【ホミンホ合同企画ミーアゲ】8月18日のハーモニー、運命の恋人か?なし崩し的彼氏か?~ chap.8~







腸が煮えくり返って正常な判断ができない。
別れてることなんてすっぽり忘れ去った。


(いや、俺のだから…!)


言うが早いか、男の肩に手をかけてチャンミンから引き剥がした。あわよくば俺とチャンミンの関係を察した上で態度を弁えてくれれば尚良い。そんな脅しも込めて。丁寧に、でもなるべく低い声で唸る。


「お客様、他のお客様のご迷惑になりますので……」

「ああ、すいません。チャンミナ、ほら、こっち座れよ♪」


でも男は俺の威嚇に全く動じない。大声を出したことにだけ注意されたと思ったのか、ぽんと謝って、今度はチャンミンの手を引っ張って自分達のテーブルにつかせようとする。


「あ……ちょっと、今日は…」


チャンミンは我に返ったようにハッとして俺と男の顔を見比べて困り切ってる。青ざめてる。
そんなチャンミンの決定的な表情を捉えて悲しくなった。

何なの、そいつ。
絶対過去に何かあっただろ、そいつと。

でも彼氏も経験も初めてのキスもチャンミンの全部は俺だから。

子供みたいに幼稚な闘争心が奮い立って、一人で勝手にはしゃぐ正体不明の男が許せない。


「いいじゃんっ♪せっかく会えたんだからコーヒーくらいつきあ…」

「お客様?…チャンミン嫌がってるだろうが。離せよ。てめー、誰だよ」

「は…え……?」


馴れ馴れしく強引に引く男の腕をはたいてチャンミンの盾になった。店の空気が凍りついてるのが分かる。BGMのハウスミュージックだけが踊っていて、男はぽかんと口を開けて静止した。


修羅場、の前の静けさ。
でも一歩も引く気はない。


「ユノ…!違う違う!こいつは僕の、幼なじみの大親友で…っ、キュヒョンって言う奴で!」

「…………はあ?」

「っ、キュヒョナっ。ここのオーナー、ユノ!すごく真面目な人だから何か勘違いしちゃったみたいだ…っ」


え、ちょっと待って。
全然理解できない。
背中をペシペシ叩いてくるチャンミンは真剣そのもので、それも理解できない。


「……あ、チャンミナの知り合いの方…?どうも……、キュヒョンと申します。。」

「……どうも。……ユノです。。すいません、はたいてしまって……」

「いえいえ、俺も騒がしいことしちゃって……何か凄い反応されたんでちょっとビックリしましたけど……」

「……」


親友??できるの、そんなこと。
チャンミンは心は女だから男を好きになる性質で、だけど男の親友なんて作れるものなのか?男女間の友情のようなもの?抱き締めあうほど仲の良い??それってどうなんだ?

思考回路がパンク寸前。

チャンミンの腕がぐいぐい俺の背中を押してバックヤードを目指してるのは、何か疚しいことがある証拠じゃないのか?


「キュヒョナっ、ちょっと…後で連絡するからさ!僕今日ユノに話があるから、とりあえずまた今度ゆっくり話そうぜ…っ」


親友って何でも打ち明けられる関係なんだよな?抱きあうくらいだもんな?幼なじみだし。じゃあなんで今チャンミンはオネエ言葉じゃないんだ?カミングアウトはしてない大親友、ってこと?それ、シンユウ??


「えええええ。話終わるまで待つからさぁ、近況報告とか教えろよーw。自慢の武勇伝はどれだけ更新してるんだ?w」

「…っ、ないないない…っw。キュヒョナ頼む、黙れえ…!」

「ぶっwww。うるせー、このプレイボーイがw」


苦笑いって、


ホント漫画みたいに冷や汗が出てるように見えるんだなって、チャンミンを見てて初めて実感した。




「……プレイボーイって、何?」




俺は何だか妙に気分が落ち着いて、そしたらチャンミンの押してくる力なんて何て事ないことに気付いて足を止め、優雅にさえ振り返れた。じっと2人の顔も見つめられたし、チャンミンの眉の下がり方って分かりやすくて可愛いよな、とか。そんなとこまで掬い取れた。


