片割れ chap.10 #15








______C.side______






小さい頃から泣き虫だった。

悲しいという感情を、
人より多く持って生まれたのかもしれない。




幼稚園児だったある日

教室の隅で積み木遊びをしていると、近くで遊んでた女の子が突然泣き出した。訳も分からず見つめていると、その子が突然走り出して先生のところへ駆けつけた。


『どうしたの?なぜ泣いてるの?』


心配そうに聞く先生に向かって、その子は言い放った。


『チャンミン君にぶたれた!!』


僕を指指し、睨みつけて、その子はまたさらにわざとらしく泣き出した。

悲しくて、悔しくて


『……』


二度と幼稚園へ行きたくないと思った。







小学校はクリスマスの時

スヨンの幼稚園のクリスマス会に行って小学生の僕だけプレゼントを貰えなかった。

悲しくて、悔しくて

それからサンタクロースを信じなくなった。




運動会の時は

靴を脱いで思いきり走ってると、一生懸命頑張ってるのに皆から大笑いされた。その時履いてた靴下がたまたま緑色だったから。

悲しくて、悔しくて

緑色の靴下は自分で絶対選ばなくなった。




それは一種の病気のようなもので、

悲しくて悔しい感情は常に僕を蝕むように支配していく。



僕はただ泣きじゃくって、白旗を挙げ続けるしかなかった。







自分を全否定されてるネットの書き込み欄。
空港で聞こえてくる野次。
ステージ上から見えるボードの中傷。
アンチの言い分。

二人の活動になってから、さらにあからさまに襲ってくるそれらに傷付かないわけがなくて。

悲しくて、悔しくて

心はズタズタで、












でも辞めようなんて一度も考えたことない



スヨンの言う通りだ






















何が何でも欲しかった















______Y.side______






「マネヒョン」

「何だ?」

「チャンミナ、いつ返してくれるの?」

「……ほぼ毎日事務所で会ってるだろ…」

「…………」


キャップとバックを適当にその辺へ置いて、帰ってきて早々ソファに身を沈めるともう駄目で。
腰がソファと同化してしまったようにそこから動けない。

目の前の真っ黒なテレビ画面も、静まりかえったミュージックステレオも点けなくていい。尻ポケットのスマホが振動するけど取り出す煩わしさに諦める。誰かと会う約束をしてたかもしれない。でも思い出せない。

投げ出した足だけはやっと組んで、その上に肘を付いて顎を乗せた。


「……」


そこで俺の動作は終わった。


「、、、何の興味も湧かないな……」


こんなの俺じゃないって分かってるんだけど

動けない
特に動きたくない


「……何してんのかな……」


さっき分かれたチャンミンは、きっと自宅に帰ったんだろうけど。

もう過呼吸は大丈夫なのか?
チャンミンのお父さんもお母さんも善い方だから、チャンミンも落ち着いて過ごせるんだろうな。俺もまた挨拶くらいしたい。日本ツアー以来だ。スヨンちゃんやヒヨンちゃんにも会いたい。
マンドゥンイも元気かな。明日聞いてみようか。家族団欒で食事して…ちょっと想像するだけで笑いあってる姿が浮かんでくる。チャンミンはマンドゥンイを撫でながら、皆を暖かい目で見つめてる。


「おい、ユノ」

「え」


マネヒョンの声と肩に置かれた手に俺の妄想は覚めた。


「お前、まさか帰ってきた時からずっとここに居たのか?」

「え?」

「今日は俺も泊まるけど一旦事務所戻ってくるって言ったろ、三時間前」

「……そうだっけ?」

「……」





これほどまでに大きな存在だったのかと





「ユノ……、ちょっと話をしよう……」





愛さずにはいられないんだよ















「儒教とキリスト教の教えが強いこの国で、同性愛がいかに非難される対象か、分かってるよな?実際そうでも公表している芸能人なんてほぼいない、制裁される危険性があるからな」

「……公表なんて考えてない。俺たちは本当にうまくやってたんだ。だからチャンミナを早くここに戻して欲しい」

「…そうだな、まずはチャンミンの話からだな……ほら、とりあえず糖分を吸収しろ」


いつものカフェで買ってきてくれたアイスチョコを手渡されて、自分の意志とは関係なく自動的に喉へ流し込んだ。
今日のアイスチョコは何だか甘さが足りない。味気ない感じがした。


「俺は、ユノを蹴ったこと、謝るつもりはない。ユノはそれほど酷いことをチャンミンにしてるんだ」


右側にマネヒョンが座ってきて、そこはチャンミンの場所なのにって思う。


「ユノだって男なんだから分かるだろ?……お前は、、征服感や快楽で満たされて満足だったろうけどな、チャンミンにとっては屈辱以外の何物でもないぞ。……いつからあんな事させるようになったんだ…?」


俺たちには、俺たちだけのストーリーがあるのにって思う。
だけどこんな風に言われるから心は激しく揺さぶられて、思わず怒りそうになる。
だって俺たちのストーリーと全然違う。


「…っ、俺たち、付き合ってるんだよ…?恋人同士の行為だ、お互い想い合ってしてた」

「ユノ一人だけ熱くなって、チャンミンは言いたいことも言えなかったんじゃないか?」

「違う!俺たちは…言わなくても分かるよな?って、」

「それは傲慢だよ、ユノ」

「だから違うって!!言いたいことはちゃんと言ってた!!分かり合ってた!!!」

「チャンミンの過呼吸はお前のせいだぞ!そりゃそうだよ、ノーマルだったのにユノに変えられてあんな姿、人に知られてな…平気でいられる男なんていないんだよ」

「……」




なあ、チャンミン

つらいか?俺と居るの




「まさか宿舎以外でやってないだろうな?」

「……どういう意味か分からない…」

「…そんな目で威嚇するなよ、事実確認してるだけだ……盗聴器や盗撮の問題があるだろ…。これ以上チャンミンを傷つけるわけにはいかない。宿舎以外で覚えがあるなら時と場所、全部教えてくれ。設置された痕跡がないか確認する。ネットでも流出情報が上がってないか確認してるんだ」




こんな事まで人に晒してさ

耐えられないよな?チャンミン




「マネヒョン……」

「…、、何だよ……憎いか、俺が……」

「覚えてる限りはちゃんと正直に言うから…チャンミナには聞かないであげて……」

「……。おう、分かった…」


息を吸って、息を吐いて。


「………ふうぅ、、、」


頭をクリアにして、考えてみても。


チャンミンを


「……」














この世の果てまでも連れて行く



俺はそう決めてる






「プライベートでホテル行ったり、野外とかはない」

「そうか…」

「日本の宿舎もない、マネヒョンも居るし」

「うん…」

「新しい宿舎に入る前、再始動の新曲の宣伝活動で泊まった、東京のホテルからだと思う」

「そうなのか……ホテルの名前と部屋、は…経理の記録を確認すれば分かるな…、、」

「うん、俺も地図見れば分かると思うから。あの時はまだ…俺の片想いで振られたままだったんだけど、その日は確かチャンミンの様子がおかしくて…」

「ユノ、世界中のホテルを洗い出すから時と場所だけで教えてくれ。それにそんな話まで俺は聞きたくない」

「でも言った方が全部思い出せるから。独り言だと思って聞き流してくれていい」

「……そうか、」

「うん、それで…」


拷問のような尋問が嫌で、すべて自分から喋った。




俺は鬼だな

ごめんな、チャンミン






俺たちのストーリーは言葉にするとあっけないほど単純で、でも俺にとってはとてつもなく濃厚な物語だった。

マネヒョンが知りたい情報よりも、気が付くとどんな気持ちでとか、どんな言い合いをしてとかの話になって脱線に脱線を重ねたけど、マネヒョンはただひたすら聞いてくれて、たまにしか出ない時と場所を黙ってメモしてた。


「ユノ、ストップ。もう出る時間だ」

「あ、もうそんな時間?でもまだ全部じゃなくて…」

「いいよ。また時間作って聞くから。ひとまずここまでの確認ができればいい。悪いな、寝ずに付き合わせて……。マネージャー失格だ、ほんと…」

「なあ…、」




地獄の果てまでも連れて行くからな







俺はチャンミンが居れば


どこでもいいよ







「マネヒョン」

「何だ?」

「プラトニックならいいのか?俺たち。それを約束したらチャンミナを戻してくれる?」

「……プラトニックなんてもうできるわけないだろ。それだけ深く関係持って…将来はどうするんだ?かわいい彼女作って結婚して子供ができて、そういう未来を夢みてたろ?二人とも」


「未来に連れていくのは、チャンミンだ」





そこで笑い合えば


どこでも楽園に変えてみせるから

 



「……ユノヤ、とにかく聴いてくれよ?今はさ、お互い大変な時期を二人で乗り越えて、絆が深すぎて少し頭が混乱してるんだよ。でもお前達はまだ若いから大丈夫、お互いの幸せをしっかり別々に見つけて年を重ねて、『ああ、そう言えば。お互い恋愛と勘違いしてた時があったよな』って、懐かしめる時がきっとくるさ」

「俺、チャンミナが居れば幸せなんだよ」

「だから…っ!!……大丈夫だよ、ユノ。絶対次の恋が見つかる。今はムキになってそう思い込みたいのかもしれないけど、また新しい女性に必ず巡り会えるもんなんだ。今までだってそうだったろ?」

「俺、チャンミナしかいらないんだ」

「……もう行こう。忘れもの、ないか俺も手伝うから…」













大丈夫だから



ついてきて









すいません!なんで…なんでか分かりませんが#15#16の順序が逆になって直してたら…!涙
頂いたぽち消滅し…(´;ω;`)本当に申し訳ございません!ただお気持ちはちゃんと受け取ってます!!

片割れ chap.10
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片割れ chap.10 #14










デビュー前から宿舎住まいを始めた。
ソウルの自宅で寝起きする生活の方がが不思議。
こんなこと、あの騒動の時さえなかったから尚更だ。

あの時はユノが居た。ユノが居たから耐えられた。でも今ユノとは居れない。

「ちょっと急な一時帰宅」なんて、明らかにおかしい約十年ぶりになる僕の帰還を、父さんは疑ってかかり、母さんと次女のヒヨンは手放しで喜び、長女のスヨンは心配そうな顔で出迎えてくれた。


「お前、どうした?何かまた……問題でもあったのか……?」


師と仰がれる教師の父親の尊厳を、一度滅茶苦茶に踏み倒して迷惑を掛けてしまった僕に、一体何が言えるだろう?


「何もない、本当に大丈夫だから。休養みたいなもの」

「……本当か?」

「別に何でもいいじゃないの~♪自慢の息子が帰ってきたんだから♪この間にサインたくさん書いてもらえるわ♪」

「オッパ!私も欲しい!」


救いは父さんとはそれきりで、夜遅く帰って朝早く学校へ出勤する父親とほとんど顔を合わせなかったこと。そしてスヨンが助けてくれたこと。


「お兄ちゃん、そういえば彼女できたんでしょ?どうなの♪うまくいってるの?」

「あ…、まあ……」

「オッパ、オッパ!それより私かなり料理ができるようになったの。オッパはどう?」

「…僕もけっこううまくなったよ」

「何よー。スヨンもお兄ちゃんの彼女のこと興味津々だったじゃない♪」

「私はもう彼氏と別れちゃったから!今、人の恋愛話なんて聞きたくないのーっ」

「スヨン、じゃあ今日は兄さんと一緒に晩ご飯作ろうか」

「賛成ー♪お母さんに兄妹孝行しよう♪」

「あら、助かる♪いい子供たちを持ったわ♪」


時間の空いたある日の夕方、そんな調子で母さんの問いかけをずっとスヨンが遮り続けてくれた。


「…オ、ッパ、、、もしかして帰ってきたのって……ユノさんが、原因……?」


二人きりになったキッチンの片隅で、鍋がことこと沸騰する様を見ながら、スヨンがそっとっそっと僕を心配してくれる。


「……ううん、大丈夫。何も問題ないよ。うまくやってる」


ここに帰ってきたら僕は『長男』で、家族に迷惑なんて二度と掛けたくない。
自分は何と思われてもいいけど家族が晒されるのだけは嫌だ。でも『縁を切って、はい、終わり』なんてことにはならないから。法的な処置を取ったとしてもきっと一生言われ続ける。
「あの家族は、TOHOSINKIのチャンミンの家族だ」と。
ユノと居る限り、家族を巻き込むかもしれないリスクが付き纏う。

”それでもユノがいいのか?”


「……」


覚悟とは、そういう意味も含まれている。


「本当!?なぁんだ、ユノさんに振られて帰ってきちゃったのかと思った。心配して損した~♪」

「ははっ。スヨン、ひどいなぁ。僕が振られる前提なの!?僕が振るってこともあるだろ?」

「あははははは!!ないない!それはないっ!!」

「何でそんな言い切れるんだ!プリンセス・スヨン!!」


ユノからの誉め言葉をそのままもじって、大笑いしてるスヨンをからかった。
涙まで出して目尻を拭うスヨンがそのままに愛らしい。
理解ある大切な妹に、辛い想いは絶対させたくない。


「だってもう、オッパはユノさんを中心に生きてるじゃない」

「え…いや…」

「ユノさんが居なくなっちゃったら、死んじゃうわよ。オッパ」

「……そんなわけない。。人は一人で生まれて、一人で死ぬ……」


過呼吸になった時を、思い出した。
でもそんな仰々しい想いまで言うわけにはいかない。


「そのくらい好きだっていうことよ。大好きなんでしょ?ユノさんのこと」

「……」





実の妹に、

ユノが死ぬほど好きだなんて





「…兄さんのこと、スヨンは軽蔑してないの……?」

「あー、洗い物もしなくちゃ。オッパ、そっちお願い」

「あ、うん…」


シンクの少し溜まった食器を手にして、軽く水洗いした後スポンジも手に取った。
返ってこない返事を前に、それが当たり前のことなのに気持ちが沈んでしまう。


「昔から、」

「うん」

「オッパの考えてることは、よく分からない」

「あー、、まあ、よく言われる」

「芸能界なんて欠片も考えてなかったくせに。お母さんの鶴の一声で本当に入っちゃうし。お父さんも丸め込まれて。なに?うちの男達は皆マザコンなのかしら?」

「だははははは!!確かにっ!!僕は少女のような母さんが大好きだっ」

「あははっ、私も大好きなんだけどね!」


日の沈みの遅い、外の陽気な空気を感じ取りながら、子供達の元気に遊ぶ声を聞く。
子供達の呼び合う声が聞こえる。


「そうだなぁ。何で入ったんだろうね、僕」


あの時はもうユノに会ってたんだっけ?
思い出せないくらい、とても遠い記憶だ。


「あの物静かで暗いオッパが、」

「はははははっ!」

「なぜかデビューを果たし、すぐさまスターダムにのし上がって日本でもデビュー。気付けばアジアを飛び回る大スター様へ変貌を遂げたのであーる♪」

「スヨン、僕は本当に努力しただろ♪」

「そうよ。努力したのよ、オッパは。歌はもちろん、恥ずかしくて仕方ないダンスも一生懸命練習して。お父さんの言いつけを守って、私じゃ想像もできない忙しさの中で独学で学校の成績も落とさなかった。分裂問題の時も散々有ること無いこと言われて、それでもTOHOSINKIへ戻った。何が何でも辞めなかった。そんなオッパを…軽蔑なんてできるはずないでしょ…っ、バカにしないでよ…!!」

