【ホミンホ合同企画ミーアゲ】8月18日のハーモニー、運命の恋人か?なし崩し的彼氏か?~ chap.11~












寒い。


寒い。







浮上する。

















「お店の飾り付けはできたよ。ユノはどう?」

「…まだ目ぇ覚まさない。ずっと震えたまま。どうすっか、……さすがに病院連れてった方がいいか?」


聞き覚えのある仲間達の声が降ってくる。
深刻そうな声音は何を心配してるんだろう?
だって俺は目覚めてる。






目覚めたんだ、やっと







「!ユノヤ!!」

「ユノ!大丈夫か!?」

「……」


瞼を持ち上げる眼輪筋の収縮が分かる。晒された眼球には空気の冷温を感じる。肺は動いて、呼吸になって。美味い。心臓に『生きろ』とノックされてる。


まるで再び産み落とされたみたい。


感覚は痛いほど研ぎ澄まされて、いつもそこにあるだけの店内の白天井に新鮮な感動を与えられる。世界は鮮やかに映えて。頭だけ起こして辺りを見渡せば、虹の洪水。
紺のソファーにクローバー型クッション、今日はフルーツタルトとチョコクロワッサンの並ぶショーケース。花と華。湯気の立つ陶器コーヒーカップは滑らかな光沢が光って、覆い被さるように覗きこんできたイトゥクとヒチョルは真っ青に焦ってる。
全ての色が全てそのように際立って素晴らしい。
この世に当たり前のことなんて、何一つない。

でも……、


「覚えてる!?ユノヤ、店先で倒れて気を失ったんだよ!」

「しばらく路上で雨に当たっちまって寒いだろ?ほら、服濡れてるだろ?今ミノに着替え持って来させてるからもう少し待ってくれよ。それとも病院行くか!?体は…具合はどこか悪いか!?」

「………なぁ、、」

「何だ?まだ寒いか!?ホットならここにあるけど、他に飲みた…」


びしょ濡れの服の上からは茶色いブランケットにぐるぐる巻きにされてるけど、体はそれでも寒い。夏なのに。冷房も止まってるのに。おかしな話だ。

俺の体温は、君が持ってる。




「ポスニちゃんって…………なに……?」

「…へ!?」「…は!?」














チャンミンが持ってる。




















チャンミンだったんだ












「ユノヒョン、起きました!?」

「ヒョン!」

「あ!ユノヒョン!大丈夫ですか!?」


バタバタ、ガタンッと音を鳴らせてテミンもシウミンもバックヤードから飛び出てきて、ちょうど戻ってきたミノも駆け寄って着替えを渡してくれた。


「お前とりあえず着替えられるか!?」

「ヒチョル……」


確信がある。


願望じゃない。妄想じゃない。
あり得ないけど。説明できないけど。







「あの着ぐるみのコ……、チャンミンだ…っ、、」





感じれば、ちゃんと分かる。





言葉にすれば申し訳なくて、震える唇を掌で閉じ込めた。
ずっと探してるだの、見つける自信があるだの散々大口叩いといて一向に気付かない俺をチャンミンは会う度、どんな気持ちで見てたんだろう。
どんな想いを沈めて明るく笑ってたんだろう。



今日は8月18日。約束の日。


君を見つける。約束した。



「……今、何時だ……?行かなきゃ…っ」



でも、どこに?何時に?
観覧車の前に20時、毎年ずっと待ってた。
チャンミンは来なかった。

なぜ?
答えは分からない。それでも行かなきゃ。

木彫りの壁掛け時計を確認すると、6時半を指してる。もうすぐ店を開ける時間。底冷えで今にも固まりそうな重い体を力ずくで捻(ね)じ上げた。着替えるためにバックヤードを指すと、ヒチョルが当たり前のように肩を貸してくれる。


「ぇ、、、ちょっと待て、ユノ……。着ぐるみの女は、ボアさん……だったんだろ…??待って、マジで……え……?」

「っ、あいつはあの頃地方にいた。国立遊園地でイベントスタッフなんてやってるわけがない。でも絶対チャンミンなんだ!!」


辻褄が合わなくてばっさり消えた期待。
僅かに疑う余地もなかったから……、


「…………。ぷっ。泣くなよ、ユノォ~♪すげー顔だぞw」


目から溢れる雫だけ、熱い。


「…っ、申し訳なくて…っ、、」


そしてあまりに、嬉しくて。


「俺は、チャンミンが好き…っ、」

「今さらw。見てれば分かるわ!!w」


俺の恋はすべて、チャンミン。


内面から惚れた彼女と外見から始まった彼氏。
チャンミンへ貪欲に溺れてゆくことがあのコに申し訳なくて、いつも必死でブレーキをかけてた。どうせ身体だけだろってドライぶっては、チャンミンに会える日だけ休みを取ってひっそり心待ちにしてた。
どちらを選ぶか気持ちの整理はつかないまま。

結局は両方のチャンミンを傷付けて、
申し訳ない気持ちでいっぱいだ。


「ヒチョル悪い!今日俺いなくても店回るか?それと、その……ボアさんを、、」

「大丈夫大丈夫、もともとの予定通りだし。任せとけっ」


ミノが持って来てくれた少し若者っぽいパーカーと柄物のゆとりある短パンを身に付ければ一層、当時の自分のファッションと重なって時間が巻き戻っていくよう。

確かに口説いたり手紙を渡した君は被り物の頭を含めても背が相当高かった。腕はまさに男のそれだった。
でも俺はそういう所を気にもしてなかったから。極上に綺麗な君の心しか見てなかったから、瞼に焼き付いてる映像はその時意味を成さなかったんだよ。
ごめんな、チャンミン。たくさんのヒントを、いつもさりげなく落としてくれてたのに。


「ミノ、着替えありがとな!」

「そんな服しかなくてすいません…っ。あと、あの……、」

「……うん」


店内に戻ってミノに礼を言えば、その後ろから静かに覗かせる人の影。


「……どうも。先日はすいませんでした……謝りにきました……」

「こんばんは。キュヒョンさん」


本当に大切なものを離すとあるべき場所へと戻す道標のように出会う遭遇や記憶の欠片たち。
そういう不可思議な導きを運命って言ったら、チャンミンお前は、また鼻で笑うかな?


