片割れ chap.2 #8






「……チャンミナ?入っていいか?」

「……もう入ってるじゃないっすか……」


一応返事が返ってきたから、そのまま部屋の中に進んだ。窓際にベットヘッドをつけてベットを配置してあるチャンミンの頭は遠くて、さらに顔なんて壁側を向いてるから表情は全然見えない。後頭部だけちょこんと布団から出てて、月明かりに照らされてる。


「さっきはあんな言い方しかできなかったけど、マジでチャンミナのこと心配だからさ」

「……もう、さっきも聞きましたよ。本当に、大丈夫、なんで、寝かせて下さい」

「う、ん……そうなんだけど。……あっ!右手しばらく使えないんだよな?俺が何でも手伝うから、困ることあったら何でも言って?」

「……分かりましたって」

「えっと、スヨンちゃん元気してたか?留学楽しいって?俺も会いたかったわ」

「…………っ、元気です……。また、、戻ってきたら、、来る、でしょ……」

「チャンミナ?」

「……。……すいません、本当に、……体調悪いんで、寝たい……」

「どうした??ちょっと顔見せてよ」

「……っ、今ムリ……」

「いやムリとかじゃなくてさっ」


なんか、おかしい

チャンミナの肩を引いて、向かせようとした。けど、すごい勢いで手を振り払われた。一瞬触れた手が異常に熱い。


「もうっ!!!マジでうるさいっすよ!!本っ当イライラする!!!」

「お前、もしかして熱ない!?見せてみろ」

「いいからほっとけ!!!!」

「ほっとけるか!!」


痛いくらい肩を掴んで強引に振り向かせた。


「……お前、なんで泣いてんの?」

「マジでうぜー!黙れ、ヒョン!!!」


チャンミンは火照った顔を涙でぐちゃぐちゃにしてた。なんで?って考えた瞬間、不意打ちで足が飛んできて腹に直撃した。


「…っ。お前、いてぇよ」

「うるせー!!あんたマジでイライラする!!!出てけ!!!」


また顔を背けて、今度は布団をスッポリ被ってしまった。
チャンミンが見たことないくらい興奮してた。なんで泣いてなんで怒ってるのか全然分かんない。分かんないけど、熱が出てるのだけは分かる。


冷やさないと


今やらなきゃいけないことは、とにかく部屋を出て氷枕と薬と水を取って戻ってくること。



薬ってあったっけ?氷枕ってあったっけ?

いつもチャンミンに任せてたから全然分かんない。

リビングへ向かって、パスポートや重要書類が入ってる棚をひとまず探すと、一番下の引き出しに救急箱と薬箱を見つけた。解熱剤と目に入った体温計を取り出して、次は氷枕。……検討もつかない。

作っちゃえばいいか
氷と水をポリ袋に詰めてタオルで巻いちゃえ

洗面所へ行ってタオルを数枚持ち出した。キッチンへ向かって今度はボールとポリ袋を探す。キッチンの下についてる扉を片っ端から開けていく。


「……何これ」


隠れるように大量のゴミ袋がシンクの下置き場を占領していた。大量の見慣れない料理器具と生ゴミと空のワインボトル。普段のチャンミンなら有り得ない捨て方。

昨日の、スヨンちゃんの料理?ってか材料全部?道具まで捨てるの?

とにかくその隅に追いやられる格好のボールを引っ張り出して、氷と水をその中に入れる。何番目かの引き出しからポリ袋を見つけて、ようやく氷水を入れられた。
不格好な即興の氷枕と薬と体温計とペットボトルを持って、もう一度チャンミンの部屋へ入る。


「……チャンミナ」

「…………もうホント、いい加減に、して……」


また近づいたら、今度こそやばいよな?


「いや、えっと。薬とか持ってきたからさ。俺は部屋戻るからあとで飲んでよ」

「…………」


そのままチェストに持ってきたもの全部置いて、なるべくチャンミンの寝てる場所まで寄せてから、静かにチャンミンの部屋を出た。









今はチャンミンを休ませてあげないと

自分の部屋へ入って、ベットへ近付いた。



横目に違和感



サイドボードに真っ白な封筒が置いてある。手にとって裏をめくると小さくて綺麗な文字で名前が刻まれていた。


「スヨンちゃん?」


封筒を開けて手紙を読む。







『ユノさん

お久しぶりです、お元気ですか?
いつも兄がお世話になっています。
私が見ていたのに、兄に怪我をさせてしまって本当にすいません。
マネージャーさんにも病院でお会いした際、謝罪させてもらいました。
今後の活動に影響が出ないよう祈ってます。

ユノさんに一つだけお願いがあります。
いつでもいいので、いつか兄の作った料理を食べてあげて下さい。
ここ一週間、実家に何度も戻ってユノさんのためにって何回も練習してました。
日頃の感謝を伝えたかったみたいです。

これからは兄と二人きりで心許ない時もあるかもしれませんが、兄は本当に心からユノさんを尊敬しています。
恥ずかしがり屋で感情表現の苦手な兄ですが、兄をどうか宜しくお願いします。
ユノさんと一緒なら、TOHOSINKIは大丈夫です!

トンペンのスヨンより』


















チャンミンの怒りと痛み

























だめだ、俺




確信した
















お前きっと


気持ち悪がるだろうな


























ごめんな?


こんなヒョンで















「チャンミナ!!!」

ドアを開けると、チャンミンはちょうど俺の置いて行った薬に左手をのばした所だった。驚いて固まっているチャンミンの手をそのまま引っ張って、上半身を勢いで起こした。


「……なっ!」

「移せ」

「は?」

「俺に移せ、熱」


チャンミンのポカンと半開きに開いた唇に頭を傾けて唇を重ねた。そのまま舌を差し入れてチャンミンの熱い舌も唾液も自分の中に吸い込んだ。離れてチャンミンの目を見る。済州島で見たチャンミンそのものだった。





怒りも、憎しみも、痛みも

熱も、喜びも


分かち合うんじゃなくて


全部チャンミンと一緒に感じたい























「チャンミンが、好き」















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片割れ chap.2 #7









___C.side___









距離を置けば置くほど

些細なことで舞い上がって




馬鹿みたい
馬鹿みたい
馬鹿みたい

本当に馬鹿みたいだ

あの人に関わると僕はまるでバカになる

イヤだ イヤだ イヤだ

バカだ バカだ バカだ


ホントウニバカダ





















愛しさと憎しみで



頭がいっぱい










___Y.side___







早く帰りたくて、メイクも髪のセットも落とさず帰ってきた。マネヒョンはチャンミンの右手が写らないように雑誌撮影の交渉をまだ続けているとのことだった。

宿舎に戻ると、チャンミンのリビングソファーで本を読んでいる姿を見て、改めてドキッとした。右手に包帯がぐるぐる巻かれてる。


「チャンミナチャンミナ!!!」

「あーお疲れ様です、ヒョン」

「お前、火傷どうした!?大丈夫か??」

「大丈夫っすよ。サポーター巻いて固定しますけど、1~2週間で治るみたいですし」

「そっか……。チャンミナ何してたんだよ。。」

「スヨンが来て、料理作ってくれてたの手伝ってたんです。そしたら間違えてお湯の中に手ぇ突っ込んじゃって」

「そう、なの?」

「はい」


じゃあ、昨日玄関にあったハイヒールはスヨンちゃんのか

早とちり……マスターの言う通りだ

落ち着かないと


「心配しなくても、再始動のスケジュールは変更なしですよ。ダンスレッスンも大丈夫です」

「バカ!今はTOHOSINKIの活動じゃなくて、お前の心配してんだぞ、俺は!」

「……そうですか」

「当たり前だろっ!!何だよ、その言い方はっ!!」


まずい

また前のチャンミンに戻ってる

俺も……

落ち着け


「あーあと、、」

「……なに」

「シャイニーのヒョンジュンがヒョンのことビビってましたよ。後輩にまであんま気ぃ使わせないであげて下さいね?」

「今、それ言うこと?」

「忘れない内に言っておきたかっただけです。そんな突っ掛からないで下さい」

「…………」

「まあ、よく休むことがいいらしいんで、僕は早めに寝ます。また明日よろしくお願いします」




このままじゃいけない気がした。


そうして俺は、面倒くさいと言われる覚悟で、シャワーを浴びてから、チャンミンが消えて行った部屋のドアをそっと開けた。

















___11月1日(月)___a daily(日記)


事務所でチャンミニヒョンと久しぶりに会えた!
そんでやっと謝れた!!!