「スヨン……」


さっきまでふざけてたスヨンが、さっきとは違う涙を浮かべて落とした。
蛇口を閉めてコンロの火も止め、ただスヨンを抱きしめて感謝する。

カミングアウトした時点で、生理的嫌悪感で接触さえ嫌がられることだってあると思う。でもスヨンもマネヒョンも僕に触れることを躊躇しなかった。


「本当にありがとう」


それがどれほど救われることだったか

伝わって欲しい。


「それでね、」

「ん?」


腕の中の僕を見上げるスヨンはすでに泣きやんでいて、我が妹ながら逞しいというかさっぱりとしてるというか…きっと次の彼氏もすぐできる…いや、誇りたいと思う……。


「私、疑問に思ったの。そんな死に者狂いに努力してTOHOSINKIに執着して、オッパは一体何が欲しかったんだろうって」

「……」



何が欲しかった?僕は



「……ユノさんだったんでしょ」

「へ…っ、?」

「オッパを『無理矢理百八十度変えた夢の男』だもん。考えてみたら当然よ」


それはラジオ収録で、僕が冗談めかしてユノを比喩した渾名(あだな)で。
自分でふざけて作った言葉に今更ながらどきっとする。


「……そんな昔から、ユノのことなんて考えてない……」

「そう…?」

「そうだよ……」


スヨンはふっと訳知り顔で笑うと、コンロの火を点けて再び料理を再開した。
僕はそこから動けずに、鍋の中のサムゲタンを見つめてただ呆然とするしかない。

だってそんな話、あまりに馬鹿げてる。
それじゃあユノじゃなくて、まるで僕が狂人みたいだ。


「…………スヨン、、」

「なにー」


そういえばユノが初めて作ったっていうサムゲタンは、決して美味しくはなかった。


「あの……」

「うん」



添えたいちごの赤さが際立って、本当おままごとのような料理で。
でもそれは過去に捕らわれてる僕にくれた、ユノの「初めて」だった。


すごく嬉しかった



「いつからなんて、、やっぱり自分でも分からないけど……」

「そう……」

「スヨンごめん……、」


未だ振り向かない妹の袖を引っ張る僕はやっぱり女性的なものも持ってるかもしれない。







「僕、ユノのこと……、」
 




「うん」








こんな酷い事告げる兄は
もう兄でも何でもない。











  

「……死ぬほど愛してるみたい…っ、、」






「そう…」












ただユノへ還りたい
 





「じゃあ認めざるを得ないじゃない?オッパ死んじゃうのなんて、嫌だもの」

「ごめん…!」

「うちはやっぱお母さんだよねー。お母さんが味方してくれたらアツイよねー♪」

「ごめん!スヨン…っ」

「どうする?海外旅行とかプレゼントしてまずはご機嫌とっちゃう?」

「本っ当にごめん……っ」

「あっ!そうそう!私にはSK-Ⅱね♪もう絶対忘れないでよ!?仕方ないからそれで許してやるか♪」

「…っ、、ごめん……」


軽すぎるほど明るく前向きに許してくれるスヨンに、縋りついて謝るしかなかった。



妹の気持ちの整理

家族のこと

今度のこと

そして一つ、嘘を付いてしまったこと




『いつからなんて、やっぱり自分でも分からないけど』


















「そうかもしれない」なんて



さすがに言えない












片割れ chap.10
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片割れ chap.10 #13










___ Young-Min.side______






大丈夫


チャンミンは聡明だから

ずっとユノを見てきてくれたから























きっとユノに捨てられる













______Y.side______






言わなくても分かるものは
たくさんあるけれど


『美味しい』とか

『ありがとう』とか

『信じる』とか



すごく嬉しかったよ

















朝、

足りない消息を探す自分の腕の動きで目覚めた。


「……」


目を開けて確認してもそれは見つからなくて、一人きりで横たわる身体が浮き彫りになる。
心だけがどすんと沈んで、胸だけ張り付けられたように重い。


「チャーンミン……」


俺は本来朝がすごく弱いけど、俺よりさらに弱いチャンミンを起こすが怖くて。

だってなかなか本当に起きないし、起きても目が据わってるから本当に怖いし。「まだ五分あるのに何で起こす……?」とか、「ふざけるなよ……」とか、低音で唸るから迫力ある。

でもたまに全然違う朝もあって、目線が合うと「アンニョン…」って言いながら布団をもぎゅもぎゅして顔を隠す。

毎朝チャンミンの一挙手一投足に怯んだり、腹が立ったり、弾んだり、笑えたりするから。

気付くと俺は全然眠くない。


「居ないとやっぱ……、眠いもんだな……」







完全に目が冴えて、いつもベッドから軽やかに一日を始められる。







チャンミンは俺にとって


そういう存在だった












「ふぁ~…」


眠くて怠い身体を引き摺るように自室から出ると、調度玄関を開けて入ってきたマネヒョンと顔を合わせた。


「まぁた時間ギリギリか、ユノ。早く支度しろよ」


瞼が重くて重くて、気を抜くと立ってても寝れそうなくらい。


「ん。シャワー浴びてくるぅ…」

「急げよー」







いつも軽やかに浴室へ向かうと、シャワーの心地好い刺激と反響する音の重なりに合わせて歌を歌い出したくなる。実際歌う。
一つ歌うとまた別の歌も歌いたくなる。それもまた歌うと時間はどんどん過ぎていく。







「……歌う気にもなんないな……。いいや、、出よ…」








そうすると必ず外から小言が飛んでくる。


『ユノ!!早く早く!!もう行かなきゃ!早く早く!!』

『あ、いやもう出ると…』

『早く早く早く!!』


さっきはお前がなかなか起きなかったくせに…っていう反論は飲み込んで、チャンミンの言葉通りそこから猛ダッシュで浴室から飛び出す俺を少しは褒めてくれたっていい。なのにチャンミンは毎日飽きることなく呆れてる。


『本っ当、理解できない。。よくも毎日飽きもせず三十分以上も入ってられるよね!?』


お前もな…って反論はまた飲み込んで、とにかくソファーにどっかり座ろうと思うのに、次々服やらバックやらミルクやらパスポートやら色々出てくるから忙(せわ)しない。








「…喉渇いた、ミルク飲みたい、」

「もういいからっ。とりあえず車乗って飲んでくれ、行くぞ」

「はーいよ」

「あ!……今日こそ、、忘れ物ないよな…?」

「うん、大丈夫」









『あ、チャンミナ、チョコ忘れた!』

『もう入ってる』

『財布ぅーはーっと、』

『さっきバックに入れてたでしょ、自分で』

『サングラ…』

『右ポケットね』








靴に爪先を沈めて、数回打って、踵を入れて。
マネヒョンに引いてかれる、地下駐車場。
日光の当たらない場所はひんやりしてて気持ちいい。そしてその爽快な空間で、やっと俺は目が冴えた。


「マネヒョン、パスポート忘れた」

「……また?嘘だろ?おい」

「あ、ミルクもテーブルに置きっ放しだった」

「……嘘だろ……、、」










『よし、行くぞ』


チャンミンの腰を押すと、


『行こう、ユノヒョン』


チャンミンはさらに俺の腰を押し出して、いつも俺をヒョンとして先に玄関から抜け出させる。











背後の巨大なる安心感























チャンミンは俺にとって



そういう存在だった




 




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片割れ chap.10 #12










___ Young-Min.side______






大丈夫



ユノは優しいから

夢があるから
























きっとチャンミンを捨てる














______Y.side______





「たぶん、近いうちに呼ばれるから…」とだけ報せてくれて、マネヒョンはもう俺たちの関係について何も言わなかったけど、代わりにチャンミンの周りに陣を張った。


「チャンミン、明日からしばらく自宅に帰れ。今日は俺も宿舎泊まるから、今夜中に軽く荷物整理しといて」

「……はい」

「え…ちょっと待って、マネヒョンなんで…」

「ユノが一番分かってるだろうが!チャンミンの送りは他のマネージャーに行かせる。美容院から遠くなるから行きはスタイリストとヘアメイクも一緒に付けるよ」

「すいません、お願いします……」

「なんならユノもそうするか?その分睡眠時間も確保できるしな」

「待てって!チャンミナ、本気?」

「……」

「ユノ、とにかくしばらく距離を置け。お互いのためだよ」

「……」「……」



チャンミンは何も言わない。


なんで?チャンミン……













______C.side______





休憩に入る度マネヒョンは、何気なく僕の背中を擦ってくれてた。


「大丈夫、か…?」


それは身体のことなのか、心のことなのか

どちらにせよ「そんなことない」と否定した時点でそれは、『男がヨくなった』と認めるってことで。


「チャンミン、…ユノは、あー言ってるが……チャンミンは本当のところ、……どうなんだ?」

「……」


毎日顔をあわせる身内にそう認識されるのも恐い。居たたまれない。
どう足掻いたところでユノは男で、実際男のユノが好きなんだからどうしようもない。


「辛い、よな……。チャンミンは男なんだから、当然だよ」

「……」


僕は何も答えられず、ただ為すがままにされた。













______Y.side______

 




「二人とも、ちょっといい?この曲なんだけどさ。ピアノの旋律も入れたらどうかなって思うんだけど」

「あー、どうかな?チャンミナ。俺はそっちの方がいいと思う」

「確かに僕もいいと思います。全体的にかける感じじゃなくて、例えばイントロだけ使って叙情的に始める感じを出したら面白いかも」

「なるほど。いいね、それ。一回入れて聴いてみようか」

「お願いします」「はい」


チャンミンはアルバム制作のスタッフとも雑誌インタビューでもきちんと受け答えできてたけど、顔だけは一日中伏し目がちで、撮影時だけは何度も注意される。


「下向かないで」

「もっと前見ようか」

「背筋伸ばして…そう、自信もって!チェガン・チャンミン!」

「もうちょっと笑ってくれる?美女にモテモテなところ想像しよう♪ニヤケちゃってもいいよ~♪」


カメラマンに声を掛けられる度、

吹き出して大笑いして前を向いて、
楽しそうに息を吸って息を吐くと、

またチャンミンは俯いた。



「チャンミナ、」

「マネヒョン見てるんで…話し掛けないで下さい……」

「……」



その繰り返しだった。
























______C.side______





「じゃあ、帰るか。お疲れさん」

「お疲れ」「お疲れ様です」


仕事が終わる瞬間は一気に気が抜けて、僕とっては大好きな一時だけど、


「……荷物…か…、、、」


今夜ほど終わりたくないと思ったことはない。

いつものバンに乗り込んで。ユノも隣に乗り込んで。
でもユノとはできる限り離れて座った。

今夜はユノと最後の夜になるかもしれない。
そう考えるのも恐いし、だけどマネヒョンの視線がどうしても気になる。

もう何もかも、いっぱいいっぱい…

マネヒョンが運転席に乗り込んで、車は発進した。


「……まあ、とりあえず。今日のスケジュールミス、本当に悪かったな。もうこんな事がないように管理を再度徹底するからな」

「うん」「ありがとうございます…」

「チャンミン、そう言えばさ。この前めちゃくちゃ美味いクラフトビール出す店行ったんだ。今度連れてってやるよ、俺の奢りで」

「え、本当です?」

「おう。今日でもいいぞ、軽く行くか?」

「あー、、、今日はいいです。またで」

「おっけー」


マネヒョンは僕には優しく、ユノには冷たく接してた。ほんの僅かな、吹き抜ける風ほどの雰囲気だったけど。


「……」


たぶん、同情されてるんだと思う。

僕がヤられる側だから


「今日はぁー、…五台かな。ユノのサセンかな、あれは」

「マネヒョンいつもありがとね」

「ある意味運転が一番恐いよ。サセンのタクシーは容赦ないからな」


今日はうなだれ過ぎて首の筋が痛い。
二人の会話を聞きながら顔を上げて、自然と車内のミラーから話題の車体を確認した。

抜いたり追い越したり車線変更しながらバンに張り付くタクシーの群れ。


「ぁ……」




その中の一台に、後部座席でニヤニヤ笑う女の子の顔を見た。




「……っ、っ、、」

「チャンミナ?」


スモークを張ったバンは外から見えるはずもないのに、


「見ないで…っ、、」

「チャンミナ?おい、大丈夫か?頭痛いのか?」

「?ユノ?チャンミン、どうした?」

「分かんない。頭抱え込んで辛そうなんだ」

「おい、チャンミン?大丈夫か?」


ユノの隣に座る僕を透かして見てる気がする。
笑われてる気がする。



『まだユノの隣に居るなんて』



「や…めて……」





『恥を知りなさいよ!』












もう見ないで







「……っひ…っ、っ、、、っ、」

「チャン……」














息もできない













「マネヒョン!!!過呼吸だ!!!」



息ができない



「は!?」

「マネヒョン紙袋!!」

「、、ない!それより息吐かせろ!!!」

「吐けばいい!!?」

「そう!落ち着かせて、とにかく息!チャンミン息吐け!!」



息できない

苦しい

吐いたらもっと苦しくなる



「ひっ…っ…、…、、っ、」

「チャンミナ、チャンミナ!吸うんじゃなくて吐くんだって!」


無理無理無理無理

頭を横に振ってユノに伝えたけど、どうにもならない。

誰も助けてくれない。
吸う事も吐く事もできない。


「チャンミナ!大丈夫だから落ち着けって!!」


ユノだって落ち着けてない
『大丈夫』も効くわけない


「ユノ、すぐ車停めるからっ。何とかしろ!」

「…、…、、ぅ……、、」



ヤバい
ヤバい
死ぬ
死ぬかもしれない
恐い
死ぬかもしれない

酸素が欲しい



「…、ひっ…、、、」


力任せに吸っても飴玉程度しか入ってこない。
もっと吸いたいのに。


「ひ…、、…、…、」




死ぬ

ヤバい

死ぬ

死ぬ



死にたいって思ったから
現実になった?


ユノを守らないから
バチが当たった?



「…、…っ、、……、」




だって仕方ないじゃないか

女性にはなれない






ユノの隣には居れない



「あった…車停めるぞ!ちょっと待ってろ!」


ハザードランプの音が遠い。


「…、っ、」

「よし停めた!いいか?落ち着いて聞けよ?まずは上を向いて…っ」


マネヒョンの必死な形相が僕の深刻さを物語ってる。



もうダメだ




できない






死ぬ



「……、、、」




助からない
































「チャンミン、おいで」

「ぁ、お前…!」










僕を助けてくれたのは


















「チャンミン」





僕を呼ぶ声





「俺見て」





頬にかかる強い力





触れるほど近い黒目と


触れる鼻と口





「……」





ユノ






「大丈夫だから。信じろ」

「……」


びっくりし過ぎて呼吸が止まる。
いやもう止まってるんだけど。


「ユノ、お前なぁ…っ。キスなんて…っ」

「でも落ち着いたよ…。なあ?チャンミン…」


そのまま目線を外さないユノが僕に奇妙な魔法をかける。


「ひとまず二回だけ吐いてみな?せーのっ…ふうううぅぅ…っ、、っっ、、、、っ」


瞬きもせず、真似してと言わんばかりに唇をすぼめて全力で息を押し出すユノの顔が面白くて、ヘンテコで、あまりにも一所懸命で、


「…ふ、うぅ…っぅ、、」






ユノに預けた

ユノに懸けた





うん

ずっと前から






「お、うまい…そうそう、その調子その調子!」


大声援が恥ずかしくて、ちょっと嬉しいので、もう一度やる。


「……あ…」


そしたら何だか、妙に視界が開けて、呼吸のバランスを思い出して、ユノのタイミングから離れて自分で調節できるようになった。
息ができるって素晴らしい。

生きるって、素晴らしい







「チャンミン……やっぱり、もう今から実家帰るか?お前色々疲れてるんだよ」

「マネヒョン、大丈夫です。僕も色々整理したいし、今日は宿舎に戻らせて」


一段落して、マネヒョンが水を買ってきてくれてる間、ユノと短い話をした。
二人だけの時間は暫くないかもしれない。
とても大事な時間だった。


「大丈夫か?」

「うん。でも本当に死ぬかと思ったんすよ。ユノ、ありがとね」

「あり……、」

「え?」

「いや…」

「……でも、」

「……チャンミナ?」 

「……」




僕の周りには相変わらず


女性達の亡霊と
男性達の蔑む瞳が

浮かんでる


ユノが居るからこうなる



「ふぅ……、……ヨンミン代表は…ユノのことを知り尽くしてるから……たぶん僕たちの心理的なところを突いてきますよ……」

「大丈夫。絶対守るから。真剣に気持ちを伝えれば、今すぐじゃなくても必ずいつか分かってくれると俺は思う」


肝心のユノは馬鹿の一つ覚えみたいにそれを繰り返す。まるで狂ってる。


「大丈夫だからな?」

「……僕は正直、、ちょっと、自分のことでいっぱいいっぱいになってて……、、今ユノの隣に居るだけで、精一杯……」

「うん、何も言わなくていいから。皆には俺から言う。ちゃんと分かるし、ちゃんと守る」

「……ふっ。本当ですか?……これから何が起こるか、、」

「チャンミナ……」







でも


それでいい




イヌ(侮辱の対象)のように

波乱万丈に生きていい






身も心もユノに預けてる






「でも……うん。信じます」






『ハングリーに馬鹿であれ』

この世は狂人が創ると


かのもスティーブ・ジョブズも言っている。




僕はユノに懸けてる









ユノは僕を捨てない









暗いお話なのに皆様ポチありがとうございます!そしてコメント返せてないんですが、本当に本当にありがとうございます!活力頂いてます!返せないのが申し訳なくて、ここで謝らせて頂きます。
ただ私は何度も読ませて頂いてます、本当に癒されて進む力を頂いてます。ありがとうございます。

片割れ chap.10
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片割れ chap.10 #11










タイムリミットが来て一旦チャンミンの話は持ち越そうと合意したところで、「ところで一体どこまでの人間が知ってるんだ?」っていう溜息混じりの最後の質問に答えると、マネヒョンの表情が一変した。


「そん、なに……喋ったのか……?……お前本当……、頭大丈夫か…?」


俺はそんなに、狂っていますか?