「あの後チャンミナから話を聞きまして……、まさかチャンミナが…って感じで……今もまだ信じられない状態なんですけど、、」

「…幼なじみの親友が男と付き合ってるなんてショックだったですか?」

「正直……すいません…。チャンミナは全然普通の男だったので、、本当、驚いてます……」


笑わないよな、チャンミンなら。
感じれば分かる。


「そうですよね。俺も、まさか自分が同性を好きになるなんて思ってもいなかったので。チャンミンには本当、驚かされっぱなしですw」

「あ…そうなんですか……。すいません、ゲイとか言っちゃって…」

「ゲイになっちゃいました♪チャンミン限定でゴリゴリのw」

「ぶっ!!ユノさんって、…なんか面白い人ですね。くくくっ♪」


手渡された菓子折りは誠意そのもので、キュヒョンさんだって悪い人じゃない。チャンミンのことを理解しようとしてくれてる、それがよく分かる。


目覚めるって、こんな感覚なんだ。


「……ほんと、すごい怒られたんですよ…。お前のせいでもう絶対終わりだ、どうしてくれるんだーって暴れて手の付けようがないくらい…」

「あはははっ!へえ、チャンミンってそんな事もするんですね。可愛い♡見てみたいっ」

「へ…、え、いやユノさん?マジでチャンミナ怒ると怖いですからっ」

「あはーはーっ!俺も平手打ちくらいは受けたことあるんですけどね」

「わー、痛かったでしょ……w」

「めちゃくちゃw」


もう何があっても揺るがないよ。
言葉も態度もいらない。どんな過去も抱きしめることができる。
無条件で、君が好き。


「チャンミンは、今までの恋愛経験を俺に話してくれた事がなかったんです。でもこの前キュヒョンさんから少し聞いて、むしろ大勢の相手の中から俺を選んでくれたんだって…はは!ちょっとおこがましいんですけどw。今はそんな風にプラスに受け止められます。チャンミンってどんなコがタイプだったんですか?何人くらい好きなコがいたのかな?そういうのも、全部知りたいですよ。本心で」

「……分かってくれてると思いますけど、チャンミナは本当にいい奴なんです。ただあの容姿のせいでアイドルみたいに皆に追いかけ回されたり盗撮されたりをずっと昔から繰り返されて…。付き合う彼女も全員チャンミナの見た目に惚れるコばかりで…。見せびらかすように連れ歩かされたり、中には崇拝しちゃうコもいたり…とにかく変な…まともな恋愛はできなかったんです、チャンミナは。それから自暴自棄になってとっかえひっかえ遊びまくるようになって、好きとかそういうのじゃなかったと思いますよ……って、すいません!いや!マジですいません!気分悪いですよね、こんな話!違うんです、もとは本当優しい奴なんですけど…っ」


慌てふためくキュヒョンさんを目の前に思うのはこれだけ。


「あんなに心も綺麗なのに……可哀想なチャンミン……」


本当に俺でいいなら、俺が温めてあげる。
それで俺もやっと温まるんだよ。

どんなチャンミンも抱きしめたくて仕方ない。
もう一度俺を、選んで。


「……はい。本当に不憫な奴なんです…あいつは。だから!あの、異動する前にとにかくもう一度チャンミナと話し合ってやってくれませんか?」

「?イドウ?」

「どうやらこの前の、ここの従業員さんの個人情報、チャンミナが勝手に持ち出したものらしくて。自分から上司に事後報告したみたいなんです。それで処分は停職か、うまくいって左遷だろうって言ってて…」

「……」




もう傷つかないで。
必ず見つけるから。




「ユノさん!」

「おい、ユノ!」


気付いたら動き出してた。検討もつかない場所へ向かって。でもここからは誰にも頼りたくない。
チャンミンが俺を見つけてくれたように、今度は俺からチャンミンを見つけたい。今日会えなくても。また何年経とうと。運命を信じる。

店のドアを開けると、ふいに風が。外は晴れて、雲も遥か彼方。今宵の満月はまさに黄金。王の色彩。コンクリートの地面だけが濡れて、雨の足跡を残してる。それは銀色の足跡。輝きで満たされた夜の導きに。
閃いた。


「テミン!」

「!はい!?」

「お前、人のプライドを捨ててでも妹を守りたかったんだよな?それって凄いな…」

「……褒められた方法では決してなかったんですけど。僕なりに、あの時は生きるために必死だったんです」

「そっか。でもチャンミンはな…?」


謎が解けるように。なぜチャンミンは始めからゲイの振りをしてたのか。なぜチャンミンは信用してるはずの従業員達を疑ったのか。邂逅。
自惚れを許されるなら。


「チャンミンは男としての暮らしも刑事としてのプライドも、とっくに捨てて俺に会いに来てくれたんだ。俺のチャンミン、めちゃくちゃ可愛くて格好いいだろ?」

「「「「「…」」」」」


一瞬の静けさ。の後に、爆笑と歓声。野太い黄色の後押し。足が自然に進んでいく。俺は笑ってる。きっと真っ赤だ。
すごく会いたくて。君に。


「「「ヒョンが初めてノロケたぁ~w!」」」

「ユノうざいっ。早く行けw!」

「え、ユノヤって…え…ほんと男と!?」

「そう!チャンミンを世界一愛してる!!!」


歓声は絶叫へ。キュヒョンさんも苦笑い。イトゥクの素っ頓狂な顔だけ浮いてる光景を最後に。








ただ前へ走り出した。













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昔からトラシカ号に来て下さり、ありがとうございます。このような形でメッセージを頂き、本当に嬉しいです。スクショもわざわざありがとうございます!送って頂かなくとも、mi※mi※yuu様の申告のままで大丈夫です。(*^^*)

ご質問頂いた通り、リクエストがあればトラシカ号仕様にてユノとチャンミンの物語を作らせて頂きます。
制限は何もありません。細かい設定でも大まかなお話の流れでも、感じだけでも♪
教えて頂ければmi※mi※yuu様への感謝の気持ちとして精一杯考えさせて頂きます。

また、トラシカ号にアップが難しいと判断したものにつきましては後日メールアドレスなどお伺いして、そちらへ直接送る形にさせて頂く場合もございますので、その旨はご了承下さい。

時間の制限もありません。
どうぞお時間ある時に思い付きましたら、是非ご連絡下さい♪
メッセージを送って頂き、本当にありがとうございました!私も楽しみにのんびりお待ちしています。


りょう(ゆのっぽん)


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【ホミンホ合同企画ミーアゲ】8月18日のハーモニー、運命の恋人か?なし崩し的彼氏か?~ chap.10~







恋をしたのは、顔の見えない天使だった。




















『すごい!!!おにいちゃん!かっこいい!!』


目をキラキラ輝かせて、かわいさ満点の笑顔が俺を見上げてる。


『かっこいい!ほんとにかっこいい!!すごいジャンプ!かっこいい!おにいちゃんって……も、もしかして……スーパーマンなの…!!?』


無垢な称賛が周りの関心を集めて立ち止まらせてる。遊園地ならではの期待が人々の目に満ちて、〈その子の話に乗ってあげて〉と微笑んでる。


『はは、照れるなw。……実はそうなんだ。君の悲しむ顔を見たくなくて咄嗟に力を使っちゃった。もう離しちゃダメだぞ?大切にしてな?スーパーマンとの約束だからな?』


俺は鼻の前に人差し指を立ててその男の子にウィンクして見せた。


そうだ。
俺はこの子と短い話をしたんだった。
そしてとても小さな約束をした……。


『うん…!うん!じぇったいたいせつにすゆ!』


興奮ぎみに走ってゆく小さな後ろ姿。解けてゆく人だかり。
親御さんは次のアトラクションの列に並んでいると言っていたから、そこまで駆けてゆくんだろう。なんて考えてる内にその子が足を絡ませて、また風船から垂れる糸を離してしまった。
今度は小さな若木に引っかけている。


