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【ホミンホ合同企画ミーアゲ】8月18日のハーモニー、運命の恋人か?なし崩し的彼氏か?~ chap.9~








チャンミンのことは、もう考えたくない   







チクタク、チクタク


時が迫る


携帯番号もメールアドレスも消した。
あいつが部屋に置いてた歯ブラシも着替えも、捨てた。悪いけど律儀に揃えてたスキンケア用品達と何冊かの分厚い本も。
送れば良かったんだろうけど、あっちの家には行ったことないから住所なんて知らない。
あいつの多忙さと気ままさに揉まれて、もともとの情報量が極端に少なかった。足のサイズや血液型も知らない。

だから。うん。

チャンミンに関するものは何もなくなったけど、俺の生活は何も変わらない。チャンミンがいなくなったからって困ることなんてない。まして、死ぬ訳でもないし。
日々はきちんと過ぎる。




チクタク、チクタク


記憶の秒針だけが巻き戻ってゆく





















「ユノヤ~っ、コーヒーくれ~」

「……。イトゥク!」


商店街でも懇意にしている花屋のイトゥクの笑顔が店に飛び込んできて、ボアさんとの約束をようやく思い出した。

そうだ、そうだ。忘れてた。
やっぱり女性には花だよな。


「悪いけど明日!!花束作ってくれ!」

「お♪毎度~。コーヒー飲みながらでいいなら、今から一緒にプラン練ろうか?」

「頼む!」


そうだ、そうだ。
俺にはこれから人生最高の晴れ舞台が控えていて。ドラマチックなサプライズで見事感動的な約束を果たし、ボアさんと恋人になる。そういう運命があるじゃないか。

アメリカーノを受け取ったイトゥクを急き立てるように席へ着かせると、単刀直入に話を切り出した。
早く、早く。運命を辿るだけでいい。


「誕生日プレゼントなんだけど、プロポーズに近い告白もするんだ。だからスペシャルな花束を作って欲しい!」

「おお~気合い入ってるねぇ!オッケー、任せて。花束に入れるメインの花はどうしようか?」

「そんなの何でもいいよ。とにかく豪華に頼む。そうだ!店の中も飾ってくれないか?閉店後ここでパーティーをして…スタッフ達にも報告できるし…うん、絶対そうしたい!」


店内をざっと見渡すだけでどこにでも花が生けられている、花畑のような装飾がいい。
幸いにも貸切りパーティー用に花瓶はいくつか倉庫に置いてる。数を確認するため席を立とうしたところで、イトゥクに肩を引かれて止められた。


「ちょっとちょっと!そんな特別な花束なのに、何でもいいって事はないでしょ?そんなんじゃあ、作る側の俺も困るよ。相手はどんな印象のコ?」

「……へ?」

「可愛らしいとか、凛として尊重できるとか。それとも癒される存在?」

「あー……、明るい人だよ。華やかだって、皆そう言ってくれるし」

「それは周りの評価でしょ?そうじゃなくてユノから見たイメージだって。ユノだけが感じるその人の雰囲気はどんなもの?何か特別なものがあるでしょ?それ参考にして作るから教えて?」

「……」


そう、ボアさんは特別。俺の運命の人だから。趣味も嗜好も合うし、一緒に居ると楽だ。

でも一体、俺にとってどんな人?

