片割れ chap.9 番外編#10 チャンミンの平行世界











「どうしようもなく切羽詰まってて、そしたら初めてチャンミナが俺のこと抱き締めてくれて。……もう胸がいっぱいで止められなかった」

「そう…」


頭を抱える『ユノ』は真剣に苦しんでいて、そんなユノの背中を何度か往復して撫でた。





呆れたから笑ったんじゃない

とても大切なものをくれたんだと


ユノの震える唇の意味を知ったから



ただ嬉しかったんだ












僕は胡座で座ってる。5人部屋のリビングの、消音にされたテレビの横で。
向かいのソファにユノが座ってお祈りしてる。パジャマ着で短髪の、荒野で振り向いた時に見たユノそのものだ。夜なのか部屋は真っ暗で、テレビのチカチカした液晶照明だけがやけに明るい。

かたんと小さな音が聞こえて、その音の先を見ると、僕が昔の自室から出てきた。
あれは『僕』だ。僕にこんな記憶はないから。
ユノの様子を窺うように、ゆっくり。何度か止まりながら。ゆっくり、ゆっくり近づいてきて、ユノの隣に拳三つ分くらいの間を空けて座る。


「……何を、祈ってるんですか?」

「TOHOSINKIを守れますように」

「……はい」


2人の会話はそれきりで終わった。
ああ、これは暗い時代の時なんだ、きっと。
『ユノ』と『僕』と僕と、その以外の気配はなくて、時計の針の進む音がはっきり聞こえる。研ぎ澄まされた空間の中で、ユノが深い息を吐いた。よく見ると組んだ指がぶるぶる震えてる。


「ユノ」


呼びかけてもユノは反応しない。『僕』も聞こえないのか、目を瞑るユノを見つめ続けてる。


「……ヒョン」

「……大丈夫だから…っ。少し、このまま…」


ユノは声まで震えてて、見てるだけ痛々しい。猛烈にユノを抱き締めてあげたくなって胡座を崩した瞬間、『僕』の方が先にユノへ詰め寄って横から抱き締めた。ユノの見開かれた目が点になってる。


「チャンミナ。本当大丈夫だから……お前こういうの嫌なのにごめんな?気ぃ使ってくれて」

「……」


恥ずかしいのか(いや、僕なんだからたぶん相当恥ずかしがってる)顔をユノの肩に押しつけて隠している『僕』は、黙ったままだけどユノの言葉に逆らうように、さらに腕の力を込めた。


「チャンミナ……」


組んでた手を外して、覆い被さるように『僕』を抱き締め返すユノ。ユノは「あったかい」とか「落ち着く」とか「ありがとう」とか呟いてるけど、その抱き締め合ってる2人を見てるのが照れくさくって僕は仕方ない。


(そっか、端から見ると……こんな感じなんだ…っ)


なんて、場違いに熱くなっていく自分の顔を手で押さえた。


「……チャンミナ、顔見せて」


え?と思ったけど、『僕』もそう思ったらしく反射的に頭を上げた『僕』をユノは見据えて、


「絶対守るって誓う」


キスした。『僕』に。

めちゃめちゃ格好良く。
呆然としてる『僕』に嫉妬するくらい情熱的に。


「……な、にするんですか……」


微かに発した『僕』の声がしんと広がって消えた。僕の心臓の音が煩くて、2人に聞こえるんじゃないかと心配になる。


「あ、と……誰よりも、特別だから……伝わって欲しくて」


ユノから離れて顔を歪ませ、目をぎゅっと細めた『僕』は掌で唇を隠してしまった。泣き出してしまった。肩が痙攣で震え出した。
見てるだけではむせび泣く『僕』の感情が逆に分からない。


「プロポーズなんかよりもっと深い気持ちで誓う」


ユノはなかば強引に『僕』の腕を引いてまた抱き締めると、『僕』は絶叫してユノを突き飛ばしたまま自室に駆け込んで行った。


「もう、いい!!!」

「ちょっと待て…っ」


追いかけて姿の見えなくなったユノだけの声が響いてる。ひたすら謝ってるようだけど、僕の声は一切聞こえてこない。開きっぱなしの扉を気にしながら、僕は立ち上がってさっきまで2人が抱擁してたソファに身を沈めた。まだ体温の気配を感じれる布地を撫でながら、頬が触れて見つけたものは、


『僕』の涙の跡。













「…ミンさん、シム・チャンミンさん?」

「……ん、…は?」

「アンニョハセヨ、私はお手伝いに来させて頂いているチェと申します。ユノさんは予定を変更して昼過ぎには戻ってくるそうですよ。シムさんは自由にお過ごしくださいとのことです」

「え、今日も?……どうしよう、たぶん僕のせいです。ちょっとユノに連絡します」

「たまにはいいんじゃないですか?必ず早く帰るからって珍しく楽しそうに出て行かれましたから。送り出すのが大変でしたよ、ふふ」

「……あ、はあ…」


顔の上でにこやかな笑みを浮かべる老人の男性に見覚えがなくて戸惑う。僕たちの宿舎にも週1、2回お手伝いさんが来てるけど、その人とは違う人。白髪がばっさり生えてる分、皮膚に刻まれた皺が不釣り合いな感じを受ける。ソファに横たわる僕の上には毛布が掛けられていて、お礼を言うと、それはユノさんが、とまたにこやかに笑みを返された。外を窺うと緑色の快晴。

しまった。ユノの背中を撫でながら気持ち良くなってそのまま寝たらしい。


「私のことはお気になさらず。少し記憶がないということはお伺いしておりますので。朝ご飯何か召し上がられますか?」

「あー…、いや大丈夫です。それより僕も手伝います。あと僕のこともチャンミンと呼んで下さい」

「ありがとうございます、有名な方なので私もそちらの方がしっくりきます」


知らない人に料理を作らせるのも躊躇われたし、体を動かさないと落ち着かない。チェさんを説き伏せて、洗濯や水回りの掃除を分担した。いつもの場所でいつもやる作業をして、だけどここは僕の場所じゃない妙な感覚。


「え、もう終わったんですか?さすがお若いですね、私が1人でやるといつも半日は潰れてしまいます。どうですか、コーヒーを煎れますからどうぞ召し上がって下さい」


チェさんの煎れてくれたコーヒーはびっくりするほど美味しくて、でもメーカーを見ると僕も飲んだことのある一般的なブランドのものだった。こつがあるんですよ、とまた柔らかな笑顔の老人に、一緒に飲みませんかと促した。この世界で知らない人間と話すのは初めてだ。でも何だか話しやすい、そんな穏やかなおじいさん。


「チャンミンさんが居れば私なんてもういりませんね。資金も貯まりましたし、そろそろ夢を叶えてみましょうかね」

「チェさんにも夢がありますか?」

「老いぼれが夢をみるのはおかしいです?夢は誰にでもみる権利があるでしょう?」

「いえいえ!そんな!そういう意味ではなく、どんな夢なのか興味があるだけですっ」


冗談ですよ分かってます、と笑うチェさんが恨めしいはずなのに釣られて笑ってしまう。本当に不思議な魅力を持った人。


「銅雀区の住宅街にこじんまりとした良い物件がありましてね、そこでバーができたらなと思っています。好きなんですね、人とこうやってお話したり飲み物を作って提供させて頂くのが」

「あー確かにこのコーヒーも美味しいですし。チェさんならバーのマスターの方が似合うでしょう」

「ありがとうございます。もし開店したらチャンミンさんもユノさんと是非いらして下さいね。ユノさんは…コーヒーはお好きでなさそうですけど、お酒なら嗜む程度に召し上がって頂けますよね?」

「くっくっく……っ、ユノはコーヒーよりいちご牛乳とかアイスチョコが好きなんですよ。チェさんの腕前も発揮できなかったでしょう?僕はコーヒーもお酒も大量に飲みますので覚悟しておいて下さい♪」


ユノはとにかく甘い飲み物が好きだけど、そこに意外とこだわりがあって「ここのは美味しい」とか「ここのは手を抜いてる」ってカフェの評価をしてる。今度ユノと、コーヒーとアイスチョコとお酒が美味しいお店に行ってみたい。チェさんなら叶えてくれそうな気がする。


「……。やっぱり」

「はい?」

「やっぱり本当は仲がよろしかったんですね、お二人」

「……さあ、どうでしょう……なにせ記憶がないもので」

「このように礼儀も礼節もある貴方がなぜあんなことに?チャンミンさんは何を考えていたんですか?」

「あんなこと?すいません、僕にはそれが分かりません」

「ええ、ちょっとね。記憶のあるチャンミンさんに聞いてみました」

「……」


一息ついた後、チェさんはやることがなくなったのでとユノを待たずに帰ることにした。


「お手伝いのくせに手伝って頂いて、本当にありがとうございます。また明日お邪魔させて頂きます」

「いえいえ、僕も……ユノにやっかいになってるだけなので……」


言うだけで寂しい。今の僕には確かに『チャンドル』が相応しい。


「ここに引っ越されるんじゃないんですか?」

「え、いや、」

「あの空き部屋はチャンミンさんのでしょう?」

「はあ……」


そうなんだけど何とも言えない。
『僕』が分からない。


「……」

「それにもうユノさんが貴方を離さないでしょう。観念されたらどうです?長い時間も世論を穏やかにしましたよ」

「……」










僕のどこかが、




ぴちょんと跳ねた。











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TVXQ13周年おめでとう











東方神起13周年おめでとう☆









さあ、今まで何度も見てきた我らが東方神起を今日もまた見てみましょう❤


まずは言葉なんていらない、ですよね?




順不同かもですがなるべく並べてみました。なげーですので、できればお時間ある時にゆっくり見てみて下さい( ^ω^ )








「チャンミナ、またりょうが何かやりだしたよ?早く片割れの続き書けばいいのにね?」
「よっぽど暇なんですね!りょうって!」







































































































































































































































































































































































持ちきれないほどの夢を

ありがとう


東方神起!!!








どうでしたか?( *´艸`)


見てるだけで皆さんそれぞれに、馳せる想いがあると思います。

どれも、「あ、これあの時のね!」って思える画像でいっぱいです。

載せられなかったものは本当にすいません、13年は伊達じゃないです。笑






画像載せるだけでも大変だったんですが(えーん!涙)、これだけだとブログになりませんので、小咄をひとつ。(^_^;)







TONEで使われていたカラー、3色ありましたね?覚えてますか?

うちの「片割れ」は今そのあたりなので、ちょうどこの前お店で見つけた雑貨で、


「なるほど、こういうことか!」


と、1人で納得してました。( ´;゚;∀;゚;)







イエローはユノ

シアンはチャンミン

マゼンタはビギスト




この3つで世界は無限に広がっていくそうです。










このように♪





ということで、もし他の画像で、これだけは入れて欲しい!!!というものがありましたらコメントにでも入れて下さい。

追加、追加、で、この記事は続けたいと思ってます❤







ユノとチャンミン、

13周年おめでとうございます!









ブログの連投失礼しました!画像処理と整理ってぐったりです……そしてとても楽しかった!!!またトラシカ号よろしくお願いします!りょう
(画像、お借りしまくりしました!!!)
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クリスマスだからじゃない(ブログ編)










皆さまーーーっ、(^3^)/








♪Happy Merry Christmas♪










素敵な時間をお過ごしですか?


心に残る何かが届きましたか?











ユノサンタは!?


チャンミンサンタは!?



















「今年こそチャンミンと過ごすのバレないようにするからな!アリバイ工作しといたんでみんな夜・露・死・苦♡」










ああ~~っ、やさぐれないで!

