片割れ chap.11 #13










_______Y.side_______







ヨンミン代表の言っていたように、

人の心は自由で、俺の心も自由で、その心はチャンミンに在って変わらない。

でもそれと同時にチャンミンの心も自由で、時も身体もチャンミンの自由なのに。


「はあぁ……、、なんで…」


思えば俺はチャンミンの事になると、始めから何も自由にさせてない。
俺のせいでたくさん悩んで泣かせてきた。

なのに俺はチャンミンが欲しいからって目眩を起こしたり吐き気を起こしたり。宿舎を飛び出したり帰らなかったり。付き合えたら付き合えたで傍に居ないと許せなかったり、食べ過ぎたり。


揚げ句の果てには、
自分の思い通りにならないからって……


「ちょっ、大丈夫…ですか……?」


目の前には、綺麗な瞳のままのチャンミン。


「……ふふううう、、、」





チャンミン、ごめん






















大罪がよぎってしまった











「ごめん、ちょっとこのままでいさせて……」

「……はい」


俺の心は空にしても沸き上がってしまうから。エンプティに無くすだけじゃ足りない。
抹殺しなきゃいけない。


「ふう、ううぅぅ…っ、、、、」


腹から出す息も震えてうまく吐き出せない。自分の脳味噌の異常さに目眩がして、忙(せわ)しく浅い呼吸を続けても治まらない。
十字を切って神に懺悔した。
額に当てた手は自分で驚くほど熱い。閉じた瞼の裏側は真っ暗じゃない。白だったり赤っぽかったり、部屋の明るい残像が緩やかに動いてる。眼球で追いかけるとまた気持ち悪い。
じゃあ、黒に染まれば落ち着くのかな。


「チャン、ミン」

「…………はい」


どうしても。チャンミンがいい。


前から返ってくる声にだけ告げる。

誰も見ないで


「聞いて。聞いてくれるだけでいいから」

「…うん……」




聞かないで


チャンミンだけに






聞かないで、誰も

俺は本当は弱い人間で、卑怯で



チョン・ユノはこんなにも脆い






誰も聞くな












「俺チャンミンが居ないと、死んじゃうよ…っ、、」


もう嘘でもいい。分かりましたそこまで言うならって、こっちを向いて欲しい。振りだけだっていい。
男だけど。暗い未来しかないけど。


「ユノヒョンは…、、」

「っ、何だよ!!?」


暴れ出す。
乞いたり荒ぶったり、制御できない。

焼き尽くして。極限。







「…僕のこと殺してやりたいとか思わないの?」


なのに君は至って冷静。

事も無げに。俺を見透かす。


「お前はっ…!……何も、悪くないから……っ」

「どうせ人間なんて一人で生まれて一人で死にますけどね」



まるで透明な水。

燦々と潔い。





「でもヒョンは一人じゃ寂しいでしょ。だからその時は、僕も一緒にいってあげる」








浄めるように、灼熱の闇を冷やしてくれる。


チャンミンが居るからまた目覚める。





























_______C.side_______






ユノはどう受け取るんだろう。

僕は本気なんだけど。
過呼吸のあの恐怖で絶えたっていい。
何でもない。

だってユノが居ない世界なんてやってけないし、そんな世界にもはや闘う価値はない。


そこまでぼうっと頭に浮かぶままの考えを流していて、ユノの思考回路のヘンテコさを思い出した。


「ぁ…」


そもそもユノは死なんて言葉絶対使わない。
しまった、言葉の綾(あや)か。
おいおい、僕だけ本気全開にさらけ出して何言っちゃってるの、僕。

顔から火が出るほど頬も耳も熱くて、冷や汗が出た。制御できない。まるでどこかから吸い込んだ熱を吐き出すように。


「何言ってんだ、チャンミナ。TOHOSINKIはどうするんだよ」


やっぱり…。
グループの事ですよね…。
恐る恐る前を見ると、困ったように微笑して見つめ返してくるユノが居た。


「…っ、そっちが先にややこしいこと言ってきたんでしょうが!?何ですか!もう食べないんですか!あ~勿体ねーっ」

「ううん、食べる」

「あっそ!あ?…え?」

「お前、強くなったな。俺も頑張らないと」

「……」

「もっかいもらうなー♪」


そう言ってユノは本当に器と箸を持ち直して、よし、って呟くと餃子にパクついた。
美味しいって言ってくれる割には苦虫を噛み潰すみたいに食べる。またえずいて、噎せて、止まって、飲み込んで。胸が痛くて仕方ない。

