片割れ chap.9 番外編#1 チャンミンの平行世界











「ユノは煩いくらいにアイデアや意見を言うけど、チャンミンはけっこう無口だよね」





撮影関係者の、何気ない感想に気分が暗くなる僕はつまり、それを気にしてるってことだ。


「だって、、」


ユノはリーダーだし。僕ができないことも全部やってくれるし。僕は僕で忙しかったし。家に良くないこともあって体調も悪かった。


「……ちっ」


僕だってちゃんと意見はあるけどうまく表現できないだけで。ユノにははっきり言えるんだよ。喧嘩しても考えが違っても、必ず修復できる。絶対的な信頼感がある。
でもほとんどの人は、そうはいかない。だから神経質に、ひどく考えこんでしまう。




人に『伝える』って難しい





「…………」


何で。頑張ってるのに。


「……いや皆頑張ってるし……完全に被害者意識だな……」


ユノと比べて積極性が足りないと結論付ければ悔しくて。でも本当にユノはすごいと思うし、感謝もしてる。





重い足を引き摺って宿舎に帰ると、リビングはいつものように散らかり放題。重ねてた雑誌や新聞は崩れてるし、テーブルにはジャージャー麺の器とお菓子の紙くずと食べかす。洗面所やトイレのドア、何を探したのか棚の引き出しも開けっ放し。脱ぎっぱなしのパジャマと下着。ペットボトルにハンガーにトイレットペーパーの芯、またお菓子の紙くずに書類の束が床に広がってて。


「はあ…」


掃除は嫌いじゃないけど溜め息が出る。僕が散らかしたんじゃないけど、僕が片付けないといけない。この惨状をほぼ毎日巻き起こす張本人は、なんせ掃除が致命的にできない。


「こういう時は……」


スマホを開いて、カトクのギュライングループに予定を聞いた。飲み会ができるのは五日後になって、思ったより早い集合に少し気持ちが浮いた。














「「お疲れ様ー」」「お疲れ様でーす♪」


なんだか今夜は調子が良くない。今日初めて来たこの居酒屋の個室に入った時から、変な眩暈がしてる。

でも少し無理してでもこの場にいたいって思うのは、キュヒョンもミノも他の予定をずらして合わせてくれたらしいから。
申し訳ないけど、すごく嬉しい。


「で?何、またユノヒョンと何かあった?」


キュヒョンののんびりした声に、喉へ流していた焼酎が一気に逆噴射した。


「あ″あ″…!もう、、っ!!!」


ロングカーディガンに着いたシミはあまり目立ってないけどクリーニングに出そう。日本でユノとマネヒョンと久しぶりにショッピングして買った、僕のお気に入り。


「突然それを言うなよ!っていうか何もないって。僕はただ純粋にギュラインで楽しみたかったの、」

「仲直りなんかなんとでもなるだろ?一緒に暮らしてるんだし。ちょっとラブラブしたらすぐ元に戻るんじゃない?」

「は、はあ!?!?」

「『さっきはごめんなさい…。でもユノが好き♪』『もう気にしてないよ♪ちゅっ』とかやれば丸く収まるって」


僕のセリフを聞かず唾を飛ばしながら「赤くなってやんのー♪」と笑ってくるキュヒュンにイラッとする。ブラックジョークなのは分かってたのに、思わず照れてしまった自分を隠したい。


「つ、付き合ってるからって男同士でそんなんやるかっ。この前だってユノがあまりにも片付けないから、もう一緒に住むのやめようかって言ったよ」

「ひどっ!」「うわー…」

「ま、たまにね」


もちろん冗談で。なのに、そう言うといつもユノは大慌てですぐ謝ってきてくれる。その焦る姿に愛を感じてしまって、結局僕がハイハイ片付けるんだから、僕も悪いといえば悪いよね。。ユノが自分でやれるようにならないと改善しないのに。

僕の機嫌を取るためか飲みに行こうと言われたけどお断りした。そんなの受けてたら毎日ユノと飲みに行かなきゃならないし。

代わりに事務所総出のSMTライブに赴いたL.A.でのフリータイムは、今度こそギュラインで行動するからって宣言して、その場は納まった。
僕にとってはギュラインも一生の付き合いだと思ってるから。
なのにユノとの喧嘩でNYで夜通し一緒に遊ぶ約束をドタキャンした。それを挽回したかった。


しゅんとしたユノが数日後、宿舎に持って帰ってきたのは、なぜかベビーミッキーのキーホルダー。


『じゃあ、これつけて行っておいで。ディズニーランドにも行くんだろ?』

『まあ、でも行けたらで。先にナッツベリーファームの方行くんですよ。ランドはエクソの子達が行きたいって言うから。一気に行くと騒がれちゃうでしょ?』

『これで俺も一緒に居るつもりで~△×@\#……

『はい?』

『いや、つけて行ってよ。行かなくても雰囲気盛り上がるだろ。可愛いし♪』

『……。そうね。まあ、確かにいいかもっ』


これでNYみたいなことにならないんならと素直につけて出掛けたのに、戻ってきたらまたいつもの喧嘩が始まった。


『チャンミナ、ミッキー君もう外して…』

『え?君(くん)って…

『オギちゃんが対のミニーちゃん買って来てた……』

『あ~♪結局ディズニーランドも行ったんだけど、オギちゃんに会った時大好評だったんすよ~♪で、欲しいって言うから代わりにミニー買ってあげました』

『……。俺もミニーちゃん持ってたのに……』

『……は!?』

『もう意味ないじゃん、ペアだったんだぞ!』

『お、ぉ…、お!?だったら先に言ってよ!知らねーっすわ!』


オギちゃんはユノの専属スタイリストでTOHOSINKIのコーディネート総責任者で。ヌナだけど、いつも一緒に行動してるしサバサバしてて気が置けない。そして何より、彼女の選ぶ服装はユノに合ってて格好良い。ユノは緩い(ダボダボ…)服が好きだけど、オギちゃんがそうはさせなくて。協賛品を効率よくコーディネートする技術はやっぱりプロだなと思う。

いつも(ユノがひたすら格好良い)のお礼もあって「じゃあ、ミニーだったら……」って、買ってあげた。ユノからもらったものをあげたくはないし同じミッキーも嫌だったから。


『そんな言い方するなよ!お前が楽しんでる間に、後で一緒に食べようと思ってケーキ買ってきたんだぞ!』

『いやそれユノが食べたいだけでしょ!?てかダイエットは!?それにあんただって色んな友達とペアで色々いろいろイロイロ買うだろ!』

『ペアじゃないわ!お揃いだろ!』

『一緒だろ!!』

『あれ、、チャンミナが好きなのって、チーズケーキだったよな?甘くないやつ。それ買ったんだけど。。あれ、俺冷蔵庫入れたかな……』

『……冷えてなくても食べれるよ……。ね、食べましょう?』


ユノは本当、思考回路がいきなりぶっ飛ぶくせに、僕の好みを突いてくるからズルい。その日の喧嘩もすんなり終了してしまった。


『別に……別に…苺ケーキでも良かったのに……

『やば、どこ置いたっけ……あれ、まだマネヒョン持ってくれてるのかも!』

『……』




なので決して、ラブラブとか!今まで交際したきた彼女たちとの甘い雰囲気ではない!




「男同士なんだから。友達?兄弟みたいな付き合いだよ」

「いや完全に尻に敷いてるだろ……。ユノヒョン相手にすげーな」

「でも僕も制御しきれない時があるから。L.A.公演の時とか何言っても聞こえてなかったし」

「あー!!!……あれは……、恐かった、、袖で睨んでるユノヒョンが恐ろしくてさ、、何かやらなきゃいけない危機感に襲われて観客煽ったりなんかしちゃったもん……普段絶対やらないのに……」

「あっはっはっはっは!キュヒョナがやるなんて本当レアだっ」


そう、問題はその日じゃなくて翌日のことで。
会場入りしてコンサート会見前の準備中、二人でスジュのメンバーと楽しく談話してたのにウニョクヒョンの一言で、



ユノは理性を失った。


『前は全然敵わなかったけど、今はスジュの方がTOHOSINKIより人気あるステージもありますよ』

『……。お前、言うなぁ…』

『TOHOSINKIは昔は人気が凄すぎましたからね~』

『……ムカシ…?』


そこからのユノは、完全に血が昇って。僕でも他の誰かが話しかけても無言か頷くくらいで。そうかと思えば、突然後輩達に鬼の形相で「魂を込めて!王になったつもりで!」とか熱い発破をかけるし。ある意味NYの時より強烈だった。
実際、隣でパフォーマンスしたユノからは、湯気でも出てるんじゃないかってくらいの、または戦場に行くのかってくらいの闘争心。
ユノの勝負欲は凄まじい。


「ぶふっ…、皆、やべー!ってすごい気合入れて身を引き締めてんのに、、ふふ、チャンミニだけ通常運転で。さすがでございましたわっ」



誰かの一言で僕は落ち込んで、
誰かの一言でユノは燃え上がる。



まるで正反対だ。本当に面白い。


「だって怪我したくない。もう怪我は。こりごりだよ、ははっ」












僕たちは




あまりに正反対で


ゆえに完璧で















ふと考えた



















ユノのいない世界はどうなんだろ?



って































ありえないか。笑












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ホミンペン研究成果発表

(今回はギャグブログです、笑って許して頂ける方のみお願いします)










こんばんはー、りょうです♪




突然ですが、皆さん










謎はすべて解けました。(最古)





なぜホミンペンという分野があるのか。

今回は、ユノペンからホミンペンへと移行した事例をご紹介します。(適当)
















ユノはいいなあ~❤


いいなあ~❤( T∀T)














こんな舞台の王に、一瞬だけでも愛されてみたいっ!!!涙










無理だけど……、、



なんせ一瞬すら惑わせず、




長年深いご寵愛を受けてる人が、



隣に居るよね??( T∀T)






















この方です。←







くっそおおおぉ~~っ!

憎らしくも羨ましいっ!!!

草なんか食ってる場合じゃねーです!←違。


















被り物で変装したってバレてるんだからねっ!!(*`Д')








って……、、














それすら愛されとるやないか……っ。。(震え声)










なんなの、一体……



私達ユノペンはどうしたらいいの!?



( ゚д゚)ポカーン












「は~い、じゃビバルイやりますよー」
「仕方ねーっす…」



「そそ、仕事だからねー(↑目がマジ)」
「早くやって、次の曲いきましょう…っ」



「❤」
「!?ちょっ!!!」



「おわっ!」
「あんた何やってんだ!?」



「にゃははっ♪チャンドラ❤」
「……っ💢」










…………。。



















悔しいですっ!!!(古)



















きゃー❤ユノのマッチ棒よお❤









「マッチぽう♪」
スタスタ(歩)



「マッチぽう♪」
「うりゃっ」



「マッチ…!!」
ぼすっ(尻蹴)



「うおっ!(崩)」
「なげーです」























ユノさんだぞ?(斉藤さんだぞ?)











なのに……、


なのに、なぜ!?



(Whyー!?じゃぱにーずぴーぽー!?)←













「チャンドリ~❤」


「チャンミン❤」


「チャンミナ❤」


「チャンドラ~❤」


















愛されまくっとる。゚(゚^∀^゚)゚。












ふ…、ふんっ。

あれでしょ!?

ちょっとマンネで可愛がられてるとか思ってるんでしょ!?

そもそも可愛いってどーゆー意味か分かってるの!?(*`Д')




















ふあ…っ!




じゃ、、ジャンケンすら…!?



膨れっ面さえも!!?





……か、、







かわ……っ、、








……っ!!!


























可愛い……すごく可愛い……(惨敗)
















「チャンミンは~♪もともと歌も上手くてダンスも上手だけど、目に魅力があるんだよ❤バンビみたいにまん丸で、目だけで全部語れるコなんだよね。二重まぶたがはっきりしてるし睫毛は長いし女の子みたいだし♪この瞳に1度でもハマったら、抜け出すのが大変なんだよぉ~❤」←長い長い長い、マッチ棒の時より長い説明だしよく見てるし(どんだけ間近で確認したの)抜け出す気ないでしょ!?涙














い、いやいや、

そんなこと言ったって!

実際女の子じゃないから!!!























おいこら。(震)








どうなっとるんや。(激震)







あかんやつや、これ…っ(壊)
























性別も敵いませんでした。。
















……。。( ´_ゝ`)ごしごし…













よ、よし!

もういっかい、よく見てみよう!!


そうだそうだ!


ユノから一心に愛されてるのに!

そりゃヒョンなんて興味ないと思うけど!