ユノサンタっ!!!( TДT)


チラ見せでも匂わせて欲しい~~
( ;∀;)( ;∀;)( ;∀;)






確かに確かに……










入講証忘れて誰かに電話して、そしたらなぜかチャンミンが持って来て大変なことになったよね……


クリスマスに……。。いやいや忘れたものをきっとチャンミンがたまたま持ってただけだよね?2日連続だったかしら……なぜだか分からないけど、、、いいのよそんな事は!2人で過ごした証拠にならないから!←



















【クリスマスの予定は?】

「家で一緒に何か作って、そして、まあ、そんなに賑やかではなく、僕たちだけで。ちょっと、いい思い出を作りたいなぁと思いました、ふふふふ♪」

「東方神起2人の、クリスマスですか?」

「……。あぁ…、、どうなのかな?チャンミン。ふははははは、ははは、ははっ(長)」←チャンミンに任せたろ、ユノヤ



「家で休みたいです」

「一人で休みたい?」

「あ~…最近ライブも多くて。全世界的にぃ、あの記念すべきの日かもしれないけど。僕にとってはただの休みの1日」←チャンミナ、質問に答えてねーですよ



……。えっと、、ほらなんていうのかな……これは、その……そうそう!日本語の質疑応答でちょっとニュアンスの出し方が違った、とか?うんうん、そういう事だよね?←















……。。



ってゆーか、、

























もういいじゃん
言っても。゚(゚^∀^゚)゚。

誰も敵わねーよ。゚(゚^∀^゚)゚。



















今年なぜか、ふと、

『どんなお願いをサンタさんにしたいかな?』

と、七夕みたいな感覚に捕らわれまして


んで、










トンペンなんですけど、

ユノペンなんですけど、























この人の願いが叶いますように


そう願いました。







東方神起のことでもなく、

ユノのことでもなく、




チャンミンを想いました。(←勝手だけども)











ユノと東方神起から離れて、やりたいことはやりきって(シムベクツアーとか♪)兵役に就いたチャンミン。













シウォンさんとドンへさんに守られながら(←憶測だけど、すごくそんな感じするの~)、意外とはっちゃけて楽しそうなチャンミン♪



なんだ、うまくやっていけてるじゃん♪



良かった♪良かった♪


















って……、、、












「(12月21日は)1年の中で暗闇が1番長い冬至ですけど、私は軍隊にいるこの1年9か月こそ私の人生の1番長い冬至ではないのかなと思いました」










……そうだよね。。

離れて平気なわけないよね…。涙


チャンミンは今、あんなにニコニコしながら先の見えない長い暗闇にいるんですね……。




















この人の暗闇を和らげてくれるのは1人だけ。だけどこの人はまた素直に言えてないかもしれない。


だから私たちは精一杯の想いで

願いましょう


(宗教っぽい!?そうです!はい、ホミンホ教です!)























叶えてくれるよね!?

私達の偉大なるサンタさん!!









































「当たり前だろ❤」






















ユノもきついと思うし、すごくすごく頑張ってると思います!だけど是非ともチャンミンを甘やかして頂きたい!








「『会いたい時はいつでも言って』って言っても言ってくれないんなら、俺から何度も連絡するからね?」








って、

押しまくってあげて!!!

いや押し倒していい!!! 

イケイケどんどんで
お願いします!(鼻血ブシャー)










そして、チャンミンを
















こんな顔や❤









こんな姿にさせてあげて❤

















チャンミンに
ユノに
皆さまに


Happy Merry Christmas♡













あ、でもこれ……





クリスマスだからじゃなくて、







毎日お願いしてることだった……。爆







(画像、一部お借りしました)
☆HAPPY VERY MERRY CHRISTMAS☆
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クリスマスだからじゃない!









クリスマスって何の日?



神様が生まれた日?
プレゼントをもらえる日?
愛を確かめ合う日?
サンタが街にやってくる日?







「もうっ、イヴに予定がないなら言ってくれたら良かったのに。てっきりユノは友達と遊ぶもんだと思ってた」

「1人で平気だって。お前ももう予定あるだろ?」

「いつも通り数人で集まって飲むだけだって。別にクリスマスパーティするわけでもないし」

「いいから。行っておいで、チャンミンいないと盛り上がらないぞ」

「……いいの?」

「ゆっくり楽しんできな♪」

「……分かりましたぁー。じゃあ、行ってきます」


チャンミンが出て行って一安心。買い込んでたグッズをばさばさ引っ張り出して準備開始。


「こういうのは格好からだよな♪」


サンタの衣装に着替えて、鏡の前に立つ。帽子の被り具合を調整してビシっと決めて。


「うんっ、ユノサンタの完成♪ユノサンタ~♪ユノサンタ~♪」


ソファに座って、まずは赤いペンを持った。


「あと10枚♪」













「お、おかえりー♪」

「…………ただい、ま……」

「何、どうした?」

「いや、ユノのことだからてっきり……」

「ん?」

「……いや、何でもないです。あー、楽しかったー♪飲み会最高に盛り上がった♪」

「あははっ、良かったな♪」


チャンミンは目をくりくりさせて明らかに挙動不審。
部屋も飾り付けてないし、サンタの衣装も脱いじゃったし、クリスマスらしいものは何一つない。

ちょっと残念そうかな?ごめんな、すぐに出せなくて。


「ユノは?もうご飯食べた?」

「あ!忘れてた!」

「チキンとかケーキは買ってきたよ。食べる?」

「おーチャンミンありがとう♪」


何でもない会話をあーでもないこーでもないって笑いながら話す。
チャンミンと、2人で。
チキンを食べて「美味しい」と言う。
その言葉に「美味しいね」と返してくれる。


「イチゴケーキも美味いなあー」

「うん、良かった」


「チャンミンのイチゴも頂戴」

「ちょ、ただのクリームケーキになるじゃん!」


「明日何時からだっけ?」

「昼の一時にKTBスタジオ入り。あ、ユノこぼれてる」


いい時も悪い時もずっと隣に居てくれて、暖かい。


「よし、眠くなってきたしそろそろ寝ようかな」

「僕も」




これってきっと奇跡みたいなもの

クリスマスだけじゃ、足りないよ

本当にずっとずっと感謝してる




「あ、今日僕自分の部屋で寝るんで」

「へ?じゃあ俺も…」

「今日は一人で寝たいんでっ。おやすみなさーい」


ばたんっと乾いた音が響いて、容赦なくチャンミンの部屋は閉ざされた。


「……」


かちゃりっと自室の鍵も閉められた。


「……」


ちょっとこれは、、マズイ、かな!!?








「チャンミーン!クリスマスプレゼント欲しかったー!?」

「何がいい?物なら何でも買ってあげるよ!?」

「分かった!鞄か!?あ、時計!?休みが欲しいとかは無理だぞ?マネヒョン鬼になるしっ」

「もしやワイン?高級ワインか……?うん大丈夫…、ヒョンに言ってみな!」

「車はちょっと、、泣いていい?」



「…………」


手当たり次第、部屋の前で吠えてもチャンミンはまったくの無反応。


「これ、まずいな……」


ごめんな、俺があげたいのは、物じゃないから。

諦めて自室に入って、友達に電話しまくった。皆呆れて「そんなのじゃダメだ」「やっぱり物は用意しないと」「っていうか聖なる夜を邪魔するな」ばかり。


「チャンミンごめん……」


明日一番に謝って種明かししよう……。。。












目覚ましのアラームが鳴って、瞼を上げる。寝返って止めようとすると、がさっと紙製の物体に当たった。


「ん?」


銀色の物体に付いている赤いリボンをぼーっと眺めながら、とりあえずスマホを取って起床音の停止ボタンを押すと、起きなきゃいけない時間のまだ二時間前。


「ん??」


不思議がいっぱいの思考回路の先に、ベットの中からちょこんと見える赤い三角帽子で、そっか今日クリスマスかと思い出した。

でも俺ここにサンタの衣装置いたっけ?


「ん???」


そう気付くと、途端に嬉しくなる。
なるよね?そりゃなるよ。


「チャンミン?おはよう?」


ゆっくり布団をめくると、サンタ帽子を被った真っ赤な服のチャンミンが現れた。首回りから裾際に白いファーが付いてて、サンタって言うか小人みたい。
長身の小人?赤い妖精?いやプレゼントがあるからやっぱりサンタか。でも綺麗な寝顔に眠り姫も捨てがたい。
チャンミンに定義なんかつけられない。
君は本当、規定不可能。


「あははっ!何これ、チャンミン可愛いな♪」

「ぅーん、、……ユノサンタが来ないんでチャンミンサンタが来ましたよー…」

「あはーはーは!これは?クリスマスプレゼント?」


瞼を擦ってる眠気眼のチャンミンを横に、銀色の包装紙を破ると俺好みの個性的なニットセーターが出てきた。アシメントリーな形だけど、色はグレーで控えめ。チャンミンのセンスが光ってる。


「チャンミン、ありがとう」

「クリスマスだからとかじゃなくて。。あ、似合うなーって思ったから昨日帰りにぽんと買いました…」

「うん、本当にありがとう」


じっと見つめると瞳が揺れてそらされてしまう。耳に触れるとはっとしてまた俯いてしまう。
何年経っても変わらないね。
いつも言うことは同じこと。


「チャンミン、耳赤いよ?」

「……っ、あのだからっ、別にクリスマスプレゼントが欲しかったわけじゃなくて……なんか、なんかその、どうせ時間があったんなら、ちょっとはユノもなんかやって欲しかったかな、と……。あ、でも僕飲みに行ったから言える立場じゃないんだけど……」


チャンミンって素直になる時なんでこんなに小さくなるんだろう。





大切なものをそっと、

俺だけに見せてくれるような





「俺もね、実は用意したんだー♪」

「え!あ、そうなの!?」


愛しくて、痛い。切なくて、苦しい。
どうしようもなく胸が締めつけられて、この感情を救えるのは君だけ。


「でも俺まだ欲しいなあ。この服も嬉しいし、チャンミンが着てる服も欲しいなあ。そうだ、今ちょうだいよ。そしたら俺もサンタになれる♪」

「ちょ、っと!だは!くすぐったい!」


抵抗する手足は形ばかりで全然力が入ってない。

ありがとう、全部くれて。
全てのチャンミンをもらう、今までも。
これからも。

上着を脱がせて俺が着て、ズボンを脱がせて俺が履いて、帽子も奪うと、最後は綺麗で格好いいチャンミンの裸体が現れた。


「はいっ、ユノサンタだよー♪」

「さみぃー……」

「……じゃあ。俺から熱さをあげる」


俺のどこかにあるスイッチが入ると、後はもう衝動的にチャンミンを求めるから自由が効かない。食べるように唇を奪って指先で素肌をなぞって。
もっと、奥へ。
チャンミンの芯の、真ん中まで。


「……まさか、これが用意したものとか……言うんじゃないでしょうね…っ」

「さあ、どうだろ?」

「まったく……」

「でもサンタさんって愛し合うための時間まで用意してくれるんだなぁ。アラームいじってくれたおかげで2時間はゆっくり過ごせるよ、チャンミン。朝からちょっぴりエッチなこと期待してるサンタさんに感謝だな♪」

「……バレた?」

「当たり前だろ。いつも感謝してるよ。ありがとう、チャンミン」

「……ユ」


チャンミンの喉奥まで舌を突き刺した。





本当に感謝してる。
俺の心の中で、一番星の君がいつも輝いてる。
ピカピカで、きらきらで。
その輝きのおかげで、迷うことなくまっすぐ進んでいける。




この気持ちは、

クリスマスだけじゃ表しきれない


 


「本に挟んだ」

「え?」

「引き出しの中。ジャケットのポッケ」

「??」

「ポストの底。アクセサリー箱の隙間」

「……」

「365枚、探してな?」


『ありがとう』
『本当に好き』
『大好きだよ、今日も一日頑張ろう』
『愛してる』
『いつも傍に居てくれて嬉しい』
『感謝してる』
『風邪ひいてない?ファイティンしてるか?』
『同じ夢をみよう』


小さな小さなメッセージカードを部屋中に埋め込んだ。
クリスマスだけじゃ足りないから。
クリスマスだからじゃなくて、毎日飽きるほど伝えたいから。






クリスマスから始まるプレゼント




毎日君に、届きますように









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片割れ chap.9 番外編#9 チャンミンの平行世界












僕に言われたのかと、勘違いしてしまった。




「ふふっ、どうも」

「うん。チャンドルも格好いいね」

「あっ…」


『ユノ』はユノで、『僕』は僕なんだからややこしい。というか、照れてしまった自分が恥ずかしい。思わず『僕』を差し置いて、早口で僕の保身をはかってしまう。


「いやでも…っ、やっぱりここの『僕』はユノに対して酷すぎると思うな。ユノはヒョンなわけだし、目上の人を敬うって配慮がかけてたんじゃない?キュヒョナは『僕』がユノのことちゃんと尊敬してたって言ってたけど、だったらグループが分裂した時2人でもやっていこうとするのが自然でしょ?それなのに自分に自信がないからって兵役に逃げて未だに戻ってこないなんて。全然格好よくないっすよ。むしろ腰抜けとしか思えな…」