上海ファイナルライブのフィナーレで、ヒョンと水をかけ合って遊んでたけど、結局ヒョンをビショビショにしてしまった事。
ヒョンは「楽しかったよ?」と言ってくれた。

……まじで良かったぁぁ。。涙


気になっていたユノヒョンの機嫌を聞いた。
状況を知らないらしいチャンミニヒョンに思い切って説明した。

あの時、水を嫌がって逃げるチャンミニヒョンを追いかけていたら、ユノヒョンに物凄い形相で蹴りを入れられて(その後笑いながらヘッドロック……涙)、終了後わざわざシャイニーの楽屋まで来てもらって「チャンミナがまじで嫌がることだけはすんなよ。ジョンヒョン潰しちゃうよ♪」と可愛らしく(……逆にゾッとしました。。)注意されたことを言った。


洒落にならんっ。
今思い出しても恐くて泣ける。。。

あんなユノヒョン初めてでマジでビビった!!!

いつも何しても可愛がってもらってるのに。。。



チャンミニヒョンは大笑いした後、なぜかユノヒョンのミュージカルが凄かったとか、ユノヒョンはマイケルジャクソンの着用予定だった靴を贈られたとか、(……相方自慢?すいませんウソですウソです!)たくさん教えてくれた。

「恐がらせてごめんね?日頃のお礼も兼ねて僕がちゃんと言っておくから、心配しないで」って言ってくれたから大丈夫、、、かな??

あーチャンミニヒョン、めっちゃ嬉しそうだったー。

……分かるっっ!!!

だってあのユノ・ユノを冗談も効かないくらいムキにさせてるんだ。特別だって全身で言われてんだもん。




よし!!!俺もシャイニーを全力で守っていける存在になろう!!

あの二人みたいに本物のグループにしてみせる!














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片割れ chap.2 #6









「スヨン、早く手伝って!ザル取って!」

「やっぱ一週間じゃ無理じゃない?もうどこかいいお店でも予約した方が確実だよ~」

「それじゃあ、結局僕の方が奢られて終わりだろ?外だとゆっくりできないし」

「……私だって留学先から戻ったばっかでゆっくりしたいんですけどぉ」

「頼むよ、できるだけさり気なくお礼がしたいんだ」


……それにしたって、『いつもありがとう、感謝の気持ちでいっぱいです!これからは二人でまたやっていきましょうね♪』くらい言えるでしょ……。


「オッパ、料理したこともないし……。カルボナーラだって、一から作ったらけっこう大変だよ?」

「……だから今練習してる……本日3回目」

「……夜中の2時にね……」


私が留学先にいる彼氏にパスタを作って、すごく喜んでくれた話をオッパに自慢してしまったのがいけなかった。オッパもユノさんに料理を振る舞いたいと言い出した。わざわざ練習したのが恥ずかしいらしく、『実は前から料理できてた』体(てい)にしたいんだって。買ってきた壮大な料理器具とこだわりの食材が実家のキッチンに山盛りに置かれて6日目。明日当日なのに、オッパはまだ納得いかないみたい。


「……やっぱ、なんか、ソースが固まっちゃうんだよなぁ」

「いいじゃん、別に。作ったっていう心意気でしょ?こういうのはっ」

「スヨン、お前の兄さんは『妥協嫌い』って知ってるだろ?」

「あーーーねーーむーーーいーーー肌荒れちゃうーーー」

「スヨン!!高級美容品買ってあげる!!日本製のSK-Ⅱとかどう!?」

「え!?オッパ本当!?」

「好きなだけいいぞ!」

「オッパ~~~、サランヘ~~~~!!!」

「明日、宿舎来て一緒に手伝ってな♪」

「…………」


こうして、私の帰省予定は見事に潰れた。
その後もオッパは、最近自室にユノさんが来てネット検索できないと小言を言いながら、実家のパソコンで材料や飾り付けの最終チェックをしてた。
翌日の夕方、オッパと一緒に荷物を宿舎に運んだ。







「でもユノさん、よく外出するんでしょ?晩ご飯食べて来ちゃうかもよ?」

「大丈夫。ユノヒョンはドラマのクランクインの前日は予定入れないんだ。ライブとか映画とかミュージカルの初日前日もそうだった」


えーっと……サセンですか?オッパ
よく覚えてるなぁ。


「それにマネヒョンからも今日は遊ばず帰れって言ってもらうようにしてるんだ。予定だと、宿舎にヒョンが着くのは21時半だよ」


……用意周到過ぎやしない?オッパ


大きなパスタ鍋にお湯が沸騰し出した。もうすぐ予定時刻だ。ダイニングテーブルにはサランラップされたサラダ、手作りのドレッシングがすでに用意されてる。それと「アルマヴィーヴァ」。オッパが選りすぐって買った赤ワインらしい。それに合うように、オッパが何回も練習した濃厚カルボナーラ。

「言葉では気恥ずかしくて伝えられないから、料理を作ってさり気なくお礼がしたい」と言ったオッパ。キッチンに並んで、ベーコンを包丁で慎重に刻むオッパの横顔を見た。





真剣そのもの








「オッパ…………、綺麗…………」








「へ?」

「いや、なんか、キラキラしてるっていうか……。ここまで準備したんだから、ユノさんも絶対喜んでくれるよ!帰ってくるのが楽しみだね!」

「…そうかな?」


そう言って今度は耳まで真っ赤になったオッパを見て、妹ながら可愛いオッパだなと思う。

早く帰って来て、ユノさん♪








ユノさんはなかなか帰ってこなかった。

「おっそいねーユノさん」

「……おかしいな」

さっきから、すぐパスタを茹でられるようにって、オッパはガスを止めずにパスタ鍋へひたすらお湯を継ぎ足していた。その姿にちくりとする。

オッパ、もう1時間以上立ちっぱなしだよ……


「ちょっと連絡してみたら?」

「そうだな…」


オッパがスマホを取り出して、メールを打ち始めた。これでユノさんの帰宅時間がはっきりすれば、一安心。私はテレビをつけて、おもしろそうなチャンネルを探した。ユノさんといつも座っているんだろう大きなソファーが心地よかった。








ガサガサガサガサ!!!

突然、ビニールの擦れる大きな音が後ろから聞こえ始めた。







びっくりした






「オ、オ、オッパ!オッパ!!何してるの!!????」

「捨ててる」


いきなりキッチンでオッパがゴミ袋を大きく開けて、今から使うはずのパスタサーバーやトングやフォーク、スプーンやフライパンを入れ始めた。


「今から晩ご飯じゃん!」

「帰ってこないって」

「……え」

「ヒョン、メールで帰ってこないって」

「えっと……でもでも!!今日は私と食べて、また別の日にユノさんに作ってあげたらいいじゃん!全部新品なのに捨てることないって!!」

「……これからTOHOSINKI再始動のスケジュールで予定が見えないんだ。あっても意味ないよ」


パスタもベーコンも卵もサラダやナプキン全部ゴミ袋に入っていって、私はソファーの上で体を捻ったまま、呆然と見ていた。
オッパはワインも乱暴に栓を抜いて、中身をシンクに流す。


「…………」

「オ、 …ッパ……?」


そのまま動かなくなってしまったオッパの背中が恐い。
ゆっくりオッパが右腕を振り上げた。

……!」



急いで駆け寄ったけど、全然遅かった。


「オッパ!オッパ!!」


オッパは腕をそのまま振りかざしてパスタ鍋を叩き落とした。


「オッパ!!!」



それでもオッパは動かない




落とした鍋は壁側に飛んでいってもの凄い湯気がたちこめた。


「オッパ!!!冷やして、冷やして早く!!」


オッパの右腕を掴んで、水道水に暫くさらす。床はびしょ濡れだけど幸い足にはかかってない。だけど右手はお湯に突っ込んだようで全体が赤く盛り上がった。手首は思いっきり鍋の縁に叩きつけたらしく、曲線のミミズ腫れができていた。


「 オッパーー……、どうしちゃったのぉぉぉ……」


気がついたら涙が溢れ出してはっきりとオッパが見えない。









それでもオッパは動かなかった












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片割れ chap.2 #5










向かう場所は一つしか思いつかなかった。家族にも親友にもマネヒョンにも言えない。

俺、今、混乱してる。ユノ・ユノと知られてない場所。そこしかない。


「いらっしゃいませ、ユノさん」

「マスター、こんばんは」


お客は誰もいなかった。

銅雀区の住宅街のど真ん中。看板も特になくて、友人に教えてもらった小さなバー。初めて来店した時芸能人だと言って紹介されたけど、「私は存じ上げませんから」と笑われた。テレビやネットを一切観ないらしいお爺ちゃんマスターが、光州の田舎にいるような近所のお節介爺さんと空気が似ていて、一人になりたい時に来る場所。


