後悔なんてしない~ユノ編~ chap.4








結局その日はドンへの家にまで場所を変えて3人で作戦を練った。だけどこれという方法も見つからないまま、何か気が付いたことはお互い報告しようという取り纏めのない結論だけ無理やり出して、そのまま泊まって出勤することにした。

かなり早めに部屋を出たのに日差しは朝からすでに照りつけるように強い。


「悪い、先行ってて。俺カフェに寄ってから行くわ」

「オッケー。じゃあユノまた後で」

「あ、ユノ。シムの事はここだけの話にしとけよ。シム自身、何も訴えてこないって事は詮索されたくないかもしれないし。なのに俺らが奔走してるって分かったら、下手するとコンプライアンスに引っかかるぞ」

「分かってるって。ドンへ、ありがとう」


2人に手を振りながら、歩く人の流れと違う横手の脇道へ。突き抜けたところの交差点で信号待ちをしながら、向かい側に「TVXQ」と赤い文字が踊るガラス張りの目的地を確認する。昨日は気付かなかったけど、なんとその斜向かいには昨日行った店も見えた。
チャンミンを今日あそこへ誘ってみるんだったことを思い出す。


「そうだそうだ。会ったら忘れないようにすぐ言おう♪」


絶対喜ぶだろうな、なんて考えながら横断歩道を渡ってTVXQのドアを開ければ空調の効いた店内が心地いい。
お目当てのアイスチョコを注文していると、背中から「ユノヒョン?」と静かな声が聞こえた。


「おー、チャンミンっ」


振り返ると、淡い青色の上質そうなスーツを上下共パリッと着こなしたチャンミンがいた。暑さを感じさせない涼しげな色が気持ちいい。


「おはようございま…」

「サムギョプサル!」

「……は。え…??」

「そこ!そこ見えるだろ?あそこ行こう、今夜」

「あ、え……も、もしかして覚えててくれ…」

「あ!悪い。俺の思ってたことが先走っちゃったわ。笑
今日何か予定あったか?」


言い忘れないようにと捲し立てて、やっとチャンミンがいつもと雰囲気の違う格好をしてる事に気付いた。
俺は人より極端に発汗しないから着用するけど、うちの社員は記念日の特別なデートでもない限り、真夏にスーツの上着なんてまず着ない。規定はあるけど至って皆ラフ。
なのに今日のチャンミンは、スーツどころか腕時計もカフスもネクタイもピンまでも一工夫あるものを付け、それでいて髪型はふんわりパーマで堅苦しさを感じさせない、絶妙なバランスを操っている。


「いえいえっ。あの、…今日できたらユノヒョンとご飯でも食べに行けたらって思ってたんで……す、すごく嬉しいです…っ!」


チャンミンが何か言い掛けてたような気もするけど、とにかく誘って嬉しいって言ってくれて俺も嬉しくなって、半ば強引にチャンミンにも追加注文させて一緒に席へ着いた。どうやら俺より先にここへ来てすでに寛いでたらしい。


「すいません、いつも奢ってもらって」

「いいよ、先輩なんだから当たり前だし。俺がそうしたいの」

「アイスチョコも好きなんですか?普段苺系の飲み物飲まれてたイメージなんですけど」

「そうそう、アイスチョコも好きっ。男らしくないかな、はは。笑」

「へぇ。。覚えとこ…」

「ん?」

「いえいえ。さっき何となく外を見てたら、ユノヒョンが歩いてやって来るのが見えて。朝からなんてラッキーなんだって思ったらもう…」

「ん?ラ?」


チャンミンには声が小さくなる癖がいつからかできてしまって、最後まで聞き取れないことが多々あった。
そこに俺はいつも探求心が生まれる。
ちゃんと聞きたいって思うのに、なかなかそれを繰り返してくれない。
もっと知りたくなる。
何て言ったの?チャンミン?


「あ、ぃや!あの、ユノヒョンがすっごいニヤケて跳ねるように歩いてたので。笑
何があったんだろう?って思わず声掛けさせて頂きましたっ。笑」

「あ、ホント?ちょっと恥ずかしいな。笑
お前のこと考えてたから」

「え……」

「昨日行ったそこの店が美味しくてな?酒も豊富だったし。これはもう今日にでもチャンミン連れて行きたいって考えてたんだ」

「……き、昨日の今日でまた同じお店とか。僕は行ってみたいですけど、ユノヒョンは飽きません?」

「あー?……あ、そっか!チャンミンに食べさせたくて自分のこと忘れてたわ。笑」


自分でも呆れる天然加減に、爆笑されるかな、と思ったけど。
チャンミンは意外にも下唇をきゅっと噛んで『嬉しい』を押し込めるように、目と頬っぺただけを持ち上げて笑った。

チャンミンって本当に面白い。
嬉しい、申し訳ない、どうしよう、恥ずかしい。様々な感情がそっくりそのまま顔に浮き上がって、表情がくるくる変わってゆく。
単純には語れない、複雑な人の心そのものをこの目で見てるよう。


「じゃあサムギョプサルはまた他の日に行くことにして、今日は別の店にしようか。お前も何だか一段と洒落てるし♪」

「ぁ、ぅ……似合わないですよね……」

「ううん、すごく似合ってる。格好いいし、可愛いし。綺麗だ」


一瞬シュンとした眉が次にはハッとしたように上がる。そしてまた、半月形に弛む。
もっと見たいと思う。
その鮮やかな色とりどりの変化。


「…なのに皆、何を勘違いしてるんだろうな?」

「ぇ、え…?」


まごうことなきイケメン。笑った顔が最大級に可愛くて、仕事馬鹿ででも誘えば飲みにも休日遊びにもつきあってくれる。

こんな奴、普通モテまくるだろ?いや実際モテてるんだろうけど。
俺が女だったら絶対狙うし離さない。なのに結婚まで考えてたっていう前の彼女とはあっさり別れたみたいだし。ましてや変な噂やイジメまであるなんて信じられない。


