片割れ chap.11 #3











______C.side______







ユノが来る。







その時間になるにつれ、



青だけのつまらなかった空は

太陽を叩き
雲を引っ張り
水の匂いを孕み

紫色の夕立を起こした





「雨男だな」って笑いながら、


その人は小雨に包まれて





僕の前に現れた。





















______SAM.side______






チャンミンのことが心配で、自分のグループから少し抜けてTOHOSINKIの楽屋にお邪魔してる。


「ほらほらっ、俺もまだまだイケるだろう?チャンミン」

「ですよね~、素晴らしいですよねっ。でも僕もけっこうあるんじゃないかなって、まあ、ちょっとですけど、自信あります」

「…だよな」

「ええ」


何が悲しくて24歳の若さ溢れる美男子に50の上腕二頭筋を披露してるのか…。


「……はぁ」


でもこれくらいの事しか、俺にはチャンミンを笑わせる方法を思いつかないから。


「……チャンミン、もう大丈夫だから。ユノもう空港出て車でこっち向かってるんだろ?」

「ですよね」

「……」

「……」


また白い歯が見えなくなって、がっくり俺の肩が落ちる。それでも気を取り直してチャンミンの肩を軽快に揺すってみる。


「チャンミン落ち込まないでくれー、沈むなー沈むなー♪ほら、テンション上げよう!」

「…………」

「……ダメだ、こりゃ…」
 

ユノがいなくて不安なのか、リハーサルが終わった途端チャンミンがどん底に沈んだ。
猫背丸出し、前髪で顔を隠して控え室の片隅で隠れるように椅子に座って気配を消してるつもりだろうけど、皆スタッフは気付かない振りをしながらちらちらチャンミンを逆に気にしてる。


「チャンミン君、大丈夫かな?」
「やっぱユノさん来るまでは不安だよね、2人でやってるんだし」
「でもよく頑張ってる」



「…っ、」

(大トリの主役が隠れられるわけないだろ!!)


チャンミンはそこらのアーティストより相当しっかりしてる。リハーサルもよくやった。
歌声は天を突き抜けるほど通って今日も絶好調。隙はない。

本物のプロのアーティストなんだ
チャンミンは


出来過ぎるほど……。


「それより、あれだね。雨大丈夫かな?野外で雨はキツいよな?」

「そうですか?晴れでもつまらないですよ」

「え」

「…あ…っ、違います。。晴ればっかりじゃなくて…たまには。雨も、いいなって事です。涼しくなるし。ステージに出る時は、それは止んでた方がいいですけど……」

「あー、そういう事」

「すいません、言い方が…」


そして、不器用。

詩的な言い回しに俺だって勘違いしそうな時もある。長い付き合いじゃなかったら分からないかもしれない。

言い方だけじゃなくエキセントリックな行動をしてるように思われる事もある。
昼のリハもそうだ。
自分のパートだけ確認すればいいところをわざわざ独唱にアレンジして歌い試ししてた。TOHOSINKIの曲を聴いたことない人間が聴いたらどれもソロ曲だと思うくらい調整してきた。


「チャンミン、今日のリハは…」


他者を脅えさせるほどの、才能と煌めき


「一応、ユノが来れない時のことも想定してやったんだろ?」

「あぁ…まあ、一応。一応ですけど、可能性はゼロじゃない、じゃないですか?ダンスまではもう僕無理なんで投げましたけど、歌だけはせめて、もし1人でもいけるように」

「だよなー」

「はい」

「…そういうの、ちゃんと周りに言った方がいいよ?分かる奴らは分かるけど、色々勘違いする奴もいるから」

「はあ…」

「……」


それでも嫉妬される。何でそこまでやる必要が?才能を見せびらかしたいのか?本当はソロでやりたいのをアピールしてるんじゃ?なんて、言われる。










「ユノさん到着しましたーっ!!」

「、」











だけど、そうじゃないよな?