「顔が真っ青ですよ。お疲れですか?」

「ええ、ちょっと急に吐き気がして。体調が悪いわけじゃないんですが」

「……そんな体で飲みに来たんじゃいけませんよ。軽めのものをお作りしましょう」

「お願いします」


白髪頭とシミの目立つ手を小刻みに揺らして、ホットカクテルを作ってくれた。時間をかけてゆっくりお酒を作ってくれて、その間に少し気分を落ち着けることができた。


「無理はいけませんよ」

「ええ、明日から新しいドラマの撮影にも入るし、気をつけます」

「じゃあ、尚更だ。今日は早めに帰られた方がよろしいでしょう」

「あーいえ、今日は……家に居れないみたいで」

「貴方のお家でしょう?帰る権利はありますよ」

「ええ……そうですね。でも僕だけの家でなく宿舎なので 。今夜は一緒に暮らしてるマンネの大事な人が来てるみたいで、こっそり出てきました」

「そうだったんですね。お優しい」

「そんなことないです。いつも気を使わせて掃除や洗濯も任せてしまって……悪いヒョンですよ」

「あはは、人間向き不向きがありますからね。やれる人がやったらいい」

「…………」







誰かに言いたいのに、誰にも言えない


言えない


深い井戸が欲しい



吐き出さなきゃ






『王様ノ耳ハロバノ耳』









「実は…………」

「はい」

「……ある人、を、……好きになったんですが」

「素晴らしいことですね」

「はい……それが、好きだって気付いた瞬間、、失恋も同時にしてしまって……」

「そうですか、……素敵な方なんですか?」

「ええ。ずっともう家族のように特別な、、コで。……仕事仲間でも、あるんですけど」

「なるほど」

「…そのコに大事な人ができた場面を見てしまって。その時、自分の気持ちに気付いたんです。好き、なんだって……」

「……吐き気の原因は、それですか?」

「はい、たぶんそうです。……すいません」


『マンネ』『ヒョン』。マスターは気付いたはずだ。『そのコ』が男だって。言ってしまって良かったのか突然後悔して、冷や汗が一瞬で噴き上がった。


「……貴方が謝ることなんて何もないですよ」

「いえ、、人に歓迎されない……不道徳な想いです」


マスターはそっとお手拭きを差し出してくれた。俺はそれを受け取って汗を拭う。音のない静かな時間が経って、短いのか長いのか分からなかった。



スマホが鳴って、チャンミンから『今日は何時に帰ってきますか?』と入っていた。『今日は帰らない』と打つだけで手が震える。返送して、スマホの電源を落とした。

今日はもう、何も知りたくない……



「……失礼を承知でお伺いしますが……、本当にその方がお好きなんですか?家族のようなおつき合いを今までされてたんでしょう?他の方に取られたような感覚で寂しいだけじゃないですか?」

「……分かりません」

「……貴方はお見受けする限り、猪突猛進の気がある。もう一度冷静に、よく考えてみられるといいかもしれません」

「ははっ……、確かにその通りですね。僕はあまり考えずによく行動してしまいます、もう一度考えます」


本当に、その通り。取り返しのつかないことをしでかしそうで自分が恐い。

今夜、このお店に来て良かった。


「はい。……ただね?」

「はい?」

「もう一度よく考えて、やっぱり好きだと確信したら」

「はい」

「伝えた方がいい」

「……無理です。叶わないですし、不道徳な想いです」

「結果やモラルの問題ではないんですよ。……それでは勇気の出るお話をしましょう。ウンチクめいてクサいものですが、その方がどうしても好きだと思えたら、思い出して下さい」

「あはは!僕ロマンティストなので、そういうお話は大好きです」

「どんなものが好きですか?」

「『星の王子様』とか好きですよ、ははっ」

「じゃあ、大好物のはずだ。特別にお話しますよ」


皺が深く入った顔のマスターが片目をつむって笑った。極上に優しい笑顔だった。

マスターから聴いた話は 、当たり前のようなおとぎ話のようなフワフワしたもので、でも確かにロマンチックな励ましで。明け方には笑って店を出ることができた。




そのまま現場に向かうことにした。マネヒョンの起床時間が過ぎてることを確認して、コールボタンを押す。

「おはよう、マネヒョン。これから現場に向かうんだけどーーー」

『ユノ!?お前今日宿舎いなかったろ。後で撮影現場の住所メールするから、タクシーで直接向かってくれ!』








ねえ、どうした?







『チャンミンが右手を大火傷したんだ』












何があった? チャンミン










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片割れ chap.2 #4








彼女と別れて、二年くらいたつ。


「今回、初のミュージカル出演ですがキスシーンもあるんですよね?」

「はい。練習する相手もいないのでうまくお見せできるか分かりませんが、自分自身がときめくようなシーンができればと思います」

「あはは、ユノさんに相手がいないって本当ですか?ユノさんの皇太子役に期待してます!取材のご協力ありがとうございます」




だって本当。

チャンミンが最近、

……冷たいんです。。涙




「恥ずかしいですし、二人でやっていくって決心はできたので止めましょう」と言われて以来キスをしなくなった。


「チャンミナ、ご飯行こう!」

「今日は気分が乗らないので~……パス!」


「チャンミナ、皆でボウリングーーー」

「いたた……なんか腰の具合が」



チャンドラ~~~どうしちゃった?



食事に行くのも遊びに行くのも極端に減った。だいたい断られる。宿舎に帰っても自室で呑んでたりマネヒョンと外出したりする。喧嘩は格段に減ったけどまたスタート地点に逆戻り、の感覚。。

取材を終えてたまには予定もなく直接宿舎に帰る。


「あ、チャンミナ!!ただいま!」

「……お帰りなさい、ヒョン」


久しぶりにチャンミンがリビングにいた。散らかしたまま出たから掃除してたのか。俺のズボラもたまには役に立つ!思わずチャンミンの背中に抱きついた。


「おい!だーっから、こういうの止めて下さいって!」

「えぇ~。いいじゃん、別に……」

「良くないわ!ほらっ、離れてっ。しっしっ」

「俺、犬じゃない……」

「ハウス、ハウス!自分の部屋にハウス!」


冗談も言い合えるし仲が悪いわけじゃないけど、何だか物足りない。別に彼女がいなくて寂しいとかじゃない。チャンミンだから触れたいなって思うのに。


「そうだ、ミュージカルの千秋楽に、僕観に行きますからね」

「え、来てくれるの?」

「何言ってるんですか、当たり前でしょ?」

「じゃあ!一番いい席で観てな!」

「ははっ、大げさですね~。ユノヒョンがセリフ飛ばさないか観てますよ」


なんかもう、それだけで嬉しくて。本当に来てくれるか不安だったけど、開演直前に客席から悲鳴めいた声が上がって、チャンミンの来場を知らせてくれた。





俺は欲張りだから、ビジネスもプラベートも共有したいけど、チャンミンは違うみたい。。

でもいてくれるだけで御の字か。せめてプライベートはチャンミンの好きにさせてあげたいな。







スマホが振動する。『今日は集合22時!いつもの店で待ってるからな!』メールを確認して、スマホを仕舞う。チャンミンとプラベートは一緒に居れないけど、綺麗にメイクされたチャンミンは今目の前にいる。

チャンミンが今ここにいるならそれでいい!