チャンミンの隣には今日も存在感のある巨大なナップサックが鎮座してる。


「……お前、何か欲しいものでもある?」

「突然ですね……」

「あ、いや。何だろ、突然おっさん気分になっちゃったわ!何でだろ、あはははは!」


誓って言えるけど、女運や仕事運がなくて可哀想だなとか、そういう憐れみの気持ちじゃない。

もっとこう、柔らかい気持ち。
なんて言うか、ちやほやしてやりたい。
モテさせたいし、仕事もうまくいかせてやりたいし、美味しい食べ物を食べさせてやりたい。


チャンミンの喜ぶ顔が見たい


そう思って聞いたのに、答える声のトーンは一変して暗くなった。


「ありますよ。絶対無理ですけど」

「…へー。でも無理な事なんてないよ、要は自分の気持ち次第だろ?」

「だってユノヒョン……昨日…、どこかに泊まりましたよね……?」

「、、え?」


僅かばかりの間、一からしっかり作ってあるチョコの風味にチューチューとカップの底へ夢中になっていた事と、今までと全然違う方向から飛んできた突拍子な話で、理解するのに数秒かかった。

見上げると一瞬だけ。
ほんの一瞬だったけど、チャンミンは激痛が走ったのか顔を歪め、そしてすぐ不穏な空気の中へと表情を紛れ込ませていった。


「…スーツも靴も昨日と同じですね」

「あー、昨日はその、」


ドンへの所に泊まってチャンミンのことを話し合ってた。そこまで言いそうになって漸くドンへの『ここだけの話に』という言葉を思い出して、また数秒を費やして軌道修正する。


「、、友達のところに泊まってそのまま来たからな。楽しかったわ♪」

「……良かったですね。でも今夜は、、僕とデ、デートですからね♪笑
今日は誰の所にも行かないで下さいねっ。笑」

「あはーはーはーっ♪了解了解。笑
絶対忘れないからな?」

「はい。笑」


冗談で言うこともいじらしい可愛さがあって、また俺の見たい笑顔が返り咲いて。
もうその花を翳らせたくない一心で、「チャンミンの指名ならいくらだって俺の予定は空けるから」、なんて頭を撫でながらナップサックを背負う手伝いをして席を立った。
俺たちのフロアに入る頃には今日行く店が決まって、指切りをして約束を押すとチャンミンが本当に喜んでいてやっぱり俺は嬉しくなる。


「ユノヒョン、今日も頑張ります!!」


運動会の開会宣言をする子どものように少々大袈裟な打ち出しでフロアを突き抜けて、次に見た時のチャンミンの横顔はすでに仕事モード、真剣そのものだった。
そんな所も可愛い。


チャンミンは、『可愛い』でいっぱい。













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後悔なんてしない~ユノ編~ chap.3






【ハジマリは、ココカラ……???】












ドンへとヒョジェに誘われて、就業時間後すぐに会社近くのサムギョプサル屋に入った。普段飲まない俺はコーラで二人と乾杯。アルコールのない爽快感を通して肉に舌鼓を打っていると、ドンへが先日の一件を謝ってきた。


「ユノ、この前は三課みてもらって悪かったな。本当に助かったよ」

「全然いいって。三課の奴らも、俺がドンへの席でしっかり監督しようとしたら皆アポイント取って外出しちゃったもん。俺結局何もしてない。あはは♪」

「そりゃあ、憧れの一課長が目の前に座ったら皆ビビるからっ。『何が何でも案件出してアピールしなきゃいけないって、必死こいて頑張りました!』って後から自慢気に部下が言ってきたけどな、じゃあ普段から俺の前でもそれをやれよって話だよな。笑」

