片割れ chap.8 おまけ












僕なりの



許容範囲ギリギリの解決策を



編み出した










だって面と向かうと、てんでダメで





「チャンミナお疲れ!なぁ、今日のツアーリハ早くあがれたからボーリングにでも行かない?ダンサーさんとか皆集めて行けば大丈夫だろ?」

「やだ」

「なんで!?いいじゃん。皆でいれば問題ないって。俺チャンミナと遊びに行きたい」

「早く終わったんだから、僕は宿舎帰ってゲームしたい。新しく買ったPSのサッカーゲームやんないと」

「えぇー、、最近全然チャンミナ遊んでくれないなぁ。っていうか、最後に一緒に遊びに行ったのいつかももう分かんねー」

「ユノはアウトドア派で僕はインドア派だからしょうがないじゃん。行ってらっしゃい」

「だあぁーーー!チャンミナ冷たぁ!」

「………」


頭を抱え込むユノを見ながら、僕も心の中で頭を抱え込む。
恋人になる前は気にも止めなかったことが、なった途端に意識してイエスと言えない。深くなればなるほど、突き放して自分でも意味不明。

いくらなんでも冷た過ぎる、僕。
天の邪鬼にも程がある。

またこの前みたいな、ユノに捨てられるかもって極限状態にまで陥らないと素直になれないのかと思うと、自分で自分にため息が出る。あんな思い、二度としたくないのに。















「え?食事会?」

「うん、これから行ってくるわー」

「……ちょっと待って。それ、あの女優さんも来るの?」

「その子主催でやるみたいだから、その子はいるよ」

「……いやいや、行っちゃダメでしょ。行ったら脈ありって思われるって」

「脈あり?」

「……あの人絶対ユノを好きだと思うよ?」

「へ…?あはーはーはーっ!いやよくメールしてきてくれるけど、そんな感じじゃないって」


『そんな感じ』を察したことないユノの言葉に説得力はなく、

メールばんばんくる時点で彼女の本気度を感じずにはいられなく、 

だからといって醜い嫉妬心なんか僕は晒すわけにもいかず、



「……行ってらっしゃい」



送り出すしかない、僕。












「あーっ、くそ負けたぁ!」


親指と人差し指と中指を駆使してカチカチ、ゲームを進めるけど、今夜は集中できない。ユノが気になる。


「…………」


別に信じてないわけじゃない。
僕らはそんな薄っぺらな関係じゃない。
今はもうユノを信じてる。
好きだし。
ちょっと好き過ぎて玉にきずなだけで。

ユノは外見は完璧だけど抜けてるとこいっぱいあるから、女の子からしたら拍子抜けするんじゃないかな?普通の子じゃ絶対一緒に暮らせないって。
あのハチャメチャ具合を受け止めれるのは僕ぐらいだろうって変な自信すらあるし。
男だけど。
大丈夫。
愛は全てを包括する。


「……たぶん……」









ちゃんと信じてるから。













大人しく待ってられる……


















はずがない。








「……え、今何時間経った?遅いだろ、さすがに」

「あのやろー、まじでどこ行った…」

「ご飯食べてボーリングとかビリヤード行ってももうとっくに終わってるだろ」 

「何してんだ、本当。お?」


イライラする。本当に、マジで。
何度も時計を睨んでしまうから、全然針が進まない。少し進むと余計イライラする。


「まさか、ね……」


可愛くて綺麗で強かな芸能界の女性達。
『ずっと好きだったんです』『愛してます』『真剣にお付き合いさせて下さい』なんて言われたら?


「……いやいやいやいや」


ないないないない。ユノに限ってそんな。
僕がいるのに。絶対別れないって言ってくれた。真冬の寒さも吹き飛ばすユノの愛情。

ユノはプロだし優しいから、女の子を傷付けるような半端な付き合いはしない。二股とかないないない!ちゃんと断る。そういう性格だって知ってる。


「そうそう、大丈夫」


でも……、、

『一度でいいから』『これで諦められるから』『自分の中の綺麗な思い出として』『これで報われるの』『女の恥を捨てて言ってるの…』なんて涙をはらはら流しながら言われたら?


「……」


ユノの長所は優しいところだけど、ユノの短所も優しいところで。


「……ヤバい」


可愛くすがれる女の子達。
慈悲深いユノ。
一ミリも可愛気のない僕。


はっきり言って、ヤバい



慌ててスマホを手に持って、止まる。


緊張する
緊張する
え、……もし最中だったらどうするわけ?
やだやだないない!あるわけないけど!



大丈夫
大丈夫
素直に

素直に

大丈夫

面と向かって言うわけじゃない


せめてメールだけは、



素直に


素直に




「……っ、ふふうぅぅ~~~……っ」




大丈夫、深呼吸が震えても、震えながらボタンを押しても、ユノには見えないから。大丈夫。




『早く帰ってきてね』



それだけ送信。

素直に。





すぐに振動し出したスマホにほっとしながら止めて、受信メールを開くと。




『どうした?何かあったか?』





「…っ。あ″ぁ~~……もうっ…!」



いけないいけない



素直に



素直に







戻ってきて、早く















『寂しいです』






送ってしまった。

いやもうこれがもう僕の本当許容範囲ギリギリライン。


緊張と、期待と、後悔。



あんまり心臓持たないから、早めに返信お願いします。










「…、、」


だけどなかなか次の返信はない。何度メッセージの問い合わせをしてもない。

もう三十分は経った。


「……ビールでも飲も…」


不味い味しかしないだろうけど。
プルタブを開けて喉に流し込んだビールは旨いけど苦い。苦い、異様に。不味い、やっぱり。


「やっぱメールするんじゃなかった……」


後悔しかない。


「……なんか片想いみたいだな」


ユノに片想い。
アホすぎる。


「……」


こうやって自分が悪いのに一人で勝手にどん底で、人間なんて所詮一人だなんて結論出して、ダークサイドに片足突っ込みかけてる所に、玄関の鍵が動く音がした。救世主アラワル。


「……」


いつもよりバタバタ世話しない気配。
絶対、靴また吹っ飛ばしてる。


「チャンミナ、ただいま!!!」


煩い声。
急に開いたリビングのドアは外れそうな勢い。








分かりますか?