(ははっ、約束したばかりなのにw)


子供特有の不完全さが愛らしくて笑みが漏れた。でもこれまた俺の身長なら届きそうな高さのところに滞っている風船の引っ掛かり具合を確認すれば、案外強運な子供なのかもしれない。そう思いながら一歩踏み出そうとした。

その時。

女の子の格好をした一体の着ぐるみが、その子の前に腰を落とした。
どうやら馴染みのあるキャラクターらしい。着ぐるみの姿を捉えた男の子は、何の警戒心もなく猛然とカノジョに事の顛末をまくし立てだした。離れた場所にいる俺にも絶叫に近い懇願が、辛うじてだが聞こえてくる。


『うん!そう!!……ちゃんもみてたの!?スーパーマンとやくそくしたのに、どうしよう!どうしよう!!?あのふうせん、たいせつにするってゆったのにぃっ、、』


そのように泣き喚く頭頂部を。ぽんと撫でて立ち上がる、着ぐるみのカノジョ。どこか遊園地にしては地味な、学生服のような装いのキャラクターが。制帽と大きな瞳の付いた巨大な頭部を揺らして風船を仰ぎ見る。


『それね!ほんとにぼくのよ!?ヌスンデないのよ!!ワルいことしてとったやちゅじゃないかやね!?』


男の子のちょっと変わった弁解に頷きながら、明らかに重そうな顔面を支えながら。背伸びして片手を伸ばしてみてる。手袋の形を模したもこもこの手先は不便だろう。ただ風になびく糸へは、確実に届きそうな高さへ迫ってる。


そう、そうなんだよ。
ちょうどカノジョも俺と同じくらいの背丈で……。
だから届くんじゃないかなって俺は眺めてて……。


でも赤い風船はなかなか取れない。するとカノジョが今度は木に抱きついて悪戦苦闘しだした。着ぐるみのまま。頭二つ分くらい、数十センチの高さを登って掴んだ枝木に腕を掛け、再び風船に手を伸ばす。


『マジか……』


目立たない端の木陰で行われてるその地味な奮闘に、気付く者は誰もいない。
まもなく二人と俺の間を行進してきたパレードに視界を遮られてしまって歯痒い。
早く退けて欲しい。
頑張って取ってあげてるカノジョを俺は応援したいから。


『すごい、いい人だな…。あの人……』


小さな子のために。できる限りの力を尽くして。
唯一生身の肌を見せてる腕は筋肉質。腱(けん)が浮き上がって、何度も空を切る。
誰も皆華やかなパレードに夢中で、今あの人を見てるのは男の子と俺くらいしかいない。
真夏の炎天下、汗は自然に滴ってくるほど。
着ぐるみの中はどれほど暑いことか。

胸がギュッと鳴った。
見惚れてた。





例えるならその人は





(っ、大丈夫。俺はちゃんと見てるから。がんばれ…!!)














陰に咲く、大輪の花。








外見とか、会話とかなくても


感じれば

















分かる   


  



『!やった!!!とれた!!……ちゃん、ありあとー!!!やっぱいせいぎのみかた!』


ふらふら草臥(くたび)れながら戦利品を掴んでしゃがみこむ姿がコミカルで面白くて。
いじらしい。
努力の悲壮感を感じさせない優しさがあった。それはきっと、見返りを求めない強さ。
ようやっと風船玉の糸を跳ねる子どもの手首に繋いで、次には何事もなかったかのように歩き去ってゆく着ぐるみの人。
生地の上からでも分かるちょこんとした印象の肩口は撫で肩のせいなのか。
木の葉が二枚しがみついてる。


『……』


すごく、格好いいと思った。
その萎れた肩を、もっと見たいと思った。
誰も気付かなくても、俺はちゃんと見てたよ。
分かりましたよ、君のそういうトコって。

伝えたくて。

だけど長いパレードの行進は続く。
路上を練り歩く奏者やカラフルな衣装のダンサー、妖精の着ぐるみが遊ぶように回っては過ぎてゆく。中には俺に絡み付いてくるパフォーマーもいて、パレードが終わる頃には完全にカノジョを見失ってた。


『……明日、仕事……。終わってダッシュで来たら数時間は探せるよな……?また……会えるかな……』


広い広い国立遊園地の中で、ずっと大好きだった強烈なアトラクションや豪華なパレード、美しいショータイムに囲まれて。

だけど何の興味もなくなった。
カノジョだけが目的になった。




『スーパーマン!!!またあえた!』

『え…』


気付くと股下にさっきの男の子。笑ってる。
目の前には赤い風船。
細い糸の先に繋がれた小さな手首。
青い空はどこ。体が冷たい。
濡れてる。雨の匂いがする。


『やくそくまもってゆからね!』


舌足らずな男の子。笑ってる。笑ってる。

何だろう、朧気で男の子しか見えない。
記憶?これはいつの映像?


『でもほんとはまたとんでいっちゃんだけど、』


いいんだよ。気にしなくていいよ。

それより教えて。カノジョはどこ?
どっちに行った?


伝えたいことがあって……


『でもね!こんどは……ちゃんがとってくえたのよ!スーパーマンもかっこよかったけど、……ちゃんもすごかったのよ!?』



うん、かっこよかったな?




