【ホミンホ合同企画ミーアゲ】8月18日のハーモニー、運命の恋人か?なし崩し的彼氏か?~ chap.8~







腸が煮えくり返って正常な判断ができない。
別れてることなんてすっぽり忘れ去った。


(いや、俺のだから…!)


言うが早いか、男の肩に手をかけてチャンミンから引き剥がした。あわよくば俺とチャンミンの関係を察した上で態度を弁えてくれれば尚良い。そんな脅しも込めて。丁寧に、でもなるべく低い声で唸る。


「お客様、他のお客様のご迷惑になりますので……」

「ああ、すいません。チャンミナ、ほら、こっち座れよ♪」


でも男は俺の威嚇に全く動じない。大声を出したことにだけ注意されたと思ったのか、ぽんと謝って、今度はチャンミンの手を引っ張って自分達のテーブルにつかせようとする。


「あ……ちょっと、今日は…」


チャンミンは我に返ったようにハッとして俺と男の顔を見比べて困り切ってる。青ざめてる。
そんなチャンミンの決定的な表情を捉えて悲しくなった。

何なの、そいつ。
絶対過去に何かあっただろ、そいつと。

でも彼氏も経験も初めてのキスもチャンミンの全部は俺だから。

子供みたいに幼稚な闘争心が奮い立って、一人で勝手にはしゃぐ正体不明の男が許せない。


「いいじゃんっ♪せっかく会えたんだからコーヒーくらいつきあ…」

「お客様?…チャンミン嫌がってるだろうが。離せよ。てめー、誰だよ」

「は…え……?」


馴れ馴れしく強引に引く男の腕をはたいてチャンミンの盾になった。店の空気が凍りついてるのが分かる。BGMのハウスミュージックだけが踊っていて、男はぽかんと口を開けて静止した。


修羅場、の前の静けさ。
でも一歩も引く気はない。


「ユノ…!違う違う!こいつは僕の、幼なじみの大親友で…っ、キュヒョンって言う奴で!」

「…………はあ?」

「っ、キュヒョナっ。ここのオーナー、ユノ!すごく真面目な人だから何か勘違いしちゃったみたいだ…っ」


え、ちょっと待って。
全然理解できない。
背中をペシペシ叩いてくるチャンミンは真剣そのもので、それも理解できない。


「……あ、チャンミナの知り合いの方…?どうも……、キュヒョンと申します。。」

「……どうも。……ユノです。。すいません、はたいてしまって……」

「いえいえ、俺も騒がしいことしちゃって……何か凄い反応されたんでちょっとビックリしましたけど……」

「……」


親友??できるの、そんなこと。
チャンミンは心は女だから男を好きになる性質で、だけど男の親友なんて作れるものなのか?男女間の友情のようなもの?抱き締めあうほど仲の良い??それってどうなんだ?

思考回路がパンク寸前。

チャンミンの腕がぐいぐい俺の背中を押してバックヤードを目指してるのは、何か疚しいことがある証拠じゃないのか?


「キュヒョナっ、ちょっと…後で連絡するからさ!僕今日ユノに話があるから、とりあえずまた今度ゆっくり話そうぜ…っ」


親友って何でも打ち明けられる関係なんだよな?抱きあうくらいだもんな?幼なじみだし。じゃあなんで今チャンミンはオネエ言葉じゃないんだ?カミングアウトはしてない大親友、ってこと?それ、シンユウ??


「えええええ。話終わるまで待つからさぁ、近況報告とか教えろよーw。自慢の武勇伝はどれだけ更新してるんだ?w」

「…っ、ないないない…っw。キュヒョナ頼む、黙れえ…!」

「ぶっwww。うるせー、このプレイボーイがw」


苦笑いって、


ホント漫画みたいに冷や汗が出てるように見えるんだなって、チャンミンを見てて初めて実感した。




「……プレイボーイって、何?」




俺は何だか妙に気分が落ち着いて、そしたらチャンミンの押してくる力なんて何て事ないことに気付いて足を止め、優雅にさえ振り返れた。じっと2人の顔も見つめられたし、チャンミンの眉の下がり方って分かりやすくて可愛いよな、とか。そんなとこまで掬い取れた。


「ユノ…っ、僕本当に今日は話があって、でもすぐ戻らなきゃいけないから早…」

「お前もしかしてキュヒョンさんのこと好きだったの?」


ひとつひとつの疑問を、ひとつひとつ。
聞いてみるだけ。


「、はあ?そんな訳ないじゃん…。だから、キュヒュナは昔から幼なじみの…」

「カミングアウトはしてないの?ゲイだって」

「…………」

「武勇伝って、何か自慢できる話があったの?俺も聞きたいんだけど」

「…………」

「ごめん、ちょっとよく分からないんだけど。ゲイのプレイボーイってどういうこと?」

「……ゅ…っ…ユノ……あの……、」


チャンミンはひとつ答えて、その後はどこか痛みが走るんだろう。ぱきぱき顔を歪めて耐えてるから、答えられない。どこか痛いから喋れない。きっと、そうだ。
伏し目は今も輝いて綺麗なのに。もったいない。