「……おかえり~。……って帰ってくるんなら、メールくらいしてよー」

「あれ!?してなかった?悪い、すげー急いで帰ったから忘れてたかも!」

「そうっすか……」






これがどれほど嬉しいことか










ただ面と向かってはやっぱりまだ無理です。


「チャンミナ、寂しかった?」

「……っ、、と見せかけて一人でつまんなかっただけ。あー言えばユノは飛んで帰ってくるだろうと思って……ぶ。予想通り♪」

「……いや、お前どう考えても寂しかったとしか…」

「まーいいから映画でも観ない?僕年明けはもうツアーと映画の撮影でほとんどここに帰ってこれないから、今のんびりしときたいんすよ」

「あ、そうだな♪」


雪が降り始めた韓国の十二月は寒い。受け取ったユノのコートは冷たかった。エアコンの設定温度を上げて、急いで帰ってきてくれたユノがすぐ暖まりますように。


「あ~とりあえず俺も助かった…やっぱチャンミナの言う通り彼女に告白されて困ってたから……」


……なんだと?


「いやあぁぁ~、ユノはやっぱりモテますねえぇ~!??」

「あははっ、なんか照れるな♪」


全然褒めてねー!自覚して!?
僕は相変わらずそういうのには対応しないから告白されるとこまでいかない。むしろそんな自分が誇らしい。極めてクリーン。
告白されるのは期待させる隙があるから。分かって欲しい、いい加減。


「お前よく分かったな?俺言われるまで全然分かんなかった……女の子の気持ちって本当分かんない……」


ぶつぶつ言ってるユノに構わずDVDの再生デッキのボタンを押しながら僕は決心した。


「ところで何観るの?」

「もちろん『スターウォーズ』。ジェダイの騎士が登場するとこから」

「……はあ?あははっ、お前本当に面白いな。いいよ、観よう♪」







これからは、


メールだけはせめて、






限界ギリギリラインで素直になろう












片割れ8
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片割れ chap.8 #11














______Y.side______







スマホの着信音で目が覚めた。韓国からわざわざ国際電話でかけてきてくれた友達に、眠気眼のままお礼とお土産を買って帰るとだけ伝えて、簡単に電話を済ませた。
だってベットにチャンミンが居ない。


「……チャンミナは?」


そう言えばギュラインで観光するって言ってたか。確かに右を見て、左を見ても居ない。俺一人きり。なのに苦笑してしまったのは、右手首に湿布が貼ってあったから。何でもかんでもバックに詰めてるチャンミンらしい。言葉で謝られなくても、『ごめんね』って言われてる気がする。
明け方チャンミンと拭き合いながらここまできたバスタオルをシーツの中から探して、腰に巻いて飲み物を取りに行った。






「あれ、チャンミナいたの?ギュライン良かったのか?」

「今それどころじゃない~こっちが大事~♪」


ソファに座ってる後ろ姿のチャンミンを回り込んで見ると、前のローテーブルには何本も空いたビールのロング缶が並んでる。チャンミンはその中心で、ふふ、ふふ、って笑いながらそれはそれは愛おしそうにワインボトルとなぜか箸を手に抱えて笑ってる。ひたすら。パン一で。なんてミステリアス。


「……えっと。何してんの?」

「それがぁー、オープナーがなくてぇ~。でもどおおおしても飲みたいからナイスアイデア思いついて、僕あったまいいなぁ!って自分で自分を誉めてたんでーす♪」


これだけ飲んでまだ飲みますか、チャンミンさん……。むしろ感嘆してしまう。可愛くなってるし。


「フロントに言えば貸してくれるんじゃない?オープナー」

「お、ユノにしてはまともな意見!ふっ。でも誰かさんのおかげで体がだるいし行くの面倒くさいし、これで何とかする~♪」


ちょいちょい茶化されるけどもう嫌だとは思わない。腹が立つことはあっても、同時に思い浮かぶ、チャンミンの裏側。恐いと叫んだり、貪欲に求めてくれたり。今貼られてる湿布にも感じる。
体がだるいってどうしたら緩和されるのか分からないから、とりあえずチャンミンの背中から腰にかけてゆっくりさすった。俯いて気持ち良さそうに笑う姿に嬉しくなって、暫くそれを続けながら聞いた。


「箸?どうすんの?」


今度はにやっと笑って、箸でボトルの先端に詰められてるコルクをとんとんとんとん叩き出したチャンミンがなんともまあ、いきなり真剣になってこれまた可愛らしい。思わず応援したくなる。


「おー、すごいねチャンミナ。俺やろうか?」

「ふふっ、いい。僕がやるっ。すごいでしょ、コルクを抜くんじゃなくて押して沈める作戦っすよぉ~……」


って、言いながら一点集中するチャンミンが面白い。子供みたい。
チャンミンの隣に座って、頬杖をつきながら見守った。
バスタブにボディソープ入れちゃったり、ワインが飲みたいからって大まじめに箸でとんとんコルク突いたり。突拍子がなくて飽きない。楽しい。あー楽しいわ、こりゃ。


「チャンミナ頑張れ~♪もう少しっ」

「イエスイエス…………ったああぁぁーー☆開いたぁぁーーーっ!!」

「おお~~」

「飲む?ユノ。一緒に」

「あー、じゃあ、一杯だけもらおうかな」


得意気なチャンミンの姿に乗せられて、目が痛いほど眩しい光を浴びながら乾杯した。綺麗で美しい、太陽とチャンミンの光彩を愛でながら。


「う~~~ん♪美味しいっ!」


幸せそうなチャンミンが、さらに輝きを放つから。幸せ。俺も。隣で笑顔が見れる幸せ。思わず頭に触れて撫でて、それでも何か足りないから引き寄せて抱き締めて、それでもやっぱり足りない。どうしようかな。この引力は、きっと一生もの。


「チャンミナ~っ……」

「なになになに!?ワイン飲めない。どいて」

「え、だいて……?」

「パボヤー!!どけろ!!」

「チャンミナ昨日から大胆……いや嬉しいよ俺…」

「おい、前はだけてる!見せるな!タオルをちゃんと巻け!!」

「なんか噛み合ってないなぁ?」

「あんたのせいだっ!!本当どいて!トイレ!」


ぷりぷり怒って席をたつチャンミンが面白くて。だってこれで俺が拗ねると不安になっちゃうんだろ?泣けるほど恐くなるんだろ?もう俺が素直になれないわけがない。チャンミンが悲しむくらいなら、いくらでも格好悪くてダサくなるしかない。骨を抜かれてるつもり、