「おい」


唸るような低い声の一言に、体が身震いして発声が止まった。


「お前は昔から俺のこと苦手だったけど、人前ではヒョンが恥ないようにちゃんとやってくれてたんだ。それなのに俺が傷つけたから……。俺を避けたいと思うのは当然なの。何も知らないのに軽く言うな」

「……」


ややこしい。

本当にややこしい。


「チャンミナの高潔さにかけて言う。自信がないとか腰抜けとか二度と言うなよ。チャンミナはそんな男じゃない」

「……」


前屈みで、威嚇されるように責められるようにユノの鋭い瞳で睨まれるのに、『僕』をまるごと庇う言葉が、どうしても僕を庇ってくれてるように聞こえてしまう。
脳がうまく働いてくれない。
整理できない。


「……っ、」


こんな風に全力でユノに守られたら、誰だって目頭が熱くなる。
だけどユノは狙って言ってるわけじゃないから、完全に僕が怯えたと思って慌てふためき出した。


「あ、悪い。……泣くなよチャンドラ。。怒ってるわけじゃなくて、な?それだけは分かってて欲しくて…。えっと、そうだそうだ!チャンドラがもといたところに戻る方法ねっ」

「……だからっ。それも探したいけど、今は歌詞考えてるんですってば。今日はゆっくりするんでしょ?」


そう言うと、ちょっとびっくりした後、鼻先を手の甲で隠しながらくしゃっと笑う。そんな少年っぽいユノが、好きだと思う。ドキッとする。僕も隣で笑いたくなる。

『僕』は違った?
たぶん、『ユノ』もすごくいいヒョンだよ?
ユノに負けないくらい。


「……。あ~、やっぱりカードゲームでもしません?ユノ一緒にやろ?」

「……チャンドルって本当にマンネの甘えん坊なんだな、、チャンミナから甘えられることなんてなかったから感動すらしてるわ、俺……」

「……誰のためだと…。大丈夫です。このゲームにはちゃんと罰ゲームがあるので」

「え」


『ユノ』が僕を甘えん坊というから、お言葉に甘えて、たっぷり『ユノ』に甘えた。いつもユノにしてるように、そのままを。

ふざけてはしゃいで、腕を掴んだり肩や太腿を揺すったり。顔を挟んで左右に振って。笑って。からかって、また爆笑して。不意打ちにタックルしてみたり。

『ユノ』は始めこそ気後れしたけど、すぐに笑顔が溢れ出して、腹を抱えて悶絶したりして。朝セットしてた髪型が夕方には綺麗に無くなった。

ただ触れることは歓迎されても『ユノ』から故意に触れてきてくれることはなくて、『ユノ』と『チャンミナ』の深い溝を感じた。


「あれっ、夕立かな?」

「ん?」

「しまったな、晩ごはんもないわ」


突然雨音が鼓膜を突いて、ユノが見上げる先を追った。


「……う、ぁ……」


色のある雨。水の中に絵の具をぽつりと垂らした程度の、薄い着色のようだけど確かに色彩がある。青っぽい、水色のにわか雨。


「雨にあたっても、……害はない?」

「ん?けっこう激しいから風邪ひきそうじゃないか?チャンドルどっか行きたい?」

「……」


恐る恐るベランダに手を伸ばしてみた。落ちてきた滴は油分で弾かれてそのまま流れていく。これならどうだと次は前進して体当たりした。服に染み込んだ雨は布地を水色に変えていく。初めての光景は気味が悪い。


「おおぉぉ…」

「何やってんの?早く中入りな」


中へ避難した僕にタオルを渡して、買ってきた着替えも準備してくれた。拭ったタオルにまで水色がついて肝が冷えたのに、乾くと共に色も蒸発して、どこか実験観察でもしてるような不思議な心地で濡れた布地を見入ってた。

「なんかおもしろいことでもあるか?」

「……雨が、……色が」

「ん???」

「僕のいる場所では……。ほら、水道水みたいに雨も透明だから……。びっくりした…」

「…ええ!ふははっ、嘘だろ!?」

「いやいや、本当だって」

「だって透明の雨って見えにくいだろ!?どうやって分かるの?」

「……。あ、シャワーみたいな感じ?」

「?シャワーは雨と同じ色だろ?」

「……嘘でしょ」

「?」


慣れない色付きのシャワーを嫌がる僕に、ユノは大笑いで目を瞑ってればいいからと宥めて、洗ってくれた。「ホント犬だ、犬。チャンドル~♪」って歌は無視した。

奇抜な色の交差が眩しい。
空は緑、雨や川は青。海は赤らしい。


「レッドオーシャンって言わないか?グループのペンライトも赤だろ?」

「……まあ、、」


だけど全く未知の世界じゃない。確かになって思うこともできる世界。
夢じゃない。
ここもまた1つの現実。


「空と海は、地平線が分からなくなる時があるよ。溶け合っているように見えることがあるんですよ」

「空と海は、地平線がはっきり見えて綺麗だな。交わらない景色が、自然の真理を見てるように思える…。なんちゃって!」

「……ふーん」


2人もこの先、決して交わらないんだろうか。

宿舎を漁って出てきたインスタントラーメンを食べてまたのんびり過ごした。今日の仕事のキャンセルを謝ると、疲れてたからちょうど良かったと笑われた。ユノらしくない。


「ユノは……、これからどうするの?」

「できればこのまま演技やモデルしながらチャンミナを待ちたいけど……どうかなぁ」

「ユノなら僕がいなくてもTOHOSINKIを再始動すると思ってた」

「お前がいる限り、お前抜きでは考えられないって」

「でも……」

「うん……」


『チャンミナ』は戻ってこない。長い時も経ってる。ユノと僕でさえ時間の経過が不安だったのに。この世界の事務所もペンも、これ以上は限界だと思う。
そして『ユノ』も。


「……」

「……俺のせいだから、待っててやらないと俺が無理」

「いや、ユノのせいって…」

「本当。俺がチャンミナの信頼をぶち壊した……。チャンミナはたぶん、2人でやっていこうとしてくれてたんだ」


「え……どういうこと?」

 








雨の音が、聴こえる。


青色の雨の音。













「チャンミナにキスした」

 
「へ…?」






「チャンドルの世界ではキスって軽いものなんだろ?でもここではすごく重いもの。女性にプロポーズする時にしかしない、特別大事なものなんだ」


「……」







「……嬉しそうに笑うなよ……そりゃチャンドルから見たらそんな事でって呆れることかもしれないけどさ……」


「ふふっ。別に、そんなことないですよっ♪」








雨の音が、優しく聴こえる。











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片割れ chap.9 番外編#8 チャンミンの平行世界













「チャンミナ、チャンミナ」

「はっ…!」

「大丈夫か?すごいうなされてたぞ……」


額と首筋から水滴が垂れていく。少し身を捩ると、服の布地が蒸れて張り付いてきた。全身から汗が噴き出してる。


「……ユノ」

「ん?」


怖い夢を見た。黒い嵐に襲われたり、少しだけおかしい世界へ飛ばされたり、ユノと僕のTOHOSINKIが存在してなかったり。


「ユノ、ちょっと」

「へ……」


ユノの腕を引いてベッドへ引きずり込んだ。身体を密着させてユノの体温を感じて。伸びてこないユノの手を僕の腰に回すよう促して。ユノの両頬を手で挟んで額を重ねると、やっと腹の底から深呼吸できた。


「……落ち、着いた?」

「うん」


ちゅっとひとつユノの唇に吸いついて、鎖骨の窪みに沈むのがいつもの僕の位置。


「ふーっ、あ~夢で良かったぁー」

「……ヒョンのこと、嫌じゃない?」

「はあ?何言ってんすかー」

「……もう一回、する?」

「へ?」


見上げたユノは強ばってて、瞬きを忙しなく繰り返しながら顔を近づけてくる。ゆっくり。いったりきたり。僕の顔色を窺うように。
ようやく触れた唇が少し震えてる。さらに押しつけてくる感触に、ぎゅっと胸が締め付けられそう。こんなの困ってしまう。甘酸っぱい感じ。まるでファーストキスみたいだ。


「……ユノ?」

「記憶が戻ったら、今のは忘れちゃうのかな?」

「……」


ユノの目に、緑色の光彩が見えた。


「…っ!」

「チャンミナ!」


反射的にユノから体を引き剥がして飛び起きた。振り返って窓の外を窺うと、


「……嘘でしょ……」


エメラルドグリーンの晴天。
まだ戻ってない。ここは未だにおかしな場所で、今目の前で肩肘ついて僕も見上げているのは、『ユノ』。


「悪い!なんか甘えてくるお前が嬉しくて調子乗った……悪い…」

「……いや…、、」


どうしたらいいんだろう。
やっぱり夢じゃないんだって絶望感。
もうどうにでもなれ。病院送りだな、きっと。


「もう絶対しないから。本当にごめんっ」

「……もといた所に戻りたい」

「……は?」

「……ユノ、……助けて……」




『ユノ』に話して駄目なら誰に話しても駄目だと思った。だから僕は『ユノ』に話した。信じてもらえるように、なるべく細かに。2人のTOHOSINKIでやってきたこと。ユノと僕の軌跡。うまくやってたのに、気を失って気付いたらこの場所にいたこと。




「……」

「信じて、……もらえないよね…」

「……本当に俺たち2人で日本ツアー成功したのか?」

「あんた泣いてましたよ、人生最高の瞬間だって」

「…うわぁ……うわあーー!恥ずかしいけど羨ましいっ!!!」

「いや、そこじゃなくて……」


ユノはさっきから切れ長の瞳を最大限にキラキラさせながら寝そべってる。まるで子守唄代わりのお伽噺でも聴いてるかのようなはしゃぎっぷりに、いまいち信じてもらえてる手応えはない。
いや、分かるけど。ユノならどんな話だって信じてくれると少しは期待してたけど。
さすがに楽しみ過ぎじゃない?


「真剣に聴け!!」


枕を壁にぶん投げてみても、ユノは「うおっ」って、少しびっくりしたくらいで僕を見てまたにこにこ笑う。白い歯が綺麗。


「ねぇ、本当に夢物語でも何でもなくて。僕はたぶん別の平行世界の人間で、ここにいるはずのチャンミンじゃないんです。……ユノ理解できてる?」

「分かるよ?」

「……。本当ぉ?」

「うん。俺の知ってるチャンミナは俺のことずっと避けてるし。こんな風にまともに会話なんて随分できてなかったしな。キュヒョンの家で飛びついてきてくれた時は奇跡でも起こったのかもと思ったけど……。今の話聴いてなんか納得できたわ」

「……」


声のトーンが落ちて明らかに残念そうな『ユノ』に、改めて念押しできなかった。なんか、可哀想で。


「本当だぞ。あれ?とはさっきから思ってたんだ。話し方も親しい感じだし、チャンミナここに来たことないのに妙に部屋の勝手分かってるし。俺の部屋も教える前にすいすい入って行ったろ?」

「あ……ここは、僕のいるところでは…………2人で暮らしてる宿舎だから……」

「そうなんだ。……いいな、本当にうまくやってるんだな」

「……まあ……」


触れていたシーツを何とはなしに握って離してを繰り返してみる。ありのままのことを言うだけなのに、『ユノ』がどんどん萎んでいくような気がして所在ない。それでも目の前の優しい眼差しは、僕のユノそのもので。