「……今日も飲み会っすか?」

「うん。たぶん遅くなるわ。チャンミナは?」

「僕もどっか行きます、マネヒョンと」

「じゃあ、早めに撮影切り上げたいな」

「でっすね!」

チャンミンの笑顔。

うん、

今ここに居てくれるなら、いいんだ




何でもない会話が、チャンミンとなら楽しい♪楽しい♪二人とも宿舎にいる時はチャンミンの部屋に強引に入り浸って、下らないこと、その日あったこと、何でもかんでも話しかけた。


「……それ、前も聞きましたね」

「あれ?そうだっけ?ま、いいや。それでな?」

「オチを知ってる話を僕はまたリアクション取りながら聴くわけですね、なるほど~」




だんだんチャンミンが外泊するようになってモヤモヤしたけど、それでもいい。


チャンミンに居て欲しいんだ……







だからある日宿舎に帰った玄関に、女物のヒールとチャンミンのシューズがあるのを見て、俺は静かにドアを閉じてまた夜の街に繰り出した。














目眩がした














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片割れ chap.2 #3









「知り合いと手ぇつないだり頭撫でたりハグしたりって、おかしくない?」

「うーん、親密さにも寄るんじゃない?」


久しぶりに親友のキュヒョンと二人飲みができた。今年はキュヒョンの所属してるスジュの活動が目立つ。お互いのスケジュールが合いづらくなってきた。お互いにビールを頼んで、夕食もアルコールと一緒に済ませることにした。


「そういうスキンシップしてくる人がいるの?」

「いや、ユノヒョンがさ、よくそうしてるの最近特に気になるんだ。神経が分からなくてイライラする」

「はあ?あの人、前からそうじゃん。今さら?ははっ」


確かにそうだ。でも済州島で二人でやっていこうって改めて決意してから色々見えてくるものがあった。二人だけになって正面から全部ユノヒョンを受け止めることが難しい。あまりにも違い過ぎるヒョンと僕。


「でもやっぱおかしいだろ?」

「いやーあの人に関してはもうパーソナルスペースがないって認識あるからそう思わないわ」


もしかするとユノヒョンにとって、僕とキスすることもあまり大した事ないのかもしれない。


「…………いいや。別に考えたくもないし。ってか話しそびれてたことがあってさ」

「うん、どした?」

「年明けに彼女と向こうのマネージャー通して別れたんだ。せっかく紹介してくれたのに悪いな」

「あ、そうなの?ま、いいよ。知り合いの友達だっただけだし」

「キュヒョナ、なんか冷たいなぁー」

「え、だってお前傷心してないだろ?」

「なんで……?」

「分かるよ。あの子紹介してくれっ言った時、お前胸がでかくて綺麗だからってそれだけだったろ」


ぐうの音も出ない。


「それどころか、ずっと前から誰かいないかってほざいてたけど、『とにかく綺麗な子で。もうそれ以外意味ない』って言ったの覚えてるか?俺、お前が大失恋してヤケになってるのかもって本気で心配してたんだからな」

「……ありがとう」

「ホントだよ!まあ、そういうんじゃなかったんだろ?」

「うん」

「じゃあ、いいんだよ。もう」

「…あの時はぁ~……、」

「…なに、気持ち悪いから言うなら早く言え」

「……やっぱ言わない。なんか気持ち悪いし」

「じゃあ言うな」

「……ユノヒョンにさ、」

「言うのかよ。何なんだ今日のチャ ンミニは」

「彼女ができたって聞いて、猛烈に羨ましくなったんだよね」

「えーっと………お前それ、……どっちが?」

「へ?」

「ユノヒョンが?彼女が?」

「は?意味わかんないよ。それまでヒョンがゲイなんじゃないかって思ってたから衝撃だったんだ、あははっ」

「あー、、ユノヒョン昔からボディタッチすごかったもんな。共同宿舎にいた時もよく全裸で歩いてたし」

「あはは!やっべ、そうだったな!」

「……お前、これ、…笑える話で、いいんだよな?」

「キュヒョナこそ何なんだ、めちゃくちゃ笑えるだろ!?」

「……だよな?」


その夜はキュヒョンと僕で自分でも感心するほど赤ワインを呑んだ。やっぱり親友との時間は楽しい。キュヒョンも酔っぱらって「チャミナ、サランヘ~♪」って抱きついてきて、とにかく笑った。でもキュヒョンのそれとユノヒョンのそれは確実に何かが違う。


「キュヒョナ、サランヘ。気をつけて帰れよ」


タクシーを先に降りて、宿舎に帰った。ユノヒョンはまだ帰ってきてない。何かしら遊びの予定が入るヒョン。交友関係が広すぎて、これも僕には理解できない。


「僕を守るって言ったのに……」


ユノヒョンはいない。

あの人には頼りきれない。皆に優しすぎる。それって案外残酷なことだ。

僕は酔いが回った微熱の体でぐるぐる考えた。


「……ちゃんと距離を置かなきゃ」





置かないとどうなんだろう




僕たちの距離は、どれくらいなんだろう

















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片割れ chap.2 #2












___C.side___







ユノヒョンは





悪魔だ











___Y.side___






チャンミンを守らなきゃ。

自分でもナーバスになってるのが分かる。本当はずっと側にくっついといて欲しいくらい……現実に無理だけど。


「ストラーイク!!ユノヒョン凄いです!」

「流石ですね!!」

「よしっ、次は?テミナ?あ、カイか?」

「ヒョン、僕っすよ!」

チャンミンが笑いながらボウリングボールを真剣に構えた。後ろから、ミノがちょっかいをかけて二人でじゃれあってる。

息抜きはやっぱりチャンミンも必要で、事務所の気が置けない同期や後輩となら安心して外へ出たがった。できるだけボウリングや食事に行くようにした。

笑うチャンミン。

うん、いい感じ!



「ユノさん??」

振り向くと、見覚えのある女性が立っていた。

「おぉ~、ウンジさん!お世話になってます!施設は順調ですか?」

「はい、メールでも連絡させて頂きましたが、お陰様でようやく見通しがついてきましたよ。本当にその節はお世話になりました」

「良かった、少し話をしましょう」

チャンミン達に少し抜ける事を伝えて、ウンジさんの手を引いてカウンター近くのソファーへ座った。立派な成人女性なのに骨まで痩せてしまったような体型のウンジさんは、どこか儚げな雰囲気がある。軽くハグをして、近況を聞いた。

「ウンジさんよく踏ん張りましたね、あなたは偉い」

「そんな……、あの福祉施設自体古いものなので、この先どうなるか分かりませんが。でも今回の経営難を乗りきれたのはユノさんの援助金のおかげです。本当にありがとうございました」

「あなた達スタッフさんも工夫されたんでしょう。皆の頑張りですよ」

「今日私も休みでしたし、ユノさんがこのボウリング場へ遊びに行くと返信して頂いたので、ご挨拶に来ました。ユノさんにもお会いしたかった、ですし」

「え、そうなんですか?わざわざすいませんっ」

「いえいえ、またうちの施設来てくださいね!」

「はい、福祉施設の経営に興味もあるので、是非また教えて下さい」

「じゃあ、……お食事でもしながらの方がいいですよね……?」

「あ、そうしましょう。施設の中で、皆で食べるのも楽しそうです♪またご連絡しますから、宜しくお願いします!」

「あ、はい……っ、待って、…ますね?」


ウンジさんをボウリング場の出入り口まで見送って中へ戻ると、練習生のカイが自動販売機から飲み物を選んでいた。


「ユノヒョン、お疲れ様です!もうお話は終わったんですか?」

「おう。俺が払うから、他の奴らの飲み物も適当に買っていこう」

「ありがとうございます!……あの」

「うん?」


水、炭酸、コーヒー、甘いの。適当に自動販売機のボタンを押して、カイに取り出してもらう。カイのまるっこい後頭部が可愛らしい。撫でるとサラサラな髪質が気持ち良かった。

「……、この前のライブ、本当に格好良かったです…。本当にユノヒョンのこと尊敬してます!」

「あはーはーはー。ありがとな♪俺も一安心してるよ」

「あの……、変な質問ですが…、なんであんな風に歌って踊れるんですか?どうやったらあんな風に、ユノヒョンみたいに踊れるんですか……?」

「うーん、そうだなぁ。俺の場合は好きでずっとずっと踊ってたら、ある日突然うまく踊れるようになったかなぁー」

「才能、ですか……。神様からのプレゼントみたいで、憧れます…」

「違う違う。俺だって思い出すだけで冷や汗出るくらい練習したんだよ。ただな?」

「はい」

「楽しむんだよ。ステージの上では自分が主人公だって。王になったと思って踊れ」

「…………不敵!!

「え、ステキ??」

「あははっ、不敵って言ったんですよ!ユノヒョンのそのニヤッて笑う表情とか、……ぞくっとします」

「言われると恥ずかしいなーー!もう褒め攻撃はやめろっ」

「あははっ、すいません。でもマジ尊敬してます」

「ありがとう、俺ももっと頑張らなきゃな」

腕いっぱいにペットボトルと缶を持ったカイを連れて歩き出そうとした瞬間、背中にトンッとカイの頭が落ちてきた。


「カイ?」

「僕、今、色々悩んでて。でも諦めません。いつかデビューして、ユノヒョンとコラボしてステージに絶対たちます……!」

「……待ってるから、早めにこい」


振り向いて、カイを飲み物ごと大きく抱きしめる。デビュー前は誰だって不安になる。それを乗り越えて進めって思いを込めた。








___C.side___






男も女も関係ない


カラダに触れてココロに寄り添って

かっさらっていく


皆、魂を奪われる









あの人は




悪魔だ
















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片割れ chap.2 #1

(注意)すいません、物語の流れの中で、二人が誹謗中傷される辛い時期の描写が出てきてしまいます。ぼかしていますが、ここに来て下さった方には気持ち良く読んで頂きたいので、過去を連想されてお辛い方、悲しくなってしまう方必ずバックをお願いします。よろしくお願いします!