なのに、、












「ん?またトイレ?」

「んー」

「飲み過ぎじゃない?もう止めといたら?」

「いやお酒のせいじゃなーい。まあ大丈夫大丈夫っ」


昼まで二人きりでまったり過ごそうとiPadでゲーム対戦をしてると、チャンミンの体調が良くなくて度々中断した。


「……」


俺たちには中々まともな休日がなくて。のんびり昼まで一緒に居れることもなくて。行為後にゆっくり二人で寛げる朝なんて今までなかった。
このニューヨークでのフリータイムは余計楽しみだったんだけど。



いくら浮かれてる俺でも、


「……」


気付くよ、、さすがに。


「お待たせー、はいやろう♪」


チャンミンは相変わらず楽しそうだけど、


「チャンミナ……」

「んー?」


ちゃんとしなきゃ。


「俺のせい?腹壊してるの……」

「いや……、別にユノのせいとかじゃないって。大丈夫だって」

「大丈夫ってお前…」

「いやいや本当に痛くなるとかじゃないんすよ。ただちょっと腹緩くなるだけで」

「……ナカで出してるから?」

「うーん、まあ、、かなぁ……?」


しどろもどろに顔一面真っ赤にさせて誤魔化そうとするチャンミンに、同性ならではの気遣いをばっちり感じてしまって、今まで気付かなかった申し訳なさが汲み上げてきて。

いつも思いやりを隠してるから、いつもすぐには気付けない。でもちゃんとしなきゃ。


「……次からゴムちゃんとつけるから。今までチャンミナ任せにしてて……ごめんな?」

「……そんな女の子みたいな扱い止めろよ。それは嫌だ……」

「いや、そうじゃなくてな…っ」



自然な行為じゃないなら、尚更


相手のことを一番に考えて






「俺たち二人で生きていくんだろ?」


「わー……。またキザな……っ」








チャンミンのことを一番に







「俺たくさんチャンミンとシたいし。ダメージがあることは避けよう?」

「……えー。。別に、大丈夫なのに……漢方も飲んでるし、僕健康そのものっすよ……」

「……じゃあ、もうやんない」

「ぇ、……」


こんな時だって心を射抜いてくるチャンミンの目。目は嘘をつかないから。
俺の言葉に動きを止めて、不安そうに覗きこんでくるチャンミンが堪らない。真面目過ぎるっていつもチャンミンにからかわれるけど、チャンミンだってそう。

純粋なんだ、このコは。昔から。


「なぁ~んて、うっそー☆我慢できるわけないだろ!ごめんなー、俺が無理っ」

「……っ、うざ!!この大きい子供が面倒くさい!!」

「でも本当にゴムはしようね♪あってもなくても全然関係ないから」


チャンミンの鎖骨にぐりぐり頭を押し込めると、チャンミンはくすぐったがりながら「分かったって!!」って笑って。無理やりにでも承諾させた。
自分の体より相手の快楽を優先させるって、どんな気持ちなの?
計り知れない、チャンミンの懐。


「その代わり回数と時間を増やしてぇ…」

「増やすな~死ぬわっ」


茶目っ気たっぷりに冗談を飛ばして、チャンミンはまた笑って。それを見て俺も笑えて。そんなニューヨークの朝。

ぎゅーぎゅー抱き付く俺に、チャンミンはゲームを諦めてひたすらまた飲みだした。集合時間が近付いてきてるせいか、ペースが半端じゃなく早くて、見てるこっちが吐きそうなくらい。俺のグラスにはさっき注がれたワインはまだ残ってて、それすら飲み干されてしまった。


「おえ、、……チャンミナ本当すごいなぁ」

「ユノがあまりに子供すぎるんだって。ゲームもすぐ引っ掛かるし~♪」

「……引っ掛かる?」


その言葉に、引っ掛かる。


「昨日のババ抜きなんて、仕掛けがあるに決まってるのにやり続けるんだもんっ。あっはっはっはっは!!」

「……」


ケタケタ笑うチャンミンに、できるだけ優しく微笑みかけながら問いただした。


「ん?何かあったか?」

「ユノは絶対ジョーカーのカードを見ないから、ぶふっ。裏をかいてるつもりで見ないんでしょ?ぐふふ…分かりやす過ぎ……!くくっ」

「あ″あ″ぁ″ぁぁーー!!!」


俺の恋人は何でもお見通しで。俺はチャンミンを大きく見守ってるつもりなのに、結局掌で転がされてる。めっちゃ恥ずかしい。だからって穴に入るわけにはいかないから、ふわふわころころ笑ってるチャンミンの頭を掴まえて振り回した。どうか格好悪すぎる俺だけは忘れてくれますように……。


「ずるい!サギだ!!教えてくれたらいいじゃん!」

「教えたら負けるじゃん!ユノのシッペなんか受けたら折れるわ!……あ~っ、、ヤバい……頭振られて本当に酔っ払ってきた……」

「え……、、悪い…。大丈夫か?水いる?」


頭を抱えるチャンミンが急に心配になって覗き込むと、鋭い綺麗な目と目が合って。後頭部を掴まれてたと思った瞬間にチャンミンのワインに浸った舌が咥内をぐるりぐるりと動き回る。
強いアルコールの味に酔ってしまう。


「……お前ね」

「ほら。また引っ掛かった♪」


もう、チャンミンに酔ってるか……


「ぶ。……参った、チャンミナには」


ごちって、額にチャンミンのおでこが突進して痛かったけど笑えた。笑ったらチャンミンも笑いだして、二人で大笑いしながら。



優しいキスを繰り返した。



















______C.side______









ついつい、ついつい


ついついやってしまう







斜(はす)に構えるこの僕を


どうか見捨てないで欲しい





これはきっと、子供が好きなコを


いじめてしまう理論と一緒で







つまり僕の方こそ、子供で








「チャンミナ、集合時間だけど……部屋出れるか?マジで大丈夫?すごい、千鳥足なんだけど……」

「大丈夫~~♪♪♪」

「……俺心配だから一緒に居ていい?もう帰るだけだし、二人で居ても大丈夫だろ?」

「あはははは~~~♪♪♪」

「ダメだこりゃ……俺後ろ歩いて見とくから前ちゃんと歩けよ?」

「はーい♪」







何か言い訳がないと素直になれなくて


自分でも本当治したいんだけど



まだ治らない







それでもユノが強く優しいから







「ユノ財布持ったー?パスポートあるのー?」

「……あれ!?」

「僕今日無理!探せなーい♪」

「あぁ、ぁ……」

「先行ってるよ~♪」

「待て待て!お前今危ないからっ。すぐ探すからちょっと待ってろ!」

「じゃあ後でね~♪」

「チャンミナ、こらっ」







思いやりを感じる度、


思いやりを返したくなる







「あ、ユノー」

「ん?」

「冷蔵庫の前見てみー♪」

「……。ぁったあー!!」

「あんたが忘れ過ぎなだけっ!」








だからせめてユノから見えない所は、




ユノを優先したい




さりげなく、ひっそりと











ユノの好きなこと



好きな食べ物

好きな遊び

好きな時間


気持ちいいこと




ユノの夢









「いくよー♪」


「おし、いいぞ」


















二人で生きていくために















不定期にも関わらず、読みに来て下さっていた方、ありがとうございました!!!少しずつですが、お返事返させて頂きます♡
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片割れ chap.8 #10