「ドンへは優しいんだよ。でも仕事なんだから部下が駄目な所はちゃんと絞めて成果を出させてやる、それが本当の上司の優しさじゃないか?」

「確かに。ちょっと気が弱いからなぁ、俺。笑」


コクのある肉汁を噛み締めれば、ぽんとチャンミンの顔が思い浮かんで、あいつも誘ってやれば良かったなと思う。


「ここ、酒もけっこう種類あるな?ヒョジェ、そのワインどう?焼酎とかも美味いのかな?」

「これはかなり美味しいよ。焼酎もいいの揃えてあるね♪何か注文する?」

「俺は別に飲まないよ」

「へ?ははっ、じゃあ何で感想聞くの?ユノって本当オフの時、不思議ちゃんだよね!笑」


肉も酒も美味いならチャンミンは絶対喜ぶから。ぎゅっと瞼を閉じた後にくる、あのキラキラな瞳とピカピカ光る頬に大きく綻ぶ口元が見たい。
明日誘ってみよう。


「そうだ、ユノ。チャンミンのことなんだけどね」

「おっ、今俺もチャンミンのこと考えてた!」

「え、…あー、そんなに心配してやってたのか。。俺は全然気付かなかったから…本当に駄目な上司だ……」

「へ??」


ドンへと気持ちが通じあうようにチャンミンの名前が出てきて嬉しかったのに、俯くドンへはそうじゃないようだ。


「ユノに三課を任せた時、チャンミンが急に資料無くしたろ?」

「あー、でも結局後で見つかったんだろ?デスクの下に置いてたのうっかり忘れてたって、チャンミンが」


「自分で恥ずかしいです」って申し訳なさそうに、でも悔しがるように謝ってきた。一通り迷惑をかけた部署にも謝りに回らせて今後の対策を聞けば、


『必要なものはこれから全て肌身離さず持ち歩きます』


と、真剣な眼差しでジョークが返ってきて、そのちぐはぐな可愛さに思わず笑ってしまった。マジメに答えろよ、なんてかろうじて言えたけど笑いが止まらなくて。
まあ約束した契約もしっかり取ってきたし一件落着だとその場を終えたのに、チャンミンは本当に次の日から登山家張りの大きなナップサックで通勤してきた。15階のフロアの、ちょっとした笑いのネタになった。
俺もビックリして感心して、そして思いっきり抱き締めた。
あまりに真っ直ぐ過ぎるチャンミン。


「でもそれ実はイジメだったんじゃないかって。ヒョジェに言われてそうかもと思えてさ」

「はあ?」

「うん、俺はそう思う。資料は隠されて、それから使えなくなった後チャンミンの凡ミスだと判断されるようにデスクの下へまた戻されたんだと思う。チャンミンを恨んでる誰かの手によって」

「……」


ヒョジェの、シャーロック・ホームズでも気取った謎解き?が飛び出してきて、ふとハウンが言ってた噂と繋がったような気がした。咄嗟に言葉が出てこない。


「……なんでそう思うんだ…」

「チャンミンがまだ四課にいた時からたまにあったんだよ。自腹で奮発して買ったって言ってた契約用の万年筆とか、作成を頼んでた会議の議事録とか無くなったり…」

「お前それ俺に報告上げてこいよ!!!」


知らなくて。そんなことあったなんて俺は全然知らなくて、チャンミンからも一度だって聞いたことなくて。
四課の問題を一課に上げる義務なんてないのに、お門違いの怒りをヒョジェにぶつけてしまった。


「悪い…。勘弁してくれよ、ユノ。証拠はないんだ。もしかしたらチャンミンがただの物忘れ激しい奴ってだけかもしれないだろ…。それにチャンミン自分で無くしたって言い張ってたんだから、どうしようもない」

「でもヒョジェの言う、恨みを買ってるっていうのは一理あると思う。あいつ指示も聞かずにひたすら売上上げようとするよね?」

「あ、ドンへの課でもそうなの?そうなんだよ。いくら帰れって言っても毎日とことん残業するし休日出勤までして成果を上積みするから、タコ(成績ゼロ、全く売上に貢献していない事)打ってる奴らにとっては立場ないよな。それで本当に成果出すもんだから、周りが休み辛くなってちゃって。俺も結局1年で抜かされちゃったしなぁ」

「ヒョジェ良かったねー、チャンミンの申し入れのおかげで四課長のままでいれて♪ま、今度は三課の俺が危ないんだけど。笑」

「入社してきた時はそんな仕事人間じゃなかったんだけどなー。もちろん真摯に頑張ってたけど、周りとちゃんと打ち解けようって協調性もあったしうまくやってたよ。でも今は形振り構わず仕事に没頭してさ、かと言って金が欲しい訳でもなさそうだし。何考えてるか分かんない」

「折角格好いいのにもったいないよね。もっとスマートにやれば角も立たないし、いっぱい女の子も寄ってくるだろうに」

「ユノは?そんな風に感じない?」


俺は仕事のことで頭がオンになるとけっこう冷徹で我が儘で、それは自分でも分かってて。
俺の信念についてこれる人間じゃないと正直うちの営業部は難しいと思う。


「仕事のやり方や目的なんて他人が口出すことじゃない。泥臭くったって格好悪くったって大いに結構、営業は売ったもん勝ちだ。『勝者だけが正義だ』。ノルマも達成できないような奴らと協調する必要なんてない。俺は頑張ってない奴は外す、頑張ってる奴は守る。海賊船に乗れる定員数には限りがあるんだからそれが全てだ。以上」


でもドンへは笑って、


「出たあー、ユノ節っ!お得意の『ワンピース』もじり☆笑」

「でも本当、一課って海賊船みたいだよなぁ
。オタクにマニアにギャルにヤリチンに思想家、潔癖症…その他諸々の変わり者しかいないのに、またの名を億売上の超絶エリート集団☆纏め上げるのも大変だろ、ユノ。笑」


ヒョジェも笑ってくれる。
皆が助けてくれるから俺は自由にできてる。有難いことだと思う。


「一課の奴らは皆、本当に可愛い。あいつらが強いのは、1度ドン底を味わったことがあるからなんだよ。痛みを知ってるから強いんだ。俺の方が一緒に仕事できて幸せだ」
















じゃあチャンミンの強さは



一体どこから来てるんだろう?







「……チャンミンってさ、」







どんな痛みを抱えてる?