俺たちは

時々、

キスをする







___Y.side___






仁川空港の自動ドアが開く。ベッドフォンとサングラスをしっかり装着して、目線を前だけ向ける。背筋を伸ばしたまま、スタッフとSPに囲まれながらロビーを抜ける。それでも耳に侵入してくる罵声。『裏切り者』『地獄に落ちろ』と赤字で書かれたプラカードに胸を蝕まれそうになる。

……大丈夫、大丈夫、だいじょうぶ、ダイジョウブ。だって俺たちは何も悪いことしてない。待ってくれてる人達が必ずいるんだ。


前に進もう


KALラウンジに滑り込むように入って、奥のテレビラウンジに陣取った。そこで、マネヒョンが慌てた様子で後ろにいるチャンミンの頭を両手で挟んだ。


「チャンミン大丈夫か!?」

「……びっくり、した……」

「ケガは?」

「ない、、と、思いますけど。……けっこう痛かったんで……もしかしたら当たったバックの中に……鉛みたいなものが、入ってた、かも」

「何??チャンミンどうかした?」

「いえ……」


ニット帽を脱いだチャンミンの顔は血の気が引いていた。


「さっきチャンミンの頭にペンが投げたバックが当たったんだ、ユノは前歩いてたから分かんなかったか」


…………マジか


「……マ、ネヒョン……、チャンミナとレストルーム行きたい。傷とか汚れがついてないか確認してみるから」

「あぁ、ユノ頼むわ」


黙りこくったチャンミンの腕を引いて、レストルームへ入った。文句も言わず素直に狭い個室へ一緒に入ったチャンミンから事態の深刻さが伝わっきて、俺は一気に冷静でいられなくなってしまった。


「お、おい、大丈夫か!?どこ、どこ当たった!?頭だけ!?」

「大丈夫、大丈夫です、ユノヒョン、本当に大丈夫だから、落ち着いて……」

「だって……お前……っ!!」


外に出るのが恐いと言っていたチャンミン。思慮深いチャンミンは、避難されるのはもちろん、もしかしたら物が飛んでくることも予想できてたのかもしれない。俺は今更その事に気付く。



俺って本当……いつも、こう……



「……っ、とにかくっ、頭は大丈夫なんだな?汚れもついてないか見るから後ろ見せてみろ」


チャンミンをぐるりと回らせて、服をチェックした。頭にコブや切り傷がないかも細かく確かめた。特に気をなる所がないことが分かると安心できて、チャンミンの肩を抱き寄せて左首に顔を埋めた。ベビーパウダーの残り香がまるでチャンミンの優しさそのものみたいにふんわり香る。


「チャンミナ……本当にっ、……ごめんな?」

「……ユノヒョンのせいじゃないですよ」



いや、俺のせいなんだ

俺がちゃんと皆を納得させられてないからこうなるんだ。俺のせいだ。



「絶対絶対チャンミナ守るからっ……!!頼む、俺についてきて」



顔をあげて、チャンミンに押しつけるようにキスをした。これは、絶対守るよっていう誓い。



本当は

俺、恐いんだ


チャンミンがいないと前に進むどころか、立ってられないくらいに不安なんだ





チャンミンを手離せない俺を



どうか許して













___C.side___









『ユノとチャンミン』

様々な見解から、グループ名を出さないことにした初めての二人だけのパフォーマンス。




手が震える。足が震える。事務所イベントのライブだから、当然いろんなグループのペンが観に来る。……もし、あの空港みたいなことになったら……??





「俺にはチャンミナしかいない」

「僕にもユノヒョンしかいません」


力強くハグを交わして、肩をぶつけ合う。二人なら大丈夫って、言葉と体で表す。

楽屋を出て、廊下やバックステージで仲間や後輩、スタッフに背中を叩かれて気合いが入る。

まだ足が震える。

登場演出のためにワイヤーを下半身に装着して待機する。





『ユノとチャンミンー!!』

アナウンスが聴こえる







そして


爆発するような歓声を浴びた









TOHOSINKIは二人







ホテルの会場で打ち上げをした後、そのまま上の部屋へ戻った。スイートルームにツインが最近の僕たちの定番になった。キーカードで鍵を開けて、窓際で着飾れたソファーにユノヒョンと座る。ソウルの夜景が温かく感じる。


「チャンミナ、お疲れ様!」

「ヒョン、お疲れ様です。やりましたね!」

「できるな!俺たち、これからも宜しくな!!!」

「正直僕は…、ユノヒョンが最後に『TOHOSINKIの~』と発言した時に一瞬不安になりましたけど……結果あそこが一番盛り上がりましたね。博打みたいなものでしたが、あれで僕たち二人が認められましたよ」

「そうかな?大丈夫だったかな?ごめんな、本当は出さない予定だったのに。皆の歓声と振動がダイレクトに伝わってきて……二人でやっていけるって確信したら興奮して言っちゃったわ」




そうなんだ……。

僕は、パフォーマンス中はどこか冷静な頭があった。僕が本当に確信できたのは、イ・スマン会長が「二人ならやっていけるよ」って言ってくれた時だった。打ち上げで話した彼が、元々僕たちのプロデューサーを躍起になって担ってくれてたあの時の顔だったから。


いつもアクションを起こすユノヒョン。ユノヒョンは瞬間的に人を導くような力がある。誰もそれに逆らえないんだ。僕はいつも客観的に物事をみるから、そんな神憑りはできない。



僕って、本当……いつも、こう……



ユノヒョンの肩を抱き寄せて、トントンと軽く背中を叩いた。右耳にユノヒョンのピアスが当たる。

「あははっ、チャンドラ?」

「本当に凄かったです。お疲れ様でした」



僕は顔を離して、ヒョンに柔らかくキスをした。これは、絶対そばにいるっていう誓い。



本当は

僕、恐いんだ


ユノヒョンがいないと、あの光り輝くステージが「ただの仕事」になりそうなんだ





ユノヒョンを手離せない僕を



どうか許して













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片割れ chap.1 おまけ






済州島によくいる、数人グループの観光客がわいわいガヤガヤ近付いてきた。若い男性たちばかりだが、その中の一人が特にガラが悪い。

旅行に全身ヒョウ柄って……

はははーうっそーん……

…もうどうでもいいわ



「……おい」

「また来ちゃったよ♪チャンミナ!」

「あーーま~った来ましたかーそんな服で。斬新すぎやしないか?…二回も来られると有り難みがなくなりますねぇ」

「あはーはーはーはー!いやいや今度は俺の友達連れて来たよ、チャンミナ!皆、お前に会いたいって言うからさー」

「お邪魔します!……って、ほぼユンジャの独断だろ…」

「はじめまして!……って、友達にも迷惑かけてるんじゃねーですよ!!!」

「あ、いや。でも一回俺らも来てみたかったし二日前に言われて焦ったけど。飛行機代ユンジャ持ちだし。あんま気にしないで、チャンミン君」

「……本っ当にすいませんあとできつく叱っておきますので…

「そうだよ、チャンミナ気にすんなよ♪チャンミナが恐いから今回飛行機で来たし

「あんたが言うな!!!」

「チャミ、大声出さないでーウルサいよー。前のシャイチャミどこー?キングユノどこー?

「そんなんいねー」

「あはははははは!!チャミ、めっちゃおもしろい♪」

「イ・ヨナさんだ!」

「こんにちわ~♪」

「あの、ファンです!ドラマ頑張って下さい!!」

「な?だからお前ら来て良かったろ?」

「だっから、あんたが言うな~~~~~~!てかホテルの予約してるのか?忘れてないか?してないなら早く手配してもらわないとっ














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片割れ chap.1 #6









___Y.side___




その時のことは 

まだ誰にも打ち明けてないよ



罪深いことかもしれないし

チャンミンもきっと笑うだろ?





