片割れ chap.10 #22











______Y.side______











何も、見えない
 
















どうして見えないの?チャンミン









































無だ



































「…さん、ユノさん、大丈夫ですか?」

「……」


目の前には白いブラウスに黒のスカートをあわせた女性がいた。


「退出をお願いできますか?」

「……」


ヨンミンさんの秘書だ。


「申し訳ありません。来客のお客様がいらっしゃいますので」


ここはヨンミン代表の応接室だ。


「……はい」


壊れた世界から孵化すると、そこはモノクロームの世界だった。
産まれたばかりでまだ焦点が合わない。よく分からないまま立って、歩き出す。

寒く感じる。暖まりたい。

白と黒の殻のような部屋を剥き出て、代表室を抜けて非常階段を降りた。冷房が効いてなくて蒸し暑いのにまだ寒い。

エレベーターには近付けなかった。とても悲しいことがあった気がする。

身体を自由に泳がせていると、更衣室に入って着替えを済ませることができた。そのままふらふら肉体に任せて、練習室のドアを叩いて入る。中には男性が二人いた。


「おー、ユノ…」


それは俺の名前


「ユノ…!お前、、代表と何話したんだ?……チャンミンは、先に帰ったぞ」


それは俺の片割れ


「……チャン、ミナ、、」








だと、



思ってた。








「……っ、っ、、ウソだろ…っ、、?」







信じてた










確信してた








「ユノヤ……」

「ちょ、どした?ユノ……」


ひ弱な足では身体の重みを支えきれなくて、やっぱりフロアに崩れてしまう。マネヒョンとヒョジェが肩や背中を撫でてくれるから、二人にも俺のお祖父さんにも心の中で謝った。









「ぅ、ぁ、ぁあ、っ、ひっ、、」




少し泣いてしまったから。




「…ユ、、」

「……」

「…、っ、ひっ、ぐ…っ」


だけど勘違いしないで欲しい。
それは痛みに耐えられなかったからで、別に悲しみの涙じゃない。



背中の両翼を引き千切られた痛み。
心臓の片側を刃物で抉られた痛み。



痛かったから泣いてしまっただけで、生理的な涙なだけで、寒い真夏のせいにして。


「…っ、チャンミ、ぃ……っ、…っ、、」


自分の綻びを隠した。
ずっとチャンミンを見てたはずなのに、振り向いてしまった。


思わず引き寄せられた百万人の大歓声と希望と熱気の光景を、もしかしたらチャンミンにも見られてしまったのかもしれない。
でもそんなこと、あるわけない。




『ユノに好きだなんて、僕一度も言ったことない』




俺達はまったく繋がっていなかったんだから




「ユノ、、とりあえず…帰るか。。ヒョジェ、肩貸してやってくれるか?」

「あ、うん…」

「マネヒョン、マネヒョンの言う通りだった…っ」

「え?」

「…っ、全部俺の自己満足だった!!全部俺の一人相撲で、チャンミナは同情してくれてただけだった…っ!!」

「……へ…??」「え…」




悲しいから泣いたんじゃない。
ただ痛かっただけ。

 


「………俺が、好きだっただけ……」












片割れだって










信じてた






















______SooYoung.side______







この国の同性愛は、受け入れられにくい。
芸能人、それもスターの人達がそれを認めたことはない。


「…っと、、…ねえっ、見てよお母さん♪またオッパとユノさんの動画上がってるよ♪」

「うーんっ、何だかたくさんありすぎて追いきれないわね~♪」

「これとか見てっ、すっごい仲良し!」

「あぁ、本当ねー♪お兄ちゃん、楽しそう♪」


だけどカップリングで楽しむペンは多い。
女性とくっつくよりそっちの方が秘密の花園っぽいし萌え?るらしい。

ホミンだとかミンホだとか。オッパとユノさんが付き合ってるんじゃないかって、小さな動作や目線の動きで検証し(萌え?)てる動画なんてのもある。
今お母さんに見せてる動画が、まさにそれ。


