貴方のために。

40000拍手記念
ミ●オ様へ




_______HeeChul.side______only
(注意)BL表現、男っぽい荒い言い回しございます。ご注意下さい。








ぶっちゃけ聞きたい。
だって面白そうだから♪笑

今夜は事務所の打ち上げで盛大に飲んだ。会が終わって皆おのおの好きな集まりに分かれて別の飲食店へ。解散してまだいける奴らだけでまた別の店へ。

ターゲットはかなり泥酔してヘラヘラしっ放しのチャンミン。いつも鉄壁のガードをしてるキュヒョンが今日は体調不良で帰った今夜がチャンス。
でもまだユノがいる。ユノも面倒くさいからいらない。いつもチャンミナが~チャンミナが~ってのろけてくるくせに下世話な話になると途端に魔王が降臨するからつまらない。でもチャンミンが心配らしくてどこまでもユノはついて来る。いつも見てる。だから聞けない。
本当いらない。ユノは帰れ。聞けないから!


「チャンミ~ン♪いぇーい☆」

「ヒチョルヒョぉ~~ン♪」


とりあえず二人の席が離れてる時を伺って、チャンミンにハイタッチをしながら隣の席をゲットする。ユノが向こうの方でチラッと見て害がないだろうと判断したのか、また話してた輪の中へ視線を戻すのが見えた。
第一関門は抜けた。ラッキー!
手に汗握るスリル。


「……ふうぅぅ、、」


こ・わ・い・か・ら!!笑
そ・れ・だ・け・で!!!笑


「ヒチョルヒョンどしたんすか?汗垂れてますよぉ~?」

「いやちょっとね、ミッションインポッシブル級のレーザービームが飛んできてね…」


何ですかそれ~!?って腹を抱えて笑うチャンミンは絶好調。もう絶対絶対聞くなら今しかない!ウフフフフフ…♪

事務所に入ったのはユノが先だけど、年齢では俺の方がヒョンだから。俺はキレると見境なくキレちゃうし皆そういう時の俺を警戒してる。ユノも何だかんだ気を使ってくれる。
そうだ、ユノなんて恐くない!


「チャンミンさぁー、どう?最近。ユノとうまくいってんの?」

「あっはっはっはっはっはっ!!いってまああーす!!あはははははっ!!」


大声出すのは止めろ!
爆笑は危険だ!
人差し指を突き上げて宣言するチャンミンを隠そうとあたふたしているとまたユノの監視ビームに当たって、心臓に深手を負った。やはりこのままじゃ身が持たない。こんなんじゃユノもすぐ察知するはず…っ。ちっ。ここは直球で早く新世界を聞き出して退散しよう。
俺は目一杯色気のある声でチャンミンの耳元へ囁いた。


「なあ、ユノって大雑把だから。…初めてした時けっこう強引だったんじゃない?」

「した時?」

「……エッチ♪」

「あー…、、」


ニヤケてるニヤケてる。
ウケる。これは聞き出せる♪ソッチの世界♡
試したいとは思わないけど興味はあるっ。


「ぶふっ……ぶふっ……ふふふふふふ…」


漏れてる漏れてる。
頼むから大声で報告すんなよ、血の海になるぞここが。俺の血でなっ!!涙


「ユノはぁ~、すんごい優しかったですよぉ~。全然痛くなかったですし、ふふふふ」


ふおおおっ♡やっぱそういうもんなのか!?
アニメオタク(俺はアスカと結婚します!←)だから百合もBLも漫画は読んだことくらいある。どちらも攻めてる方より受ける側がいつも感じまくってイキまくるという描写がお決まりだけど、あれはファンタジーじゃない!?本当だったのか!?……それともユノのテクニック!?でもあるわけないよな?ユノも男はチャンミンが初めてなんだし。


「へーっ。本当に。じゃあチャンミンのために勉強したのかな?あいつ」

「さ~あ~?それは分かんないですけどぉ、僕はめちゃくちゃ調べましたねっ」


そうだよな。未知の世界だもんな。
今後予定のない俺だってこんなに知りたい!


「へえ。例えば?体位とか?」

「ぎゃははははっ!でふ!んぐ、」

「ま、とりあえず飲みなさいよ、君っ」


また声が大きくなりそうなところで、チャンミンの口へグラスを押し付けて飲ませる。
まさに妙案!チャンミンはべろべろになるけど酒強いから全然飲ませて大丈夫!
さあ、続きを述べたまえと催促した。


「本っ当に調べなきゃいけないことが山のようにあるんですよおー。知ってますか!?準備とか後処理とか病気防止のためにそれはそれは何十ものサイトで調べて、でも言ってることが微妙にそれぞれ違うからまずは総括してそれから明らかに嘘くさいものと絶対気を付けなきゃいけないものを精査して段階別に分けてたんですよっ。で、できるものは検証してみたりっ。あ、あとコメント欄に意外と目から鱗なことが書かれててそこもけっこう見逃せないんですよ!リアルな意見っていうか、例えば精!ぐっ、」

「飲め、とりあえず飲め」


ぼろぼろ出るけど今日大丈夫か?こいつ。笑
面白過ぎる!てか、真面目すぎ!笑
保健の授業かよって。笑
そこんトコより華麗なる魅惑の初体験を具体的に聞き出してみたい!


「で?まあ色々チャンミンなりに調べてどうだった?実際はっ♪」


ヤバい。楽し過ぎて声が弾む弾む。笑


「実際は物凄く緊張しちゃってもう何が何だかって感じで。…だってっ、できなかったらどうしようとかぐるぐる考えちゃってですね~。でもそんなのやってみたいと分かんないじゃないですかぁ~。でですねー、そういうのも前持って調べてはいたんですよ?ハウツーコラム読んだりハンドルネーム使ってネット上で聞いたりだとかいろんな画像や動画漁って研究してえ。でもやっぱり実際分かんないですよねえぇぇ、こればっかりは。悩んだーあーすごい悩んだんですよ僕ぅ。ほんと色々みましたよ、ほんとにほんとに…」


ハウツーって。。笑
しかもネットに書き込みして聞いたんかい。必死だな。笑
昔AV動画の女優の好み力説してたコがなぁ。時はチャンミンを野獣でなく妖艶に変えたな。

てか周りの人間揃いも揃って押し黙って俯いてるけど、これ絶対聞いてるな。
……ま、いっか。笑
ミノの赤面以外皆笑い堪えてるだけだし。BoAなんてあからさまにこっちに身を乗り出してニヤケてるし。


「チャンミンがユノに…とは考えなかったの?」

「そんなの考えませんよー。捧げたかったんです、僕は。……ぶっ、、ふふふぁっはっはっはっはっは!!いや真面目な話でですね~本当にそうだったんですよお」

「「「「……キュン♡」」」」


捧げるなんて破壊力抜群の萌えゼリフきて酒で口塞ぐの忘れてたぁ~!!ユノめっちゃ見てるぅ~!ヤバい!ヤバい!でも続き聞きたい!
てか周り皆キュン死してるぞ、チャンミン!いくら顔の良い俺でも捧げたいなんて言った日にはこの世の終わりみたいな顔される自信がある。さすがツンデレならではのチャンミンマジックだな☆じゃないっ、早く続き聞かないとっ!