でも確かに見たんだよ






俺を見て微笑んだ姿が

敬愛する『彼女』に見えたんだ





チャンミンが






微かに

柔らかく

子供をあやすように優しく笑うから










チャンミンが










聖母マリア様に見えたんだ














___C.side___






隣にいるユノヒョンが僕を見たのが分かった








予感がする







鼓動が耳の裏側で聞こえる

心臓が飛び出そうで舌が痺れる


嬉しかったり苦しかったり
楽しかったり腹がたったり

男とか女とかじゃない

このぐちゃぐちゃな感情が
何なのか分からない





ただ本当に


ユノヒョンは特別なんだ



この気持ち、伝わるかな ?

伝わって欲しい

伝わって欲しいんです




僕はただその気持ちだけでユノヒョンを見た。

そしたらヒョンが呆気に取られたような緊張したような変な顔をしていて、僕だけがこんな感情じゃないんだなって思ったら何だかおかしくなって。



笑ったまま

僕はそっと

ユノヒョンにキスをした



キスと言えるかどうかも危うい、触れるだけの口づけだったけど。




「…………」

「あ~~~~恥ずかしっっ。ああぁ、もう~~……!!!なーんで言い出した張本人が固まってるんですかねっ」

「いや、なんか……」

「分かりましたか?」

「え?」

「……僕にとってもユノヒョンは、男女の関係じゃないけど特別なんですって。それを分かってほしくて、こんなアホみたいな提案にのったんです」

「……ありがとう、チャ ンミナ」

「根拠も何もないですけど、やってみましょうか、二人で」








その夜、僕は夢をみた。




二人で見つけたあの砂浜に
僕は一人で座っている

目の前には暗闇の海
波の音だけ聞こえてる

雲の切れ間から満月が現れる
スポットライトのように海を照らした

その上で
ユノ・ユノが踊りだす


すごく、綺麗だ

頭の先から 指先まで つま先まで 


完璧だった



翌月、マイケル・ジャクソンの追悼公演を観に行った僕は息を呑むことになった。ステージ上に現れたユノヒョンが、夢でみた彼そのものだったから。







僕はこれからも

困惑し、

悩み、

立ち止まりそうになることがあるだろう。





その時はまた済州島に行こうと思う。



あの砂浜に行こう









未来のユノヒョンが

また見られるかもしれないから












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片割れ chap.1 #5





チャンミン


いっぱい、いっぱい


話をしよう











チャンミンお薦め…?の動画を観て散々からかわれた後、俺たちは砂浜を目指してドライブした。本当は事前に調べてた近くの表善海岸で夕焼けを見たかったけど、さすが人気のスポットで人のひく気配はなかった。少し北上したところで見つけた静かな浜辺に着く頃には、とっぷりと日が沈んでいた。

周りはほとんど見えない

海と砂浜と月明かりと

二人だけ


車を降りて、海岸沿いを進む。
俺は波で遊んで、チャンミンはそれを見て笑った。


「別に無理してここまでくることなかったですよ」

「いや、一緒に砂浜で寝そべってみたくてさ」

「ええ~嫌ですよ~。砂だらけになる」

「そう言うと思ってね、途中で買ってきた♪」


持ってきたビニール袋からビックサイズのレジャーシートを取り出して見せた。


「……そういうこと、やればできるんじゃないですか」


俺が急いで広げたシートの上に、チャンミンは素直に腰を落としてくれた。
二人で仰向けに寝ころんで、視界いっぱいに広がる星空を眺める。ちょっと肌寒いけど、今はそれくらいが気持ちいい。
いざ何を喋ろうか迷っていると、チャンミンが話し始めた。


「僕は……、知ってると思いますが両親が厳しく躾てくれたおかげでマナーを気にします。マナーにはそれぞれ意味があるんです。ペットボトルに口をつけないのも、つけるとそこから菌が繁殖しちゃうからです」

「あ、そうなの?」

「あとこれは、エゴかもしれませんが。僕の前できちんとマナーを守ってくれる家族や友達を見ると、僕に敬意を持ってくれているんだと感じるんです。それが嬉しいんです。分かりますか?」

「うーん、親しき仲にも礼儀ありみたいなこと?」

「そうですそうです。でも最近僕はユノヒョンに強要させようとしてたかなって思って。そこは本当にすいません……直したくもないものを他人に強要されるなんて、辛いですよね」

「いやいや、直そうとしてないわけじゃないんだ。チャンミナの言うことはいつも正しいよ。でもその時その時、本当忘れちゃったり他にやることが重なってたりして。俺ね、いつも後から気付くの。それで、あ、またやっちゃったわって落ち込んだり」

「え、そうなんですか?」

「うん。あらかじめやることが分かってたら考える時間もあるから大丈夫なんだ、今日みたいに。チャンミナと海で寝そべって話するんだって決めてたから、チャンミナの嫌がらないようにレジャーシート買わなきゃって思いついたし」

「あー、確かに」

「ほら、濡れてもいいようにタオルも買ったよ」

「ははっ。宿舎から持ってくれば良かったじゃないですか」

「その時はまだ気付いてなかった」

「はははっ。なるほど」

「だからさ、俺たち……全然性格は違うけど、きっとうまくいくよ。大丈夫だよ!」

「はははははっ、全然根拠ねー!」

「いいのっ!!!ちょっと恥ずかしいけど、仲直りのぎゅーしようチャンミナ!」

「ちょ、ぎゅーって!なんですか、その恥ずかしい言い方はっ。こういう時はハグでしょ!」

「あ、そうだな」


自分でもびっくりするほど、俺たちは流れるようにハグをした。


お互い横向きになって

片腕で抱き合って

片方は自分自身の腕まくらにして

頭を合わせた






こうやって、

お互いの気持ちが見えたらいいのにな?





「あ~落ち着くわぁ~」

「…僕はヒョンの胸が改めて柔らかいなって思っちゃって若干ビビってます」

「お、お前ね~~~!!!人のコンプレックスをからかうなよっ」

「さっきのペンが作った動画、最高に面白かったでしょ!?『ユノパイ♪ユノの自作ソングにのせて』ふふっ…、あれはマジで笑えますっ」


しっかり抱き合った腕を離して、俺たちは座り直した。並んで胡座をかいて、チャンミンと今度は海を見つめる。



この先に

未来があるとして

どんな道になる?






「ドライブして夜の浜辺って本当デートの王道っぽいなぁ 。色々恐くてデートらしいデートもしたことないから憧れるわ」

「ですねー。僕も今日彼女と電話で別れたんで相手は未定です」

「マジで!?あ~そっかー……。なんか俺、タイミング悪い時にきた?ごめんな?」

「ぜーんぜん。もう自然消滅に近い形でしたし、未練もありません」

「でも……」

「なんすか」

「さっき、スタッフの人から、チャンミナがよく休憩中に海を眺めに行ってるって聞いて……。何か悩んでるのかなって思ってて。……出ていったメンバー達のこととか」

「はははははっ」

「よくこの話で笑えるな……」

「はははっ。だって、あのヒョン達にも未練はありません。もう戻ることもないでしょう。僕は割り切りましたよ?」

「チャンミナって、すげーな」

「僕が考えてたのは……
ユノヒョンのことだけです」

「そうなの?」

「はい、これからヒョンと二人きりでやっていくんです。二人で言い争って喧嘩しても、また二人で前を向いて歩いていける方法、それを考えてたんです」

「チャンミナ頭いい!すごい!何だろうな、、ソレ今決めときたいな」

「まーこの場で思いつけるとは思えませんが、何か糸口でも掴めるといいですね」





南のリゾート地

夜の浜辺で

二人でできること









「……キス、とか?」


「はあああ!?男同士っすよ僕たち!気持ち悪いですわ!」


「バカ!!例えばだよ!!!なんか…なんて表現したらいいか分かんねーんだけど、 チャンミナは俺にとってすごい特別な存在だし。それぐらいできるよってことが言いたいわけ」



「はぁ……まあ、気持ちだけ頂いときます」

「はいよっ!」




「なんか……まあ、そうっすねー」

「うん、なに?」





「分かりますよ、気持ち」

「何の?」











「だからっ、…すごく特別だから……できるよって気持ちが、です」







俺は思わず横を向いた。



チャンミンはまだ海を見てる















予感がする


いやもう……







今、チャンミンと目が合ったら、たぶん……

















俺、チャンミンとキスする









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片割れ chap.1 #4











「嬉しくて堪らない」と呟いたまま、何かを見つめるチャミの目線の先を追って見る。


ちょうど一台の車が撮影現場の端に停まるところだった。キャストの友人や関係者が応援に駆けつけてくれるのはいつものことだから、特に驚くことはない。


なのに、

その人が助手席から姿を現した瞬間から、私は身動きが取れない。
目の前で作業していたスタッフさん達もぴたりと止まって動かなかった。

何も特別なことはない。

車のドアを閉める、シンプルなジーパンと黒のPコートを着た長身の男性。サングラスをかけていて顔なんてほとんど見えない。唇が微笑んでいることだけ教えてくれる。

右足を出して 左足を進めた



ゆっくりと歩き出す

私たちのいる場所に近づいてくる



その時そこにいた全員、たぶんこの何でもない光景を一生覚えてると思う。

誰も動けなかった。



彼の放つ空気そのものに支配された



信じられる?