「何が欲しくなったんだろうな……」






目の前の、焼けてとりどり煌めく肉の整列を見つめながら、本物の謎はソコにあるような気がした。




チャンミンにとっての宝物って、

何なんだろう





「……まあ、それは置いといて…。とにかく、もしそれが本当なら、」


俺の決意の呼び声にドンへとヒョジェが頷いてくれた。


「「ふふふ…」」


……悪い顔の含み笑いを持たせながら。笑


「「ヤルしかないなっ♪♪♪」」

「いや何を!?って、お前ら何か楽しんでるだろ!?笑」

「いやいやっ、お、お、俺はただ純粋にチャンミンの上司としてけしからん奴らに正しい制裁を……。笑」

「制裁!?普段優しさしかないドンへの制裁って逆に怖い!やだ怖い!やめろっ!笑」

「俺実は昔から日本ドラマの『必殺仕置人』ってのに憧れてて、、テヘ♪」

「ヒョジェ何それ!?全然分かんない!!涙
とにかく抹殺しちゃう系の話だろ!?ヒョジェだめ!息の根止めちゃだめ!笑」


7つの海を股にかけるように大胆に仕事をやってのける。勝ち鬨(どき)は大笑いしてふざけあう。でも心も粋もない輩は許さない。
それが俺の海賊船だから。








そこから始まったんだよ



俺の闘いも







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後悔なんてしない~ユノ編~ chap.2

(注意)BL表現ございます。












好きという感情に

気付いてはなかったけど







ずっと見てたんだよ



チャンミンのこと









雷雨が、オフィスの窓を叩く。
このビルの最上階にある幹部室からでは地上で開く傘など米粒程度にしか分からない。
激しくて荒い激情の涙のような滝水は、どこへ流れついて浄化されるんだろう。


「支店長、書類の最終チェックお願いします」

「お、うん」


適度なクッション性と上質なソフトレザーが自慢のプレジデントチェアを回転させると、天候と同じくらいぷんすか雰囲気のチャンミンが立ってた。

うん、めっちゃ苛立ってる。。汗

試しに顔を傾げて覗き込んでもやはり目は合わせてくれない。


「拗ねるなよー」

「!別に拗ねてませんよ……」

「俺が拗ねたいよ」

「何でですか!?」


なんてやり取りしながら、書類にはきっちり目を通して判を押す。不備があれば、今日わざわざ休日出勤までして契約してきた俺達の苦労が水の泡になる。


「でもチャンミンはなんで拗ねた顔もそんなに可愛いの?」

「ユノさ…!こほんっ!!支店長っ。明日の朝イチで銀行に提出するんですから真面目に確認して下さいよっ」

「もうやったよ。だからちゃんと顔見せて?」

「そうですか。ありがとうございましたっ」


書類を取るだけ取ってさっさと隣のデスクに戻ろうとするチャンミンの腰を掴まえた。


「ちょっと来て」

「…っ」


引き寄せて向かい合わせに俺の上に跨がせると、ぎぃーっと二人分の体重を掛けただけチェアがしなる。このまま背もたれ部分が倒せるやつを発注するべきだったなとスケベ心が湧く俺はかなりオヤジっぽい。
グレーのスラックスに半袖のカッターシャツ、その上には迷惑そうにそっぽを向くのに耳まで赤い愛しい横顔。


「やめて下さい……誰か来たらどうするんですか……」

「またまた~、そういうの燃えるくせにぃ♪」

「もっ、ももも燃えませんよっ!」

「大丈夫だよ。今日は本来夏休みの連休中なんだし。フロアもほとんど出社してないし、他の幹部の奴らなんて海外か韓国にいるよ」


そう言うと、顔を隠しながら俺の首へ腕を回してしがみついてくるチャンミンの適度な体温が心地好い。抱き締めて丸っこい頭を撫でてやりながら、背もたれの反動を使って揺りかごみたいに二人ゆらゆら揺れて遊べば、やっぱりこの椅子最高♪と現金な自分に苦笑せざるを得ない。


「本当…ウザい奴ですいません…っ」

「あはーはーっ!そんなこと1ミリだって思ってないっ。可愛いだけだよ♪」

「……これからも、今日みたいなこと増えるんですかね…」


沈んだ声を晴らしたい。
チャンミンの不安を全て取り除きたい。
チャンミンの涙は、俺が浄化するから。


心配しないで


俺はもう首ったけに惚れてるよ


「あるわけない。あんなの稀だよ、俺もビックリしたわ。笑」


一大プロジェクトの中でも目玉になる土地開発の交渉を進めていた日本企業のCEOに突然呼び出された。予定のない急な申し出に悪い報せかと準備して、補佐役のチャンミンと念のためビジネス会話の通訳社員にも同行してもらって指定されたホテルの少会場に向かうと、そこは厳かで華やかなCEO親族の集まるランチ会だった。


『……お邪魔しま…す…』

『おう来たね、チョン君。君、お昼をまだ食べてないと言ったろう、ここのコースが美味くてね。是非食べて貰おうと思ったんだ。いや~、本当にタイミングが良かった』

『……ああ、なるほど。ありがとうございます…』


ただ勧められたのが、料理だけじゃなかった。


『実はそこにいる私の娘が大層君を気に入ってね。いつもは秘書の手伝いをさせてるんだが、君も何回か会ったことあるだろう?』

『え……』『……チッ』

『あ…でもどうしよ、悩んじゃう♡』

『……チッ』『はい?』


チャンミンを連れてくるべきじゃなかったって、

これだけは後悔した。




「っていうか始めはその流れだったけどな?あの娘さん、チャンミン見た瞬間からお前ばっか見て目が二重ハートくらいになってたからな!?」


見上げたチャンミンはがっくり肩を落として呆れてるけど、本当に気を付けて欲しい。
今のチャンミンは人気も人望も絶大。女にも男にもかなりモテる。とにかくモテる。履いて捨てるほどモテる。社内の視線はいつもチャンミンに集まってる。
本社にいた頃のチャンミンの評判とは雲泥の差だ。