突然今日という日が来たわけじゃない。
一日一日お互いを見つめ合って考えて、何かあった時チャンミンの事を支えてくれる人達を一人一人作ってきた。


「人数なんて問題じゃない。俺がちゃんと信頼してる人達にしか言ってない。応援してくれたり心配してくれたり、皆色んな反応で返してくれるけど、俺は皆のこと信じてる。もちろんマネヒョンのことも。だから知って欲しかった」

「ユノ……」


どんなきっかけであれ俺たちの関係をマネヒョンが認識したのなら、もう前へ進むしかないから。

蹴られたって批判されたって、誠実に伝え続ければ必ずマネヒョンだって理解してくれる。俺たちのことずっと見守ってくれてきた人だからこそ、信じられる。


「ユノ……お前……」


マネヒョンが何か言いかけたところで、ちょうど支度のできたチャンミンが俯いたままリビングに入ってきて、何も言わず俺の隣に距離を空けて座った。目はわざと前髪で隠すように伏せられていて見えない。

大丈夫
絶対俺が守るから


「俺は残念だよ、ユノ……」


チャンミンから視線を戻して見たマネヒョンの目が虚ろで、どこを見てるのか分からない。
沈殿して、まるで死んでるみたいだ。


「もう、、そこまで多くの人間が二人のことを知ってるなら……俺の手には負えない……。信じるのはお前の勝手だが、いつどこからこの事が漏れるか分からない。今度の対応も含めて、、上に報告させてもらうぞ……」


マネヒョンの、優しく匙を投げる音が、聞こえる。
いつかのチャンミンが予測してたこのマネヒョンの行動も、俺が全部背負わなきゃならない。


「ユノ、チャンミン………すまん…、、」


望んで決めたのは、俺なんだから。


「いいんだ、マネヒョン。俺もちゃんとイ・スマン先生やヨンミンさんと話がしたい」

「……残念だ、本当に…。ユノがここまで愚か者だったなんて、、」

「……」



俺はそんなに、愚かですか?









その後アシスタントの女の子が手配してくれた車に揺られながら、マネヒョンはたまに「くそっ!」と窓を叩いて頭を抱え、チャンミンは黙りこくって微動だにせず、俺は何が何でもチャンミンを守ることしか頭になくて沸騰しそうな勢いだった。


「あの……、」

「……何だ…」


ハンドルを切る彼女が、助手席に座るマネヒョンをちらちら見ながらこの沈黙を破った。カチカチとウインカーの鳴る車内で、差し込む光の方向が変わる。


「思い切って、、世間に公表するというのは…どうでしょうか?カップリングを楽しむペンはたくさんいますし、女性とスキャンダルされる心配も無くなります。二人が本当に結ばれていると知ったら皆歓喜しますよ。こんなデュオは前代未聞ですし、爆発的な話題にもなります。うまくいけばアジアを飛び出て世界中の指示が受けられると思います」

「……何も分かってないな、お前は。面白半分で思いつきを言うな」

「違います!!お二人の前でそんな風に言わないで下さいっ。私は本気で考えてます。実際その…ユノさんとチャンミンさんの関係を知って、私本当に皆にも知ってもらいたいと思ったんです!真実の愛ってきっとこういうことなんだって言うのを分かってもらいたいって」


そこまで応援してくれると照れてしまうし、公開恋愛は考えてないから彼女の意見には乗れないけれど、ただ単純に嬉しかった。

顔を赤くして力説してくれる彼女が少しチャンミンっぽくて可愛らしい。俺の隣でさっきと同じように距離を取って座る当の本人は今も無反応で沈黙しているけれども。


「ほらな、ユノ」

「ん?」


マネヒョンは俺の方を振り向くと悲しそうにニヤリと笑った。


「ある事象が明確に現れた時、人はそれを意識的に肯定か否定か興味がないかに分類する。そして自分の考えこそが正しいって主張したくなるんだよ。さっき俺が思わず激昂してしまったり、今このコが公表を提案したみたいにな」

「……」


俺だって、そう。
正しいとか間違ってるとかじゃないけど、俺の信じる道はチャンミンと一緒に居ること。
今までたくさん悩んで考えて、やっと今のチャンミンとの関係があるんだ。

皆に認めてもらいたい。
感じて欲しい。

俺たちは真剣なんだってこと


「ただヨンミン代表は違う…」

「え?ヨンミンさん?」

「お前らは昔からのヒョンだと思って親近感もあるだろうが、あの方はうちの事務所を世界的な規模にまで押し上げた方だ。どんな事でも客観的に物事を捉えられる、冷静で、恐ろしく頭の切れる人間だよ」

「知ってるよ。色んな事を教えてもらった」

「……。感情論を排除して、ただ淡々と現実に直面させられる事がいかにつらいか、今に分かるよ。昔のよしみで何とか、なんて考えるなよ…」


 





マネヒョンの動かす唇が、








「ユノ…」







スローモーションみたいに見えた。











「覚悟はできてるか?」
























もちろん











「うん、大丈夫。ただ何を言われても、俺はチャンミンと一緒に居るから」

「……今から連絡する、、」


マネヒョンが前に向き直って、携帯でどこかにコールし出した。





何かが始まる

これから

それだけは分かった







「…ノ、…」

「ん?」


やっとチャンミンから発せられた一語を追いかけて、寄り添って下からチャンミンの瞳を覗きこんだ。
能面みたいな顔で、気持ちが相当落ち込んでるのが分かる。


「大丈夫、絶対守るから」


膝に投げ出してるチャンミンの右手に俺の左手を重ねて、左右に振って正気付ける。


大丈夫、何があっても離れない
こんなにもチャンミンを想ってる

絶対変わらない



「ユ、ノ……」

「大丈夫だからな」

「…、……?」

「え?」

「……」

「……チャンミナ?」

「……」


チャンミンが何か聞いてる気がして問い返してみたけど、それからチャンミンはまた動きを停止させ、何も言い直さなかった。


「大丈夫。チャンミナ、安心して」



触れる右手は、初夏にひやりと冷たい。






































「本当に、覚悟できてるの?」






片割れ chap.10
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片割れ chap.10 #10










ユノを守れるように
後悔しないように


僕なりに色んな事に挑戦して、頑張って
大変だったけど気持ちは充実して楽しくて

大げさかもしれないけれど、一人の人間として少しずつ成長してるような手応えがあった。

心には余裕ができ、天の邪鬼な自分とうまく付き合いながらユノを愛しだせた。
心に追随する身体はさらにユノへと拓いて、新たな未知の絶頂で溶け、僕たちは完全に繋がった。


ユノしかいらない
絶対変わらない


目には見えない、永遠の海が生まれた










「チャンミナ」

「……」


さっきから、


「…チャンミナ、シャワー空いたから入っておいで。俺はマネヒョンと話あるからリビング居るな?」


全く動けない僕の頭を「大丈夫だからな」と優しく撫でて、ユノの声はドアを閉めた。


「………スタジオ、、行かない、と……」


部屋には今僕だけしか居ない……

そう自分に言い聞かせて、やっと覆った両手を顔から離せた。十数分ぶりの朝日がやけに眩しくて、またカーテンを閉め忘れてたんだということに気付く。

始めはこんな事なかったのに。
見られることなんてまずないし、ユノは忘れやすいけど、僕はいつも気を付けてた。
カーテンも鍵も警戒心も。


忘れた先に、今朝があった


「……っ、なんで…っ!」


頭を抱え込んでも身を縮めて小さくなっても、時間は戻らないし僕はユノのベッドを抜けユノの部屋を出てシャワーを浴びたらリビングへ行かなければならない。


「死にたい…っ、っ、、」


恥ずかしくて恐くて。
恐くて、恐くて。人目が恐くて。

女の子みたいにユノを受け入れて悦んでる姿を女の子に知られて、


「もう…僕のこと見ないで……、っ」


まるで女性という女性全てから刮目されて、一斉にどっと笑われたような気がした。



『何してるつもりなのかしら?』と。

『私達の真似してるわよ』と。

『ユノの子供も産めないくせに』と。





惨めで、悔しくて、悲しくて、恐くて。






少しずつ積み上げてきたつもりの

ユノと共に歩む覚悟も自分への自信も

現実を目の当たりにすればそれは

砂の塔より脆い。





壁超しにマネヒョンとユノの声が聞こえる。
さっきまでちゃんとぼそぼそ話してくれてたのに、お互いヒートアップしたのか赤裸々な内容が筒抜けだ。ユノは興奮しすぎて方言さえ出てきてる。


お前やってる事本当分かってるのか?たった一人のメンバーを女代わりにしてるんだぞ!?

そんな風に考えたこと一度だってない!!俺たちは本当に本気で付き合っとるんよ!なんで分かってくれんの!?

現にてめえがチャンミンに突っ込んでんじゃねーか!チャンミンの気持ち少しでも考えたことあんのか!!

当たり前じゃろうが!!俺だって色々考えてここまできたんよ!


もう止めて欲しい。
部屋からずっと出たくない。
所在なくて、ユノがマネヒョンに蹴られてる時言えなかったセリフを一人呟いてみる。

ちゃんと庇ってあげられなかった
ごめんね、ユノ

誰も聞いてないから、意味ないから、何も気にせず、大胆にそのまま言ったっていい。


「…僕たちは……本当に愛し合ってます…僕はこうやってユノを受け入れられて……本当に幸せなんです……僕が受けたかったし…今ではすごく気持ちいいし…さっき初めて…勃たないままナカで何度もイけて最高でした……だからユノを責めないで下さい…………」


声に出すと自分でも聞いてられないほどグロテスクで、虚しかった。

頭の中の女性達がまた声を上げて笑う。


『チャンミンって、もう男でさえないのね』

『もはや男として見れないわよね』






いいんだ。

いいんだ、別に。

ユノだから僕は受け入れた。

ユノさえ居れば、問題ない。





『ユノだって結局女の子の方がいいに決まってるじゃない。チャンミンはいつか捨てられるわ。自分でも言ってたでしょう?』






何て?

僕なんて言ってたっけ?






『たぶんいつか、ユノに捨てられるんだろうなって』






……。







『ユノに覚悟が足りないってあんた始めっから分かってたじゃない』

『それでもいいって思ったのはアナタだよね?』









ユノの部屋で独り


妄想の幾多の女性に詰め寄られたのは、僕がただ弱かったから。残り僅かなアイデンティティーを守ろうとして、自分の中で必死に闘ってた。






とてもじゃないけどユノまで守れなかった。闇の月尻島の海へ、永遠に誓ったはずなのに。





ごめんね、ユノ
























片割れchap.10
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片割れ chap.10 #9











______Manager.side______






保険にかけていたスマホのアラームが鳴って、目が覚めた。

起こせと言ったのに何してんだ…

予定時間より数分遅れてるだけのアシスタントに苛つきが納まらない。
すぐに着替えて部屋を出る。


「……どうした、お前ら」


ユノの自室の前で泣きじゃくるアシスタントを、ユノが「ごめんね」と介抱してる。


「マネヒョン……」


ユノは何故か汗だくで、それがこめかみから一筋また流れた。薄いアンダーシャツも湿って、短パンから伸びる足だけが涼しげだった。


「ユノ、何やってたんだ??おい、チャンミンは?」

「……っ、ふ…ぅっ、」


アシスタントに聞くとさらにぶわっと涙を溢れさせて俯いて答えない。
本当にイライラする、割りとドライでこういう事をするコじゃなかったのに。


「おい、ちゃんと答えろ」

「マネヒョン、大丈夫。チャンミナここに居る……」

「は?」


ユノの室内へ指差す方を見れば、ユノのベッドの上の盛り上がった布団を指してた。言われてみれば繊維の下で呼吸してるように布が隆起してる。でもチャンミンの欠片も分からないほど布団をすっぽり被ってた。


「……」


これは一体、何が起こってるんだ?

眉間に皺が寄る。全く理解できない。アシスタントの腕をこずいて説明を促すと、ユノが彼女を庇うように立ちはだかった。


「このコは何も悪くないから。俺たちがこのコのことびっくりさせちゃっただけだから……」

「は?」


訳が分からない。さっきから何も。

二人が突飛な予定変更にびっくりするのは分かるが何でアシスタントの方がびっくりして号泣までしてるんだ?


「おい、分かるように言ってくれ。そろそろ準備しないとスタジオ入り間に合わないぞ」

「だから、その……俺たちがしてるとこ偶然見せちゃって……」

「してるとこって?」

「…えっち」

「えっちって何だ?」


単語の意味が咀嚼できなくて。
馬鹿みたいにおうむ返しで聞いた。

ユノは聞けば聞くほどありのままを答えてるようなのに、それがどういうことなのか頭の中に全く入って来ない。まるでどこか知らない国の外国語を聞いているようだった。


「だから、、せっくすしてて……。ショックだったよね…。ごめんね……」


ユノはアシスタントの方に向くとまた申し訳なさそうに謝って、彼女はハンカチに顔を埋めたままぶんぶん音がする程首を横に振る。


「違ぅ…っです。。本当なんか…っ、感動して…っ、、っ」


本当に訳が分からなくて。
もうお手上げだった。
だから見た目、俺は落ち着いてたんだと思う。

ここまでは……


「悪い、ユノ。全然訳が分からない」

「だから前、言ったろ?俺たち付き合ってるって」

「俺たちって?」

「俺とチャンミナ」

「え…」

「あの時マネヒョンは信じてくれなかったけど…本当なんだ」

「……」




急に




「俺たち本気だから」

「…………」







とりどりの、あらゆる事が繋がって


意味を為して


認識して


理解できて






「!マネヒョン、待って…!」

「どけろ!ユノ!!」


ユノを押し退けて部屋に入った。
躊躇はない、チャンミンにも確かめるだけだったから。

それにどこかでまだ期待してたのかもしれない。


これは三人の名演技で、和解して仲良くなった三人が俺を騙そうと計画する。いたずらっ子の兄弟なら十分あり得る、このコ達らしい。
それで俺はまんまと騙されて、こんな風に焦ってチャンミンの様子を見に行くんだ。

ベッドの上で隠れるチャンミンの布団は、もちろんぎゅっと中で握られてて、なかなか姿を見せない。

そんな仕草に動揺してさらに必死になった俺は火事場の馬鹿力まで出して、まさに今やってるのように、布団を奪い取れる。

そしたら笑いを圧し殺したチャンミンの嬉しそうな顔が出てきて、あの大げさな笑い声が弾けて、

『マネヒョン、びっくりしました!?こんなの、あるわけないでしょ!?だはははははっ』



……って、






「チャ…」




「見ないで……。見ないで、マネヒョン、、お願いします……」

「……」





シーツの上には、


両手で顔を隠した全裸のチャンミンが


胎児のように丸まって、横たわっていて






「………」





潤ううなじの短い髪先が、震えてぽつりと露を落とした。


「……チャンミン、何し…て…、、」

「……」


チャンミンの背中に問い掛け終わる前に


「……っ、」


 