「その、変な意味じゃなくて。仲間としてハグしたり、ふざけてチュウできちゃうくらい?俺たちそんなに仲良かったの?」


「………」







すべてをかけた恋人と、




呼べるほどには








「……うん。……ちょっとね」


「そっか」


「うん」


さすがに言えないけど。言ったところで、気持ち悪がられるか落ち込まれるか。どちらにしてもこの場所での僕たちの距離間の違いに、ショックを受けさせるだけだし。

よく分からない、『ユノ』を慰めたいという気持ちがじんわり湧いて、隣に寝転んで寄り添った。


「俺もチャンミナに会いたいし。早くチャンドルを戻す方法見つけないとな」

「ん?僕、今チャンドル?」

「あははっ。そう、お前はチャンドル。甘えん坊だから♪うちのチャンミナは1人で何でもできるコだから、ちゃんとチャンミナ♪」

「あー……今のワケわかんない感じ、ユノだなって思いましたわ」

「まあ、チャンドルもちゃんとチャンミナって感じするけどな?」

「……」


らちのあかない会話になってきたから、苦笑いで強制終了した。『ユノ』が察してくれないのは仕方ない。だって、ユノなんだから。


「……なあ、俺何でも協力するからさ。今日はさ、うちで2人でのんびりしてくれない?」

「え」

「違うのは分かってるんだけど、本当にチャンミナと一緒に居るような感じがするから。今日だけでいいから。ピザも買ってきたし、飲み物とか着替えとかも買ってきたし!」

「……はい、」


それからリビングに向かいがてらユノの向かいの部屋を覗いたら空っぽだった。誰も使った痕跡はなくて、少し埃っぽささえある。


「ここ、僕の部屋なんですけど……誰も使ってないの?」

「ああ、うん。チャンミナが戻ってきたら使わせようと思ってたんだけど、まだ来てくれないから」

「……」

「待ってるんだ、ずっと」

「……そう」


ピザを2人並んで食べて、『ユノ』は平然を装って漫画を読んだりゲームをしたりするんだけど、びしびし柔らかな視線を感じて照れる。やることを一生懸命思い出して、リリース予定らしい歌詞を考えることにした。ユノにヘッドフォンを借りて、キュヒョンの曲を繰り返し聴いてみた。音程を取って、ハミングして。


「~♪~♪」


『僕』って結局、何考えてたんだろう。
ユノから離れて、1人で何でもできて(いや僕もできるけど)、だけどもうやっていけないと考えてて、最後に歌いたいと思った想い。


「……」


僕なら、やっぱり最後まで待っててくれたペンやユノに向けて歌いたいけどな。どうなんだろ。
『僕』の状況も漠然としか掴めてないし、『僕』になりきって書くのは難しいかもしれない。


「ん?」

「何聴いてるの?」

「ああ、キュヒョナとやる曲の歌詞考えようと思って。彼が作曲したやつ」


ヘッドフォンを外されて、「俺も一緒に聴きたい」という『ユノ』のために出力端子を今度はスピーカーにかえて聴いた。


「本当に。……チャンミナじゃないんだな……」

「え?」

「前のチャンミナだったら、ヘッドフォン取るだけで激怒されてたから」

「……」


昨日みた夢で、そういう場面があった。
あの夢は『僕』の記憶の一部?


「そう言えば、昨日夢でみたんですけど。昔の5人部屋で2人になった時、言い争いとかした?……僕が、兵役に行く時。もしかして、実際あった?」

「んー、、チャンミナは決めてすぐ宿舎出て行っちゃったから。感情的に爆発したけど、揉めることさえできなかったかな。待ってるって言っても、待つ必要ないってバッサリ言われたしな」


やっぱり。
でも黒い嵐に襲われるような荒野の大地には2人共に撮影でも行ったことがないと言われた。
記憶と夢が混濁してる。


「……僕が言うのも何なんだけど、、『僕』って嫌な奴だね……」

「なんで?」

「だって……、、」


ユノに対して酷すぎる。いくらなんでも僕はここまでできない。
尊敬してるなら確かに戸惑う気持ちもあるけど、それより有り余る、ユノを支えたい想いの方が勝るだろ?
僕はそうだし、僕はそうした。
僕は『僕』を認められない。


「……そんなことないぞ?」






だけど『ユノ』は言うんだ。











「チャンミナほど格好いい男なんて、他にいないよ」



















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片割れ chap.9 番外編#7 チャンミンの平行世界













愛し方も


守り方も







自分で決めた










だけどどうしても





口に出さなきゃ
伝わらない想いがあったのに


 

 











 


選択は  変わるのか


















走行中の車内、ユノはふざけることなく真面目に運転して、僕はシートにもたれてユノの横顔と緑空をずっと見てた。
サングラスの隙間から覗くユノの瞳が僅かにその光彩を拾ってる。それをひっそり観察するように、貸してくれたブランケットを鼻まで被って凝視してたものだから、時々こっちを向くユノにその度声を掛けられた。


「怖がらないで」

「大丈夫だよ」

「俺はユノだよ。それは、分かるんだよな?」


ユノの、迷子をあやすような口振りに、くすぐったくて僕は頷いてばかりいた。


「よし、着いた。ここが俺の宿舎」


『ユノ』が車を停めた駐車場は、ユノと僕が暮らしてる宿舎の見慣れた地下階で。そこには事務所からもらった僕の車も停めてあるはずで、首を回して探したけどあるはずの車体はない。


「……」

「怯えないで、大丈夫だよチャンドル」

「……別に。子供でもないのに……」

「あ、悪い。全然喋らないから本当に犬と勘違いしそうになってた!」


助手席のドアを開けてくれて、やっちゃったーって顔で笑いを抑えてるユノは本当に僕が犬じゃないと分かっているのか疑わしい。だってそれからも「こっちだよ」「エレベーター乗って?」「古い建物だけど、居心地はいいから」って、僕の少し先を歩きながら誘導してくれたから。


「どうぞ」


玄関の扉を開けて、僕が中に入るまでじっと待ってくれるユノはやっぱりとても、くすぐったい。お邪魔しますの言葉が寂しくて、わざと黙って部屋へ入った。
ここは僕の宿舎だ、僕のいた場所では。


「けっこう、綺麗……」


先に通されたリビングは意外にも片付けられていて、ドキッとする。
ユノじゃない他の誰かの存在感。


「ちょっと、、見て回ってい……?」

「どうぞ?」


大雑把だけどきちんと重ねられた雑誌だったりテレビ回りのDVDの陳列さに胸騒ぎが走った。キッチンに入れば冷蔵庫や水回りの収納はほとんどないけど掃除されてる感じを受ける。洗面所もトイレもマネヒョンの部屋も。


「……。ユノの部屋も、見ていい?」

「ん?うん。えっとな…」


ユノが言い終わらない内にユノの部屋を開けた。
「うん」って言ったし!何か言い訳されて拒まれたら、もう入れない。
家具や配置をざっと目で僕の馴染んだものだと確認しながらベッド脇のローチェストの引き出しを開けて漁った。


「……ない」


ゴムはない。ついでにローションも。
一気に脱力して、ベッドに沈んだ。ユノの匂いだけが少しして、肺いっぱい吸い込んで、ゆっくり全て吐き出す。

彼女がいるのかと思った。いや宿舎でシてないだけで、いるのかもしれないけど。確かに僕のユノじゃないけど。絶対嫌だと思ってしまう。


「チャンドル?疲れた?」

「……昨日あんまり寝れなくて」


後から部屋に入ってきたユノがベッド脇にしゃがみこんで目線を合わせてくれるのが物足りない。
毎晩一緒に寝てたのに。
ここで。2人で。
この人に素肌の熱さを叩き込まれた。
熱を打ち込まれた。
何度だって。ここで。


「そっか…。じゃあ寝ててな?ヒョンが何か、食べ物とか色々買ってくるから」

「……迷惑じゃない?」

「は?」

「だって……、付き合ってる人とか、来ない、の…?」


恋人に恋人はいないのか聞くのって虚しいんだな。なんだか僕じゃなくてユノが記憶喪失になった錯覚さえ起こしそう。


「いないいないっ、それどころじゃなかったし。お手伝いさんにしょっちゅう来てもらってるけど、全然気にせず過ごしていいから」

「あ、そういうこと…」

「俺家事とか全然できないから」

「ふふっ、知ってますよ」

「へ?あ、それは覚えてるのか?」

「……。ええ、まあ……っ、」


鼻の奥がつんとして痛くなった。ユノだけどユノじゃない『ユノ』。
痛感する。
だけど涙目になるのを隠したくて布団を頭の先まですっぽり被ると、やっぱり慣れた寝心地とユノの残り香に覆われて心の底から安心する。どうしようもない。


「じゃあ、ゆっくり休んでな?」


パタンと閉まる扉の音を聞いて気付いた。



あれ、


そう言えば、



僕が、抱きついて宥めるように頭を撫でてくれた、り、しがみつい、て、るのを抱き締め、返して、くれたけど、


「……なん、で……」




一度もユノからは触れてきてない……




















僕は薄暗い荒野に立ってる。

地面はからからに干からびて、所々ひび割れてたり大小様々な石が転がってる。遠くには枯れて生気を失った木々の残骸が見える。
それ以外には何もない。


「……」


行ったことない場所だ。
何でこんな所に?って考えた瞬間、前から風が襲ってきた。真っ黒な突風。


「う…っ!!」


しかも、とてつもなく冷たい。凍りそうな、吹き飛ばされそうな猛烈な嵐に、逃げようと思うのに、なぜか僕の体は地面を踏み締めてぐっと耐えてる。

(なんで!?ここにいたら危ないのに…!)

予想通り、地面に転がっていた石くずが激しい気流に巻き込まれて飛んできた。それだけじゃない。風の中には氷の破片のようなものも混ざっていて、それらが僕の肩に、足に、腹の真ん中に、こめかみに、容赦なく当たってくる。


イタイ
コワイ
ツメタイ
コワイ
クライ
クライ
コワイ


そんな断片的な感情が頭の中を渦巻くのに、僕の体はより身を低くしてただその場で食いしばってるだけ。

(当たり前だろ!!早く避けろよ!!)

そう思うのに、まったく動けない。動こうとしない。強く噛みすぎた歯からぎりぎりと嫌な音まで聞こえてくる。膝小僧にバスケットボールほどのでかい石が当たって、そこからも鈍い音がもろに響いた。
立っていられなくて片足で膝立ちする形になってもそこに留まる僕。


どれくらい時間が経ったんだろう。

風はだんだんと勢いを無くし、やがて止んだ。

後には、傷だらけで息を切らした僕のみ。


「はあ、はあ、はあ、はぁ…」


再び立つことができないほど負傷してる。軋む首をぎちぎち動かして、後ろをゆっくりゆっくり振り返った。

目線の先にはユノが居た。

なぜか昔の5人部屋に置いてた、古ぼけた大きいだけが取り柄のソファーに座って、目を瞑って指を組んでる。祈りを捧げているところなのか、僕には気付いてない。僕が負ったような怪我もしてない。


「良かった……」


その言葉だけ僕の口から漏れて、倒れた。
体はもう一ミリも動かせなくて、唇に着いた砂利さえ払えない。


そんな、夢。















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片割れ chap.9 番外編#6 チャンミンの平行世界










「ないなぁ…」


バックの中を隅々探しても、『僕』が打ち合わせで提案するはずだったらしい歌詞を綴ったものは見つからなかった。ファイルもノートもUSBもプリントアウトしたものもそれらしいものは何もなくて、朝一から途方に暮れてしまう。いや、途方に暮れる振りで自分の気持ちを紛らわせようとしてるだけ。
ユノが迎えに来ると言われた時から僕の心臓が煩い。
でも違うから。ユノはユノだけど、僕のユノじゃないから。勘違いしちゃいけない。


「もうそれだけ探してないんだからないよ」

「悪い……ねえ、コンセプトとは何だったの?できるか分かんないけど、僕なりに考えてみたい」

「あぁ、うん……」


ふがいない自分じゃ余計恥ずかしくて『ユノ』にも申し訳ない気がする。
座り直してきちんとこの場所での『僕』の課題もこなそう。読むことはできるけど書くことは難しいから、自分の声を録音するなりすればうまくいくかもしれない。


「待っててくれた人のために。そういう想いでって、最後にそれだけはやる気みせてくれたよな」

「……最後にそれだけは?」

「あっ…っと……」


苦虫を噛み潰したような顔で「しまった…」と呟くキュヒョンは全然ブラックマンネらしくない。さっきから誤魔化したり焦ったり歯切れの悪いキュヒョンは絶対何かを隠してる。


「なんだよ、キュヒョナ。本当らしくないな、いいから教えてよ」

「いやもう、、チャンミニが苦しんだりする姿見たくないんだよ……でもこのままだと絶対お前はダメになると俺は思ってるけど……なんて言うか、その……」

「……」


なんだか。こっちの『僕』はなんだかとんでもない事にでもなってるんだろうか……。戻りたいし、戻る方法も探さなきゃいけないのに何やってんだ、『僕』は。
僕と関係あるんだろうか。気になる。それに『ユノ』を嫌いな理由も。