俺も見てたよ





『スーパーマンも……ちゃんも、ほんといやさしい!ぼくもぜったいせーぎのみたかになるかやね!!』



へー…


そうか、





あの着ぐるみは











そういう名前の…………
















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わーい♪(。´Д⊂)
キリ番を踏まれた方は、良かったらコメント下さい。日頃の感謝を込めて、リクエストなどございましたら、その方への〈しょーとしょーとすとーりー。〉を考えさせて頂きます。


再開してからブログコメ、拍手コメ、合わせて30人以上の方から頂き…久しぶりなのにポチも頂いて、こんな小さなブログに……こんなに嬉しいことってないです。ありがとうございます。
本当に、ありがとう。返事は必ず書きますからどうか待ってて下さい。

元気です。頑張ります。



【ホミンホ合同企画ミーアゲ】8月18日のハーモニー、運命の恋人か?なし崩し的彼氏か?~ chap.9~








チャンミンのことは、もう考えたくない   







チクタク、チクタク


時が迫る


携帯番号もメールアドレスも消した。
あいつが部屋に置いてた歯ブラシも着替えも、捨てた。悪いけど律儀に揃えてたスキンケア用品達と何冊かの分厚い本も。
送れば良かったんだろうけど、あっちの家には行ったことないから住所なんて知らない。
あいつの多忙さと気ままさに揉まれて、もともとの情報量が極端に少なかった。足のサイズや血液型も知らない。

だから。うん。

チャンミンに関するものは何もなくなったけど、俺の生活は何も変わらない。チャンミンがいなくなったからって困ることなんてない。まして、死ぬ訳でもないし。
日々はきちんと過ぎる。




チクタク、チクタク


記憶の秒針だけが巻き戻ってゆく





















「ユノヤ~っ、コーヒーくれ~」

「……。イトゥク!」


商店街でも懇意にしている花屋のイトゥクの笑顔が店に飛び込んできて、ボアさんとの約束をようやく思い出した。

そうだ、そうだ。忘れてた。
やっぱり女性には花だよな。


「悪いけど明日!!花束作ってくれ!」

「お♪毎度~。コーヒー飲みながらでいいなら、今から一緒にプラン練ろうか?」

「頼む!」


そうだ、そうだ。
俺にはこれから人生最高の晴れ舞台が控えていて。ドラマチックなサプライズで見事感動的な約束を果たし、ボアさんと恋人になる。そういう運命があるじゃないか。

アメリカーノを受け取ったイトゥクを急き立てるように席へ着かせると、単刀直入に話を切り出した。
早く、早く。運命を辿るだけでいい。


「誕生日プレゼントなんだけど、プロポーズに近い告白もするんだ。だからスペシャルな花束を作って欲しい!」

「おお~気合い入ってるねぇ!オッケー、任せて。花束に入れるメインの花はどうしようか?」

「そんなの何でもいいよ。とにかく豪華に頼む。そうだ!店の中も飾ってくれないか?閉店後ここでパーティーをして…スタッフ達にも報告できるし…うん、絶対そうしたい!」


店内をざっと見渡すだけでどこにでも花が生けられている、花畑のような装飾がいい。
幸いにも貸切りパーティー用に花瓶はいくつか倉庫に置いてる。数を確認するため席を立とうしたところで、イトゥクに肩を引かれて止められた。


「ちょっとちょっと!そんな特別な花束なのに、何でもいいって事はないでしょ?そんなんじゃあ、作る側の俺も困るよ。相手はどんな印象のコ?」

「……へ?」

「可愛らしいとか、凛として尊重できるとか。それとも癒される存在?」

「あー……、明るい人だよ。華やかだって、皆そう言ってくれるし」

「それは周りの評価でしょ?そうじゃなくてユノから見たイメージだって。ユノだけが感じるその人の雰囲気はどんなもの?何か特別なものがあるでしょ?それ参考にして作るから教えて?」

「……」


そう、ボアさんは特別。俺の運命の人だから。趣味も嗜好も合うし、一緒に居ると楽だ。

でも一体、俺にとってどんな人?

応えに躓(つまず)いて考えこんでしまう。眉間に皺が寄って困る。すると無意識に尖らせていたらしい唇を摘ままれて、イトゥクが助け船を出してくれた。


「そんな悩むことじゃないでしょw?うーん。じゃあさ、色は?何色の花が似合う人かな?」

「……よく、分からない」


でも、それも見えない。


「え?思いつかない!?少しも?」

「分からないんだ、本当……」


眩しくて、見えない。
運命の人だと認識した脳はすでに盲目してる。
ボアさんの顔も性格も雰囲気も色も。何も。
見えない。


「うーん、じゃあ…無難にピンク系で纏めようかなぁ……」

「…………チャンミンの色は、



「え?」

「ぃや…っ…」


覗きこんできたイトゥクに慌てて否定した。溢れそうになった言葉はもう俺の生活にも人生にも必要ない。だから飲み込むしかない。


「……」


チャンミンは、









すべて   




赤も青も紫も、黄色も黒も、緑はもちろん。
茶色や灰色、白さえも。
どのような色にも見えて趣がある。
何色も鮮やかに映えて美しい。






虹のような花


俺にとって






「……。とにかく……イトゥクのアレンジに任せる……。明日の夕方前には店いるから、花束と店の装飾、頼む……」


何考えてんだ、俺。
考えたくないのに、なんでやっぱり考えちゃうんだろう。あんな嘘つき。いっそ記憶を消し去りたいくらい。なのに。


「ユ、ユノ大丈夫?もしかしてあまり気が乗らない縁談でも引き受けたの?」


イトゥクが背中をさすってくれる優しい手で、自分でもギョッとするほど猫背になってることに気付いた。
猫背と言えばチャンミンの背中。でもチャンミンのそれは何だか、ちょこんとしてて、俺より長身なくせに儚げで愛らしかった。伸びをすればしなやかにうねって、扇情的。
背中ひとつの色さえ俺の中にちりばめられてる。

あの虹は、きっと一生ものの宝石。
痛いところを突かず、そっと心に畳んでさえいれば。きっと。


「……約束を守りたい。守らなきゃ…」

「ユノ……なんか、無理してない?」

「っ、じゃないと男じゃないだろ!」

「……」


ボアさんと共に歩んでいく中で、いつか思い出として懐かしめる日が来るんだろう。

きっと、そうなんだろう。














______8月18日、雨______






今日はディナータイムからの営業にした。
昼を過ぎた空は隅々まで雲が行き届いていて、一面どんよりとしている。雨が大盤振る舞いに路上を濡らして足元まで侵食した。今年の夏は雨が多い。
なのに出勤途中で鍵を家に置き忘れたことに気付いて、さらに重い溜め息がどっと出る。
ふと振り返って向こうの霞む遊園地を見下ろした。一番に目立つのは、鉄骨をぴったり編み込んだ赤い観覧車。
今日の夜8時、ボアさんを迎えに行く場所。
何とも言えない気持ちでただ突っ立って眺めていると、観覧車に被ってテミンが出勤してくるのが見えた。


「ユノヒョン、今日も宜しくお願いしますっ」

「おう、テミン。大雨なのに悪い、店の鍵忘れた」

「え、そうなんですか。あらら」

「ヒチョルがスペアキー持ってるから、あいつ来るまでちょっと待ってて」

「はい、分かりました」


2人で連れだって歩く。
テミンの髪色が昨日と変わっていて、似合うと褒めるとテミンは笑って照れた。そんな姿はかわいいと思うけど、恋愛対象になんて考えられない。男だから当然のことなんだけど、じゃあなんで今まで俺は……と、心の中の自問自答が始まりそうになって、またもや打ち消すようにテミンへ喋り掛け続けた。
考えたくない。考えたくない。
チャンミンのことなんて。
考えない。