「ユノ…っ、僕本当に今日は話があって、でもすぐ戻らなきゃいけないから早…」

「お前もしかしてキュヒョンさんのこと好きだったの?」


ひとつひとつの疑問を、ひとつひとつ。
聞いてみるだけ。


「、はあ?そんな訳ないじゃん…。だから、キュヒュナは昔から幼なじみの…」

「カミングアウトはしてないの?ゲイだって」

「…………」

「武勇伝って、何か自慢できる話があったの?俺も聞きたいんだけど」

「…………」

「ごめん、ちょっとよく分からないんだけど。ゲイのプレイボーイってどういうこと?」

「……ゅ…っ…ユノ……あの……、」


チャンミンはひとつ答えて、その後はどこか痛みが走るんだろう。ぱきぱき顔を歪めて耐えてるから、答えられない。どこか痛いから喋れない。きっと、そうだ。
伏し目は今も輝いて綺麗なのに。もったいない。


「あの……っ、、」


温かさとか、優しさ。





今から全てが翻るなんて、もったいない。




「すいません、ユノさん…?さっきからチャンミナに俺のこと好きだったのかとかカミングアウトとか……貴方の方こそゲイなんじゃないですか?ぶっちゃけ狙ってるでしょ?チャンミナのこと」

「キュヒョナ!」


うん。ゲイは俺だな。
チャンミンが好きなんだから。


「ちょっと、チャンミナの名誉のために言っときますけど。こいつは綺麗な顔立ちしてますけど、女の子大好きエロ魔神なんで男が入る隙なんてないですからね?悪いんですけど諦めて下さい」

「黙れ!キュヒョナ!」

「お前も悪ぃーんだよ、面と向かって断りきらないから昔っから変な男に追いかけ回されて。大変だったじゃねーか」


ゲイは俺で、ノーマルはチャンミン……?

俺がチャンミンを追いかけてただけ?
俺がチャンミンをなし崩しに襲ってただけ?

なんかもうよく分からない。
よく分からないしよく見えない。


「あー……、モテすぎて逆に誰とも付き合ったことない…感じだったんだ。スゴいな、チャンミンは……」


男の矜持はなくなっても、チャンミンの全部は俺だから。これは最後の砦のようなもの、で……。


「あのー、話聞いてます?貴方がどんな夢を抱いてるか知りませんけど、チャンミナは普通に彼女もいましたし、普通に女の子と遊んでましたよ?人数が半端なくて笑えるくらい」

「、、、、」



嘘つき。













『初めて』だって、








言ってたのに。









「失礼します。こちらもユノの名誉のために言わせて頂きますが、見ず知らずの方にそのような言い方をされる筋合いはございません。お代はけっこうですので、どうぞお引き取り下さい」


ヒチョルが俺の前に現れて何か言ってくれてるけど、俺はもうどうでもよくなってた。
それより他のお客様を帰した方がいい。そう思って体の方向を変えるとチャンミンに腕を掴まれた。


「ユノ、キュヒョナのことごめん!昔からすごい心配性のやつで…、後でちゃんと言っとくからっ」

「嘘つき。ヤリチン野郎」

「……。言い訳はしないからこれだけ…伝えたいことがあって…っ、2人になりたいんだけど……」


無視してフロアを見ると客は誰一人いなかった。外を見るとガラス越しにテミンのお辞儀する後ろ姿が見えて、先回りして帰してくれたことに感謝した。キュヒョンさんの連れは大丈夫だったのか、申し訳ない。


「チャンミナ、行こ!」

「ユノ……あの、ごめんこんな所で言うことじゃないんだけど、え、と…っ、」


スラックスのポッケから濡れた紙を震えながら取り出して、目頭から涙を溢しながらあたふた折れた部分を広げるチャンミンが惨めったらしくて仕方ない。何をそんなに言いたいことがあるのか。早くキュヒョンさんと帰ればいいのに。