チャンミンはユノにきつく当たり過ぎだよ!!もうちょっと優しくしてあげてよ!?


















……あ、れ…


……。


本当に目で語ってる……


それどころか後姿からも……


前からも……












……。
















サランで溢れてた……






















二人にどんな荒波がぶつかろうと、全方位から全力で応援させて頂きます!(ホミンペン完了)







という過程のもと、一部は新興宗教のような信者すら発生している模様です。

麻薬のような、豊潤な彩りを奏でるこのお二人に、くれぐれも注意するようにという分析結果が出ました。

皆さん、お気をつけ下さい。


(東方神起ホミンホ腐信者、りょう)









(画像、お借りしました)
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片割れ chap.9 #15











ユノの










震える声が詰まって


歓声が巨大に噴き上がって









一瞬見たユノの横顔を


驚いてもう一度確かめた後、




「……そう、か…」




僕はひたすら前だけを見つめた。






ユノの見る世界を見た。




網膜に

脳裏に

表皮に

細胞全てに、焼き付けた。








「そうか……」





今、目の前の、この光景が






「今ホントにめっちゃ嬉しいです…っ。今日。ここにいる皆さんと。一つになれて。今日本当に気持ち良かった、今日本当にありがとうございましたあぁーー!!!」






これが、ユノの最高の瞬間









そして、僕の夢






「ありがとうございましたあーっ!!」







夢が、叶った。















「もう…っ、何なんですかあれはーっ。聞いてなかったですよー!」

「あはは!サプライズで一斉に点灯してもらえるよう、客席に白いペンライト持っててもらったんだよ。ユノ感動した!?」

「いやもう、ダメっすね。何か、本当ジーンときちゃって…っ」


皆、ユノが泣いたユノが泣いたって。
ユノ良かったねユノ本当に良かったねって。
肩や頭や背中を撫でられたり抱き締められてくユノを、ずっと眺めてた。
ユノは皆と話してそこから動かなくなっちゃうから、いい頃合いで背中を押してシャワー室に誘導しないといけない。


「チャンミンも泣けば最高に盛り上がったのになーっ!!」

「僕も泣きたかったんですけど涙が出ませんでしたね」


もらい泣きしたSAMさんに笑って返せば笑い声が起こって、また皆、タオルや指先で目頭を抑えて。
僕は泣けなかった。涙で滲んで初めて見るユノの姿を歪めたくなかったから。


「チャンミン、クールだなぁ」

「どうしても泣けませんねーっ」

「「あははははははっ」」














知っていますか



ユノの涙の重さを。





僕は知っています。

誰よりもユノを見つめ続けてきた。






そのユノが








やっと、





「長い道のりだったな……」



「なが?チャンミン何?」

「……。ライブが長くて疲れましたあ。体がボロボロですっ。さあ明日もあるんで帰りまーす♪」


ユノの腰にぽんぽん触れると、それが始点となってゆっくりユノが歩き出した。目の赤いユノが、白い歯を見せながら。
前を向いて。
降り続けた黒い雨の後の、晴れ晴れとした黄色い夜明けのような空気で。


「だはははは!チャンミンもっと余韻に浸りなさいよっ!」

「あー、あんまり必要ないと思います」

「冷たっ!!!ユノ!チャンミンがクール過ぎるよ~っ!」


だってユノはもう、また前を向いて踏み出してる気がした。また新しい道のりを見てるような。そんな、感じ。


実際するする、あはあは笑って進むユノは、後ろを振り返らずに真っ直ぐ帰り支度を済ませに行った。あまりに軽やかなその背中に置いて行かれそうで。シャワー室から出た後、僕も居るよってことをちゃんと思い出して欲しくなった僕は、後ろからユノの首のツボを揉みながら横に並んだ。キュヒュン以外の誰からも好評な上目遣いで目を合わせて。


「ユノヒョン、本当にお疲れ様でした」

「……やっぱ猛獣使い?」

「……はい?」

「首根っこ掴むから、大人しくさせようとしてるのかなって……」

「いや、マッサージしてるだけですけど…ユノだって別に暴れてないし…」


あそっかーって、豪快に笑うユノに力が抜ける。それでも首を揉み続けてると、ユノは気持ち良さそうに背中を丸めて伸びた。確かに大きな猫みたい。いや虎だな。
虎が僕を抱いて包んだ。でも体重をかけてこないから全然重くない。
優しいんだ、この虎は。


「もうマッサージいいよ、チャンミナ。お前も疲れてるのにありがとね」

「……ユノ、僕ね……」

「ん?」


ユノと歌って踊ることがひたすら楽しかったけど。


今日、ユノと歌って踊ったことは、


「……っ。ビール飲みてー!あ~本っ当に疲れた!ビールビールビール!!」

「あははははっ、よし、行こうっ♪」




ひたすら嬉しかった。





「あ~、今日本当恥ずかしかったぁ。泣いちゃったよ、俺」


廊下を歩く少し俯いたユノが
嬉しくて、嬉しくて、


「うん、本当に良かった」

「お!っと!」


背中に飛びついて、ユノの分厚いコートの縫い目に雫をそっと埋めた。














その後の京セラドームでも楽屋で泣いたユノに、やっぱりまた新しい夢を追い出したんだなと確信した。

僕はまた、その夢をかじって生きる。







そしていつか、












そうだな













ユノが馬鹿みたいに
ステージで号泣する姿を見てみたい。










ありがとうございました。亀更新で申し訳ありませんでした!!!うまく当時の世界へ入り込んでいるか不安ですが、できる限り注意を払って進めました♪ポチにコメント、非常に勇気づけられました。本当にありがとうございます。次はー、番外編?の予定です。。゚(゚^∀^゚)゚。←安定のノープランです(ドヤッ)
片割れ9
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片割れ chap.9 #14











何かが開きだしてきた感覚を残したまま、東京ドームの二日目を迎えた。
気持ちよくすっきりとした朝の目覚め。


「ふぅー、、よし、十時か」


スマホで時間を確認して、受信したメールに返信を返している間、自室の壁越しに、リビングで数人談笑してる声が聞こえた。マネヒョンとスタッフさん達の声。
チャンミンの声は聞こえないからまだ隣の部屋で寝てるのかなって思いながら、パジャマのまま自室から出て皆に朝の挨拶をした。


「ユノ、ちょっとは何か食べてドーム行くだろ?ケータリング食べるの夕方になるぞ」

「ん、そうする」

「じゃあ用意するからチャンミンも起こしてきて」


寝顔を見るのは好きだけど起こすのは不機嫌になる率が高いから嫌だなぁ。

ノックもせずにチャンミンの部屋に入って、そのまま静かにドアの鍵をかけてから、こんもり膨れた布団の中に進入した。あったかい。いつもある、チャンミンの匂い。と、体の形をまさぐって腕ごと抱き締めて確認した。すると首もとから、すん、と俺の匂いを確認する鼻の音と背中に回される手。


「……チャンミナ」


何かが閃くように、心が震えた。


「んー…、、!ちょっと…!」

「アンニョン」


大きく見開かれたチャンミンの瞳に、俺が映るその小さな球体の世界に何かが見えそう。それが何か知りたくて食い入るように見入ってそらせない。


「アンニョンじゃねー!何やってんの!?皆いるでしょう??」


押し殺して焦る声のチャンミンががばっと起きあがって、俺の不思議な体験は終わった。

惜しかった。


「お前起こして来いって言われたんよ。ちょっとくらい大丈夫じゃろ」

「…ふふ、ユノ、方言」

「……。え、出た!?」

「うん」


都会人に方言を指摘されると恥ずかしい。光州人に標準語を指摘されると恥ずかしい。上京した田舎者あるある。
昨日金羅道の方言を久しぶりによく喋ったから抜けづらくなってるのかも。


「おじさんとは……よく話せた?」

「うん。悪かったな、チャンミナも一緒に連れてってやれなくて」

「いや、全然……」


枕の上にゆっくり戻ってきたチャンミンの頭を撫でて、左右の瞼にキスを落とした。唇から眼球がきょろきょろ動いてるのが分かって、なんだかそんなとこまで可愛い。
不安だよな、心配もしてくれたんだろうな。


「でも、なんか、父さんは大丈夫な気がする」

「え?」

「ペンの皆を大切にってさ♪」

「へえ。そう…」


いつか皆が。
笑って、祝福してくれるような未来が。
見えるような。


「……もうちょっとで、なんか悟りが開けそうなんだよなあ~!」

「あ~……、受胎告知でも受けた?おめでとう、ユノ♪」

「違うわ!てかそれなら俺よりチャンミナ、、じゃ、ん……、、」


じゃれた空気が一変。痛みを感じるほどの白眼視が突き刺さって動けない。チャンミンの目力は輝きも恐さも世界一。そんな目が鼻で笑う。


「……それって僕が受け入れる側だから?ふっ、……ヒョンもう起きるよ」

「おいチャンミナ」


セミダブルのスプリングを使ってベットから抜け出したチャンミンは、トレーナーとスウェットを力任せに脱いだ。綺麗な肌と細い線と程良い堅さの筋肉を晒しながら、無言で荒々しく私服を選び始める。
やばい、逆鱗に触れたみたいで相当機嫌が悪い。


「あんたね」

「はいすいません……」

「何が?」

「いや、えっと、お前怒ってるだろ…?」


怒りながら呆れて短い溜め息をはっと吐くチャンミンって見たことある?
凍るよ、マジで。。


「……僕が受け入れるのは、、別に趣味じゃない……。今だって女の子が大好きです」

「………だよな…。ごめん。いや、そういう意味じゃなかった。ただマリア様ならチャンミナだなって思って」

「……何それ」

「綺麗で、可愛くて、格好いい。最強のマリア様」

「どんなマリアだ馬鹿っ」


本当仕方ないなって笑って服を身につけるチャンミンをほっとして見続けた。下半身は朝勃ちで少し膨れてる。
チャンミンだって男なんだから男として生きたいよな?でも俺なんだ。俺がその性能を奪ってて。代わりに一生懸命に愛するから人生をくれなんて、傲慢なのは分かってるけど。
それでもチャンミンが必要。
俺には。絶対的存在。


「おーーい、飯できてるぞー!チャンミン起きたー?」

「ほーい」「あ、はいっ」


スタッフさんの呼ぶ声を聞いて、ベットから出た。


「ユノだから」

「ん?」


もう鍵を外してドアを開けかけた自分の背中を振り返った。
肩越しの恋人は周りの空気を浄化さえする清潔な存在感。慈愛と色っぽさがこぼれる不思議な微笑で俯いる。
何だろうな、心が綺麗なんだろうな。性別をも飛び越える強さと美しさが、控えめに光る感じ。


「……あんただから、僕は進んで受け入れてるんすよ…っ。ペンだってユノだから支えてくれるんです。それを忘れるなっ」

「…………」


力の加減を忘れて閉め戻したドアが大きく音を立てた。その扉にもたれ掛かってチャンミンを引き寄せて。あとはもう衝動のまま、チャンミンの顔を掴んで押しつけるキスで舌を差し入れた。後頭部のすぐ向こう側から「なんだー?」「チャンミンの部屋?」「ユノ?何?」って色んな声が聞こえる。


でもお願い、少しだけ。

胸をばんばん叩く力が強烈で、本当少しの間で離れてしまったチャンミンに焦れる。俺自身は完全に勃ち上がってチャンミンの太股に押しつけた。


「ちょ、落ち着いてっ……ユノ、ね、ユノ…」


暴れだしそうな何かが今度は性欲に形を変えて現れた。


「……ふう、、ごめん……頭バーンってなっちゃったわ…」


何だそれ、とくすくす笑うチャンミンとドアをこんこんノックして心配するマネヒョンの声に挟まれて、急速に頭が冷えてくる。微かに、耳に手を当てて囁くチャンミンの声が気持ちいい。


「僕も勃っちゃうから。ね、優しいのにしよ?」


そう言って宥めるようにふんわりキスを返してくれるチャンミンは、やっぱり格好よくて優しい最強のマリア様だと思った。いや猛獣使い?手なずけられ感半端ないのに、それすら心地良いんだから。


「さあ、ステージの王、行きましょう?今日も皆待ってますよ、ね?」


次は従者のように俺の腰を柔らかく押して、腕をさあと促すように伸ばすチャンミンに、俺は絶対適わない。ポッケに突っ込んだ手でさり気なく股間を押さえながらチャンミンの部屋を後にした。



