「……いいから。ほら、都合の良いことに僕は自分のこと忘れちゃってるからさ、ははっ。気楽に受け取れるから話してよ。じゃないと良い歌詞も思いつかないだろ」

「…………もうやっていけないから最後にこれだけは、って……」

「え、どういう事?」

「事務所辞めたいって……仕事も極限に減らしてるし、、お前けっこう本気だった…」

「はあ???」

「……っあー!そのテンション本っっ当にほっとするわっ!もうお前死ぬんじゃないかってくらいずっとどん底に暗かったから、本っっっ当にほっとする!!」


肩をばんばん涙目で叩かれて、痛いんだけどその分キュヒョンの思いを感じて振り払えなかった。目の前に置いてたスープの湯気はとっくに消えて、残りの液体は冷たそうにさえ見える。


「で?何でそんなになっちゃってたの?『僕』」

「チャンミニ本当に記憶無いんだな。。TOHOSINKIとしてやっていきたいけどやっていけないみたいな葛藤してたから……」

「なんで?……ユノヒョンが、嫌いだったから……?」

「いやいやいやいや、お前昨日もそんなこと言ってたけど、ユノヒョンのことは尊敬してたよ、ちゃんと。……むしろ尊敬し過ぎてるくらい……でまあ2人でやるのが恐れ多かったんだな!スペクトラムが一時的にパフォーマンスするようになったし、益々TOHOSINKIに戻る自信が無くなって弱音吐いてたってとこだな!」

「……そう、なの?」

「そうだよ!謙遜し過ぎで殻に閉じ籠っちゃったんだ、チャンミニは」


ユノを嫌ってた夢はただの夢?確かにキュヒョンの言うことは僕も腑に落ちる。ネガティブ思考な自分がいかにも考えそう。極限まで思い詰めたら、もしかしたらそういう選択もしてたのかもしれない。僕だって。


「とにかくさ、本当はユノヒョンとTOHOSINKIやってみたいって気持ちはあったんだ。……それも、、覚えてない、か?」

「……あった、かも?」

「だろ!?」


っていうか実際やってるし、うまくやってるし。『僕』にやりたい気持ちがあったのなら、僕が動かしちゃっていいのかな?


「……」


どのユノだって、僕のものにしたい。
『僕』だって、そうだろ?


「そうだね……、今の僕としては…」


ピンポーン


という緊張感のないチャイム音に僕の言葉が遮られて、キュヒョンも僕なんか一瞬で忘れ去ったようにモニター画面を確かめに立ち上がった。


「ユノヒョンだ!」

「そ、か……。ええっと、何だっけ。あの、曲はその、僕のカムバックを待っててくれたペンに向けてって感じでオッケー?」

「オッケー!」


キュヒョンが門の解錠ボタンを押して、さあユノが門から玄関に入ってリビングに来るまでどのくらいかかるんだろう。
大した時間もかからない時間にそわそわする。ドキドキする。意味もなく冷めたスープの皿を置き直す。


「…ふうーっ」


予防線を張りたい。落ち込む覚悟をしておきたい。
髪型とか体型でユノは雰囲気よく変わるから、見慣れないユノで意外と拍子抜けするかもよ。あ、じゃなくてユノじゃない誰かがユノだったりして、事務所の知らない社員さんみたいに。何かの弾みで人生が変わって。そう、もしかしたらスペクトラムの真ん中を飾ってたユノは別の名前でミノの顔した『ユノ』なんかが来たりし…


「チャンミナ?」


ユノだ。声で分かる。
顔を上げた先の男は、サングラスを小顔に掛けて高い鼻と綺麗な唇の形しか見えないけど。長いクリーム色のトレンチコートの前を開けたまま、両手はポッケの中に潜んでしまっていて、体型なんて分からないけど。

ユノだ。空気で分かる。
明るい色の少し長くなった髪はしっかりセットされてて、あーこれから仕事だったんだなって。昨日まで毎日見てたユノだって。
ほぼ毎日、僕が目覚めて1番に見つける人。

そう認識できた瞬間、満ちるような安心感が心に広がって、胸に溢れた。


「ユノ…!」


確かめずにはいられなくて。ユノに駆け寄って思いっきり抱き締めた。
だってずっと不安で、気持ち悪くて、怖くて。心細かったから。
ユノの腰に腕を回して、肩に顔を擦り付けてユノの香水の匂いを吸って。改めて思い知らされる。
僕は、ユノなしでは生きていけない。


「……ちょ。……キュヒョン、、これ本当にチャンミナ……?」

「はあ……覚えてないみたい、なんですけどね……?ユノヒョンとか、自分のこととか……?」


もう全然辻褄が合わないと思う。記憶喪失だって言ってるのにユノに抱き付いたりなんかして。でも冷静に構えようとした気持ちは一気に崩れて、ひたすらユノの名前を繰り返し呟いた。


「……チャンミナ震えてるじゃん。……大丈夫だから。落ち着いて、な?」

「……どうします?マネヒョンに連絡取って一旦チャンミニの家に行きますか…?」

「キュヒョン今日予定は?」

「昼前からです。今から出る準備すれば大丈夫なので、僕も一緒に行きます」

「んー、、じゃあとりあえず準備してきな。俺チャンミナ見とくから。あ、おばさんお邪魔します。すいません、初めて来させて頂いたのに突然で」

「ユノ・ユノ…!」


サングラスを取った手で優しく頭を撫でられながら、その頭上で繰り広げられてる会話をぼんやり聞いた。僕は今、超のつくほど甘ったれで、未だにユノにしがみついてる。


「チャンミナ、ちょっと座れるか?床でいいから」


へなへなとユノに支えられながら座り込んで、情けないけどそこで漸く落ち着いて。
「こんなチャンミナ初めてだから、…なんか照れるな」って、よく考えたら緊急事態なのに本気で嬉しそうな声と腕で包んでくれるから、『ユノ』もやっぱりユノなんだなってまた思ったら少し笑えた。


「ユノヒョンお待たせしました。行けますっ」


キュヒョンの慌てて駆け寄ってくれた足音が嬉しい。


けど……、、


「あー……、やっぱいいわ」

「え?」

「俺今日オフにしたから。俺の宿舎に連れて帰るわ。車で来たし、このまま連れてく。……チャンミナそれでい?」



僕に一体、

頷く以外の選択肢なんてあったんだろうか



首を縦に動かした途端、物凄い腕力が背中を押し上げて立たされた。


「わっ…」


突然のユノの強引さにびっくりしてユノの顔を伺うと、そこには黒目の三日月。とびっきり笑顔、のユノ。


「おいで」



僕に一体、

飛び付く以外の選択肢なんてあったんだろうか



ユノの腰に足を巻き付けて上からぎゅーっと丸まるように覆い被さると、ユノは声をあげて笑って。


「ホント犬みたいだなっ、チャンドル~♪」

「……っ」




僕はコートごとくるまれて、そのまま。



まさに。












「キュヒョン悪いな、チャンミナもらってくわ」








さらわれた。





「ユノヒョン大丈夫ですか!?」

「重いけど軽い!大丈夫♪」

「い、いやいやそうじゃなくて…」

「誰にも言うなよー、とりあえず今日はゆっくりさせてやりたいから」











こんな格好良い男、他にいない。

















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片割れ chap.9 番外編#5 チャンミンの平行世界









明け方近く、やっと浅い眠りについた僕にまた夢が襲ってきた。



ユノと僕が言い争ってる。


「待てよ。何で?お前だってTOHOSINKIを守りたいだろ!?」

「確かに。でも僕が、ユノヒョンとどうしても一緒に続けたいって、すがりついて言ってるわけじゃないですよね?僕じゃなくても、ユノヒョンを尊敬してる誰かとやっても続けていけるんじゃないですか?」

「……チャンミナ抜きでなんて、考えられるわけないだろ……。なのに今お前が兵役行ってどうするんだよ……」

「いいタイミングです。どうせしばらく活動できないでしょうし。そもそもユノヒョンとやっていく自信がありません」

「俺そんなに頼りないか……?」

「いや、そうじゃなくて……とにかく二人じゃ合わないですよ」


ユノはじっと僕を見つめて、ぐっと引き寄せて抱き締めた。
 

「俺は、チャンミナのことすごく大事に思ってる。絶対守るから。一緒にやってみよう?」

「だから!!……あー、もう…っ、ヒョンの愛情って分かってますけど!本当に面倒くさいです、そういうの。何言われても変わらないです、僕は」


僕はユノの腕の中からすり抜けて、ちらりとやっとユノを見た。


「……じゃあ、待ってるから。行ってこい」

「誰も待ってて欲しいなんて言ってません」

「……」


僕は最悪な捨て台詞を吐いて、5人部屋の最悪な広い宿舎にユノ1人置いて去っていくという、最悪な夢。











「……」


元いた場所に帰りたくて、戻りたくて。頭の中で子供のように駄々をこねた。外から鳥の鳴く声が聴こえ始めて、闇が和らいで、外にまた人生2回目の緑色の空が広がる。


「雲は白いんだ……」


当たり前のことに感動して。見慣れない空の中に浮かぶ見慣れた雲の存在がどれだけ大切なことかを知った。









「昨日はよく眠れた?事情はなんとなく聞いたから。もしチャンミン君が大丈夫なら、いつまででもウチにいてくれていいからね♪」

「ありがとうございます」


キュヒョンのお母さんに温かいスープをご馳走になりながらキュヒョンの起床を待っていると、気だるそうなパジャマ着の親友がやっと2階から降りてきた。


「眠そうだな、キュヒョナ」

「まあな、お前のためにどうすればいいか考えてたら寝れなかった」

「そっか……ありがとう」

「で、チャンミニどのくらい覚えてないの?」


本当は自分がいた場所に戻る方法が知りたいなんて言えなくて、キュヒョンがあれはこれはと質問してくれるのを少し上の空で答える。

まさか、このまま戻れないなんて事ないよね?そんなの絶対嫌だ。

ここはユノのいない世界じゃなくて、
ユノのいらない世界。

ここの『僕』が何を考えてたか知らないけど、どうやら『僕』はユノが嫌い。おそらく。相当。ユノをこっぴどく置き去りにできるほど。


「……ってことはさ、、ユノヒョンとチャンミニの記憶がない、のかな……他のグループのことは覚えてるんだろ?」

「そう……なのかも……ぼんやりと、、一緒に活動してたのは分かるんだけど……昨日事務所でヨンミン代表から聞いた話が全然覚えなくて。それで記憶が飛んでるって気付いた……」


この場所の常識の違いや数人知らない人間がいることなんてやっぱり言えない。キュヒョンは額に手を当てて信じられないと呟くのを、僕だって信じられないとおうむ返しでキュヒョンに返した。


「……でも、さ。記憶がなくてすごく不安だと思うけど……。俺はチャンミニが今のこと忘れてて、ちょっと良かったなと思うよ」

「え?」

「最近のお前特に…。いつもどこ見てるのか分かんないくらい、魂抜けてる感じだったから……」

「……『僕』そんなにヤバかったの?」

「あ、いやっ」


ま、やる気がない感じだっただけで、心配だっただけと、なんだか誤魔化すそうに目を反らして笑う親友の姿が焦れったい。


「記憶はいつか戻ればいいってくらいになるべく考えるようにして……そうだ!今の気持ちでいいんだよ!お前、TOHOSINKIに戻りたいだろ?これから事務所に掛け合ってユノヒョンと相談すればいいわ!」

「ちょ、ちょっと待って」


妙に焦ってるキュヒョンにも納得いかない。
ここは『僕』の場所で、僕が何かを言える場所じゃない。もし夢の中で見た僕が『僕』なら、状況も含めてTOHOSINKIは守りたいけど、完全にユノを拒絶してるらしい。
じゃあ、僕がグループに戻りたいなんて言って行動してその後、元の世界に帰ったら『僕』のその後はどうなるんだろう。
でも、もし。……僕がこのままここにいる羽目になったら?


