【ホミンホ合同企画ミーアゲ】8月18日のハーモニー、運命の恋人か?なし崩し的彼氏か?~ chap.7~








ボアさんは毎日店に通ってきてくれるようになった。まるで遊園地に通い詰めてた時の俺みたいに。当時の温度差を埋めてくれようとしてるみたいに。


「こんにちわっ。また来ちゃいましたっw」

「ははっ、ありがとうございます。いつもので宜しいですか?」

「はい♪いつものアイスチョコで。いいですね、なんか『いつもの』って。常連になれたみたいで」

「ボアさんはもううちの常連さんですよw」

「わあ、嬉しいです!」


華やかで陽気。現在ダンススクールに勤めているという彼女は、きっと人気のある講師なんだろうなと容易に推測できた。
悪い人じゃない。
それが目に見えて分かるような人だから、毎日挨拶してくる彼女に、他のスタッフ達も困惑してるようだった。いつか来るかもしれないチャンミンに遠慮して、という感じ。
もう来ないのに。
でもヒチョルの文句には思わず笑った。


「いかにも悪役みたいな女だったら良かったのに。そしたら気持ち良くユノを罵れた」


さすが…………俺の運命の人だろ……?


チャンミンは『運命』を貶(けな)したけど、俺は説明できない巡り合わせに憧れる。
何か神秘的な、逆らえない、引力を信じたい。

足取りは重くても、



俺たちは進んでいく。
距離は近付いていく。




チャンミンの予定に合わせて取る休み以外で店をヒチョル達に任せたのは久しぶり。


「ユノさん、ごめんなさい!待った?」

「いえ全然。俺も今来ましたよ」

「良かった♪どうしましょうか?映画でも観に行きます?」

「えっと、どうしようかな……あ、体動かすのは好きですか?遊ぶ系の」


映画はなんか嫌だった。
なんか。仕方ない。


「うん、私も遊びたいですっ。せーのでお互いやりたいスポーツ言ってみません?」

「はいw」

「せーのっ、」

「「ボーリング」」


ボアさんの溌剌とした大振りなガッツポーズが面白くて笑える。


「マジかw」

「あははっ☆すごい合ってるw!行きましょ行きましょ!」


デートコースの趣味が同じで驚く。スポーティーな印象で職業柄、運動神経も良さそうだなと思っていたら本当に良くてさらにビックリ。

レーンの向こうに並ぶピンが全て吸い込まれていく。


「マジか…!」

「いえーい!またまたストラーイク☆今のところ私の勝ちですよ~っ」

「……いやいや、ちょっと待って?これから本当の俺の実力を見せますからっ」

「あははっ。じゃあ早く見せて見せてw」


時たま深夜に連れて来る店のどのメンバーよりも高い数字を叩き上げるボアさんのスコアに勝負魂の火がついて面白い。汗を掻くほどボーリングに没頭して。最後のゲームなんて真剣になりすぎて無言で投げてた。正直、相手が誰かも忘れてた。


「ユノさん、強いですねー!」

「あ……本気でやりましたから、負けたら勝つまでお願いしてたかもw」

「あははははっ!」


場所を移して、俺の入ってみたかったカフェでもボアさんはよく笑った。「私もここ来たかったの、知ってたんですか?」って笑い涙を拭きながら。明るくて、いい人。

入った店は街の中心部に新しく建てられたビルの一階にあって、広さを贅沢に活用したスペースが落ち着ける。壁や置いてあるオブジェが淡い色で統一されているのも女性受けしそうで、雑誌で以前取り上げられていた事にも頷けた。


