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片割れ chap.11 #5









______Y.side______






分かったよ


どれだけチャンミンが
頑張ってくれてたのか


広いスタジアムステージの上で、全力で歌って踊りながら、ありとあらゆるサインを俺にくれた。




マイクを通さない声で


「まだ!まだそこでstayです!」



目線で


『ここで止まります』



ジェスチャーで


『次5カウントしたら3番に移動です』



笑顔で


『オッケーです。すごくいい感じです』



チャンミンが居たから
自信を持って舞台に立てた。

ユノ・ユノになれた












このチャンミンだけは



絶対誰にも渡さない





















______C.side______






人混みの中

街の交差点を歩いていると、隣から突然ユノの力強い腕が僕の肩を捕らえた。同時に腰も引き寄せられ僕はすっぽりユノの胸の中へ。


「え、ちょ、」

「いいから」

「ちょ、ちょ、ちょっと、や、ユノ…っ」


いいからって皆見てるじゃん!
通り過ぎてく若いカップル、家族連れ、男グループ、老齢の杖をついたお婆さん。はしゃぐ女の子達。


「み、みみみみみ見てる見てる…!ユノ、皆見てるから…!!」


抵抗する僕の腕には全然力が入ってない。何だかんだ嬉しいんだからどうしようもない。


交差点のど真ん中。
歩行者用の青信号が点滅し出して、いよいよマズい。周りは横断歩道を渡りきり舗道へ固まって、視界が開けて僕たちに気付いたドライバー達は身を乗り出してこちらを見てる。
けれどユノは一向に離してくれない。腕をユノの腰にまわすよう促されて、ユノの両手が僕の頬を包んだ。


「俺どうしてもチャンミンが好き。チャンミンだってそうだろ?俺のこと好きじゃないなんて嘘だ」

「え……」


突然の告白に、


「全部嘘だろ。俺のために身を引いてくれたんだろ?分かってるから、もう」

「…っ、ユノ……っ、、」


嬉しいが過ぎて、心が震える。


「チャンミンは俺のもの。俺はチャンミンのもの。もうずっと一緒に居なきゃ」


揺さぶられた心が溶けて、ユノの心と一緒になった気がする。


「でも……皆が……、、」

「大丈夫。皆はもう祝福してくれてる。ほら」


ユノの長い指に導かれて辺りを見渡せば、二人ぼっちの交差点は赤信号にも関わらず一切クラクションは鳴らない。好奇の目で見られてると思ったたくさんの人達の波は、優しい微笑みで溢れかえってた。
それに応えるようにユノは大きく手を振って、「でも皆さんの大好きなTOHOSINKIでもありますからねーっ♪」なんて言うから、ユノらしくて本当笑っちゃう。


「ここでキスしよう」

「え!?」

「皆の前でキスしよう、チャンミン。……サランヘヨ…」

「え、ちょ、ちょっ、」


柔らかくも真剣な眼差しのユノが近付いてきて、嬉しいんだけど公衆の面前でこんな気持ち丸出しのキスなんてとてもじゃないけどできない。
恥ずかしい。仕事だって言われた方がまだできる。恥ずかしい。恥ずかしい。
宿舎に帰ってからいっぱいしようよ、ユノ


「むむむむ無理無理無理無理っ。」

「キスしたい」


いや僕もしたいけど!ここは無理!!!

ユノの鼻先と触れ合って泣きたいほど胸が高鳴ってるけど、ここがハッピーエンドじゃないから。終わりじゃなくて、僕たちはこれから始まって一緒に生きていくんだから。
ちゃんと秩序を考えて、認めてくれた周りに感謝しながら生きていきましょう?