「言ってた通り、俺は途中少し抜けるから店頼むな?それで閉店までには、テミンも前に言ってた…紹介したい人、ボアさん連れて戻ってくるから。閉め作業は俺がやるから皆もお祝いしてあげて?今日誕生日らしいんだ」

「……あの、僕は全然気にしてませんからね?チャンミンさんに疑われたこと。チャンミンさん、帰り際にこっちが申し訳なくなるくらい謝ってくれましたし。ユノヒョンに援助してもらうまで、妹の学費のためとはいえ散々窃盗してたのは僕の事実なんですから」


俺はボアさんの話をしてるのに、テミンはあいつのことばかり。先週あいつを追い返した雨の日から、ずっと。


「それは分かったから…。テミンを疑ったことだけで愛想つかした訳じゃないから……」

「警察のデータベースまで使ってユノヒョンに会いに来たんですよ?チャンミンさんなりのすがり方だったんじゃないですか?別れたくないって。それにユノヒョンだってまだ本当は好きなんで…」

「もういいから!!あいつゲイでも何でもないし!」


なのに、俺は

心をかっさらわれて。


「あいつは何が嘘で、何が本当か……」


俺だけだと思ってた。


「今さら別れたくないとか言われても何も信じられないんだよ…!!」


俺だけだと思ってたんだ。
過去に愛した女性が数え切れない程いたなんて想像もしてなかった。
とても耐えられない。吐き気がする。
こんなどす黒い感情、知らなくて。
自分が自分でなくなりそうで。
変貌してどんどん醜く壊れそうで。


「…っ、また、傷付きそうで……っ、、」




怖い




「……ユノヒョン…」


俺だけがチャンミンに触れて、俺だけがチャンミンの隣に居た。
そういうことにすればいい。
綺麗な所だけ、ぴったり蓋をして。


「……僕が人のプライドを捨ててでも妹を守りたかったように、チャンミンさんも何か事情があったんじゃないですか?」

「……っ、」


ああ、俺。我が儘だ。すごく。
じゃあ言葉や態度でもっとはっきり表してくれよ、だなんて。

皆は俺たちをお似合いだって煽ってくれてたけど、実際にはチャンミンから「好き」だとか「もっと一緒に居たい」だとか、いつもふざけて言ってくれた試しはなかった。
悔しくて俺も言わなかったし、言えなかった。あくまでも付き合う理由が『運命の人が男だった』時の練習だったんだから。言えなかった。
チャンミンはきっと女性に飽きて、ちょっと同性と遊んでみたかっただけ。

それが現実。
自分に都合の良い淡い期待は、余計。
後で傷付くだけ。


「嘘をつくのに何の事情があるって言うんだよ…。もう聞く勇気もない……情けないだろ?高校生に戻ったみたいに、怖いんだ。俺……」


感情が言うことを聞かない。
燃えるように激しくて。凄まじい。熱い。
苦しい。


「……そうですね。確か初恋って、そんな感じですよね。大人になっていつの間にか忘れてましたけど」


うん。まるで初恋みたい。
純粋に狂ってゆく。


「でも……っ、だったら…じゃあっ、尚更何でボアさんが急に出てくるんですか!?僕は最近のユノヒョンの方がおかしいと思いますけど!?」


まだ何か言いたげなテミンに背を向ければ、店の前でもお互い無言になってしまって、所在ない。
天候に関係なく人の出入りで賑わう斜め向かいの新しいパン屋や、霞んで朧気な遠くの遊園地、行き交う通行人の無表情な顔に代わる代わる視線を向けた。あまりの不明瞭さにヘッドライトを点けた車たちは渋滞を起こしてる。


「…あれ」


こんな日に、どこで貰って来たんだろう。

若い母親らしい女性の後ろから、小さな傘の中に赤い風船をふわふわと従えて歩いてくる子供がいた。よっぽど気に入っているのか、可愛らしい顔に擦り寄せるようにざんぶりの雨から守ってる。

妙な親近感。既視感。


「、」


俺はその風船を見たことがある。


「どこで……」


でも俺が覚えてる赤い風船はもっと遠くにあった。俺はずっとそれを見てたんだから間違いない。
そんな事をぼんやり思っていた俺の目に、豪雨の中から不意討ちのように強い照明光が突き刺さった。何台かの車が渋滞の列を抜けて迂回路を選択したらしい。次々と繰り出されるその光は車のヘッドライト達から当てられたもので、真正面からハイビームを食らった眼球に鈍い痛みが走る。辛い。眩しい。


「っ、」


真っ白。瞑った瞼の裏まで白い。キンと短い耳鳴りがなって、白いキャンバスの中に突如、映像が浮かんだ。


青空。そこはある快晴の日の遊園地。
股下には横切ってゆく男の子の頭。目の前には揺れる赤い風船。ちっちゃな手が開かれて、上ってゆく白い糸。






導かれた景色は、そう。








初めて天使に出会った空の下














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私用により、突如長いお休みを頂いてました。待って下さっていた方がもしいらっしゃったとしたら、本当にありがとうございます。これからもなかなか定期更新は難しいかもしれませんが、気ままにトラシカ号のユノとチャンミンを楽しんで頂ければ嬉しいです。トン愛だけは溢れ続けてますので!(今年の冬はコートなんていらねー!ツアーグッズのブルゾンを愛用します!ふお!←入金済、イエス!)
ホミンホ、万歳∩( ´∀`)∩

りょう(ゆのっぽん)

【ホミンホ合同企画ミーアゲ】8月18日のハーモニー、運命の恋人か?なし崩し的彼氏か?~ chap.8~







腸が煮えくり返って正常な判断ができない。
別れてることなんてすっぽり忘れ去った。


(いや、俺のだから…!)