「だいたい、……なんで僕兵役なんかに行ったんだ?ユノ、ヒョンは、……一人で大変だったろ?」

「あー…、うん……」



活動休止になって、僕も逃げて。


ユノは


たった一人で……



「……『僕』って最低だな…」

「違う!」

「……は?」

「お前はっ、考えが深すぎて俺にも理解できなかったけど。……なんか格好良かったよ。本当に、、ダークナイトみたいだった」

「……バットマン?」

「そう、本当、沈黙の守護者って感じで……。でも俺にはグチってばっかだったから言い過ぎか、あははははっ」

「???…あ。。実はユノヒョンが最低の遊び人で実は最高に調子いいだけのヒョンで、実は活動休止もユノヒョンのせいなのに僕は暴露しなかったとか……?」

「何言ってんだお前。ユノヒョンは男の中の男だろ。そんなの天と地がひっくり返ってもねーわ」

「あ、そですか……。…ふふっ」


なんかこっちの『ユノ』もユノなんだと思えるだけでちょっと嬉しい。『ユノ』でもいいから会いたいと思う僕は不純だろうか。


「え、と……。また近い内に、ユノヒョンと会えるかな。スペクトラム?は、活動忙しいのかな?」

「そうだそうだ!まずユノヒョンに会え!スペクトラムなんてまだSMTでダンスパフォーマーとしてしか動けてないし、この前の2DAYSもペンイベントで正式な活動じゃないしっ。俺電話して事情説明してやるからちょっと待ってろ」


そう言うと、キュヒョンはドタバタと文字通りの音を鳴らして2階の部屋に戻っていった。もしかしたらすでにスペクトラムがTOHOSINKIとして再始動する噂が社内でたってるのかもしれない。
僕はどうしたらいいんだろう。


「…………」

「チャンミン君、スープのお代わりは?」

「あ…、、じゃあ、いただきます」


キュヒョンのお母さんが足してくれたコンソメスープの優しい味に、また1つ落ち着きをもらった。その心持ちで窓からは変わらず緑色の空がちらっと見えて、まだ僕の場所ではないことを確認する。


「チャンミン君、色々忘れてしまったのは怖いかもしれないけど。チャンミン君には今までとても苦しいことがありすぎたから……。むしろ神様からの贈り物だと思って、これを機会にもう一度ゆっくり考えてみてね。おばさんはチャンミン君のペンだから、何があっても信じてるし諦めないでね。チャンミン君のやりたいようにやればいいんだからね?」

「……はい」


キュヒョンのお母さんは穏やかに諭してくれて、そのままキッチンへ入っていった。
確かに僕にとって活動休止は最も苦しい時期の1つだったけど、今は『僕』がユノを避けてるということに1番暗くなってる。


「つきあって、……は、ないな……」


『ユノ』がユノだからって、僕を助けてはくれないかもしれない。そもそも何をどう助けて欲しいのか、具体的に僕が言えない。


「……ユノ……」


呼んでみる。
小さすぎて声にもならないけど。


「チャンミニ!!!」

「ひっ…な、なななな、何!!?」


突然キュヒョンの叫び声に心臓が飛び出るかと思うほどびっくりした。でもキュヒョンの次の言葉に思わず唇が綻んだのは、



やっぱりユノはユノだったから。
 







「スケジュール全部外してこれからここに迎えに来るって、ユノヒョン……」







「……何お前まで嬉しそうなんだよ、キュヒョナ。僕記憶無くて困ってるんだぞ、あははっ!」

「いやなんか、、なんか、全部いい方向にいきそうな気がして……っ、」

「ちょ、え!?泣くなよ、はあ!?そうだ!僕たち曲作ってたんだよね?今の僕でもできるかな?ユノ、ヒョンが来るまでに昨日の打ち合わせ何やるはずだったのか教えてよ。ね?キュヒョナ」

「……っ、チャンミニが、、生き生きしてる……っ、ダメだ俺……っっ、」

「は、はあ!?何言ってんだ、お前!?」


気持ちの悪いパラレルワールド?でも仕事を始めようとするほど僕は浮かれた。







ユノに会える。






それがとても嬉しかったから。










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片割れ chap.9 番外編#4 チャンミンの平行世界












「……帰りたい」

「は?」

「帰りたい!」


しゃがみ込んで頭をかきむしると頭皮に痛いくらい指の刺激が伝わる。

でも夢だよね?


「ちょ、、チャンミニ大丈夫か?」


どうすればいい?また意識を飛ばせば戻れる?
目の前のキュヒョンに全部吐き出したい。
だってあり得ない。あり得ない世界だ、ここは。


「分かった、今日はもう帰れ。な?それで落ち着いたらまた連絡くれよ、心配だし。どうする?タクシー呼ぶか?」

「……」


僕、家どこなんだろう?ユノと住んでる宿舎でいいのか?実家?それとも警察に行って事情を話せば何とかしてくれる?


「キュヒョナ、実は……」

「何?何かいるもんあるか?飲み物とか買って行こうか?」


キュヒョンは信じてくれる?
僕がキュヒョンだったらどう思う?


「……ちょっと、確認だけさせて。僕たち親友だよね?真剣に答えろよ。……これ、ドッキリじゃないよね?」

「何言ってんだよ……。チャンミニがさっきからふざけてるんだろ……さすがにたち悪いぞ」

「、、ふうぅ~……」


大きく息を吐き出してできる限り冷静に考える。
冷静に物事を捉えて。例えばこれは?
掴んでた情報誌をゆっくり最後まで捲って見た。どのページも始めから終わりまで変な配列で文字が並んでる。

もし逆の立場だったら僕はキュヒョンをどう思うんだろう。
「空が緑色じゃない」「文字が変に並んでる」「スジュなんて知らない」
そう突然親友が騒ぎ出したら……?


「……。実は……、なんか、僕。。記憶が飛んでるみたいなんだよね……」

「……。はあ!!?」

「ちょっと、、来る途中、頭でもぶつけたのかな……よく思い出せなくて……」

「ど、どこから?どこから記憶ないんだ??」

「……それが、よく分からない……」

「……俺たち親友だよな?真剣に答えろよ?……これも、ドッキリ?」

「いや、本当……」

「……」


本当じゃないけど。でもありのままに話したら頭がおかしくなったと思われる。僕ならそう思う。それならいっそ記憶喪失の方がましな気がした。
キュヒョンにごめんと、そっと心の中で謝った。


「びょ、病院。病院行こう、チャンミニ!」

「ちょっと待て!待って!少し考えさせてっ」

「何言ってんだよ!?脳に損傷でもあったらどうするんだよ!?俺もついて行くから!」

「……うん。じゃあ、、……脳の検査だけ。ただ、記憶がないのは病院でも、家族にも誰にも今はまだ言わないで……頼む。僕も何が何だか分かんなくて怖いんだよ……」

「……そう、、だよな。……。分かった、じゃあひとまず…、マネヒョンに車出してもらって行こうか?」







病院へ着くなり、CT検査をして欲しいと希望する外来患者が5万といることを知った。頭部の受診だから、もし識別検査や認識検査までされて精神疾患で入院ってことにでもなったらどうしようと過ぎったけれど、やけに長い待ち時間の割に『異常なし』と診断されてたちまち病院の外へ解放された。

ぼんやりエントランスの自動ドアを越して見上げた空は、金色のような西日に緑色の空が浸食されかけてる。オレンジ色じゃなくて目が痛いほどの黄金の夕陽。何かもう、立ち尽くして眺める他ない。


「とにかく……。何もなくて良かったよな?それに俺のことも分かるし、全然覚えてないってことはないんだろ?もしそうだったら会話も出来なかったかもしれないんだぞ!?記憶喪失でもチャンミニはラッキーな方だ!な?」


キュヒュンの精一杯の励ましに胸が熱くなる。滲んだ涙をさっと拭いて、そうだな、あはは!って高笑いすると、キュヒュンが心底ほっとした顔を見せるから余計に泣きたくなった。

確かに会話はまともに通じる。スジュのマネヒョンもいつものマネヒョンだったし、送ってもらうバンの車窓から見えた風景も標識も信号も変わりなかった。お金も保険証も使えた。

ただ今までの人生じゃない場所にいる。
それは確実に実感できた。


「……何で……」


僕の選択が、たぶん。
決定的に覆ってる。

2人の軌跡が、たぶん。
全く無くなってる。


「……」


あるわけない。
この場所の『僕』が僕なら、ユノからもTOHOSINKIからも離れたいなんて考えるはずがないのに。どんなユノでも、どんな状況でも、見捨てるような真似は絶対しないはずなのに。


「キュヒョナ、……悪いんだけど。もし、迷惑じゃなけば……今日はキュヒョナのとこに泊まりたい……色々教えて欲しい。。」

「ああ、いいよ。水くさいなぁ、どうせなら落ち着くまでいろよ。なんなら俺の実家に行く?部屋もあるし。…俺の家は?覚えてるか?」

「……蘆原区?」

「そう!いやむしろ来て!チャミペンの母さんにいい加減また連れて来いって煩く言われてたんだった!」


キュヒョンに肩を揺さぶられて。キュヒョンはやっぱりキュヒョンで。ちょっと過保護で優し過ぎるキュヒョンだけど。代表もだったけど。


「……何で……」


何で、『僕』は……


「あれ、チャンミニ。スマホ鳴ってるんじゃない?」

「え、あ…」


ロングカーディガンから振動するスマホを取り出して表示を見た。
名前の配列が違ってもきっと誰かくらいは分かるはず。


「……っ。……ムデワン(舞台王)……っ、、」


その表示は僕の常識通り、いつもの登録名通り、綺麗に並んで表示されていた。

もしかしたら電話でなら本物?のユノに繋がるかもしれない!


「ユノ!!!」

『……ぉぅ、、』

「ユノ!?聴こえる!?」

『……うるせーって。ヒョンくらいつけろよ、さすがに怒るぞ。ってかチャンミナ何で待ち合わせ場所にいないんだよ。もう1時間は待ってるんだけど』

「え……どこ?」

『……』

「……」

『ぶっ、くくく…っ、、お前っ。、ふふっ。……そんな、、白々しい演技するほどまだ俺と話したくない……?』

「あ、や、違っ…」

『いいわ、もう。避けられてるのは十分分かってるし別に傷付きもしないからもうこんな事すんな。待ってたのは、ただ俺が今日の約束を信じたかっただけだから。それだけはちゃんと分かっとけよ。じゃあ、また』

「ぇ、ゆ…!」


今すぐ会いたい。
でも途切れたユノの声を追いかけれなかった。


「キュヒョナ、もしかして……」

「あ!そうだったな!ユノヒョンと会うんだよな。行って来い行って来い。帰りは迎えに行こうか?」

「ぼく……、、」


あり得ない世界が、在るなんて

ユノこそはと、
想ってない自分が存在するなんて


例えここが、

夢でも
パラレルワールドだったとしても







「僕ユノ、ヒョンの、こと、、……嫌いだった……?」







「……まさか、、……覚えてないのか?」

「…………」


どこでだって僕は、きっとユノを愛するだろうと思ってた。

それは恋人としてか、メンバーとしてか、兄としてか家族としてか。それとも親友としてかは知らないけど、どんなカタチであれ僕はユノに惹かれる自信だけはあった。


なのにーーー、


「……疲れた、、寝たい……」

「え、ユノヒョンは……?」

「またって。時間遅れてたみたい…」

「そっか。……じゃあ、このままうち行くか?話はさ、また明日ゆっくりでいいよな?俺もどうしたらいいか考えたいし」

「うん……」


今日はもう、何も考えたくない……


郊外にあるキュヒョンの実家は閑静住宅地の中の大きな一軒家で。こんな錯乱しそうな今の僕をもしっとり包む、心地好い夜風が通っていた。

連絡を受けて用意してくれていたらしいキュヒョンのお母さんのジャージャー麺を平らげて、すぐ床に着いた。不安を凌駕するほどの眠気に襲われるのに、時間は掛からなかった。












ユノと僕がいる。

まだ若い。元のメンバー達もいるけど、顔はボヤけてる。

ユノと僕の姿だけはっきり見える。

僕が座ってヘッドフォンから流れる音楽を嬉しそうに口ずさんでて、ユノは僕の背後から笑って近づいてくる。僕は気付いてない。


「何聴いてんの?」

「うあっ、ちょ、返して下さいよ!」


ユノに奪われたヘッドフォンをまた奪還して、僕はユノを睨んだ。


「おー♪これ俺の好きな曲っ」

「知りませんよ!!邪魔しないで下さい、人がせっかくリラックスしてるのに」

「じゃあ、一緒に聴こうか?」

「ウザい。もう本当あっち行って」


そう言って僕は向き直りざま、ヘッドフォンの音量をさらに上げて耳にかけた。後ろに一人残されたユノは、眉間に皺を寄せて僕の後頭部を眺めてる。僕もすごく不機嫌そうだ。諦めたユノの左手が、僕の頭を撫でた。


「次は一緒な!」

「だから~!そうやってすぐ触らないで下さいって言いましたよね!?男同士のスキンシップなんて気持ち悪いんだって!!」


僕の大声を無視して、ユノは何食わぬ顔で他のメンバー達の輪の中へ入っていった。そんなユノを僕は睨み続けてた。











「ん……」


それだけの夢だった。

僕の記憶の二人なのか、この場所の『僕』のことなのか、よく分からない。昔そういうことがあったような気もするし、初めて見る場面のような気もする。

首だけ起こして辺りを窺っても何も見えない。目を凝らして慣れてくると、ようやくキュヒョンの実家の、案内された部屋だと分かった。起きても覚めない夢、ということは認めがたいけどここは現実で。


「……あー、、夢じゃないのか……」


さっきの他人目線で二人を傍観してた場面が夢。それがしっくりくる。


「めっちゃ睨んでたな……」


夢の幼い僕は、ユノを親の敵かってくらい、何か恨んでるのかってくらいの忌々しい目つきで見つめてた。


「……」


そんなにユノが嫌い?
この場所の『ユノ』はそんなに酷い奴なの?
もし、そうなら分かったから。
僕を早く帰して。
どうすれば帰れる?
なんで僕はここにいるの?