「で、で?どうだった?初めてって…」

「あはは~酒が美味いぃ~♪ミノも飲めよおお♪」

「良かった?やっぱBL?漫画並みに?」

「くっくっくっくっくっ…っ♪」

「初めてなのに?物凄い快感に襲われて?的な!?」

「楽しいー♪」

「っ、超気持ち良くて?気ぃ失うほど?病みつき?もうユノから抜け出せない?とか!?」

「はあ?ヒチョルヒョン何て言ってるんすかあ?」

「だから…!ユノとの初エッチはどうだったかって…!本当に漫画みたいに初めからイキまくれるのか!?」

「ああ…?あー、」


こっそり聞きたかったのにチャンミンがふわふわ笑ってあんまり耳に届いてないようだから、質問の内容ががんがん卑猥にやっていく。隠れ聴衆もさすがに赤くなって口や頬を手で隠してるけど、目線はチャンミンに集まってる。皆知りたいんだっ。いや皆は二人のエッチ事情が聞きたいのかもしれんが、俺は純粋にウケ側の世界を是非聞いてみたいんだ!

なんかもしかしたら俺も片足突っ込みたくなるような目眩く花園がそこに広がってたりするわけ!?
男って快楽に弱いから、やっぱりどうしても未知の領域には興味が沸く。
いや、試さないけど!絶対試さない。相手もいない。けどチャンミンのとろけた答えを聞いたら揺らぐかもしれん。どうしよ。笑


「なわけないですよ、苦しかった」

「「「「え」」」」

「え、でもユノって…大きいよな?大きいと感じ過ぎて絶頂を何度も味わえると言う定説が…」

「何ですか、その都市伝説は。逆に辛くて息できなかったですよ。酸欠の恐怖を味わいました」

「え、でもお前痛くないって…」

「だからそれはぁー、ユノがすんごい注意してくれてたんでありませんでしたけどおっ。初めは恐怖でガチガチ歯は鳴るし臓器を引き摺られてる感覚って言うんですかぁ?その違和感が半端ないから気持ち悪くて気持ち悪くてー。下手に拒否して暴れると傷付く可能性もあるし尚更硬直してずっと吐き気と闘ってましたよー」

「「「「……、、、」」」」

「エ、エグいな……」

「ま、そんなの初めくらいでしたけどねっ。あははー♪今考えると僕スゲー♪シム頑張ったぁ♪」


……現実は、甘くない。。。
ロマンは消え失せた。無理やり強姦プレイものとか詐欺だな、こっちもトラウマになるわ…。

男性陣も自分の身に置き換えて青ざめちゃってるよ。何故か紅一点のBoAだけは「よくやった!なんか分かるわーっ、すごい分かるわーっ、いや!むしろ女子よりチャンミンの方が立派!」と拍手喝采に感動しててカオス状態。


「何?何の話してるの?」


来ちゃったよ…。いや、来るよねさすがに…。
飲んで赤ら顔でもけっこうシャキッとしてるユノが登場。俺の隣に座るな、こら。チャンミンと二人で俺を挟むな、こら。


「二人の初えっちの話だよー♪」

「はあ?」


BoAさん、止めてもらえませんか。あなたの天真爛漫さは時に非情ですよ?ほら、ユノ氏が恐ろしい顔つきで俺を睨んでるじゃないですか。。


「うきゃきゃきゃきゃ♪」


だからチャンミン爆笑やめて?俺これから墓場に行く一歩手前よ?

どうしよ、さすがにマズイ。。
やっとこさ聞き出せた内容に冷やかす要素が一切ねー。
……仕方ない!ここは作戦Bプランだ!


「っていうか俺はさ、そもそも身体の関係とかいらないかな」


秘技・俺は紳士です(逃げ)作戦


「性欲と愛とは別物だろ。やっぱり相手を想うその気持ちが一番大切なんじゃない?と……」


「「「……」」」


皆の白い目がぁー。突き刺さるー。。


「「違うんだなああっ!」」

「ひっ、」


BoAとチャンミンの声が見事にハモって綺麗だな。いや、今そこじゃないけど。


「好きだから触れたいし触れられたいじゃん、ヒチョルオッパみたいなのがいるから私達の方が肉食系とか言われちゃうんだよっ。ねー??」

「ね~♪」


やめてー、ボア&ミンで同盟作らないでー。涙


「恐いけど触れ合いたくて近付きたくて、いっぱいアホみたいに知識詰め込んでそれでも不安でね!」

「ねっ!」

「痛いとか苦しいとかめちゃくちゃ耐えてでもやっぱり相手に自分で気持ち良くなってもらいたいからって、意を決して全部預けるこの心意気がお前らに分かるかーっ!!?ね~チャンミン♪」

「ね~♪何が何でも受け止めてやるっていう気持ちですよね!」

「そうそう、そうそうっ!」

「最後はもう何よりも貴方を信頼してますって決心でどんとね~!」

「ね~っ♪」

「「「「…………」」」」

 



そんなの知っちゃったらさ。
当然攻め側の俺たちは、


「……あの時の彼女さん、ありがとうございました…」

★€☆#ちゃん、ありがと…」「@◇ちゃん、本当に好きだったよ…


初体験をもらったであろう奴らが彼女や元カノに拝むという、謎の現象が起こってしまった。


「チャンミナ、その……信頼してくれてありがとう、、」


もちろん、ユノも。


「へえ~?……って、わおえああええ!?!?なんでユノがここにいるんすかぁ!!?」

「「「「今更だわっ!!!」」」」

「…っ、、ぁ、と…っ、、トイレ!…っ、トイレ行ってきます!!!」

「「「「……萌♡」」」」


くそーっ、急にシラフに戻って恥ずかしがりながら逃げる姿とかズルいだろ!王道パターンだろ!デカイくせに萌えるわっ!あのいつもはしないバタバタ感がまた…っ。あ、靴間違えて履いて行った。くっそぉ~、この小悪魔めっ!