応えに躓(つまず)いて考えこんでしまう。眉間に皺が寄って困る。すると無意識に尖らせていたらしい唇を摘ままれて、イトゥクが助け船を出してくれた。


「そんな悩むことじゃないでしょw?うーん。じゃあさ、色は?何色の花が似合う人かな?」

「……よく、分からない」


でも、それも見えない。


「え?思いつかない!?少しも?」

「分からないんだ、本当……」


眩しくて、見えない。
運命の人だと認識した脳はすでに盲目してる。
ボアさんの顔も性格も雰囲気も色も。何も。
見えない。


「うーん、じゃあ…無難にピンク系で纏めようかなぁ……」

「…………チャンミンの色は、



「え?」

「ぃや…っ…」


覗きこんできたイトゥクに慌てて否定した。溢れそうになった言葉はもう俺の生活にも人生にも必要ない。だから飲み込むしかない。


「……」


チャンミンは、









すべて   




赤も青も紫も、黄色も黒も、緑はもちろん。
茶色や灰色、白さえも。
どのような色にも見えて趣がある。
何色も鮮やかに映えて美しい。






虹のような花


俺にとって






「……。とにかく……イトゥクのアレンジに任せる……。明日の夕方前には店いるから、花束と店の装飾、頼む……」


何考えてんだ、俺。
考えたくないのに、なんでやっぱり考えちゃうんだろう。あんな嘘つき。いっそ記憶を消し去りたいくらい。なのに。


「ユ、ユノ大丈夫?もしかしてあまり気が乗らない縁談でも引き受けたの?」


イトゥクが背中をさすってくれる優しい手で、自分でもギョッとするほど猫背になってることに気付いた。
猫背と言えばチャンミンの背中。でもチャンミンのそれは何だか、ちょこんとしてて、俺より長身なくせに儚げで愛らしかった。伸びをすればしなやかにうねって、扇情的。
背中ひとつの色さえ俺の中にちりばめられてる。

あの虹は、きっと一生ものの宝石。
痛いところを突かず、そっと心に畳んでさえいれば。きっと。


「……約束を守りたい。守らなきゃ…」

「ユノ……なんか、無理してない?」

「っ、じゃないと男じゃないだろ!」

「……」


ボアさんと共に歩んでいく中で、いつか思い出として懐かしめる日が来るんだろう。

きっと、そうなんだろう。














______8月18日、雨______






今日はディナータイムからの営業にした。
昼を過ぎた空は隅々まで雲が行き届いていて、一面どんよりとしている。雨が大盤振る舞いに路上を濡らして足元まで侵食した。今年の夏は雨が多い。
なのに出勤途中で鍵を家に置き忘れたことに気付いて、さらに重い溜め息がどっと出る。
ふと振り返って向こうの霞む遊園地を見下ろした。一番に目立つのは、鉄骨をぴったり編み込んだ赤い観覧車。
今日の夜8時、ボアさんを迎えに行く場所。
何とも言えない気持ちでただ突っ立って眺めていると、観覧車に被ってテミンが出勤してくるのが見えた。


「ユノヒョン、今日も宜しくお願いしますっ」

「おう、テミン。大雨なのに悪い、店の鍵忘れた」

「え、そうなんですか。あらら」

「ヒチョルがスペアキー持ってるから、あいつ来るまでちょっと待ってて」

「はい、分かりました」


2人で連れだって歩く。
テミンの髪色が昨日と変わっていて、似合うと褒めるとテミンは笑って照れた。そんな姿はかわいいと思うけど、恋愛対象になんて考えられない。男だから当然のことなんだけど、じゃあなんで今まで俺は……と、心の中の自問自答が始まりそうになって、またもや打ち消すようにテミンへ喋り掛け続けた。
考えたくない。考えたくない。
チャンミンのことなんて。
考えない。


「言ってた通り、俺は途中少し抜けるから店頼むな?それで閉店までには、テミンも前に言ってた…紹介したい人、ボアさん連れて戻ってくるから。閉め作業は俺がやるから皆もお祝いしてあげて?今日誕生日らしいんだ」

「……あの、僕は全然気にしてませんからね?チャンミンさんに疑われたこと。チャンミンさん、帰り際にこっちが申し訳なくなるくらい謝ってくれましたし。ユノヒョンに援助してもらうまで、妹の学費のためとはいえ散々窃盗してたのは僕の事実なんですから」


俺はボアさんの話をしてるのに、テミンはあいつのことばかり。先週あいつを追い返した雨の日から、ずっと。


「それは分かったから…。テミンを疑ったことだけで愛想つかした訳じゃないから……」

「警察のデータベースまで使ってユノヒョンに会いに来たんですよ?チャンミンさんなりのすがり方だったんじゃないですか?別れたくないって。それにユノヒョンだってまだ本当は好きなんで…」

「もういいから!!あいつゲイでも何でもないし!」


なのに、俺は

心をかっさらわれて。


「あいつは何が嘘で、何が本当か……」


俺だけだと思ってた。


「今さら別れたくないとか言われても何も信じられないんだよ…!!」


俺だけだと思ってたんだ。
過去に愛した女性が数え切れない程いたなんて想像もしてなかった。
とても耐えられない。吐き気がする。
こんなどす黒い感情、知らなくて。
自分が自分でなくなりそうで。
変貌してどんどん醜く壊れそうで。