気付いたら、泣いてた。


「チャンミナ泣かないで。お前のせいじゃないから。本当に夏バテ、少しは無理して食べないとなっ」

「…っ」


まだけっこうな量が残ってるユノのご飯の具合を盗み見て、申し訳ない。僕も餃子を取ろうとすると優しくはたかれた。


「だめー♪全部俺のー♪」


この人はいつもこうやって、一人で何でも背負いこんで。自分の中で完結しようとする。

だから板挟みになるんですよ。
どちらにも全力で真剣に向き合うから。


「あと、ユノでいいよ。ずっとヒョンは、……ちょっと寂しい」

「…っ、、」


今までいろんな宝物を貰ってきたけど、どれもこれもが煌めいて、優しい。直球の宝石。


「ユ、ノって…」

「うん」


それに引き換え僕にできる事は小さい。せめてユノの気分が紛れるように、ユノをからかう話を。


「初め会った時、僕のこと嫌いだったでしょ…っ?」


落ちた涙がご飯の器の中に入って、自分では汚ならしくてもう食べたくないと思う。

でもユノは僕の汗さえぺろんと舐めてくれてた。精液も男の僕の身体も、一ミリだって拒否されたことない。
あの『ユノ先輩』が見たら、卒倒するんじゃなかろうか。


「いや、、そんなことない……。そりゃ初めて会った時にはきついこと言っちゃったけど…」

「ふふっ、覚えてます?」

「もちろん。あの時はデビューできるかできないかで焦ってて、本当にストレス感じてたから。ほとんどの奴にきつく当たってた」

「それだけじゃないですよ。その後もユノは僕に冷たかった、同じグループに決まるまで…」

「…え、そう、かぁ……?」

「ええ、そうですよ」


ユノは知らないだろうけど、僕は見てた。

初めは後輩には厳しい先輩なのかと思ったらそうじゃなかった。
僕より後に入った後輩が何人もユノになついて親しくなっていった。ユノもユノで積極的に可愛がってた。数人の後輩と肩を抱きあって、ハンバーガーを食べに行こうと楽しそうに僕の横を通り過ぎて行った。

何故あの先輩は僕を差別するのかと、落ち込んで苦手になって。僕もユノを避けた。メンバーになった途端掌返したようにユノが話し掛けてきて、グループだから仕方なくなんだと分かっていたけど腹が立った。

僕はずっと見てた。


「あの態度は僕を嫌いで仕方ないって感じでしたもん。酷かったなぁ~、ああ、つらかったなぁ~♪」

「え、、そんなに…?……ごちそう、さま、でした……、」

「ぐくくくくっ、恨みはまだ晴れてませんよっ」


ユノが食べ終わったのに安堵して、漫画みたいに冷や汗垂れてるのが見える表情に戻って僕は嬉しくなって。一息ついて飲むビールはすでに生温かった。

食器を片付ける向こうで、ユノがまだ気にしてる。ウケる。
僕の涙もユノが溢れさせて、乾かしてくれる。
何もかも僕は、ユノで生きてる。


「チャンミナ、、何かしよか……?」

「っ、ふふふふふ。どうしよっかなぁ♪」

「嫌いっていうか、たぶん俺憧れてて、」

「だははははは!!ウソウソ、絶対うそ!」

「…イラッ」


カチンときてるユノを久しぶりに見れて嬉しい。楽しい。


僕たちずっと、こうして居たかった。








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コメント

  • 2017/05/26 (Fri) 17:42
    No title

    チャンミン、どえらいものぶっ込んできたねえ。
    プロポーズ以上の告白だと思う。

  • 2017/05/26 (Fri) 18:22
    管理人のみ閲覧できます

    このコメントは管理人のみ閲覧できます

  • 2017/05/26 (Fri) 18:33
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    このコメントは管理人のみ閲覧できます

  • 2017/05/26 (Fri) 19:05

    お互いを求めているのに
    思いやって
    気持ち押し込めて…
    胸がつぶれそう

    誰かを恋うる気持ちは
    絶対大罪なんかじゃないんだよ!ユノ!!

    • 苺シロップ #-
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