「あ、俺も行くっ」

「止めとけ、ユノ。一生トイレから出てこなくなるなら」

「でもチャンミン本当偉いわあ。いっぱいユノのこと考えてくれてるよ~、幸せ者めっ☆」


頬杖つきながらユノをバシッと叩くBoAに俺も賛成。ウケがそんなに大変だと思わなかった。


「あんた、ここだけの話。チャンミンとする時、勉強とかちゃんとしたのぉ?」

「いや、、まあ。……そういう系の…動画?はちょっと観た、かな…。勉強するっていうか、その場でちゃんとチャンミンの表情見ながら進めなきゃって思ってた、」

「だよな。いや、そんなもんだよ、BoA。こっち側って。ユノの言うことすげー分かる」


やり方とか体位とか見てる内に想像で大興奮して、相手のこと考える前に結局オナニーして終わっちゃうんだよ。こっちだって緊張するけど苦痛の心配なんてしない。

なんか酔った勢いで好奇心剥き出したけど、すごく考えさせられてしまった。


「じゃあ、これを機会に反省してっ。そして勉強して向上してっ☆」

「「「「反省します……」」」」


BoA嬢の勝ち誇ったような高らかな笑い声が下げた頭上から聞こえるけど、全然嫌味に思えなくなってしまった。エッチって気持ちいいものだけど、その前に必ず皆、初めてを体験するんだもんな。

本当偉いよ、人体の神秘だわ


「無駄に激しくすりゃいいってもんじゃないからね!」

「「「「あ、はい…」」」」

「演技させるんじゃないわよ!?」

「「「「あ、はい……」」」」

「相手がこれして欲しいっていうお願いは勇気振り絞って言ってんだからね。必ず笑顔で受け入れてっ。面倒くさがったり拒否しちゃだめよっ、分かった!?」

「「「「分かりました……」」」」


なんでだろう……、反省するどころか脂汗までどっと出てる、俺。。。涙
調子にのったバチが当たったのかな。


「あっ、BoA。ちょっと質問!」

「はい、ユノ君。どうぞ」



こうやって俺たちは勉強していく。
少しずつ。ゆっくりと。
理性と本能の狭間に揉まれながら。
時に自己満足を怒られながら。



「えと、ちょっと動画で観て…いつかやりたいなって思ってたやつなんだけどな?」

「何ですか?アクロバット技ですか?それともアブノーマルな性癖ですか?それは本人と話し合って決めて下さい。そこまで知らんがな」

「違う違う違う違うっ!!」

 

慌てふためきながら
カッコ悪さ全開で



「あのさ……、」





あなたのために







「ア、アクセサリープレゼントした後に着けたまましてくれるにはどうすれば…?」




「「どうでもいいわ!!!」」

「やだ!!俺のもの感出したいっ!後そこにキスしながらしてみたい!!でもチャンミナ汚れるとか何とか色々言って外しそう…っ、、」

「「勝手にやってろ!!!」」




 






もちろん、自分のためにもね♪







リクエストとずいぶん違う方向になりました、ごめんなさい!。゚(゚^∀^゚)゚。
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ちわわ喧嘩。










「ユノっ!」

「ん?」


「なんであの人と飲みに行ったの?」

「…?友達だから?」

「なんで二人で行かなきゃいけなかったの?意味が分からない」

「いや、それはたまたまなんだけど」

「たまたまって……はっ、好きになったの…?」 

「は!?え、なんでそうなるんだ?そんなわけない」

「どっちかに好意がないと二人で会うことになんかなんないだろ!」

「……。俺は、、お前だろ…っ。、言わせるなよ…」

「…っ、だから信じられないんだって!ユノが理解できない、皆に平等すぎる。ちゃんと好きなら僕を一番に考えてよ、僕のこと大事じゃないの!?」



「一番……」

「……違うの……?」

「順番とかつけられないし友達も仲間もみんな大事だよ」

「……それは分かるけど、僕の欲しい答えじゃない……」

「じゃあ…、なんて言えばいい?」

「そんなんも分かんないの?……あんた最低だな。もういい、、」

「好きだよ。いつも感謝してる。どうしたら分かってくれる?」

「どうせ皆が好きで皆に感謝してるんでしょ。そんな気持ち、僕は申し訳ないけど分かんないし分かりたくもない」

「…むー、」





「!ちょ、キスで誤魔化すな!!」

「したいと思うのはチャンミンだけ。ずっと隣に居て欲しいのもチャンミンだけ」

「…っ、だったらもう二人きりとかで飲みに行かないでよ!僕、嫉妬してしまう。……ユノを取られそうで、、すっごい嫌だ…っ、」



「……。そっか……じゃあ、もう行かない」

「え…?」

「嫌な気持ちにさせて、ごめんな?」

「……本当?男の人とも女の人ともダメだよ?…正直、仕事の延長線上で飲みに行くも嫌でやめて欲しいんですけど……」

「うん、いいよ。他にも何かチャンミンが嫌に思うことあるか?」

「……とにかく……ユノと誰かが二人きりとか、ヤなんですよ。。」





「!だから何キスしてんすかっ!」

「いや、ははっ。今のどうしたって可愛いからっ♪」

「…っ、別に可愛くないっ。真面目に聞いてよ!」

「うん、聴いてるよ?」

「じゃあ!飲みに行くだけじゃなくて…カフェとか映画とか買い物も……僕以外の誰かと二人ではもう行ったりしないでっ」

「うん。分かった」

「出来るわけないじゃん!本気で言ってんの!?」

「本気。それでチャンミンが嬉しいんなら、俺もすごく嬉しいから」

「…………」

「だからチャンミン、笑って?」

「……ユノからは、何か僕にやめて欲しいこととか、ないんですか?」

「何にもないよ」

「だって僕……こんな風に嫌なことばかり言うし……。あ…じゃあ僕も、キュヒョンと二人で色々行ったりもうしませんから。……行く時はミノとか、絶対三人以上とかで予定合わせます」

