片割れ chap.10 #17









______Manager.side______





検査を受けろなんてかわいそうで仕方なくて、口に出すのを何度も躊躇って頭を抱えていたら、チャンミンの方から「何かあるなら言って下さい…」と声を掛けてくれた。

二人を正しい道へ戻したいだけなのに、なぜこんな罪悪感しか生まれないんだろう。


「……分かりました」

「……チャンミン、い、いいのか…?」

「まあ…ヤっちゃったもんは、ヤっちゃったんで」

「お、おいおい……開き直り過ぎだろ…っ」

「あっはっはっは!ですよねー♪」

「お、お、お前もおかしくちゃったのか!?」


そうは言ったが、深い井戸より暗く沈んでたチャンミンが急にあっけらかんとしだして心底ほっとした。


「…、、」

「……チャンミン、、」


いつもよりさらに下がりきったなで肩は微かに上下へ息していて、明らかに平静を保とうとしている。
そして俺を困らせないために明るく振る舞ってるだけなんだという事に気付いて、また罪悪感が生まれる。


「……俺だって本当はこんな事したくないんだよ、、悪いな、チャンミン…」


とにかくチャンミンをさらにえぐるような尋問まではしなくてよくなった。


「マネヒョンが謝ることはないです。どんな目で見られても事実はそうなんで、仕方ないじゃないですか」


今度は、俺の目の前が真っ暗になってしまう。
ユノの話を聞いてそのようだとは検討もついていたが、これで話は単純に二人の距離を離せば収まるわけでは無くなった。
それでもユノよりチャンミンの方が話ができる。


「チャンミンはあれだろ?ユノに…その…ユノの気持ちを汲んで、、そう思い込んでるんだろ?」

「……気持ち悪いですよね?」

「……」


精神をエグれ、と言われた。


「前の僕だったら確実に嫌悪してたんで、……分かります」

「……悪い。。そうだな、俺には考えられない。正直今気持ち悪いって思ってる。お前達、血よりも濃い兄弟だ…」

「そうですよね……」


チャンミンの項垂れるうなじに申し訳ないという気持ちを必死で隠した。
今、血も涙も捨てるのは二人のため。二人は絶対間違えている。


「チャンミン、悪いけど世間も事務所も皆、お前達のことは認めないよ」

「そうですよね……」


説得するならチャンミンだ。
ユノは何だか危うい。ぶれない気持ちが真っ直ぐ過ぎて、まるで弾力のない棒のようにどこかでぽきっと心が折れてしまいそうな気がする。


「……チャンミン、事務所自体も大変なことになるんだ。お前は思慮深いコだから、…分かるだろ?ユノのことを想う気持ちは分かる、でも一度外に目を向けてみないか?」

「……」

「ユノのことは気にするな、ちゃんと俺がフォローしてケアしていくから」

「……分かりました、考えてみます」

「!!本当か!?」


ほら、やっぱりチャンミンで正解だ!


「その代わり検査するのは僕だけでいいですか?検査項目は感染病がほとんどですから。どちらか片方やれば十分なはずです……」


見上げた大きな瞳が、懇願するように悲しみを訴えてきて。一瞬浮上した自分の心がまた罪悪感に苛まれる。

そしてまた気付かされるんだ。
俺が今どれだけ惨いことを要求しているのか。



「……」





お前等、そんな必死に







「僕の結果で異常なしならユノヒョンはする必要ないです。だからヒョンにこの話は持って行かないで下さい。それでいいですよね?」






庇い合ったってな






「…よく知ってるな」

「リスクは予め調べたこともあるんで。ほら僕、健康恐怖症じゃないですか」

「そうだよな……お前は本当に思慮深いコだから、、そうだよな…」







認められないんだよ…


どうしても…
















______Y.side______








チャンミンの声が聞こえる。
俺はすごく焦ってる。


『たぶん、僕もう宿舎に戻れないと思う…』

「は!?ちょっと待て、何か言われたのか!?」

『…そうじゃないけど、冷静に考えるとかなり難しいじゃないっすか。マネヒョンもすごく悩ませちゃって。だから事務所には、僕たち反省して別れたってことにしません?』


「別れ」って言葉の刃が胸に刺さる。
スマホの通話口から聞こえるチャンミンの声が信じられなくて、俺はもう一度チャンミンの言った提案を繰り返した。


「だったら…そう言うんだったら宿舎戻ればいいだろ!?なんで!?別に宿舎出る必要なんてないだろ!?」

『宿舎戻るけど別れましたなんて誰も信用しませんって。本格的に別々の場所に住んで、ここは一旦ほとぼりを冷まさないと』


考えられない。
チャンミンと離れるなんて。


「そんなの考えられない」

『……ねえ、僕達のこと周りから“認めてもらえない”現状を、“認める”ってことも大事じゃない?』



だって俺は

チャンミンが居ないと



「……駄目だ。俺がヨンミンさん説得して絶対チャンミナを宿舎に戻す」

『だから……、無理ですって。それより別々に暮らしさえすれば、たまに行き来するくらいメンバーとして当たり前だし、事務所も何も言えないですよ。周りに怪しまれる心配もないし、誰にも迷惑かけなくて済むでしょ?』



一分一秒



「俺は嫌だ……これからもチャンミナと一緒に暮らす、、」

『……ユノ、毎日会えてる。一緒に仕事もできてる。それを大事にしよう…?』

「そんなの当たり前だ!!」



人生が一粒、ひとつぶ、

無意味にこぼれ落ちてしまって



『お願いします、落ち着い…』

「絶対戻す。大丈夫だから俺に任せろ」




チャンミンを手離せない




『ユノ!』 


終話ボタンを押してヨンミン代表の携帯番号を探す。




そんな夢












「……ん、」


ソファーから起き上がってカーテン越しに明るい日射しを確かめた。
服は昨日帰ってきたままで、床に転がるスマホを取るとチャンミンからの着信履歴とヨンミン代表への発信履歴で埋め尽くされてる。


「……夢じゃない……」




夢じゃない


チャンミンが言った





僕、宿舎を出ますって








「ヨンミンさんと話さなきゃ…!!」


またスマホをタップして、昨夜から一向に出ない発信履歴をコールし続けた。











片割れ chap.10
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コメント

  • 2017/04/03 (Mon) 20:05
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