片割れ chap.9 番外編#30 チャンミンの平行世界

(注意)末尾に、実際の韓国盤第6集&リパッケージ収録歌の歌詞を使わせて頂きましたが、日本語訳は番外編の物語に合わせたトラシカ号仕様の完全な意訳です。元々の意味合いを損なってしまう恐れのある方は目を通さないよう、十分ご注意下さい。ただとても素敵な歌なので、宜しければこの機会にもう一度聴き直すチャンスにして頂ければと願います。







******









「…………。ユノヒョン!!」

「ん!?」


自分でもびっくりするほど大声が出た。ユノヒョンはさらにびっくりして体を硬直させる。


「『チャンドル』は!?」


『自分』のことをユノヒョンに聞くなんて間抜けだけど、思わず出た疑問は取り消さなかった。ヒョンに投げ飛ばされてからの意識がない。ヒョンはさも自分のことのようにはっきり答える。


「帰ったぞ」

「……そう、なんですかね……」

「あとミーティングな。一旦解散してもらって夜に変えてもらえたから。時間もできたしキュヒョンもミノも呼んだ。まだ休んでていいぞ」

「あ、すいません……」


新しい満タンのグラス達が運ばれてくる頃には、ひどく喉が乾いて人数分の水は全部僕が飲んだ。ここに入って『チャンドル』はアルコールを摂取したのかもしれない。焼酎の香りが喉奥に着いてる。


「いやでも流石と言うか、、ヒョン達への事務所の期待度が改めて分かりますね。ちょっと残念ですけど、チャンミニヒョンなら絶対成功すると思います。応援します!」

「ミノ……ごめんね。でももう譲らないから」

「当然ですよ。僕はテミナの世話もありますし、シャイニーを上げていきます!」


ミノの、今でも僕を慕ってくれるいじらしさに救われる。スペクトラムの他のメンバーにも納得してもらわなくてはいけないし、長すぎる休止期間にも問題は多いけど、誰にもユノヒョンの隣は譲れない。
譲らなくていいって、『チャンドル』の絶対的な自信が教えてくれた。


「……ちゃんと、……帰れた?」


『チャンドル』に体を貸せたんだろうか、自分じゃ分からない。この個室に入るまでの行動がひどく鮮明で、『チャンドル』じゃなくて僕が主導権を握っていたようにも思える。

僕が吸収しちゃってない?チャンドル…


「……」


胸に手を添えて、頭の中の部屋に呼び掛けてみる。応答は今のところ、ない。
袖を捲ってインクだらけだった腕を見ても、何もない。あんなにスラスラ書いた文字は全て消えてた、ものの見事に。


「…あっ」


腕の下にちらりと見えたロングカーディガンのサイドタグを寄せ上げて、


「……元に戻ってる!……帰れたんだ、本当に…っ!」


ただの韓国製だってだけの表記に、震えるほどの感動を覚えた。今日の朝は確かに日本製だったそれ。でもそんなはずは絶対なかった。これはキュヒョンとソウルで買い物した時購入したものなんだから。日本になんて暫く行ってない。


「キュヒョナ!これ!このカーディガン覚えてるよね!?清潭洞のセレクトショップで買ったよね!?」

「お、おう…?」


部屋を見渡してリュックを探すと、さっき家政夫さんに貰ったペアキーホルダーも無くなってた。何のペアだったのかは、見えなかった。とてつもない『チャンドル』の閃光のような精神力に支配されて。


「……持って帰ったのか……、『チャンドル』が……」


『ユンホ』との軌跡は、1つ残らず


「……」



まるで『全部僕のものだから』って、

主張するみたいに。






(……『お前』も、どれほどの想いだったの……)


甘ったれだけど、強い意思があって。
僕らしく生きてて。
愛されて大輪の花のように、堂々と『ユンホ』と共に歩いてる。
誇るべき、もう1人の『自分』。




「っていうか、、チャンドルが帰るとか何とか、……さっきからそれ何の話……??」


放られた声の向かいに、キュヒョンとミノがぽかん顔でユノヒョンと僕を交互に見てた。


「あ……」


なんて、説明すれば。。


「そんなことよりさっき言ったこと、お前ら認めてくれる?今までチャンミナを近くで守ってくれてた2人には、ちゃんと知っておいてもらわないと」

「ああ、もちろんです。俺はずっと、本っっ当に嫌になるほど昔から相談されてきたんで……ふふっ。チャンミニおめでとう♪」

「へ?」

「僕は……さっきユノヒョンとキュヒョニヒョンから聞いたばっかりで……、、ででも2人の気持ちが大事ですよね!?」

「?ユノヒョン、何の話ですか??」

「チャンミナ…」

「!」


今度は僕が話題から取り残されてついていけない。説明が欲しい。なのにユノヒョンから言葉より先に両手を包まれて、ビクッと跳びはねた。
好きな人に突然触れられるとこんなに体って反応するんだ。。
手を重ねたら引っ込められた、昨日のユノヒョンの反射が理解できる気がした。



