片割れ chap.10 #11










タイムリミットが来て一旦チャンミンの話は持ち越そうと合意したところで、「ところで一体どこまでの人間が知ってるんだ?」っていう溜息混じりの最後の質問に答えると、マネヒョンの表情が一変した。


「そん、なに……喋ったのか……?……お前本当……、頭大丈夫か…?」


俺はそんなに、狂っていますか?


突然今日という日が来たわけじゃない。
一日一日お互いを見つめ合って考えて、何かあった時チャンミンの事を支えてくれる人達を一人一人作ってきた。


「人数なんて問題じゃない。俺がちゃんと信頼してる人達にしか言ってない。応援してくれたり心配してくれたり、皆色んな反応で返してくれるけど、俺は皆のこと信じてる。もちろんマネヒョンのことも。だから知って欲しかった」

「ユノ……」


どんなきっかけであれ俺たちの関係をマネヒョンが認識したのなら、もう前へ進むしかないから。

蹴られたって批判されたって、誠実に伝え続ければ必ずマネヒョンだって理解してくれる。俺たちのことずっと見守ってくれてきた人だからこそ、信じられる。


「ユノ……お前……」


マネヒョンが何か言いかけたところで、ちょうど支度のできたチャンミンが俯いたままリビングに入ってきて、何も言わず俺の隣に距離を空けて座った。目はわざと前髪で隠すように伏せられていて見えない。

大丈夫
絶対俺が守るから


「俺は残念だよ、ユノ……」


チャンミンから視線を戻して見たマネヒョンの目が虚ろで、どこを見てるのか分からない。
沈殿して、まるで死んでるみたいだ。


「もう、、そこまで多くの人間が二人のことを知ってるなら……俺の手には負えない……。信じるのはお前の勝手だが、いつどこからこの事が漏れるか分からない。今度の対応も含めて、、上に報告させてもらうぞ……」


マネヒョンの、優しく匙を投げる音が、聞こえる。
いつかのチャンミンが予測してたこのマネヒョンの行動も、俺が全部背負わなきゃならない。


「ユノ、チャンミン………すまん…、、」


望んで決めたのは、俺なんだから。


「いいんだ、マネヒョン。俺もちゃんとイ・スマン先生やヨンミンさんと話がしたい」

「……残念だ、本当に…。ユノがここまで愚か者だったなんて、、」

「……」



俺はそんなに、愚かですか?









その後アシスタントの女の子が手配してくれた車に揺られながら、マネヒョンはたまに「くそっ!」と窓を叩いて頭を抱え、チャンミンは黙りこくって微動だにせず、俺は何が何でもチャンミンを守ることしか頭になくて沸騰しそうな勢いだった。


「あの……、」

「……何だ…」


ハンドルを切る彼女が、助手席に座るマネヒョンをちらちら見ながらこの沈黙を破った。カチカチとウインカーの鳴る車内で、差し込む光の方向が変わる。


「思い切って、、世間に公表するというのは…どうでしょうか?カップリングを楽しむペンはたくさんいますし、女性とスキャンダルされる心配も無くなります。二人が本当に結ばれていると知ったら皆歓喜しますよ。こんなデュオは前代未聞ですし、爆発的な話題にもなります。うまくいけばアジアを飛び出て世界中の指示が受けられると思います」

「……何も分かってないな、お前は。面白半分で思いつきを言うな」

「違います!!お二人の前でそんな風に言わないで下さいっ。私は本気で考えてます。実際その…ユノさんとチャンミンさんの関係を知って、私本当に皆にも知ってもらいたいと思ったんです!真実の愛ってきっとこういうことなんだって言うのを分かってもらいたいって」


そこまで応援してくれると照れてしまうし、公開恋愛は考えてないから彼女の意見には乗れないけれど、ただ単純に嬉しかった。

顔を赤くして力説してくれる彼女が少しチャンミンっぽくて可愛らしい。俺の隣でさっきと同じように距離を取って座る当の本人は今も無反応で沈黙しているけれども。


「ほらな、ユノ」

「ん?」


マネヒョンは俺の方を振り向くと悲しそうにニヤリと笑った。


「ある事象が明確に現れた時、人はそれを意識的に肯定か否定か興味がないかに分類する。そして自分の考えこそが正しいって主張したくなるんだよ。さっき俺が思わず激昂してしまったり、今このコが公表を提案したみたいにな」

「……」


俺だって、そう。
正しいとか間違ってるとかじゃないけど、俺の信じる道はチャンミンと一緒に居ること。
今までたくさん悩んで考えて、やっと今のチャンミンとの関係があるんだ。

皆に認めてもらいたい。
感じて欲しい。

俺たちは真剣なんだってこと


「ただヨンミン代表は違う…」

「え?ヨンミンさん?」

「お前らは昔からのヒョンだと思って親近感もあるだろうが、あの方はうちの事務所を世界的な規模にまで押し上げた方だ。どんな事でも客観的に物事を捉えられる、冷静で、恐ろしく頭の切れる人間だよ」

「知ってるよ。色んな事を教えてもらった」

「……。感情論を排除して、ただ淡々と現実に直面させられる事がいかにつらいか、今に分かるよ。昔のよしみで何とか、なんて考えるなよ…」


 





マネヒョンの動かす唇が、








「ユノ…」







スローモーションみたいに見えた。











「覚悟はできてるか?」
























もちろん











「うん、大丈夫。ただ何を言われても、俺はチャンミンと一緒に居るから」

「……今から連絡する、、」


マネヒョンが前に向き直って、携帯でどこかにコールし出した。





何かが始まる

これから

それだけは分かった







「…ノ、…」

「ん?」


やっとチャンミンから発せられた一語を追いかけて、寄り添って下からチャンミンの瞳を覗きこんだ。
能面みたいな顔で、気持ちが相当落ち込んでるのが分かる。


「大丈夫、絶対守るから」


膝に投げ出してるチャンミンの右手に俺の左手を重ねて、左右に振って正気付ける。


大丈夫、何があっても離れない
こんなにもチャンミンを想ってる

絶対変わらない



「ユ、ノ……」

「大丈夫だからな」

「…、……?」

「え?」

「……」

「……チャンミナ?」

「……」


チャンミンが何か聞いてる気がして問い返してみたけど、それからチャンミンはまた動きを停止させ、何も言い直さなかった。


「大丈夫。チャンミナ、安心して」



触れる右手は、初夏にひやりと冷たい。






































「本当に、覚悟できてるの?」






片割れ chap.10
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コメント

  • 2017/03/25 (Sat) 13:39
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  • 2017/03/25 (Sat) 19:16
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