片割れ chap.11 #4









______C.side______





ユノがステージに立つ。








その時間になるにつれ、


幻想的な夕立は

鳴りを潜ませ
足下にかしづき
赤い海を映やすため

晴天の夜空へ編み直した。





天空さえも演出効果へと仕立て上げる


この人は











まさに舞台の王


















______Y.side______







「僕見てて下さい、合図出しますから」

「おう、分かった」


不安は、ないよ
チャンミン

お前が隣に居てくれるから


「さっきも説明しましたけど、今日のリハでけっこう変更点あって、、あっ、後半の打ち上げ花火が上がる歌いだしのところ、ちょっと距離が近いから火傷に気を付けて下さいっ。それから…」

「チャンミナ」

「あ、はい?」

「見てるから、チャンミナのこと」

「……」

「そしたら大丈夫だろ?」


口を真一文字に結んで、こくんと頷いたチャンミンを信じる。


「俺達ならできる」

「できます」





さあ、行くぞ



「TOHOSINKIさん!スタンバイ宜しくお願いします!!」


チャンミンと分かれてステージ中央の降ろされたセリ台に仁王立ちする。TOHOSINKIの登場を知らせるカウントダウンが始まる。歓声が絶叫に変わって唸りのような振動が足の裏に伝わってくる。『貴方たちを待ってたよ』って伝わってくる。


ありがとう、俺も待ってた


「……今日という日は、」


今日という日は一度きり
今日のためだけのユノ・ユノになろう

十字をきって祈りを捧げて、


「ユノさん行きます!!!3!2!1!」


セリが上がればまだ火花輪の中。会場の空気の変わる瞬間が肌に触れた。緩やかに白い煙幕が溶けて見えた光景に、やっぱりここだなってニヤリと笑う自分の口元が自信たっぷりだ。




綺麗で真っ赤、壮大な海




「「「「ユノオオオおおお!!!!!」」」」


目線を余裕たっぶりに流して、会場全ての人をTOHOSINKIの世界へ誘(いざな)う。










「ふふっ。  おいで…」

















皆ついておいで




魅せてあげるから








































「おい!!チャンミナ!!!」

「!……すいません…、、」

「何でリハーサルやったお前が振り間違えてるんだよ!ツアーの時と違うから気を付けろって言ったのお前だろ!?」

「すいません……立ち位置に気を取られて、、」

「間違えるのは仕方ないけど焦るなよっ、アドリブですって格好良く見せろよ。あんな慌てふためいてたら誰でもミスったなって分かるだろ!?」

「……っ」

「……」


俺やっぱり、チャンミンが隣で良かった。
目の前で物凄い形相で悔しそうに歯を食いしばってるチャンミンが居て、改めて本気でそう思う。何回でも思い知らされる。
惚れなおす。


「黙ってても何も変わらないだろ。どうするんだよ、次から」

「僕は……、ヒョンみたいに踊りがうまいわけじゃないですし、、ミスしたらどうしても顔に出るので……、もう間違えません。間違えないように、次から努力します……」

「ステージに立った以上、踊りや歌がうまいとか下手とかもう関係ないから。お前が考えてミスしないようにするって決めたんなら絶対次からやれよ。努力じゃ足りねーんだよ、絶対もうミスするな」

「…でもやっぱり無理、かもしれ…」

「お前が決めたんだろ」

「……すいません、次から絶対やります…っ」

「絶対だぞ……」

「はい…」


舞台裏で今夜のフェスティバルが終わって周りはお疲れ様ムードの和やかな雰囲気の中、うちのチームだけがこんな風に緊迫してしまって、


「と言うことで、皆さんすいませんでした!でもパフォーマンス自体は本当に楽しんで、すごく盛り上がった良いステージだったと思います。俺達これからも頑張っていきますので、皆さんこれからもよろしくお願いします!」


申し訳ないなって気持ちも込めて頭を下げた。


「「……はい!お疲れ様でした!!!」」
「うん、いいステージだった!今日も最高だった!」
「もうほとんどの観客がTOHOSINKIのファンだったよな!?」
「レッドオーシャン凄かった!!」
「お疲れさまー!また来週お願いします!」
「今日みんな晩ご飯どうする?」
「チャンミン、あんま気にすんなよ?」
「チャンミン君、さっき間違えたとこ、確認して帰ります?僕も混乱してて、けっこう危ないところだからちょうど良かったっす♪」