「30万ウォンなくなったっていうのが…気になってて……ぐ…ぐす…っ、ちょっと調べさせてもらったんだけど、、テ、テミン君に…過去に窃盗罪の前科があって…っ、もしかしたら、事情聞いた方がい、いいかも…」


力加減せず打った。チャンミンの頬を。
ぽとっと落ちた紙の端に、テミンの顔写真と指紋印のようなものが見えた。最低。テミンはあんなにチャンミンの事を見てくれてたのに。

俺も最低だけど、こいつも最低。でも最低同士でなかなかうまくいってたのかもしれない。

チャンミンは俺みたいにしゃがみこむ事はしなかったけど、あの時の感じた虚しさを、少しでもチャンミンに伝えられたらいいのに。

俺の話を信じてくれたことも。オネエ言葉も。ゲイも。初めても。



あれも嘘。



これも嘘。




全部、嘘。




嘘つきチャンミン



    





さようなら








「その件はすでに解決しました、テミンに話を聞く必要はありません。従業員を信じて頂けないのでしたら、もう二度とお越し頂かなくて結構です。今までありがとうございました」









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【ホミンホ合同企画ミーアゲ】8月18日のハーモニー、運命の恋人か?なし崩し的彼氏か?~ chap.7~








ボアさんは毎日店に通ってきてくれるようになった。まるで遊園地に通い詰めてた時の俺みたいに。当時の温度差を埋めてくれようとしてるみたいに。


「こんにちわっ。また来ちゃいましたっw」

「ははっ、ありがとうございます。いつもので宜しいですか?」

「はい♪いつものアイスチョコで。いいですね、なんか『いつもの』って。常連になれたみたいで」

「ボアさんはもううちの常連さんですよw」

「わあ、嬉しいです!」


華やかで陽気。現在ダンススクールに勤めているという彼女は、きっと人気のある講師なんだろうなと容易に推測できた。
悪い人じゃない。
それが目に見えて分かるような人だから、毎日挨拶してくる彼女に、他のスタッフ達も困惑してるようだった。いつか来るかもしれないチャンミンに遠慮して、という感じ。
もう来ないのに。
でもヒチョルの文句には思わず笑った。


「いかにも悪役みたいな女だったら良かったのに。そしたら気持ち良くユノを罵れた」


さすが…………俺の運命の人だろ……?


チャンミンは『運命』を貶(けな)したけど、俺は説明できない巡り合わせに憧れる。
何か神秘的な、逆らえない、引力を信じたい。

足取りは重くても、



俺たちは進んでいく。
距離は近付いていく。




チャンミンの予定に合わせて取る休み以外で店をヒチョル達に任せたのは久しぶり。


「ユノさん、ごめんなさい!待った?」

「いえ全然。俺も今来ましたよ」

「良かった♪どうしましょうか?映画でも観に行きます?」

「えっと、どうしようかな……あ、体動かすのは好きですか?遊ぶ系の」


映画はなんか嫌だった。
なんか。仕方ない。


「うん、私も遊びたいですっ。せーのでお互いやりたいスポーツ言ってみません?」

「はいw」

「せーのっ、」

「「ボーリング」」


ボアさんの溌剌とした大振りなガッツポーズが面白くて笑える。


「マジかw」

「あははっ☆すごい合ってるw!行きましょ行きましょ!」


デートコースの趣味が同じで驚く。スポーティーな印象で職業柄、運動神経も良さそうだなと思っていたら本当に良くてさらにビックリ。

レーンの向こうに並ぶピンが全て吸い込まれていく。


「マジか…!」

「いえーい!またまたストラーイク☆今のところ私の勝ちですよ~っ」

「……いやいや、ちょっと待って?これから本当の俺の実力を見せますからっ」

「あははっ。じゃあ早く見せて見せてw」


時たま深夜に連れて来る店のどのメンバーよりも高い数字を叩き上げるボアさんのスコアに勝負魂の火がついて面白い。汗を掻くほどボーリングに没頭して。最後のゲームなんて真剣になりすぎて無言で投げてた。正直、相手が誰かも忘れてた。