「そんな事しなくていい。チャンミンは行っておいで」

「だって……そしたら不公平に」

「いいんだよ」





「……」

「そんなの気にしない。楽しいことは思いっきり楽しんでこい。チャンミンに直して欲しい事とか、全くないから。な?」





「…ズルいなぁ、ユノは。何でそんなにいい人なの?仏なの?いや、神か?」

「ふふふ、俺スゴいだろ♪」

「ですよ、本当に。……ちなみに、その……あの人と飲みに行って…、楽しかった?」


「え」

「ん?」


「……うーん…ぅん、、まあ…」

「なに、まあって」

「いや別に。タノシカタ、」

「…ユノ?」

「はい…」





「ユノ、何ですか。教えて?」

「チャンミン、だってズルいな…」

「ふふふ♪いいから教えろ♪」

「…………悪い。実は、、」

「…う、ん……」
 


「……前からチャンミンのこといいなって思ってたらしくて…でも俺いるし悪いけど諦めてって言って……」

「……。は!?」

「そういうサシ飲みだったから……あんまり楽しくはなかった……」

「……始めっから言ってよ。こんなに怒って、、僕バカみたいじゃん…っ」

「言えるわけないだろ!格好悪いだろ!…なんか、卑怯だし……」



「……。ユノ、さっき禁止したやつ。やっぱナシで。僕もやっぱり、ユノには自由にして欲しい」

「……お前、面白いなぁ」

「なんで?」

「皆が喜んでくれるようなこと言っても喜ばないのに、皆が見たくないような俺の醜い部分に喜ぶもんな」

「……。ユノだって同じでしょ、僕の欠点なとこ可愛いって言うじゃん」

「いやチャンミンは喜び過ぎだからっ」

「……そうっすか?」

「今めっちゃニヤけてるじゃんっ、」

「…ぶっ、ふふふふふふ♪」

「あーもう…、すっごい恥ずかしい…っ、ごめんチャンミン。俺、本当格好悪いな…」

「ふふふふふふ♪」

「…っ、笑い過ぎだから!」





「っ、」

「ユノ、僕ね?」

「……なに」

「皆が褒め称えるホトケのようなユノはもちろん凄いなっていつも尊敬してますけど、ユノの格好悪い所に僕、心を鷲掴みにされるんですよね♪」

「…っ、…本当かわってるわ、お前」





「人間らしくて、いいじゃないですか。嫉妬したりドジったり…僕はそのまんまのユノが一番いいんです」








SS
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クリスマスだからじゃない!









クリスマスって何の日?



神様が生まれた日?
プレゼントをもらえる日?
愛を確かめ合う日?
サンタが街にやってくる日?







「もうっ、イヴに予定がないなら言ってくれたら良かったのに。てっきりユノは友達と遊ぶもんだと思ってた」

「1人で平気だって。お前ももう予定あるだろ?」

「いつも通り数人で集まって飲むだけだって。別にクリスマスパーティするわけでもないし」

「いいから。行っておいで、チャンミンいないと盛り上がらないぞ」

「……いいの?」

「ゆっくり楽しんできな♪」

「……分かりましたぁー。じゃあ、行ってきます」


チャンミンが出て行って一安心。買い込んでたグッズをばさばさ引っ張り出して準備開始。


「こういうのは格好からだよな♪」


サンタの衣装に着替えて、鏡の前に立つ。帽子の被り具合を調整してビシっと決めて。


「うんっ、ユノサンタの完成♪ユノサンタ~♪ユノサンタ~♪」


ソファに座って、まずは赤いペンを持った。


「あと10枚♪」













「お、おかえりー♪」

「…………ただい、ま……」

「何、どうした?」

「いや、ユノのことだからてっきり……」

「ん?」

「……いや、何でもないです。あー、楽しかったー♪飲み会最高に盛り上がった♪」

「あははっ、良かったな♪」


チャンミンは目をくりくりさせて明らかに挙動不審。
部屋も飾り付けてないし、サンタの衣装も脱いじゃったし、クリスマスらしいものは何一つない。

ちょっと残念そうかな?ごめんな、すぐに出せなくて。


「ユノは?もうご飯食べた?」

「あ!忘れてた!」

「チキンとかケーキは買ってきたよ。食べる?」

「おーチャンミンありがとう♪」


何でもない会話をあーでもないこーでもないって笑いながら話す。
チャンミンと、2人で。
チキンを食べて「美味しい」と言う。
その言葉に「美味しいね」と返してくれる。


「イチゴケーキも美味いなあー」

「うん、良かった」


「チャンミンのイチゴも頂戴」

「ちょ、ただのクリームケーキになるじゃん!」


「明日何時からだっけ?」

「昼の一時にKTBスタジオ入り。あ、ユノこぼれてる」


いい時も悪い時もずっと隣に居てくれて、暖かい。


「よし、眠くなってきたしそろそろ寝ようかな」

「僕も」




これってきっと奇跡みたいなもの

クリスマスだけじゃ、足りないよ

本当にずっとずっと感謝してる




「あ、今日僕自分の部屋で寝るんで」

「へ?じゃあ俺も…」

「今日は一人で寝たいんでっ。おやすみなさーい」


ばたんっと乾いた音が響いて、容赦なくチャンミンの部屋は閉ざされた。


「……」


かちゃりっと自室の鍵も閉められた。


「……」


ちょっとこれは、、マズイ、かな!!?








「チャンミーン!クリスマスプレゼント欲しかったー!?」

「何がいい?物なら何でも買ってあげるよ!?」

「分かった!鞄か!?あ、時計!?休みが欲しいとかは無理だぞ?マネヒョン鬼になるしっ」

「もしやワイン?高級ワインか……?うん大丈夫…、ヒョンに言ってみな!」

「車はちょっと、、泣いていい?」



「…………」


手当たり次第、部屋の前で吠えてもチャンミンはまったくの無反応。


「これ、まずいな……」


ごめんな、俺があげたいのは、物じゃないから。

諦めて自室に入って、友達に電話しまくった。皆呆れて「そんなのじゃダメだ」「やっぱり物は用意しないと」「っていうか聖なる夜を邪魔するな」ばかり。


「チャンミンごめん……」


明日一番に謝って種明かししよう……。。。












目覚ましのアラームが鳴って、瞼を上げる。寝返って止めようとすると、がさっと紙製の物体に当たった。


「ん?」


銀色の物体に付いている赤いリボンをぼーっと眺めながら、とりあえずスマホを取って起床音の停止ボタンを押すと、起きなきゃいけない時間のまだ二時間前。


「ん??」


不思議がいっぱいの思考回路の先に、ベットの中からちょこんと見える赤い三角帽子で、そっか今日クリスマスかと思い出した。

でも俺ここにサンタの衣装置いたっけ?


「ん???」


そう気付くと、途端に嬉しくなる。
なるよね?そりゃなるよ。


「チャンミン?おはよう?」


ゆっくり布団をめくると、サンタ帽子を被った真っ赤な服のチャンミンが現れた。首回りから裾際に白いファーが付いてて、サンタって言うか小人みたい。
長身の小人?赤い妖精?いやプレゼントがあるからやっぱりサンタか。でも綺麗な寝顔に眠り姫も捨てがたい。
チャンミンに定義なんかつけられない。
君は本当、規定不可能。


「あははっ!何これ、チャンミン可愛いな♪」

「ぅーん、、……ユノサンタが来ないんでチャンミンサンタが来ましたよー…」

「あはーはーは!これは?クリスマスプレゼント?」


瞼を擦ってる眠気眼のチャンミンを横に、銀色の包装紙を破ると俺好みの個性的なニットセーターが出てきた。アシメントリーな形だけど、色はグレーで控えめ。チャンミンのセンスが光ってる。


「チャンミン、ありがとう」

「クリスマスだからとかじゃなくて。。あ、似合うなーって思ったから昨日帰りにぽんと買いました…」

「うん、本当にありがとう」


じっと見つめると瞳が揺れてそらされてしまう。耳に触れるとはっとしてまた俯いてしまう。
何年経っても変わらないね。
いつも言うことは同じこと。


「チャンミン、耳赤いよ?」

「……っ、あのだからっ、別にクリスマスプレゼントが欲しかったわけじゃなくて……なんか、なんかその、どうせ時間があったんなら、ちょっとはユノもなんかやって欲しかったかな、と……。あ、でも僕飲みに行ったから言える立場じゃないんだけど……」