「あ、はい…!お願いします!」

「待って待ってっ。俺もやりたい!」
「自分も付き合いますっ」


数人のダンサーに連れ去られるチャンミンを見送りながら、一つも悪びれず、皆に支えられてチャンミン良かったなって思う。


「……みんな!この後空いてたら、焼き肉行きません!?大阪の美味しいお店紹介して下さいっ」

「え!?行く!!ユノの奢り!?」

「ええ~っ……なんて冗談でっ。もちろん♪」

「「「「行く行く!!!皆、参加っ!!」」」」

「あはーはーはー♪♪」





たぶん俺は、ステージにおいて、
誰よりも傲慢。貪欲。我が儘。


必要以上のことを
ステージに立つ皆に要求してる。



特にチャンミンに






「「「「お疲れ様っしたあー!」」」」


23時からの晩ご飯。1人1人にお疲れ様を伝えて自分の席に着くと、折角離れて座っただろうに、チャンミンがどんどん押されて俺の横に座らされた。

すごい気まずいだろうな…
色々と……


「…お疲れ」

「お疲れ様です……」

「明日何時の便だっけ?韓国帰るの」

「えーと…午前…あ、聞いてきます」

「いいよ。今日はちょっと飲んで食べるくらいじゃないとまずいよな?」

「うん。明日も早かったと思う」

「じゃあ長引きそうだったら、俺達先にホテル帰らせてもらおうか」

「ですね」


俺たちの部屋は日本でもどこの国でも当然のように個室別々に用意されるようになってしまって、もうホテルでツインに泊まることはなくなった。


「……」

「……」


寂しい
寂しいよ、チャンミン

ステージを降りたら、もう俺とチャンミンは繋がってない。


「……」

「…すいません!今日僕もうめちゃくちゃ疲れたんで、もう飲みますね!?」

「え!?あ、うん?」


大人しかったチャンミンが突然ビールの大ジョッキを一気飲みし出して、飲み干して、


「眠い!!寝ます!!」

「ん!?」


そのまま卓に突っ伏した。


「……まじ?おい、肉は??チャンミナ大好きな…」

「…………zzz、zzz、、」


肉を焼く鉄板にくせっ毛の前髪がつきそうになって少し避けてやったところで、TOHOチームがこのタイミングを見図ってたのか、そこから大ブーイングが飛んできた。


「ユノさん、ひどい!」
「あんな言い方ないんじゃない?」
「ユノが来るまですごい頑張ってたんだよ!?チャンミン1人でっ」
「あんなミス、ユノにだっていっぱいあるだろ?」
「ってゆーか、こんなに完璧に仕上げるグループなんて他にいないから!!」
「そうそう、やり過ぎっ」
「適当に笑ってダンスも歌もぐだくだなアーティストだって実際いるしね…」
「チャンミンがもし居なくなったらどうするの?もうグループじゃなくなるんだぞ。メンバーとしてもっと労ってやれよ」


「……」


確かに。俺は独裁者だ。


「ユノがチャンミンを守ってきたって自負があるのは分かるけど、チャンミンはユノの物じゃないんだよ?」


確かに。チャンミンは俺の物じゃない。


「チャンミンがユノに必死についてきてるの、分かるだろ?」





分かるよ


だから言えるんだ



好きになってはもらえなかったけど、
ユノ・ユノとしては信頼してもらってる。



自信がある

ユノ・ユノとして





隣に伏してる眠り王子の肩を抱いて。


それはもしかしたら、




「俺はチャンミンのこと信じてる。チャンミンは絶対TOHOSINKIを辞めたりしない。TOHOSINKIのステージに立つ以上、」





チョン・ユノにはできなかったことを皆に、見せびらかしたかったのかもしれない。








「チャンミンはユノ・ユノのものだ」












チャンミンが寝てるのをいいことに、その日は誰一人チャンミンに触れさせなかった。






片割れ chap.11
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コメント

  • 2017/05/06 (Sat) 16:56
    No title

    人それぞれ、千差万別だよね。
    誉めて育てるのは得意なんだけど、
    ユノユノみたいに厳しく指導するって、苦手なのよね。← なんのこっちゃ。(笑)

  • 2017/05/06 (Sat) 16:59
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  • 2017/05/06 (Sat) 18:27
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