【ホミンホ合同企画ミーアゲ】8月18日のハーモニー、運命の恋人か?なし崩し的彼氏か?~ chap.5~








彼女のことが、頭から離れない。


いつシウミンに呼ばれて、いつテラスを離れたのか。いつキッチンのヘルプに入って、いつ調理ミスでヒチョルと揉めたのか。いつホールで客を見送って、いつ店を閉めたのか。


「ほら、チャンミンから」

「え」


ヒチョルが差し出してきた紙製の箱にはトンカツで有名な店名が印字されている。
それはチャンミンからの差し入れだ、と分かったところで我に返った。


「ぁ……」

「遅い晩飯だけど。冷蔵してたから揚げ直してくる」

「……いや、いい。俺このまま食べる…」


ぼんやりした半日を過ごして、尚且つ地に足ついてない。冷たい食事の方が落ち着いて喉に通せる気がした。

照明をほとんど落とした店内でラジオの有線だけがガンガン流れて目立ってる。冷めても美味しいはずのトンカツは、どこにも味を見つけられない。弁当を頬張りながら目線が向かうのは、月光に晒されたテラス席。


「……ヒチョル」

「んー?」

「今日、奇跡が起きた」

「マジか、おめでとう。いくら当たったの?宝くじ」

「いや、冗談抜きで…。あの子が現れた、あの……着ぐるみのコ」

「嘘だろ。噂をすれば~なんてコトワザじゃないんだから」

「本当に。働いてたって。その子言ってた」

「…ふーん。まあ良かったじゃん。ユノにとっては淡い恋の思い出なんだろ」

「……」

「実際会うとそんなうまく好きになんてなれないだろ?」

「それが……何回かうちの店に来てくれてた人で。今までは何も感じなかったのに、あの時のコなんだって分かった瞬間、頭真っ白になって。今日はもう、そのコのことしか考えられなかった」

「ユノ……」


ピタリと、ヒチョルの箸を動かす手が止まって。それからご飯の上部をただ弄って遊ぶだけになってしまったのは、たぶんそれが、チャンミンからの差し入れだったから。


「……証拠でもあんの?ちゃんとお互い顔を突きあわせて、ちゃんとお互いのこと確認したのか?」

「用があるからって今日は挨拶だけして、だからまだちゃんとは話せてないけど…。また近い内に来てくれるって言ってたから、これからゆっくり会っ…」

「ああ!トンカツ美味いなあ~!まかない作らなくて楽だったし、ホントに今日は助かったぁ~チャンミンのおかげでっ!!!」

「……」


チャンミンのおかげ、を強調した後、凄まじい勢いでまた豪華弁当を漁りだしたヒチョルを横目に。


「……そうだな。チャンミンのおかげだな……」


そう言うしかない。
でもチャンミンにはどう言おう?


運命の人に会えたから

会えたから……もう、チャンミンとは……

 


















「わっ☆」

「ぎぇあああっ!!!」

「ぷ♪ユノ、驚き過ぎじゃな~い?w」

「っ、お前がっ、驚かすからだろっ!朝っぱらからやるなよ、うるさいって苦情きたらどうするんだよっ」

「でゅふふふふふ♡」


朝。出勤しようと玄関の扉を押した途端、数日ぶりのチャンミンが飛び込んできた。俺にくっついていかにも可笑しそうに笑ってるけど、いつも処理してる髭はちょっぴり伸びてて、いつも清潔にしてる服もくたびれてる。
胸がぎゅっとなる。


「ああ、ナデナデ癒されるわぁ♪一時帰宅出たの。やっぱりこっち来て正解だったわぁ~♪」

「あ…っ、……お疲れ様…」

「……ユノ?」


言われて初めてチャンミンの頭を撫でている自分に気付いて、思わずあからさまにその手を引いてしまった。チャンミンは案の定、不思議そうに首を傾げてる。


「そういえば…っ、……この前は差し入れありがとな?皆喜んでた」

「……。ううん、近くを通ったからたまたまね。ね、ユノこれから仕事でしょ?夕方までベッド借りるわね♪鍵貸してくれる?使ったらお店まで届けに行くから待っててえ♡」

「いや、あの…っ…」


期限がきた。この関係は終わり。
運命の人と出逢った。

けど、

チャンミンにはこのまま黙って今まで通り付き合えたら   ふいに掠めた自分の我が儘が憎い。
誠実ぶりたい厭らしさは矛盾しか生まないのに。


「っ、ちょっと、最近店で30万ウォン紛失してな?管理能力に欠けてるなぁ、なんて反省して…。だから、しばらく家の鍵も店の鍵も自分で持つよう決めたから…悪いけど今日は貸してやれない…」

「え、窃盗の疑いがあるの?」

「!違う違う!ただどっかに俺が置き忘れてるだけなんだけどっ。一応、その可能性を潰すために鍵を……。な?」

「何それ。お店と部屋の鍵とでは全く違うじゃん。意味が分からないんだけど」

「……」


困り果てた。自分でも呆れる。情けない。決めかねてる。今さら。この期に及んで。

チャンミンにボアさんのことを言いづらい。だけどボアさんのためにも、もうチャンミンは部屋にあげちゃいけない。

約束したんだ
あの時、恋人になるって


「…っ、、」


だから   
でも   


何が言いたいのか。
言葉が出てこない。


「……ま、いいや。じゃあまた来よおっと♪」


何かは言わなきゃいけない。
ドアをすり抜けるように外へ出て行くチャンミンを追うと、その背中へ呼び掛けた。よれた襟首が見える。
直してあげたい。もう触れちゃいけない。


「チャンミン!」

「何?」


振り向かない背中。
勘がいいのは刑事だからか。女性の性質を持ち合わせている男だからか。



なし崩しにここまで来たけど、ちょっとは好きだったよ。お前のこと。


「見つかった。俺の運命の人……」






ウソ。






ちょっとどころじゃない





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コメント

  • 2017/08/31 (Thu) 09:21
    No title

    がるるるるるるーーーーーー
    唸り声しかでないぞ。

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