片割れ chap.10 #23










______Y.side______







始めから分かってはいたんです。

始まる前から言われていましたから。




『気持ちばかり押し付けてきて覚悟が足りないんですよ』

『僕を覚悟させて欲しいんです』

『見せて下さい。ヒョンの覚悟を』






チャンミンはおそらく、




言っても
一向にできない私に諦めてくれたのです。



そんな不甲斐ない人間を好いて貰える筈もなく。
一顧すれば容易く承知できるものを。





是が非でもチャンミンが欲しかった私は

チャンミンのその優しさにつけこんで



同情で、
共同生活のため、
TOHOSINKIのため、


本当は嫌だったろうに
呆れていただろうに





欲情のまま身体を拓かせて

精神までも繋げた気になって






気持ちがあればそれでいいとか、
肉体的なことなんて考えてなかったとか、
プラトニックならとか、



チャンミンを獲得するため言い訳を並べ立てていた今までの自分を酷く恥じ入ります。


そんなの偽善です。



心も

身体も

時も

全て合わせてないと気が済まない。




そんな自分は
いっそ跡形もなく流されればよい。












だって今、頭の中に浮かぶチャンミンは…






















______Manager.side______







どんな大失恋をしたとしても

止まない雨はない




明けない夜はない







昨日、ユノが号泣したのには驚いたけども。それでも時間は過ぎて、今日は快晴の朝が待ち受けていた。

きっとチャンミンから別れを告げたんだろう。
先に代表室から戻ってきたチャンミンは平然とした顔で、「ヒョンと話し合って別れました。宿舎を本格的に出て、一人暮らしします」と言うだけ言って帰っていった。

対称的に立ってられないほどショックを受けていたユノはヒョジェと宿舎に運んで、敢えて一人で一晩過ごさせた。

振られて泣き顔を見られて、プライドは傷付いただろうし、何よりユノに頭を冷やして欲しかった。

昨日のユノは朝から晩まで恋に狂ってたから。


「それにしても、」


とにかく俺は今ホッとしている。
チャンミンも自分の気持ちを何となく認めた時はどうしようかと思ったが、結局俺の思い過ごしだったようだし。
性病検査でユノを庇ったのは、単にチャンミンの人としての思いやりだ。愛じゃない。


「さあ~、、…今日はさすがに起きれてないだろうなぁ……、」


ユノの状況も考慮して、今日は早めに自宅を出てきた。
送迎車を宿舎の地下駐車場に停めてエレベーターで階を上がる。廊下を右手に進んで一番奥の扉の施錠を外して中へ入った。


「ユノヤー、生きてるかー」


なるべくラフに。さも気を使ってないように玄関から声をかけながら靴を脱ぐ。
失恋なんて、他人が憐れめば憐れむほど当人に深い傷を自覚させてしまうものだから。

静まり返った部屋は外から聞こえる蝉の鳴き声を際立たせてる。短い通路には白い羽が数枚舞い降りている。


「おーい、打ち合わせ行くぞー」


ユノの部屋をノックしてそのままドアを開けて、


「ユ~ノヤ…」









絶句した。









「…………」


脳が認識したその場の有様をひとまず閉じ込めるようにドアを閉めて、このまま帰りたいと思う気持ちを奮い立たせてゆっくりリビングへ足を運ぶ。

少しずつ目に見えてきた空間も同じような状態で、その中心のダイニングテーブルの前にユノはぽつりと座っていた。




「女々しいだろ?俺」

「……」




何で切り裂いたのか、




「チャンミナの部屋には何もできなかった」

「……」




ユノのベットもリビングのソファーもずたずたで、スポンジとスプリングは盛大に剥き出し、




「大丈夫……今まで通りちゃんとする……」

「……お、う…」




羽やら綿やら
毟(むし)り取られた残骸が散乱してる。




「だからチャンミナには言わないで」

「……スリッパ、持ってくるから。動くなよ……」




ユノの裸足の足下からキッチンにかけて

コップや皿の破片が無機質に散りばめられ、
フライパンや凹んだ鍋は無造作に転がっている。
投げ出された包丁や料理ばさみが鈍く光る。



膝が笑う。



「……っ、」









惨状だった。








「……ほら、履いて…っ。…片付けは、…誰かにやらせるから……」

「チャンミナには言わないで……」

「……怪我は、ないか…?」




虎色の乱れ髪が侘びしい。




「……チャンミナには、言わないで……」

「分かったから…っ…」




痛そうに安心するユノに、従うことしかできない。同情でも冗談でも発しようものなら、たちまち暴れ出し噛み付かれそうで。


憐れむことさえできない。
















______Y.side______









我慢ならなかった






悪いことを考えたくない。
俺に付き合い切ってくれたチャンミンに感謝したい。


なのに頭の中に浮かぶチャンミンは俺じゃない誰かとセックスしてる。誰かと幸せそうに過ごしてる。


壊れそうなほど細い女の子の足の間に入って、女性特有の乳房を優しくしゃぶって腰を突き上げてる。

そんなチャンミンを振り払って新しいチャンミンを想うと、次は四つん這いで上気した顔から嬌声をあげてる。逞しい男の腕に腰を掴まれ引かれ、奥まで貫く挿入を繰り返されてまた喘いでる。

どんなに頑張って幸せだった姿を思い浮かべようとしても、またチャンミンは華奢で可愛いらしい次の女性と料理を作りながら抱きあって嬉しそうに笑ってる。




「……地獄だな…………」




地獄の果てに連れてきたチャンミンは、

心も身体も、違う時を刻んでた。









片割れ chap.10
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コメント

  • 2017/04/13 (Thu) 18:56
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