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片割れ chap.11 #22

(注意)性事情的表現ございます。気分を害する可能性がございます。ご注意下さい。












______Y.side______






夢を見た



俺がチャンミンのことを好きになる夢。


まずその設定からしてあり得ない。
チャンミン男だし。いやその前にずっと一緒に暮らしてきたメンバーだし。

おかしい、おかしい。絶対おかしいから。

本当に気持ち悪い内容なんだけど、夢の中で俺は好きだと閃いた途端チャンミンに告白して、俺たちの物語が始まってしまう。

ないないないない。ないから、本当。

なのにそこからもっとあり得ないことに、チャンミンが戸惑いながらも俺と付き合ってくれたっていう……何を考えてるんだ、俺は。
チャンミンにも合わせる顔がない。

欲求不満だったんだ、きっと。
チャンミンは綺麗な顔してるし、ずっと近くにいるし。そういう妄想を抱きやすかったのかもしれない。だからって許されることじゃないけど。

チャンミンのことはもちろんすごく大事だけど弟として守りたいだけで、好きにはならない。



抱き合ったぬくもりも

はしゃいで笑い合った思い出も

寄り添って眺めた瞳も


覚えてるけど現実じゃない。



記憶と夢の区別は難しい。
記憶は証明できない。あれは現実じゃない。


あれは幻だ
























だから夢を見た、









そういう呪文を




自分にかけた。























 



 

______C.side______






湿らせたバスタオルでユノの身体を隈無く綺麗にしてもユノは起きない。
どうしようか逡巡していると久しぶりの予兆が来て、時間を潰すためのスマホを持つと僕はトイレに籠った。自分の尻に指を突っ込んで精子を掻き出すなんて僕には無理だから。
ユノの体液なら尚更。出したくない。

ただ少し時間をみて、のんびり便座に座ってゲームでもしとけばいい。


「……昨日ユノとやったゲームにしよ」


腹痛はない。
そういう場合もあるらしいし実際そういう日もあったけど、僕の場合はほとんど腹が緩くなるくらいでトイレの回数が増えるけど全く生活に支障はなかった。

男同士のセックスはユノの方にもリスクがある。何かの病気になったらなったでいつまで経っても知識を付けないユノを思いきり笑ってやろうと企んでいた反面、僕なりにすごく気をつけてきた。


「やっぱりユノってこういうゲーム強くないよねぇ。……ふふっ」


ナカ出しした方が気持ちいいだろうに。
それが男を抱く利点だろうに。
でもユノは、僕の腹が緩くなると分かってから頑なにゴムを使い出すようになった。
たまにはいいでしょ?いいじゃんもうって僕の方が焦れて強行しない限り貫き通された。
理性的なその行為が少し悔しいくらいだったけど、その何万倍も愛を感じた。


「…………」





だって二人で生きていくんだろ?って

ダメージがあることは避けようって





「……いたい……」


だからこそユノからナカ出しを請われたさっきのセックスは本物の終わりだった。こんな小さなことでそう確信する僕は細かすぎるんだろうか。
どちらにしてもユノは確実に本気で。
もう二度とない。

もう二度と僕たちの想いが交わることはない。




「……やっぱ、、おなか、痛い…、っ、、」




嘘。腹なんて全然痛くない。
でもとてつもなくどこか痛い。

胸は最早当たり前のように深く痛むけどそれだけじゃ言い表せない。身体を半分に千切って裂けたような見えなくて苦い激痛。それが僕の中に停滞してる。


「いた…、痛い…痛い……。…寒い……出よ、」


総毛立つ。胴震いする。
個室の肌寒さのせいかもとトイレを後にして熱いシャワーを浴びた。それでも体内ががらんどうになったんじゃないかと思うほどの寒気もする。なんか恐い。恐い。寒い。ぽっかり。空っぽ。