「ユノ!!!ここでは駄っ!!……め……、、」


思いっきり押しのけたと思ったユノはただの大きな枕だった。ぼやっと認識したその白い寝具はぽんぽん転がってベットの縁に消えていった。


「…………ぁれ………」


僕は宿泊予定だったホテルのベットですでに転がってる。外はもう燦々と明るい。


「え…あれ………、あ、、」


そこでやっと思い出した。
ユノに怒られて凹んで、焼き肉屋でビール飲んだ瞬間朝から張りつめてた糸が切れ意識が落ちた。


「……キスしとけば良かった、ふふ…」


夢と現実の落差がさらに僕を凹ませる。空笑いが虚しい。自分の願望そのまんまの馬鹿みたいな夢に、死んでも誰にも言えないなと思う。




でも、それよりも……









「……っ、、悔しい……っ!!」


一気に覚醒した僕の脳が昨日の失態を叩きつけてきた。ユノと僕のポジション取りに集中してしまって、無意識に体が馴染んでる方の振りを踊ってしまった。

ユノが言った通り、僕は混乱して、慌てふためいた。助けを求めるようにユノの踊る姿を確認して、ようやく立て直したけど。


その時合ったユノの目はすごく冷たかった。


「あーーーー、、くっ…そ…っ、、」



何故、できなかったのか
自分が悔しくて悔しくて仕方ない

人から見たら僅かなミスかもしれない。
でもユノの世界にとっては致命的なミスだった。


「く、やしい…っ……っ、、!」


シーツを握り締めてうずくまっても悔しさは抜けない。何もしてないから抜けない。顔を上げて前を向いて、

頑張らなねば悔しさは消えない。


「…………。やらない…と、」


ユノの信頼は勝ち取れない


起き上がって見つけたリュックの中からスマホを取り出して、ジェウォニヒョンにこれからできる限りのヒョンの時間を貰えるようにお願いして。マネヒョンの連絡でホテルのロビーに帰り支度をして降りると、ユノはすでに一角のソファに陣取って座ってた。
サングラスの向こうに潜む瞳はどこを見てる?テラスの明るい光の射す方へ向いて、僕の存在なんて気付いてない。


「……」


できれば願わくば、無理かもしれないけど
まだここに居て
僕を見てて

憎しみでも怒りでも何でもいい



ユノの隣は、僕だ



「おはようございます」

「お、おはよ」


日本にいるなら日本語で日本式の挨拶を。国々の文化に敬意と感謝を。
僕はそういうものだと思う。
何食わぬ顔でユノの隣に座って、ちょうどやって来たマネヒョンからコンビニの袋を貰った。


「チャンミン、これで足りるか?」

「いや、本当はもっと欲しいですけど。空港でまた買います」


朝食を食べる時間がないと言われて、マネヒョンにお握りを買ってきてもらった。
でもさすがに10個じゃ足りない…。


「チャンミナ、…昨日焼き肉逃したもんな」

「そうですよ!勿体なかった!折角ユノヒョンの奢りだったのにっ」


ケタケタ笑うユノにほっとして、夢で会えたユノがまた浮かんできた。


「……あの、」

「ん?」


ねえ、頑張りますから
ちょっとだけ

僕は行ったり来たり。





貴方を呼び続ける


「ヒョンは……、ご飯とか最近どうしてるんですか?随分痩せましたね」

「んー?適当には食べてるよ」

「へえ。……けっこう、一緒に食べることが多かったのに…、最近全然一緒に食べないから何か変な感じですね」

「……そうだな。一緒に暮らさなくなるとこんな風になるんだなぁ」

「…僕は1人暮らしだからマネヒョンもスタッフさんもいないし、、ご飯も1人だし、ちょっと寂しいって思っちゃう時が正直ありますよ」


貴方を呼び続けてる


「そうなのか…?キュヒョンとか……他にもいるだろ…」

「皆予定が合わなくて……、だから。。ヒョンが暇な時とかあったら連絡してみて下さいよ。大抵僕暇してますし」

「それは……、、ちょっと俺…」

「いいじゃないですか。…メンバーなんですし……。昨日だって結局僕だけ奢ってもらってないんですよ?不公平っすよっ、僕もコンビニのお握りじゃなくて何か美味しいもの食べたいっ」


ユノに呼びかける


「……うん。……そうだな、分かった。近い内に連絡するな…?」

「イエスっ」






頑張るから

誰よりも頑張りますから

















できたら一生、ここで翼を休めてて











片割れ chap.11
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コメント

  • 2017/05/07 (Sun) 18:48
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  • 2017/05/10 (Wed) 19:38
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