「あの……っ、、」


温かさとか、優しさ。





今から全てが翻るなんて、もったいない。




「すいません、ユノさん…?さっきからチャンミナに俺のこと好きだったのかとかカミングアウトとか……貴方の方こそゲイなんじゃないですか?ぶっちゃけ狙ってるでしょ?チャンミナのこと」

「キュヒョナ!」


うん。ゲイは俺だな。
チャンミンが好きなんだから。


「ちょっと、チャンミナの名誉のために言っときますけど。こいつは綺麗な顔立ちしてますけど、女の子大好きエロ魔神なんで男が入る隙なんてないですからね?悪いんですけど諦めて下さい」

「黙れ!キュヒョナ!」

「お前も悪ぃーんだよ、面と向かって断りきらないから昔っから変な男に追いかけ回されて。大変だったじゃねーか」


ゲイは俺で、ノーマルはチャンミン……?

俺がチャンミンを追いかけてただけ?
俺がチャンミンをなし崩しに襲ってただけ?

なんかもうよく分からない。
よく分からないしよく見えない。


「あー……、モテすぎて逆に誰とも付き合ったことない…感じだったんだ。スゴいな、チャンミンは……」


男の矜持はなくなっても、チャンミンの全部は俺だから。これは最後の砦のようなもの、で……。


「あのー、話聞いてます?貴方がどんな夢を抱いてるか知りませんけど、チャンミナは普通に彼女もいましたし、普通に女の子と遊んでましたよ?人数が半端なくて笑えるくらい」

「、、、、」



嘘つき。













『初めて』だって、








言ってたのに。









「失礼します。こちらもユノの名誉のために言わせて頂きますが、見ず知らずの方にそのような言い方をされる筋合いはございません。お代はけっこうですので、どうぞお引き取り下さい」


ヒチョルが俺の前に現れて何か言ってくれてるけど、俺はもうどうでもよくなってた。
それより他のお客様を帰した方がいい。そう思って体の方向を変えるとチャンミンに腕を掴まれた。


「ユノ、キュヒョナのことごめん!昔からすごい心配性のやつで…、後でちゃんと言っとくからっ」

「嘘つき。ヤリチン野郎」

「……。言い訳はしないからこれだけ…伝えたいことがあって…っ、2人になりたいんだけど……」


無視してフロアを見ると客は誰一人いなかった。外を見るとガラス越しにテミンのお辞儀する後ろ姿が見えて、先回りして帰してくれたことに感謝した。キュヒョンさんの連れは大丈夫だったのか、申し訳ない。


「チャンミナ、行こ!」

「ユノ……あの、ごめんこんな所で言うことじゃないんだけど、え、と…っ、」


スラックスのポッケから濡れた紙を震えながら取り出して、目頭から涙を溢しながらあたふた折れた部分を広げるチャンミンが惨めったらしくて仕方ない。何をそんなに言いたいことがあるのか。早くキュヒョンさんと帰ればいいのに。


「30万ウォンなくなったっていうのが…気になってて……ぐ…ぐす…っ、ちょっと調べさせてもらったんだけど、、テ、テミン君に…過去に窃盗罪の前科があって…っ、もしかしたら、事情聞いた方がい、いいかも…」


力加減せず打った。チャンミンの頬を。
ぽとっと落ちた紙の端に、テミンの顔写真と指紋印のようなものが見えた。最低。テミンはあんなにチャンミンの事を見てくれてたのに。

俺も最低だけど、こいつも最低。でも最低同士でなかなかうまくいってたのかもしれない。

チャンミンは俺みたいにしゃがみこむ事はしなかったけど、あの時の感じた虚しさを、少しでもチャンミンに伝えられたらいいのに。

俺の話を信じてくれたことも。オネエ言葉も。ゲイも。初めても。



あれも嘘。



これも嘘。




全部、嘘。




嘘つきチャンミン



    





さようなら








「その件はすでに解決しました、テミンに話を聞く必要はありません。従業員を信じて頂けないのでしたら、もう二度とお越し頂かなくて結構です。今までありがとうございました」









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コメント

  • 2017/09/05 (Tue) 19:56
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  • 2017/09/05 (Tue) 20:50
    No title

    確かに今年は天候不順で雨、風つよく、雹もふるし雷おちるし日照時間短いし、葉物野菜も高騰してる、、、
    尋常でなく荒れていますが、
    台風一過を待つ。うん。待つ。

  • 2017/09/05 (Tue) 21:37
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  • 2017/09/06 (Wed) 10:12
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  • 2017/09/16 (Sat) 10:03
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  • 2017/09/20 (Wed) 00:59
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