あの頃チャンミンは、
全てを懸けて俺がいる所まできてくれた。



「はあ…、、そんな訳ないじゃないですかぁ~!何言ってるんですかもうっ。ホント節穴なんじゃないですかぁ!?」

「なってたわ!!それでCEOも俺に薦めた手前気まずくなって結局全然話になかった投資物件の契約しただろ!?」

「契約はユノさんの手腕でしょう!?ってか、それでユノさんを懐柔しようとする向こうの魂胆見え見えでしたけど!?」

「何でもする。何でもあげるから」

「ぇ……え?」
 
「ずっと俺だけ見てて…」





これからは、思いっきりこの男を


甘やかしてやりたい





「……」

「こたえてくれないの?」


さらに首を傾げて問い掛けると、チャンミンの眉はありったけに下がってて、結んだ唇は小刻みに震えてる。啜る鼻を手で隠しながら、ようやっと返事を返してくれる。


「すいませ……今でも何か、夢みたいで…っ、、」


この世にこれ以上、自分を捧げたいと思う人間は存在しない。見てるだけで自分の顔から滲む微笑を覚える。


「夢にするなよ。俺はお前のものだって、ちゃんと感じて」


社内でオフィスラブなんて軽蔑してたのに抑えられない。欲が湧く。今なら楊貴妃を愛して国を傾けた玄宗皇帝の気持ちが分かる。
チャンミンになら人生を狂わされても構わない。

首を引き寄せて口づけしながらチャンミンのベルトに手を掛ける。


「ん!?んんぅ…!」


前を緩めてくるりと体勢を反転させながら、俺のチェアに座らせてやる瞬間にスラックスとパンツと靴を一気に脱がせた。もちろん靴下はそのままで♪


「な…っ、っ、何してるんですかっ!」

「え、社内で襲ってもいいって前に…」

「……冗談ですよ、ね…?」

「どう?けっこうこの椅子座り心地いいだろ♪」

「ユノさんっ、話聴いて下さい!?涙」


下半身裸の股関を両手で隠してゆでダコになる補佐役なんて最高♡でしかない。

でもな?俺本当に思ってるんだよ


「気に入ったならやるよ」

「へ?」


何でも捧げる

チャンミンだけに


「この椅子も。支店長のポストも」

「…へ、え???……ぷっ。あはははは!何言ってるんですか本当にっ。笑」

「俺知ってるよ。チャンミンが今までどれだけ頑張ってきたか。お前が支店長になったって誰も文句は言わない」

「…………」

「……前は、ちょっと抜けてるトコもあったけどな?……商談用の資料なくしたり……」 

「、あぁ……。はい……そういう事もありましたね…申し訳なかったです……」


鎌をかけても未だに真実を言わない。


でも知ってるよ

どれだけ卑しめられても
お前が挫けなかったのか


「どう?俺けっこう本気で言ってるんだけど。俺が補佐役に回ってもいいと思ってる」

「いやいや!考えたこともないし考えられませんって!!自分でもよくやってきたなって
、そういう気持ちは正直ありますけど……えっと、それは…支店長の右腕になりたくて。あの、、……っ、、すいません…不純な動機で、、」



言い訳もせず見返りも求めず
一人で踏ん張り続けるチャンミンが


ずっと疑問だった


このコは何が欲しいんだろう?って



「うん、知ってる。だから足開いて…ほら、肘掛けに足引っ掛けな?」

「っ、や!やっぱり社内は……っ。それにここ、支店長の席…っ」

「いいから」


両足を左右の肘掛けに乗せて中心を守ってる両手を外せば笑みが漏れる。
 

「ガチガチに勃ってるな♡やーらしぃー♪いい子発言してたくせに~♪」

「、すいません…っ、だって……。っ、…すいませんっ!」


ごめんねチャンミン

謝るべきは、俺なんだ

チャンミンのあわあわ落ち着かない両手は自らの尻の下で拘束させて、俺は忠誠する心持ちで赤く張った亀頭に唇を寄せた。


俺なんかで良ければ、いくらでも


「あ…!…ん、っ、」

「……チャンミンが俺をどう見てるか知らないけど、俺そんなにいい奴じゃないよ」






許せなかった。



どうしても。






「いい?チャンミンそれでもいいか?幻滅したって言われても、もう離してやれないけど」


竿に這わせる舌からビクビク脈打つ興奮が伝わる。俺が欲しいって、全身で伝えてくれる。

思えばこの情熱に突き動かれてた。
それが恋とは、分からなかっただけで。


「ふぅ…っ、んっ、そんなの、しない…。ぁ、ユノ…がいい……っ」


とてもとても可愛い


俺のチャンミン


「イっちゃいなよ。飲んであげるから…」





ずっと前からね






 

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後悔なんてしない~ユノ編~ chap.1

(注意書)こちらは「後悔なんてしない」というお話のサイドストーリーになっております。宜しかったら、本編をお読みになってからユノ編をお楽しみ下さい♪














これはまだ、

俺がチャンミンに落ちる前の話。












「チョン課長。あんまりシム君、可愛がらない方がいいですよ。実は性格悪いって皆言ってるんですよ?」


チャンミンがSMTカンパニーに転職してきて1年経った頃。飲み会で初のチャンミンの昇進を祝って、俺から公開ベロチュウを授与(処刑…?)した(もちろん大盛り上がりだったらしい。酔ってあんまり覚えてないけど)後からだと思う、そんな噂が聞こえ出したのは。