そう言えばこの前、ユノもジャージャー麺食べてなと思い出して、


「……ユ…、っ」


無性に会いたくなった。






この場所の夜も、闇は黒かった。

何にも変えられない、ただの漆黒。



月はない、隠れたか。











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片割れ chap.9 番外編#3 チャンミンの平行世界










頭が真っ白になった。もしかしたら一瞬失神してたのかもしれない。


「…………、、、」


立ち尽くしてる廊下を目だけでぐるりと見渡しても普段と変わらない事務所の廊下だった。
いつもの白いタイル張りの廊下、運搬で擦った傷跡、いつもの白い壁に所属タレントの出演作ポスター。
そしていつもの場所にずらっと飾って並べてある宣材パネルが視界の端に見えるけど、もう改めて直視できない。


「…………っ…ふ……っ」


何これ、めっちゃ震える。
押し出す呼吸が震える。
でも、見なきゃ。確認確認、確認が必要。それは、分かっているんだけど……。


「こら、チャンミン!」


いきなり後ろから右肩を掴まれた。
あまりの恐怖に声が出ない。
もう何が何だか分からないし、誰かドッキリならドッキリって早く教えて。それにしたってたちの悪い冗談過ぎる。
動けずに固まっていると、声の主が回り込んで顔を覗かせた。


「……代、表……」

「……大丈夫か?かなり顔色悪いぞ……」

「あ、の……っ」


もう何から話せば正解なのか分からなくて。どう声を発していいのかすら思い出せなくて。
だっておかしい。
空が緑色で。キュヒョンと僕で楽曲を作ろうとしてて。知らない人がなに食わぬ顔で事務所を歩き回ってて。スペクトラムって書かれたパネルがあって。そこにユノの顔が写ってて。
どう考えたって、居酒屋で飲んでた僕と繋がらない。

僕が、狂ったのか……?


「……ぅぅ……っ」

「……ちょっと、……缶コーヒーでも飲みに行こうか?奢るよ」

「キュ、、」

「ん?」

「キュ、ヒョン、が、ミ、ティング、、」


震える息を押し込めながら喋ると、片言のかくかくした妙な声しか出ない。でもそれが精一杯の今の僕の発声だった。


「……キュヒョンがミーティングスペースにいるのか?」


首もぎしぎし音が鳴りそうなほどしか縦に振れない。掴みきれない不安に、防御本能がすべての動作を最小限に抑えてる。そんな感じ。


「いいよ、誰かに頼んで待たせとけばいい。ちょっと待ってろ」


僕が先ほど辿り着けなかった事務所の扉をヨンミン代表は難なく開けて手前の人物に声を掛けた。隙間から見える室内もいつも通り。そして、いつもの社員さん達、、ばかりじゃなかった。


「……」


パッと見ただけで2、3人は知らない人がいる。だけど誰も気にも止めずにパソコンや電話機に向かってる。


「よし、行くぞ」

「……は、ぃ……」


何がどうなってるの。。











「ほら」

「………どうも……」


ヨンミン代表からもらったアイスコーヒーを急いで胃に流し込むと、ほろ苦い味わいが一気に体へ染み渡る。


「あー、ここでうちのタレントに何本飲み物奢ったかなぁ。たぶん1万本は奢ったなあ!まったく。どれだけうちの奴らは悩んでるんだろうな?」


くすくす笑う代表のおかげで、僕の緊張がほんの少しだけ溶けた。
正直僕はこの人を好きになれない。「疲れた顔を観客に見せるな!」って、言われても仕方のない事をいつも言うし、ユノをまるで自分の子供のように馴れ馴れしく可愛がるから。何様なんだと思ってた。代表だけど。
でも、今だけは本当に有り難い。


「ユノにはいつもイチゴ牛乳だったよ」

「あ……」


そうだ、ユノだ。とにかくユノに会いたい。ユノならこのおかしな状況を説明してくれるはず。


「お前は結局何がしたかったんだ?」

「え?」

「ユノと離れて勝手に兵役行ってやっと帰ってきたと思ったら今度は単独で仕事してSMTはギュラインで出て。大学も通って次は院か?何なんだ?どこへ向かってるんだ、チャンミンは」

「…………」

「歌手?モデル?俳優?それともマスコミの就職?あ、スポーツ記者か?」


話が飲み込めない。何。どういうこと?


「ユノは空回ってばかりだし……私もこれで本当にいいのか分からないんだが……」

「……」


目頭を抑えて項垂れる代表は酷く疲れてた。曲げられた背骨の傾き分だけ、その重みが見えるような気がした。


「もう2年経った……私の負けだよ。タイムリミットだ、チャンミン。再来月で元メンバー達との専属契約に関する訴訟の最終判決が下されたら、正式にスペクトラムをTOHOSINKIとして再始動する発表を全世界に配信する。これでいいんだな?」

「ぁの……ぼく……」


何が起こっているの?
僕には大きすぎて、よく理解できない。


「さっき……仮パネル見てたろ?次の幹部会で決定すれば、スペクトラムの表記が7月から改めてTOHOSINKIに変更される。チャンミンもキュヒョンと曲をリリース予定だしな。ま、ほぼ決まりだよ……」

「、、」

「はぁ……仲が悪いのをビジネスに持ち込むなよ。お前たち、本当に二人じゃ無理なのか?」


よく理解できない。
待って。待って。
頭がついていかないんだ。


「私は、、絶対。見てみたかったよ、……お前とユノの、TOHOSINKI」

「へ……」

「……ま、、反りの合わない私にお願いされても無駄か、はは」


最後の悪あがきだ、じゃあな、って自販機と黒いソファとゴミ箱だけある昔から変わらない粗末なスペースに僕は取り残されて。


「…………そうだ、キュヒョナ」


ミーティングスペースへ戻るため空き缶を捨てようとした僕の指は、無意識に缶を離して柱の張り紙をなぞった。

『ゴミ は しかっり ぶべんつ
して すまてょしう』


「ゴミ、は……、、」


黄ばんでよれてるいつもの注意書きの、文字の配列だけが少しおかしい。


「……くそ……」




突然、

猛烈な怒りが込み上げてきて




「くそっ!!!」

何もかも少しずつおかしい状況。はっきりしないのに、まったく知らない場所でもない。中途半端な不明瞭さに胸くそが悪くなった。

ゴミ箱を蹴った右足から勢いに乗せてキュヒョンの元に戻ると、ずかずか大股で早歩きしたから、少し息が上がって。目を閉じてプレーヤーから流れるメロディーに聴き入ってた親友は僕の変貌ぶりに、丸い目をさらに丸くさせた。


「キュヒョナ!」

「うおっ、何!?」

「何か、何でもいいっ。新聞か雑誌か、本。読めるもの貸して!」

「え、と。よし、ちょっと待って」


キュヒョンが慌てながら探してくれる間に、僕は窓を開け放って顔を外に突きだした。さっきと変わらないエメラルドグリーンの空が僕に覆い被さってくるようで、その非常識的な緑が恐くて仕方ない。だけど目を瞑って深呼吸すると、雨の匂いも曇りの湿っぽさもない、5月の気持ちいい空気が肺に充満した。
スモッグでも何でもない。空の色だけ無視すれば、ただの快晴だった。


「チャンミニ、これでいいか?」


振り向いてキュヒョンの手にある情報誌を礼も言わずに分捕って適当に目についたフキダシを読んでみる。

『クキッー の あまみ と コヒーー の さんみ が くわっわた ぜみょつう な みかく バンラス は、さこいう の くわあみせ です。』

『らげいつ の ゲスト は、かがいい から の おもおの アィテースト!こう ごたきい!!』

『ひうこき に のいってる ばあい で なてくも、いちてじき に データ つんうし しない ように するーーー』


「……チャンミニ?」

「……」


読めないようで読める文章。異質なようで当たり前の空色。
でも僕の常識ではない常識。


「キュヒョナ、……TOHOSINKIは?」

「え……」

「ユノと僕の、2人のTOHOSINKIは?」

「……何言ってんの?どういう事?」

「ユノと僕でっ、、2人で、TOHOSINKI再始動したろ??」


勢いは急に削げて、もう最後の方はキュヒョンに懇願するように質問してた。でもキュヒョンは、まるで的外れなことを言って僕を嗜めた。


「…………そういうドッキリは、さすがに笑えねーわ……」















ごめんなさい。。すいません。。パラレルワールドのホミンちゃんは、、どうなるんでしょうか。(←おい) よろしければ、どちらかのグループにポチを♪
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片割れ chap.9 番外編#2 チャンミンの平行世界










「チャンミニヒョン、何か疲れてます?」


漢方のサプリメントを飲んでみたり効きそうなツボを押してみても目眩は治まらなくて、気分まで悪くなってきた。


「んー…、何だろ。風邪かな?ちょっと調子が悪くなってきた、かも」

「え、今日帰ります?あんまり無理しない方がいいですよ」

「熱は?……。うーん、熱はなさそうだな」


手のひらで体温を窺ってくれたキュヒョンが僕の額から離しながら心配してくれた。


「ありがとう、キュヒョナ。来たばっかだし、もう少しして治らなかったら帰るよ」

「いやもう帰れよ。ユノヒョン呼ぶか?」

「ユノなんか呼んでも意味ないって。帰る時はタクシー使う」


こんな事で迷惑かけたくない。看病もろくにできないくせにひたすら傍で心配そうに僕を見つめるんだ、あの人は。


「『ユノなんか』って……。お前なぁ」

「ちょっとトイレ」


水をがぶ飲みして席をたつと、一気に楽になった。だけど、「治った治った♪やっぱりまだいる~♪」と言って個室に戻ったところで、また目眩がし出した。
変だ。本当に風邪のひき始めかもしれない。


「チャンミニヒョン、良かったですね!」

「うん……、ま、一応大事をとって、早めには帰ろうかな」

「チャンミニって、歪んでるよな?」


ニ本目の焼酎を開けながら、キュヒョンが突飛もないことを言い出した。


「お?何が?」

「ひねくれてるって言うかさ。だからいつも揉めるんじゃない?ユノヒョンと」

「……」


図星。。


「この間収録したって言ってた番組観たけど、あれだってまずくない?」


僕はぼんやりしてた頭を振って、言われた現場を思い返す。
何だっけ。まずいことってあった?


