片割れ chap.10 #25









隣にはユノ。
今日の作業が終わって、僕に背中を向け音楽監督さんと談笑してる。


「さて、と…」


ワールドツアーやアルバムの番宣に関する書類を片付けて、スマホでキュヒョンにこれからマンションへ向かう旨を連絡した。引っ越し初日で色々手伝ってくれる。


「チャンミン、今日自分の車か?」

「はい。マンションの駐車場へ置きたいんで自宅から乗ってきました」

「荷物はもう部屋の中に運んであるからな」

「…分かりました」


引っ越し準備はまるごとマネヒョンがやってくれた。一度くらい戻りたかったのにマネヒョンに断固として阻止されて、結局僕は宿舎に全く足を踏み入れず済んでしまった。
別れたと言っても簡単には信じてくれないのが現状か。


「……」


心配しなくても、本当に別れたのにね。


「……。ユノヒョン」

「んー?」


側に僕達を気にする人達がいなくなってから、スマホでゲームをしだすユノに話しかけた。


「…今までお世話になりました」

「うん。頑張れよ」

「ぇ、と…僕の荷物で、無くなって何か困る物なかったですか?」

「大丈夫。何かあれば買い足すから」

「あぁ、すいません……」

「台所用品は自分で買ってくれる?宿舎にあるのはお手伝いさんも使うから」

「あ、はい…マネヒョンにも言われました…」

「そう」

「……」


僕専用の食器や僕が買った料理器具だってあるのに。何故かそれはマネヒョンにも無視された。
でも強く言えない。


「……」


僕はユノにとって『裏切り者』なんだから。


「うまくいってんの?」

「え?」

「彼女さんと」

「…ああ…っ、まあ…」

「じゃあ、幸せなんだな」

「、、」


どこにも行けない僕だけど、


「あ、勘違いするなよ?別に怒ってるわけじゃなくて。俺のせいで今までチャンミナにはすごい負担かけさせたから。今は幸せでいてくれたら本当に嬉しいなって思って」


ユノや皆の前では、
『幸せ』な振りをしなきゃいけない。


「…はい。今すごいラブラブなんですっ。可愛くて仕方ないって言うか、何でもしてあげたくなります。ヒョン、本当にごめんなさい」

「いや謝るの、俺の方だから。チャンミナにとって最低なこと散々してたのに、俺。今まで本当にごめん。あと…ありがとう」


「……」











何これ……





猛烈に、切ない…………










胸の痛みに連動して皺の寄る眉間がつらい。
ユノの見つめる液晶画面のゲームが、
さっきから何も動かさずゲームオーバーを繰り返しててつらい。
自分の大嘘がつらい。
僕たちの幸福な時間が
「最低なこと」に成り下がっててつらい。

「ごめん」がつらい。
「ありがとう」がつらい。



完全に別れのエンドロールみたいな
この感じがつらい。





「……っ。…僕、そろそろ行こうかな、」

「おう。スジュの皆によろしく言っといてな?」


恋人としてのユノは、
これでサヨナラなのがつらい。


「…。あの、良かったら…、ヒョンも来てくれないですか…っ?今日は、荷物の整理が大変そうで…」

「悪い。俺今日約束あるから」

「あ……そ、ですか…じゃあ…」

「うん。お疲れ」








ユノが次の恋へ歩き出しそうで、つらい。








「お疲れ様です……」


事務所の廊下をぼんやりと進みながらユノの事しか考えられない。

ユノは今夜誰と約束したんだろう。
思い切って何気なく聞けば良かった。

男だろうか。女だろうか。
その人はユノを好きなんじゃないだろうか。
男も女も可能性がありそうで何だかとにかく嫌だ。

ユノが誰かと付き合いだしたら、僕は笑ってその話を聞いてられるだろうか。
ユノが結婚したら、僕はその式をぶち壊すことなく大人しく座っていられるだろうか。
ユノに子供ができたら、僕には不可能なその遺伝子の継承を疎むことなく慈しめるだろうか。



僕たちにできなかったことを

静かな地獄で祝福できるだろうか



「……どうしよ…っ、、」



どうすることもない。

ぐるぐるぐるぐる
ぐるぐる回って

僕は幸せな振りをしながらこの地獄で生きていかなければならない。

白旗を上げたからって、二度とユノと会わないわけにはいなかい。


「……行かなきゃ。キュヒョナ待ってる…」


車の前でやっと親友を思い出すと、計ったようにスマホが振動して通話ボタンを押す。


「はい?」

『チャンミニ?今日暑いけど鍋でもいいだろ?リョウクが作ってくれるって。マンション着いたらスジュの部屋来いよ』

「うん…ありがとう。そうする」

『えっと、、話は、いつでも聞くから。チャンミニが言いたい時に……それより皆、お前とゲームしたいって騒いでてさ、煩いからっ。皆、お前が同じマンションに越してきてくれて大喜び!』


キュヒョンにもスジュの皆にも、ユノとは別れたことしか伝えてない。ユノはユノで僕のあまりの非道さに、沈黙せざるを得ないのかもしれない。

とにかく周りの仲間が今、何があったのか知りたい気持ちを押さえて僕達のために気を使ってくれている。


「…うん、やる。いつでも相手になるよ」

『チャンミン??今夜は寝かせないからねー♪』


次はイェソニヒョンの声が聞こえてきて、昔から可愛がってくれたヒョンの変わらない優しさに自然と口が綻んだ。


「ふふっ、今日っすか?いいですよ、でもさすがに少しは寝かせて下さいよぉ」

『いいやっ、僕が勝つまでは絶対寝かせないっ。早くおいで、鍋食べたらすぐやろう!受けてたて!』

「もちろん受けますって、楽しみにしてます♪」


スマホを尻ポケットに収めて左ハンドルのアウディのドアを開いた。

荷ほどきは少しずつやればいいし、やる気も起きない…。

そんな事を思いながら運転席に乗り込む僕の身体は空っぽのように無防備で、


「!!!」


突然の左肩への衝撃をまともに食らって潔いほど助手席のドアノブまで吹っ飛んだ。


「…っ、いっー…っ」


何が起こったのか分からない。
右肩と腕の痛さに縮こまって、混乱してる頭にはバタンとドアが閉まる音だけが浮き上がった。
振り向くと、




「………ユ、、」




平然と僕を見下ろすユノが運転席に座ってた。







「何なの、お前」

「ぇ……」









現実のホミンホ様を満喫してきました!!!((ノ∀`)・゚・。
それでは2012年夏の「片割れ」へ戻りますー。( ´-`)
ちなみに「猛烈に切ない」は、「Rock with U」から頂戴しましたーっ。

片割れ chap.10
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コメント

  • 2017/04/22 (Sat) 19:21
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  • 2017/04/22 (Sat) 19:44
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  • 2017/04/22 (Sat) 20:06
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