「俺も」

「え?」





あの、












「俺もチャンミナが好き」


「……」









この身に火を放つほど



焦がれた人が、












「俺の恋人になって…」






僕の目を見つめながら、


僕の指に口付けを落とした。








「…………」





時と空気が、真空パックされたような、瞬間。

僅かに僕の肌から浮上した口が、また同じ内容を繰り返す。さっきよりも少し、大きくしっかり響く声で。


「恋人になろう、チャンミナ。返事は?」

「…はい……」


だって本当は、ずっと欲しかった。
ユノヒョンから目線を反らせない。またちゅっと指先へ触れる唇の温かさと柔らかさ。大好きな笑い方。三日月に輝く宝石の瞳。
どれも必要。
僕にはどれも大切なんだ。


「……それとも結婚する?」

「は!!?」「え!」「えええ!?」


そして、とびっきりの飛び道具。


「だってプロポーズのキス、前したろ」

「うわ…っ」「ぎやあ!!」

「な…っ、何言ってんですかあんた…っ、、で、ででできるわけないでしょ…っ、僕たち、お、男同士ですよ……っ!」


キュヒョンは口を手で抑えて目を見張ってるし、ミノはこめかみを腕で抱え込んでパニックになってる。何を隠そう、僕が1番挙動不審で、ユノヒョンが1番平然としてる。僕たちはまるで正反対だ。
手を振り払おうとぶんぶん揺さぶっても、ヒョンは離してくれない。その力強さが嬉しいなんて、口が裂けても言えないけど。


「じゃあ、できたらしてくれるの?そう言えば俺、返事もらってない。あの後すぐチャンミナ宿舎出ちゃったから、俺てっきり気持ち悪がられて振られたんだと思ってた」

「あ…あれは……、」


違う、違う。そうじゃなくて。


「そうじゃなくて……」


報われない片想いをずっと耐えてた僕に。

同情した神様か何かが落としてくれた。

イタズラなご褒美のようなキスだと、

思ってたから。


「……そんな風に思ったんじゃ…ないんです、、」


もうあれだけで、生きていけると思ったから。





本気で。









「じゃあ、何で兵役に行った?」

「………」


でも、ユノヒョンを守りたいが為に出ましたなんて……そんなこと、言うこと自体ナンセンスだ。
おこがましい。格好悪い。


「言えないの?」

「……………はい……」


僕たちの溝は、気持ちが通じ合えても埋まらない。解決できない。
言わなきゃ伝わらないことは、言えば砂のように手からこぼれ落ちるだろう。口に含めば嫌悪で吐き出したくなるだろう。

つまりはそんな。
晒せば無意味で、下手すればこの人のプライドさえも傷付けかねない、独りよがりの下らない守り方だった。


「……」







本当に。馬鹿みたい。









「お前ってやっぱり、最高に格好いいな……」



「はあ…っ?」

「本物のヒーローみたいだ」

「……っ、何言ってるんですか!もう…っ」


ヒーローはあんただ。
苦しい時も辛い時もあえて前向きで、ストレートで、純粋で。何年経っても変わらない。




貴方こそ











「大丈夫だよ、言わなくても。もう、分かるから」


握られるユノヒョンの手が、強くて。熱くて。


「……ユノヒョ…」


震えてて。汗ばんできてて。
ユノヒョンの勇気が伝わる。


「メンバーに戻って、恋人になって、俺の隣で歌い続けて。それで俺でもいいって決心ついたら、海外でもどこにでも行って結婚して」


「………」










たった、











たった3日間で








「あっ!いや、まぁ……っ、、それはその、、チャンミナが。……いつか思ってくれたらの話だから……、、悪い…。。はぁ~~、焦り過ぎたぁぁ……」

「……なに急に可愛くなってんですか…」

「は!?」

「お?」

「お、俺は格好いいだろ!?」

「ぶふっ、自分で言ってら~♪ヒョン」

 