「な、なんか可愛くなぁい!?」


オッパ達ごめんなさいっ、可愛いとか言っちゃって!でもここは王道らしい萌え?責めでお母さんを攻略したい。

……実の息子に萌えるのかは怪しいとこだけど…。


「ふふふっ♪本当っ。いたずらっ子の兄弟みたいね♪」

「…はあ、、、」


兄弟じゃなくて恋人なんだって。
iPadに流れる二人は、歌番組のエンディング中、カメラには映ってないステージ脇で目線を合わせて笑い合ってる。動画はペンが個人撮影してくれたものだろう。


「……オッパ本当に幸せそう…」

「そうね、ユノ君が居てくれて、本当に本当に良かったわ」


ユノさんが隣のオッパをずっと見てて、それに気付いたオッパがはにかみながらユノさんに笑顔を返す。
この上なく優しい眼差しで、涙袋がぷっくり浮かんで、とても綺麗。
そんなオッパの表情を確認して撮影者側に振り向いたユノさんの顔は……、確かに……、、


「……」


ニヤけてる。。。


「……ユノさんって、格好いいイメージしかなかったけど…」

「あらそう?お母さんくらいの年になると、ユノ君は可愛いわよーっ♪」


二人の事情を知っちゃったからそう見えるのかもしれないけど、……これは明らかにラブラブってやつでしょ。。何なのこれ…、あなた達仕事中でしょ!?ちょっと只今絶賛フリー中の身としては腹立つんですけど。。ってゆーか、私カシオペア!涙


「……」


SK-Ⅱフルセット、+トライアルキット付きをオッパに絶対絶対要求する。


「……お母さんにね、ちょっと相談があるんだけど、、」

「うん。なぁに?」

「ちょっと…私の…友達のことなんだけど、ね」


だけどオッパが、死んでしまうなんて嫌だから。


「男の子同士で……恋人として付き合ってる子達が居て…」

「あらー」

「あっ、でもでも!本当に本当に好き合ってる二人なのっ。真剣に想い合ってるのが私にもすごく伝わる二人で、、なんかこう…この、オッパとユノさんくらい仲良い二人、で…」

「うんうん」

「本当こんな……オッパとユノさん、、」


何て言えば、お母さんも分かってくれるだろう?何で示せば、理解を得られるだろう?


「あ!!お母さん、オッパが海外旅行プレゼントしてくれるって!」

「え、え?何、突然?ふふっ、スヨン話が飛びすぎよ♪」

「……だよね、、」


何をどうしたところで、分かろうとしてくれる人でないと、分かってはもらえない。


「……でも真面目な二人だから、本当は親に自分たちの事を知って欲しいんだけど、悲しませるのが怖くてなかなか言えないんだってさ……」






それでもオッパを助けてあげたい。






「お母さんだったらどう思…」

「お兄ちゃん……、どうしたの……?」

「え?」


お母さんが顔をしかめて見る方向を追うと、いつの間にかリビングの出入口にオッパが立ってた。


「オ……、、」

「何が?何もないよ」

「……オッパ」


オッパの充血した両目の、
目頭から目尻から


「ちょっと疲れたからもう寝るね、お休み」


雫が止めどなく流れて、顎先から落ちてた。
ぽたぽたと。止めどなく。


「……」

「……」



ユノさんの事だ、と直感した。
ふっとパスタ鍋で火傷したオッパを思い出したから。

でも私達が言葉を発しようとした時には、もうオッパは部屋に入った後だった。
突然現れたり消えたり、幽霊みたい。死んだ人みたい。
   

「……お兄ちゃん、、」 

「……」








お母さんと私が身体を強張らせたのは、その次の瞬間だった。











「ぎゃややあああああああああ!!!!!」




「っ!」「っ!」












オッパの部屋から、常軌を逸した叫び声










  
「ああっ!!ああっ!!あ″あ″あああ!!!」

 
   





発狂









「いああああああああああああ!!!!」







 

慟哭








「……」

「……」




お母さんと二人、何も喋れず、動けず





「…!……!!!……!…!」






産まれたばかりの赤ん坊が狂ったように泣く

そんな叫びが聴こえ続けて、









お母さんと少し泣いた。












片割れ chap.10
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コメント

  • 2017/04/11 (Tue) 07:25
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  • 2017/04/11 (Tue) 08:37
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  • 2017/04/11 (Tue) 17:25
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