【ホミンホ合同企画ミーアゲ】8月18日のハーモニー、運命の恋人か?なし崩し的彼氏か?~ chap.2~







年に一度だけ、泥酔する日ができた

それが8月18日



朝一番に国立遊園地に入場して、夜の閉園時間まで観覧車の前のベンチに座る。(今日こそ会えるかもしれない)、そんな期待で胸いっぱいの14時間を過ごす。
でも待ち人は毎年来ない。
園を閉め出された後にはどうしようもないやるせなさがこみ上げてきて、一人居酒屋に入ってしまう。



チャンミンに出会ったのは、
そんな去年の夏の夜


気付いたらカウンターに座る俺の傍で、俺をじろじろ見て笑ってた。
にっこりと。毅然として。
綺麗とか、そんな日常的な言葉じゃない。

美しかった。


「お兄さん、格好いいですね」

「……どうも」

「一人で飲んでたんですけど、ちょっと女の子に絡まれちゃって困ってるんです。隣、いいですか?」

「はあ……どうぞ…」


確かにこんな顔立ちしてたら女の子が押し寄せてもおかしくないよな、なんて考えながら荷物を置いてた隣の席を空けて、また悲しみの世界に浸ろうとしてたのに隣の男がそれを許してくれなかった。


「お兄さん、ペース早いですね。僕もけっこう飲む方なんですけど。普段からけっこう飲むんですか?」

「いえ、普段は飲まないです……」

「へえ。それにしても格好いいなあ、お兄さん」

「はは……ありがとうございます」


褒められると嬉しくて、ついチャンミンと話し出すことになってしまった。


それが俺の悲劇の始まり。。。涙

話してるとだんだんおかしいなとは思い始めてたんだ。つきあってる人はいるのか、とか。今までどんな相手とつきあってきたのか、とか。不躾に。
そしてとにかく「格好いい」を俺に連発してくる美しい男。


「そんな……貴方だって格好いいですよ。女の子にすごくモテるでしょ」

「あー、それですごく困ってるんです。僕ゲイだから」

「、、、ぁ、そぅ、なんですか、、」


偏見がない、と言えば嘘になる。
もちろん愛は自由だし、同性愛とかテレビで言葉くらいは聞いたことある。
だけど俺の周りにそういう人種はいない。
目の前に遭遇してる男を、思わず水槽の熱帯魚のように観察してしまった。
そんな俺に気付かないで男は流暢に話を続ける。


「本当に悩んでて。いつも女性ばかりに囲まれて……実は男の人と付き合ったことも経験もないんです」

「ぁ、そです、か……」


アルコールにふらふらしながらも男の開けっ広げな告白に冷や汗が出る。でもちょっと可哀想かな、とも思う。
好いて好かれて、あの幸福感は一人じゃ経験できないから。


「だからゲイって言っても誰も信じてくれないんです。彼氏ができたらちょっとは周りも静かになると思うんですけどね」

「……頑張って下さい。貴方なら格好いいし綺麗だし、すぐにできますよ」

「はい……ああ、本っ当に面倒くさい!ねえ、お兄さんが付き合ってくれません?本当に困ってるんです。フリだけでもいいんで」

「は!?いや、俺は…っ」


ゲイじゃないし。そう言いたいんだけど、きゅーんと音が聞こえそうなほど眉を垂らされてばっさり断れない。
だから思わず本音が漏れた。


「ずっと探してるコがいるんで……。その、すいません。。」

「あ、そうなんですか?なんだ、もう好きな方いらっしゃるんですね。さっきまでそんな話されてなかったんで、お願いできるかもと思っちゃったじゃないですかw」

「すいません、その、、普通じゃないっていうか……話した親友にも本気で心配されるくらい変な恋で……言いたくても相手の反応が怖くてほとんど言ってことない恋なんです、、」

「良かったら聞いてもいいですか?ほら、僕もゲイでしょ。全然普通じゃないんで、友達にもよく頭おかしいとかも言われますし。だから逆にその手の話はフツウに聞けますw」

「……」


偏見とか、きっといっぱい苦労してきただろうに。間髪入れずに自分のことを笑い話に変えて、「話した分だけすっきりしますよ」って慰めてくれる。

すごく優しい人間なんだな、この人は。
本気で心からそう思った。


「実は……、、ゆ、遊園地で……友達と遊びに行った時、、マスコットの着ぐるみ着た人を好きになってしまって……数年前の今日、8月18日、……顔も見えない人と恋人になろうって、約束をしたんです……」