人生がひっくり返った。



『チャンドル』のおかげで。








「ちょっとすいませんけど……ミノが失神しそうなんで、その辺でニヤニヤイチャイチャするの止めてもらっていいですか?」

「へ!?あ、ミノ!おい、大丈夫か!?」

「……っ、鼻血出そ…っ」


今まで格好良く決めてたユノヒョンがやっと手を離してくれたと思ったら、両手で顔を覆って可愛くなったり立ち上がってバタバタ騒がしくなったり大忙し。

だけど分かるから。僕も。
恥ずかしかったり苦しかったり。この想いはどうにもうまく表せない。

ユノヒョンと交代して落ち着いてもらって、キュヒョンと一緒にミノが落ち着くまで看病した。ミノの気も戻ってきて、ふとユノヒョンの方を向くと、目が合う。最初で最後の恋人が、愛しそうに僕をただ見てた。背中ばかり目で追ってた、贅沢すぎる相手。


「……っ」


マジか。




「歌って」



「……え?」

「ギュラインの歌、歌って。……さっき急いでて、聴き逃したから」

「あ、チャンミニできたの?歌詞。もう修正なし?」 

「……うん。できたら修正したくない。その……夢の中で、、物凄く良い歌詞が思い浮かんで……」


これは、『チャンドル』と作った歌詞だから。僕と『僕』の想い。
伝わるように、2人で考えた。
考え抜いた。


「え!?チャンミニヒョン本当ですか!?」

「ぎゃはははははっ!嘘つけ!」

「……。へー!チャンミナすごい♪どんな歌詞だ?」

「嘘じゃないって!本当に!僕、の、こう……今まで待っててくれた……人達のために……」

「「「どれどれ」」」

「……」


面白がったキュヒョンに紙とペンを押しつけられて、僕は溜息を吐きながらそれを受け取った。


「……これは、……本当はこの曲で、引退するつもりだったんです」

「させないからな」

「チャンミニ…」「ヒョン…」


3人の声が胸に響いて、瞳を閉じて感じ入った。自然と口角が上がる。





「さよならの歌が、始まりの歌になりました」




『チャンドル』のおかげで。











「全部『チャンドル』のおかげだな♪」

「……。まあ…」

「だからチャンドルって?」「犬です?」


目を開けてユノヒョンを見るとにっこにこ。
いや、そうなんだけどね。自分でもそうだなって思うけど、ユノヒョンから言われると、なんか僕より『チャンドル』の方を評価されてるようで落ち着かない。


「いや~、本当に甘えん坊で可愛くてさーっ。最後にチャンミナのことをすごく想って訴えてくれて…あーあいつも格好良かったなぁ」

「……ちっ」

「訴えて?」「ワンワンって?」


やっぱり確信した。何をユノヒョンに訴えたのかは知らないけど。やっぱりやっぱり、僕は『自分』が大嫌い!


「ヒョン!」

「え?」


言ったよね?ナメるなって。

愛を獲得した今、童貞の猛進力は半端じゃないから。絶対僕の方がユノヒョンを想う気持ちは勝ってる。
ヒョンの顔を両手で挟んで、“プロポーズ”を押し付けた。


「!!!」

「これから宜しくお願いします!」

「うええええ!?」「……っっっ!!!?」


それからバッと振り払って机上の紙にペンを走らせた。視界の端にミノの鼻血が見えたけど、ユノヒョンが固まって動かない気配もキャヒョンの大笑いにも顔を上げることが出来なかったのは、僕自身の耳が燃えそうなほど熱かったから。






僕たちの旅は、これから始まる。














******









「……」


なんだか、何だろう。


「どうした、ほらやっぱり書けないんだろう」


ニヤニヤ顔のキュヒョンに促されるけど、何だろう。それじゃなくて腹が立つ。


「いや、違うって。キュヒョナ作曲してよ、アレンジはストリングス中心に伴奏して…秋に似合う切ない感じのバラードで」

「ちょ、待てよ。そこまで細かく、本当に!?何、それソロの歌?」

「うーん…ギュライン?」

「はあ?」

「それはダメ。俺が歌いたいから。だってペンに向けた歌だろ?だったら俺にも考えさせて」


「あー、まあ……っていうか、……」


無性に腹が立つ。


「絶対僕の方が勝ってる…」

「へ?」「へ?」「へ?」

「いや…」


どこかで僕のユノへの想いがコケにされてるような変な調子が押し寄せて腹が立つ。
何だろう、、。
僕は僕なりにユノをどうしようもなく愛していて、表せないけど正直世界で1番の自負がある。
だからとても腹が立つ。
これは、素直になれない自分の苛立ち?


「……」


それとも『チャンミナ』?