「ユノさん、強いですねー!」

「あ……本気でやりましたから、負けたら勝つまでお願いしてたかもw」

「あははははっ!」


場所を移して、俺の入ってみたかったカフェでもボアさんはよく笑った。「私もここ来たかったの、知ってたんですか?」って笑い涙を拭きながら。明るくて、いい人。

入った店は街の中心部に新しく建てられたビルの一階にあって、広さを贅沢に活用したスペースが落ち着ける。壁や置いてあるオブジェが淡い色で統一されているのも女性受けしそうで、雑誌で以前取り上げられていた事にも頷けた。


「ユノさんはカフェの勉強のために来たかったの?」

「まあw、それも兼ねて。どういうメニュー出してるのかなぁとか。こういうインテリアにしてるんだなぁとか。気になってたんです、ここの店」

「勉強熱心なんですね。ずっと目が私の方より店内に向いてますもんw」

「ははっ、ありがとうございますw」

「あんまり褒めてはいないんですけどねw」

「?、はい?」

「www。ユノさんって、集中し始めたらそれしか見えなくなるタイプですよね」

「あ、それは自分でも思ってますw」


メニューを選んでもやっぱり二人とも同じものをオーダーして、笑った。
趣味があう。
気の置けない親しみがある。

ボアさんの話に相槌を打ちながらまた店の装いに気を取られていると、内容はいつの間にか核心に迫っていた。


「実は親の急な転勤について行って、都心に戻ってきたのは最近なんです。散歩で入ったカフェで偶然ユノさんを見かけて驚きました」

「そうだったんですね……」


だから来れなかったのか。
あの日の待ちぼうけに合点がいった。

でも、存在する偶然。
きっと、これが……。


「かといって会った時から何年も経ってるし、あの時は私パフォーマーで、ずっとユノさんの所に留まる訳にはいけないし…。もちろん来園者の方と私的な話なんてしちゃいけないから…。私のこと覚えてないよねって思ってたので。覚えててくれて本当嬉しいです、私」

「そんなことないです。ずっと覚えてました。俺は、本当に……っ、」


感動的な再会場面なのに、チャンミンの見下すような顔が浮かんで言葉が詰まる。
困って目線をさ迷わせると、彼女がバックに付けているキーホルダーで目が止まった。


息も止まるかと思った。


「……」

「ん?あははっ。カワイイですよね、このくま♪ユノさん、目の付け所がいい!これ、シリーズ化してて。このキーホルダーだけじゃなくて他のグッズもあるんですよ、もちろん…」

「ぬいぐるみも。知ってますよ……だってそれは、もともと俺が好きなくまを…」


あの子にプレゼントした。くま。


「だから私も好きになったんですよ」

「え」




やっぱり




「運命ですよね、私達」



やっぱり


そうなんだ




ボアさんが、俺の運命の   



「なーんてっ。恥ずかしいこと言ってすいませんw。私、けっこうサバサバしてるんですけど、ちょっとロマンチックな感じも好きでw」

「いえっ、そんなこと……。俺もですよ。サプライズとか好きですし」

「そうなの!?私、来週誕生日なんですっ。18日!」

「8月18日……」


それで18日だったのか。
誕生日の約束は、ロマンチックこの上ない。
点と点は繋がった。
心は何故かドン底に重いけど、あの時ボアさんがくれたメモは一生忘れない。

交わした約束は、


「うん、そう。ユノさんに、その日お祝いしてもらいたいです……。そこで、、できれば…っ、」




【そしてできたら、恋人になって】




「国立遊園地の観覧車の前で……。20時に?」

「!約束ですよ♪」








俺たちは、恋人になる











さあ、8月18日は、どんな告白をしよう。

ランチとディナーの間のアイドルタイムに陥って、今日のうちの店内には男性3人グループとカップルの2組しかいない。
当日まであまり時間がないから、手隙の内にアイデアを練らないと間に合わない。