言うが早いか、男の肩に手をかけてチャンミンから引き剥がした。あわよくば俺とチャンミンの関係を察した上で態度を弁えてくれれば尚良い。そんな脅しも込めて。丁寧に、でもなるべく低い声で唸る。


「お客様、他のお客様のご迷惑になりますので……」

「ああ、すいません。チャンミナ、ほら、こっち座れよ♪」


でも男は俺の威嚇に全く動じない。大声を出したことにだけ注意されたと思ったのか、ぽんと謝って、今度はチャンミンの手を引っ張って自分達のテーブルにつかせようとする。


「あ……ちょっと、今日は…」


チャンミンは我に返ったようにハッとして俺と男の顔を見比べて困り切ってる。青ざめてる。
そんなチャンミンの決定的な表情を捉えて悲しくなった。

何なの、そいつ。
絶対過去に何かあっただろ、そいつと。

でも彼氏も経験も初めてのキスもチャンミンの全部は俺だから。

子供みたいに幼稚な闘争心が奮い立って、一人で勝手にはしゃぐ正体不明の男が許せない。


「いいじゃんっ♪せっかく会えたんだからコーヒーくらいつきあ…」

「お客様?…チャンミン嫌がってるだろうが。離せよ。てめー、誰だよ」

「は…え……?」


馴れ馴れしく強引に引く男の腕をはたいてチャンミンの盾になった。店の空気が凍りついてるのが分かる。BGMのハウスミュージックだけが踊っていて、男はぽかんと口を開けて静止した。


修羅場、の前の静けさ。
でも一歩も引く気はない。


「ユノ…!違う違う!こいつは僕の、幼なじみの大親友で…っ、キュヒョンって言う奴で!」

「…………はあ?」

「っ、キュヒョナっ。ここのオーナー、ユノ!すごく真面目な人だから何か勘違いしちゃったみたいだ…っ」


え、ちょっと待って。
全然理解できない。
背中をペシペシ叩いてくるチャンミンは真剣そのもので、それも理解できない。


「……あ、チャンミナの知り合いの方…?どうも……、キュヒョンと申します。。」

「……どうも。……ユノです。。すいません、はたいてしまって……」

「いえいえ、俺も騒がしいことしちゃって……何か凄い反応されたんでちょっとビックリしましたけど……」

「……」


親友??できるの、そんなこと。
チャンミンは心は女だから男を好きになる性質で、だけど男の親友なんて作れるものなのか?男女間の友情のようなもの?抱き締めあうほど仲の良い??それってどうなんだ?

思考回路がパンク寸前。

チャンミンの腕がぐいぐい俺の背中を押してバックヤードを目指してるのは、何か疚しいことがある証拠じゃないのか?


「キュヒョナっ、ちょっと…後で連絡するからさ!僕今日ユノに話があるから、とりあえずまた今度ゆっくり話そうぜ…っ」


親友って何でも打ち明けられる関係なんだよな?抱きあうくらいだもんな?幼なじみだし。じゃあなんで今チャンミンはオネエ言葉じゃないんだ?カミングアウトはしてない大親友、ってこと?それ、シンユウ??


「えええええ。話終わるまで待つからさぁ、近況報告とか教えろよーw。自慢の武勇伝はどれだけ更新してるんだ?w」

「…っ、ないないない…っw。キュヒョナ頼む、黙れえ…!」

「ぶっwww。うるせー、このプレイボーイがw」


苦笑いって、


ホント漫画みたいに冷や汗が出てるように見えるんだなって、チャンミンを見てて初めて実感した。




「……プレイボーイって、何?」




俺は何だか妙に気分が落ち着いて、そしたらチャンミンの押してくる力なんて何て事ないことに気付いて足を止め、優雅にさえ振り返れた。じっと2人の顔も見つめられたし、チャンミンの眉の下がり方って分かりやすくて可愛いよな、とか。そんなとこまで掬い取れた。


「ユノ…っ、僕本当に今日は話があって、でもすぐ戻らなきゃいけないから早…」

「お前もしかしてキュヒョンさんのこと好きだったの?」


ひとつひとつの疑問を、ひとつひとつ。
聞いてみるだけ。


「、はあ?そんな訳ないじゃん…。だから、キュヒュナは昔から幼なじみの…」

「カミングアウトはしてないの?ゲイだって」

「…………」

「武勇伝って、何か自慢できる話があったの?俺も聞きたいんだけど」

「…………」

「ごめん、ちょっとよく分からないんだけど。ゲイのプレイボーイってどういうこと?」

「……ゅ…っ…ユノ……あの……、」


チャンミンはひとつ答えて、その後はどこか痛みが走るんだろう。ぱきぱき顔を歪めて耐えてるから、答えられない。どこか痛いから喋れない。きっと、そうだ。
伏し目は今も輝いて綺麗なのに。もったいない。


「あの……っ、、」


温かさとか、優しさ。





今から全てが翻るなんて、もったいない。




「すいません、ユノさん…?さっきからチャンミナに俺のこと好きだったのかとかカミングアウトとか……貴方の方こそゲイなんじゃないですか?ぶっちゃけ狙ってるでしょ?チャンミナのこと」

「キュヒョナ!」


うん。ゲイは俺だな。
チャンミンが好きなんだから。


「ちょっと、チャンミナの名誉のために言っときますけど。こいつは綺麗な顔立ちしてますけど、女の子大好きエロ魔神なんで男が入る隙なんてないですからね?悪いんですけど諦めて下さい」

「黙れ!キュヒョナ!」

「お前も悪ぃーんだよ、面と向かって断りきらないから昔っから変な男に追いかけ回されて。大変だったじゃねーか」


ゲイは俺で、ノーマルはチャンミン……?

俺がチャンミンを追いかけてただけ?
俺がチャンミンをなし崩しに襲ってただけ?

なんかもうよく分からない。
よく分からないしよく見えない。


「あー……、モテすぎて逆に誰とも付き合ったことない…感じだったんだ。スゴいな、チャンミンは……」


男の矜持はなくなっても、チャンミンの全部は俺だから。これは最後の砦のようなもの、で……。


「あのー、話聞いてます?貴方がどんな夢を抱いてるか知りませんけど、チャンミナは普通に彼女もいましたし、普通に女の子と遊んでましたよ?人数が半端なくて笑えるくらい」

「、、、、」



嘘つき。













『初めて』だって、








言ってたのに。









「失礼します。こちらもユノの名誉のために言わせて頂きますが、見ず知らずの方にそのような言い方をされる筋合いはございません。お代はけっこうですので、どうぞお引き取り下さい」


ヒチョルが俺の前に現れて何か言ってくれてるけど、俺はもうどうでもよくなってた。
それより他のお客様を帰した方がいい。そう思って体の方向を変えるとチャンミンに腕を掴まれた。


「ユノ、キュヒョナのことごめん!昔からすごい心配性のやつで…、後でちゃんと言っとくからっ」

「嘘つき。ヤリチン野郎」

「……。言い訳はしないからこれだけ…伝えたいことがあって…っ、2人になりたいんだけど……」


無視してフロアを見ると客は誰一人いなかった。外を見るとガラス越しにテミンのお辞儀する後ろ姿が見えて、先回りして帰してくれたことに感謝した。キュヒョンさんの連れは大丈夫だったのか、申し訳ない。


「チャンミナ、行こ!」

「ユノ……あの、ごめんこんな所で言うことじゃないんだけど、え、と…っ、」


スラックスのポッケから濡れた紙を震えながら取り出して、目頭から涙を溢しながらあたふた折れた部分を広げるチャンミンが惨めったらしくて仕方ない。何をそんなに言いたいことがあるのか。早くキュヒョンさんと帰ればいいのに。