始めに言ってきたのは経理部でも一段と頼りになる存在のハウン。茶髪のロングヘアをさらりと撫でて俺を覗きこんでくる大きな瞳と、細身の彼女によく似合うグレーのスーツが今日も印象的。


「へ?シム……あ、チャンミンのことか?って、えええ??」

「本当ですって!イケメンで三課にも昇進してチョン課長にも気に入られてるから天狗になってるって話ですよ。どうやら影で社員を小馬鹿にしては笑ってるみたいなんです」


信じられなくて。
だって俺がいつも見てるチャンミンはひたむきに勤勉に仕事と向き合ってとにかく真面目でその姿勢がいじらしいほど可愛くて。週末の暇な部下達を集めて楽しむバーベキューや映画観賞にも必ず参加してくれる。いつも集合時間より早く来て、皆の買い出しや下準備やタイムキーパーをしてくれる。何事にも手を抜けない不器用さも心をくすぐられる。
構ってやりたい、そんな風に思わせる可愛らしい男だ。


「ハウン、それ嘘だよ。あれじゃないか?少し前に結婚まで考えてた彼女と別れたって言ってたから、落ち込んだ姿が何か誤解されたんだろ」


俺の前では全くそんな姿見せなかったチャンミンだけど、ただ「こんな事になるとは思いませんでした…」って寂しそうに笑ってた。


「そんなの知らないですけど。チョン課長、本当に気を付けて下さいよ~?四課の課長席蹴って三課に上がったコですよ。もしかして一課長の席狙ってチョン課長に近付いてるんじゃないですか?」

「あはーはーっ!それはそれで燃えるなぁ♪いいじゃん。俺そういうハングリー精神のある奴、好きだよ。大歓迎♪」


課長職に上がれば給料も部下も格段に増えるのに、昇進時チャンミンはそれをしなかった。代わりに部の異動、四課から三課へ。それだけを申し入れてきた。
イレギュラーな要請だったけど別段珍しいことじゃない。だから俺は許可した。それ相応の働きをしてるとも判断したから。
もしかしたらチャンミンは、営業本部一課課長というポストを本気で目指してるのかもしれない。でも俺を抜こうとしてる社員はいくらでもいる。チャンミンに限ったことじゃない。


「もうっ、課長いい人過ぎるからっ。チョン課長に敵う人なんていないのに、シム君みたいにあざとくのしあがろうとする身の程知らずも実際いるんですから。私すごく心配してるんですよ?」

「心配してくれてありがとう。俺もチャンミンのことよく見とくから、大丈夫だよ。な?」


サラサラの小さな頭を撫でるとハウンは綻ぶように笑顔を見せてくれてその場は落ち着いた。

まあその時はあまり気にしてなかった。一時の流行り病のようなもので、同じ時を共に過ごせば嫌でも本来の人間性がお互い分かってくるから。
何より俺は始めからチャンミンが可愛くて仕方なかったし、事実いい奴だし仕事もできる。それは周りもすぐに認めざるを得なくなる。

そう思ってた。










「チョン課長、すまん…!あの、俺、シムの商談にこれから急遽後入りすることにしたから、申し訳ないけど社内にいる残りの三課の奴らを任せてもいいか?」


ある日、三課長のドンへとチャンミンがフロアのど真ん中にある俺のデスクの前で頭を下げてきた。見通しの良い俺の席はざっと沈黙の注目が集まる。


「お、良い勝負案件か?デカイやつか?いいよ、行ってこいよ♪チャンミン、ファイティン!」


意気揚々と送り出してやろうと思ったのに、二人は浮かない表情で頭を上げた。チャンミンなんてこの世の終わりみたいな顔で目線をさまよわせてる。
ドンへは罰が悪そうに話し出した。


「いや違うんだよ……。あんまり条件のいい案件じゃないしシム一人で行かせたいんだけど、提案資料をシムが紛失してさ。でも客を待たせる訳にはいかないし担当はシムだから。先にこいつだけ待ち合わせ場所に行かせて、俺が作り直して後から持って行ってやろうと思って」

「はあ?バックアップは?PC内に記録は?チャンミン」

「す、すいません…っ。何も……見当たらなくて……」

「……」

「本当に…すいません……」


唖然。
コピーした紙の束もパソコン内のメモリーも何もかも無くした人間なんて滅多にいない。
顧客の個人情報や会社の企業情報が流出する可能性だってある。でも今はそれを咎める時間はない。目前に迫る商談のことだけ正す。


「何やってんだお前、じゃあお前はこれから何しに行くの?不動産を売りに行くんだろ?お客様の貴重な時間をもらって大きな取引をするんだよな?ドンへ課長もフォローする前に部下の管理をしっかりしてくれよ。信用問題に関わるぞ」