「大丈夫ですか、葬式みたいな顔してますけど」

「テミン……。お前、言ってくれるなああ?俺は今すごいウキウキする事考えてたんだぞっw」

「またあw、今日は大雨でお客さんが少ないから落ち込んでたんでしょ?そんなユノヒョンにいい報告を持って来たんですけど」

「お、何?」

「見つかりました。30万ウォンの納品書、ちゃんと束の中にありましたよ。張り付いてて確かに見落としやすい具合でしたけど」

「!マジか!あ~、ありがとうっ。助かったぁ~」


差し出された紙を受け取って確認すると、夏の時期に調整して追加発注したビール瓶数種類の品名と30万ウォンぴったりの額が記入されていて、やっと胸を撫で下ろせた。たった数十万ウォンかもしれないけれど、経営者にとって会計の誤差は死活問題。下手をすれば従業員の信頼問題にも関わってくる。


「僕、あの人好きですよ。最近毎日来てユノヒョンと話してる女の方。明るいし」

「おう、そうか……」


突然ボアさんのことをふられて、手から納品書を滑らせてしまった。でも少しおっちょこちょいな俺を、テミンは笑わず黙って拾い上げてくれた。
それと一緒に、輪ゴムで留められた、うちのロゴ入りナプキンの紙束も。


「毎日来店してユノヒョンにも僕らにもアピールしてる彼女のガッツは凄いと思います。でも、僕達はですね」



紙にはボールペンで書かれたメッセージが乗ってる。


テミン君。
今日のカクテルは……ごめん!(笑)ちょっと味がバラバラな感じ…?でも前のオリジナルはホント最高だったよ。
今日もごちそうさまでした。






捲って下のナプキンを見れば、また別のメッセージ。


ヒチョルさん。
このピザ、美味しい!男女問わず食べれます!絶対定番メニューにした方がいい!
ごちそうさまでした。






どのナプキンも一度半分に折り畳まれた跡が残ってる。


ミノ君。
今日のワイン、ちゃんとデキャンタした方がもっと美味しく飲めるよ。忙しいだろうけどファイティン!
ごちそうさまでした。






お客が直接従業員の誰かに手渡す姿なんて見たことない。
こちらが気付かなければ、そのまま捨てられていくだけだった差出名なきメッセージ達。


シウミン君。
新しいドイツビール、コクがあるのにスッキリして飲みやすい!見たことないラベルだし珍しいから、この夏人気出そうだね♪
ごちそうさまでした。









「いつも食器の下に隠すように置いてくれてたんです。チャンミンさんの、こうやって静かに、素直な感想教えてくれたりする所……好きだったんです。だから皆こぞってオリジナルの料理やカクテルとか、新しく仕入れた飲みもの試してもらったりしてw」

「よく気付いたな……俺、全然……」

「僕手癖悪かったから、そういう所だけは鼻が効くっていうかw」

「もういいって……はは……」

「お手洗いに行きがてら他人が床に落とした紙屑をそっと拾って持ち去ってくれたり、僕らさえ気にも止めないお店の飾りの傾きをちょこちょこ直してくれてたり…そんなの誰も気付かないのに、」

「……」


チャンミンには、








普段可愛い子ぶってるくせに
そういう小さな温かさがあって










すごく似てる気がしてた。





8月18日に出逢ったチャンミン




運命の人がチャンミンって、

言っちゃっていいんじゃないかって


少し疑ったこともある。
期待した。



でも去年まで、チャンミンは地方の所轄に配属されていたと言ってた。あんなに忙しい刑事が都心部の遊園地で働ける訳がない。
チャンミンはあの子じゃない。


「ユノヒョンのことちらちら見てるくせに、目が合いそうになると逸らしちゃって本読んでる振りしたり。年上だけど可愛い人だなぁって。ユノヒョンのこと、本当に大好きなんだなぁって。そんなの見てたら、ゲイの人だろうが何だろうが、応援したくなっちゃいますよ」


