【ホミンホ合同企画ミーアゲ】8月18日のハーモニー、運命の恋人か?なし崩し的彼氏か?~ chap.11~












寒い。


寒い。







浮上する。

















「お店の飾り付けはできたよ。ユノはどう?」

「…まだ目ぇ覚まさない。ずっと震えたまま。どうすっか、……さすがに病院連れてった方がいいか?」


聞き覚えのある仲間達の声が降ってくる。
深刻そうな声音は何を心配してるんだろう?
だって俺は目覚めてる。






目覚めたんだ、やっと







「!ユノヤ!!」

「ユノ!大丈夫か!?」

「……」


瞼を持ち上げる眼輪筋の収縮が分かる。晒された眼球には空気の冷温を感じる。肺は動いて、呼吸になって。美味い。心臓に『生きろ』とノックされてる。


まるで再び産み落とされたみたい。


感覚は痛いほど研ぎ澄まされて、いつもそこにあるだけの店内の白天井に新鮮な感動を与えられる。世界は鮮やかに映えて。頭だけ起こして辺りを見渡せば、虹の洪水。
紺のソファーにクローバー型クッション、今日はフルーツタルトとチョコクロワッサンの並ぶショーケース。花と華。湯気の立つ陶器コーヒーカップは滑らかな光沢が光って、覆い被さるように覗きこんできたイトゥクとヒチョルは真っ青に焦ってる。
全ての色が全てそのように際立って素晴らしい。
この世に当たり前のことなんて、何一つない。

でも……、


「覚えてる!?ユノヤ、店先で倒れて気を失ったんだよ!」

「しばらく路上で雨に当たっちまって寒いだろ?ほら、服濡れてるだろ?今ミノに着替え持って来させてるからもう少し待ってくれよ。それとも病院行くか!?体は…具合はどこか悪いか!?」

「………なぁ、、」

「何だ?まだ寒いか!?ホットならここにあるけど、他に飲みた…」


びしょ濡れの服の上からは茶色いブランケットにぐるぐる巻きにされてるけど、体はそれでも寒い。夏なのに。冷房も止まってるのに。おかしな話だ。

俺の体温は、君が持ってる。




「ポスニちゃんって…………なに……?」

「…へ!?」「…は!?」














チャンミンが持ってる。




















チャンミンだったんだ












「ユノヒョン、起きました!?」

「ヒョン!」

「あ!ユノヒョン!大丈夫ですか!?」


バタバタ、ガタンッと音を鳴らせてテミンもシウミンもバックヤードから飛び出てきて、ちょうど戻ってきたミノも駆け寄って着替えを渡してくれた。


「お前とりあえず着替えられるか!?」

「ヒチョル……」


確信がある。


願望じゃない。妄想じゃない。
あり得ないけど。説明できないけど。







「あの着ぐるみのコ……、チャンミンだ…っ、、」





感じれば、ちゃんと分かる。





言葉にすれば申し訳なくて、震える唇を掌で閉じ込めた。
ずっと探してるだの、見つける自信があるだの散々大口叩いといて一向に気付かない俺をチャンミンは会う度、どんな気持ちで見てたんだろう。
どんな想いを沈めて明るく笑ってたんだろう。



今日は8月18日。約束の日。


君を見つける。約束した。



「……今、何時だ……?行かなきゃ…っ」



でも、どこに?何時に?
観覧車の前に20時、毎年ずっと待ってた。
チャンミンは来なかった。

なぜ?
答えは分からない。それでも行かなきゃ。

木彫りの壁掛け時計を確認すると、6時半を指してる。もうすぐ店を開ける時間。底冷えで今にも固まりそうな重い体を力ずくで捻(ね)じ上げた。着替えるためにバックヤードを指すと、ヒチョルが当たり前のように肩を貸してくれる。


「ぇ、、、ちょっと待て、ユノ……。着ぐるみの女は、ボアさん……だったんだろ…??待って、マジで……え……?」

「っ、あいつはあの頃地方にいた。国立遊園地でイベントスタッフなんてやってるわけがない。でも絶対チャンミンなんだ!!」


辻褄が合わなくてばっさり消えた期待。
僅かに疑う余地もなかったから……、


「…………。ぷっ。泣くなよ、ユノォ~♪すげー顔だぞw」


目から溢れる雫だけ、熱い。


「…っ、申し訳なくて…っ、、」


そしてあまりに、嬉しくて。


「俺は、チャンミンが好き…っ、」

「今さらw。見てれば分かるわ!!w」


俺の恋はすべて、チャンミン。


内面から惚れた彼女と外見から始まった彼氏。
チャンミンへ貪欲に溺れてゆくことがあのコに申し訳なくて、いつも必死でブレーキをかけてた。どうせ身体だけだろってドライぶっては、チャンミンに会える日だけ休みを取ってひっそり心待ちにしてた。
どちらを選ぶか気持ちの整理はつかないまま。