「…っ、また、傷付きそうで……っ、、」




怖い




「……ユノヒョン…」


俺だけがチャンミンに触れて、俺だけがチャンミンの隣に居た。
そういうことにすればいい。
綺麗な所だけ、ぴったり蓋をして。


「……僕が人のプライドを捨ててでも妹を守りたかったように、チャンミンさんも何か事情があったんじゃないですか?」

「……っ、」


ああ、俺。我が儘だ。すごく。
じゃあ言葉や態度でもっとはっきり表してくれよ、だなんて。

皆は俺たちをお似合いだって煽ってくれてたけど、実際にはチャンミンから「好き」だとか「もっと一緒に居たい」だとか、いつもふざけて言ってくれた試しはなかった。
悔しくて俺も言わなかったし、言えなかった。あくまでも付き合う理由が『運命の人が男だった』時の練習だったんだから。言えなかった。
チャンミンはきっと女性に飽きて、ちょっと同性と遊んでみたかっただけ。

それが現実。
自分に都合の良い淡い期待は、余計。
後で傷付くだけ。


「嘘をつくのに何の事情があるって言うんだよ…。もう聞く勇気もない……情けないだろ?高校生に戻ったみたいに、怖いんだ。俺……」


感情が言うことを聞かない。
燃えるように激しくて。凄まじい。熱い。
苦しい。


「……そうですね。確か初恋って、そんな感じですよね。大人になっていつの間にか忘れてましたけど」


うん。まるで初恋みたい。
純粋に狂ってゆく。


「でも……っ、だったら…じゃあっ、尚更何でボアさんが急に出てくるんですか!?僕は最近のユノヒョンの方がおかしいと思いますけど!?」


まだ何か言いたげなテミンに背を向ければ、店の前でもお互い無言になってしまって、所在ない。
天候に関係なく人の出入りで賑わう斜め向かいの新しいパン屋や、霞んで朧気な遠くの遊園地、行き交う通行人の無表情な顔に代わる代わる視線を向けた。あまりの不明瞭さにヘッドライトを点けた車たちは渋滞を起こしてる。


「…あれ」


こんな日に、どこで貰って来たんだろう。

若い母親らしい女性の後ろから、小さな傘の中に赤い風船をふわふわと従えて歩いてくる子供がいた。よっぽど気に入っているのか、可愛らしい顔に擦り寄せるようにざんぶりの雨から守ってる。

妙な親近感。既視感。


「、」


俺はその風船を見たことがある。


「どこで……」


でも俺が覚えてる赤い風船はもっと遠くにあった。俺はずっとそれを見てたんだから間違いない。
そんな事をぼんやり思っていた俺の目に、豪雨の中から不意討ちのように強い照明光が突き刺さった。何台かの車が渋滞の列を抜けて迂回路を選択したらしい。次々と繰り出されるその光は車のヘッドライト達から当てられたもので、真正面からハイビームを食らった眼球に鈍い痛みが走る。辛い。眩しい。


「っ、」


真っ白。瞑った瞼の裏まで白い。キンと短い耳鳴りがなって、白いキャンバスの中に突如、映像が浮かんだ。


青空。そこはある快晴の日の遊園地。
股下には横切ってゆく男の子の頭。目の前には揺れる赤い風船。ちっちゃな手が開かれて、上ってゆく白い糸。






導かれた景色は、そう。








初めて天使に出会った空の下














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私用により、突如長いお休みを頂いてました。待って下さっていた方がもしいらっしゃったとしたら、本当にありがとうございます。これからもなかなか定期更新は難しいかもしれませんが、気ままにトラシカ号のユノとチャンミンを楽しんで頂ければ嬉しいです。トン愛だけは溢れ続けてますので!(今年の冬はコートなんていらねー!ツアーグッズのブルゾンを愛用します!ふお!←入金済、イエス!)
ホミンホ、万歳∩( ´∀`)∩

りょう(ゆのっぽん)

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  • 2017/10/17 (Tue) 18:35
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  • 2017/10/19 (Thu) 02:55
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  • 2017/10/20 (Fri) 20:29
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