チャンミンって素直になる時なんでこんなに小さくなるんだろう。





大切なものをそっと、

俺だけに見せてくれるような





「俺もね、実は用意したんだー♪」

「え!あ、そうなの!?」


愛しくて、痛い。切なくて、苦しい。
どうしようもなく胸が締めつけられて、この感情を救えるのは君だけ。


「でも俺まだ欲しいなあ。この服も嬉しいし、チャンミンが着てる服も欲しいなあ。そうだ、今ちょうだいよ。そしたら俺もサンタになれる♪」

「ちょ、っと!だは!くすぐったい!」


抵抗する手足は形ばかりで全然力が入ってない。

ありがとう、全部くれて。
全てのチャンミンをもらう、今までも。
これからも。

上着を脱がせて俺が着て、ズボンを脱がせて俺が履いて、帽子も奪うと、最後は綺麗で格好いいチャンミンの裸体が現れた。


「はいっ、ユノサンタだよー♪」

「さみぃー……」

「……じゃあ。俺から熱さをあげる」


俺のどこかにあるスイッチが入ると、後はもう衝動的にチャンミンを求めるから自由が効かない。食べるように唇を奪って指先で素肌をなぞって。
もっと、奥へ。
チャンミンの芯の、真ん中まで。


「……まさか、これが用意したものとか……言うんじゃないでしょうね…っ」

「さあ、どうだろ?」

「まったく……」

「でもサンタさんって愛し合うための時間まで用意してくれるんだなぁ。アラームいじってくれたおかげで2時間はゆっくり過ごせるよ、チャンミン。朝からちょっぴりエッチなこと期待してるサンタさんに感謝だな♪」

「……バレた?」

「当たり前だろ。いつも感謝してるよ。ありがとう、チャンミン」

「……ユ」


チャンミンの喉奥まで舌を突き刺した。





本当に感謝してる。
俺の心の中で、一番星の君がいつも輝いてる。
ピカピカで、きらきらで。
その輝きのおかげで、迷うことなくまっすぐ進んでいける。




この気持ちは、

クリスマスだけじゃ表しきれない


 


「本に挟んだ」

「え?」

「引き出しの中。ジャケットのポッケ」

「??」

「ポストの底。アクセサリー箱の隙間」

「……」

「365枚、探してな?」


『ありがとう』
『本当に好き』
『大好きだよ、今日も一日頑張ろう』
『愛してる』
『いつも傍に居てくれて嬉しい』
『感謝してる』
『風邪ひいてない?ファイティンしてるか?』
『同じ夢をみよう』


小さな小さなメッセージカードを部屋中に埋め込んだ。
クリスマスだけじゃ足りないから。
クリスマスだからじゃなくて、毎日飽きるほど伝えたいから。






クリスマスから始まるプレゼント




毎日君に、届きますように









☆HAPPY VERY MERRY CHRISTMAS☆
皆様に素敵なプレゼントが届きますように!

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初雪の采配


















韓国では、恋人同士で初雪を見ると、


その2人は


永遠に結ばれるっていうジンクスがある。












「ユノ」

「ん!?」


腕を組んで窓際で外の天気を伺ってると、チャンミンに肩を掴まれた。


「体ゆらゆら揺れすぎ。見てるこっちが酔いそうだよ。どしたの?」

「あー……」


でもジンクスの事なんて言ったら、チャンミンは一緒に雪なんて見ないだろうな。下手したら自室に鍵をかけて逃げちゃうかもしれない。ベストは雪が降ってるのを二人で見た後に、そう言えばさ、とか言いながらジンクスの話を切り出したいけど、生憎まだ雪は降ってない。気象予報は今日降るって伝えてたのに。


「外寒そうだなぁと思ってな?」

「……でしょうね、2月だからね……てか、今帰ってきたばっかじゃん……」


チャンミンの目がなんとなく憐れみを含んだ微笑を作ったけど、俺別にカワイソウなコじゃない。。
でも、ここは言い返さない。
そう、チャンミンと初雪を見たいだけ。


「だなー!はっはっはっ!忘れてたわ!」

「……とりあえず着替えよ?」


チャンミンに柔らかく背中を押されて暖房のよく効いたソファーに促された。無地のトレーナーを渡されて着替えても、やっぱり気になってイチゴアイスを冷凍庫から取り出して食わえながら、然り気無くまた窓際に寄った。


「ちょっとー。今日はベランダ出ないでよー?雪降るってテレビで言ってたから」

「あ、やっぱりそうだよな!!?」

「……うん、今年一番だって言ってたと思うけど」


ヤバい。。
思わず大声になった。
しかめっ面のチャンミンにバレたかもしれない……。


「えー、と……」


どうにか、どうにか、

誤魔化す方法は……、、


「あ~、昔雪だるまとか作って遊んで楽しかったなぁ♪積もったら一緒に作ろうか?」

「いやぁぁ~~、僕はいいやっ!」

「あは、は……」


だよな。。
でも何とか誤魔化せたと思う。


「僕シャワー浴びるね」

「おー、ゆっくりな♪」

「あははっ、ユノみたいに長くは入らないけどね」

「ふははっ、まあそっか」


リビングで一人になると、窓に張り付いて寒空を見上げた。
なんか降りそうな気がする。
いや、降るだろ。
降る降る!雪降る!
今年の初雪。








チャンミンと一緒に見たい




「雪、くれよ!!!」
 

夜空を見つめ続けた。










「……あ、、?」










ふわふわの、綿毛のような


軽やかな大粒が



ゆっくり、のんびり、




降りてきた












「おっ!!」

「ユノー?」

「チャンミン!雪、雪!!俺がお願いしたら、雪本当に降ってきた!」

「おぉ、本当だねぇ」

「ちょっとお前もこっち来て見ろよっ♪」

「はいはい」


ほかほかの顔でトレーナーを被りながら近付いてきたチャンミンの手を取って、ベランダのドアを開けた。
奇跡的なこの初雪を、どうせなら肌で感じたい。


「チャンミン出て出て♪」

「あ~、、湯冷めするぅ~、、っ」

「ちょっとだけっ」


急に頬が痛くなるほどの冷たさがやって来て、吐く息が一気に白くなる。振り返ったチャンミンの髪の上には、雪の玉が舞い降りてた。

昔、天使みたいだって言われてたチャンミン。

でも全然変わらない。
今も天使だよ。


気高くて、聡明な、大天使


「ほら、綺麗だろ?」

「うーん、綺麗だけどねっ。寒い!!!」

「……」


俺、このチャンミンをずっと見てたいな……


「ユノ~っ、もう入らない?」

「綺麗……」

「うんうん…っ、さ、さむ……っ」



すごく、綺麗だった。




チャンミンの睫毛に小さな雪が降りて、




溶けた。
































______C.side______









なんとなく、そうなんじゃないかなと思ってた。


めちゃくちゃ寒い外気に晒されてるのに、ユノは雪じゃなくて僕の方ばっか見てるし。
抱き寄せられて、体格の大きいユノの身体に包まれて、イチゴ風味の舌がぺろんと咥内を一周だけ這って、おでこをくっつけ合った。