その男性が私の隣に座るチャミの前で立ち止まった時、やっと納得したの。



あぁ、これがユノ・ユノなんだって









周りの見物客や観光客がユノさんが応援に来たことに気付いて、どよめいて色めいた。現場が落ち着くのに時間がかかってまた少し撮影が押してしまったけれど、ユノさんは一緒に来たマネージャーさんとケータリングを携えて丁寧に謝罪してくれた。私にもきちんと挨拶してくれて、チャミの言う誠実さが伝わってくる。


「ヨナちゃん、ドラマ観るからね。応援してるよ」

「ありがとうございます。チャンミン君と精一杯頑張らせて頂きます」

「チャンミナ、チャンミナ!!」

「ヒョン」

「来ちゃったよ♪」

「……みたいっすね……で?」

「うん??」

「撮影決まった時に来なくていいって言ったじゃないですかぁー」

「だって、会いたくなってさ」


チャミの大きな目が見開いて、それを見るユノさんは茶目っ気たっぷりに肩をすくめた。さっきの空気が嘘みたい。


「お、お!?じゃあ飛行機の方が早いでしょ!車でどんだけ時間かけて来たんですか!」

「ええ?? んーっと……、マネヒョンと色々立ち寄りながら来たから時間忘れてたわっ。
あはーはーはー!」


すでに車へ戻ったマネージャーさんは運転席のシートを倒して両目にタオルを被せている。二人交代で運転しても相当疲れる距離を、ユノさんは事も無げに笑い飛ばした。


「本っ当に、有り得ないですね~」

「チャンミナとドライブしたかったんだ」

「……!!まさかそれだけのために車で来たんですか!?フェリーまで使って!?」

「そうだよ?ドライブ行こうよ、チャンミナ」

「あー…レンタカーって選択肢もありましたね~。ま、ユノヒョンだから仕方ないですけど。今日の撮影撮り終わったら行きましょう」

「や~たった、やったった♪♪♪」

「そんな歌ばっか歌ってるから、ペンに変な動画アップされちゃうんですよ」

「え!そんなん、あるの??」

「あるあるマジで。すんごい面白いユノヒョンの動画ありました。後で一緒に見ましょう」



なんか

うん


なんか いいな

この二人




それからユノさんは周りのスタッフ全員にも握手を求めて、ひたすら「チャンミンをよろしく」と言いながら回っていった。
チャミは、その日、一度もNGを出さずに撮影を終えた。監督に「チャンミン君のその笑い声が撮りたかった」って言われてて、チャミはまたさらに大きく笑った。











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片割れ chap.1 #3







ユノヒョンと

六日間会話してない



正確に言うと、

六日間ユノヒョンを無視し続けて、そのまま済州島へ来てしまったから、実際には



……一ヶ月近い。




ユノヒョンは行儀が悪い
僕が何度言っても直してくれない
ユノヒョンは直そうとしない


僕はそれを許せない







非常にまずい、と思う。

話し合わなきゃ、と思う。


でも来月からユノヒョンは忙しい。L.A.でダンスレッスンを受けた後ソウルでマイケルジャクソンの追悼公演の予定だ。

しばらく二人一緒の仕事もない。


どうしよう


日にちが空き過ぎて宿舎に戻ることすら恐くなってる。


「ユノヒョンに会いたくない……」





会わなきゃいけない、んだけど

会いたくない




会いたくない、けど

会いたい












再開時間になって現場へ戻ったのに、撮影の始まる兆しはなかった。少し時間が押してる。


「チャミ、気分転換できた?」

「ヨニありがとう。海、気持ち良かったよ」


ヨニが僕の腕を引っ張った。そのまま自分の隣の椅子を引き寄せてくれたから、僕はそこに座ることにした。


「まだ時間かかりそうだから、昼寝しよっと」


ヨニはゆっくり背伸びして目を閉じた。
僕を腫れ物扱いしない優しさがある。


「ドラマの相手役がヨニで良かったよ。演技は大変だけど、ヨニのおかげで気楽にできてる」

「だって同じ事務所で同い年じゃない。TOHOSINKIの状況も知ってるし。いくらチャミがシャイでも、落ち着けるのは当たり前でしょ」

「ありがとう。でもチャミってやめてよ
、変なあだ名だよ」


ヨニが目を開けて、笑った。こうやって僕をそっと励ましてくれる。だけど、僕は未だに暗いままで悪いなって思う。


「まー、色々あると思うけど。ユノさんと一緒なら大丈夫じゃない?」

「そうだね……。……全然性格違うから困ることもあるけどね」

「ユノさんって、どんな人なの?」

「うーん、そうだなぁ……」


喧嘩してても、尊敬してるヒョンだ。


「誠実で、皆に優しくて、」

「あはは!チャミは確かに冷たい!」

「でもお茶目な所があったりする」

「それから?それから!?」

「それから~……」

「うんうん♪」



……………………バカか?



「……バカ

「へ?」

「単細胞だね」

「あはは、何それ?」





僕たちは些細な事で喧嘩ばかりだ

本当に馬鹿みたいだ



「人の気持ちは考えないし」












でも



受けてたちます












「いつも何も考えずに行動するんだ」




それは





「でも、それが」







ソウルから恐ろしく離れた

この美しい済州島で







今、有り得ないものが見えてるから








「たまに、嬉しいことだったりするんだよ」











僕の見馴れた

あの車が見えてるから




「チャミ?」










正直に言います













「嬉しくて堪らないんだ」











本当はずっと会いたかったんです



ユノヒョン














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片割れ chap.1 #2









___Y.side___



すんごい下らない、

いつものことだった。

俺にとっては。




喉が乾いた

冷蔵庫を開いてペットボトルを掴む

キャップを開けて水を飲む





普通のことだろ?




「ヒョン、今どうしました?」


普通のことだろ?


「水飲んだ」


なのにさ、


「……すいません。
僕もうやってられません……」





チャンミンはそれから





俺と喋らなくなった






あ、ペットボトルに口つけて飲んだからか。

チャンミンの嫌がる俺のクセ





……いつものことだったじゃん


なのに





なんだろ





チャンミンと何でもいいから

喋りたかった







でもチャンミンは





もう宿舎に居なかった







___C.side___



世界遺産のある観光地、済州島の、のどかで爽やかで薄ら寒い季節だった。


しばらくこのリゾート地で、僕は初主演ドラマの撮影をする。

泊まりがけのスケジュールだから、普段の連続ドラマの現場よりは幾分余裕があるらしい。セットの待ち時間ができて、撮影中に入っていたスマホの留守電を確認して、リダイヤルした。




電話口の声は、要点だけを伝えてきた。


僕の彼女のマネージャーであること。
今のTOHOSINKIの状態から、僕との交際が報道でもされたら、売り出し中の彼女にも何かしらの被害が及ぶ危険性があるということ。
お互い今が一番大事な時期だということ。
つまり別れてほしいということだった。


『チャンミンさん、すごく苦しい時に本当に申し訳ないが……』

「いえ。当然の判断だと思います。むしろ気が回らなくてすいませんでした」

『そうか…。チャンミンさん強いね、偉いよ』

「今後彼女とは一切連絡取らないので、マネージャーさんもどうか安心して下さい」

『助かるよ。チャンミンさんの活動、陰ながら応援してるから頑張って』


スマホをタップして息を吐き出す。

彼女は 、親友のキュヒョンからの紹介で知り合った女優の卵だ。最近テレビの出演も多くなってきて、連絡もしていなかった。お互い恋愛どころじゃなかった。


「……僕、全然、傷心してないな」


悲しい気持ちより、これからも芸能界にいる限り彼女と会うことを想像するだけで気まずさがこみ上げる。キュヒョンにも申し訳ない。


「あー、キュヒョナに奢らないとなー、今度の飲み会」




港の防波堤をのぼって、何もない縁にハンカチだけ敷いて座った。真下はもう海だから、水の跳ねる音が聞こえる。それだけ聞こえる。
振り返ると撮影場所が肩越しに小さく確認できた。首を戻して海だけ見る。撮影の休憩中、僕はここばかり来てしまう。