「ユノ」

「ん?」





僕だってね、言う時は言うんだ。





「これ書いたら、……デート行かない…っ?」

「……今から?お前具合大丈夫か?」

「うん。その、、飲みに連れてってくれるって言ったじゃん……部屋の掃除で揉めた時…」

「あー」


付き合ってるし、デートくらい。
って言ってみたは良いものの、『デート』って単語が猛烈に照れくさくて髪の毛をくしゃくしゃ掻き乱した。
所在なくてスマホを見るともう夜中と言っていい時間帯。
あーくそ。時間確認してから言えば良かった。明日も早い…。






 



「よしっ」




だけどユノは、やっぱり言うでしょ?








「いいよ行こう!俺の連れて行きたい店でいいか?」



ほらね。



「うん、分かった」


「……甘い」「……やっぱり尻に…」


うきうきした心を悟られないように緩んでしまう口を「い」っと気合いを入れて引き締めて、至って真面目を装い机上の紙にペンを走らせた。







僕たちの旅は、これからも続く。













---- I Swear ----


나를 보며 미소 짓던
僕を見て微笑む

그 모습이 낯설었지
その姿が なかなか見れなかったんだ

날 부르던 니 입술에
僕を呼ぶ君の唇に

고갤 들었고   
顔を上げて

눈부셨어
…眩かった

겨우 바라본 니 모습
やっと眺めた君の姿


오랜 시간이 흘러서
長い時が流れて

이젠 익숙한 니 앞이
いつしかそこにあった君の前が

나에겐 아직까지도
僕にとっては今も

많이 소중해
とても大切なんだ

고맙다는 말 한마디
ありがとうの一言が

수줍어 말 못한 내가
恥ずかしくて言えない僕が

밉진 않았니
憎かったでしょう


어느샌가 익숙해진
いつの間にか そこにあった

니 사랑이
君の愛が

늘 그랬듯
いつもあるものだったから

당연하다 생각했었어
たんなる親しみ(当然のもの)だと思ってた

바보같이
バカみたいに…

미안한 마음뿐이야
本当に申し訳ない


오랜 시간이 흘러서
長い時が流れて

이젠 익숙한 니 앞이
今は馴染む君の前が

나에겐 아직까지도
僕にとっては今も

많이 소중해
とても大切なんだ

고맙다는 말 한마디
ありがとうの一言が

수줍어 말 못한 내가
恥ずかしくて言えない僕が

밉진 않았니
憎かったでしょう


어둠이 다가와도(Love U)
暗闇が近づいてきても

baby I Love U, Thank U(Thank U)

내가 널 안아줄게(Love U)
僕が…君を抱き締めてあげる…から

baby I Love U, Thank U(Thank U)

어둠이 다가와도(Love U)
暗闇が近づいてきても

baby I Love U, Thank U(Thank U)

내가 널 안아줄게(Love U)
僕が君を抱き締めてあげるから…

baby I Love U, Thank U(Thank U)


I'm falling for your love,

I'm falling woo

너를 지킬게
君を守るから


오랜 시간이 흘러도
長い時が流れても

사랑한다는 한마디
愛してるの一言が

어색해서 말도 못할
ぎこちなくて言葉にできない

나일 테지만
僕だけど

우리 함께
僕たちの、一緒に

울고 웃던
泣いて笑った(悪い事も良い事も)

지워지지 않을 기억 간직해
消せない記憶全部をそっと大事に抱えて


(Love U)

어둠이 다가와도(Love U)
暗闇が近づいてきても

baby I Love U, Thank U(Thank U)

내가 널 안아줄게(Love U)
僕が君を抱き締めてあげるから

baby I Love U, Thank U(Thank U)

어둠이 다가와도(Love U)
暗闇が近づいてきても

baby I Love U, Thank U(Thank U)

Baby, I swear Forever
僕は誓います




Korean Lyrics by 심창민(Sim Changmin)





あと1話です。
にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 二次BL小説へ
にほんブログ村
にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 二次BL小説へ
にほんブログ村
Fc2


スポンサーサイト

コメント

  • 2017/02/16 (Thu) 23:16

    kinm*****i 様

    どこにいようと、チャンミンはユノに繋がっています!(^_^)

    この歌、本当に素敵な曲ですよね❤

    私も精進して、もっと素敵な物語を作っていきたいと思っていますので、宜しかったら、また是非お越しください♪(^ー^)

    りょう(ゆのっぽん)

    • りょう(ゆのっぽん) #NNZ72WTo
    • URL
    • 編集

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する