「チャンミン、初雪だよ……」


やっぱり……。


「……そうだね」

「ジンクス知ってるだろ?」

「有名だもんね」

「うん、俺嬉しい……」

「ユノ……」


気持ちは嬉しい。

うん、すごく嬉しい。

分かっててもやっぱり嬉しくてニヤケちゃう。


「僕も嬉しい、ユノ」

「あー、チャンミニがすごい素直~っ、、可愛い!なぁんだあ♪俺、お前がジンクスに気付いたら一緒に初雪見てくれないだろうと思ってめっちゃ頑張って隠してたんだぞ?」

「ふふふっ。僕だって素直になる時くらいあるって!」

「チャンミナー!!」


ユノのテンションが高くなって、どんどんぎゅーぎゅーとんとん抱き締める力が増して、どんどん呼び名が変わっていく。

良かった、良かった。














気付かれてないな……








「ユノ、そろそろ中入ろう?」

「そうだな♪」





ユノって、本当に抜けてる。


「あー、寒かったなーっ」

「暖房少し強めにするね」

「お、ありがとう」


ジンクスの初雪って、年明け一番の雪じゃない。
冬になってから一番の雪が初雪だ。
だから韓国では、だいたい11月頃に降る。



「でも良かった。俺どうしてもチャンミナと初雪見たかったんだ」

「ふふっ、ユノ見せてくれてありがとう」






だけど気持ちは、本当に嬉しいから












だから僕も、こっそり愛情を仕込んだ。




「体冷やしてごめんな?トレーナー濡れちゃった?着替える?」

「ううん、大丈夫。ユノも僕もこのままで」


ユノって、本当に抜けてる。



この無地のトレーナー、ユノとペアルック。


恥ずかしいけど、カップルのド定番。












ユノはいつ気付いてくれる?









「一緒に初雪見れて、幸せだな」


「うん、本当に良かった」









ユノが言うなら、初雪だ。



ユノの降らせた初雪。



















後はもう、初雪の采配に任せてみよう









片割れ9に入れたい要素が多すぎて起承転結なくなっております、ごめんなさい!しょーとすとーりー。で一息つかせて頂きました♪
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シカ☆トラ号

10000拍手記念
アクヤ様へ














気が付くとそこは、
いつもと違う電車の中だった。







あっ……路線間違えた……!?


慌てて立ち上がって行き先を確認しようとしたけど、電工掲示板もない、なんだかひどく古めかしい車内に眉を潜めた。




見たこともない車輌。誰もいない

僕ひとりきり




ソウル市内の煩すぎる地下鉄に乗ってたはずなのに、車窓から見える景色は暖かそうな田園風景。




これは完全に、、市外へ出ちゃったな……




どのくらいうたた寝してたか分からないけど、家を出た時すでにぎりぎりの時間だった。
もう間に合うわけもない。


「今日はもう……しょうがないよね……」




今日は仕方ない


行けないんだから







行かないんじゃなくて、行けないんだから








「やった……」



嬉しいっ
心の底からほっとして席にどかっと座り直した。






なんならこのまま終電まで乗って小旅行してみたいかも



突然の開放感にわくわくする。冒険チックで、中学生の僕には刺激的。


「で、結局これ何線……?」



人はいないし終電も意外と近いのかも












ガタン







車輪がレールの継ぎ目を通過する時の音以外の音が聞こえて振り返ると、白髪パーマのおじいさんが一人、前方の車輌から入ってきた。
気にしないでいようと思ったのに、目を向けてしまう。
だって奇抜なピンク色のガウンに、時代遅れのまん丸めがねをかけて、笑わせようとしてるとしか思えない。ステッキをわざとらしい程ガタガタ震わせながらついて近寄ってくるから、申し訳ないけどもう本当に吹き出しそう……っ。


「いたいた♪」

「……え」

「ここ、いいですか?」

「……どうぞ」


おじいさんは僕の隣によいしょと座った。あまりの近さに、観察したくても真意がバレそうな気がして逆にまったく見れない。
少し見えた白髭もコミカルで笑いを誘われる。声は意外としっかりしてた。


どうしようもなくて、おじいさんとなるべく距離が空くように窓にべたっとくっついて景色を眺めるふりをした。





「ぶふーっ」

「……?」




なんか、、僕が笑われてる?




こっちが笑いたいのに、逆に笑われてるようでカチンとくる。でも直視できなくて、振り向いてもおじいさんの足元を見るくらいしかできない。横目でも分かる、おじいさんは僕を完全に見てる。





「……どうかされました?」

「いやいや、ごめんな?あまりにちっこくて可愛いからっ」

「は?」




ヤバい、マジの変質者だ……






一気に緊張して掌に汗が浮かび上がった。
助けを呼ぶにも僕らの他には誰もいないから、車掌室まで行かないと!





「えっと…、昔……君とよく似た、コがいて。懐かしくて思わず笑ってしまった。ごめんね」

「あ、……そうなんですか」





今度は肩の力がどっと抜けた。
知らない電車で知らないおじいさんと二人きり。さっそく帰って落ち着きたくなる。
僕ってやっぱり小心者……。







「すいません、実は僕間違えて電車乗っちゃったみたいで……これはどこ行きの電車なんですか?」

「テンゴク行き」

「はい?」

「天国行き、だったらどうする?」

「……っ」






からかわれてる



なんだこのおじいさん、さっきから。
僕の癪に障るとこばかり突いてくる。
イライラする。






「別にいいですよ」

「ん?」

「今の生活から逃げたかったし、ちょうど良かったです」

「……逃げたいの?」








おじいさんに気まずくなって、また目線を外に戻した。嘘じゃないけど深刻過ぎるかも。

電車から見える風景は、伸び伸びと緑を生い茂らせた田んぼがどこまでも続いてる。どこまでもどこまでも。
本当に天国みたいだ、なんて













「……いじめに、あってるんです……」




ぽつりと、伝えた。






「チャ…君が?」

「はい」

「学校で?」

「いえ、えっと、、芸能事務所に最近入ったんですけど、そこの人たちに毎日嫌味言われて……もう辛いんです」

「そんなに酷いの?」

「そりゃもう。毎日社員さんや練習生の皆にからかわれて、しごかれて、悪口叩かれて!めちゃくちゃですよ、新入りだからって皆僕が気に入らないんですよっ」

「あはーはー!そりゃ大変だねぇ」

「そうなんですよ、もううんざりです!今日もレッスン場でテストがあるんですけど、、もう本当に嫌なんです。次行く時辞めるって言います」





皆嫌い

毎日毎日社員も練習生も僕を見てる

なんで僕なんかに構うの?