僕の中に、ぶん殴ってやりたいほど憎たらしい気持ちと、ひれ伏してでもユノに愛されたい気持ち、がある。




「チャンミナチャンミナ♪」

「はいはい」

「ウォン!ウォン!ニィーン、ミゥーン」

「……」

「ウォン!」

「……それもう飽きた、、ぶふっ」

「笑ってんじゃん、あははっ。じゃあ、次はぁー、あ、歌でも一緒に歌おうか」

「いいよ。何にする?」

「うーんとなぁ、」


男二人でも十分入れるジェットバスにぬるま湯を溜め込んで、ユノと向かい合わせで浸かってて、気持ちいい。熱めのお湯が好きだけど、長く入るなら断然こっち。さっきからずっとユノがおかしなことばかりやって僕を笑わせようとして、その奮闘ぶりが面白くて笑える。


「うーん、そうだなぁ、」


ユノがなかなか歌を決めれない間に、ボディソープのボトルが目に留まった。イタズラ心が湧いてそれを引き寄せてポンプを高速で押すと、バスタブの中にどんどんソープが入ってくる。楽しい。


「あー!ははっ。何してんの、チャンミナ」

「ふふふ、楽しいでしょ?」


ユノは笑い飛ばして、にこにこ僕を見てた。楽しかった。なんだか無性に。赤く腫れたユノの右手首に、ざまあみろっていう感情とずきりと胸の軋む感情。正反対の感情が同時に同じ僕の心にある。
ジェット機能を使えば泡立つかなと思ったのに、ボトルほぼ一本使った石鹸風呂は濁りが出ただけであまり泡が盛れなかった。


「あれー?泡立たねぇっすねー」


ぽろっと日本語で呟いて、水面を叩いて泡立てようとしたら、飛び散った雫がユノの目に入って絶叫させてしまって。そのあたふた加減がまた面白くて。僕はひーひー笑いながらシャワーのノズルを引っ張ってユノの顔を洗う。


「ぶ…っ、ごめんユノ…っ、、ぷふ」

「くぁー…、大丈夫大丈夫」


楽しい、楽しい。ものすごく。ユノと一緒に居ると。腹が立つことはあっても、ユノが嫌だと思うことはもうない。
二人きりになった時には、あんなに合わないと思ってた人なのに。

環境の強制さがそうさせた?
仕方なく順応した?


「チャンミナ、こっちおいで?」

「うん」


じゃあ、これは?

触れずにはいられないこの引力は


ユノの身体に触れるとソープのせいでぬるぬるして滑るからローションを連想した。足の間に入ると尻にユノの股間が当たって具合が分かる。まだ勃ってない。僕も勃ってないけどちょっとムカつく。おかしな話だけど。

後ろからぬるりと腹に手が回されてきて、左肩にユノの顔が乗っかってきた。ベストポジションを探るように何度か顎を置く位置を調節した後、ふぅっと息を吐きながらユノは落ち着いた。
湯船でユノとぴっとりくっついて。ジェット噴射と気泡の弾けるさざめきが心地いい。ボゴボゴ、ボゴボゴ。水の音。
一つの生物に生まれ変われそう。


「……なんか」

「うん」

「寝ちゃいそうだな?気持ち良すぎて」

「うん、これ寝れる。……でも今寝たら、夕方の飛行機寝れないっすよ」


もうすぐ朝が来る。ニューヨークの朝焼けが見たい。


「ねえ、朝日見たいけどここから見えるかな。もうすぐ日の出出るんじゃない?」

「お、いいな♪上がろうか」


まるで清廉な僕らだったのに。風呂から出ようと、一つになったような体勢から身体を離したもんだから。

半身が欠けた喪心が突然せりあがる。空洞に焦る。元に戻さなくちゃ。繋ぎ合わせなくちゃ。僕たちを。喪失感から欲情が。欲情が身体的作用を起こす。まだ水中に沈んでる下半身が燃えた。


「チャンミナ、ちょっと…」


後ろから覆い被さるようにまた肌を合わせてきたユノも完勃ちしてて、がんじがらめに抱き締められたまま腰を擦り付けられる。



そうだよね
繋ぎ合わせなくちゃ


「……『ちょっと』っすか?」

「にゃははっ。ごめん、たくさん……」




たくさん。ね
























「はっ……!!」


三回目イった後そのまま寝た、たぶん。いやもうあまりの眠気に襲われてイったかどうかも分かんないけど。眠りに墜ちるまでユノとセックスしてた。
どうしよう、今何時?
慌ててベットサイドに置いてあったスマホで時刻を確認すると九時を回ったところで、最後に時計を確認した時からまだ一時間くらいしか経ってない。どっと力が抜けた。
部屋にはもう午前中の燦々とした太陽光が射し込んでる。
結局朝日見たっけ?


「……。まあ良かった……飛行機の中で寝ないと……」


時差ボケで帰った時辛くなる。キュヒョナにやっぱ行けなくなったとメールして、何通かきてた後輩やマネヒョンやジェウォン先生のメールも返してベッドに沈み直した。
隣のユノに振り返ると、やっぱり寝てる。寝ちゃってた、当然のように。すやすや、スヤスヤ。何の煩悩も欲もない安らかな顔で。


「…………」


その清らかさから一番遠い、一時間前までのユノの顔を自動的に思い出してしまう。




『う、う、はあ、ぁ……っ、』

『ずっと挿ってるのつらくない?大丈夫か?』

『気持ちいい…っ!もっと…あ、そこ、そこいいユノ……』

『……待って、、……っ。俺がヤバい…』

『一番奥も気持ちいい……』

『ぐっ…、……はあっ、、危な……っ、』

『ユノ、ユノっ、……っ』

『……チャンミナ……今日いいとこいっぱい教えてくれるな、ぁ…』

『だめ…?』

『……めちゃくちゃ嬉しい。もっかい鏡で見たい?バスルーム行く?』

『見た、い……、、』

『俺に掴まって。このまま行こ…』

『んっ』










って、、









ぎゃあああぁぁぁああ~~!!!