それがチャンミンに、俺の運命の恋人のことを話したきっかけ。

今まで溜まりに溜まってたものを吐き出すように、洗い晒いチャンミンに喋った。
決してそのマスコットに恋したわけじゃないこと。
中に入ってる、その人の行動から感じ取れる優しさとか温かさとかがいいなあと思って。もっと見たくて遊園地に通いだして。もっと会いたいなあと思って気付いたら好きでどうしようもなくなってたこと。


「ちょっと待って下さい?木に引っ掛かった風船を取ってあげてたんですか?着ぐるみのままで?」

「そう!絶対暑いし大変だろ?なのに男の子のためにって一生懸命もこもこの分厚い手を伸ばしてさ、、ああ~可愛いっ!すごいいい子、本当に!はあ、大好きっ」

「いやいや新しい風船をあげる方が楽だし、その男の子も喜んだでしょ。ちょっと頭が悪いんですかね、その人w」

「いいじゃん!なんか純粋な感じで!それにな?誰も見てない、木陰の下とかのゴミをそっと拾ったり、壊れそうな鳥の巣に気付いて添え木をあててたり…誰も見てないんだぞ?すごくない!?」

「遊園地を汚されたくない潔癖性だったとかw」

「違うわ!w」


チャンミンは聞いてるだけじゃなく、どんどん質問してきてくれてた。
それが嬉しかった。
好きじゃない酒が初めて美味しいと感じる。


「何のマスコットの着ぐるみ着てたんですか?スタッフの人に聞けば誰が入ってたか教えてくれるんじゃないですか?」

「それがマスコット自体には興味がなくてぼやんとしか捉えてなかったんだ…。まさか次の日から綺麗さっぱりいなくなるなんて考えてもみなかったから、キャラクター名も気にしてなくてさ。目の大きい女の子のイラストみたいな着ぐるみで。清楚な衣装?服着てるマスコット。帽子は…ついてたかも。でも他の着ぐるみよりシックな感じだった気がする、色とか」

「ちょっとその特徴だけで特定するのは難しいかもしれないですね……。あそこの国立遊園地、いろんなイベント重複して年中やってますし。他の地方や企業から借り出される着ぐるみとかもウジャウジャいるから」

「そうだよな……。約束、したんだけどな……」

「何で来なかったんですかね……」

「さあ……。来てくれたら、絶対見つける自信があるから。俺がその子に気付かなかったって事はないと思うんだけど」

「ですよね。ユノさん、すごい直感とかありそうですし」

「……。いいやっ、別にw。チャンミンがたくさん聞いてくれて本当にすっきりしてきた!飲も飲もっ、今日は俺の奢り!」


話は尽きないからチャンミンを離したくなくて。朝まで飲んで語り明かして、最高に癒された。





ただチャンミンは宣言通り、

本当に頭がおかしかった。





「うん。じゃあ、それまででいいです」

「へえ?何が?w」

「だからその子が見つかるまで。それまででいいんで僕と付き合って下さいよ」

「……は、いや、だから。。」


それまで猛烈な彼女への愛情を示し続けてたのに、何だか全然聞いてなかったかのような素知らぬ口振りで提案されてこられて少し腹が立つ。


「これからも俺は誰とも付き合う気ないから、その子以外」

「絶対好きになる自信があるんですよね?その子の外見がどんな風でも」

「うん。外見を好きになったわけじゃないからって、それは彼女にもずっと伝えてた」

「じゃあもし再会した時、少しでもユノさんが怯んだ姿を見たら、その子すごく傷付くと思いますよ」

「大丈夫。絶対ない」

「太ってても?痩せてても?」

「うん」

「事故か何かで酷い傷跡があっても?」

「うん」

「重い病気があっても?」

「うん」


「男でも?」






「……。ん?…。は!!?」

「だって。姿形も声も分からないんでしょ?」

「いや、でも女の子のキャラクターの着ぐるみ被ってたし…っ、それはな…」

「着ぐるみなんて顔隠れるんだから男も女も関係ないじゃないですか。どうするんですか、その運命感じた子が男性だったら。さすがに怯むんじゃないですか?さっき僕がゲイだって分かった時みたいに」

「…………」


考えてもみなかった爆弾が突然土砂降りとなって頭の底を沈めていって爆発した。辺りが見えない。思考は動けない。なのに(あ、やっぱりチャンミンさっき俺の反応気付いてたんだ…)とか片隅では申し訳なくなったり。
冷静になれないのに冷静を装おうとする俺は、滑稽以外の何者でもない。


「も、もし本当に男だったとしても……時間をかければ、大丈夫、だと思う……。ちゃんと愛せると思う。から、だも……体も、うん、時間をかけて……っ。ど、どうしてもその子のことは、諦めたくない。。好きになったって返事をしてくれた分、俺はその子を絶対……受け止めたい……」