イラナイコトマデワカッテシマッテ






「……ユ、っ」


止まらなかった。
だってチャンミンは女の子が大好きなのに。


「ユ、ノ…っ、てめええええ!!!!」


後ろにいたユノを衝撃のまま突き飛ばして、倒れたところで初めて蹴った。

うちの自慢のユノを


「チャンミンに……こ、こんな事させやがって…っ、、」




幾つかの使用済みコンドーム

中途半端に中身の減ったローションのボトル 

へしゃげたティッシュ

ぐしゃぐしゃになったバスタオルに乗る
チャンミンの濡れた尻




「狂ってる、お前…っ、、」

















泣いたよ

俺も









ポチとコメントありがとうございます♪1周年お祝いして頂いて、本当に嬉しかったです!皆さん色々考えてらっしゃるようで、私だけが腐りきってるんじゃないだと安心しました!←
赤信号、皆で渡れば怖くない♡←チガウ
少しずつですが返していきますので、また気長にお待ち下さい。

片割れchap.10
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片割れ chap.10 #8












______Assistant.side______







セックスって面倒くさい。

疲れるし、男の体は毛だらけで汚ならしい。
単なる生殖行為でしかないのに愛情表現だなんて誰が決めたの。


でも男を繋ぎ留めておくための大切な手段というのは、賛成だ。



「先生」と皆に崇められてる年上の教師の彼氏と久々のデートをこなして帰ってきた。
まだ光のない早朝、本日のスケジュールを就寝前に確認する。若いから、三時間くらい寝れば今日一日くらい頑張れる。

ベットサイドのPCとスケジュール帳とメモ帳を眠気眼で流していると、やっと自分がミスしている事態に気付いた。


『馬鹿野郎!!!何やってんだ!!!』

「本当に申し訳ありません…!!」


マネージングのマスターに怖々電話すると、予想通りの大罵声を受けてまさに心臓が縮み上がった。でもこんな明け方に電話が繋がっただけでもラッキーだ。

TOHOSINKIのマネージャーは何人もいて、それぞれの役割の中お互い連携しながら二人をマネジメントしている。私の仕事は主に韓国メディアの出演交渉、依頼の精査の管理。つまり、いつも二人から「マネヒョン」と慕われているマスターの補助役の一人。


『俺今日自宅なんだよ、宿舎に泊まってない……知ってるよな?』

「はい……。……。あの、、本当に申し訳ありませんっ…!」


これから一年のビックプロジェクトに水面下の私達はてんやわんやでスケジューリングを興してた。

カムバックを準備する行程作業期間、アルバム制作のための時間。雑誌やラジオの露出時期を熟考して、チャートの一位を取るため韓国番組への売り込みを強化して。ペンカフェへの情報公開も利用する。
他のマネージャーはアジア各国とその他諸国から入ってくる依頼と売り込み、ワールドツアーの開催会場の選別と日取り、集客見込みと売上げ目標を計算して日本ツアーの会場交渉。 
そしてマスターはそれに見合う予算を事務所から確保するプレゼンテーション会議、会議、再打診と再検討。
マネジメントと共にビジュアル、アートのコンセプト作業を請け負う諸々のチーム。

TOHOSINKIに携わる人間だけで、すでに一つの立派な会社みたい。


ユノとチャンミンという人間は、
それだけ多くの人力とマネーを抱えてる。


『とにかく……過ぎた後じゃなくて良かった。二時間前倒しで二人を準備させれば間に合うだろ』

「はい、そうです…っ!すいません、今からすぐにお二人に電話してスケジュール変更伝えます!」

『今何時だと思ってんだ!!!二人がどれだけ休んでないか分かってんだろうが!少しでも自由に休ませてやれよ!!!』

「す、すいません。すいません!」

『とにかくまずは俺がメールで送るから。それから起こしに行ってやればいいだろ。……なぁ、、スケジュール管理は俺たちのミスなんだぞ。本当分かってんのか…っ!』

「本当に申し訳ありません!!!」


就職したばかりとは言え私は大の大人で。それなりにわきまえてよく頑張ってると思う。だけどマスターの怒り具合に思わず鼻奥がつんとした。

マスターは事務所の中でも選りすぐりの敏腕マネージャーだけど、二人を実の兄弟のように可愛がっている。怒られて当たり前だけど、電話口で震えるほど自分の失態を後悔した。


目まぐるしいほどの予定を入れたり、変更したり、断ったり、また入れたり、できるものは同時に。
一つ一つの仕事に価値や反響予測をたてて優先順位をつける。そしてまた入ってくる依頼と比較して日程を調整して。

間違えないように。
マネージャーチーム全体でスケジュールを常に共用して。




なのに、、


「……まさか、見間違えてるなんて本当思わなくて…っ」


何度も確認したはずなのに。ネットで管理されたスケジュールに今日の午前あるはずの雑誌インタビューが来月の予定に入力されてた。メモで渡された月の数字と私が入力した月の数字が合ってない。
不意の単純なミス。

昨日の帰りがてら、「今日くらいのんびり自宅で過ごさないとな」と笑っていたマスターの言葉を楽しく聞いてた。のほほんと。私も彼に会わないとそろそろ本気で振られますよ、優良株が逃げちゃう!なんて冗談を飛ばした数時間前がひどく懐かしい。


『……俺たちのミスが二人のミスだって叩かれるんだよ。お前、責任取れるのか……?』

「…………」


暗く低い、冷静なマスターの声に、戦慄が走る。


「ぁの、、本当にすいませんでした……。もう怖くて眠れませんし…宿舎で待機して、時間になったらお二人起こして謝らせてもらいます……。申し訳ないんですが、今からマスターのご自宅にお邪魔して、宿舎の鍵を頂いてもよろしいですか…?」


眠気なんて完全に消え去って、嘘泣きでも何でもしながらユノとチャンミンを起こそうと誓った。

二人は大切な大切なうちの商品なんだから。


『……はあ、、そしたら効率悪いだろ。じゃあ俺も一緒に行って宿舎で仮眠とる。もうメールせずに直で二人の在宅を確認して、不在ならその場で電話して呼び戻そう。本当これから頼むぞ?大事な二人なんだ』

「…っ、ありがとうございます!」


呼んだタクシーを飛ばしてマスターを迎えに寄って。車中、謝り倒す私へ返された、「ブッキングでも海外の仕事でもなくて良かったな。もしそうだったら、お前事務所に居場所無くなってたよ」という冷酷な呟きに、それ以上何も言えなくなった。

男も女も関係ない。
敏腕マネージャーの厳しさを思い知った。
大波のような予定を組み立ててスケジュールを遂行していく凄さを改めて痛感する。







日の昇り始めた頃、マスターと宿舎のドアをゆっくり開けて玄関の靴を見つけ、まずは一安心。


「居るみたいだな…念のため部屋覗いてみて、鍵かかってると思うけど。俺、仮眠とるから時間になったら起こしてくれ。じゃあな」

「はい……」

 
しんと静まったうす暗い室内で、ひそひそとそれだけ指示してくまの酷いマスターは自室へ入って行った。
ようやく大きな呼吸ができて気持ちいい。生き返る。


「ふう、、」


何とかなりそうで本当に助かった。

まずは手前のチャンミンの部屋へ寄ってドアノブを回すと予想外に鍵が開いてる。音がしないように中へ入ってベッドを確認すると、なんともぬけの殻。


(え!!?外出中!?嘘でしょ??)


靴は確かにあったのに。でも置きっ放しのものだったのかもしれない。
不在なら電話して何が何でも早く帰ってきてもらうしかない重圧感に再び焦る。
機嫌でも損ねられたらと気が気じゃない。

叩かれるような動機に胸を抑えながら、次はユノの部屋へ向かった。

同じく鍵の掛かってないドアを押すともう祈るようにこんもり膨れたベッドへすり寄るしかない。


「……。…っ、何よっ!もう~~っ!


同じ方向に傾いてすやすやと。
何のけがれも悲しみも知らない清らかな少年達のように眠る二人に会えてどっと安心した。

仲のいい二人のことだから、ゲームでもして寝ちゃったんだろう。


(……やっぱ二人共イケメンだなぁ)


そうは思うけど何も感じない。
私は現実主義だから。
アイドルという華の時間が限られた男より、学歴があって社会的地位があって一生お金に困らない男の方が断然いい。


実際、女って、そういうもんでしょ?


(とりあえず本っ当、良かった!)


マスターに泣きながら不在報告する最悪の危機を免れて、私は抜き足差し足でユノの部屋を後にした。










「……………。っ!!」


ダイニングテーブルで布勢ってる自分に気付いた。


(やばっ!!!)


慌てて携帯の液晶画面を光らせると調度いい頃合いの時間で胸を撫で下ろす。どうやら気が抜けて居眠りしたらしい。今日の私はツいてるのかツいてないのか分からないけど。
とにかくもう、ミスはできない。

プライベートも手は抜けない。カトクを開いて、高級レストランとホテルのお礼を不細工だけど優秀な彼に送る。
人間、顔じゃない。事実彼氏は職業柄相当モテているし、彼女だからと気は抜けない。


「…」

「…」


(あ、起きてるかな……?)


部屋から声が漏れてる。
オフなのに関わらず、早めに目覚めてる二人に心から感謝した。自分から起きるのと起こされるのとでは不快感が全く違う。

二人が部屋から出てきたところで謝って、事情を説明して…そんな事を考えながら髪を手櫛で整える。


チャン…
あっ


「……ん?」
















始めは、言い争いかと思った。










あっ


どちらの声か分からない破裂音がして、思わず耳を澄ませる。神経が妙に集中して、自分の呼吸する鼻息さえ邪魔だ。


「、、、、」










なんで息まで殺して、

突き止めたかったんだろう








ユノ!




ふと、ギリシャ神話に出てくる有名な女の話を思い出した。でも名前が出てこない、あれは何て名前だった?

好奇心に負けて、悪や災いを入れた匣(はこ)を開ける女の名前。

開けて全てが放たれてしまったんだっけ?


「……」






見たいとか、
見たくないとか、

そういうのじゃない。


体が勝手に動く。酷くゆっくりとだけど止まりはしない。
何かを求める根元的な魂が導かれる。

椅子から立ち上がった自分の体は、ユノの部屋へ向かってる。さっき閉じたはずのドアの隙間が少し空いてるのが見えた。まるで匣がもう開いているように。






「ぁ、ぁ、ぁ、、っ、」


継続的な『あ』の声は怒ってる感じでも、楽しそうでもなかった。呟くように漏れ続けるその声に合わせて、拍手してるような弾ける音も重なる。それらは暫く続いて少し止み、また同じように暫く続く。合間に何かのバネがぎぎっと軋むスタッカートも添えて。





「チャンミン」

「ユノ」



そしてお互いを呼び合う、声


「……」


喉元に心臓ができたみたいに鼓動が首を締め付ける。鼓膜にどくどく爆音が響いて耳が痛い。
心拍数が跳ね上がっているのは息を止めた代償で、緊張してるわけじゃない。




だって何を緊張するっていうの?

そうよ!

二人が早く起きて何か騒いで遊んでるだけ。

何の問題もない。

今日のスケジュールは滞りなく進むだろう。

部屋の外から声を掛けてマスターと来た事情を説明して、謝って…あ、あとマスターもそろそろ起こさないと。いや、マスターから先に起こして事情を伝えてもらおうか…それからスタジオへの送迎は……





ありとあらゆる今日のスケジュールを思い起こした。



ただ眼球は、ドアの隙間を覗いてた。ベッドの辺りだけが見える。



ああ、そうだ
あの女の名前はパンドラだ



開けたパンドラの匣の中に
一つだけ残ったものは   























ベッドの上に座る、後ろ姿のチャンミンがいた。

裸の背中は朝日に包まれて
肌と光の境目は朧気に儚い

黒髪を正すように頭が左右に振れてダイヤモンドの雫が飛び散った。

とても、綺麗……



肩越しからもうひとつの頭が生えるように起き上がって、それはユノの顔をしてる。


ユノは眩しげに向かい合う顔を見上げて微笑むと、朝焼けに消えて溶けていった。



お互い抱え込むように裸体の手足を絡めて抱き合って

まるで頭が二つ、
耳は四つで手と足も四本の球体みたいに


「ユノ……」

「チャンミン、サランヘヨ…」
















「…………、、」










































神の存在を感じた











恐ろしいほど美しい。





「…っ、」


熱いものが汲み上げて
涙が止めどなく頬を濡らし

確かに今、
何かの真理に触れている




「…っ、ぅう…っ」

「え……」「え……」




嗚咽が漏れてその姿は一瞬で私の前から立ち去ったけど



私は確かに、一つの完璧な生物を見たの。












片割れchap.10
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トラ☆シカ号、一周年です♪(でした)

(注意)今回は本気のガチホミンホ考察です。マジです、萌えや笑いありません。暗いです。本当に気分を害される危険があります。腐ったホミンホ信者の方のみ、お進み下さい。(←)
いや、本当にお願いします!




























こんにちは、りょうです。



いつもでも、たまにでも、お越し下さりありがとうございます。



なんとこのブログ、




1年を迎えました!( ≧∀≦)ノ






(*’ω’ノノ゙☆パチパチ(*’ω’ノノ゙☆パチパチ




ありがとうございます、
ありがとうございます!

読んで下さる方がいらっしゃるからこそ進めてこれました。

いつも書いてますが、嘘じゃないです。












嬉しいったらないです。












❤ありがとうございます❤









たまーにお褒め頂く言葉をプラスに受け止めて、

リアルホミンホと言えば
夢特急トラ☆シカ号だ!


という思い込みだけで成り立っております。(もちろん本当はそう思ってませんよ!素晴らしい作家さんばかりでビビって書けなくなるのでそう思うようにしてるだけです!(^_^;))


















ところで「片割れ」の二人、色々な感情の荒波を乗り越えてお互い思いやってココまで来たわけですが、






だいたい皆様びくびくしてらっしゃる…(いや、私が一番びくびくしてます!)


























暗黒時代に突入するわけなんですけども…(´;ω;`)
















是非とも堪えて流し読みでも読んで頂けたらなって、、
(。´Д⊂)
←ムチャクチャ
















なぜかって?






























苦しい感情妄想して書いてるりょうのマインドが持たない。皆さん、助けてぇぇぇ。←

「ヒョン」
「ん?」
「りょうってもしやパボなんですか?」
「え、チャンミナ今頃?」
「あ、すいません。愚問でした」
「それより今日何食べる?」
「ですよね、そっちの方が大事っすねぃ」



















どうしても心に引っ掛かる放送があって、それが今回の片割れ10の発端なんですが。











ナンチャンに「東方神起のお二人は日本の温泉とか、行かれた事あるんですか?」と聞かれて



ユノ「毎年毎年ライブツアーやってるから、その間に」←的なニュアンスの事言います
チャミ「(コクコク)」




すると更に質問を重ねるナンチャン。
















「行く時はやっぱり二人で同じ一部屋?」

















スゲー質問ぶっこんでくるな!おい!
ヽ(*´∀`)八(´∀`*)ノ


いや信者は荒ぶりますからねっ!これは嬉しいですよ!!












で、まあオーディエンスの「ふぅ~❤」が囃し立てるように4、5人分ほど聞こえ、


















ユノ「二人だけではちょっと、おかしいから」←手でぐるっと輪を作るジェスチャーで『皆で』って意味の仕草をします。

で、皆爆笑。「おかしいって!爆」

チャミ「(大きくコクコク)」














「おかしくはない。笑」と、我が家の坪倉さん一同笑う。ココリコの遠藤さんも「あ、マネージャーさんとかね」とユノの足りない言葉を補足する。






















そうなんです。←何がや





















おかしくないんです、別に。二人で一部屋だって何の問題もない。(日本の宿舎だって二人で暮らしてるんだし)

でも別々だとも言ってない。『皆で』大部屋で雑魚寝状態ですか、旅館で。あのキング東方神起チームが。そうですか。←全然納得できないけど、まあいいや。←







クリスマスシーズンのホタルナ会見もユノこんな感じじゃなかったですか?

結局答えてない。(この時はチャンミンに託しました)







何が言いたいと言うと、
























ユノは葛藤した上で、すでに現在はある答えを決めてるんだと思ってます。

萌えの要素に使われて、確かに喜ぶファンもいる。でもガチだという素材が決定的に出たその時、皆どうなるんだろう?



























本当に祝福できますか?


変わらずグッズやチケットを買って応援できますか?