ヤバい、ヤバい、悶絶する。積極的過ぎた。
枕に頭を隠して叫んでも解消されない。憤死できる、これは。
だってユノから来ることなんてなかったから。いつも何かしら仕掛けてたのは僕で。いや別に僕も男だからいいんだけど!いいんだけど、ユノからっていうのは嬉しくて。


「……ユノ……」


とてもじゃないけど起こせない。起こした方がいいんだけど、ユノと何て会話したらいいのかも分かんない、恥ずかし過ぎる。

(チャンミナ、昨日スゴかったね♪)
(うん、気持ち良すぎて……)


って、できるか!!!
死ねるわ!!!


身体がダルくて外に出る気にもなれない。お腹が空いた。でもこんな状態ルームサービスも事務所の人間も呼べない。
とにかくあれだ、さっきまでの乱れきった僕を抹消したい。


「……よし、飲もう……」


そうしよう、飲むしかない。飲んで酔って忘れたらいい。名案だと思う。ニューヨークで朝からお酒、贅沢だし。

ユノをベッドに置いてボクサーパンツだけ身に付けてからリビングに向かった。
酒、酒、酒。
冷蔵庫を開けて中を覗くとビール缶七本入ってる。とりあえず、これ。これ飲もう。


そうして僕は、ビール七本と結局お土産にもらったけっこう良いワインまで飲みきって、ニューヨークのフリータイムをほぼヤケクソで優雅に過ごした。途中でユノが起きてきたけど、ハイテンションで迎えられたと思う。


本当に良かった……























次はユノさんが起きてきまーす。ミン溺愛ユノさん♡
片割れ8
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片割れ chap.8 #9















「じゃあチャンミン、ユノを頼むな?会場戻るならまた連絡して。車回すから」

「分っかりましたー」


部屋のドアが閉まって、チャンミンと二人きり。やっと。今日の一日が終わった感じがしてどっと肩の力が抜けたのに、なんだか胸は妙に緊張する。チャンミンはそそくさとメインフロアに設置されてるワインセラーにお土産品を閉まってる。


「チャンミナ、ごめんな?」

「……何が」

「いや、えっと」


まさか「泣いてたんだって?聞いたよ、ごめん。でも嬉しかった!!」なんて言えないから返答に困る。


「……何にも考えてないのに、とりあえず謝るの止めようよ」

「違う違う!えっと、昨日セルカ撮れなくて!今撮らない?」

「……昨日、…何で?」


また言うのか、、あーこれだ緊張してる理由…
格好悪いことを素直に言うのってかなり苦しい。でも言わない方がさらに男らしくない気がする。顔が熱くなるのが自分でも分かって、手の甲で額を抑えて気休めに冷やした。


「……俺ちょっと浮かれてて。公演のこと以外はちょっと旅行感覚になっちゃっててさ。ニューヨークだし…。ちょっとは自由な時間もあるし、チャンミナとちょっとは楽しめるかなぁって思ってたんだ、け…」

「『ちょっと』多いなぁー。聞きにくいっす」

「…っ、分かったって!」


どうしても『ちょっと』を連発してしまう。恥ずかしい事実を、少しでも柔らかくしたいから。どうしても。気持ちの重さが伝わってしまいそうだから。
チャンミンはしゃがんで俯いたままで、その姿がとても小さく見える。
ゆっくり。ゆっくりでいいから、こっちを向いて、チャンミン。


「…っ、だからぁ~。チャンミナが全然傍に来ないし…、、俺だけ、……ごめん、、俺拗ねて嫌な態度取りました。チャンミナごめん」


なんかちょっと何言ってるのか分かんない……。


「あっそ、……だいたい分かった」

「え!?」

「何すか」

「いや…そっか。良かった……」


チャンミンって凄い。俺ちゃんと言えてる気全然しなかったんだけど。
ちらっと向いてくれたチャンミンは不機嫌そのものだったけど、どうなんだろう。

呆れた?
納得できない?

君の本心が知りたい


「じゃあ…、セルカ撮ろうか?」

「うん。ひとまずコート脱ごうよ」


事前に暖められた空間は、シャツ一枚でも寒さを感じない。二人にしては広すぎる部屋の中で、じゃあ窓際で!って言うチャンミンを見て、やっと昨日のやり直しができた気がしてほっとした。


「どう、夜景写ってる?」

「うーん、写ってないけどいいや、撮るよー?」

「あんま意味なくないか?俺撮ってあげるからチャンミナ写りな?そしたら夜景も少しは写るだろ?」

「これでいいっす」


思考回路がよく分からないけど、ほぼ二人の顔しか写ってない画像でチャンミンはオッケーを出した。微かに口角を上げたチャンミンを盗み見て、ますます調子に乗っちゃう俺。


「で!俺チャンミナのこと思いやれてなかったなと思って。だから今からはチャンミナの好きなことやろう!せっかくだからニューヨーク楽しもう?会場戻るの朝とかでもいいか?」

「まあ…」

「よし、じゃあ何するか?何でもいいよ、車回してもらってマネヒョンとどっか行くか?クラブとか?それとも夜景見に行くか?」

「うーん、……。……僕部屋に居たいから二人でトランプでもしたい…」

「は?飛行機でも宿舎でもできるだろ?部屋にいたら変わんないだろ?」

「ホテルの部屋でも立派にニューヨークでしょ。だからこれでいいんだって、ニューヨークでトランプ、いいじゃないっすか」

「あ、そういうこと……。うん、じゃあやるか♪」


俺は観光地とか外でこそだと思ってた。だけどチャンミンは中でも外でも関係ない、ちゃんとニューヨークだって言い張る。確かに。


「ただし、、」

「ん?」

「せっかくなんで、負けたらNY記念仕様の罰ゲームしよ」

「……へ」

「ね?ユノ♪」

「……」


こいつ分かっててやってるだろ……

顎をふるふる横に動かしながら、大きくて綺麗な目と口をむーって膨れっ面にする顔が可愛いって。さすがチェガン・チャンミン。


敵うはずがない……



















「…っ、………!!!!」

「ふぬははははははっ!!」

「…ぃたぁーーーーっっ……」

「あははははっ!ユノ大丈夫?ぷ」


部屋の中心に陣取られた大きなレザーソファーで、俺はのたうち回って、チャンミンは腹抱えて大笑いした。もがく程の痛さが手首を襲ってなかなか引いてくれない。恐る恐る見ると、赤く腫れ上がってる。その痕をチャンミンも確認して、またさらに爆笑される。