「、、っ、ゃ、……っ、」






ウンメイナンカニシガミツイテ





本当に大切な人を







見落としてないか?俺









「ユ、ユノヒョン…!」

「え」

「チャンミンさん来た…来た…!!」


肩をグラグラ揺さぶられてテミンの指差す扉を見る。傘を閉じて湿った髪を掻き上げる来店者。両肩は濡れてカッターシャツは透けてる。確かに。


「チャンミン……」


チャンミンだった。
二度と来ないと思ってたチャンミン。


「あの、ちょっと話があるんだけど……今、大丈夫……?」




おずおず歩いて見上げてくる瞳をもう堪らなく抱き締めたくて。



店なのに他の人もいるのに気にならなくて。




怯まず動き出した足は
カウンターから抜けて。





俺は不覚にもちょっと泣いてた。






「チャンミナ!!!」





でもチャンミンを抱き締めたのは俺じゃなかった。今まですぐそこの席で談笑してた、3人グループの内の一人の男性が俺の目の前でチャンミンを正面から包み込んでる。


「会いたかった、チャンミナ…!」


茫然。俺は。
首だけ回して振り向いてみたテミンも。茫然。何事かとキッチンから出てきたヒチョルも。みんな。

抱きつかれた男の顔をチャンミンだけが知ってるようだった。


「ウソ…っ、久しぶり……っ、、」

「お前こっちいるなら連絡くらいしろよ!」

「ごめ…、、でも会いたかった…!」

「俺も……っ、」


抱き締めあう二人は。




「……ぁぁ、」



ああ、


まさに


 







これぞ感動の再会って感じ。


「元気にしてた……?」


切なげにそう言って相手の顔を見つめ返すチャンミンに、俺は   
















その男は誰?




チャンミン










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【ホミンホ合同企画ミーアゲ】8月18日のハーモニー、運命の恋人か?なし崩し的彼氏か?~ chap.6~







チャンミンの声は、か細いピアノの旋律の低音。の、ように綺麗。


「それは誰?」


声も。振り返った空気も。目も。輝いて。淀みなく清い。
まるでこの世界の至上の宝石みたい。
装いがどんなに荒んでいてもただ、とにかく美しい。


「誰って……、チャンミンは知らない人だけど、……最近来てくれだしたお客さ…」

「嘘だ。そんなの絶対有り得ない」

「いやっ、本当。俺もビックリしたんだけど…っ」

「ユノ」

「、うん……」


制されて、感覚が馬鹿になる程大きな瞳から目が離せない。あの時から俺は蜘蛛の巣の中にいる。
ずっと。初めから。


「ぶーっ!!…くくく…っ、ユノその話またするの?wあなた何歳なの、ホント。可愛すぎw」

「……は…っ…?」


おどけて触れてきたり、はぐらかして笑い飛ばすのはいつもチャンミンの方。ふわふわ、ヒラヒラ。いつまでも捕まらない蝶々。


「ちょw、待って。本っ当お腹イタイ…っw」

「……」


盛大に吹き出した後、けたけたケタケタ笑い続けるチャンミンがやっぱり掴めなくて、俺はその様子を見守ることしかできない。分かることは笑われてる、それしかなかった。


「はあ~っ、もうw。初めはそんな断り文句もメルヘンで可愛いわあ♡絶対この人ゲットしなきゃ♡って巻き返したけど。別れ話にそれ、本気で使っちゃうなんてwww」

「え、メル…?、、だって……話、したろ?運命の人がいるって…」

「あははははっ!運命とか、スゴいっ!そういうのスラッと言えちゃうの、本当ユノくらいよw運命って……ぶふっ、www」

「は……」


自分でもおかしいよなって自嘲して悩んだ。
人にはなかなか言えない恋で。
でもチャンミンは真面目に。会ったばかりなのに真剣に聞いてきてくれて。射抜かれた。
チャラくてもふざけてても根本はすごく。
外見だけじゃない。
心すら美しい人間なんだって。


だからこんなに



苦しいのに


やっと出逢えた運命の恋人の煌めきより


性別を越える衝動





抱き合えたチャンミンがいい、なんて




「話もしたことない、顔も知らない人間をずっと探しるって?見つかったから仕方ないからサヨナラだねって?そんなの誰が納得すると思ってんの?頭おかしいんじゃないの?どうせ僕と別れたいだけでしょ?だったらはっきり言えばいい。泣かせてみなよ、僕を」