だから俺の中にはそのまま何かは続いてて



開きだしそうな、閃きそうな、見えそうな、悟りそうな、暴れだしそうな。そんな、何か。












「じゃあ、今日も盛り上がっていきましょう!!!」

「「「っしゃあーーっ!!!!」」」


それでもいつも通り目を閉じて。

昨日も明日も考えない。

今日限りのユノ・ユノになって。


俺の力で、エネルギーで観客を魅せよう。



そう思って舞台に立ったのに。







「「「アンコール!!アンコール!!」」」


ライブ終盤、振り返った先の、ドーム一面のホワイトオーシャンを見た瞬間、


「……あ」


それが咲いた。




「あ……」





白いフラッシュバック。





光州の小さな公園
楽しい仲間
厳しい父さん
母さんのひたすら柔らかい声
光州一綺麗なジヘは、
実は男勝りだって言っても誰も信じない
寂れた電車の風景
金はない
野宿するソウル駅は寒くて恐い
頑張っても抜かされていく、
鏡に写るダサいジャージ
寒い
寂しい
辛い
暑い
お祖父さんのサムズアップ
金がない
ひもじい
暗い高架下を歩くシューズは紐が解けてる
安くて美味しいハンバーガー
汚い雑魚寝の宿舎
汗で濡れたダサいタオル
熱い怒り
悔しい、またあんな奴に抜かされて
チャンミン?お坊ちゃまだな、辞めちまえ
デビュー、本当に?
本当に?
揃ったメンバー
TOHOSINKI
ついに。俺がまとめなきゃ
俺についてこい
仲良く
仲良くしろよ
お互い理解しあって
喧嘩もするけど最後は仲直りだ、俺たち
良い
うん、本当に良いグループ
ペンとペンとペン
人気
貯金箱代わりのペットボトル
携帯にサセンから送られきた宿舎内の画像
知名度
受賞式で呼ばれる快感
アジア進出
レインボーブリッジが綺麗な日本
読めない店のメニュー
中国、タイ、また韓国へ
忙しくて歩きながらたべるカップ麺
笑えるよなって皆で笑ったご当地もの
点滴を打って背負われながら進んだ空港のロビー
気持ち悪い固まったオレンジジュース
TOHOSINKIのブランド
まだいける
もっと上へ
誰かの小さな愚痴
不満
俺がまとめなきゃ
訴訟
怯えて寄り添ってくるチャンミン
俺が守らないと
勝手に進んでいく最悪な状況
嘘だ
あり得ない
チャンミンと話し合って感情がこみ上げたリビング
俺は愛されていますか?
泣かない、ここじゃない
帰ると三人分の荷物が一斉になくなってた宿舎
大晦日の次から予定のないスケジュール帳
部屋から出てこないマンネ
歩き疲れて飲み干した水
恐い
暗くて寂しい冷蔵庫だけの灯り
まだやれる?チャンミン?
二人でやってみる?
済州島の砂浜
チャンミンの、マリア様のキス
特別なマンネ
やれるよ、未来と暗闇の海を見つめて
チャンミンに投げつけられた鉛入りのバック
張り上げられる憎悪しかない言葉
待ってくれてたペンの歓声
二人ならできる
チャンミンが好き
全部投げ捨てられた調理器具
チャンミンが怒りまくった記念すべき再始動
大好きなひまわり畑
恋人になったスペインの夜
身体を繋いだ夏の終わり
レッドオーシャンと花火
熱い熱気とペン
楽しい
嬉しい
俺が生きるのはステージ

マディソン・スクエア・ガーデン
アメリカ、中国、タイ、マレーシア、日本、台湾、韓国
マイルが貯まるカード
二人で
溶ける肌の水音
たった二人で
喧嘩して
力任せに抱き締め合った息苦しさ
笑いながらキスするソファの上
セットリストを何度も変更して雰囲気の悪いスタジオ
二人で食べるインスタントラーメン
横浜のステージの擦れた傷跡
別々のスケジュール
痩せたチャンミンの軽い足
チャンミンのお祖母さん
俺のお祖父さん
サムズアップ
サムズアップ
「支えてくれたペンにしっかり返せ」
ユノ図書館の前で笑う子供達の白い歯
父さんの格言を思い出した焼き肉屋
二人でも埋まった東京ドーム
二人だから待っててくれた人達
今、目の前のホワイトオーシャン







「……そう、なんだ……」




今目の前にいる人達は、今まで俺が歩いてきた全てを支えてくれたんだ。
これから俺がしなきゃいけないのは、もらったものを返すことなんだ。
その先にあるんだ。
俺とチャンミンの未来。
TOHOSINKIの未来。




「そうか……」





俺にとって、哲学的な悟りだった。



「俺と似合わないし……」




でも、人生最大の








確かに感じる









最高の瞬間







「今日は本当に……意味のあるステージだから……っ、、」




隣にはチャンミン。

目の前にはTOHOSINKIを応援してくれる人達。





『お祖父さん。俺が本当に最高の瞬間だと心から思えた時、その時にまた、泣きます』






もう、涙を堪える理由は、

















何もありません。










片割れ9
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片割れ chap.9 #13

(注意)金羅道の方言を広島弁にがんがん置き換えています。ユノのイメージに合わないと思われる方もいらっしゃると思いますので、ここでご了承してお読み下さい。

















「ユノ、お疲れ様」「お疲れ様」

「お、ありがとう」

「おじさんおばさん、今日は来て頂いて本当にありがとうございます!」


俺が父さんと母さんと話し出すと、すかさずチャンミンも寄って来てくれた。


「……おー、チャンミン君。先月は残念だったね……本当に頑張ったね」

「はい。おじさん達からもお心遣いを頂いたようで。恐縮です」

「当たり前じゃないか。さっき君のお父さんにも言われたよ。気にしないで」

「……お疲れ様……」

「……はい、おばさんありがとうございます。今日韓国から来て頂いたんですか?雨で冷えませんでしたか?」

「ううん、大丈夫よ……」


あれだけ拒否されたのに、チャンミンは丁寧で深いお辞儀を両親に捧げてくれる。気まずくならないように気遣いを見せてくれる。
このコは、いい子。本当に。


「父さん達ちょっと待っとれる?チャンミナと皆でご飯でも食べれたらええねって言おったんじゃけど」

「うーん。シムさん達は帰られたし、わしらだけでってわけにはいかんじゃろ。ユノらも明日があるんじゃし。母さんも疲れたみたいじゃけー、一旦ホテルへ戻るわ。もし大丈夫そうなら、後でわしとユノだけでちょっと行かんか?」


振り向いてチャンミンを見ると、こくこく頷いて、こっちは気にしないでと目で合図してくれた。


「じゃあ僕、マネヒョンに送迎頼んできます。僕はスタッフさん達と食事して宿舎に戻ります」

「悪い。じゃあ、そうして。遅くならないようにするから」

「はい」


テキパキと手配をしてくれるチャンミンに任せて、シャワーを浴びて帰り支度を済ませた。マネヒョンの車に乗ってホテルを経由してから焼肉店の個室へ入ると、肩の力が少し入った気がした。父さんとサシでご飯食べるのも久しぶりだったし、日本で、なんてなかったから。

チャンミンの話題を出すべきかどうか悩みながら、頼んだ焼酎とお茶がきたところで、二人だけの乾杯をした。


「ユノヤ、お疲れ様」

「父さん達もわざわざありがとう」


地元の近況と自分の近況を伝えあって、でもどうしても気まずくて口ごもる。肉の焼ける音でその場を凌いで、神経を焼き加減に注いでしまってたから、初め父さんの喋りだした単語の理解できなかった。


「ユノ、単刀直入に言うぞ……」

「……おう」

「……病院、行くか?」

「……?うん?」

「お前とチャンミン君のそれは、、一種の精神病みたいなもんじゃないか?」

「…………っ」


突然頭を鈍器で殴られたような衝撃。の後からの、激しい怒りに支配されそうになった。閉じ込めるのに負荷がかかって、胸筋が盛り上がるのが分かった。


「……違う……そんなの必要ない……」

「二人に強い絆があるのは分かるんよ。それは親のわしらが一番よお分かっとると思う。でもあまりにも深過ぎて、お互い勘違いをしとるだけなんじゃないか」

「少なくとも俺は違うよ……」

「じゃあ異常だと自分でも思うじゃろ。悩むこともあるじゃろ」

「でも決めたことです」

「長男としての後継ぎの責任は?」

「……それは、今は分からない……」

「考えんでも分かるじゃろ!?」


麻痺したようにぼーっとして思考回路が回らない。目の前の肉がぶすぶすと焦げ始めてるんだけど手が動かせない。乾いた唇の中で、舌を噛んだ。


「どうしてもわしらは受け入れられんよ……」







暗い。



チャンミン、ここは、






暗い。








「……病気なんかじゃないです」



軽蔑されてる。
縁も切られるかもしれない。
でも何があっても俺が戻れる人はチャンミンだから。それは天と地がひっくり返っても変わらない場所だから。

チャンミンが、宿舎で待ってる。


この世で最も尊敬する父親に向かって、昔教えて貰った言葉を、最大級の敬意を込めて、放った。最高に格好いいと思った言葉。










「これは。恋です」




「…………」






丸焦げになったカルビを取って口の中に入れた。苦さが妙に際立って、喉を通っていく。新しい肉を慎重に焼いて、父さんの皿にそっと乗せた。
何を言われたって、憧れの人に変わりはないから。それだけは伝わって欲しい。


「…………」

「…………」


時計を確認するとまだ一時間も経ってない。長い沈黙。話したいことは、終わってしまった。


「ユノが、」

「…はい」

「昔ソウルへ黙って行ったことがあったろ……」

「え、、ぁ、オーディション…?」

「うん」

「……違うじゃろ。あの時ちゃんと置き手紙置いて行ったわ、」

「そうじゃったかいの?」

「そうよ」

「そうかぁ、でもあれは正直、堪えたのお……」

「え?」

「母さんにも言えんかったけどの……」

「……」

「あんな思いは二度としとおない。。じゃけえチャンミン君ともTOHOSINKIとも離れろなんて今さら言えんわ」

「当たり前だろ!!!」

「落ち着けえや!!…ちょっと、これ見てみい。マネージャーさんからのメールをプリントアウトしてきたんじゃ」


父親の気持ちを分かりたい気持ちと、何よりも大切なものを守りたい気持ちとこんがらがって混乱する。
でも一歩ずつ、半歩ずつでもこうやって話が出来ることに感謝しないと。

何とか心を平らにすると、父さんはごそごそと鞄から一枚の紙を取り出した。手渡された記事のような文と画像を見てすぐに中国のペンカフェのものだと分かった。


「あぁ…、これね!」


今度は自然と嬉しくなる。写真の子供達は笑顔いっぱいに笑って、『MY YUNHO』と書かれたペンカフェ名の小さな旗と一緒に写ってた。ペンの皆が中国辺境の小学校に俺の名前をつけて建ててくれた図書館の記念写真。事務所にも来てた、報告とサイトアップの許可を求めた資料と手紙をもう一度読み返した。


「お前の夢が、こうやって誰かを動かして、子供たちを助ける力になるなんて。ユノは今とても意義ある事をしとるんよの。始めの頃は、想像もしてなかったんじゃけど……」

「ああ、ありがとう…。チャンミンと待ってくれたペンの皆が居てくれるから、ここまで頑張れたんよ。それは分かってくれるじゃろ?」

「当然じゃあ。ただ……親としては絶対認められんし、信仰者としても認められん。でも二人がやっとることは誰かの力になっとる。今日の舞台も立派に努め上げて本当に感動した。それは絶対間違いじゃない」

「うん、今はそれだけで嬉しい。……」


いろんな感情がごちゃ混ぜになったこの複雑な気持ちを、お互いすぐには理解できない。ただ親の望むように生きられなくて、ごめんなさい。今まで散々悩んできたけど、どうしてもチャンミン以外考えられない。この道を決めた時のように。


「だから嬉しいんなら!…その気持ちを、…支えてくれたペンにまたしっかり返しんさい。……もしいつかチャンミン君との事を認められる時が来るとしたら、それは必ず二人のペンの方達の力が必要だからな?初心を忘れんのよ、お祈りを毎日欠かさず、向上心を無くさずにな?」

「…………あ、りがとう」

「……チャンミン君はしっかりした頭のいいコじゃけえ余計に申し訳なくて……お前だけじゃない、わしらだって苦しい。苦しいんよユノ……。どうすることもできんけど、ただずっと、朝起きて、お前のために祈る。ちゃんと見守っとるけえの……」