「痛い!!痛いチャンミナ!」

「シッペなんて痛くしないと罰ゲームにならないじゃん♪」

「人差し指と中指だけじゃない!拳の所も当たったわ!!」

「あ、すいませ~ん♪」

「……カードきれ。次絶対勝つ……」

「いや~、ニューヨークで最高の思い出作れて僕幸せで~す♪」

「……勝つ」


チャンミンご所望のババ抜きが始まって、なぜか負け続けた。罰ゲームはこれまたチャンミンの希望するシッペで、容赦がないから痛くて仕方ない。
だから次こそはって思っても、やっぱり負けた。チャンミンのニヤニヤ笑いが恐い。。


「……罰ゲームって持ち越し、、できる…?」

「……十回までっすよ♪」


ドキドキが止まらない。勝負の世界は『奥』じゃなくて『痛みが深い』。
それでもストレートでシッペの回数が膨らんでいって、十回分に達した時軽く絶望した。
神様とチャンミン、ひどい。逃げたい。


「じゃあ、そろそろシャワーも浴びたいんで、さっさとやるよー♪」

「……っ、お前!あれだろ!!やっぱ怒ってるんだろ!」

「はいー?」

「俺が無視したことまだ根に持ってるんだろ!謝ったのに!」

「……。……十回やるよー」


血も涙もない。でもまあ、楽しいから我慢するか。。
一応利き手じゃない右手首に、これから振り下ろされるチャンミンの指が添えられて、気遣いは感じられるから。


「……あんたねぇ、、」

「ん?」

「僕が、どれだけ……」

「うん?…っ、たぁ!!!」



一回目のシッペから重い痛み。



「ユノが怒ったと思って!」

「え?……っ!!!」



二回目は痛みの上に痛みが重なって本気で痛い。



「恐かったか分かるか!?」

「いたた……っ、!!」



三回目には熱さまで出てきた。半端じゃない。



「拗ねてただって?じゃあ、早く言ってよ!!」

「……っつー…!!!言えるかっ」



四回目も熱くて痺れてくる。



「僕は!!あんたに捨てられたかと思って!!」

「はあ!!?」



五回目はなんかもうよく感じない。
チャンミンが飛んでもないこと言い出してる。



「恐くて!!」

「……チャ、」



六回目のシッペは綺麗に乾いた音が鳴った。



「恐くて!!!」

「………」



七回目を数えたのはチャンミンが泣き出したから。



「僕にはもうユノしかいないのに!!」



八回目を振り上げたチャンミンの手を取って、唇を奪いながら二人でソファーに沈んだ。トランプカードが数枚舞い上がって、ただ、落ちた。



「……っ、あと三回!!!」

「……あと三回は殴っていいよ、」



声を出さずに涙を流すチャンミンに、俺は本気で殴られるべきだと思った。だけどやっぱりチャンミンは俺を許す。

チャンミンの両手に下から顔を挟まれて。そっと。
そっと。とてつもなく大切なものに口付けするようなキスを返されて、泣きたくなった。

俺の欲しかった激しいチャンミン。
激しくて棘があって、綺麗なチャンミン。
でも本当は優しくて甘いチャンミン。
遠かったり近かったり、訳が分からない。訳が分からないくらい、夢中。俺の方がチャンミンしかいないのに。


「チャンミナが好き。もう俺の全部だから。俺から別れることは絶対ない。好き、チャンミナ好き。もっとキスしたい」


耳まで赤く、眉を八の字にして笑うチャンミンが綺麗で、その苦しそうな微笑みが綺麗な花みたい。涙の雫を携えた、咲き誇る薔薇の花。むせかえりそうな衝動に、声をあげて叫び出したい。張り裂けそうなんだ、もう。

触れる唇はいつも通り柔らかいけど震えてた。その儚さにぞっとして、もしかして逃げられて捨てられるのは俺の方なんじゃないかって焦燥感に駆られて。
チャンミンをソファーに埋め込むほど強く押し潰して、捕らえた。

 
「……重…っ、どいて」

「……もう会場戻らないって約束するんならどける……」

「仕方ないなぁ……」


そうしてやっぱり俺のワガママを笑いながらまた許すチャンミンの底無し加減に、「絶対離してなんかやれない。ごめんな……」って、心の中でそっと謝った。

























片割れ8
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片割れ chap.8 #8












Let you dance away.

Don't you know? I stand by your side.

Fly away…… Fly to the top.


Fly forever.










______C.side______









仲直りしたくて、振り向いて欲しくて

さっき僕が取った行動は間違ってた






夢追う少年に、

僕のワガママなんて付き合う隙はない







でも大丈夫




あんなことしなくても










ステージに立てば


いつもかっこいいと思ってしまう






そんなユノが



こっちを向いてくれる







髪の先から爪先まで
右の指先から左の指先まで



持ってるものすべて出して
持ってないものもすべて出して




ペース配分なんて今日は考えない
そんなものいらない

一つ一つ、全力で、全力で、








そうしたら大丈夫





「チャンミナ!!!」




終われば、ユノは


必ず笑いかけてくれる





「ありがとう!!もう本っ当に最高!!!」


「はっ…!!はっ…!はあっ、、お疲れっ、す……っ、はあ!、はあ!、はあ、はあ」




抱き締めてくれる


息が切れて、汗だくでぐちゃぐちゃでも




「はあ、はあ、、もう、、っ」

「最高に幸せだ、俺……っ」





最大級の愛をくれる





「よし!エンディング出よ!着替え着替え!!」

「ですねー!!」








その夢と愛をかじって



僕は、最高の気分になれる









いつだって















______Y.side______











チャンミンが離れてたいんだろ?


俺だけ勝手に浮かれてたのが馬鹿みたいで、「拗ねました」なんて格好悪すぎて言えるわけない。


チャンミンがそうしたいんだろ?