息を止め、誰よりも早く顔を上げてドアを見つめる真剣な瞳がそれを証明する。



「皆さん、すいません!遅れました!」


「ユノ!待ってた!」
「お疲れ様です、ユノさん!」
「お疲れ様!大変でしたね」
「おい、ユノちょっと濡れてるから誰かタオル持ってこい」
「雨大丈夫そう?」
「ユノ君、お疲れ様!」


ユノはユノで周りにがっと囲まれて、1人1人に謝って感謝して回る。濡れた姿に雨男だと囃し立てられてる。スタッフが多すぎてなかなか奥の方まで来てくれない。


「…っ、チャンミン、行けよっ」


誰よりも安心してるだろうに、


「いや、僕は後でいいんで…スタッフさん先に…」


いじらしいと言うか、歯痒いと言うか。

でも俺がそんなこと心配するまでもなくユノはチャンミンを探すよな?
周りをきょろきょろ見渡して放つ一言がそれを証明する。


「チャンミンは?」

「ユノさん、あそこです!」






















俺な、



すっごい感動したんだよ、その時。














チャンミンはユノを見てて



ユノはチャンミンを見つけて




























時ガ




止マッタように見えた。












「あ!!!SAMさん!」

「…え!?」

「すいません!!リハーサル出れなくて!」


なのにチャンミンじゃなく俺へバタバタ近付いてくるユノにズッコケそうになりながら、


「本当にすいませんでした!!」

「いいから、もうっ!それよりチャンミンだろ!リハすごい頑張ってくれたぞ。な!?」


だけどチャンミンもチャンミンで、


「ってゆーかヒョン。なんで服着替えてるんですか?金浦いた時と違うじゃないですか」

「あ?あー、イチゴスムージー食べてたらこぼして汚れて。時間あったから宿舎戻って着替えてきた」

「はあああ~なるほどーへー。余裕っすねー、さすがスターは違うなあー!」

「はは……。あ!でもチャンミナここ思い出の場所だよな?ここだよな?ツアーのソロ『Rusty Nail』に決めたのっ」

「話が全然飛んでますし意味分からないし場所も違いますよ。ちなみに僕がこのフェスのシークレットゲストで出演されたXJAPANさん見てその曲を歌いたいって思ったのは東京の味の素スタジアムですけど」

「あれ???」

「……お前らなぁ、、」


ぽわんとするユノと白い目で棒読みに頷くチャンミン。だけど側にいる俺にも分かるように日本語で会話してくれる。
コントか?これは…。

何なんだろうな、この2人


「まあ、とにかくお疲れ様です。リハーサルもできなかったし、ヒョンが1番不安でしょう?」

「いや、全然不安じゃない俺。チャンミンのこと信頼してるし…ははーっ♪」

「……。はあー、そうですかー」


ユノは恥ずかしいのか上を仰いで笑い飛ばしてしまったけど。他のスタッフに呼ばれてそのままそっちを向いてしまったけど。


「…ユ、、」





ユノ、見てやってくれ



今のチャンミンの顔を

きっとたまげるから








呆れ顔で微笑みながら、


唇が震えてる。















めちゃくちゃ嬉しそうだぞ、ユノ




見てやってくれ






「ユノ!ヘアメイク!」

「はぁーい」


俺の願いは虚しくもユノに届かなかったけど、


「よし、あ…SAMさんもう一回確認したいところがあるんですけど」

「……うん。いいよ、どこ?」

「あのですねっ、」


チャンミンがめちゃくちゃ笑顔になってくれたから、これはもう今日も大成功だろうなって確信した。








片割れ chap.11
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コメント

  • 2017/05/04 (Thu) 12:09
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  • 2017/05/04 (Thu) 14:18
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  • 2017/05/04 (Thu) 18:42
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  • 2017/05/04 (Thu) 20:37
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  • 2017/05/04 (Thu) 21:01
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  • 2017/05/05 (Fri) 13:21
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