そっぽ向いた父さんはぽつりと。チャンミン君のご両親に何か言われたらすぐ言いなさい、頭を下げに行くから、と。


「……父さんってやっぱり格好いいのお。俺が女の子だったら二秒で惚れるわ……」

「はぁ~、、人が真面目に話しょおるのに。。お前本当分かっとるんか!?」


俺も真面目に言ったつもりなのに肝心の返事を違ったようで、最後はまた頭を抱えてしまった父さんだったけど。

まだ何も。むしろこのままずっと、コノママかもしれないけど。






何かが開き出してきたような感覚がして






マネヒョンの迎えに来てもらったバンの中に心配そうな顔してるチャンミンまで一緒に来てて、ひたすらふざけて誤魔化した。


「お帰りなさい……」

「ただいまーっ。ふぅ……、、『俺の胸が!チャンミンしてるよ!?』」

「……」「……」

「『ユノのユノが、チャンミンしてるよ!?』」

「……チャンミン、ユノ酔ってるか?」

「さあ…」

「あはーはーは!これ本当に面白いなあ♪あ!苺食べたい!アイスでもいい!」

「ユノ煩いっ!!」

「『マッチぽう!』」

「ヒョン、沸いたか……てかそれ飽きました…」

「…やっぱり、、じゃあ『俺の胸が、ワイルドだろぉ!?』」

「……分かりました。コンビニね?行きますからね?マネヒョンよろしくお願いします」

「本っ当面倒くさいなーっ」

「にゃはは♪」


しんみりしちゃうと、この勢いでつい格好つけたくなってしまうから。面と向かってチャンミンに一世一代の告白してしまいそうだったから。父さんの格好いい格言を受け継いで。









『恋は、お前が一生懸命に愛してあげられるただ一人のためにある言葉だよ』










なあ、チャンミン







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片割れ chap.9 #12

(注意)全羅道の方言を広島弁に置き換えています。ユノのイメージに合わないと思われる方もいらっしゃると思いますので、ここでご了承してお読み下さい。























______A friend.side______








僕の幼なじみはいい奴です。いい奴で、でも面倒くさい奴でもありました。

僕たちのよく行く公園で、彼はダンスを披露していました。そうかと思えば歌ったり。
僕はその間ずっとそれを見てなくてはいけませんでした。
バスに乗ってもステップを踏んで、「恥ずかしいけーやめえよ」と言っても「好きじゃけえ、とまらんのよ」と笑って止めません。電話してきては歌を聴かされ、俺の歌はどうかと聞いてくる。「お前には恥ずかしいとかないんか」と聞くと、「すごい恥ずかしいんじゃけど夢じゃけえね」とまた笑い声が返ってくる。

ある日、ソウルへ通い出した彼からいつものように電話がありました。また歌を聴かされるだろうと思って出ると、彼は泣いているようでした。


『あまりにも辛すぎる……』


金もない、友達もいないソウルで、途方もない夢を追いかける彼に、僕は帰ってこいと言いました。
いつも笑って、友達思いで、皆の輪の中心だった奴が落ち込むなんて似合わない。だったら戻ってきて、また一緒に皆でつるもうと提案しました。
でも彼は絶対諦めないと言うのです。
僕にはそれ以上、どうすることもできませんでした。

結局僕は何の助けもできないまま、彼は立派に芸能界デビューを果たし、スターダムにのし上がって成功をおさめました。それでも高飛車になることなく、忙しい時間の合間をぬって地元の僕たちによく電話をよこしてくれました。彼は本当にいい奴なのです。

そんな彼に、彼の存在自体さえ否定される大騒動が起こったことがあります。韓国中、いやアジア中が彼を非難していたのではないでしょうか。


「あんなにいい奴が……」


今度こそ僕たちが助ける番だと思いました。
何度も彼に電話し、彼を説得し続けました。慰め、同調し、『お前のことを分かって助けてくれるのは光州だ』と。
僕自身も興奮し過ぎて、『一般人も楽しいぞ』とか、『なんだったら一緒に店でもやるか』とか、そんなことまで言っていたと思います。



それでも彼は諦めると言わなかったのです。
泣くこともしませんでした。


『チャンミンが居れば、やっていけると思う……』


僕はその時腹立たしささえ感じました。どう考えてもやっていけるレベルじゃない。あれだけ言われもない悪意に晒されて、あれだけ真実を分かってもない不特定多数の人間に罵倒されて、それでもマンネと再起したいと言う彼が、無謀な道へ向かおうとしてるとしか思えなかったのです。



でも彼らは、また立ち上がったのです。
それはもう、奇跡を見ているようでした。
人間やればできると、彼らの行動すべてが物語っていました。



だから僕もこの目で確かめたかったのです。彼から招待された日本のライブツアーチケットを握って。
 




「「TOHOSINKIです!!!」」


ステージ上にいる友人は紛れもなく楽しそうで、嬉しそうで、格好よく。光州の小さな公園で踊って歌っていた少年の時より、前のTOHOSINKIだった時より、何千倍も大きく光っていました。

そして本当の意味で、隣に寄り添い、彼のことを分かって助けられるのは、









「チャンミーーン!!!」







僕なんかではなく、光州でもなく、ステージで彼が高らかに呼ぶその人なんだと、痛感しました。

















「おお!!わざわざ日本まで来てくれてありがとう!!」

「僕の方こそありがとう」


楽屋で彼とご両親と挨拶した後、彼にこれだけは伝えなければと思いました。


「でももうチケットも旅費も用意してくれんでええけぇの」

「……そっか、」


二人のパフォーマンスは、僕の何かを確実に刺激し、明日への希望にさえなるような、そんな力があったからです。





「次からは、ちゃんと自分でチケット買って、自分の金で観に来るけえの。お前らのチケットなんてもう取りにくいと思うけど……、なんとか頑張って自分で取るけえ、お前もこれからも頑張れ!」


彼は大喜びで抱き締めてくれました。
僕ができる手助けは、始めからこれだったんだと、この時やっと気付きました。


「あああ~、サランヘ!!!」

「僕もサランヘ!!!チャンミン君となら絶対大丈夫じゃっ!!」


別れる時、また昔からの癖で、何かあったらいつでも光州へ戻ってこいと言ってしまいました。すると彼はまた、絶対諦めないから大丈夫と、笑って見送ってくれました。






純粋で、ひたむきで、目映いほどに真っ直ぐなその友人の名前は、チョン・ユノといいます。























______Jung Yanhyon.side______










「優勝すれば賞金が出てお金を稼げるから。お願いします!!」


家計を少しでも助けられる人間になりたいと言われて参加を許可した、光州の小さなダンス大会から『ユノ』は始まった。
それは立派な心がけで否定する要素もなかったのに、優勝して地元で少し有名になってくると、今度はソウルの大手芸能事務所が開催するオーディションにも参加したいと言い出した。そんな息子に正直、チヤホヤされて欲が出たんだなと、感じた。

祖父と一緒になって猛反対した。本当の夢が見つかったとか、人に楽しんで、感動してもらえるようなことがしたいとか、御託を並べるユノに、大人げない言葉をぶつけた。


「お前程度の人間が芸能人になんてなれるわけなーじゃろ!?もう少し頭冷やせーや!」

「中学生のお前にはまだよー分からんかもしれんけど、現実はそんなあもーないんよ」

「勉強から逃げとるだけじゃないか?」

「大道芸みたいなことが夢なんて、恥ずかしいこと言うなや!」


ユノを絶対に許さなかった。
許すことで大事な息子の人生が曲がってしまうと信じてたから。



そうすると。


「お、お父さんお父さん!!!」

「?」

「ユノが、おらんのじゃけど……オーディション、受けに行ったんじゃないんかいね……?」

「……」





ユノは黙って家を出ていった。



「……母さん、落ち着きんさい。どうせ落ちてすぐ帰ってくるわ。男なら、こんぐらいの挫折は味わわせてやった方がええんかもしれん」


でもユノはそのオーディションに合格した。
だからといって、はいそうですかと大手を広げて応援なんてできない。
いつか挫折する日が来る。

ユノに、一年間は経済的な支援はしないからなと宣言した。


「……お金とか、、本当に大丈夫かいね?」

「大丈夫じゃろ。そもそも遊びょーるようなもんなんじゃけぇ。一年で苦労を味わって光州に帰ってきよったら、しっかり身ぃ入れて勉強するようになるじゃろ」


練習生になる、学校も行っている、バイトをして頑張っている、デビュー選考に参加できるようになってきた。光州とソウルを行き来しながら、少しずつユノの言っていた夢が形になってきて。

ユノの本気を見た。



私が絶対許さなかったように、
ユノも絶対諦めなかった。


私と似て、本当に頑固だから。ユノは。


こうと決めたら、これ他なしと、貫き通すから。ユノは。












*****





「チャンミンと一緒に、生きていきます」


「…………。愚か者が…っ……、、」

「ユノ、お前……自分の言ってることは、、分かってるのよね……?」

「……母さん、…迷惑ばかりかけてごめんね」

「……ジへには、、…何て言ったらいいの……」

「…………、任せる」






*****










そしてユノの決めた『これ他なし』


は、




本物だから。






片割れ9
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片割れ chap.9 #11

















______Y.side______









ステージの上で


チャンミンの目を見れば、分かる



チャンミンが





つらいのか


楽しいのか


苦しいのか


嬉しいのか


















______C.side______









ステージの上で


ユノの声を聴けば、分かる



ユノが





つらいのか


楽しいのか


苦しいのか


嬉しいのか

















ユノがメインステージで寝そべってた。片腕を天井に向かって上げて、照明の光を掴みたそうにしてる。誰も近付いてこないことをいいことに、僕が近付いてユノを見下ろした。


「緊張してる?」

「大丈夫。でも、少しだけ」

「……三年ぶりだもんね」


東京ドームは初めてじゃない。
むしろ初めてじゃないから、余計。


「……いや。新ネタがウケるかなぁって」

「はい!?」

「『午後の紅茶』を午前に飲んでやったぜ。ワイルドだろおぉぉぉ!?」

「ぶっ…ふふふっ。いや悪くないっすよ♪」

「あ、そう?」


ほっとした顔のユノが可愛くて。いや格好いいんだけど、やっぱり可愛い人だと思う。


「そう言えば、映画の監督さんがすごくチャンミナのこと褒めてるってマネヒョン喜んでたぞ?よく頑張ったな?」

「あ~…、あのおっさんダメだ。僕はアーティストだって言ってるのに、未だにアイドルアイドルって言うから」


「お前照れ隠しかー♪」ってユノが笑って、僕も図星を言われてまた照れ隠しで笑った。


「そうだよな?アーティストだよな?」

「そうっすよ。行きますよ、もう始まる」


ユノの上げてた手を掴んで、反動で起こした。ユノは無駄に格好着けて着地するから、やっぱり笑っちゃう。






「よしっ、じゃあいくぞ」

「はい」




























______SooYoung.side______









痩せて疲れきった表情で日本へ戻っていったオッパが心配で何回かメールを送ったけど、オッパは私や家族皆のことばかり気遣ってきて、自分のことは心配ないからと何度も同じ返信をよこした。ただ、東京のライブに来た時、僕の恋人に会わせたいっていうメールは、お祖母ちゃんのいなくなった私たち家族の中の、唯一明るい話題になった。照れ屋のオッパから彼女を紹介されたことなんてなかったし、ちょっと寂しいけど嬉しくて、その人がいればきっとオッパも大丈夫だろうと思えたから。


「お母さん、どんな人だと思う!?」

「うーん、いい子だったら嬉しいな。お母さんもお友達になりたいわ♪」

「オッパ面食いそうだから美人なんじゃない?」


生憎の雨だったけど、そんなのお構いなしにお母さんと妹のヒヨンと三人できゃっきゃとはしゃいで。久しぶりのライブ観戦に少し緊張した面持ちのお父さんを隣に促して、関係者席に着いた。そこは韓国から応援に駆けつけた女優さんやシンガーの方、もちろん日本の有名らしい芸能人もいて、「あの人じゃない?」「でもオッパのタイプはこっちじゃない?」ってふざけたりして開演時間を過ごした。

ドーム全体が暗転すると、一気に私たちのふざけた声はかき消された。自分の声さえ出てるか分からないほどの、歓声。ペンライトの小さな灯りが大きなうねりを生んで真っ赤に染まる。


『……うわぁ…っ』


緊張する。ステージに立つのはオッパとユノさんなのに、心臓の鼓動が物凄い強さで響く。




オッパ


オッパ




オッパ、頑張って







オープニング映像が始まって、さらに耳鳴りのような悲鳴が全身を突き抜けていく。五万五千人の観客がスクリーンに釘付けになって、私も夢中になって。



オッパ格好いい!

ユノさんもめちゃくちゃ格好いい!