なのに、今度は何で傍に来るの。
訳が分からない。







どうしたってチャンミンばかりなのに、俺は。
惑わせないで。こんなの全然男らしくない。
遠かったり近かったり。混乱する。















でも大丈夫







ステージに立てば




王になった気分














大丈夫





『分かるよな?』って、振り向けば、


『うん、分かってる』って




必ずチャンミンは合図をくれる








楽しい時も
嬉しい時も




喧嘩した時も
揉めた時も
不穏な空気になった時も






それでもうすべて、




一緒に感じれる








他の誰も真似できない、二人だけの方法で





そうしたら大丈夫






一気に天の彼方まで突き抜ける

透き通ったチャンミンの声を追いかけて






どこまでも伸びて飛んでいける







いつだって





















「チャンミナ、皆のとこ行ってきな」

「え…いや、ここに居るって」

「俺ちょっとドンへと二人で話したいことあるから」

「……そうっすか」


アフターパーティーでSMTを協賛してもらった関係者やスタッフに諸々挨拶を二人で済ませて、俺はチャンミンを離した。
皆でいる時はやっぱり、離れた距離がいい。チャンミンが周囲を気にして不安になったり心配になるんなら、これがいいと思う。宿舎でも仕事でもステージの上でも二人で、これ以上隣に居ろって言う方がどうかしてる。俺どれだけ浮かれてたんだ。





「…ったあ!!」

「馬鹿たれがぁ、」


特に用もないのにドンへを探していると、突然頭の後ろをはたかれて、びっくり。振り向くとジェウォン先生だった。それにも、びっくり。だって今日は自分でもいい出来だったと思う。憧れの舞台で、最高の気分。言うことはない。


「ジェウォニヒョン、お疲れ様です。今日はうちのTOHOSINKIにずっとついてもらって、ありがとうございました」


ほとんどのグループの振り付けとダンストレーナーを務めるジェウォニヒョン。ヒョンのDJパフォーマンスユニット、ビートバーガーがアフターパーティー会場を盛り上げてて、ニューヨークの深夜、皆で大騒ぎ。事務所から謝恩を含めた、恒例の景品付きくじ引き大会が始まって、盛り上がりはピークを迎えてる。


「今日はユノにも頼まれてたし、やっぱり俺も全力でTOHOSINKIの弟達を応援したかったんだよ」

「ヒョンー!ありがとう!!俺たちやりましたよー♪」


ジェウォニヒョンと抱きあって、感謝の気持ちを伝えた。昔TOHOSINKIより前にデビューしてたジェウォニヒョンは、先生というより事務所のヒョンとして、尊敬できる。人情深くて、ずっと俺達を見守ってきてくれた人。


「うんうん、よく頑張ったよ。でも今日はー、ユノも良かったけどチャンミンが凄まじかったよね。俺の愛弟子シム・チャンミン、よく頑張った!」

「はい、確かに。さすが、ウリチャンミナです♪」


チャンミンを目で探すと、キュヒョンと一緒に後輩の奴らを集めて楽しそうにはしゃいでる。いや、さっきからどこにいるかちゃっかり確認してたけど。

大笑いしたり、しっかり余興の司会の話を聞いたり、また別のグループが来たのに気付いて手招きしたり。皆のヒョンとして動いてて、格好いい。

チャンミンは……、俺とのことバレたくないよな……。「絶対気持ち悪がられる」って前言ってた。そんな風に見られたくないよな。


「ユノ」

「はい」

「お前、パフォーマンスに熱くなるのはいいけど、もう少しチャンミンのこと考えてあげてよ。俺はチャンミンが可愛くて仕方ないから言うけど、あのコは言わないから……」

「あぁ、確かに……」


俺言われないと分からない人間なんだ。だけど今日は、ステージを優先した。チャンミンは話し合いたがってたのに。
冷静さが足りない。いつもチャンミンに埋めてもらってる。チャンミンの方がヒョンみたいだ。


「二人でTOHOSINKIなんだから、相手のコンディションもちゃんと考えてあげて」

「……。え…、チャンミナ体調悪かったですか?」


ジェウォニヒョンに溜め息を吐きながら見つめられて体がぐっと重くなる。
ガーデンに立つことに集中していっぱいになってた。


「体調じゃないって。お前達、喧嘩してたでしょ?」

「喧嘩?……いや、別にそんなのじゃないです…」


喧嘩にもならない。チャンミンは正しいから。いつも冷静なチャンミンが、俺にはもどかしいくらい。

そのチャンミンが今は、壇上で大げさなリアクションをとって歓喜してる。くじ引きでワインをゲットしたみたいだった。
良かったね、チャンミン。ワイン大好きだもんな。


「でもチャンミンは何か引っ掛かってたんじゃんない?ユノに取り繕おうとして、本番前ずっと寄り添ってたでしょ?」

「あ……いや、あれはチャンミナの気まぐれみたいなもので。そんな大袈裟なものじゃないですよ。気にしなくて大丈夫です」


『ごめんなさい』と言われて、意味が分からなかった。一つのことしかできない性分だから、とにかくステージに集中したくて、返事もろくにしなかった。




「ごめん、さすがに腹立ってきた……」

「へ?」


ヒョンに顔を戻すと、ムッとした表情で肩を小突かれた。その動作に真剣さが伝わってきて、周りの盛り上がった熱からすとんと低い温度が肩を覆う。ジェウォニヒョンの声が、ここだけ鮮明に聞こえた。


「お前チャンミンがどれだけ頑張ってやってると思ってるの?ユノが自由にパフォーマンスできるのは、チャンミンが合わせてくれてるからでしょうが」

「……」

「チャンミンはユノのいい所も悪い所もしっかり受け止めてるのに。ユノがチャンミンのこと気にかけないでどうするの?」

「………、、」






俺……、もしかして……、、




相当傲慢な奴……?







……すごい嫌な奴になってない?俺……











「……チャンミナ、は、」




何をしても器用にこなす男






もしかして、チャンミンは……




チャンミンって……、







「……俺で、いいんですかね……」



……俺、負担になってる…………、…?



「え?…どういう意味?」







壇上にチャンミンの姿を探したけど、もうそこに姿はなかった。辺りをキョロキョロ見回すと、キュヒョンとミノと三人でワインを握り締めて抱きあってる。
すげー楽しそうだし嬉しそう。俺、あんな顔させてやれてる?