結局は両方のチャンミンを傷付けて、
申し訳ない気持ちでいっぱいだ。


「ヒチョル悪い!今日俺いなくても店回るか?それと、その……ボアさんを、、」

「大丈夫大丈夫、もともとの予定通りだし。任せとけっ」


ミノが持って来てくれた少し若者っぽいパーカーと柄物のゆとりある短パンを身に付ければ一層、当時の自分のファッションと重なって時間が巻き戻っていくよう。

確かに口説いたり手紙を渡した君は被り物の頭を含めても背が相当高かった。腕はまさに男のそれだった。
でも俺はそういう所を気にもしてなかったから。極上に綺麗な君の心しか見てなかったから、瞼に焼き付いてる映像はその時意味を成さなかったんだよ。
ごめんな、チャンミン。たくさんのヒントを、いつもさりげなく落としてくれてたのに。


「ミノ、着替えありがとな!」

「そんな服しかなくてすいません…っ。あと、あの……、」

「……うん」


店内に戻ってミノに礼を言えば、その後ろから静かに覗かせる人の影。


「……どうも。先日はすいませんでした……謝りにきました……」

「こんばんは。キュヒョンさん」


本当に大切なものを離すとあるべき場所へと戻す道標のように出会う遭遇や記憶の欠片たち。
そういう不可思議な導きを運命って言ったら、チャンミンお前は、また鼻で笑うかな?


「あの後チャンミナから話を聞きまして……、まさかチャンミナが…って感じで……今もまだ信じられない状態なんですけど、、」

「…幼なじみの親友が男と付き合ってるなんてショックだったですか?」

「正直……すいません…。チャンミナは全然普通の男だったので、、本当、驚いてます……」


笑わないよな、チャンミンなら。
感じれば分かる。


「そうですよね。俺も、まさか自分が同性を好きになるなんて思ってもいなかったので。チャンミンには本当、驚かされっぱなしですw」

「あ…そうなんですか……。すいません、ゲイとか言っちゃって…」

「ゲイになっちゃいました♪チャンミン限定でゴリゴリのw」

「ぶっ!!ユノさんって、…なんか面白い人ですね。くくくっ♪」


手渡された菓子折りは誠意そのもので、キュヒョンさんだって悪い人じゃない。チャンミンのことを理解しようとしてくれてる、それがよく分かる。


目覚めるって、こんな感覚なんだ。


「……ほんと、すごい怒られたんですよ…。お前のせいでもう絶対終わりだ、どうしてくれるんだーって暴れて手の付けようがないくらい…」

「あはははっ!へえ、チャンミンってそんな事もするんですね。可愛い♡見てみたいっ」

「へ…、え、いやユノさん?マジでチャンミナ怒ると怖いですからっ」

「あはーはーっ!俺も平手打ちくらいは受けたことあるんですけどね」

「わー、痛かったでしょ……w」

「めちゃくちゃw」


もう何があっても揺るがないよ。
言葉も態度もいらない。どんな過去も抱きしめることができる。
無条件で、君が好き。


「チャンミンは、今までの恋愛経験を俺に話してくれた事がなかったんです。でもこの前キュヒョンさんから少し聞いて、むしろ大勢の相手の中から俺を選んでくれたんだって…はは!ちょっとおこがましいんですけどw。今はそんな風にプラスに受け止められます。チャンミンってどんなコがタイプだったんですか?何人くらい好きなコがいたのかな?そういうのも、全部知りたいですよ。本心で」

「……分かってくれてると思いますけど、チャンミナは本当にいい奴なんです。ただあの容姿のせいでアイドルみたいに皆に追いかけ回されたり盗撮されたりをずっと昔から繰り返されて…。付き合う彼女も全員チャンミナの見た目に惚れるコばかりで…。見せびらかすように連れ歩かされたり、中には崇拝しちゃうコもいたり…とにかく変な…まともな恋愛はできなかったんです、チャンミナは。それから自暴自棄になってとっかえひっかえ遊びまくるようになって、好きとかそういうのじゃなかったと思いますよ……って、すいません!いや!マジですいません!気分悪いですよね、こんな話!違うんです、もとは本当優しい奴なんですけど…っ」