いつ?

いつ出てくる?


もうすぐ?

もうすぐ出てくる?


早く観たい、オッパとユノさん



『もう始まるよね?』

『え!!?』

『も!!お!!は!じ!ま!る!よ!ね!!』

『ああ、うんっ!!!』


ヒヨンと隣同士なのに大声で話してたら、オッパがスポットライトを浴びて現れた。精一杯叫んで応援したかった。


でも目眩がしたかとヒヤッとして、はじめ声が出なかったの。



あれれって思ってる内に今度はユノさんが登場して二人が揃った。ら、引き裂くような高周波の声が耳を刺して鼓膜が痛い。
 






ぐらぐら



ぐらぐら






床自体が揺れてる。








『……え……、何、、これ……っ、』



周りには叫びながら跳び跳ねる人達。





























東京ドームが揺れた
























「……」

『オンニ、オッパとユノさん格好いいね!』

『……あ、え?』

『か!!っ!こ!い!い!ね!!』

『あー!!うんうん!!オッパサランヘ!!ユノさんサランヘ!!』


スヨンと手でハートを作りあって、「チャンミーン!!!」「ユノー!!!」って、声の続く限り叫び続けて。ペンライトを振って。楽しくて。楽しくて。



嬉しくて






二人が、二人で、舞台に立ってる。



隣のお父さんとお母さんが泣いてるのを見ないようにしてあげた。見たら私も泣きそうで。ひたすらステージだけ見つめて、オッパとユノさんを見上げてた。

オッパ達が歌う曲はすべて日本語で歌詞なんてほとんど分からなかったけど、タイトルだけは何とか知ってて。始まったばかりなのに、そんな事できるわけないのに、その曲目通りに願った。





トキヲトメテ







二人が、光り輝いて、満ちてる姿を

ずっと、ずっと、

ずーっと、



見てたい




















「シムさん、そろそろ終わりますので、楽屋にお越し下さい」


「あ、はい」「はい、ありがとうございます」

「えええーー!?」「えええーーー!?」


だからスタッフさんに退場を誘導された時、本っ当に残念で。思わず凄く嫌そうな顔しちゃった。あの時のスタッフさん、ごめんなさいね?


楽屋に入っても歓声は聴こえてきて、なんだか私たちが嬉しいねって言うと、お父さんが照れた。オッパの仕草って、やっぱりお父さんに似てる。

色んな関係者の人達も呼ばれてたから、私たちは声だけかけてそのまま晩ごはんを食べに行こうと話してた。

そしたらユノさんのご両親も部屋に入って来て、ご挨拶させてもらって。でも頻りに「我が儘な息子のために申し訳ございません」って不思議なほど謝ってこられるから、私たちは宥めることしかできなかったけど。

二人になったのはユノさんのせいじゃない。手を差し伸べて、ユノさんとTOHOSINKIを続けると決めたのはオッパの意志なんだから。




暫くして戻ってきた二人は汗でびちゃびちゃ、髪もずぶ濡れで、でもすごく笑顔で挨拶に回っていった。


「お兄ちゃん、すごく楽しそうね♪」

「うん、お母さんの力だね」

「何言ってるのー。お兄ちゃんの努力よぉ♪」


いろんな事が甦ってくる。

こんなオッパが今いるのはお母さんのおかげ。

オッパの夢でもなかった、お父さんからも縁を切るとまで言われて大反対された。でもお母さんが柔らかく二人を懐柔して、純粋な少女のようにぽんとオッパを後押しした芸能界。男には分からないかもしれないけど、シム家の最強はたぶんお母さんだと思う。


「おまたせー」

「お疲れ様、チャンミン頑張ったな」

「お兄ちゃんお疲れさまー♪カッコ良かったわー♪すごいすごい♪」

「オッパお疲れ様!」「オッパお疲れ様!」


食事してホテルに戻ることを伝えると、オッパはお薦めの日本料理屋を教えてくれて、じゃあそこへ行こうかって話してる時にユノさんも挨拶に来てくれた。お父さんにもお母さんにもヒヨンにも私にも、一人一人話をしてくれる。


「スヨンちゃん、綺麗になったねー!お姫様みたいだね♪」

「わあ♪ユノさん、ありがとうございます♪」

「ユノヒョン、うちのスヨンはダメっすよ」


オッパの声は無視しよう。


「留学先は楽しい?」

「いえ、もう終わって今は韓国に戻ってます」

「ああ、じゃあまた宿舎遊びにおいで♪」

「はい、ぜひっ♪」


やっぱりユノさんはイケメン。格好いい!
顔小さい!笑顔が素敵!
パーフェクトな男性に褒めてもらえて、お世辞でも心が踊る。仕方ないじゃない、私だってカシオペアなんだもの!


「スヨンちゃん、あの時の置き手紙、ありがとうね」

「手紙?ユノヒョン?」

「……ぁ!……食べてくれました!?」

「うんうん♪世界一美味しかったよ♪」

「……???」


オッパの頭に大きなはてなマークが浮かんでるのがまたおかしくて。オッパも知らない、ユノさんと私だけの秘密がちょっぴり嬉しい。


「スヨン、何の話?」

「オッパ私に感謝してよ!?」

「へ?」

「俺が感謝してるよ。スヨンちゃん、本当にありがとう」

「いえいえ、そんな!」


一年半前もの手紙を忘れずお礼を言ってくれて、性格も最高なユノさん。パーフェクト過ぎる。さすがに私にはもったいない。。


「じゃあ、そろそろ行くから。チャンミン良かったよ。これからも大変だろうけど、ユノさんと頑張って」

「うん、父さんありがとう」


二人と別れて、楽屋を出ようとしたところでやっと思い出して、急いでオッパのところへ戻って袖を引いた。ぱっと周りを見て、オッパと私にしか聞こえない程度の小さな声で会話する。


「オッパオッパ!忙しそうだから、また今度彼女さん紹介してね?」

「ん?」

「ほら。恋人に会わせたいってメールしてくれてたでしょ」

「ああ、……もう会わせたよ」

「え?」


イタズラっぽく、くすくす笑うオッパに呆気を取られてぽかんとしちゃったけど、それだけじゃなくて。







オッパがあまりにも嬉しそうに、

微笑むから。









「ユノ」


「…………」






「ユノ」


「…………」









あまりにも幸せそうに、

その名を口ずさむから。








「ユノなんだよ。……スヨンごめんな?こんなオッパで……」





心の奥にそっとしまってた言葉が、

だだそのように、


出てきた。
























「……そうなんじゃないかと思ってた……羨ましい……」






びっくりした瞳で、また困ったように笑うオッパがとてつもなく綺麗で、格好よく、すべてが満たされていて。

本当に羨ましいと思った。







教えてもらったお店で、お父さんは、普段なかなか飲めない日本酒を飲んで美味しいと上機嫌。お母さんも、お兄ちゃん格好良かったとにこにこ回想してる。ヒヨンは、お刺身も天ぷらも煮付けも美味しいと大絶賛。

私はいろんなことが蘇り続けてた。

目の前の白い、ニイガタ産のお米を見て思う。

真っ白。

そう、『あの時』。

オッパは主席で大学に入学してた、だから芸能界がすべてじゃなかった。今までのことを白紙に戻して、留学だってして良かったんだ。そこからまた、新しい道がいくらでもオッパにはあったのに。


「……」

「スヨン、どうした?食べれないか?」

「……いや」

「オンニ体調悪くなっちゃった?」

「………」

「そう言えば結局バタバタしちゃって、彼女さんにも会えなかったわね~残念っ」

「……っ、、うぅ……っ」

「え、オンニ何?大丈夫?なんで泣いてるの?どっか痛いの!?」

「……ふっ……ぅっ、」





私ずっと疑問だったの。









なんでオッパが夢でもないTOHOSINKIにまた戻ったのか


なんでパスタ鍋ふっ飛ばしちゃうくらい怒り狂ったのか




「オッパァ~……っ」

















ユノさんのことが




大好きだったからなんだね












「え、チャンミン?」

「お兄ちゃんがどうかした?」

「………っ、オッパ……」




オッパの夢は、もうまるごとユノさんなんだね




「お、オンニどうしたの…?」




「……っ、オッパに…っ、、SKⅡ買ってもらうの忘れてたぁぁぁ~~~っ」

「は!?」「え!?」「へ!?」


折角私が自分で泣き止もうとおちゃらけたのに、またお母さんが少女のように変なこと言い出すから。


「そういえば、あの、二人が見つめ合って歌う曲あったでしょ?歌詞は分からなかったけど……二人ともすごく素敵だったわね~♪あれ何ていう曲だったのかしらぁ♪」

「……Back to Tomorrow……っっ、、」

「わ~スヨンすごい!さすが♪」


その歌を歌ってた二人のことをまた思い出して涙が止まらなかった。


うん、確かにあの曲の二人は素敵だった。
見惚れるくらいぴったりだった。




今度、その歌詞を訳して聴いてみよう。

オッパとユノさんの曲だと思って。
























「Back to Tomorrow」とてもいい曲ですね♪大好きな歌の1つです♪(ダンスミュージックはもちろん❤❤❤)
片割れ9
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20000拍手です。











こんにちは、りょう(ゆのっぽん)です。



いつも同じことしか言えませんが、このような小さなブログにお越し下さり、本当にありがとうございます。←((ノ∀`)・゚・。 アヒャヒャヒャむしろ小さすぎてすいませんっ!涙






いま「片割れ」が、できる限りの(涙)時系列を追って2年ちょっとのところを走行してます。残りあと、3年ちょっとくらいですかね。








うーん……、、















長いだろっ!!!←Σ(´Д` )






すいません……( ´;゚;∀;゚;)


早く終わらせてすっきりしたい気持ちと、まだまだ終わらせたくない気持ちと、両方あるんですが、ここまでお付き合い頂いて本当にありがとうございます。

私だったら今の時点でも長すぎて読むのをためらうかもしれません。。

なので、最近から読み始めて頂く方はあまりいらっしゃらないかもしれません。←言ってはいけない!!!



まだ終わらないのか「片割れ」はと、根気よく待ってくれてる方が多くいらっしゃると思います。











それでも、そろそろ






20000拍手いきそうです……!!








……。( T∀T)


パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ






2万って、、2万って、凄い……!!!
想像したくてもできなかった領域なんです。
私にとっては( ゚д゚)









それもこれも、











今、これを読んで頂いているアナタのおかげです!本っ当にありがとうございます!!!涙













まだまだ届いてないんですがちょっとここからさらに集中して片割れ9を書かせて頂きますので、先にお伝えしておきます。











20000拍手目を押された方、宜しかったらコメント下さい。もしリスエストを頂ければ、トラ☆シカ号仕様で書かせて頂きたいと思ってます。









条件は、何もありません。








漠然としたものでも、細かい条件があっても構いませんので。( ´∀` )b



ただ受け入れられないものは、はっきりお伝えさせて頂きますので、どうかご了承下さい( ´;゚;∀;゚;)←ユノとチャンミンが他の誰かとイチャイチャとか……考えられないの……ごめんなさいね……。涙



「チャンミン、あの人何言ってんだろうねぇ?ポクにはチャンミンが一番だから~♪」「デュ…。……。(え、ちょっと待て二番いるのか、お!!?デュフじゃねー。コロス……ユノ抹殺ユノ抹殺……)」










リスエストない場合は、そのまま、これからも見守って頂けると嬉しいです。









どうか宜しくお願いします🎵

夢特急トラ☆シカ号より




(画像、一部お借りしました)
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片割れ chap.9 #10














______Y.side______









二人になったライブは、正直セットリストを確認するだけで目眩がするほど大変で。
きつい。
仕事だと思ったらもう一歩も頑張れない気がした。
楽しんで。楽しんで。自分の夢なんだって。




だから思わず熱くなりすぎて、チャンミンやスタッフさんに諭される時もある。


「……あっ!!ちょっと待って下さい、ここはやっぱり皆の動きを合わせた方がいいですよ」

「うーん、、ユノでもそうするとカウント遅れるから次の移動位置まで間に合わなくなるよ」

「いや、1、2、3、4、2、2、3、4、の、2の次で移動すれば」

「……いやぁ~、ちょっと危ないよ。ここでずれたら次のポージングが決まらないし、ここも合わせて次も合わせてって面白くないんじゃない?」

「いやだからっ、合わせるって言ってもターンの振りだけだから」

「ライティング二人に絞るからあんまり意味ないって」

「あー……、、あ、じゃあ、いっそライティングはそのまま全体照らしちゃって!色変えたりとか!もう立ち位置変えちゃってもいいかも!」

「ユノヒョンユノヒョン、ちょっと落ち着いて下さいって。暴走し過ぎ。よく考えてみて」

「そうだよユノ、全然流れに強弱つかないから観客は飽きるぞ」

「…そっかー、、。うん、分っかりましたぁ!」


意見がぶつかって、でも納得できるものは受け入れて。普段はあんまり気にしないけど、そういう場面が続くと、さすがに気になる。俺間違ってることばっかり考えてる……?って。