そっとしといて欲しい



どうせ僕は何もできない







「俺…わしの知ってる、君によく似たコも
物凄いスターでね?わしのためだけに、ステージの上で歌ってくれたんだよ。いいだろ~♪♪」

「そうなんですか……」


昔のアイドルなんてさすがに知らない。


「気持ち届いたよ、ありがとな……?」

「??はい??」

「あ、違う違う!いや、そのコがすごく負けず嫌いなんだ、自分に対して。周りからショボい奴だって評価されるのが大嫌いなコ。だから一度決めたことは必ずやり通す、本当に偉いコ」

「……そうですか。すごい人ですね……」



ますますへこむ……

僕にそんな精神力なんてないし


あぁ、本当に逃げ出したい





「でもね、そのコが本当に偉いのは、周りの人たちの気持ちもちゃんと汲み取れるって所なんだよ。君の周りの人たちは、本当に君をいじめてるの?彼らは本当に逆恨みしてるのかな?」


「…………」



「君なら、分かるはずだよ」







眺めてる田園風景が歪んで見える。
鼻の奥がつんとして痛い。まずい。






分かってる






本当は、分かってる






からかわれるのは、人見知りの僕を打ち解けさせようとしてくれてるから


しごかれるのは、僕のスキルをあげようと細かく指導してくれてるだけのこと


悪口なんて悪口じゃない。ダンスが下手くそだって、ただ本当のことを言われてるだけ





本当は、分かってる












本当に嫌いなのは……、、






「分かるも何も……、別にもういいんですって。もともと僕は芸能人になりたいわけじゃなかったし」

「ちょっとスカウトされてミーハーな気持ちで入っただけなのに」

「アジアを代表するスターになれって言われるんですよ?訳分かんなくないですか?そんなものなりたくもない」







期待に応えられなくて


ひねくれて逃げ出したい自分















「じゃあ、辞めた方がいいかもな……」


後頭部から決定的なおじいさんの台詞。。


「ですよね……」






窓側の頬に涙が伝った。
こんなことで泣いて、情けない。


泣く必要なんてないのに

悔しいなんて思うはずがないのに



僕がそうしたいのに








「なりたくないなんて、なってから言え」





その通り


僕、格好悪すぎる


ショボい……









「あれ……」


車窓から見えてた快晴がいつの間にか雲行きの怪しい雰囲気になってる。と、思ったら雷が鳴り出した。電車もガタガタと揺れ出した。車窓はヒビが入りそうなほど震える。


「なんか……この電車危なくないですか!?」

「信じてれば大丈夫だよ」




信じてればって……、信じてても事故なんて起きる時は起きるでしょうよ





平然と鼻唄を唄いそうなほと呑気なおじいさんが信じられなくて、


「それより君のことなんだけど、、」

「いや、それより本当にまずいですって!!この電車っ!!!」

「チャンミナが居れば大丈夫」

「僕がいてもどうしようもないですって!何言ってんですか!!?」


おじいさんの顔を睨んだ。






初めて面と向かって顔を見た。






「チャンミ?……え??」




口元からぺろんと剥がれて、今にも落ちそうにゆらゆら揺れる白い髭。



つけ、髭?




丸めがねも白髪も電車の揺れで、おじいさんからふわっと浮いたり着地したりを繰り返してる。















この人は、誰?








「だけどチャンミナが逃げたければ逃げればいい。そんな奴はいらない。ペンだってお前みたいな奴には一人もつかない。スポーツ記者になればいい。まあ、何でも逃げるような奴にはなれないか」


「……何ですって?」



揺れがさらに激しくなってきた。それどころか豪雨が電車を襲ってきて、車内がどんどん水浸しになる。



「それもだめならまた逃げろ。逃げて逃げて、どこまでも沈んでいけ。そういう方がチャンミナには似合ってるよな?」

「ちょっと待って下さい。……なんでおじい…あなたに僕がそこまで言われなきゃいけないんですか……っ」




だけどそれよりも、この目の前の男の人が僕の焦げ付きそうな感情を引き起こす




漆黒の瞳に、煽られる。




「アジアスターなんて無理。チャンミナには絶対無理。お前がスターなんて恥ずかしいから口に出すなよ、お前は地を這うような人生で終われ。犬も食わないような道を進めよ」

「……」







こんな激情は生まれて初めてで




「……どうせ地を這うんだったらね、……ココで地を這いますよ……!」

「ココってどこだよ」

「アジアスターになるって言ってんでしょうが!!!」




制御できない




「これから僕は歌も躍りも磨いてデビューしますよ!たくさんのペンに愛されて韓国一のスターになって、日本や中国やアジア全域を駆け回って!!正真正銘の世界に誇れるアジアスターになりますよ!!!」







僕の、本当の気持ち
















絶叫すると、嵐が




消えた。











「ほらな?」




目の前の男の人は、


「チャンミナが居れば大丈夫♪」


ふにゃっと猫みたいな三日月カーブを作って、笑った。

浸水しかかってたはずの床は綺麗さっぱり乾いてる。外は快晴、曇り雲ひとつない。



……幻覚だった?









「ちょっと、……これどこまで行くんですか?もう駅着きます?」

「降りる駅はないよー。永遠に走るから、これ♪」

「はい?」

「不思議の国のアリスみたいだな♪」




どっと溜め息が出てきた。




何この人、、……





改めて見ると、おじいさん?は、皺がない。おじいさんじゃない。かつらもめがねも髭もよれよれでアホっぽく見えるのに、ガタイは恐ろしいほど良かった。




「あなた……誰なんですか?僕のことよく知ってるみたいですけど……」

「シム・チャンミン」

「……はい。。……すいません、あなたのお名前は……?」

「未来のアジアスター、ユノ・ユノですっ」

「ユ……」


知らない……

韓国外で活動してる人?