ゲイカップルとして見ず、純粋なアーティストとして二人のパフォーマンスに感動できますか?


ファンならまだいい。
アンチは?
むしろ、そうじゃない人達は二人をどんな目で見るんだろう?


















どんなに頑張っても





どんなにストイックになっても





どんなに真実の愛だと叫んでも……


























すいません、喧嘩売ってる訳じゃないんです!!!涙

そうじゃなくてですね!!!
(´;ω;`)

(お願い!分かって!真剣に妄想してるだけ!腐って頭おかしいんです、笑って下さい!←)


















本気で真剣に考えた時、それがこの片割れ10の時期の、事務所や周りを巻き込んだ最大の試練だったんじゃないかなと思い、書かせて頂こうとしてるわけです。


























だから私、今つらい。笑



















できればこれからも暖かく、生ぬるい目でも何でも有難いので、


「あ~、トラシカ号また変な妄想してるわ~。ウケるわぁ~( ´△`)」


くらいの勢いで見守って頂けると、





ジャンピング土下座で喜びます!!!_○/|_






















この1年間、ありがとうございました。

これからも是非、夢特急トラ☆シカ号を宜しくお願い申し上げます。



りょう(ゆのっぽん)















(画像、お借りしました)
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片割れ chap.10 #7

(注意)BL表現あります。ホミンちゃんです、宜しくお願いします。












______C.side______







もしこれが去年の今頃だったら、

そうはならなかったと思う。




僕たちは始め十分注意していたし、ユノは僕に奉仕してくれると早々に自室へ戻ってた。いやそれから後だって一緒に床に入っても僕が早朝抜け出たり早めに起こして貰ってたりして自室へ戻ってた。





一日一日、

ユノと少しずつ積み上げてきた毎日は僕たちを着実に深く親密にさせ、警戒心を落とし、


いつの間にか自室の鍵の存在を忘れ、ペアの持ち物ができ、二人だけで居る日は同じベッドに潜り込むようになった。

お互い時間を自由に使っても、眠りに落ちる瞬間、または目覚める瞬間一緒に体温を感じることが必要になってた。

起き出すぎりぎりのその時まで、心を溶かし、そのままのお互いを見つめ合った。













僕たちにとってこの一年は、そういう時間だった。
















______Y.side______








おかしいと言われれば、おかしいんだと思う。
掴んでくわえたこの指先を、俺はずっと昔から知ってたんだから。


「大人になったなぁ……」


咥内から外してまじまじ見ると、細いだけだった少年の枝葉は端正に節くれ立つ指へと実った。


「手は小さいままだけど…尻も小さいし。細いし……でも腕の筋肉はついたよな。……毛も生え揃ったし。俺より高くなっちゃったし」

「な?なになに……?」

「本当にいい男になったなって。これからもっと凄いことになるんだろうな」

「……自分だって完璧なプロポーションのくせに」

「チャンミナの手料理のおかげ♪」

「いや、モトの話……」


あからさまじゃなく、いつもそっと情を返してくれる君が好き。

検査するように身体の部分部分に触れてなぞって観察しながら舐めて、戸惑うチャンミンを楽しんだ。

チャンミンは大胆に襲ってくる時もあれば汗さえ恥じらう時もあって毎回中身の分からないおもちゃ箱みたい。
でもそれがいい。わくわくする。

今日はどんなチャンミン?

肩を吸ってくる唇が熱く震えてる。丸い頭を少し俺の方に押しつけてねだると、心得ている舌はさらに懸命に動いて鎖骨まで這っていく。骨をしゃぶるように舐められると腰が疼く。
小さな掌は跨がってすでにチャンミンの腹を押していた昴りとタマを擦って快感を授けてくれる。


「……っ、ぁ。チャン、ミ」

「気持ちいい?」

「はあ、、キスもしたい…」

「ん」


下から進入してきたチャンミンが、右へ左へ傾きながら俺の咥内を舐め取ってゆく。絡めた舌も歯も唾液も吸い込まれて、胸が盛り上がるほどの気持ちよさに電流が駆け巡った。下半身から我慢汁が垂れて、身体は赤裸々にチャンミンを欲しがる。


「え、なんか早くない?…朝だから?」

「いや…早くチャンミナとシたくて…っ」


素直に欲求を口に出せば滑らかに長い睫がばさばさと羽ばたく。当たってくすぐったい頬をこする内に「やだあー♪」って身を翻して逃げ出そうとするから肩口を掴んで引き擦り戻して。もう飛べないように、チャンミンの背中を押し潰した。細い腰と形の良い尻が揺れて笑う。


「切羽詰まってるユノ見るの、楽しい…っ、くくっ」

「そう……。悪い、もういい?」

「どうしよっかな~♪」


この焦して喜ぶ悪戯な横顔も、二人になった時だけの馴染んだ話し方も、産毛に乗る玉のような汗も、微かに腰を浮かせて許しの合図を寄越す尻も、どれもこれも俺の神経を刺激して仕方ない。
あやしいまでに艶ややかな瞳に捕らえられたら、もう適わない。


「挿れるから…っ」

「早く……」


だって知ってるから。昔から。
チャンミンの目が綺麗なのは、心が綺麗で美しい証拠。
目は嘘をつかない。

ゴムを被せた自身にローションを塗りまわして、チャンミンの後ろにあてがえば、ゆるゆる誘われて、きつい締め付けを感じながら根元までみっちり飲み込まれた。
小振りのすいか程しかない引き締まった尻に限界まで勃起した俺が全部挿いるんだから、感動すら覚える。
あったかくて、気持ち良くて、心地良い。


「はあ、、なんか落ち着くぅ……」

「ちょっと…!落ち着かないでー、動いてー、」


くすくす笑い合って、唇を重ねて、また笑って。湿る汗に濡れて吐息を落として。挿れたまま動かない俺を詰るチャンミンに反撃したくて、奥を一回ぐるっと抉った。


「…っ!ぁ、」









弟だったのにな。ごめんな?











顔をしかめて感じ入るチャンミンに、全身で欲情するんだ。






「チャンミン……」

「…っ」


それがいいと言う、生まれたままの名前を耳元で囁くから、


「堪えてるの可愛い…。でもちゃんと声出して。俺を呼んで」


世界で最も素晴らしい声を聴かせて欲しい。


「ユ、ノ……」


後はもう、動くがまま。
うつ伏せのチャンミンをさらにベットに埋め込むくらい突いて引いて押して抜いて。多い被せた重みを気にしてなんていられない。
背骨に沿って流れる露に何度も口づけしながら貫き続けた。


「チャンミン、気持ちいい?」

「ん…っ、ユノ、ユノ、ぁ、ん、ユノ、キス…っ」

「こっち向いて」


初夏の日差しが俺たちを包んでる。
反転して現れた火照るチャンミンの顔が妖艶だ。
足を開かせて、腕に掛けたまま、また挿れて。


「…ああ…っ、」


堪らない。声が漏れる。

浮いた両の親指にダンスたこができてるのに気付いて、気持ちまでいっぱいになった。


「……お前よく頑張ってる」

硬化した皮膚の膨らみにキスすると足を引っ込めるから、無理矢理捕まえてくわえて舐った。


「本っ当恥ずかしい…っ」

「なんで……全部見せて」


全部が見たいし、全部が欲しい。
まるごとあげるから、まるごと頂戴。


「チャンミン、舌」

「…ふう、ぅ、ユ、んんっ」


さっきの勢いが消えた弱々しい咥内も好き。だけど好き過ぎて加減もできない。
息が詰まるほど責めたてて咽せてしまったチャンミンに謝ると、「でも気持ちいい…」ってまた求めてくれるから。
なんだか元気のないモノは自分で持たせて、上からも下からもチャンミンのナカに挿いった。

力いっぱい。
晒した本性のまま。

かなりの時間。



「ユ……、死ぬ、、ぁ、ユノ…っ」

「は…っ、あ…、悪い…っ、痛かった?」

「違う、はあ、はあ、はあ…酸欠で、死ぬ……」

「はあ、はぁ、ごめん……。チャンミン、上に乗って…加減掴めない」


ふらふらしてるチャンミンにばしっと叩かれて笑われて、また笑える。俺に跨がって起こしたチャンミンの身体から幾重もの汗の筋が流れて降りてきた。その流線と散りばめられた水滴が熱い朝日を浴びてきらきらひかる。


「……チャンミン、あんまり気持ち良くないか?」

「は?」

「なんか、あんまり勃ってないし……」

「いや……なんか、、大丈夫。ちゃんといいし」

「そう?」

「うん」


萎んではないけど勃起してるとまでも言えないモノが腹に乗せられててちょっと不安。扱きながら腰を突き上げると、気持ち良さそうにしなってチャンミンは後ろ手に俺の太腿へ掴まった。
仰け反って嬌声を上げるチャンミンの全てがヤバい。


「あ!あ、あ、あ、ぃ…っ、あ、んん、っあ」

「チャンミン、呼んで?」

「あ、い、ん…、ユノ、」

「チャンミン」

「ユノ、ユノ……、ユノヤバい…っ、、」

「…チャンミン」







快感





興奮





衝動





チャンミン







「ごめ…っ、ちょっと俺もう……」


目眩がするほど我慢したけどもう限界。休めばいいのに止めることもできない自分が情けないけど、痙攣したみたいに異常な締め付けを感じてしまって離せない。


「…っ!悪い、先に…」

「イった…!!」

「え??」

「出た……」

「…あ、、、本当…」


確かに白濁は飛んで白く咲いてた。だけど手から伝わる感触ではまだ全然勃ち上がってなかったのに。吐き出す直前の脈打つ感じもないまま、粘り気のない体液が溜まってる。


「あれ……」

「…………たぶん、、…………ナカでイった…っ」


跨がったまま、繋がったまま、チャンミンは俯いて手の甲で顔を隠してたけど、


「チャンミン……」


泣いてるように見えて暴れる腰がやっと止まった。


「ユノ、、」

「……」




妙な気分なんだ、最近ずっと。



チャンミンの性別も性能も未来も奪っておいて、


「……もっと」

「……」


それが嬉しいなんて。
愛しいなんて。
胸を張りたいだなんて。


「もっとシて。……また、ナカでイけそうで……。イきたい……」




ごめんな




「…………騎乗位のまま?体位変える?」

「ううん、これがいい…」









ただ本当に







「もっと感じて、チャンミン」













チャンミンと一つになりたかった












片割れchap.10
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片割れ chap.10 #6










「トニー・テスタぁ!!!」


信じられない!

あのマイケル・ジャクソンの!!
あの「THIS IS IT」の振付師が!!!


「うんうん、ですよねー。この前のシャイニーの振り付けも話題になりましたね、ミノも騒いでましたよ。ユノヒョン、頑張ばろう」


練習室の片隅から、チャンミンがガッツポーズをしてる。


「……っ、、トニー・テスタ……」

「…そこまで感動されると、、。ユノ、我らがSMPの振り付けはそんなに不満だったのか……」

「違う違う!いや、そういう訳じゃないんだけど…っ」

「ふっ。分かってるよ。っていうことで、秋のカムバック曲はトニーが振り付け担当するから僕たちは今回サポート役ね。頑張ってよーっ!頼むよーっ!」


ジェウォニヒョンの、背中をばんばん叩いて喝を入れてくれる手を握り締めると、「ありがとうございます」という言葉が心の底から無意識に出た。
ヒョンは優しい笑顔を浮かべてチャンミンも近くに呼ぶと、俺たちの首根っこを持って頭部を突き合わせた。

それを見て練習室にいる周りのダンサー達は笑ってるけど、チャンミンと額同士がくっついて思わず意識しそうになる。

さすがに照れちゃうな…

焦点が合わないほどに近い綺麗なバンビアイを見るとすっと目線を逸らされた。


「あ~やめて~どうせなら綺麗な女性とこうしたい~」

「……」


うん、チャンミンは全然大丈夫そう。
うん、良かった…


「いいかい。うちの事務所は今年から世界的に有名な振付師をどんどん迎えて他のK-POPと差別化を図っていく。今回の曲はトニーに、次の曲はナッピータブズにTOHOSINKIを託す。但しどのグループにも真似できないほど難易度の高い振り付けを要求した。うちにとってもお前達が世界に誇る花形なんだ」

「……」「……」


ジウォニヒョンのワントーン落とした声が、胸の芯に響く。
燃えるような高鳴りが起きる。


「まだざっくりとしたイメージしか言ってなかったけど、二人で『対』になるようなパフォーマンスなんだってさ。だから二人で、鏡を見てるように動きを合わせて。トニーも相当気合い入ってるから、もちろん全体的にかなりハードな振り付けになるはず。ミュージカルみたいな芸術的表現も細かく入るはず。でも物凄くインパクトのあるパフォーマンスに必ずなるよ。……できるよね?二人なら」

「はい」「はい」

「よしっ、じゃあ…チャンミン!!いつでも練習付き合うからね!基礎体力今からつけとこうか」

「あぁっ、ジェウォン『先生』!お願いしますぅ~」

「「「「あはは!チャンミン、ファイティーン♪」」」」


俺から離れたチャンミンが次にジェウォニヒョンの肩にうずまると、皆から笑顔と励ましを貰いながらずるずるとトレーニングルームへ連行されて行く。


「チャンミナ、ファイティン!」


去り際のチャンミンに声を掛ければ、ぴっと右手で作った裏ピースに意志の強い眼差しを添えて姿を消した。

普段のチャンミンは俺より余程オーラがある。余韻にすら魅入られて、閉じたドアをただ眺めた。


「……本当に格好良くなったなぁ……」


いつまで経っても。
何度だって感嘆させられる。


「いや可愛い!」
「いや綺麗になった!」
「色っぽさが増した!」
「チャンミン、サランヘ!」

「は?…は!?」


練習室のあちこちからぽんぽんダンサーさん達の声が飛んできて、妙な誉め言葉に笑えない。
俺とチャンミンの関係が常識外れなら、この賞賛だっておかしいと思う。
俺が思うのはいいけど他の男がそう思うはダメ。


「ちょっと止めろよ。チャンミナ男だぞ。おかしいだろっ!」

「へえ?恐ぇーよ、何キレてんだよユノ。別におかしくないっしょ?本当に色気あるし。ヒチョルとかテミンとか、うちの男の子は特に。格好良いってだけじゃないじゃん」

「あれ、、あ、そっか……」


意識し過ぎた?
皆に認められて祝福されたい気持ちと身を引き締めて隠さなきゃって気持ちとが入り混ざって敏感になってるのかもしれない。

そう分析すると牽制してしまった自分が大失敗だったことに気付いて、余計に意識してしまう。
取り繕おうと話題をさらに掘り下げてしまう。


「…いやー、最近ナムジャペンも増えてきてくれて嬉しくて♪俺たちのこと格好いいって憧れてくれる人達が多いだろ?だからうちはてっきりカッコイイ路線かなって…」

「それはユノペンのナムジャのことだろ?チャンミンペンもそうだろうけど、どっちかっていうと可愛いとか付き合いたいとか。同性でも恋愛感情的な対象として見てるペンが多いんじゃないかな?」

「えー…、」


妙な気分。とても妙な気分。
ぐるぐるする。

俺たちのような関係は常識外れで、でもそんな関係になりたいと思う人達もいて。
何が正しくて、何が間違ってるって言うんだろう。


自分の思う道を進むってこんな難しいことだったっけ?


また別のダンサーがニタニタ笑いながら近寄ってきて嫌な予感しかしない。


「そうだよぉ~、そういう奴がハアハア言いながらチャンミンの写真持って布団の中潜るんだぞ~?……で、…ねえ?」








頭の血液が

ぐがっと沸騰して、


怒りにさらわれる。






「てめ…っ!」


『熱くなり過ぎないで』


「…っ」


でも次の瞬間チャンミンの声を思い出して。

申し訳ないけどそいつの胸ぐらを掴んではり倒す光景を一生懸命頭に描いて気持ちを落ち着かせた。
めり込む爪の痛みが分からなくて、奥歯をぎゅっと噛み締めた。

男の想像力なんてだいたい下半身にいく。自分の恋人がソコに使われてると思うとぞっとする。

…いや、メンバーとしても弟としても嫌だよな?



どうなんだろう、

……この感情は正解?