でも必ず奮い起たせてくれるのが、チャンミン。


「ユノヒョン、でもアイデアはかなりいい感じだと思いますよ」

「……だよな?」


そう聞くと、サムズアップして見つめてくれるチャンミンがあまりにも真剣で、嬉しかった。本当にそう思ってるから自信持って大丈夫だよって言われてる気がして、何度も助けられた。俺がいつも親指を立てる意味をチャンミンは知ってるから、その仕草はまるごと巨大な勇気に変わって、俺の背中を強く押し出してくれた。



そういう日もあれば、皆の前で盛大に喧嘩する日もある。



「だからっ、僕の体力的に無理ですって!」

「いいから、ここはお前からサブステージ行けよ。俺はついていくから」

「良くないって何回言えば分かるんだユノヒョンは。グダグダな姿のとこカメラに抜かれたくないって」

「俺だってきついけど頑張ってるだろ」

「あ~~二人とも落ち着いてっ。まあまあ!じゃあ、ここは音的にも盛り上がるしバンドメンバーを映すようにカメラ切り替えようか」


リハーサルが止まって周りが待ってくれてるのは分かる。痺れを切らせた撮影スタッフが間に入ってくれたけど、絶対譲れない。


「いやいいですから、ちょっと待ってて下さい。絶対チャンミナ格好よく行けるから。ここはお前のやりたいようにやれよ」

「だからもういいって。ここは変更なしで」

「そうじゃないだろ!いざとなったらちゃんとできるんだから前出ろよ」

「分かったって!!出りゃいいんでしょ、出りゃ。どうなっても知らないからね」

「お前何だその言い方」

「どう言ってもどうせ意見変えないんでしょ、ヒョンは」


後半の苦しい場面でスクリーンに写るワンカットで揉めたり。凄い眼力で睨んでくるし、わざと煽るように言い返すほどチャンミンは不満顔を晒してくる。やってみたらいいのに頭から自分はできないって否定するから、俺も腹が立って仕方ないけどとにかく強行した。


「……。必ずやれよ。すいません、お待たせしました。リハ続けましょう」

「…ちっ」

「え、、それで、いいのかな……?じゃあ、ここはチャンミンでスクリーンに抜いて……」

「はい、お願いします」「……」


チャンミンは舌打ちしても機嫌が悪くなっても本番は必ずやりきるから。ただ自分から厳しい設定をしないだけで。だから俺はチャンミンのレベルを引き上げ続けた。



でも悪い時もいい時も、チャンミンが大阪に戻ってくれた日から、俺たちはまた毎晩一緒に眠った。韓国の宿舎はもちろん、ホテルで別々の部屋が用意されてもチャンミンの居るドアを叩くようになった。どんな日でも、どんなに叩く音が小さくても、必ずチャンミンは開けてくれるから。


喧嘩した日はセンソウだけど。


「……」

「……」


ガッと扉を開けられて、日中から引き続き鋭い目つきのチャンミンは俺と確認しただけで、すたすた中へ戻ってしまう。後を追って入って行っても、無言で、そのままベッドに入った。お互い端と端に陣取って、そこから始まる布団の政権戦争。


「……。おい、チャンミナだけ毛布にくるまってるじゃん。ちょっとは貸してよ」


嫌味ったらしく布団を一人でぐるぐる巻きに独占するチャンミンにイライラする。


「……もう寝た」

「いや全然寝てないだろ、しゃべってるし」

「寝言です」

「チャンミナっ」

「……ぐー、ぐー……」

「……腹立つわぁ…」

「……プラモデル終わらせろ、ぐー、」

「もうお前居ない時に終わらせたわ」

「ぐー、ぐー、、……」


もうわざとらしさ満点で寝たフリするから、さらにイラつく。寒いから半ばやけくそで思いっきり丸く縮こまって、友達にメールしながら眠りに落ちた。


それでも一緒に眠った。


朝起きると必ず、いつの間にか向かい合って一緒に、毛布に包まれてるから。

何があっても、俺が戻って還れる所は、いつもチャンミンだった。








悪い時も、いい時も、


いつも一緒に過ごした。


















______C.side______






夜。


お祖母さんの思い出を思い出す度、ひとつひとつがどっしり胸に焼け落ちてきて、僕は一人の孫に戻った。
見えない心が、苦しい。

ユノはまるで愛犬のように、僕たちがいい時も悪い時も毎晩、ひっそりと息を殺して、何もせず、ただ傍らに横たわっていた。

そうかと思えば昼は友達をかき集めたり、ライブやイベントに呼んで僕に紹介してくれた。僕にとっては少し面倒くさかったけど、たぶん、別れがあれば出会いもあるよってことを伝えようとしてくれてたんだと思う。

空気が読めないっていつもからかうけど本当はそうじゃなくて。この人は一生懸命なだけだから。こうやって一生懸命、僕の気持ちに寄り添って励まそうとしてくれる。
何者にも代えがたい理解者だった。


体調がなかなか戻らなくて、絶対何か失敗するだろうと思った日は予めユノやマネヒョンに伝えた。


「今日もしかしたら歌う声が裏返ったりするかもしれませんけど、気にしないで下さいね」


そう白状する僕を、ただユノは真面目な顔で頷いて、見守ってくれる。ちゃんと見てるから大丈夫だよって、ステージ上で背後からでも舞台の端からでも視線を感じさせた。その場で誰よりも格好いいユノが僕だけを見つめてくれる時、それはまるごと巨大な自信に形を変えて、僕の声を強く押し出してくれた。







いい時も、悪い時も、


いつも一緒に過ごした。


    







そうやって僕たちは、東京ドーム公演の初日をむかえた。







片割れ9
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片割れ chap.9 #9

(注意)生と死の物語が続いています。リアルタイムのハッピーな時期に大変申し訳ありません。正直かなり気分を害される可能性があります。引き続き、閲覧には十分注意して下さい。どうぞよろしくお願いいたします。
















______C.side______









僕は












ユノが泣くところを



見たことがない


















ただの一度も

























たぶん、もう

















泣き方すら忘れてしまったんじゃないかと思う























______Y.side______








もうすぐだったんだ。


もうすぐデビューするから心積もりをしとけって言われてた時。





俺のお祖父さんは危篤になった。


厳しくて無愛想で、お前にそんな力があるように見えないから光州へ戻ってこいと、夢を反対されていた人。



報せを受けて光州の病院に駆けつけた俺に気付くと、お祖父さんは、くっと微笑んで、親指を立てて見せてくれた。

戦争で片目と片手を失っていたお祖父さんのサムズアップ。





それが、俺がお祖父さんを見た、

最期の姿だった。







あぁ、この人は。

無償の愛で俺をいつも見守ってくれていたんだと。


葬儀で、訳も分からず三日三晩泣き続けた。そんな俺に父さんが教えてくれた。




「絶対にユノのデビューを見届けてから逝きたいって、ユノはいつデビューするんだって、頻りに聞いてお前を探していたよ」









その時誓ったんだ。






『お祖父さん。これから俺が一体どこまでいけるか分かりませんが、俺が本当に最高の瞬間だと心から思えた時、その時にまた、泣きます』

























______C.side______







三日三晩の葬儀を、僕は最後まで参列できなかった。
それでも実家に戻って、久しぶりに愛犬のマンドゥンイを抱けたのは嬉しかった。


「お前あったかいなぁ……」

「お兄ちゃん、ごめんね。見送り行けなくて」

「いや僕も長男なのにごめん。今日大阪行かなきゃ、夕方のライブに間に合わないんだよ」

「うん、いいのよ。仕方ない仕方ない。あとは母さん達に任せて、ユノくんと頑張ってね。東京公演は母さん達も行くからね」


正装して、親族の中の何人かは腕章を付けて、二十四時間いつ弔客が来てもいいように、交代で対応していった。
韓国では一般的に、病院の一角にある葬儀場でお香を焚き、併設されてる待合室でお酒や食べ物を朝昼晩関係なく振る舞う。

お酒を勧めらてどんどん飲み、相手の話を聞き、また新しい弔客に深いお辞儀で挨拶をして、自分の近況を聞かれれば答える。親族だけでしめやかにという時間がないから、会場は宴会のような騒ぎに近かった。具合が悪くなるほどの忙しさ。


「チャンミンくん!」

「あ、はいっ」

「大きくなったなあ!よくテレビで見てるよ」

「ありがとうございます」

「お祖母さんは残念だったけど、きっといいところへ逝かれてるよ」

「はい」

「お祖母さんのためにも、早く家を継いで立派な子供をご両親に見せてあげなさい。チャンミンくんも兵役を終えれば立派な成人男子として認められるし、芸能活動も大変だろうけど、孝行を大切にな」

「……はい。まだまだ活動が忙しくて難しいですけど、いつかできればなと思います」





死があって、生があって





それは自然界の摂理で






「長男だろ~?ははっ、頑張れよ」

「あははっ、はい」





ユノと僕には、関係ない。























関西国際空港に着いた時はすでに昼前で、会場入りした時、皆が声をかけて慰めてくれた。その優しさに甘えるように、弱音が漏れた。


「チャンミン、ご愁傷様です……。疲れたよね?大丈夫?」

「いやー、…正直不安です。本当に疲れたしよく寝れなかったし……」

「ああ……、映画の撮影も終わったばかりなのに大変だったね……」

「さっき試しに発声練習したんですけど、全然声が出なくてですね。コンディション最悪ですね……、あぁ、どうしよ……」


疲れた。眠い。
途切れない弔問に痺れるほど対応し続けたから頭がぼーっとする。


そしてそれをやっぱり覆してくるのが、ユノ。






「チャンミナ。大変だろうけど、今日も頑張ろうな?」

「……膨張??」

「へ?」

「さっきから思ってたんだけど、……ユノまた太った?え、二日で?吹き出物までできてるじゃん。何食べた?お?」

「えー分かんない。なんかちょこちょこつまんじゃった、かな?いいんだよっ。ニキビはメイクで隠れるし!問題ない」

「もうニキビの年じゃないって。はあ……、今日僕ちゃんとできるかな……コンディション最悪……」







そう、死があって、生があって、



それはとても重要なことだけど



僕たちが二人で進む以上、この先には








死しかない












「『大丈夫』だよ」

「……ふぅ……」



「『大丈夫』だよ、チャンミナなら」








それでも貴方は



僕に魔法をかけるから





「ユノ」


「ん?」






「健康に気を付けて、長生きしてね?」



「……。うん、そうだな」







僕はまた、より高い場所に連れられて行く







「そうだなじゃねーっすよ。あんたいっつも無理するから。この前足痛めたとこ大丈夫なの?ステージで再発しないようにね?」

「それは分かんないけど、なんとかなるって♪」

「はあ?ちゃんと先のことも考えてよ」



「だって今日を見せられるのは一度だけだろ。体重が増えようがどこか痛めてようが関係なくなるくらい全力でやるから、俺は」


「…………。……はは。……無茶苦茶だよ、ユノ……っ、、」






身内が亡くなろうが、

葬儀で疲れ果ててようが、

体調が悪かろうが、



今日見に来てくれる観客には関係ない。





「大丈夫だよ?お前もちゃんと居るし。戻ってきてくれて、ありがとうチャンミナ」

「……っ、当たり前でしょっ。ユノだけじゃ歌えないし、何しゃべってるか理解されないで、皆チンプンカンプンのまま終わっちゃいますよ」







今日のTOHOSINKIを見せれるのは、










一度だけ








だから、もう少し


お祖母さんを悼む想いは置いておいて。










代わりに、気合いを入れて。









「さぁー!いよいよ大阪……。次戻ってくるのはラストの京セラドームです。そこに繋がるように今日、精一杯がんばりましょーっ!」

「はい!」「はい!」「はい!」


「TOHO!!TOHOSINKI FIGHT!!!!」





ユノと拳を合わせて。




「チャンミン!」

「っしゃ!」





うん、大丈夫。







呼吸を整えて。




「ふう、、……っしゃあー!!!」














笑顔で













誇らしげに





























光の中へ、包まれに行こう








そして未来へ











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ホミンホ、サランヘヨ!!!