「……あ。キュヒョナって僕が答えて寂しかった?あははっ、ごめんねー♪」


うん、あれはあれで良かったと思う。

僕はよくスジュのダンス練習を見に行く。それで、もしスジュに加入するとしたら、どのメンバーを押し出して入りたいかっていう質問にキュヒョンと即答した。仲が良いからこそ言えるジョーク。


「そこじゃなくてさー…。イトゥクヒョンの『チャンミンはスジュの雰囲気が本当に羨ましいんだな』って言葉に被せて羨ましいって言っちゃってどうするんだよ。ユノヒョン本気で固まってたぞ?」

「……だってスジュの雰囲気、本当に楽しそうで羨ましいよ。ユノと僕は面白いって感じないし」

「いや、そうじゃなくてぇ。自分のグループのフォローをしろよ。『TOHOSINKIは仲悪いのか』って勘違いされてもおかしくない言い方してどうするんだよ」


スジュの振り付け練習はいつも和気藹々。面白くジョークを飛ばしたり、ミスしても笑いながら、でもやる時は真面目に。メリハリをつけて、とにかく楽しんで練習してる。

ユノと僕のダンスレッスンは、笑い声なんて皆無に近い。毎回真剣にやらないとついていけないくらい難しいステップやフォーメーションが多くなってきたし、第一ユノがふざけた空気を許さない。緊張感の張り詰めた中で、何度も何回も細かく確認しながら踊るから、終わる頃には皆、まさにフラフラ。

キュヒョン達の雰囲気がちょっといいなと思う気持ちだって、正直ある。


「楽しいことは多いけど、苦労することもあるんだぞ。お前も分かってるだろ?」

「まあ、そうだね。よく分かってるけど」

「あ~ユノヒョンかわいそう。こんな冷たい恋人が相方で♪チャンミニが羨ましい奴なんてたくさんいるのにな?」


キュヒョンは小さなグラスの中の酒をぐびっと飲み干して、適当な料理を追加注文し出した。今夜はとことん飲むつもりらしい。


「僕もチャンミニヒョンが羨ましいですね♪」

「ミノも?…皆ユノと付き合いたいってこと?」

「ちがぁぁう!」「ちがぁぁう!」


キュヒョンとミノが見事なハモリを突然披露して爆笑した。するとこめかみのあたりにずきっと痛みが走ってどきりとする。
今夜は一体何なんだ?体調管理はいつもしてるのに。


「だったら、何なんだよ??」


空になったお冷やの代わりに、水割りの焼酎を口につけたけどすっきりしない。


「ユノヒョンとグループやれる、ってことがだよ」

「アジアのカリスマですしね~」

「そんなん知るか、関係ない」

「お前そういう発言に気を付けろよ。カラムみたいなユノヒョンに憧れてる後輩にひんしゅく買ったり、ペンにもアンチにもネット使って叩かれるだけだぞ」

「そんな……」


そんなの、分かってる。
でも気をつけても誤解される時はされる。
慎重になって思いあぐねると今度は無口だと思われる。
だから苦手なんだ。

人に『伝える』って。


「好きなら好きで、もっと素直になってもいいんじゃない?男だからって気を使ってるのかもしれないけど、愛情表現下手過ぎだろ。俺やミノは知ってるからチャンミニなりの照れ隠しなんだなって今は思えるけど、知らない奴らが見たら逆に仲が悪いようにしか思えないぞ?ユノヒョンだって、お前の態度で不安になったりする時あるんじゃない?」

「……っ、、確かに…」


メンバーとしては仲良く、恋人としては周りに隠して、でも本当は恋人でもあって。そんな表現の仕方ができるなら今頃とっくにやってる。難しいんだよ、とても難しい。だけど僕はユノ本人にすら未だに素直に好きと言えないじゃんか。態度にもうまく表せない。何だこれ。僕全然ダメじゃん。でもユノと僕はよくやってるんだよ。言わなくたってお互い理解し合えるんだよ。周りには分からないかもしれないけど。周りに伝わるのは難しい、言葉では難しい、それがとても難しい。でも仲の良さをアピールすることは商業的に必要で。ホント、何だこれ。無限ループだ。あー、頭痛い。



「……確かに。僕が、ユノヒョンとどうしても一緒に続けたいって、すがりついて言ってるわけじゃないですよね?僕じゃなくても、ユノヒョンを尊敬してる誰かとやっても続けていけるんじゃないですか?」



あれ、






そんなこと言うつもりなかったけど。



口が滑ったっていうか、、


勝手に動いた感じ。。



「チャ、チャンミニヒョン……。そんな言い方止めて下さいよ、そんなことないです!!TOHOSINKIは二人にしかできないグループですし、僕はチャンミニヒョンもユノヒョンもすごく尊敬してます。なのに、なんか変なこと言ってすいませんでした。キュヒョニヒョンももう止めましょ?」

「……あ~なんでこんな天の邪鬼なの、チャンミニ……」



僕なんだけど他の僕がしゃべってる。
だって意識の外で自分の口が動く感覚をもろに感じて。経験したことのない、気味の悪い感覚。



「そんなに代わってほしい奴がいるなら、案外代わった方がうまくいくんじゃないですか?僕にはそこまでの情熱はありませんから」





恐ろしいことを口に出してる気がする。でも、冗談だろってこの二人は受け流してくれるはず。変な僕をどうか今日は見逃して欲しい。


「え……と……、、。ま、まあ~、僕はっ。ユノヒョンと二人きりって緊張しちゃうと思うんで。やっぱりギュラインメンバーが好きです♪」

「……まあな♪やっぱギュラインが最高のメンバーだしっ。やっちゃう?SMTとかで?」


ミノの助け船にキュヒョンが掴まった。そのキュヒョンが僕を見て、「さっきの話はもう終わろう」って顔してる。
僕だって止めたい。今夜の僕は本当どうかしてる。
渾身の力を込めて首を縦に振った。


「あははっ。チャンミニ頭振りすぎ!」


やっと笑顔になった二人にもちろん僕も乗っかって口角をあげて。
それでようやく飲み会に平穏な雰囲気が戻った。

あー今夜は本当に体調が悪い。酔いが回って、痺れそう。珍しく胃がムカムカする。



あれ、なんか、、




「吐きそう…」

「へ!?」「ヒョン、本当!?」

「……あれ、やば、なんか、本当…」


眩暈がぐらんぐらんに激しくなって、頭が重くて上げてられない。気持ち悪い。トイレへも行けない。動けない。吐く。やばい。


「おい、チャンミニ!」

「ぼ、僕店員さんに袋貰って来ます!!」


グラスや料理の皿が並ぶテーブル。ガチャンガチャンと音を立たせて無理矢理作ったスペースに突っ伏した。平衡感覚が無くなって揺れてるような浮いてるような。脳に酸素が足りない。ぼおっとする。


あ、ダメだ………



「……二人ともごめん……」





意識飛ぶ……




























































「チャンミニ、チャンミニ。起きて」

「……あ、ごめん……」


キュヒョンの声に瞼を上げると全然吐き気を感じない。気持ち悪さもなくなった。
相当寝ちゃったのかもしれない。迷惑かけたけどとりあえず良かった。早く帰ろう、ユノが待ってるかもしれないから。


「ごめんね……ちょっと最近考え込むことあってさ……」


頭を起こして髪をかきあげながらキュヒョンを見た。目が合うと、ふんわり肩を叩いてくれて、その優しさにほっとする。でも周りの様子がおかしい。様子がっていうか、場所がおかしい。さっきまでいた居酒屋の個室じゃなくて見慣れた事務所のミーティングスペース。


「……そっか。。えっと、、作詞いくつくらいできた?」

「ん?」

「俺の作曲したデモテープ鞄に入ってる?出して今かけていい?」

「……」


キュヒュンが僕の隣に来て鞄を漁ってる姿をただ見てた。よく意味が分からなくて。

それよりなんで居酒屋じゃないんだろう?
寝すぎて事務所に運ばれたのかな?
宿舎に戻らなかったのか?
ユノは心配してない?


「昨日は寝れなかった……?」

「……いや、寝たよ。ねえ、ユノは?」

「だははっ、せめて『ヒョン』はつけろよ!昨日打ち上げだったみたいだから、今日オフなんじゃない?」

「打ち上げ?」


なんか、違和感。そんなの昨日やってない。


「だって今日久々に会うんだろ?」

「は?」

「あれ違った?」

「誰と?」

「何言ってんだよ、2DAYSが終わったらユノヒョンと会うって言ってたじゃん。約束何時だっけ?それまでに頑張って打ち合わせ終わらせようぜ」


僕の鞄から僕に覚えのないCDを取り出したキュヒョンが、プレーヤーに吸い込ませて曲を再生させた。穏やかでしっとりした、秋の季節に似合うメロディライン。でも聴いたことのない曲。


「それじゃあ、歌詞見せてくれる?」

「……なあ、」

「うん?」

「……僕ら、居酒屋いたよな?」

「いつ?」

「さっき……」

「へ?……まあ、こんな真っ昼間から飲んでみたいなとは思うけどな……?」


部屋の窓へ視線を移して空の明るさを確認しようとした。でも心臓をぐにゃりと揉まれるような気味の悪い景色に、鳥肌が全身に駆け巡って膝が笑う。


「キュヒョナ……!!」

「な、何!?」

「空見てみろ!異常現象…!?」

「どこ!?」


僕が指を指してキュヒョンに見せたのは、異常な空。一面が、淡い緑色に染まってる。エメラルドグリーンの天空。


「何あれ……特殊なスモッグか何かか?」

「だからどこ!?」


気付かないやつがあるか!
キュヒョンの、真剣な瞳で外を覗く顔に嘘はないのに、じれったいほど分かってない。


「ちゃんと見ろよ!空が緑色になってるだろ!?」

「うん!で!?」

「は!?」

「それで?どこが変だって!?」

「おかしいだろ!?青くないんだぞ!?」


ぴたりと静止したキュヒュンがゆっくり僕の方へ顔を向いて数秒後、いきなり大笑いしながら抱きついてきた。


「あ~もうっ!!びっくりしたー、本当何かあるのかと思ったわ!チャンミニ演技うま過ぎっ。騙されたわ!」

「へ…」

「ふははははははっ。てか、よく考えたら、くくっ、、全然面白くねードッキリだな!」

「……」

「空が緑って……ぶっ、当たり前過ぎて、、逆に笑えるわっ。もういいから!打ち合わせやるぞ」

「……ねえ、ところで、さ」


空の話を止めたのは、それ以上に大事なことを聞きたかったから。


「なんだよ、もう。詞まだ出来上がってないの?そしたら連絡くれたら日程ずらしたのに」


よく考えろ。よく考えろ。
絶対おかしい。

キュヒョンの作曲?
僕の作詞?
打ち合わせ?


「これって、……二人で歌う歌、だよな?」

「当たり前だろ」


TOHOSINKIの?
何これ、どうなってるの。
そんな話出てもなかった。


「……」

「あ、ミノいなくてもやっぱギュラインってグループ名でいいよな?それ以外しっくりこないし」

「ミノ……」

「やっぱシャイニーやりながらスペクトラムにもギュラインにも関わるってもともと難しかったよな」

「スペクトラム?」

「うん、昨日の反応もまずまずらしくて、まあ、、良かったな?」

「……」


ギュラインはギュラインだ。
でもスペクトラムが何なのか分からない。


「あ……」


こっちがドッキリかけられてる?

やばい、なんか混乱してうまいこと言えないな。。


「ちょっと、トイレ……」

「……うん。いいよ、ゆっくりで」


妙に優しいキュヒョンに見送られて、部屋を出た。一人で無意識にレストルームへ向かいながら、頭の中を整理する。


「えっと、、、どういう状況なんだっけ……」


さっぱり分からない。
ちょっと記憶でも飛んでる?
いやそんなまさか。

あーでもないこーでもないって、なんとか思い出そうとうんうん唸っても居酒屋からの記憶がない。突然事務所のビルにいる。


「チャンミンさん、お疲れ様でーすっ」

「あ、おつ…かれ様です……」


通り過ぎざま軽快な女性に声を掛けられたけど、知らない人だった。


「……新しい社員さん、??」


なんかちょっと怖い。。まさかとは思うけど誰かのサセンかもしれない。
それにユノもマネヒョンもどこにいるのか分からない。
確認が必要だと思って、向かう先をレストルームからスタッフルームに変えて進んだけど、部屋の一歩手前に違和感を感じて足を止めた。


「…………何これ、、」


事務室の中にいるであろうマネヒョンを探したいのに、その前に飾られている各グループの宣材パネルに目が止まって、そのまま動けなくなった。


「……スぺ、ク、トラ……」


全然今まで見たこともないグループのパネルがあったから。なのに、そこに写ってるメンバーは皆僕の知ってる人ばかり。


「……ム?」


黒を基調に虹色の微かな色の帯を流した格好いい背景に、いかにも雰囲気を作ってる数人の顔が並んでる。
そして、ど真ん中には、


「スペクトラム?」


ユノ。


「…………は?」















何これ


気持ち悪い













本当に亀更新です。本当にすいません。
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