「ユノさんはカフェの勉強のために来たかったの?」

「まあw、それも兼ねて。どういうメニュー出してるのかなぁとか。こういうインテリアにしてるんだなぁとか。気になってたんです、ここの店」

「勉強熱心なんですね。ずっと目が私の方より店内に向いてますもんw」

「ははっ、ありがとうございますw」

「あんまり褒めてはいないんですけどねw」

「?、はい?」

「www。ユノさんって、集中し始めたらそれしか見えなくなるタイプですよね」

「あ、それは自分でも思ってますw」


メニューを選んでもやっぱり二人とも同じものをオーダーして、笑った。
趣味があう。
気の置けない親しみがある。

ボアさんの話に相槌を打ちながらまた店の装いに気を取られていると、内容はいつの間にか核心に迫っていた。


「実は親の急な転勤について行って、都心に戻ってきたのは最近なんです。散歩で入ったカフェで偶然ユノさんを見かけて驚きました」

「そうだったんですね……」


だから来れなかったのか。
あの日の待ちぼうけに合点がいった。

でも、存在する偶然。
きっと、これが……。


「かといって会った時から何年も経ってるし、あの時は私パフォーマーで、ずっとユノさんの所に留まる訳にはいけないし…。もちろん来園者の方と私的な話なんてしちゃいけないから…。私のこと覚えてないよねって思ってたので。覚えててくれて本当嬉しいです、私」

「そんなことないです。ずっと覚えてました。俺は、本当に……っ、」


感動的な再会場面なのに、チャンミンの見下すような顔が浮かんで言葉が詰まる。
困って目線をさ迷わせると、彼女がバックに付けているキーホルダーで目が止まった。


息も止まるかと思った。


「……」

「ん?あははっ。カワイイですよね、このくま♪ユノさん、目の付け所がいい!これ、シリーズ化してて。このキーホルダーだけじゃなくて他のグッズもあるんですよ、もちろん…」

「ぬいぐるみも。知ってますよ……だってそれは、もともと俺が好きなくまを…」


あの子にプレゼントした。くま。


「だから私も好きになったんですよ」

「え」




やっぱり




「運命ですよね、私達」



やっぱり


そうなんだ




ボアさんが、俺の運命の   



「なーんてっ。恥ずかしいこと言ってすいませんw。私、けっこうサバサバしてるんですけど、ちょっとロマンチックな感じも好きでw」

「いえっ、そんなこと……。俺もですよ。サプライズとか好きですし」

「そうなの!?私、来週誕生日なんですっ。18日!」

「8月18日……」


それで18日だったのか。
誕生日の約束は、ロマンチックこの上ない。
点と点は繋がった。
心は何故かドン底に重いけど、あの時ボアさんがくれたメモは一生忘れない。

交わした約束は、


「うん、そう。ユノさんに、その日お祝いしてもらいたいです……。そこで、、できれば…っ、」




【そしてできたら、恋人になって】




「国立遊園地の観覧車の前で……。20時に?」

「!約束ですよ♪」








俺たちは、恋人になる











さあ、8月18日は、どんな告白をしよう。

ランチとディナーの間のアイドルタイムに陥って、今日のうちの店内には男性3人グループとカップルの2組しかいない。
当日まであまり時間がないから、手隙の内にアイデアを練らないと間に合わない。


「大丈夫ですか、葬式みたいな顔してますけど」

「テミン……。お前、言ってくれるなああ?俺は今すごいウキウキする事考えてたんだぞっw」

「またあw、今日は大雨でお客さんが少ないから落ち込んでたんでしょ?そんなユノヒョンにいい報告を持って来たんですけど」

「お、何?」

「見つかりました。30万ウォンの納品書、ちゃんと束の中にありましたよ。張り付いてて確かに見落としやすい具合でしたけど」

「!マジか!あ~、ありがとうっ。助かったぁ~」


差し出された紙を受け取って確認すると、夏の時期に調整して追加発注したビール瓶数種類の品名と30万ウォンぴったりの額が記入されていて、やっと胸を撫で下ろせた。たった数十万ウォンかもしれないけれど、経営者にとって会計の誤差は死活問題。下手をすれば従業員の信頼問題にも関わってくる。


「僕、あの人好きですよ。最近毎日来てユノヒョンと話してる女の方。明るいし」

「おう、そうか……」


突然ボアさんのことをふられて、手から納品書を滑らせてしまった。でも少しおっちょこちょいな俺を、テミンは笑わず黙って拾い上げてくれた。
それと一緒に、輪ゴムで留められた、うちのロゴ入りナプキンの紙束も。