「……」


なーんだ、やっぱり。





「分かった。もういい…」




男言葉を使うこいつは本気で。



フザケテル。





「好きな人ができた。チャンミン、俺と別れて」


襟首は相変わらずよれてる。

ドラマでよく観る平手打ちが飛んできてマンションの廊下に音が弾けた。でもドラマでよく観る微動だにしない男にはなれなくて、俺はあまりの痛さにうずくまってしまった。目に星が飛んでる。声を我慢できない。
シナリオ通りにいかないのは、打った役者が鍛え上げてる男のせい。


「…っ、ぃ…っ、、たあああ!!!ああっ、痛っ!!……っ、、」


筋肉の間の溝を舌で柔く伝うのが好きだった。そうするとチャンミンはすごく感じてくれるから。官能的な声を漏らして、芸術的な身体で誘われて。何度も悪戦苦闘しながら、二人が二人で感じる前戯や体位を見いだした。時間を忘れて愛撫し合った。

溺れちゃいけないと思ってたのは、
もう溺れてたから。


「運命なんかにしがみついて。愚かな人だ、あんたは」


せめて相手が男か女かくらい聞けよ。馬鹿。
俺が振ったのに、お前の方が恰好良く潔く去るんだから。全く。










泣けてくる









散々な朝は、憂鬱な気持ちから始めなければならない。それを少しでも軽くしたいと、口は冗談を飛ばしてみる。


「テミンー。レジの金が30万ウォン足りなーい」

「え、それ、、もしかして僕疑われてます……?」

「どっかにある何かの領収書、一緒に探して?って意味♪」

「っ!酷いですよおおお!!僕もう足を洗って全うにバイトしてるのにぃ~っ!涙」


涙目になってるテミンが可愛いくて頭を撫でた。俺もこんな風にチャンミンの前で泣けてたら違ったのかもなんて、できもしないことがよぎってしまう。


「あははっ、悪い悪いw。でも本当に見当たらなくて困ってるから助けてっw」

「もうっ。人の心理っていうのは、大事なものであればあるほど、それがないって一度認識してしまうとパニック状態を起こすんです。ちょっと隠れてるだけでも消えて無くなったように錯覚するんですよ」

「ほー、ふむふむ」

「その逆に、あると認識するともう信じて疑えないから盲目にさせたりもできちゃうんです。結局、どちらもその場を離れちゃうから残された財布とかカードとか、後からすっと行って頂くという手を僕は使ってましたけど…w」

「こらこら、やめなさいw」

「ま、過去の話ですwレジの中と精算書類の束、僕が確認してみますから貸して下さい」

「うん。俺はテミンを信じてるから。頼むな♪」

「ふふ♪ユノヒョンは僕にとって恩人なので信じて下さいっ。頑張りますっ」


昔ちょっぴり悪さをしてたことのあるテミンに面倒なことをお願いして、掃除中でばらばらと動いている従業員達に「独り言」を聞いてもらった。まさか全体朝礼で破局宣言するほど俺も偉くない。皆とてもチャンミンのことを気に入ってたから、気が滅入る。


「ふう、、、……あー!チャンミンと別れたぁー!色々あってもうチャンミンはここ来ないと思うけど、皆は変わらず仕事よろしくなー!」


ヒチョルは白い目。それ以外の連中はわっと詰め寄って来て煩い、煩い。


「どうしてですかあああ!?お、俺のオアシスだったのに!?」

「え、え、なんで?あんなにお似合いだったのに!?」

「僕チャンミンさんのことが本当に大好きなんですけど、これからどうしたらいいんですか!?」


ミノ、テミン、シウミンの順でぐるぐる攻撃してくる。


「頬めちゃくちゃ腫れてるのは叩かれたせいでしょう!?ユノヒョンが悪いんですか!」

「浮気ですか?許してもらえなかったんです?」

「ユノヒョン、ひどい……」



そうだよな。


俺の話を知らない奴や信じてない奴らにとって俺はただの浮気者で、運命の恋人なんて都合のいい、言い訳でしかない。


「うん。俺に好きな女の人が現れたから……チャンミンには別れてもらった……」



俺って、最低。










5000日記念、おめでとう!東方神起!
日本でゆっくり素敵な時間を過ごせることを願います。
愛を込めて

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