ってゆーか、苦手な先輩の名前と同じって所もなんかヤダ……


「もう宿舎で暮らしてるの?」

「……まだ、です」

「トウホウシンキのメンバー決まった?」

「トウホ?」

「あ、いや、デビューするメンバーはもう決まった?」

「……僕以外の人はまだ決まってません」

「あーなるほど。その頃のチャンミナね」

「……」





何がなんだか分からない






「チャンミナはさ、完璧を求めてて歯痒いだけだろ?ちゃんと努力してるんだから、あとは思いっきり楽しめ」

「……楽しむ」

「うん。できることもできないことも楽しむ。俺のチャンミナはそうしてる、すごい格好いいだろ?俺の光みたいな人」

「はい?俺のチャンミナ?」


ユノさんがべろりとつけ髭を剥がした。


「チャンミナは俺の希望」

「ちょっと……」


白髪のパーマかつらも取ると、黒い清潔感のある短髪が出てきた。


「俺の夢」

「き……聞いてます?」


最後は僕の精一杯の悪足掻きだった。
大人の色香が立ち込めてきて、男なのにどきどきする。

古くさい丸めがねさえ外すと……、


「チャンミナは、俺の片割れ」

「……ぅ、そ、、」


端麗な美しいパーツが絶妙に配置された大人の男性が現れた。尋常じゃないほど顔が小さい。
逞しい神々しささえ感じる空気が、辺り一面滲むように広がる。







この人、格好良すぎる






いや、それよりも……!






「すいません、親類の方で……チョン・ユノって人いません!?」






似てる……チョン・ユノ先輩に……


兄弟みたいによく似てる



僕の苦手な先輩のチョン・ユノ






「あはは、バレた?」

「!じゃあ!やっぱりユノ先輩のお兄さんか何かですか!?」

「いや、俺」

「はい?」

「俺がチョン・ユノ」

「お?」

「ほら、『不思議の国のアリス』だから、ココ♪」

「……ユノさん頭沸いてます?」

「あはーはーはー!!チャンミナらしい!!今の!」



明らかに年上の方に思うのは失礼だけど、残念な人過ぎて少し余裕が出てきた。


だけど突然、ユノさんが目の前に膝まづいて僕の右手を両手で包みこむから驚く。
こんな男らしくも美しい人にそんなことされたら誰だって驚く。
誰だってどきっとする。


「な、なな!な何ですか!?頭を上げて下さい!!」

「必ずだぞ」

「え?」

「お願い、逃げないで……」

「……」


やっぱりこの人がチョン・ユノ先輩っていうのは嘘だ。「辞めるなら早く辞めろ」と言われて以来、挨拶をしても未だに反応の薄い、あのつっけんどんなユノ先輩が僕に膝まづいて懇願するなんて有り得ない。


「あと、……ごめん」

「……何ですか?」

「チャンミナのこれから進む道は……全部が全部正しい道じゃ、ないかも……未来のお前は、バカで幼稚で我が儘な俺の傍にずっと居てくれてるけど……それで本当に良いのかな?……本当に、、ごめんな?」




何がなんだか……


中学生の僕には到底分からない


未来の話?確かに馬鹿げてる





だけど何だろう










今、この震える美神を



思いっきり暖めたい






「その……未来の、僕っていうのは……、どんな感じですか?笑ってます?」

「うん。聖母マリア様みたいにいつも笑ってくれる」

「マリアって!あはははは!!そっちが恥ずかしいこと言わないで下さいよっ!」

「笑うなよ、本当だって」

「じゃあ……、『ごめん』じゃなくて『ありがとう』じゃないですか?僕が笑ってるなら、それが正解だと思いますよ」


頭を上げたユノさんは僕を全部包み込むように抱き締めた。広い胸と逞しい腕が心地いい。
おふろに浸かってるみたい




あったかい


すごく、気持ちいい



このままくっついときたい






「良かった……今のチャンミナと同じこと言ってくれた。……無理させてるんじゃないかって、俺ずっと不安だったから……良かったぁ」


僕を包み込む力がより一層きつくなった。


「チャンミナ……チャンミナが居ないと、生きていけない」

「ふ……、、そんな……弱そ、、な人には……見えません、けど……」

「うん。チャンミナしか知らない、俺の弱いとこも格好悪いとこも、全部愛してるって言ってくれるんだよ」







あぁ……有り得ない……

僕がそんな恥ずかしいこと言うわけない



あー、、暖かく、て……ねむ……






「生まれてきてくれて、ユノと出会ってくれて、本当にありがとう」








そうそう、それでいいん、ですっ、て……






「ずっとユノを見てて。早く気付いて。お前の片割れは俺だ」






見つめられて




射抜かれて




逆らえない








ユノさんは僕の顔を指の長い綺麗な両手で挟んできた。手先まで美しい人。






「チャンミン、永遠に愛してます」


「……あ、……い……?」




「また逢おうな」










そうですね



不思議の国のユノさん










ユノさんは僕の額にキスを落とした。






























「チャンドリー!次だぞー!」

「……ん」

「寝ぼけるな、ラッキーボーイ。お前練習期間ないんだから詰めて叩きこめよ!」

「……寝て、ない」

「あははっ、嘘つけ!」


練習生全員が集まる大フロアで寝ちゃった……。また何か言われるかな……。


「おいチャンドリ。ユノ先輩の次もうお前の番だから!まあ、デビュー決まってるラッキーボーイにはテストなんて関係ないと思うけどっ」


何年も練習生をしてる同い年の奴に肩を叩かれた。正面を見ると、一面鑑張りの舞台でユノ先輩がパフォーマンスしてる。それを囲むように事務所の講師陣と練習生が密集してた。
あそこで次は僕が歌って踊る。


「……そんなことない。起こしてくれてありがと」

「寝てたの認めたな!はは、頑張れよ!」


ユノ先輩は恐くて、苦手……。
ダンスはうまいけど、自信ありげで苦手。僕は歌も何も自信なんて微塵もない。


「ねぇ、あそこに落ちてる白いタオル、ユノ先輩が戻ってきたら渡してあげて」

「え、どれ?」

「黒の縞模様ついてるやつ。あれユノ先輩のだから」

「へ、そうだっけ?」

「うん」


ユノ先輩のテストが終わった。
僕は立ち上がって、手足を伸ばす。軽くストレッチをして怪我に備える。


「ふぅ、、……やってやろうじゃん」

「お、気合入ってるね!辞めたいって弱音吐いてたくせに!」

「……夢の中でさ、すんごい美人に『辞めないで!』ってお願いされた♪」

「だはははは!!ばかっ」

「あれ、……おじいさんだった、かな??」

「ぎゃはははは!!!絶対そっちだそっち!」



「そこウルサイ!チャンミン早く前出ろ!」

「あ、はい!すいません!」



前に進んでステージに上がる所で、ユノ先輩とすれ違った。


「お疲れ様です」

「ん」






どんな美人さんだったっけ?


大人の色気がヤバかったんだけどなぁ、忘れちゃった。あの夢もっかい見たい!







女神みたいに美しい人



その人が言うんだから、やるしかない










「シム・チャンミンです!よろしくお願いします!!」

「お♪今日はチャンミン、ハキハキしてていいね!音流すよ!」

「はいっ!」



















『楽しめ』








突然の長い夏休みをとって、本当に申し訳ありませんでした。急きょだったので、、。のんびりですが、またこれからお願いします!!
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