青ざめて、でも下唇を思いっきり噛んで肩を震わせるチャンミン。静かな憤りが、ウェーブした前髪の隙間から垣間見える。


「すいません…!ドンへ課長には最後まで確認作業付き合って頂いてました。これは本当に僕の責任です…っ。申し訳ありませんでした!」


何かと闘うように、ひとつひとつ綺麗な顔のパーツを丁寧に全て歪ませて歯を食いしばって。悔しくてしょうがないって気持ちが溢れ出てて。


「……頼むぞ、チャンミン。俺はお前のこと期待してる。信じてるから」


心からそう思えた。
チャンミンは同じミスをするような奴じゃない。


「はい!」

「今日の商談、絶対契約取って帰ってこいよ。取れるまで帰って来るな」

「分かりましたっ。ユ…ユノヒョン!行って参ります!」

「はぁい、行ってらっしゃーい!」


背中をばしっと叩くと、ぐっと拳を作って勇みながら外出していくチャンミンを見送りながら、こういう失敗をバネに変えて頑張れよと心の中でエールを送った。


「ドンへ、チャンミンどうした?鞄まるごと無くしたのか?」

「いやいや、朝まではあったんだよ、全部。確認してた。なのに行く直前になって、いきなり資料関係のもの無くなったって言い出すからさ、俺も訳が分からなくて」

「ふーん……了解。ドンへ早く資料作り直して。俺はセキュリティ課に連絡してみる」

「すまんな、ユノ」

「いいよ。それよりチャンミンのことよく見といてやってくれる?仕事云々より社内の人間とうまくいってないのかもしれないから。なんか分かったら俺に報告して」

「了解」


それから闘い続けるチャンミンを、度々見かけるようになった。












お久しぶりです。久しぶり過ぎてごめんなさいっ。暫く「片割れ」と二足のワラジで進めていきます!
宜しかったらまた是非遊びに来て下さいっf(^_^)

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後悔なんてしない~初エッチ編~ chap.3

(注意)BL表現ございます。ご注意下さい。









心臓が、止まった。


たぶん、何秒か。






「チャンミン……裸で何してるの?」

「………」


その後、胸をがんがん殴るような脈が心臓を打ち出した。

だって僕ときたら、尻に太いバイブ挿れて手扱きしてて。ベッドを見下ろすと、溢れたローションやら、とりあえず出したディルドやら尿管器具やら、てらてらぬめってるバイブの残骸が散らばってる。


……これ、言い訳できる……?




「……ぁ、の…」

「みんな隣にいるんだけど……」

「……っ、す、いませ……っ、」


冷水を被ったように震えて、声が上擦る。
僕が振り向けない代わりに近付いてくる、今はまだそうだろうと願いたい僕の恋人。

見ないでとも、来ないでとも言えない。どの懇願も無駄なほどこのマンションの部屋は狭い。玄関からでも余裕で何が転がってるのか分かるはず。


「…凄いの、いっぱいあるね……」

「……」


すぐ隣の肩口に立たれて、上から降ってくるユノさんの声を呆然と聞いてた。


「えっち…」

「……」


僕のモノは完全に萎んで。後ろに挿れてるものを取り出したいんだけど、動いちゃいけない空気に僕はただ固まってた。


「……オナニーしたいの?俺、邪魔?」

「いや!違っ…!」


ふるふる頭を振って見上げたユノさんは、涙に滲んで表情がよく分からない。


「ユノさんとシたくて…っ!僕挿れて欲しくて頑張ってて……っ」

「チャンミン、声」

「あっ、……すいません…っ…」


耳を澄ますと、確かにユノさんの部屋から普通の音量の笑い声さえボソボソ聞こえる。


「……っ、ぁの、」


普通の男からしたら縁のない、エグい玩具に囲まれて。
普通の男が見たら、何て思うんだろう。


「…き、嫌いにならないで下さい……っ」


引かないで欲しい。何でもするから引かないで欲しい。けど、きっとそういうのが引かれる。どうしようもない。


「…っ」

「ああーもうっ!今そんな事言うなよ!」

「っ!す、すいませんすいません…っ…、」


ユノさんの張った声で隣の部屋が静かになってしまった気がする。こんな格好だし、ユノさんは怒ってるし、もう絶体絶命。
でも韓国に戻されたくない。振られてもこの人の傍に居たい。凄い性癖があるって噂されてもいいから、せめて一緒に仕事したい。酷い噂には、もう慣れっこだから。


「もう無理だ……っ」

「……ふぇ…っ、ぇ、っ…、」









ユノさんが居ないと、崩れてしまう








「もうホント、我慢きかないから」

「うぅ…っ、」


ぼろぼろ溢れる涙が胸筋の皮膚に流れて、滑稽だ。


「隣に声聞かれたら何とかする」

「……っ」

「でも部下だし…ちょっと頑張ろうね、シム補佐」

「……え。あ、っ、」

「これ、外していい?」


突き刺さったままのバイブに触れられて、今まで苦しかっただけのそれがユノさんに抜かれるって思っただけで快感に変わりそう。実際ユノさんの手で玩具を抜かれると、単なる排泄腔は敏感に悦んだ。


「ふ…っ、ぅ、ん」

「チャンミン、…こんなのがいいの?物凄いの挿ってるけど」

「だ、から、違…っ。ユノ、の大きい…からっ…慣れて、た方が、いいかと…は、ぁ…」

「……もう本当勘弁しろ……っ」

「…っ、え?」

「理性飛ぶんだって…っ、、!!」


外れた玩具がぼとっと床に落ちて、ユノさんが荒い息を繰り返しながら服を脱ぎ捨てた。
とても綺麗な男。
この人だけに僕は欲情する。

背中を倒されてまた四つん這いにされて、さっきの期待が甦ってくる。


「チャンミン、指一本くらいアナ開いちゃってるよ」

「ぁっ、ん…っ」


また指で押し広げられて、観察される。


「あ、締まった」

「だ、て……」


期待してるから。早く欲しい。


「……でもチャンミン、ぜんぜん分かってないからお仕置き」

「え?」


手首を取られて起こされた上体を抱きすくめれた。分厚くてふわふわの胸に圧を掛けられて、それが心地いい。ユノさんから放たれる匂いは清潔な石鹸の香りと香水の残り香。もう少し体臭があってもいいのにと、残念に思う。