「30万ウォンなくなったっていうのが…気になってて……ぐ…ぐす…っ、ちょっと調べさせてもらったんだけど、、テ、テミン君に…過去に窃盗罪の前科があって…っ、もしかしたら、事情聞いた方がい、いいかも…」


力加減せず打った。チャンミンの頬を。
ぽとっと落ちた紙の端に、テミンの顔写真と指紋印のようなものが見えた。最低。テミンはあんなにチャンミンの事を見てくれてたのに。

俺も最低だけど、こいつも最低。でも最低同士でなかなかうまくいってたのかもしれない。

チャンミンは俺みたいにしゃがみこむ事はしなかったけど、あの時の感じた虚しさを、少しでもチャンミンに伝えられたらいいのに。

俺の話を信じてくれたことも。オネエ言葉も。ゲイも。初めても。



あれも嘘。



これも嘘。




全部、嘘。




嘘つきチャンミン



    





さようなら








「その件はすでに解決しました、テミンに話を聞く必要はありません。従業員を信じて頂けないのでしたら、もう二度とお越し頂かなくて結構です。今までありがとうございました」









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【ホミンホ合同企画ミーアゲ】8月18日のハーモニー、運命の恋人か?なし崩し的彼氏か?~ chap.7~








ボアさんは毎日店に通ってきてくれるようになった。まるで遊園地に通い詰めてた時の俺みたいに。当時の温度差を埋めてくれようとしてるみたいに。


「こんにちわっ。また来ちゃいましたっw」

「ははっ、ありがとうございます。いつもので宜しいですか?」

「はい♪いつものアイスチョコで。いいですね、なんか『いつもの』って。常連になれたみたいで」

「ボアさんはもううちの常連さんですよw」

「わあ、嬉しいです!」


華やかで陽気。現在ダンススクールに勤めているという彼女は、きっと人気のある講師なんだろうなと容易に推測できた。
悪い人じゃない。
それが目に見えて分かるような人だから、毎日挨拶してくる彼女に、他のスタッフ達も困惑してるようだった。いつか来るかもしれないチャンミンに遠慮して、という感じ。
もう来ないのに。
でもヒチョルの文句には思わず笑った。


「いかにも悪役みたいな女だったら良かったのに。そしたら気持ち良くユノを罵れた」


さすが…………俺の運命の人だろ……?


チャンミンは『運命』を貶(けな)したけど、俺は説明できない巡り合わせに憧れる。
何か神秘的な、逆らえない、引力を信じたい。

足取りは重くても、



俺たちは進んでいく。
距離は近付いていく。




チャンミンの予定に合わせて取る休み以外で店をヒチョル達に任せたのは久しぶり。


「ユノさん、ごめんなさい!待った?」

「いえ全然。俺も今来ましたよ」

「良かった♪どうしましょうか?映画でも観に行きます?」

「えっと、どうしようかな……あ、体動かすのは好きですか?遊ぶ系の」


映画はなんか嫌だった。
なんか。仕方ない。


「うん、私も遊びたいですっ。せーのでお互いやりたいスポーツ言ってみません?」

「はいw」

「せーのっ、」

「「ボーリング」」


ボアさんの溌剌とした大振りなガッツポーズが面白くて笑える。


「マジかw」

「あははっ☆すごい合ってるw!行きましょ行きましょ!」


デートコースの趣味が同じで驚く。スポーティーな印象で職業柄、運動神経も良さそうだなと思っていたら本当に良くてさらにビックリ。

レーンの向こうに並ぶピンが全て吸い込まれていく。


「マジか…!」

「いえーい!またまたストラーイク☆今のところ私の勝ちですよ~っ」

「……いやいや、ちょっと待って?これから本当の俺の実力を見せますからっ」

「あははっ。じゃあ早く見せて見せてw」


時たま深夜に連れて来る店のどのメンバーよりも高い数字を叩き上げるボアさんのスコアに勝負魂の火がついて面白い。汗を掻くほどボーリングに没頭して。最後のゲームなんて真剣になりすぎて無言で投げてた。正直、相手が誰かも忘れてた。


「ユノさん、強いですねー!」

「あ……本気でやりましたから、負けたら勝つまでお願いしてたかもw」

「あははははっ!」


場所を移して、俺の入ってみたかったカフェでもボアさんはよく笑った。「私もここ来たかったの、知ってたんですか?」って笑い涙を拭きながら。明るくて、いい人。

入った店は街の中心部に新しく建てられたビルの一階にあって、広さを贅沢に活用したスペースが落ち着ける。壁や置いてあるオブジェが淡い色で統一されているのも女性受けしそうで、雑誌で以前取り上げられていた事にも頷けた。


「ユノさんはカフェの勉強のために来たかったの?」

「まあw、それも兼ねて。どういうメニュー出してるのかなぁとか。こういうインテリアにしてるんだなぁとか。気になってたんです、ここの店」

「勉強熱心なんですね。ずっと目が私の方より店内に向いてますもんw」

「ははっ、ありがとうございますw」

「あんまり褒めてはいないんですけどねw」

「?、はい?」

「www。ユノさんって、集中し始めたらそれしか見えなくなるタイプですよね」

「あ、それは自分でも思ってますw」


メニューを選んでもやっぱり二人とも同じものをオーダーして、笑った。
趣味があう。
気の置けない親しみがある。

ボアさんの話に相槌を打ちながらまた店の装いに気を取られていると、内容はいつの間にか核心に迫っていた。


「実は親の急な転勤について行って、都心に戻ってきたのは最近なんです。散歩で入ったカフェで偶然ユノさんを見かけて驚きました」

「そうだったんですね……」


だから来れなかったのか。
あの日の待ちぼうけに合点がいった。

でも、存在する偶然。
きっと、これが……。


「かといって会った時から何年も経ってるし、あの時は私パフォーマーで、ずっとユノさんの所に留まる訳にはいけないし…。もちろん来園者の方と私的な話なんてしちゃいけないから…。私のこと覚えてないよねって思ってたので。覚えててくれて本当嬉しいです、私」

「そんなことないです。ずっと覚えてました。俺は、本当に……っ、」


感動的な再会場面なのに、チャンミンの見下すような顔が浮かんで言葉が詰まる。
困って目線をさ迷わせると、彼女がバックに付けているキーホルダーで目が止まった。


息も止まるかと思った。


「……」

「ん?あははっ。カワイイですよね、このくま♪ユノさん、目の付け所がいい!これ、シリーズ化してて。このキーホルダーだけじゃなくて他のグッズもあるんですよ、もちろん…」