「、まだ、、寝てるかな…っ」


ユノに暖めてもらいたい。寝てるならこっそり隣に潜り込んでユノの熱を傍らに置きたい。
浴室を出てばらまかれたままのスキンケア達もそっちのけで寝室の扉をそっとそっと開けてみると、さっきと同じうつ伏せの状態で眠りこけるユノに会えた。ベッドから落ちてた布団を拾って、細心の注意を払いながらユノと隣に寝転んだ僕に掛けてみる。
ただ二人で同じベッドに寝る、それだけで酷く落ち着ける。


「、、、ふぅ、、、」


なだらかな眠気さえのぼって来る。


「……眠い……」



こういう存在の人を、今から僕は手離す。



でもその後は僕も元いた場所へ戻るに過ぎないから、やっていけないことはないと思う。
ユノと出会う前に沈んでた場所。
悲しくて悔しいから、泣いて諦める世界。


(……そうだよ、僕ってもともとそういう人間だったじゃん…)


悲しいことがある度にそれらを手離して人より劣ってる気がして人見知り。自信なんてまるで持てずに。仲の良い同じ友達とばかり遊んで。静かに大人しく、そして世界はぼんやり霞んでた。普通の、少し冷えた所。

小さい時からの幼なじみや中高の親友達には今でもずっと言われてる。


『あのチャンミンがテレビで歌って踊ってるの観ててもやっぱり未だに信じられない。お前そんなガラじゃないのに』


デビューが決まって学校中が大騒ぎになった時も、僕じゃなくて僕と同名の男子がデビューするんだと間違えられて騒がれた。


『チャンミンがデビューって…は?お前!?シムの方なの!?ウソだろ!?あはははは!でもすげー!芸能人じゃん!』


それは9年前の話。
無我夢中だった頃のこと。
すでに変わりだした頃の話。










時も


身体も


心も














「……ユノ





僕をここまでつくり変え、


生かしてきた存在




その光を




「ユノ、起きて……そろそろ時間」

「んー…、、」






そっと




手離した






「ほら、シャワー浴びなきゃ…ね?」

「ぅー………出るまで後何分あるー…?」

「30分くらいですかね、ユノささっと支度できる?」

「…あーもうマズイじゃん…っ」

「うん、だから早く…」

「……」

「ユノ?」

「ってゆーかさ、」

「はい?」











「その呼び方止めろ」

「え……」



















起き出してきたのは














「お前ヒョンくらい付けろよ、馴れ馴れし過ぎ」

「え、、、でも昨日ユノが…」

「だから止めろって。考えたらなんでお前に呼び捨てされなきゃいけないの。俺お前のヒョンだぞ」

「……」

「俺だってメンバーとしてちゃんとチャンミナのこと守ってるつもりなんだから。少しくらい敬えよ」

「…………す…いません、、、」



本気で苛ついた目で嗜めた後、謝った僕を受け流すユノヒョンだった。



「あーなんかすごいスッキリしてる。何でもできそうっ」

「…、そう、良かったです……」


伸びをして仰向けに向き直ったヒョンは、天井を見上げたまま止まってた。
無機質な瞳が逆に何かの決心を確認してるように見える。何か、なんて明白だけど。


「よし、シャワー浴びるわ。お前も準備しろよ」


ベッドから降りて自分と僕の裸体に気付くと眉をしかめて嫌そうな顔。髪を掻き上げて過ぎてくその後ろ姿。持っていかれる布団の中の体温。広い背中。噛んだ尻。スタミナのある太股。光るピアス。