うわあああぁぁーーー❤❤❤涙



ぎゃああ~~~!!!( T∀T)


























かぁ~~~っっ!!!


でも大丈夫!!!あとでチャンミンにやってもらってユノ!ユノをよろしくお願いします、チャンミン!





どうしよう、もう泣きそうです。


すいません、記事にも何にもなってないですけど、私のブログなんで好き勝手やらせてもらいます。←







まず、

ジヘさん、ご結婚おめでとうございます‼

















そして、でもやっぱり……










❤❤❤ホミンホ❤❤❤馬避けて!もうちょっと避けて!←ひどい。ごめんなさい、荒ぶり過ぎてます、私。
















よし、この二人結婚するな。
間違いない。
ありがとう!!!ホミンホ❤❤❤

↑え、狂ってる?うん、知ってる。もうどうでもいい。ユノとチャンミンが好き、それだけです(ドヤッ)

















もう見た瞬間、「うわーーー!!!(*;゚;艸;゚;)」って家で大絶叫してしまいました。











はふ、はふ、はふ、、←













これ絶対あるでしょーーーっ❤❤❤
















ふう、、、すいません、気持ちが抑えきれなくて誰かに共感してもらいたくて。←こんな狂人レベルはヤバい














もう、もう、本当に、







とにかく二人が一緒で


















こんなに嬉しいことって、ないですね❤❤❤←あまりにも危ない奴になってたんで、最後キレイにまとめました。すいません、これからもよろしくお願い致します!


















(画像、お借りしました)
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片割れ chap.9 #8

(注意)すいません、後半死ネタが入ります。決して軽んじて使っているわけではありませんが、気分を害される可能性があります。閲覧には十分ご注意下さい。よろしくお願い致します。
























______C.side______








仕事中、ユノの声から発せられる『チャンミン』は、凛としていて気合いが入る。




プライベートで親しみを込めて呼ばれる『チャンミナ』は嫌いじゃない。長年そう呼ばれてきたし、むしろ心地いい。だけど。





『チャンミン』


そのどちらでもない、何かのタイミングでそう呼ばれるユノの『チャンミン』は、まるで自分の中から揺さぶられるように聞こえる。


昔々小さい頃、自分にぴたりとはまった名を命名された無自覚の動揺を掠めるような。


もっともっと昔のことを引き摺り出されるような。


もっともっともっと昔から、頭の中でこの人にそう呼ばれていたなと、思い出すような。








遠い昔の自分自身を思い出す







そんな、感覚


















______Y.side______









チャンミン、チャンミン、チャンミン♪


「おはようユノ。なんか嬉しそうだねえ♪」


朝食後、ホテルのロビーでバンドメンバーの一人に声をかけられた。俺の心情を分かってくれるのが嬉しくて、手を取ってぐるぐる回った。


「いぇいいぇい~♪」

「あははははっ。何どうしたのっ」


すぐ後ろに心を埋めてくれる人が居る。今まで足りなかったものが急に押し寄せてきて、溢れる気持ちを閉じこめるように、代わりにその人を抱きしめた。


「ぐえ……っ、ユ、く…っ」

「あ、じゃあね♪」


そのまま止まらずすり抜けて行ってしまったチャンミンの後を今度は俺がついて行く。
もう俺ヤバい。嬉しくて仕方ない。恋人になってあんなに離れたことなんてなかったから。
いつもほぼ一緒に居てそれでも好きで喧嘩しても根本は好きで。だから一緒に居れるって改めて幸せなんだなって噛みしめた。

俺の部屋に入ってもチャンミンはすでにプラモデル作りを始めちゃったから、抱き締めておくことなんてできないけど、ちゃんと目の前にチャンミンが居る。
チャンミンとステージに立てるって、きっと奇跡みたいなもの。愛する人が隣に居て、その人とステージに立てて、二人でライブを編んで、人に感動してもらえるものを表現できる。
好きなことを好きな人と全力でできるって、本当に幸せなことなんだな。


「……ふふふっ」


ダメだ。改めて思うとニヤケる。


「……なに、気持ち悪い。そんなにさっきの人の抱き心地良かったんすか」

「……はあ??何言ってんの?さっきって??」


チャンミンが何のこと言ってるのか全然分かんない。いや、抱き心地はいいよ、チャンミンは。すごく落ち着く。


「チャンミナ?」

「……はいはい」

「……チャンミン、チャンミン?」

「…っ、今呼ばないで!ほら早く作ろうよ?間に合わないよ?」

「……顔赤くなってるよ?」

「わーわーわーわー聞こえなーいーっ」

「何だよ、もう……」


俺だって恥ずかしいのに。
でもプラモデル作りを手伝ってもらってるから強く言えない。チャンミンの指示に従って、指定された番号の部位を探した。

チャンミンの呼び方を俺は気分によって変えちゃうから、それは『チャンミナ』だったり、『チャンミニ』だったり、『チャミナ』だったり、『チャンドリ』だったり、『チャンドラ』だったりして、固定してない。

でも心の中で声を形成する時いつもそれは『チャンミン』で、「チャンミンって呼んで」と言われた時、ついに心の声まで聴かれたのかと恥ずかしくなってしまった。
自分のすべてを見透かされるようで、嬉しいんだけど気持ちの大きさを見られてるようで、くすぐったい感じ。


「ユノ、チェックアウトの準備できてる?」

「んー、うん」

「もう部屋が違うから最終確認は自分でやって下さいよ?」

「おー」

「大丈夫?本当に?」

「大丈夫だって、もう。うるさいなぁ」

「この前広島のホテルで腕時計忘れてスタッフさんが取りに行ってくれたじゃん。もう止めてよ、迷惑かけるの」

「あ、部品壊れた……」

「はあ!?」

「ちぎれちゃった……」

「いや普通はなんないから!」

「あはーはーはーはーっ!!!」

「何笑ってんの?ついに頭沸いたか!?」


いやなんか本当幸せで。こんな馬鹿みたいなことでも幸せで。あったかくて。
チャンミンの威力って凄い。


「ちょっと、キスしよ」

「は!?」

「一回でいいから。そしたら色々ちゃんとするから」

「……本当に?」

「うん、ほんと」


幸せにしてくれてありがとうって、行動で表したかった。
チャンミンの髪を撫でて、俯き加減のチャンミンをのぞき込んでやっと目が合って、自然と笑顔になっちゃう腑抜けな俺を隠す意味も込めて、ゆっくり鼻先を近づけた。














ドンドンドンドンッッ!!!






「え?」「え!?」











ドンドンドンドンッッ!!!






「……え、なに」

「ユノ誰?」

「わかんね。マネヒョン??」


防音の効いたホテルの部屋で、ドアの叩く音だけ響いた。
辺りをざっと確認して、チャンミンが居て、プラモデルがあって、ちょっとごちゃごちゃのトランクの中身が出てるけど、よし変なものもないなって分かって、急いでドアを開けた。ドアチェーンがガチャンと勢いよく張った。


「おいユノ!チャンミンいるか!?」

「あ、うん。いるよ、プラモデル手伝ってもら…」

「チャンミンチャンミン!!!おい、ここ開けろっ」

「あ、おー!」


異常なマネヒョンの焦り具合。
何だろう、すごく嫌な予感がする。
ドアチェーンを開けながら「おい、チャンミナ!」と呼んで、玄関に駆けつけさせた。

マネヒョンは入ってきても、携帯で会話しながらスケジュール帳を目を皿にするように睨んでて、すぐには事情を聞けなくて、二人で「何だろ?」って目だけで話し合った。
やっと携帯を切ったマネヒョンはやっぱり焦ってて、まずはお叱りから受ける。


「お前らスマホは!?連絡つかないだろ!?ちゃんと持っとけよ!」

「あ、ごめん。チャンミナにプラモデル作るの手伝ってもらってて気付かなかった」

「持ってる意味ないだろ!」

「ごめんごめん」


すぐ謝っとけば良かった。







「チャンミン、お祖母さんが亡くなったみたいなんだ」


「え」「え」




え……。







「スマホ見てみて?たぶんご家族から連絡入ってきてるはずだから」

「あ、はい」





ちょっと待って。





「チャンミン、どうする……?」

「ユノ……」





俺に聞かないで。





「……いや、すぐ行けば葬儀もお別れもしっかりできるだろ。行けよ、行った方が絶対いい。リハと段取りの確認は俺一人でやっとくから」

「ユノありがとう」

「分かった、今飛行機のチケット手配するから。チャンミンはすぐ帰国の準備!もう出る準備できてるか?」

「あ、はい。できてます!」


チャンミンがバタバタと部屋に戻って行く。
うん、絶対行った方がいい。
スケジュールがなんとかなるなら、絶対行くべき。


「……ユノ、大丈夫。チャンミンが次の大阪公演に間に合うようになんとか調整するから。な?落ち着けよ?」

「…え、何言ってんの?そこは分かってるから、早くチャンミナ連れてってあげて……」

「お前顔真っ青だぞ?……悪いけど、今はチャンミンで手ぇいっぱいだから、後は日本のマネージャーとスタッフに任せる。ユノはそのまま大阪向かえよ」

「分かった」


自分の部屋からトランクボックスとサングラスをかけたチャンミンがすぐ戻ってきた。本当に早かった。


「マネヒョン、おっけ、行ける!」

「よし、行くぞ。ユノ頼むな?」

「ユノ、ヒョンすいません!!必ず次のライブまでに…」

「いいから行け行け!待ってるからな!おじさんとおばさんに、俺も行けなくて申し訳ないって謝っといてな!」

「うんっ」


ドタバタと、あっと言う間に二人はホテルの廊下を駆けて行った。


「……」





とりあえず。











ドアを閉めて、部屋の中に戻った。





ソファに座って、掌を組んでチャンミンのお祖母さんを想った。


俺のお祖父さんのことも想った。






お祈りを自分が納得できるまで続けた。






生があって、死があって。







ゆっくりチャンミンとお別れをさせてあげれないことを謝った。






チャンミンが居ないとTOHOSINKIは成り立たないから




ごめんなさい。







そう、生があって、死があって、




それはとても重要なことだから









ひっそりと、









こんな醜い自分は誰にも知られませんようにって、強くお願いした。






チャンミンがまた居ないって


駄々をこねるわけにはいかない

















「あー、なんか食べるもんあったかなぁ……」








朝食が足りなかったのかもしれない。




とりあえず、とりあえず。










目の前の、チャンミンが作りかけてくれた戦車の部位に手を伸ばした。



























とても静かな、午前だった。
















片割れ9
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片割れ chap.9 #7














______Y.side______








「なー、なんで行っちゃダメなの?前はマネヒョンと済州島まで行ったろ?」

「だから何度も言わせるなって。あの時はスケジュールも空いてたけど今はツアー中なんだぞ?俺も疲れてるしチャンミンはチャンミンで頑張ってるんだから、お前はお前でやれることやれよ」

「やってるだろ。それに何度も韓国戻らせてくれるのに、大阪はダメっておかしくない?」

「…っ。ユノなぁ~、いい加減本当にチャンミン離れしろ、しつこい!ライブ日は戻ってくるし行く必要なんかない。ユノが居なくてもチャンミンはよくやってるよ」

「うえ……マネヒョンがぁ~~お~に~♪お~にぃ~♪」

「イラつく歌歌うな、ユノ」

「……ふぅー……。だああぁぁーー!!!」

「叫ぶな」


じゃあこれならどうだと、右頬を膨らませて、今度は左頬を膨らませてマネヒョンを可愛く見上げたけど、マネヒョンは困ったような顔で、「……って睨むなよ、こわ」って言うだけだった。
愛嬌使ったつもりだったのに……。


「お前はチャンミンのことになると、本当目の色変わるから……。勘弁してくれよ……」

「……」


大食いのチャンミンが痩せてた。唇で触れた胸下にあばら骨の浮きを感じたし、持ち上げた足も軽くなってる気がした。俺は逆に体重が増えたから、余計に分かりやすかったんだと思う。
だから様子を見るためにも応援に行きたいのは当然で。あれ絶対精神的にまいってる。
でも、行かせてもらえない、なぜか。


「……まあいいや。スタッフさん達とご飯食べに行こうっと」


ライブは楽しそうにしてる。自信が持てるとか言って笑ってたけど、撮影の方は大変だーとにかくムカつくーってくらいしか言わないし。


でも、俺がチャンミンの傍に居たいのが一番。


「ユノ最近食べ過ぎ。ツアーやってるのに、何で太ってくるんだ?」

「足りなーい」

「本気か……?」


足りなくて。
食べてしまう。
そんなの意味ないって分かってるんだけど。
食べてしまう。
足りなくて。


チャンミン……」


男らしく生きたいってずっと思ってきたのにな。これじゃ女々しいな?

