片割れ chap.9 番外編#23 チャンミンの平行世界









「マネヒョン!お願いします!」

「チャンミン…っ!、」


運ぶ足が速すぎて、縺れそうなほど軽い。

後部座席のドアを開けて待っていてくれたマネヒョンに礼を言ってバンに乗り込もうとすると、肩から体当たりで抱き締められた。


「お帰り!俺もユノも絶対守るからな!もう辞めるなんて言うなよ!!」

「…。はい」


マネヒョンの腕の力強さが、苦しくて痛くて。
嬉しい。
目を閉じて『チャンミナ』に笑い掛けた。





こんなに愛されてる。大丈夫。

僕がいなくても皆いる。

分かってくれる人は、必ずいるからね。





「……行きましょう」

「よし!今ユノがドタキャンした仕事の埋め合わせしてて時間が押してるんだ。ミーティングまで事務所でゆっくりしてていいぞ」

「いや、急ぎたいんです!」


時を刻むごとに僕の常識と意識は溶けていく。

この場所に同化しちゃいけない。チェさんからもらったキーホルダーを手離しちゃいけない。
車に乗り込んで、リュックに2連を着ける。
それからマネヒョンに油性ペンを貰って手に直接『必ず行け!』と書いた。紙なんかに書いてたら、それすら忘れてしまいそうだから。


「マネヒョン僕は?今日撮影ないですよね!?」

「お、おう。今週はほとんど仕事入れてないだろ?」


思わず語気が荒くなるのは仕方ない。
まずは手の甲いっぱいに。
マジックペンのキャップを抜いて、一番忘れちゃいけない場所と個室の位置を書いた。


「あー、何してんだお前~」

「チャンミナがね、教えてくれたんです」

「は?」

「ふふっ」


夢の中で、最後に。





『チャンドルは…分かった?僕ユノヒョンと行った居酒屋で、一瞬気分が悪くなった場所があるんだけど』

『……いや?そこまでの感覚は拾えなかったけど?』

『トイレに行く途中で通った個室の前なんだけど…。今考えると、そこがチャンドルの倒れた個室だったんじゃない?入った場所は分かる?』

『分、かる……。もしかして、、そこに行けば戻れる……?』

『時空の歪みってよくオカルトなんかでいうでしょ?ある場所で限られた人が行方不明になったり。でも分かんないよ、そこに行ったからって戻れる保証はない。何か条件や時期も関係するのかもしれないし。第一チャンドルは本当に僕の別人格かもしれない』

『それはないから。僕には僕の場所がちゃんと存在してるんだ。いいから教えて。そこが僕の覚えてる個室ならビンゴだ』

『じゃあ僕が次に目覚めた時その個室にいたらチャンドルは戻れたっことになるのか……ふふっ。……ちょっと、僕のこと分かってくれて助かったから。寂しいような気もするけど……』

『チャンミナ……』

『まあ、ほとんどイライラしたけどね!ユノヒョンに軽々しくキスしやがって!!プロポーズの行為なんだぞ!?一生根に持つからな!』

『ごめん……僕もあの時は夢から覚めたと思ってぼーっとしてた……でも別にいいじゃん、チャンミナも僕も同じ人間だろどうせ……僕って本当しつこい性格してるな…めんどくせ

『……プチン。。てかさ…、、自分の気持ちに気付いてなかったとかあり得ねー!好きって言われて気付いたの!?嘘でしょ!?僕ずっと前からユノヒョン好きでしたけど?童貞ナメるなよ!』

『……イラッ。。てかさ…、、』






「……ぶーっ!くくくっ…最後は、喧嘩別れだったな」

「チャ、チャンミン?……まあ、なんか楽しそうだな。良かった、本当……元気になって」

「……はい、もう大丈夫ですよ」




大丈夫だよ。

僕がいなくても、皆がいる。

お前のユノヒョンがいる。





「さあ!次は……、」


TV2XQ
済州島
Why?
TONEツアー
東京ドーム
スペイン、写真集
カルボナーラ
アルマヴィーヴァ……


いつかの映画で観た、記憶を失っていく主人公のように。カーディガンを捲って、思い付く限りの単語を腕に書き流した。
忘れないように。ユノと僕の歴史。


「マネヒョン、今日は何時ごろ終わりますかね?」

「うーん……。TOHOSINKIとスペクトラムとギュラインに関わることだから、、正直時間がみえない。賛成されれば早いけど、それだけじゃない意見もあるだろうからな……」

「ギュラインは予定通り一曲出します。事務所の人間や待っててくれた人達にまずは一曲聴いて欲しい。僕の想いを伝えたい。それからTOHOSINKIに戻ります」


チャンミナと話し合った活動予定。
選択やタイミングは違っても、辿り着く先はきっと同じだから。


「……アリかもな、それ!」

「はい。皆に納得してもらえる自信があります」

「うお……、チャンミンがそんなにはっきり言うなんて珍しいな…」


仮にまだ他のパラレルワールドが無数に存在していて、そこにはまたそれぞれの『僕』がいたとしても。 

ユノとTOHOSINKIをやる。




僕はきっと、

そういう星の元に生まれてる。







「……ふう、、」


だから僕も帰りたい。
1分1秒がひどく怖い。

走行中空を見上げれば、青空じゃない緑色。スマホを開けば、宿舎ですらすらメッセージしてたキュヒョンとのカトクもまた配列がおかしく読めた。


「……」


だけど気持ち悪いという違和感は……すでにない。。


「急がないと……」


事務所に着いて『ユノ』が到着するまで居てもたってもいられなくて、僕は練習室を借りてひたすら歌った。











片割れ#チャンミンのパラレルワールド
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