「…………っ、」



……俺、本当ダメだな




チャンミンの目まぐるしい態度に右往左往して


俺のものなのになんでって




焦れて、イラついて、ムカついて、






「……俺、あいつの負担になってませんか?」


「まあ、、チャンミンの苦労は絶えないよねぇ」

「…………」








本当に何やってんだ……





















「でもチャンミン泣いてたよ」






言葉の意味がすぐには飲み込めない。




「……え!!?え、いつ?」

「ユノがパートナーって認めてくれて感動したって。レストルームに隠れて泣いてた」


「……」






チャンミンは



意見ははっきり言うけど、





嬉しいとかつらいとか、




好き、とか


自分の気持ちはあんまり言えない人間で










「分かってあげてよ。チャンミンの、ユノに対する思いやりの深さを」







だからその不器用さが


すごく愛しいなと、思う




「そうですね。……ヒョン、教えてくれてありがとう」

「チャンミンには内緒ねっ。恥ずかしがってどっかの穴にでも隠れて出て来なくなっちゃうから~」

「にゃははっ、確かにー♪」






だからたまに垣間見える感情に



狂おしいほど、魂が揺さぶられる














ジェウォン先生と別れて、歩き出した俺は間違ってると思う。





でもこの気持ちを


出さずにはいられないんだ







「ユノヤ~♪」

「お、いいとこ来たドンへ。くじ引き俺の分もやる」

「え、やんないの?」

「うん、今それどころじゃねー。チャンミナのとこ行って謝んないと」


ドンへが来てくれたけど、足を止める気にはならなかった。
だって聞きたい。

チャンミンは、今一番何してたい?


「お前よくそんなマンネに顔色窺えるなー」

「あはーはーはぁ。だって俺のパートナーだもん」

「だはははは!本当にチャンミン溺愛だな、お前は!俺メンバーのことそこまで言えねーわっ」



気持ち悪がられても、罪でも、

チャンミンは俺の誇りだよ



「いや、本当。俺たち付き合ってるから。だからドンへ!頼む、応援してくれ!」

「へ……?」


ぽかん顔のドンへの腕を思いっきり抱き締めて、大笑いしながら離れた。後ろから「ちょっと待てユノ!詳しく聞かせろ!」って、後追いの声が聞こえたから、「だから今それどころじゃねー、また!」って、返事を放って前に向き直すと、俺の大声に反応するようにチャンミンがこちらに気付いた。楽しそうにしてたのに、一気に眉を寄せて不安な表情に変色したチャンミンに構わず目の前に立った。


「チャンミナ、えっと…ごめん、悪かった……」

「え…、ちょっと止めて下さいよ、キュヒョナもミノもいるのに……」



大丈夫だよ、チャンミン
お前が困るような事は何もしないから


ただこれだけは教えて

チャンミンにとって最高に楽しかったって、
笑って韓国へ帰らせてあげたい


「この打ち上げ最後までいたい?朝までだよな?ここ」

「そのつもりですけど、、」 

「チャンミナは何が一番したい?明日の集合時間まで」

「……はい!?」

「ほら、せっかく明日までフリーだろ?チャンミナがニューヨーク満喫できたらいいなと思って」

「……」

「ユノヒョン、ちょっとチャンミニヒョンお借りします!僕たち寝ずにこのまま観光行って、昼過ぎの集合時間までには戻りますね♪」


ミノの陽気な言葉にぐさっと矢が刺さった。
そういう予定なのか。いつの間に。俺本当に馬鹿だ。訝しげなチャンミンの顔もちょっと刺さる。


「ははっ。……そっか……、」

「…ユノヒョン?」

「あー、、部屋戻ってチャンミナとセルカ撮れたらなと思って。ほら、お前昨日撮りたいって言ってたのに俺……、拗ね、て、、撮らせてやれなかった、から、」


落ち着かなくて背中をボリボリ掻きながら言って、何だかぶっきらぼうな感じに見えたかも。
ごめん、チャンミン。拗ねてました。
すごい恥ずかしい。格好悪い。


「すね……っ、え、僕は嫌だ。別に言ってない」

「おい、チャンミニ…!」

「あー…そっか。なんだったら俺たちで朝まで遊ぶとか。チャンミナ行きたいとこあるか?」

「いやだからギュラインで行くって」

「あー…そっか。ははっ、じゃあ楽しんできてな?」


いやいや、別に傷付いてるわけじゃない。チャンミンが楽しい思い出を作れたらいい。ただちょっと、俺は寂しいけど。


「……ユノヒョン酔ってるんじゃないんすか?なんかフラフラしてるし。もうホテル戻ったら?」

「あれ、そうだっけ?てか飲んではな…」

「僕も景品のワイン部屋に置きに行きたいんで、とりあえず戻る。マネヒョン呼びましょう。ユノヒョンはここいて」


待つ時間もないほどすぐにマネヒョンを呼んできたチャンミンはとにかく急いでいて、車を回すのになんで十分もかかるんだとか、別にたまたま僕も荷物重くて戻りたかったからユノヒョンが落ち着くまでは様子見てますとか、よっぽど酔ってるようにチャンミンには見えるらしい。マネヒョンが「でも顔赤くなってないけどな…?」って不思議がってたけど、俺も飲んでないつもりだったのに、もしかしたら口にしたジュースにアルコールが入ってたのかもしれない。


「チャンミニ、お前……っ、」

「いやこっち戻るから!」

「ぶふーっ!嘘つけっ。くくっ……、ま、朝メールして」

「……はいはい」


チャンミンとキュヒョンが朝の連絡を約束して、そのままパーティー会場を後にした。



「ユノ大丈夫か?」


ハイヤーの後部座席の、おれの左側に座るマネヒョンに聞かれる。重要じゃないことを。


「ああ…、まあ、ゆっくり休みます。ふはははは♪」

「気をつけて飲めよー。俺はいったん会場戻るから」

「はーい♪」

「…………」


俺の右側に座ってスモーク越しに深夜の街並みを見つめるチャンミンは何も言わない。ただ俺達のコートの下に紛れて、小指だけ握り締めてきたその小さな体温が、重要だった。すべてだった。



チャンミンが、

今夜俺を選んだ証だったから






ホテル前に到着して車から降りる時ふと。
チャンミンの小指から離れる、この暖かさを守りたくて。

外気に触れさせたくなくて、マネヒョンにも出待ちのペンにもホテルのボーイにも奪われたくなくて。






コートのポッケに、この温もりを隠した。























すいません、長い間滞っておりました。。あのバナナ事件、初めは異常に萌えたんですが、どうううしてもユノさんの態度に納得いかなかったんです。冷た!っていうんですか。それで前日の観光シーンと当日のインタビューとステージとハイヤーから出る所と翌日JFK空港の動画をひたすら見てたんです。キモイです、はい。で、やっと思い付いたんです。あ、ユノさん『拗ねて』る?って。でも伝説的なホミンの場面ですので、読んで頂いた方の萌えを損なったお話になった方もいると思います。大変失礼しました。私の想像力のなさのせいです、申し訳ありませんでした。
片割れ8
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