執着が弱くしたり、強くしたりする。
これをプラスに変えなきゃ。


「……。よしっ!!!俺も頑張る!!!」


チャンミンなら大丈夫。
チャンミンだから大丈夫。




チャンミンを信じてる




「新ネタ!!なんかビバルイ以外にも新ネタ探してくる!!」

「……チャンミンの腰引かすようなネタは止めてね……」


マネヒョンの言うことは置いといて、とりあえずチャンミンから教わったカトクのアプリを開いた。

















______C.side______









やりきってやる、とは誓ってたけど。




「あーあ。だからそうじゃないだろ!?本当できないなあ!」


撮影が中止になった日から、一部のスタッフさんがボロクソ言ってくるようになった。怒鳴られて腹が立ちながらも、撮影が遅れることで恐ろしい程の予算とたくさんの人達の労力が使われるということは分かってたから、情けないけど悔し涙が目尻に滲む。
もし公開予定日が遅れて作品自体大コケでもしたら、僕が戦犯扱いされる予感しかない。


「モモ大丈夫か?」

「僕ができないだけです。すいません、妻夫木さんにも迷惑かけて」

「いや俺も2、3時間も押しちゃった時だってあるでしょ、お互い様だよ。でも豆腐を掬い上げるって本当に難しいんだな?」

「はぁ~。ちょっと、僕もびっくりですね」


豆腐店での撮影は結局予定と違う店でやることになってしまった。モモが豆腐屋でバイトして身を潜めてるという設定で、そこに幸田役の妻夫木さんが現れるという重要なシーンだから飛ばせない。

だけど水中に放たれている豆腐を専用容器に入れる動作が何十回以上もNGになった。水は氷にならないことが不思議なくらい冷たい。Tシャツ一枚で、痛いほどの水温を我慢して思い切り腕を突っ込む。だけど掬うと豆腐が崩れて、何十個もぼろぼろになった。
たったこれだけの事もできなくて、情けなくて。撮り直しがかさむごとに、現場の雰囲気も苛立ちを増してきて、肌にビシビシ伝わった。そしてそれは、僕にも伝染する。


あー…、くそっ!!すいません、またお願いします…」

「一旦、休憩入るから。妻夫木くんと待ち部屋上がって」

「……はい」




糸が切れかけてた。












妻夫木さんと待機部屋にと店の上の居住スペースへ通された。暖かい暖房の効いた畳張りの部屋が、とてつもなくありがたかった。


「あったかーい!俺ちょっと寝るね?」

「あ、はい」


コロンと横になった妻夫木さんを確認して、スマホを取り出した。
ユノからなんか来てるかも。
と思ったら、その通りで、するするカトクを開いた。





『お前なら大丈夫!
頑張ってたら見てくれてる人は絶対いるから。

俺も信じてるからな♪』



「……」





何なんだ僕なら大丈夫って。全然根拠もくそもない。見てくれる人がいようが、結局やるしかないのは僕で、勝手に信じられても困る。


「はい、お茶どうぞ。チャンミンさんごめんなさいね。豆腐を入れてる水、お湯にしようか聞いてみたんだけど、ダメだって言われたちゃった。水中、冷たいでしょ?」

「あ、いいんです。わざわざすいません。冷たいですけど何とかやります。お湯だと湯気が出ちゃうし」


豆腐店のオカミさんが、温かいお茶を差し出してくれるのを、お礼を言って頂いた。


「もしかして、彼女さんからのメール?」

「は!?」

「だってすごく嬉しそうな顔してるから」

「、いや、違います。彼女じゃないです、いないですし。…っと、妹からで……」


そんな嬉しそうだった?
まずいなと思って、何となくユノを隠した。


「へ~、チャンミンさんって妹いるのね?」

「はい、二人」


もし。家族に言うなら始めはスヨンかも。両親から順に伝えるのが礼儀だろうけど、スヨンには料理を始めるきっかけを作ってもらったし、迷惑もかけた。ユノのことシスコンって言いまくってるけど、僕だって妹達のことはすごく大切で、どこにも嫁にやりたくない。やっぱりユノを慰めてあげたら良かったかな?


「妹さんだったらお節句はあるの?こういう雛人形は韓国にもあるの?」

「ヒナ、人形……これですか?こういうのはないですね」


僕の座っている前には、何段かに積み上げられた何体かの人形と調度品や木なんかの小さなおもちゃが飾られてる。珍しくて近づいてじっくり見ると、面白いほど細かい。僕がもう作り上げてしまったプラモデルよりも煌びやかで、人形の顔も一つ一つ微妙に違う。一番の上の、向かって左側に鎮座してる男性の顔がユノに似てるな、と思って、どこまでユノのこと考えてるんだ僕はって、おかしくなってしまった。


「はあ、やっぱり芸能人さんね。笑顔が本当に素敵ね!」

「ふふふっ。そんな、ないですないです。なんか、このヒナ人形、綺麗で格好いいですね。特に一番上の…、王様みたいな?」

「オダイリサマって言うのよ。簡単に言っちゃうと、このオダイリサマと隣のオヒナサマが結婚式をあげてるところね」

「……へえ……」


当然、隣の「オヒナサマ」にも目がいく。
当然、その人形は女性で。


「……オヒナサマも、、綺麗です、ね」

「当たり前よ~。結婚式は女の子が主役だもの。雛祭りもお雛様が主役よ」

「……」


ユノって……、結婚するのかな?
ジヘちゃんに任せちゃえばしなくてもいいんじゃないかな。
でもそんな人任せにしないか、ユノは。

僕と別れれば、ユノは普通に女の子と付き合って、結婚するだろう。立派に家を継いで、家族をつくって、子供もつくって、輝かしい未来を歩んでいくんだろう。その未来にはきっと僕も仕事仲間としてカテゴライズされてて、もしかしたら二人きりになった時、あの頃は若かったね、とか、あの頃はお互いがすべてだと思ってたよな、とか笑いながら今の話をするのかもしれない。


「チャンミンさん?ごめんね?何か気に障るようなこと言っちゃったかしら……」

「いや、違います。……妹もいつか結婚するんだと思ったら寂しくて……。でも嬉しいことですよね、その時はちゃんとお祝いしてあげないとな……」


眉間に皺ができてたのかもしれない。ユノを妹に変えて、もそもそと言い訳した。

ユノは別れないとは言ってくれても、いつか。いつか結婚するかもしれない。
僕はついていくとは言えても、一生責任持てとまでは言えないよ、さすがに。


「そうよ~♪ほら、お雛様。お内裏様のお嫁さんになれて、すごく嬉しそうな顔に見えない?」

「あぁ、確かに……」


ユノのお嫁さんになりたい子なんておびただしくゴマ粒みたく嫌気がさすほどいるし、そりゃ嬉しいでしょうよ。


「幸せそう……ふふ、いいな……」


ユノと僕は、結婚も子供もできない。
じゃあ僕もいつか、結婚するだろう。結婚願望は昔からあったし。




でも、……誰と?

ユノ以上の相手っている?




「……」



あーやば、言葉が続かないや……







「あ、でも雛祭りって、チャンミンさんがお嫁さんになっちゃうのかな?」

「……はい???」

「だって雛祭りって、桃の節句っていう日にするからほら、モモのお祭り!今チャンミンさんがやってる役はモモでしょ?可愛らしい顔してるし、モモちゃんモモちゃんって呼ばれてるし♪だからお雛様でもいけるわよ、チャンミンさんなら~♪」

「……。いやぁ~~、オヒナサマは…あ、『ッテ、ナンデヤネン』!」

「あははっ。そうそうツッコミツッコミ♪」


それは困りますって感じで苦笑いするしかなかったけど、ちょっとぐるぐる悩みだしてた僕の頭に、オカミさんの理不尽なボケは最適で。
そういえばお腹もすいたなと言う僕に、美味しいと有名なネパール料理店まで教わって待ち時間を過ごせた。


「物静かな感じだなぁと思ってたけど、話すと表情がころころ変わるし大人気なのも頷けるわぁ。TOHOSINKIってファンクラブもあるんでしょう?私入っちゃおうかしら♪」

「ふははっ。でも僕ライブの時はこんなんじゃないですよ、それでも良ければどうぞ♪」







女の子にもお嫁さんにも


なれないけど、





誰にも負けたくない








ユノの隣に居るお雛様は、僕だ


















「はあ!??これ何回目!?本当に勘弁してよ!できるだろ、これくらい」

「すいません……」


大声で、皆の前で怒鳴られて。
プライドも僅かばかりの自信もボロボロ。
ユノの隣で輝いてる自分は今いない。


「豆腐だってフィルムだってタダじゃないんだけど」

「はい。それは、分かってます……」

「分かってるんだったら、何でできないかなぁ!!?」

「……っ、」


なんでここまで言われきゃいけないだろう。
本気でやってる。
改善もしてる。修正もしてる。
どのキャストさんにも失敗はある。
なのに僕だけが責められてなじられてる。

……くそっ!!!

また涙が滲む自分にも腹が立つ。


「あー、マジで…

「は?何か言ったか?」









ユノ






頑張っても、







見てくれない人だっているよ











でも







見てくれる人も










確かにいるんだね
















「チャンミン、それ貸してみ」



背中の向こうから声がした。
振り返ると、すぐ後ろに井筒監督がいた。


「はい?」

「何やっとんねん、貸してみー!ワシがやってみたるわ!!」


監督に豆腐の専用容器をぶん取られて一気に肝が冷えきって固まった。できないということは有り得ない。今日できなければ別の日にまた延期。

まずい。
まさかまた撮影中止??
それだけは嫌だ。

監督が腕を捲って、水中にぐいっと沈めるのをちょっと絶望的な気持ちで見つめた。






「っっ!!水冷たあぁぁー!こんなんできるかーいっ!!!」
 

「……へ?」





「うわ、ホンマに難しいな、豆腐掬うの。全然できへんわ。お前らもやってみーや」


監督が演技部のある一人にぐいぐい豆腐の容器を押し付けてる。明らかに皆たじろぎ出して何が何だか意味が分からない。
これ、今どういう状況なの?


「いや、え…っ」

「ええからやってみぃて」

「……はあ。……っ。…冷たっ」

「なー?あと豆腐も持てへんやろ」

「……そうですね……」

「まあ、難しいけどチャンミンにはやってもらうで。おい、お前豆腐新しいの持ってきて~」

「……はい」


そのスタッフさんが店の裏口にすごすごと駆けて行くのを、監督と二人で何気なく見てた。張りつめた糸が弛んだ気がして、肩の力がどんどん抜けていく。


「な?」

「……はい?」

「あいつらな?ほんまは俳優になりたかった奴らやねん。芽が出んと結局裏方やっとるけどなぁ」

「……」


だから何だ。僕には関係ないのに。


「チャンミンみたいに人より目立つ奴いうんは人より逆恨みされやすいんねん」

「ちっ…」

「お。舌打ちしおったなお前。だはは!!でもそれがアイドルいうもんやろ。負けん気ぃ強いお前にぴったりやんけ」

「アイドルじゃねーです。アーティストです」

「ぶふっ!そうかいな、わしもこの場面は絶対外せんからな、できんでも怒鳴り続けて撮るからな」

「……オオキニ」

「あはははははは!!!よー言うわっ」


監督の言葉に嘘はなく、その後も散々叱られ、怒鳴られ、腹が立って、悔しくて。



そして認めるのが悔しいほど勉強になった。










だからクランクアップ、労いの花束を受け取りながら監督に言ってやった。


「チャンミン、お疲れさま。よー頑張ったな!!」

「いやぁ~ホンマ大変でした。正直こんなに大変だと分かってたらやらなかったです」

「あはははっ!!!ツアーも頑張ってーな?チャンミンほんまにありがとう」

「はい、僕も関西弁が分かるようになって、、それだけは!良かったです。ありがとうございましたー」

「そこだけかーいっ」

「あははっ、冗談です冗談です♪」


ってね。



あと、ユノにも。





『終わったよー。明日戻るね。』




『お疲れ様。早く帰っておいで』




『ユノの言う通り、本当に大丈夫だった。ちゃんと見てくれる人は、いっぱいいましたよ( ̄ー ̄)』





『だろー?(^_^)チャンミナがしっかり頑張ったからだよ。よくやったね』











いやまじで。





ユノの「大丈夫」には、何かある。


ユノがそう言えば、必ず大丈夫になる。





本当に魔法でも使ったろ、この人。






































片割れ9
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