「え、と……」

「……って、おい!早く『キモイこと言うな!』ってツッコめよ、ユノ!俺が本当に変態みたいになるじゃんかっ」

「あ、悪い……。ちょっと色々考えてて…」


今度は考え込み過ぎて失敗だったらしい。


「出たーっ、またユノ話聞いてないー」
「本当昔から変わらないよね。ぽやぽやユノ」
「「あははははは!」」

「はは…」


なんかもう苦笑いしかできない。だけど無理矢理でも笑えて良かったなと思う。
皆が笑う所は俺も笑っとかないと。


「でも僕、チャンミンに抱きつかれてちょっとドキッとしたりする♪」

「……」


折角話が一段落しそうだったのに、よりによってダンサー仲間の中でも特に親しいヒョジェまでが冗談か本気か分からないこと言い出すからショート寸前。

余裕のない俺を察しろよ!あ、でもまだヒョジェ知らなかった。

待て待て待て待て。
しっかりしろ、俺。
落ち着け。


「いたーっ、俺らの中にも変態いたーっ!」

「「ぎゃははははっ」」

「違う違う!僕はそんな事しないけどさっ。だってチャンミン完璧な顔立ちじゃん。綺麗で可愛いし。ちょっとは見惚れたりするだろ!……ん?何、ユノ?」


落ち着いて落ち着いて。

黙ってヒョジェを抱き締めて顔を背の低いヒョジェの肩に擦り付けてみる。


「ヒョジェ~♪」

「ふははっ♪ユノ、何~?」

「ドキドキする?」

「は?何で?」

「じゃあチャンミナにこうされたらドキドキする?」

「するかも♪」


聞き捨てならない。


「……お前ちょっと後で話あるから来い」

「お、いいよ!今日久しぶりにご飯食べてく?」

「それとこれからヒョジェはチャンミナにお触り禁止」

「えーーっ!何でぇ!?そりゃないよユノ~!」

「代わりに俺がいっぱい抱き締めてあげる♪」

「ぎゃー!ユノがセクハラする~っ!」

「「「ぎゃははははっ!パボだ、パボっ」」」


何だかんだで天真爛漫なヒョジェに助けられた気がする。



だから言ったんだ、ヒョジェにも。またチャンミンを不安にさせるかもしれないけど、言いたかった。
知って欲しかった、大切な仲間だから。


「そっ、かぁ……」

「うん。これ本当だから」

「……僕はさ、今聞いたからって何も変わることないから。変わらず二人の間でパフォーマンスしたりふざけたりしていきたい。二人に会えたことは僕の宿命だと思ってるから。今まで通り二人にお触りもするよーっ?それでもいい?」

「ははっ、もちろん。態度変えられる方が辛い。ヒョジェ、ありがとう」

「ユノも教えてくれてありがとう。言うの、勇気いったよな?」

「……本当にありがとう」


チャンミンは待てと言ったけど、俺は正直事務所にはもう報告したって良かった。
マネヒョンが言う通り、俺たちがスキャンダルを起こすことはないわけだし、案外事務所も歓迎してくれるかもしれない。


「ところでさ、マネヒョンにも言ったんだけど、全然信じてくれなかったんだ。何か俺たちの事分かって貰える方法ないか?」

「そういう話は追々で良いんじゃない?今はカムバックもツアーも控えてるし」

「だから逆にいいんじゃないか?この勢いで事務所に言えば認めてもらいやすいような気がしない?」

「ユノ~、何を焦ってるんだ、お前は」

「いや、別に焦ってないけど……結婚式の参列が続いて、、やっぱり皆に祝福されるのいいなって……」

「ユノは乙女だからなぁ~」

「は!?俺は男らしいだろ!」

「違うって、思考回路が。可愛いもの好きだし。考え方はチャンミンの方が男らしいな」

「……そうかも。いやもう男とか女とかじゃなくて、はぁ。。もう……とにかく……」


本当にもういいんじゃないかなって思うんだよ。
公開恋愛する訳じゃない。
ただ今まで女の子と付き合ってた時みたいに、交際してる事を内々は知ってるくらいの……。


「自慢したいんだろ?」

「……」


そんな小さな世界でいいから。


「あー言い方悪かった?」

「…いや、……合ってる」

「うん、誇りたいよね?あんないい男が自分の恋人だって」

「そう、俺……」




















胸を張りたいんだ



チャンミンと付き合ってること


















「ちょっと散歩してきまーす」

「え、また?どこまで?」

「さあ?どこでしょう?」

「は?ちゃんと言えよ、心配だろ」

「ふふふっ、キュヒョンとこっすよ」

「…ご飯作ってくれたばっかりだろ。のんびりすれば?」

「いーや、外出たいっ。外気持ちいいよ、すっきりする」


チャンミンはよく外出するようになったし。アルバム制作が段々形になってきて、ボイストレーニングやらダンスの練習やら俺もヘトヘトなのに、豆腐中心の手料理も作り続けてくれて夜は泥のように眠る。そしてそれが楽しいって笑う。
輝きはさらに増して、チャンミンがはしゃいだり微笑むだけで素っ気ないレコーディング場が和む。

驚くほど成長してきてる。
次々進化して、チャンミンは一体どこまで行くんだろう?








「ん……ぁ、」


数時間して待ちきれず眠りに落ちた俺の隣に寝転がる人を朝日で確認して安心した。
いつも通り気持ち良さそうに爆睡してるこめかみにキスを落とすと、新調されたコンディショナーの香りがふわりと香って、また新しいチャンミンの魅力を引き出してる。

今日も一日暑くなりそう。
差し込まれた午前の光にすでに汗が滲みそうだった。薄い掛け布団すら外したいけど、チャンミンが風邪を引いたら大変。

結局そのまま、まだ一眠りできそうだなとチャンミンの少し伸びた顎髭をしょりしょり触りながら目を閉じる。


「……何時……」

「あ、起きた?大丈夫、まだ三時間前。昼からだよな?」

「そ……」


朝が弱いチャンミン。起床時間よりこんなに早く目覚めるなんて珍しくて再び目を開けて確認すると、チャンミンは未だ瞼が上がってなかった。まだいいって言ってるのに、一生懸命目を開けようとしてる。


「……ぷっ!チャンミナ今めっちゃ面白い顔になってる…っ、、」

「わーらーうーなぁ……」


面白くて可愛いくて愛しくて。そんなチャンミンをずっと見てた。
漸くぱちんと開いた瞼から、少しぼさついた前髪を通して零れ落ちそうなほど綺麗で大きな瞳が微笑する。






「アンニョン、ユノ」


































最高にいい男だった







自分が生きてきた中で一番の









「…………」

「…ユノ?」

「見惚れてて……」

「ぶっ、くくく…っ」


何でもない朝に、とてつもない初めてを知る。

隠れてしまった布団を少しだけ剥ぐと、甘いほど赤い耳だけ見せた後頭部がすり寄ってきてくれる。


「……いい?今日のスケジュール辛くなるか?寝たい?」

「大丈夫っ」





嬉しくて




幸せで





大好きで






口づけして夢中になった。


「二度寝だけは、気をつけましょう?」

「寝ずにシャワーすぐ浴びたらいいっ」


上体をお互い起こしてキスしながら脱がせ合って。布団を床に落として現れたチャンミンの肌が汗でしっとり馴染む。
エアコンなんてつける余裕ない。
荒い呼吸は隠せない。
チャンミンが慣れた手つきでバスタオルを敷きながら笑ってる。「興奮し過ぎでしょ、ユノ」と。


「興奮しない方がおかしいだろ…!」


ぎゅっと目を瞑って笑いながら腕を引くチャンミンに翻弄されて溺れて快楽にまみれて。


チャンミンが俺の全部になった












































他の部屋で寝てる人間の気配なんて、
微塵も感じられないほどには。









片割れchap.10
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片割れ chap.10 #5










ユノが最近、暴走気味だ。



「は!?何で!?事務所の人間には言わないでって言ってたじゃないっすか!」

「でもマネヒョンだぞ?一番俺たちのこと支えてきてくれた人にまで黙ってる必要ないだろ?……まあ、結局笑われて冗談だと思われたみたいだから。大丈夫……」


ユノは『爆笑されてすごく傷つきました』って書いてある顔をソファーに沈めた僕の腹に埋めてきて、縋るように腰へ巻き付いてきた。厚くて長い足は肘掛けから見事にはみ出てる。
へそで感じるユノの深呼吸が熱い。


「そりゃ、そうですよ……」


数日前にあったらしいその話を聞いて沈む心が僕の中にもあった。何を隠そう、僕もショックを受けてる。

受け入れられると嬉しい。
拒絶されると悲しい。
笑われると水を被ったように我に返る。

膝の上の小さな頭を撫でながら、これは兄貴なんだと再認識する。

喉奥がひゅっと、締まる気がした。


「……ねえ、感覚が麻痺してませんか?僕たちの関係って、世間では常識外れなんだよ?最近ユノが周りに言い過ぎてて、僕ちょっと恐いですよ、正直」


二週間ぶりに日本から帰国した足で向かったスジュのライブコンサート後、なんとユノはスジュのメンバー全員に僕たちの関係をぶちまけた。そんな発表、誰も信じる訳ない。

言うまでもなく、「本当かどうか、今ここでチュウしてみろ」とただ冷やかされて、目の前が真っ暗になった。
嫌いじゃないけど、さすが男子校生ノリのスジュ。

結局シウォニヒョンとドンヘニヒョンとキュヒョンが証言してくれて、兵役中のヒチョルヒョンにまで電話で確認して、その場は納まった。一応皆からおもしろ半分の喝采を得て。

帰ったら怒りまくってやると勇んでたのに、シウォニヒョンのいつもの囁きで結局僕も浮かれて帰っちゃったんだから、まあどうしようもない。。




『こんな独占欲強いユノ大変だろ?いつでも俺のトコ来なよ♪』


軽すぎる誘い文句は本気じゃない証拠。
シウォニヒョンは二人で飲み行った日以来、事務所で会っても飲み会で会っても僕を誘うようなことは全くしない。「束縛なんてしたことのないユノがチャンミンだけは独占したがる。お前はユノの本物だ」といつも仄めかしてくれる。

シウォニヒョンは、僕たちを応援してくれる。とても暖かく。
それがよく伝わってくる。




「はあ~、シウォニヒョンって本当に筋金入りの紳士だよねぇ……」

「……ちょっと待て。なんで突然シウォンが出てくる……?」

「ぐふふっ…。べっつにー♪」

「……」


そうそう、これこれ。
モヤモヤした、こんなユノの雰囲気が溜まらなく嬉しい。



認める。僕は情念の塊だ。




「ユノ、僕たちは契約で事務所に籍を置いてる人間でしょ?最悪切られて終わりだよね?でもマネヒョン達は違う、会社員じゃないですか。組織の中で一生生きていかなきゃならないんですよ。マネヒョンやスタッフさんに話す時は事務所に話す覚悟でいかなきゃ。そのためには……、僕たちがもっと成長してもっと自立した大人になる時まで待ってくれませんか?」


薄目を開けてじっと僕の話を聞いていた横顔のユノは、「うん…」と呟いて目を閉じた。腰に回されてた腕に力が籠もって、ユノの綺麗な鼻がより僕の腹に埋まる。
くぐもったユノの声は僕の全てに染み込む。


「チャンミン……」








ああ、何て言うの。こういうの

何て言うんだろう……







自然とまあるい声が呼応する。


「はあーい…?」







愛しい




これ以上の言葉で表せない歯痒さが、僕を言葉から遠ざける原因のひとつ。
こんな気持ち、言葉でなんて表現しきれない。


「事務所とは契約切らない」

「当たり前でしょ、さっきのは言葉のアヤです。でもユノにはちゃんと分かって欲しくて。それくらい危ないことを言おうとしてるってことなんですよ。周りに分かってもらいたいって気持ちは僕も同じだけど、熱くなり過ぎないで。今バレたら、そういう危険性だって十分ありますよ」

「……マジで?」

「マジでマジで。気をつけましょう」

「分かった……。。キヲツケル……っ」


ユノを十分納得させた(脅した)ところで、一人で散歩に行くと言って外へ出た。
ちょっと湿気った重みのある風に当たりながら、イヤフォンを付けて目的の場所を目指す。

向かいの歩道で何人か速度を合わせて付いてくる女の子たちは気にしないことにした。声を掛けられたら軽く挨拶して過ごせばいい。


目指した光が見えてきて、気持ちだけキャップを深く被り直してから自動ドアを通過した。
燦々と照らされた店内に、色とりどりの食材の数々。カートにカゴを添えて、なんだかわくわくする。流れるBGMさえ新鮮で、聴いてた音楽は外した。

フルーツが美味しそう。いちごを買おうか。
予定になかった季節外れの赤い果実をまずは入れて、頭の中のリストを探してゆく。
目に留まったシャンプーやコンディショナーも選んで。折角だから使ったことのないセットに決めた。夜食用にパンを買いたいけど、ユノも食べてしまうかもしれない。今日はひとまず我慢する。


「お、あったあった…」


一番の目当てが見つかると思わず独りごちた。それをできるだけ多くカゴに納めて、レジへ向かって会計を難なく済ませる。
何でも揃うやや富裕層向けの大型スーパーマーケットから出ると、案の定、付いてきてたコ達に声を掛けられた。


「チャンミンオッパ!お豆腐いっぱい買ってたよね?何作るの?ユノオッパも一緒に食べるの?」

「食べきれなかったらヒョンにもあげるよ。夏は暑いし治安も悪いから、気を付けて帰って下さいね。駅はすぐそこにありますよ」

「「「はーい♪」」」

「じゃあね」


言えば素直に応じて帰ってゆく少女達に内心感謝しつつ。
それからまたイヤフォンを付けようかとも思ったけど、


「あ、蝉」


今年一番、夏の始めに聞こえてきた蝉の声と共に歩いた。汗ばむ肌は、後でユノに洗ってもらおうか。なんて考えながら。


「ぁ、れ…。なんで……」


僕たちの宿舎を目視できた時、滴る汗の一筋が涙だったことに気付いて自分で驚く。拭うこともせず、考えてみた。

なぜ僕は泣いてるんだろう?