考えなきゃいけないことがあるから








もう



ユノヒョンと





六日間会話してない……








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片割れ chap.1 #1





昔、

僕たちは

二人きりになった







___C.side___




空気読めない時や雑な所もあるけど

誠実で優しくて


ダンスを踊る姿は誰よりも美しく格好良い


皆から愛されて

皆を愛して


そんなユノヒョンだから

ついていけるって思ってた





「ユノヒョン。布巾でテーブルふけとまではもう言わないので、せめて食べたら出たゴミだけでも捨てて下さいよ」

「だからちょっと休んでからやるよ」

「それでいつもやらないじゃないですか。
いつも僕がやってます」

「やろうと思ってたらチャンミナが先に片付けちゃうんだろ」

「子供じゃないんだからそういう屁理屈はやめてもらえませんか?思わず軽蔑してしまいそうなんですよ」

「なんだその言い方!お前いい加減にしろよ!
なんか見下されてるみたいで腹立つわ」

「別に見下してないです。ってか、この時間がもったいないじゃないですか」


ガンッ


と、ユノヒョンがテーブルの足を蹴って、コンビニ弁当の空容器をベコベコと握り潰しながら、ドスドス台所へ向かって、 僕が気に入って買った黄色いゴミ箱に押し込んだ。


「これでいいだろっ。
もう、うるせーから部屋行くわ」




静まりかえったリビングで

僕は、思う。




全然良くない

容器は水洗いして乾かしてから捨てるべきだ

容器はプラスチック製だから資源ゴミだ

黄色の可燃用ゴミ箱に入れるべきではない

汚れが取れないプラは可燃でオッケーだけど、僕から言わせれば、それはズルである
資源は大事だ







ヒョンが部屋で壁を殴る鈍い音を聞きながら

僕は、思う。





このヒョンとは



合わない
















___Y.side___






マンネのチャンミンと俺は



合わない





チャンミンが小難しそうな分厚い本を読み始めて、もう三日目になる。


「チャンミナ今週お互いオフだろ?一緒にどこか旅行にでも行こうよ」

「あー、僕は部屋にいたいです」

「でもずっと家だと息も詰まるだろ?外に出てリフレッシュしよう。俺の友達とかマネヒョンも集めるから皆で出かけようぜ」

「すいません、一人で色々考えたいこともあるので。やりたいゲームもありますし」

「じゃあ、旅行じゃなくてもさ。例えば線路沿いずーっと歩いてみないか。案外歩いてると、いい考え浮かんだりするかも」

「外に出たくないんです」

「んー。……俺、引きこもり気味のチャンミナが心配でさ」

「気持ちは嬉しいですけど、正直、外が恐いんです。今の状況で……周りの人たちが、僕たちのことどんな風に見てるのか考えると……」

「ヒョンが守るよ!俺たちは間違ったことしてないし、別に犯罪者でもないだろ?大丈夫だよ、チャンミナ」

「…………話にならない」


チャンミンの視線は本から離れなかった。




人見知りのわりにはっきり物を言う

綺麗好きで子犬みたいに可愛くて


何より歌声は高く力強いのに切なくて
天まで届きそうだなっていつも感じる


実は人一倍傷付きやすくて

心を開いた相手を 深く愛する


そんなチャンミンだから

守りたいって思ってた








けど








二人きりになって

気付いた









俺たちは正反対の人間なんだって









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片割れ chap. 序

(注意) 主にホミンですが、
物語の流れでホミンホになります。二人はこんなのじゃない!と気分を害される予感のする方はバックをお願いします。
BL表現があります。ご注意下さい。












歌謡祭の長い本番を終えて、僕たちの楽屋へ帰る途中、突拍子もない声が追いかけてきた。


「お疲れ様です、ユノ先輩!あの、良かったらごはん連れて行ってもらえませんか?」


ユノにつられて振り向くと、後輩のソリが顔を赤らめて立っていた。
こないだ所属事務所をうちに移籍して歌手デビューしたと同時に記録なCDセールスを叩いている彼女。もともとプロのモデル時代から歌がうまいと話題になっていた。


「ん?ソリ??どした、何か相談したいことがあるのか?」

「あ、いえ……。そういう訳ではないんですが……。やっと憧れのTOHOSINKIさんと同じ事務所に入れたのに、今までユノ先輩とゆっくりお話することもできなかったの、で……」


はーん

憧れのTOHOSINKIとか言いながらユノしか見てない。

僕は蚊帳の外ですね


「そうだな!じゃあ、近い内に皆で飲みにでも行こうな?」


あ……ユノそれたぶん、、チガウ

ソリの顔が曇った。


「あ……、はい……。あ…、じゃあ!私の連絡先もらって頂いていいですか!?
空いてる時間あれば、連絡下さい!」

「ん、いいよ♪」


ソリがバックからメモ帳とペンを取り出して急いで書きあげた連絡先をユノに渡した。


「すごく嬉しいです、ユノ先輩っ。
ありがとうございます!
ずっと待ってるので必ず連絡下さいっ」


ド直球だな……。


「オッケー、俺も楽しみにしてるよ」


笑い返しながらソリの頭にぽんぽん触れる。

ユノの悪い癖だ。



「あの、あとユノオッパって呼ばせてもらっ ていいですか?」

「おぅ、何か困った事があったらオッパにいつでも言えよ」

「はいっ!!!」


走り去る彼女の足は浮いているように軽やかだった。




……ムカムカするーーー。



ユノオッパってなんだ、気持ち悪い。
親しくもないのに、いきなりそういう風に言えちゃう積極性って逆に失礼じゃないか?


自分の胸の真ん中にどす黒い塊。

一体いつからだろう


「チャンミナ? どした?調子悪い?」

「どうもないですよ。気のせいです」



ソリは、



ユノが好きなんだね?


さっきのは、デートの誘いでしょ?

当のユノは全く気付かず、後輩に慕われて嬉しいぐらいにしか思ってないようで、彼女のメモ書きを何気なしに衣装のポケットへ滑り込ませた。


…あれ絶対忘れて帰るな


ソリの好意なんて、絶対教えてやらない。
ごめんね?ソリ


楽屋に入ってすぐ、ユノはソファに身を委ねて息を大きく吐いた。


「今日は特に激しいダンスミックスだったけど、お互いよくこなせてたよな?」

「そうですね」


まだ汗のひかないユノの振り向かれた綺麗な顔と目が合う、…んだけどすぐそらしてしまった。


「ユノはぁ……、格好良くて、いつもキラキラ輝いて、本当にモテますよね」

「あはーはーはーはー!!そんなこと言ってくれるの、チャンミナだけだよー♪」


大笑いした後、アーモンド型の瞳をパチパチさせながら、左手を額から顎まで撫で下ろして表情を落ち着かせるユノ。
落ち着かせてもだめ。赤くなってますよ?



きらきら キラキラ 可愛いユノ。
ねえ、こんなユノ。


最高でしょ?


「チャンミナ、こっち来て♪」


ユノの問いかけに言葉は発せず、楽屋の鍵を内側から閉めてユノの隣に座った。今日の収録は撮り終えたから、後は着替えて帰るだけだ。


「ユノ、……キス

「……ん」


ユノの唇に舌を差し込んで口をこじ開ける。


「ん……、んんっ、ふ…、……んくっ


わざと唾液を大量に送り込むと、一生懸命
飲み込もうとしているユノ。

僕を欲しがるユノ。

嬉しくて鳥肌がたつ


「ねぇ……、べろ突き出して」

「…………珍しく積極的なチャンドル」


露わになったユノの舌を僕の唇で挟んで吸いながら前後にシゴいてやる。
ユノはこれが好きみたい。
眉間に皺を寄せて 、目はとろんと悦に入る。


これは 




この人は





僕の、ユノだ


「……っ、チャンミナ。こんな深いのされたら興奮しちゃうだろ。ここ、楽屋だよ?
……無理じゃん、続き」

「ユノ、ごめん。。少しして落ち着いたら一緒に帰ろう?今夜、うち来れる?」

「あー、マネヒョンに言っとく」


僕たちは抱き合う。腕も足も絡めて。
みっちり、隙間なく。
お互いの竿が衣装ごしに当たる。
首筋の汗が混じる。


一つの物体になる




一体いつからだろう。

僕たちが二人で一つになったのは。




苦しくて

幸せで



僕はユノでいっぱいなんだ








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