もう僕の人ではないユノ












おはよう


ユノヒョン














パタンと扉が、最後に閉まった。


















______Manager.side______






「お待たせー」

「お待たせしました」

「おう、」


何ともない、といった感じで車に乗り込んできた二人を運転席から迎えた。バンを発進させて無言なのも疑ってるようで悪い。イヤフォンを付けようとしてるユノに声を掛けた。


「ユノ、どうだった?チャンミンの部屋。いい所だろ?」

「ん?うん、いいんじゃない。スジュもいるし。あ、あいつらにチャンミナ宜しくってやっぱり言っとけば良かった」

「まあ、また来た時でいいだろ」

「俺はもういいや。でもこの高層マンションなら彼女さん来ても大丈夫なんじゃない?チャンミナ寂しいんなら来てもらえば?」

「…そうですね、ちょっと言ってみます」

「……は???」


聞き捨てならない会話が後ろから飛んできて頭がショートしそうになる。ユノとチャンミンの関係ばかり悩んでたから話が飛び過ぎて理解できない。


「え、ちょっと待て、え?」

「あれマネヒョン知らないの?チャンミナ彼女いるよ。なあ?」

「…はい」

「は!!?」


目玉が飛び出るかと思った。思わず叫んで、そこが信号待ちの交差点でしみじみ良かったと溜め息をつく。振り向いて見たチャンミンはスマホでゲームしがてら、ばつが悪そうに俺を一瞥して液晶画面へ戻っていった。
でも気味が悪いほど驚いたのはユノの方。

何食わぬ顔で、
本当に何とも思ってない顔で、


「チャンミナも頑張ってるし気を付けるだろうから、ちょっとは見逃してあげてよ。な?マネヒョン」

「いや、お…っ、」


お前それでいいのか?と、言いそうになった自分を慌てて飲み込んで叱咤した。

いいも何もない。これが正解。
これが正常。弟思いで溺愛のユノに驚く俺の方がおかしい。


「マネヒョン、信号青ですよ」

「あ、うん…」


チャンミンに促されて、車を進めるけど頭の中が混乱していて整理しなければいけない。


「チャンミン、そうならそうと言ってくれよ。……その、、相手も芸能関係者か……?それとも一般…」

「あ、俺も聞きたいっ。夏前にはもういたよな?すごい可愛いんだろ?」

「……まあ」

「、、」





ユノに気を使って言い淀む俺の質問を遮って、ユノが陽気にチャンミンへ話し掛ける。


「チャンミナは綺麗系で清楚な女の子が好きだもんな。やっぱり芸能人?もしや日本人とか?」


ざくざく問い掛ける。

正直、ゾッとした。


「…もういいじゃないっすか。そっとしておいて下さい」

「お前冷たいなぁ。あー羨ましい、俺も恋愛したいけど今は忙し過ぎるからなぁ~。あははっ♪」


ユノが不気味で仕方ない。演技でもない。
昨日まであんなにチャンミンを追いかけてたユノが今日はあっけらかんとしてる。

夏前ってお前ら付き合ってたんだろ?
チャンミンに本命の彼女がいた。それは頷けるし喜ばしい事だけど、つまりユノは裏切られていたということで。


「……ゅ、ユノは、、大丈夫…なのか……?」

「何がー?」

「いや、悪い、、何でもない…」


ここまで吹っ切れるものなのか?
若いコの恋愛感覚?
プロだから?
それとも俺の頭の回転が悪いだけ?


「…………」


俺の結論は、その先は考えないことだった。
何せ元に戻った。
悪いことは起こらない。
正常なんだから。
悪いことは、絶対起こらない。


「……ふっ」


気付いたら鼻で笑ってた。

恋だの愛だの、結局はこういうこと。
真実のーとか、究極のーとか、皆始めはそう思うんだよ。勘違いするんだ、全員。
正当化しようとする、この胸のときめきは間違いじゃないって。
でも中を掘ってみたらこれだよ、結局。

そういうこと。
大人になったっていうこと。


「だあー!もう!お前ら本当に心配させやがって!」

「あははははっ、マネヒョンがキレたぁ~」

「すいませんでした……」

「はあ、良かったぁ」


だからとにかく、それ以上は考えないことにした。何故ならTOHOSINKIはこれから息も抜けないほど忙しくなる。そちらに集中しなければならない。集中する。集中したい。もう考えたくない。


「……よし、カムバックは思い切り攻めるぞ。集中できるよな?」

「うん」「はい」

「もう馬鹿なこと考えるなよっ」

「あははっ」「……。ふふっ」




それ以上のその先にある、
一粒の奇跡のような想いなんて。
















ありがとうございました。色々ごめんなさいね?
片割れ chap.11
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