「ぬいぐるみも。知ってますよ……だってそれは、もともと俺が好きなくまを…」


あの子にプレゼントした。くま。


「だから私も好きになったんですよ」

「え」




やっぱり




「運命ですよね、私達」



やっぱり


そうなんだ




ボアさんが、俺の運命の   



「なーんてっ。恥ずかしいこと言ってすいませんw。私、けっこうサバサバしてるんですけど、ちょっとロマンチックな感じも好きでw」

「いえっ、そんなこと……。俺もですよ。サプライズとか好きですし」

「そうなの!?私、来週誕生日なんですっ。18日!」

「8月18日……」


それで18日だったのか。
誕生日の約束は、ロマンチックこの上ない。
点と点は繋がった。
心は何故かドン底に重いけど、あの時ボアさんがくれたメモは一生忘れない。

交わした約束は、


「うん、そう。ユノさんに、その日お祝いしてもらいたいです……。そこで、、できれば…っ、」




【そしてできたら、恋人になって】




「国立遊園地の観覧車の前で……。20時に?」

「!約束ですよ♪」








俺たちは、恋人になる











さあ、8月18日は、どんな告白をしよう。

ランチとディナーの間のアイドルタイムに陥って、今日のうちの店内には男性3人グループとカップルの2組しかいない。
当日まであまり時間がないから、手隙の内にアイデアを練らないと間に合わない。


「大丈夫ですか、葬式みたいな顔してますけど」

「テミン……。お前、言ってくれるなああ?俺は今すごいウキウキする事考えてたんだぞっw」

「またあw、今日は大雨でお客さんが少ないから落ち込んでたんでしょ?そんなユノヒョンにいい報告を持って来たんですけど」

「お、何?」

「見つかりました。30万ウォンの納品書、ちゃんと束の中にありましたよ。張り付いてて確かに見落としやすい具合でしたけど」

「!マジか!あ~、ありがとうっ。助かったぁ~」


差し出された紙を受け取って確認すると、夏の時期に調整して追加発注したビール瓶数種類の品名と30万ウォンぴったりの額が記入されていて、やっと胸を撫で下ろせた。たった数十万ウォンかもしれないけれど、経営者にとって会計の誤差は死活問題。下手をすれば従業員の信頼問題にも関わってくる。


「僕、あの人好きですよ。最近毎日来てユノヒョンと話してる女の方。明るいし」

「おう、そうか……」


突然ボアさんのことをふられて、手から納品書を滑らせてしまった。でも少しおっちょこちょいな俺を、テミンは笑わず黙って拾い上げてくれた。
それと一緒に、輪ゴムで留められた、うちのロゴ入りナプキンの紙束も。


「毎日来店してユノヒョンにも僕らにもアピールしてる彼女のガッツは凄いと思います。でも、僕達はですね」



紙にはボールペンで書かれたメッセージが乗ってる。


テミン君。
今日のカクテルは……ごめん!(笑)ちょっと味がバラバラな感じ…?でも前のオリジナルはホント最高だったよ。
今日もごちそうさまでした。






捲って下のナプキンを見れば、また別のメッセージ。


ヒチョルさん。
このピザ、美味しい!男女問わず食べれます!絶対定番メニューにした方がいい!
ごちそうさまでした。






どのナプキンも一度半分に折り畳まれた跡が残ってる。


ミノ君。
今日のワイン、ちゃんとデキャンタした方がもっと美味しく飲めるよ。忙しいだろうけどファイティン!
ごちそうさまでした。






お客が直接従業員の誰かに手渡す姿なんて見たことない。
こちらが気付かなければ、そのまま捨てられていくだけだった差出名なきメッセージ達。


シウミン君。
新しいドイツビール、コクがあるのにスッキリして飲みやすい!見たことないラベルだし珍しいから、この夏人気出そうだね♪
ごちそうさまでした。









「いつも食器の下に隠すように置いてくれてたんです。チャンミンさんの、こうやって静かに、素直な感想教えてくれたりする所……好きだったんです。だから皆こぞってオリジナルの料理やカクテルとか、新しく仕入れた飲みもの試してもらったりしてw」

「よく気付いたな……俺、全然……」

「僕手癖悪かったから、そういう所だけは鼻が効くっていうかw」

「もういいって……はは……」

「お手洗いに行きがてら他人が床に落とした紙屑をそっと拾って持ち去ってくれたり、僕らさえ気にも止めないお店の飾りの傾きをちょこちょこ直してくれてたり…そんなの誰も気付かないのに、」

「……」


チャンミンには、








普段可愛い子ぶってるくせに
そういう小さな温かさがあって










すごく似てる気がしてた。





8月18日に出逢ったチャンミン




運命の人がチャンミンって、

言っちゃっていいんじゃないかって


少し疑ったこともある。
期待した。



でも去年まで、チャンミンは地方の所轄に配属されていたと言ってた。あんなに忙しい刑事が都心部の遊園地で働ける訳がない。
チャンミンはあの子じゃない。


「ユノヒョンのことちらちら見てるくせに、目が合いそうになると逸らしちゃって本読んでる振りしたり。年上だけど可愛い人だなぁって。ユノヒョンのこと、本当に大好きなんだなぁって。そんなの見てたら、ゲイの人だろうが何だろうが、応援したくなっちゃいますよ」


「、、っ、ゃ、……っ、」






ウンメイナンカニシガミツイテ





本当に大切な人を







見落としてないか?俺









「ユ、ユノヒョン…!」

「え」

「チャンミンさん来た…来た…!!」


肩をグラグラ揺さぶられてテミンの指差す扉を見る。傘を閉じて湿った髪を掻き上げる来店者。両肩は濡れてカッターシャツは透けてる。確かに。


「チャンミン……」


チャンミンだった。
二度と来ないと思ってたチャンミン。


「あの、ちょっと話があるんだけど……今、大丈夫……?」




おずおず歩いて見上げてくる瞳をもう堪らなく抱き締めたくて。



店なのに他の人もいるのに気にならなくて。




怯まず動き出した足は
カウンターから抜けて。





俺は不覚にもちょっと泣いてた。






「チャンミナ!!!」





でもチャンミンを抱き締めたのは俺じゃなかった。今まですぐそこの席で談笑してた、3人グループの内の一人の男性が俺の目の前でチャンミンを正面から包み込んでる。


「会いたかった、チャンミナ…!」


茫然。俺は。
首だけ回して振り向いてみたテミンも。茫然。何事かとキッチンから出てきたヒチョルも。みんな。

抱きつかれた男の顔をチャンミンだけが知ってるようだった。


「ウソ…っ、久しぶり……っ、、」

「お前こっちいるなら連絡くらいしろよ!」

「ごめ…、、でも会いたかった…!」

「俺も……っ、」


抱き締めあう二人は。




「……ぁぁ、」



ああ、


まさに


 







これぞ感動の再会って感じ。


「元気にしてた……?」


切なげにそう言って相手の顔を見つめ返すチャンミンに、俺は   
















その男は誰?




チャンミン










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