動揺しまくってるのにこんなその場しのぎの決意表明をゲイの前でして、正直チャンミンには鼻で笑われても仕方ないと思った。
せっかく素敵な友達と巡り会えたのに俺の心ない発言で不快な気持ちにさせて、チャンミンとはこれでもうおしまいだろう。
その結論が心に一番冷たくて暗い深淵に落ちた。


「だからぁ~、僕で免疫つけとけばいいじゃないですかっ」

「……え…?」


だけど、そうはならなかった。
むしろ、


「もしその子が男だったとしても、僕と付き合ってゲイへの偏見なくしとけば、その子のこと1ミリも傷つけずに感動の再会ができますよ」

「……」




そうかもしれないと、思ってしまった。




「僕も、彼氏がフリでも何でも欲しいところですし。どうですか?僕外見は自分でもいいなと思うんですけど。僕を連れて歩くの、恥ずかしいですか?どうせ男でももっと小さくて細くて…女の子みたいな男がいいですか?」

「いや、え、それはない」


たぶん、いや間違いなく。
改めてじっと見ても、やっぱり。

チャンミンは、俺が今まで出会った中で男女関係なしに最も美しい顔立ち。
特に目がいいと思った。
ぱっちり二重の大きな瞳は鹿のような清廉さと女性のような可愛いらしさが放たれていて、まさに輝きが止まらない。


「あ、でも見つかるまでは可愛い女の子と付き合えますよね」

「いや、だから。他の女の子となんて余計付き合う気には……」

「じゃあ僕と付き合っといた方が明らかに得ですよ。誰とも付き合わない、運命の人と再会、男かもしれない。チャンミンと付き合っとく、運命の人と再会、男でも始めから愛せる。ね?」


腕を上下に上げて空に描かれたバロメーターはチャンミンの言うとおり明らかに後者の選択が上に上がっていて。
今考えると本当騙されてるだけの指標だったのに、『チャンミンはいい奴』ってすでにその時は頭にインプットされてしまっていて。


「一緒に遊びに行ったり。家に泊まったりしても友達感覚で過ごしたり。まあ、手を繋いだりとか。ね、このくらいでも無理そうですか?」


そして俺は、押しに弱い。非常に。
今までの歴代彼女は全員押されまくって付き合った。
自分から口説いたりプレゼントしたりして押したのは、あの運命の子だけ。


「無理じゃ、なそう、だけど…」

「あ、本当!?わあ、良かった♪そうやって僕と少しずつ試していけばいいでしょ?でもユノさん恰好いいし。僕なんかじゃ釣り合わないだろうけど、どうかこれから宜しくお願いしますっ」

「いやいやいやいや…、それはないだろ、……チャンミンのがいい顔してるよ」

「ええ?嬉しい~♪でもその子が見つかったら僕すぐ消えますし。迷惑はかけませんから。とりあえずこのままユノさんの家行って色々ルールとか決めましょうか。ね?ここから近いです?ユノさん家」

「え、近いけど俺ん家汚い…」

「いいですよ、別にw」


いつの間にやら。いつの間にやら。
ホントいつの間にやら付き合うことになってしまって。


















   今に至る。。涙


「あははっ。この前片付けてあげたのにもう汚いw」

「仕方ないのっ。店が忙しかったっ」

「ま。別に気にしないけど♪」


鼻歌を奏でながら当たり前のように俺のベッドへ向かうこいつがムカつく。それを当たり前のように望んでる自分にムカつく。

何で。よりによって。



外見を選んでしまった

男を選んでしまった


運命の恋人に会えるまでならいいかなって





それなら許されるかなって





「……明日、休みだよな?」

「そおよ~♪何回するぅ?」

「映画行こっか。今日、行けなかったから」

「……うん。……ありがとう」


初めて出逢ったあの日、チャンミンはそのままうちに来て、そして俺たちはそのままセックスした。


『初めてシちゃった……。嬉しい……』

『俺も初めてだよ。……男とは……』



男とできてしまった俺

初体験を喪失したチャンミン



退路は絶たれた。
ドツボに嵌まった。チャンミンに。


「でも今は気持ちよくなりたい…」

「俺も」




だから、



仕方がないから付き合ってる。
仕方がないから付き合ってる。



そう、






仕方がないから









にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 二次BL小説へ
にほんブログ村
Fc2


スポンサーサイト

コメント

  • 2017/08/19 (Sat) 22:50
    No title

    早く見つけてあげて〜

  • 2017/08/22 (Tue) 23:25
    管理人のみ閲覧できます

    このコメントは管理人のみ閲覧できます

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する