「毎日来店してユノヒョンにも僕らにもアピールしてる彼女のガッツは凄いと思います。でも、僕達はですね」



紙にはボールペンで書かれたメッセージが乗ってる。


テミン君。
今日のカクテルは……ごめん!(笑)ちょっと味がバラバラな感じ…?でも前のオリジナルはホント最高だったよ。
今日もごちそうさまでした。






捲って下のナプキンを見れば、また別のメッセージ。


ヒチョルさん。
このピザ、美味しい!男女問わず食べれます!絶対定番メニューにした方がいい!
ごちそうさまでした。






どのナプキンも一度半分に折り畳まれた跡が残ってる。


ミノ君。
今日のワイン、ちゃんとデキャンタした方がもっと美味しく飲めるよ。忙しいだろうけどファイティン!
ごちそうさまでした。






お客が直接従業員の誰かに手渡す姿なんて見たことない。
こちらが気付かなければ、そのまま捨てられていくだけだった差出名なきメッセージ達。


シウミン君。
新しいドイツビール、コクがあるのにスッキリして飲みやすい!見たことないラベルだし珍しいから、この夏人気出そうだね♪
ごちそうさまでした。









「いつも食器の下に隠すように置いてくれてたんです。チャンミンさんの、こうやって静かに、素直な感想教えてくれたりする所……好きだったんです。だから皆こぞってオリジナルの料理やカクテルとか、新しく仕入れた飲みもの試してもらったりしてw」

「よく気付いたな……俺、全然……」

「僕手癖悪かったから、そういう所だけは鼻が効くっていうかw」

「もういいって……はは……」

「お手洗いに行きがてら他人が床に落とした紙屑をそっと拾って持ち去ってくれたり、僕らさえ気にも止めないお店の飾りの傾きをちょこちょこ直してくれてたり…そんなの誰も気付かないのに、」

「……」


チャンミンには、








普段可愛い子ぶってるくせに
そういう小さな温かさがあって










すごく似てる気がしてた。





8月18日に出逢ったチャンミン




運命の人がチャンミンって、

言っちゃっていいんじゃないかって


少し疑ったこともある。
期待した。



でも去年まで、チャンミンは地方の所轄に配属されていたと言ってた。あんなに忙しい刑事が都心部の遊園地で働ける訳がない。
チャンミンはあの子じゃない。


「ユノヒョンのことちらちら見てるくせに、目が合いそうになると逸らしちゃって本読んでる振りしたり。年上だけど可愛い人だなぁって。ユノヒョンのこと、本当に大好きなんだなぁって。そんなの見てたら、ゲイの人だろうが何だろうが、応援したくなっちゃいますよ」


「、、っ、ゃ、……っ、」






ウンメイナンカニシガミツイテ





本当に大切な人を







見落としてないか?俺









「ユ、ユノヒョン…!」

「え」

「チャンミンさん来た…来た…!!」


肩をグラグラ揺さぶられてテミンの指差す扉を見る。傘を閉じて湿った髪を掻き上げる来店者。両肩は濡れてカッターシャツは透けてる。確かに。


「チャンミン……」


チャンミンだった。
二度と来ないと思ってたチャンミン。


「あの、ちょっと話があるんだけど……今、大丈夫……?」




おずおず歩いて見上げてくる瞳をもう堪らなく抱き締めたくて。



店なのに他の人もいるのに気にならなくて。




怯まず動き出した足は
カウンターから抜けて。





俺は不覚にもちょっと泣いてた。






「チャンミナ!!!」





でもチャンミンを抱き締めたのは俺じゃなかった。今まですぐそこの席で談笑してた、3人グループの内の一人の男性が俺の目の前でチャンミンを正面から包み込んでる。


「会いたかった、チャンミナ…!」


茫然。俺は。
首だけ回して振り向いてみたテミンも。茫然。何事かとキッチンから出てきたヒチョルも。みんな。

抱きつかれた男の顔をチャンミンだけが知ってるようだった。


「ウソ…っ、久しぶり……っ、、」

「お前こっちいるなら連絡くらいしろよ!」

「ごめ…、、でも会いたかった…!」

「俺も……っ、」


抱き締めあう二人は。




「……ぁぁ、」



ああ、


まさに


 







これぞ感動の再会って感じ。


「元気にしてた……?」


切なげにそう言って相手の顔を見つめ返すチャンミンに、俺は   
















その男は誰?




チャンミン










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コメント

  • 2017/09/04 (Mon) 20:56
    No title

    なになになになに?
    なんか飛び込んできたぞ?
    さあ、ユノ、どうする?

  • 2017/09/04 (Mon) 23:00
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  • 2017/09/05 (Tue) 09:05
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