「ユノ……」


蝉が鳴いて、肌は夏の知らせを感じ、僕は普通に買い物へ行けた。
人目に怯えず、欲しいものを手にとって、恋人と一緒に食べるご飯の食材を選んだ。
そして今、その人が待ってくれてる部屋が見える。


「…………ゃば…っ、、」





名付けるなら、それはただの









幸福だった



誰が何と言おうと、僕は今、両手に抱えきれないほどの幸せを抱き締めてる。


「……っ」


音もなく落ちる水滴を振り切って、そこからはもう全速力でユノの所へ戻った。


「っだあーー、疲れたぁーーっ!暑い!」

「おう、おかえり。何、買い物もしてきたのか?」

「散歩がてら。よし、ユノご飯作るよー。待ってて」

「え!?本当!?何々、何作ってくれるの?」

「こっち戻ってきたら作るって言ってたでしょ。で、豆腐チャーハンっていうのがよく見る料理本にあって、美味しそうかなって……どう?」

「マジで!?絶対食べたい!すごい食べたい!今食べたい!」

「ふふっ♪あとカロリーも低いのにボリュームあるんでいっぱい食べても大丈夫っ。ついでにいちごも買っちゃいましたよ」

「!!!チャンミナ、チャンミナ…♪」

「ユノ、暑いっ!!」










愚痴をこぼす僕の唇は笑ってると自覚してます。


膨らんだビニール袋を手を繋いで運ぶのは僕の作戦です。


びちょびちょの汗だくな僕にお構いなく纏わり付くこの純粋な人は、











僕の恋人です。








片割れchap.10
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片割れ chap.10 #4











ユノが「あ」と言えば、
チャンミンが「うん」と言う

そんな感じ。







休憩中、お台場の楽屋で不意にこれから一年のスケジュールを思い出して、くらりと軽い立ち眩みを起こした。思わず当の本人達を見ると、ユノは腕立て伏せ、チャンミンは料理本を捲って過ごしてる。

何の気負いもない。まるで家に居るみたい。
そんな二人の姿だけが救いのような気がした。


「お前達、いい感じだなぁ……」

「あはは!マネヒョン、ありがとう♪で、何が?」

「……」


俺の独り言に筋トレを止めて問い返してくるユノと、すっとユノに水を差し出してまた無言で本に意識を戻すチャンミン。


「なんかその感じが」


お互い別々のことをやってるのに穏やかに繋がっている感じ。二人が同じ空間に居るだけでとてもリラックスしてるのが分かった。
あんなドデカい日本ツアーをたった二人でやってのけたんだから、絆も信頼も深くなるのは当然かもしれない。

夫婦みたいとはよく言ったものだ。


「休みもそんなに取らせてられないのに、本当によくやってくれてるよ。今日夜何食べて帰ろうか?日本だからぁ…、天ぷらとか寿司とか焼き肉とかラーメンとか……何でも好きなもの食べに行こう」

「僕いつもの定食屋さんでいいです」

「俺も。今体絞ってるし」

「そうか?本当、何でも言ってくれていいんだぞ?」


二人のTOHOSINKIが成功した。
次は規模の限界を駆け上がる。

秋に韓国でリリース予定のアルバム制作が動き出して、選曲の段階からユノとチャンミンも参加するようになった。そのアルバムを軸に冬から約八ヶ月間かけたワールドツアーに入る。まだ決定するまで二人には知らせてないが、さらにそのツアーと今年の日本ツアーなどの実績で交渉中の来年の日本五大ドームツアーと単独スタジアム公演が予定されてる。

どれもこれもTOHOSINKI史上初。
合間には各国から取ってきたフェスやメディア出演を詰め込んでいく。
滅茶苦茶を超える一年。

規模が膨らめば批評も膨らみ、その中を突き進まなければならない。
ゆっくり休んでる暇もない。
まともな人間ならメンタルが崩壊したっておかしくないんだ。

少しくらい胸が痛むのは、俺がまだ人の子だって証だろう。













だけど宿舎に帰ってきたらきたで、


「ヒミコサマーっ!」

「ふふふっ」

「……いや、もういいから。お前ら宿舎にいる時くらい、ちゃんと休めよ」


ずっとリビングでユノは懲りずにダンベルのトレーニング、チャンミンはイベントで披露中のギターの練習をした。
だけどユノがダンベルを使って数日前収録で教えてもらった芸人ネタでふざけるから、チャンミンがいちいち反応しながらギターを弾いてる。チャンミンが笑うからまたユノが笑わせようとタイミングを図る。

帰ってきたらもうお互い自室で休めばいいのに、こっちが辟易するほど休まない。


「いや、ユノヒョン見てると面白いですし。リラックスできるから逆に上達しますよ」

「もう寝ろよ~」

「あーおなか空いたぁー。マネヒョン、豆腐そうめんもうない?」

「ないから!だからもう寝ろって~」

「じゃあ僕がコンビニ行きます。ビールもなくなったし」

「はあ~……」


重い腰を上げて、ベランダの窓越しに上空の天気を確認した。帰宅した頃に降っていた雨は、すでに梅雨の作業を終えている。


「傘なくていいな。じゃあ行くか」

「あ、マネヒョン大丈夫。僕一人で行けます」

「いや何があるか分からないから。俺もついていく」

「マネヒョン、チャンミナだけで大丈夫だよ。日本だし」


二人の妙な連携プレイであれよあれよと言う間に、キャップとフードとマスクを身につけたチャンミンが出て行った。なんだか怪しい。
一人で外出したい理由があるとか?


「……彼女に電話?


ユノなら知ってるはずだし協力するはず。でも俺が聴いたところでまた前みたいに凄んでしらばっくれるんだろうな。と、逡巡した。


「ユノ、筋トレよく頑張ってるな」

「だろー♪」

「最近チャンミンも調子いいな。なんか柔らかくなったっていうか、心境の変化でもあったのかな?」

「…………そうかな?」
 
「あ、いや。プライベートが充実してるなら良かったと思って。ストレス感じやすいタイプなのにうまくコントロールして、チャンミンも本当成長したもんだ」


あからさまに間の空いた返事となぜかにへらと笑って自分のことのように照れるユノに、思わずこちらも本音の個人的感想が漏れてしまった。
立場上、本来なら問い詰めるべきで、女性関係があるなら厳重に注意すべきところなのに。

俺はやっぱりこの純粋な二人が可愛くて大好きで、せめてプライベートくらいは目を瞑ってやりたい。(それで上から怒られたことも何度かあるけども)


「マネヒョン」

「んー?」

「もしさ、俺とチャンミナが男同士で付き合ってたらどうする?」

「はあ?気持ち悪いこと言うなよ、中高生の時からの兄弟だろ」

「でも実際そういう人達もいるわけだろ?分かんないよ~?あるかもよ~?」


ユノがいたずらっ子なトーンで聞いてくるから、このジョークに乗っかってやることにした。窓側を向いて表情は見えないけど、今夜はとことんおふざけモードらしい。


「ふははっ。まあそうだな、お前等がくっついてくれたらスキャンダルですっぱ抜かれる心配もなくなるし。俺としては有り難いね」

「あはは!そっかー。じゃあ、俺達が付き合うことは認めてくれる?」

「ふふっ。ああ、大歓迎だな♪そう祈ってるよ」

「あはー!はーはーっ」


ユノの大笑いで一息ついたところで、寝酒を飲もうと冷蔵庫を探りにキッチンへ入った。


「あーそうだった。ビールなかったんだな、チャンミンに電話して俺の分も買ってきてもらおうかな」

「マネヒョン」

「ん?」

「……」


返事した声が届かなかったのか、ユノから次の言葉が出てこない。


「ユノ?どうした?」

「……チャンミナには、マネヒョンに迷惑がかかるから言わない方がいいって言われてるんだけど、、」

「何?どした」


淡々と、あまり響かない、呟く程度の声に引き寄せられるようにリビングへ戻った。ユノは俺の気配に振り向いて、俺を見つめながら、そのまま二つのダンベルを渡す。両腕にずっしりかかる重さが取り巻く空気の深刻さと連鎖する。


「何だよ、恐いな。いいから言えよ。何かまずいことがあるなら対処するから」

「あのさ、」

「……おう」


身構えるれば身構えるほど、何かとんでもない告白が返ってきそうで、


「…」

「何、何だよ。かなりまずい事なのか?急ぎか?」


ユノを急かした。


「いや。まずいと俺は思ってないし、ゆっくり。ゆっくり理解してくれれば嬉しいんだけど……」

「……何」








一番に思い付いたのは、交際相手の妊娠。







ユノか?

チャンミンか?


どちらにしても相当まずい。大スキャンダルになる。極秘?海外出産?籍なんて入れさせられない。鬼の心が沸き上がって、絶たせることすら脳裏にちらついた。




今はまずい。この一年だけはまずいんだ。


「ユノ……」


絞り出す自分の声が震える。











ガチャガチャッ


バンっ



「おーっ、緊張したぁーっ」



張りつめた空気をチャンミンに消された。



「……お疲れさん。早かったな……」

「誰にも気付かれませんでしたよ~。僕って実は人気ないんですかね?」

「……違うだろう、映画の撮影の時なんて大混乱にさせたくせに。こんな時間にチャンミンがコンビニで買い物してるなんて誰も予想できないだろ。例えペンでも見逃すさ」

「あー、緊張したぁー。あー、でもなんか意外と一人で外出ても大丈夫なもんですね」


ちょっと興奮ぎみに目をギラギラさせて緊張したと連発するチャンミンが幼い子供に見えて、カワイソウだと思ってしまう。


「何だよ、緊張するくらいなら俺かスタッフに言えば何時でも代わりに行くぞ?」

「いや。最近一人でちゃんと何でもやれるようになりたくて。買い物とか料理とか、一人でちゃんと生活できるくらい自立しとかないと、男として恥ずかしいかなと!」

「……掃除は人一倍やってると思うから気にする事ないぞ?」

「ですよねー♪そこは僕も自信あるんですけど!」

「あれ…俺なんか耳が痛い……」

「お前のことだ。現実を見ろ、ユノ」


気が抜けてなだらかで和やかな空間へ戻ったけれど。

いつも一緒に居ていつも一緒に仕事をするけど。

俺と、ユノやチャンミンは全然違う。
普通の人間はコンビニ一人で行くくらい何でもない。行くのさえ怠い時だってある。


「はい、ユノヒョン」

「おう、ありがとう♪」

「一人けっこう面白いですよっ、皆で行くのと全然違う。ほら去年、仮面とマントつけて僕らの正体がバレないようにカプセル探すゲームやったでしょ、『ランニングマン』の収録で。本当あんな感じ。バレたらどうしようって怯えたら余計怪しいでしょ?だから大胆さが大事なんですよっ」

「あはははは!そっかー♪」


まくし立てるチャンミンの腰をぽんぽん撫でて、ユノが優しく笑ってる。頷く茶髪がふわふわ揺れる。

こんな二人の小さな世界を、カワイソウって思ってしまうのはお門違いだと理解してる。それに見合った名声や愛や恩恵をきちんと享受してるんだから。
だけどたまに、一体このコ達と逃亡者の暮らしのどこに違いがあるのかと、どうしようもなく憤りを感じることもあるよ。

二人の告白の一つや二つ、どうにでもなる。何とかしてやりたい。


「マネヒョンにも。はい、ビール」

「お、ありがとう」


気の利くチャンミンから缶を受け取って中の液体を流し飲むと、喉に爽快感が広がる。
数杯飲み交わした後深酒することなくチャンミンは漢方薬をばりばり頬張って幾重ものスキンケアをしに洗面室へ立てこもった。


「で、ユノなんだ。さっきの続き」

「あー……、」

「いいよ。何でも。ちゃんと聴くから」


そうさ。
軌道に乗って、成功したんだ。
立ち上がったんだ。どん底から。
何とかなる。


「実は俺とチャンミナ、本当に付き合ってるんだ」

「……ん!?」

「始めは俺が好きになって振られたりしたんだけど…でも結局チャンミナは応えてくれて。恋人同士になった、一年前から」



「…………」

























俺がこの時、どうしたかって?








































「……ぷっ♪」














「……」

「あははははははは!!!ユノ最高だっ!!!っはははははは!」

「マネヒョン……」













笑ったさ

そりゃ笑うだろ?












「何だよお前~!俺の緊張返せよ!っあー、もう本当にドキドキさせやがってぇ~。でも面白い!日本のお笑いの『テンドン』ってやつだろ!?一体いつ覚えたんだっ。あ~っ、最高に笑えるなぁー、はははは!」

「いや、マネヒョン。本当に…」

「あはははは!もういいからっ!本当に腹痛い!もう勘弁してくれ、頼むっ!ふふふふ…っ!」


それも盛大に。構えてた心が一気に弛緩して、本気で腹が捩れたんじゃないかってくらい爆笑した。
リビングに戻ってきた、つるぴかでぽかんとしてるチャンミンに問い直すのもアホらし過ぎて、そのまま二人に就寝の合図をして今度は俺が洗面所に入った。


「ふふ…っ、」


鏡に映る笑いが収まらない自分の顔を見てまた大笑い。


「ぶっ、ないわぁー。。だははははは!」


だって二人は歴としたノーマルだし。
歴代の彼女も確認してきたし。
芸能人という仮面を取れば、二人ともどこにでもいる綺麗で可愛い女性にうはうは言ってるただの成人男子だし。
何よりいつも一緒に居る兄弟で戦友でメンバーだし。
夫婦みたいっていうのはそういう意味で繋がってる大事なパートナー同士だし。

汚くてだらしない所も散々見てきた二人だ。


「くくくっ!!あるわけないわ、本当ユノ笑わすなぁ~♪『ヒミコサマ』よりこっちの方が笑えるなっ」























笑うさ

そりゃ笑うよ























「一年前から……とか、ストーリーいきなり作り出すから、もうっ。ふはは!ユノらしいな♪」




だけどな、



















俺は今も後悔してるよ。

















あの時、真剣に聴いてさえいれば





もっと違う道だってあったのかもしれないのに

ちゃんと聴くって約束したのに








そう思うと、今でも

二人の目を見れない時がある。


















本当に悪かった。
















ごめんな、ユノとチャンミン














片割れ chap.10
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#ホミン春のパン祭り








おはようございます、りょうです。



話を進められてなくて申し訳ありません。
コメントのお返事、まだ返してなくて申し訳ありません。。_φ(TдT )




なんですが、



Twitterで流れてるこのお祭り、ちょっと私も参加させて頂きます!





あまりに嬉しくて……。涙


兄貴がパン買って弟に会いに行くってだけで、どれだけ幸せ貰えるんだ。






ホミンホって、尊い。


















(誤字脱字、お許し下さい!)



















彼の約数十メートル先のベーカリーにて。

















お♡ま♡け


ラブエンド❤












失礼しました!ヽ(*´∀`)八(´∀`*)ノ
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片割れ chap.10 #3










______Y.side______







記念日の夜、



無防備なチャンミンから

ありったけの信頼を



感じた







「チャンミナ、麺!」

「……。ん!?」


愛を感じる。
チャンミンにも俺の気持ちを感じて欲しい。


「麺作るから!お前好きだろ、ちょっと食べてみろっ」

「え、麺って何麺?ファンクラブイベントで披露する料理でしょ?結局何作ることにしたの?」

「一個以上作ることにした。俺、味覚にはけっこう自信あるし」

「イッコ、イジョウ??……ミカク、ニハ、ネ、、」

「こらっ、マネヒョンも美味いって褒めてくれたんだぞ?」


からかってカタコトに言うチャンミンを連れて、指導を受けたクッキングスタジオから余った材料をとりあえずキッチンに全部取り出して並べる。何から手に取ればいいか忘れてしまって、両手を擦りながら転がった食材を見渡した。


「えー…っと……」


忘れた……。何だっけ……。


「手は?手は洗いました?」

「あ、そうそう。手な、、いやさっき洗ったし」

「えー、疑わしいなぁ……」

「いいからっ。出来たら呼ぶからちょっと待ってて。本当すぐ出来るから」

「ぶくくく…っ。はーい♪」




不思議なもので、結婚式への参加は続いていて。最近は事務所の理事の式で、チャンミンや他グループのメンバー達と参加した。
ほぼ事務所関係者で埋め尽くされた会場に、だんだん未来の俺たちの結婚式を見てるような心地がして胸いっぱい。チャンミンに「結婚式っていいよな?」「式ってなんか凄いっ」「こんな風に皆からお祝いされたらいいよな?俺たちも」って、耳打ちした。ら、未知との遭遇並みのスゴイ顔で見られた。




「……あ、そうだ。もやしだ、もやし。鍋、あ、沸騰させなきゃ……」




でも俺の本音だったから。チャンミンの顔見て、あーこれ鼻で笑われたらちょっと凹むなぁ…って思った瞬間、


『静かな方がいいんじゃないっすか?』


という捨て台詞を残して、チャンミンはキュヒョン達の所へ逃げて行った。




「ぇ、と。次は~…カボチャ!切る」










こんなに嬉しいことって、ない










思い出したらにやけて止まらなくなった顔を掌で押し拭ってかぼちゃに包丁を入れていく。
初めてサムゲタンを作った時からかなり時間が空いていて、刃物への力の入れ方なんてすでに忘れてしまった。五分前の事でも忘れたりしてしまうから自分で自分の忘れっぽさに困る。


「ふ、ふ…っ」

「んあ?あ、チャンミナ?」

「あ、危ないって…ふ、くぐっ」


気がつくと後ろからチャンミンがまな板を覗いてた。必死で口を抑えてるから、頬が盛り上がってぷくぷくしてる。


「危なくないから!シェフ並みだろ?」

「ぶーっ!!!あははははっ!」

「ユノシェフ、ユノシェフ♪」

「ぶーっ!!!」


ジョークを飛ばしたらついに吹き出してしまって、チャンミンの重みが額から乗っかってきた。背中に笑って震える俺の人。


「ちょ、こっちが危ないだろ~っ」

「すいません…っ、だって……切るっていうかこれ押し潰し…てっ、くくく、……っ」

「……ぶっ、ふ…っ、」

「ユノ、ユノ、ちょっと待って。落ち着いて…、ふふふ…っ、ふ」

「あははははは!ダメだぁ、笑って手が震える…っ、あはーはーはー!」


天井を仰いで大笑いすると、後頭部に、俯いて爆笑してるチャンミンの後頭部が当たった。


なんだか俺たち、ぴったりだ


「丁寧にっ。丁寧にいこう、ユノ!」


だから笑い泣きでずっと目が潤んだままのチャンミンとぎゃーぎゃー騒ぎながら完成させた海鮮インスタントラーメンのレシピだけは、絶対忘れないようにしようと思った。まあアレンジで豚肉も入れたから、海鮮と呼べるかは分からないけれど。


「麺が、伸びてるね。あと味がやっぱりちょっと薄い。味みながら、茹でる時間ちゃんと図れば?」

「うーん……」

「でも悪くはない」

「うん、だろ!?」



「うん、美味い」



「……ふはっ!だろ!?」

「まあね」





チャンミンが初めて、


美味しいって言ってくれたから












「明日も作ろうか?」

「いやいやいやいや、僕がイベントで試食する係なのに何回食べなきゃいけないんですかっ。いいっすよ、今日だけで」

「そうか?」

「うん、次はまた僕が作るから」


最近のチャンミンは甘くて格好良くて、最高の男になりつつあるから、こっちが参る。


「!チャンミナ~~っ♪」

「うるさいっ。こんなんばっか食べてたら、僕はいいけどあんた確実に太り続けるから仕方ない」


だけど、それだけじゃなくてな?


