれる時を目の前で待てる』そう思ったけど、…そんな邪(よこしま)なこと考えてるからバチが当たったのかな。結局は……」


蛇口を捻るように、顔を歪めれば涙の羅列。
今年もまた失恋の雨が戻ってきた。


「この一年、知れば知るほど好きになったのは僕だけだった……っ、、」

「……男を女を好きになるものだよ。分かってたことじゃないか。なあ?」


少し短い髪を掻きむしり、弟の肩はぶるぶる震えて寒そうにさえ見える。毎年、毎年。見てられない。チャンミンから目線を逸らして、

逸らした先に決意した。


「チャンミナ、俺は次の人事異動で本社勤務が決まった。ここで現場経験も実績も積めたし秋からは役員職として、うちの会社全体のことを学んでいく。俺はもうこの店にいない。だからお前も、待つのは今日限りだ」


奇跡なんて起こらない。人生は無情だ。足掻いても報われない。諦めが肝心。



















だけどさ




そんな生き方、つまらないじゃない?







 

「ぃ、やだ…っ。シウォニヒョンっ、が、いなくても…っ、ユノに…彼女ができ、ても、っ、結婚してもずっと待つ…、…っ、」

「チャンミナ。今日で、《終わり》だ」











たったひとつの恋のために

自分から運命を切り開いた弟の戦利品




この世の奇跡の結晶


そんなハーモニーを聴くために





俺は後ろを向いて、また他人の振りを決め込んだ。




















______Changmin.part______







シウォニヒョンが残酷な命令を告げて、素知らぬ顔で太い大根を取ってそれを刻み出した。憐れな僕を思ってか、匙を投げてか、冷たいヒョンの背中があまりにも寂しくて。


「ヒョ…っ、、っ、」


ぎゅっと目をつむっても涙は止めどなく流れ落ちるし、寒い。寒い、これからずっと。


ユノはもう来ない。


ユノは素敵な女性と出会えて、これからきっと幸せになる。



「…っ、、ひっ、、」




なぜ僕は、それを絶対に喜べないんだろう






僕は、僕の名を呼ぶユノにひたすらときめく。


「チャンミン」


そう名前を呼ばれるのが嬉しかった。微笑みながら呼んでくれたらもっと嬉しかった。


「っ、チャンミン…っ、」


セックスの最中、上擦った、切羽詰まって僕を呼ぶ声は荒くて、求められてる空気をひたすら感じれた。最高に幸せだった。

ユノは僕を嘘つきだって言ったけど、僕は嘘なんてついてない。

『《男の人》と付き合ったことも経験もないんです』

そう言ったはず。嘘はつきたくなかったからその一言だけは気を付けた。僕はなんだか恋愛に酷く失望していて、女性の肉体だけを貪った最低な奴であることは確かに認めざるを得ないから。


ふと我に返ると。
今の僕は猫背なんてもんじゃない、背中を丸め込んで両手は胸の前でぎゅっと縮め、カウンターに塞ぐ形で震えながら号泣する気持ち悪い格好。芋虫みたいな、外見すら悪い自分。それを今さら自覚した。
服を濡らしてた涙がカウンターの上に落ち、ピッチャーの大きな丸い跡に馴染んで汚さを覚えた。水滴の方が綺麗な気がして。

僕の体液は惨めでダサくて汚い。外も内も自分を構成しているものすべて、汚い。胸の中で認めるとゾッと冷たくて、寒くなる。視界がぼやける。ユノの声を思い出して一瞬の暖かさにすがった。


「チャンミン……」


ユノのように格好良く人を助け、強く、人として美しくありたかった。僕の心なんて誰も見なかったけど。当たり前だ、僕は汚いから。汚い奴がそんなこと願ったって絵空事。いつまでも蝶になれない芋虫。
あまりにも惨めで思わず失笑が漏れる。


「ふっ…僕、カッコ悪すぎ…っ、、」





こんな僕を見つけてくれて



  






運命だって、思ってた。

















「お兄さん、格好いいですね」

「……」



声の主は、カウンターに座る僕の傍で、僕を柔らかに見て笑ってた。
にっこりと。毅然として。
格好いいとか、そんな日常的な言葉じゃない。

美しい。


折れ曲がって涙でぐちゃぐちゃな僕を褒める人





「今日、ある人を見つけるためにここへ来たんです。隣、いいですか?」




「…………ど、ぅぞ…っ、、」













ユノはやっぱり美しい。


















にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 二次BL小説へ
にほんブログ村
Fc2


スポンサーサイト

コメント

  • 2017/12/12 (Tue) 19:27
    管理人のみ閲覧できます

    このコメントは管理人のみ閲覧できます

  • 2017/12/12 (Tue) 19:43
    管理人のみ閲覧できます

    このコメントは管理人のみ閲覧できます

  • 2017/12/12 (Tue) 20:29
    No title

    ああもう、前半突っ込みどころ満載だけど全部スルーして、
    ゆのーーー、遅いよぅ。もうチャンミンぐしょぐしょ〜

  • 2017/12/12 (Tue) 23:59
    管理人のみ閲覧できます

    このコメントは管理人のみ閲覧できます

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する