慌てふためくキュヒョンさんを目の前に思うのはこれだけ。


「あんなに心も綺麗なのに……可哀想なチャンミン……」


本当に俺でいいなら、俺が温めてあげる。
それで俺もやっと温まるんだよ。

どんなチャンミンも抱きしめたくて仕方ない。
もう一度俺を、選んで。


「……はい。本当に不憫な奴なんです…あいつは。だから!あの、異動する前にとにかくもう一度チャンミナと話し合ってやってくれませんか?」

「?イドウ?」

「どうやらこの前の、ここの従業員さんの個人情報、チャンミナが勝手に持ち出したものらしくて。自分から上司に事後報告したみたいなんです。それで処分は停職か、うまくいって左遷だろうって言ってて…」

「……」




もう傷つかないで。
必ず見つけるから。




「ユノさん!」

「おい、ユノ!」


気付いたら動き出してた。検討もつかない場所へ向かって。でもここからは誰にも頼りたくない。
チャンミンが俺を見つけてくれたように、今度は俺からチャンミンを見つけたい。今日会えなくても。また何年経とうと。運命を信じる。

店のドアを開けると、ふいに風が。外は晴れて、雲も遥か彼方。今宵の満月はまさに黄金。王の色彩。コンクリートの地面だけが濡れて、雨の足跡を残してる。それは銀色の足跡。輝きで満たされた夜の導きに。
閃いた。


「テミン!」

「!はい!?」

「お前、人のプライドを捨ててでも妹を守りたかったんだよな?それって凄いな…」

「……褒められた方法では決してなかったんですけど。僕なりに、あの時は生きるために必死だったんです」

「そっか。でもチャンミンはな…?」


謎が解けるように。なぜチャンミンは始めからゲイの振りをしてたのか。なぜチャンミンは信用してるはずの従業員達を疑ったのか。邂逅。
自惚れを許されるなら。


「チャンミンは男としての暮らしも刑事としてのプライドも、とっくに捨てて俺に会いに来てくれたんだ。俺のチャンミン、めちゃくちゃ可愛くて格好いいだろ?」

「「「「「…」」」」」


一瞬の静けさ。の後に、爆笑と歓声。野太い黄色の後押し。足が自然に進んでいく。俺は笑ってる。きっと真っ赤だ。
すごく会いたくて。君に。


「「「ヒョンが初めてノロケたぁ~w!」」」

「ユノうざいっ。早く行けw!」

「え、ユノヤって…え…ほんと男と!?」

「そう!チャンミンを世界一愛してる!!!」


歓声は絶叫へ。キュヒョンさんも苦笑い。イトゥクの素っ頓狂な顔だけ浮いてる光景を最後に。








ただ前へ走り出した。













にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 二次BL小説へ
にほんブログ村
Fc2


50000ポチを踏んで頂いたmi※mi※yuu様へ

昔からトラシカ号に来て下さり、ありがとうございます。このような形でメッセージを頂き、本当に嬉しいです。スクショもわざわざありがとうございます!送って頂かなくとも、mi※mi※yuu様の申告のままで大丈夫です。(*^^*)

ご質問頂いた通り、リクエストがあればトラシカ号仕様にてユノとチャンミンの物語を作らせて頂きます。
制限は何もありません。細かい設定でも大まかなお話の流れでも、感じだけでも♪
教えて頂ければmi※mi※yuu様への感謝の気持ちとして精一杯考えさせて頂きます。

また、トラシカ号にアップが難しいと判断したものにつきましては後日メールアドレスなどお伺いして、そちらへ直接送る形にさせて頂く場合もございますので、その旨はご了承下さい。

時間の制限もありません。
どうぞお時間ある時に思い付きましたら、是非ご連絡下さい♪
メッセージを送って頂き、本当にありがとうございました!私も楽しみにのんびりお待ちしています。


りょう(ゆのっぽん)


スポンサーサイト

コメント

  • 2017/11/13 (Mon) 22:38
    No title

    50000ポチ、おめでとう!
    歴史だねえ・・・
    そして、ゆの、走って!!

  • 2017/11/18 (Sat) 01:41
    管理人のみ閲覧できます

    このコメントは管理人のみ閲覧できます

  • 2017/11/18 (Sat) 03:26

    わぁああー!よかったぁー!(ToT)そしてポスニちゃんだったのですね。警察・チャンミン ときたのに全く気付きませんでした!そうきたかぁー、ヤられた!今はもう木に登って風船に手を伸ばすポスニちゃんや、ユノに告白されてるポスニちゃんの姿しか浮かびません。パズルのピースが私の中でもはまったような感じ。

    あー、ユノ、早くチャンミンを見つけてあげて。そしてごめん、って謝って抱き締めてあげてー(ToT)

  • 2017/11/20 (Mon) 21:10
    管理人のみ閲覧できます

    このコメントは管理人のみ閲覧できます

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する