俺だって人間だから、自分の抜けてる所に不甲斐なさを感じたり、ボケることで皆から喜ばれる時に疲れることもあって。

俺だって男だから、格好良く決めたいとか、鋭い時だってあるのにって、人へ反発したい時があるけど。


「俺そんなに太ってないわ、そこまで俺が太るの嫌かっ」

「太ってないのくらい分かってるって。僕は何でもいいと思ってるのに、ユノが太ると胸が目立つって気にするから」

「え」

「え、そうでしょ……?」


チャンミンだけは分かってくれる。
だったら俺、何時間でも笑われていいや。
天然だって喜ばれるなら、それでいいや。


「……チャンミナ」

「や、あの、コンプレックスはやっぱり僕もあるから分かるし……髪の毛多いとか手が小さいとか…何とかなるなら、何とかしたいって思うけど僕のはどうにもならないし。でもユノは運動さえしっかりすれば全然気にしなくて良くなるから……羨ましい……」


チャンミンはきついこと言う時も、酷いこと言ってるようで本当は的確に物事見て改善しようとしてくれてるだけ。


優しいよね


きっと誰かが深い傷を負ったら、それを舐めるんじゃなくて、痛いって叫ばれてもちゃんと針で縫って治してあげれる人だと思うんだ。

慰めるんじゃなくて、立ち上がる力をくれる人。
チャンミンこそ、信頼できる。

何度だって、そう気付かされる。



「すいません…ちょっと言い過ぎましたよね……」

「……俺ってそんな魅力的?」

「はい?」

「何でもいいって、俺が何しても格好良くて何しても好きって思っちゃうってことだろ?」

「お…っ、おおおお、お!?」

「いや大丈夫!!言わなくても分かるから!!!そっかぁ、チャンミナそんなに俺のこと……あーーっ、幸せだなぁ!」


仰々しい手振りをつけて、こんなもろからかってるだけのわざとらしい俺の演技に、もはや痛くないの?ってくらい耳を真っ赤に燃やすチャンミンが新鮮で。何か返してこないのかなぁ、なんて、そのままニヤニヤ見てたら「一回死んでこい!」って今日は暴言が飛んできて、自室にまた逃げられた。


甘くなったり
恐くなったり
格好良くなったり
真っ赤になったり
おかしくなったり

毎日いつも色んなチャンミンに会えて面白い
どんなチャンミンの心も綺麗で美しい




使い終わった食器やコップをざっとだけどシンクに追いやってから、チャンミンの自室をノックしてドアノブを回す。
鍵は掛かってなくて、期待通りのチャンミンの気遣いにやっぱりにやける。
俺今相当気持ち悪い顔してると思う。こんな自分、格好悪くて誰にも見せられない。


「チャンミナ~♪チャンミ~ナ~♪」


チャンミンだけ。
チャンミンだけに晒す。

てっきりゲームでも始めてるかと思ったのに、目に止まった物体はベットの上で頭を抱え、うずくまった身体をゆさゆさ大きく揺らしてた。地鳴りのような声が低く伸びてる。


「あ″ーーーーー……」

「……」


チャンミンって、本当飽きない。


「おい、そろそろ寝るか?歯磨きする?」

「……」


ぴたりと止まったチャンミンが、次の瞬間リスのような素早さで布団の中に潜り込むからもう面白くなって。こんもり膨れた布の山に飛び乗った。


「こんなので逃げれるわけないだろ!パーボヤ~♪」


中を探って縮こまった足首を引っ張り出すと足掻いてまた中へ隠れようとするから、夏用で軽い掛け布団を思いっきり上に浮かせて俺もその中に入った。
ばたばた暴れて。じゃれて。はしゃいで。当たったパンチがちょっと痛い。


だけど、


「た!」

「あっ、ごめんね?大丈夫?」


このベットの中には可愛いしかない。
今度は俺の肩を本気で心配するチャンミンが現れて、呼吸を整える息遣いだけが残った。


「次はいつ作ってくれる?」

「ん?…。あー、料理?日本から帰ってきたら、かな?」

「すっごい楽しみしてる♪」

「…ぶふっ。いやその前に、僕がユノの同じ料理を何度も食べなきゃだからぁ」


困ってるのか笑ってるのか分からない大輪の笑顔を目の前に。
無理して言わなくったっていいし、言わなくても分かるだろうけど。


言いたい時には言わせてな?


「チャンミン、サラン…」





























チャンミンだけに捧ぐ。










片割れ chap.10
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片割れ chap.10 #2

(注意)BL表現ごさいます。ご注意下さい。あとすいません、현명환さんの読み方が分からなかったです、ごめんなさい。_φ(TдT )ここでは「クマCQ」とさせて頂きますが、どなたかご存知の方いらっしゃいましたら教えて下さい!後日、修正するかもですっ。













______C.side______










身も心も、ユノに預けた




「え、チャンミナ本当?本当にいいの?」


僕は人見知りだし、自分の空間や時間を大事にしたい。だけどホジュンさんを住まわせたいと言われて、何も言わず賛成しようと思った。
ユノには「表へ出ていく強さ」が仕事にもプライベートにもあって、それで問題が解決できるかどうかは別として、向かっていく。そういう姿勢を見習いたい。
大丈夫。ユノが言うなら、きっと何とかなる。





そしてユノは、僕の身体を縛った。
漠然と、手を後ろに回して両手首を…とか予想したけど、体育座りの状態から右は右、左は左で、コードの紐をぐるぐる巻きにされた。
手首と足首を纏められたヘンテコでやらしい縛り方に顔から火が出そう。
でもユノらしいなと思う。
踵を握って羞恥を逃がす。


「来年!」

「ぇ」

「来年は絶対。俺が何かプレゼント用意しとくから」



「……」






なぜそうしたのか自分でも分からない。




「……だ、から…………、」








ユノの言葉で、火花が咲いた。






不自由な身体を前のめりにして転びそう。膝をぺしゃりと内股でシーツに落として、首を亀のように突き出しユノの半勃起したモノへしゃぶりついた。
「冗談だって」、なんてまた素直になれない事ばかり言う自分の口を塞ぎたかったのかもしれない。


「ぅぁ、チャンミナ……っ」


もう人間じゃない気がする。
ユノの、上擦る声に浅ましさが増す。荒い吐息に淫らさが濃くなる。
わざと卑猥な音をたてながら咥内に含むモノを舐め吸った。踝(くるぶし)から動かせない手の呪縛に興奮して、僕自身も両腿の間から勃ち上がる。



こんな自分、誰にも見せられない




「はあ……やば、気持ちい……」


ユノだけ。
ユノだけに捧ぐ。

股間に頭を突っ込んで、必死で同性のモノくわえて勃起して。腹を空かせた犬みたいに卑しい僕。そんな僕を撫でてくれる貴方だから委ねられる。


「キスしたい、、チャンミナ離れて……」


貪欲な僕はとどまらず。ユノの言葉を無視して貪っていると両手で顔を挟ませて強制終了されられた。引き離された口から唾液がてろんとこぼれて、僕の名残惜しさを物語った。


「…っ、はあ、、お前初め……あんなに泣いてたのにな……」





誰にも指図されず、天の邪鬼な自分を逸脱し、自分ですら認めたくない本性を

ただ一人に暴露する。







「ユノ……」






言わなくても、





分かるでしょ?


僕がどれほど貴方を愛しているか









「チャンミン…!」

「んっ」





甘噛みのようなキスで枕へ沈められたら後はもう、傷が残らないようにだけ。意識を紐へ置き去りにした。

温かい重みと下唇から滲む鉄分の味を感じてやっと、さっきの火花の原因が分かった。


「ああ、……そっか」

「なに。どした?」

「…ふふっ。……なぁんでも……」













『来年。来年は絶対』


変わらない未来への約束が、爆発するほど嬉しかったんだ。

























______KUMA.CQ.side______








「結婚したい……」



「ふははっ、ユノは結婚願望昔からあるもんねぇ。まあ今は忙しいし、もう少し先だね」

「……できないんだけどしたい……」


頬杖をついてぼぉーっとチャンミンの方を眺めるユノが、本物の溜め息をついたようで切なくなった。チャンミンはスタッフと楽しそうに和気藹々と話してる。


「どうした?チャンミンにいい子でもできて羨ましいとか?」

「……」

「大丈夫だよ~。ユノにだってすぐ素敵な子が現れるさ」


野外撮影の早朝、夏にはまだ早いと言わんばかりの冷たい雨に覆われて、ベンチコートの上からユノの肩を擦って温めた。
撮影の待ち時間というのは意外に長く、被写体となる人間はさぞ体調管理が大変だろうと思う。
そんな心配セキュリティの仕事ではないけれど、ユノだからこそ。僕はユノをどんな形でも守りたい。


「いらない。チャンミナいるもん」

「えー?もう少し弟離れしたら?ははっ」

「それよりクマちゃん、最近チャンミナ色々考える所があるみたいだから。ちょっとした空き時間はセキュリティ外れてあげて」

「え、いいの?」


ユノとはこれからも長い付き合いになるだろう。
2009年の若くしてぼろぼろになったユノを目の前にして、自分の命に代えても守ると決意した。

ユノの身体、体調、精神、大切なもの。
必ず守ると誓ってる。


「でも実は俺も心配だから……できたらクマちゃん、距離空けて見といてあげてくれない?」

「それじゃあセキュリティの意味ないよ。僕も世間に顔が知られちゃってるし、何かあった時すぐ対応できないじゃない」

「いや、そこをなんとかっ。チャンミナもちゃんと考えて行動できるコだし、ただ見守ってくれたらいいから」

「うーん……」


拝むように愛嬌を見せて僕を見つめるユノには申し訳ないけれど、セキュリティ業界に見守るだけでいい、なんて言葉は存在しない。
瞬時の判断力と対応力を常備して、最悪のさらに最悪な状況を想定しながら依頼人を警護する。
それでも何かあった時は、僕自体この業界から抹殺されるだろう。


「言い方は悪いけど……、ユノちょっと…」

「ユノヒョン、ちょっと見て下さいよっ」

「んー?」


ドラマじゃないんだからそんなセキュリティ引き受けられない、と言おうとしたところでチャンミンが近寄ってきた。

チャンミンはユノの隣に膝をぴたっと寄せて座ると、頻りにスマホの画面をスクロールさせて髪型がなんたらとユノに相談してる。ユノはユノで話を聴いてるのか聴いてないのかチャンミンの横顔を見てる。とても穏やかな顔つきで。


「今ヘアメイクさんにこれも合うって言われたんだけど、どうですかね?」

「チャンミナは何でも似合うって。今の黒髪も格好いいよ?」

「いやいやでもでも、癖っ毛だしペンの皆さんも飽きちゃうだろうしっ、うーんっ!!」


ぎゅーっと瞼と歯に力をこめてはにかむチャンミンの髪の一束を揺らして、ユノの腕は流れるように背もたれに。チャンミンの背中をそっと守るように伸ばされてる。
おまじないのようなこの守り方こそ、チャンミンが精神的に最も安心してこれた方法なんだと思う。

ユノがチャンミンを守ってきた。チャンミンが恐くて怯える時はユノが手を引いて移動したこともある。嘘のような本当の話。


「そう言えば今年、髪染めてないよな?」

「そう。ああ~どうしましょう~っ」


TOHOSINKIのサセンは、命がけで彼らを追いかける。
彼らが外にいる間中、ずっと。ずっと。
精神的な恐怖を感じないわけがない。ノイローゼになる。

タクシーに莫大な金を払い、無断駐車させ、赤信号を無視させ、追い越しさせ、逆走させ、リアルタイムでどこに二人がいるかブログにアップしてる裏サイトが何十とある。
ということは、過激なアンチも私生活の情報を掴んでる。


「……そう言えばしばらく日本だね。ゆっくりして来てね、二人とも」

「いやーっ、それが今回宣伝する曲の振り付けが激し過ぎて正直やりたくないんですよぉ」

「振付師の人にも激し過ぎてごめんって謝られたもんな……」

「あの人にマジ、恨みを抱いたっ」


そう言いながらもチャンミンは上機嫌に、その日本人振り付け師の癖らしいファイティンポーズを真似して、ユノはそれを見て高らかに笑う。二人は本当に楽しそうで。話題はすっかり日本の仕事や飲食店の話になった。
雨なんて忘れるくらいチャンミンの瞳と歯がきらきら輝いて、ユノはまじろぎもせずチャンミンを微笑みながら見てる。

もう、海外でしか二人はほっとできないのかもしれない。

そう思うと、寂しい。
でもこうやってまた笑って二人が居ることこそ奇跡で、一番大変なのは二人だから。
何とか安心できる環境を作ってあげたい。


「ユノ、さっきの話。できるだけ考えてみるけど期待しないでね」


やっぱり選択肢は崩せない。
セーフティだ。
セーフティにチャンミンに付く。
ユノのような精神的な守り方はできない。
僕は物理的にチャンミンを守るしかない。


「……クマちゃん、ここだけの話なんだけど」

「うん」

「俺チャンミナと付き合ってるから」

「は?」

「……ユ、」

「このコ俺の恋人だから。だからクマちゃん、……お願い」


「…………」






さっきの愛嬌とは違う。
ユノの、瞬きもせず僕を見据える瞳がズルい。その狡猾さは計算されたものでない、からズルい。


血より濃い絆の男達がさらに愛し合えるのか?
僕は仕事を飛び越えた感情で献身して箍(たが)が外れてないか?


「クマちゃんが頼りなんだ」

「……ユノヤ」


正しいかどうかなんて分からない。ただこれ以外の道はないと、貫く光に先導されて。

 



「……分かった。必ずやる、約束する」





決心してしまう


あの2009年の時と同じ






「ありがとう、クマちゃん。良かった良かった♪」

「……」

「大丈夫。チャンミナが心配するようなことは、何もないから」


状況を飲み込めていないであろうに、何も言わずただ涙袋をぷっくり膨らませて佇むチャンミンの愛らしさにぞっとした。やんちゃな雰囲気はがらっと消えて、気品すら漂わせ出した大きな瞳が一切の性別をくらませていたから。

そして肉厚の口元からはただ一人の名を。
ゆっくり、漏らす。




「ユ、ノ……」






あ……











マズい








惚れそう












「…………っ、」




それほど官能的だった。
あの可愛いかった少年が。




「まだ口の中、痛い」

「噛んだとこ?どれ、」

「ん」


ユノは半開きにされたチャンミンの咥内に人差し指を差し入れて、下唇の内側を丹念に揉みなぞる。


「あ」

「ここ?」

「ん」

「あー、ちょっと腫れてるかも。ごめんなぁ?」

「ん」


引き抜いた指は濡れて、咥内から覗く舌の先端は艶かしい。


「……そういうの、外では止めときなよ」

「え?」「……くくく…っ」


ユノはきょとんとして、チャンミンは腹を抱えて声なく笑った。
















 




この二人、本当にデキてる














片割れ chap.10
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