「どれだけ俺がチャンミンに翻弄されてるか分かってない。本当気を付けて。めちゃくちゃにしそうで、…俺会社でも襲っちゃうかも……」

「……全然、アリですけど…」

「だーかーらぁ…っ!!そういう事を言うなよ、もう!俺オンオフの切り替えだけは自信あったんだぞ!」

「……」


いつの間にか僕はヘラヘラ笑ってて、よくこんな気持ち悪い奴相手にしてくれるよななんて考えてしまう。


「あぁ…その顔可愛い…っ、、誰にも見せないでっ」

「……」


ちょっと大丈夫かなと、心配してしまう。







ピンポーンピンポーン



「あ……」


「ちょっと支店長、シムさん大丈夫ですかー?」

「何かいるものあったら買ってきますけど!」

「ちょっと俺らも様子見たいんで開けてもらっていいです!?」


こんな中エッチするなんて無理な話で。次こそちゃんとホテルを取らないと不可能だなと諦めた。でもユノさんの気持ちがはっきり見えて嬉しくて。今日はこれでいいやと心から思える。


「ユノ、ここ片付けるんで戻りましょうか」

「……本っ当うるせーな、あいつら……」

「…え?」

「空気読めや、分かるだろ。普通」

「ゆ、ユノさん……?」

「チャンミン、ちょっと待っててね♪」

「……はぃ」


なんか、ユノさんが、

狼じゃなくて虎になりかけてます。。


素っ裸のままユノさんがインターフォンに腕を組んでボタンを押す。引き締まったヒップラインが格好いいけど。
…何だか唸り声が出てやしませんか?


「おい…」

『あ、支店長?』

「ちょっとチャンミンと明日の会議の案件話さないといけないから。トップシークレットのやつ」


トップシークレットのやつって……ちょっとあなた支店長でしょ。もうちょっとマシな言い方あったよね?


『あ、そうなんです?じゃあ部屋居ますんで終わったら戻ってきて下さいね!』


蛙の子は蛙って、こういうことか!
疑問持つよね、そこ、普通!


「チャンミン、大丈夫だったよぉ♪権力権力~♪」

「…わー、さすが支店長……」

「じゃあ、覚悟して」

「へ……」


ベッドの上に転がる玩具をローション以外すべて落としてゆく。
ゆっくり。
1つ1つ。
僕の目を切なげに見つめながら。
色っぽい。

初めてユノさんの前で裸になった時のように、緊張が走る。


「でも……声が……漏れた、ら」

「我慢して」

「と、トップシークレットで話すことあるんですよね?」

「あるよ」

「じゃあ、まずそれを話し合いましょう!」

「身体で話し合うんだよ」

「…っ、ぁ、ん」


足を思いっきり開かれて勃起したモノを僕のモノに押し付けられて、火が点る。蝋燭のようにとろとろと白い体液がもうすぐ出る。ユノさんに燃え上がらせてもらえるから。


「…俺、女の子だったら良かった?」

「え?」

「そしたら、チャンミンに無理させなくても良かったろ?」

「……」

「俺きっとめちゃくちゃにしちゃうよ、お前のこと」




望み通りの、言葉をくれる。















 
欲情するのは、貴方だけ








「男のユノさんがいい…。めちゃくちゃにされたい…っ!」


腕を回して、足でしがみついて、ユノさんの首筋を噛んだ。鉄の味さえ美味しいと思う。精液だって美味しいと感じる。

僕はユノさんにカスタマイズされてる。
ユノさん仕様に作り替えられてる。
脳味噌のネジがぶっ壊れてる。







それでも貴方は可愛いと笑ってくれる。






「チャンミン大好き。俺も噛ませて」

「…っ、あ、」


ゆるゆると僕自身を扱かれながら恥骨をがりっと噛まれて、何かの感覚が走るほど吸われた。快感なのか痛覚なのか分からない。たぶん痛いんだろうと見た目で判断する。鬱血が凄い。


「マーキング」 

「ぅ、ぃた…っ」

「浮気対策」

「しませんよ……」

「襲われた時の予防線」

「男ですよ、僕…」

「でも俺、堕ちたよ。完璧に」

「……っ、……ぅう、ぅ…、っ、」


「身体中付けるから。泣いても付けるからな。チャンミンが俺に飽きても他へ行かないように…」


「…っ、ふ…、」






泣くほど嬉しいっことで、本当にある。














本当にあるんだ









「…っ、ユノもう挿れて…!」

「挿れるだけが話し合いじゃないだろ?せっかち」

「うぅ…」

「お仕置きだよ。えっちなチャンミン♡」


壁越しに楽しそうな部下達の声を聞きながら、僕たちはリップ音とシーツの擦れる音だけを奏でた。だけどやってることは獣並みに激しい。


喰われてる、そんな愛撫で話し合った。


2月12日には相応しくない、汗が飛び散って、舞う。


「身体中、傷だらけにしてごめんね……」

「…はぁ、…っ、僕も付けた、から」

「……チャンミン本当、気を付けて。他の男や女にも」

「へ…?」

「俺のだからな」

「……そうですよ。知ってるくせに」

「挿れるから…」
 
「中出しして、ユノ」

「……」

「壊れてるでしょ…」

「俺がやりたいこと言ってくれてるだけ」


ぷっくりした亀頭が僕の蕾を探ってて。


「あ、そこ…」

「…いい?」

「ん」


ぐりっとユノさんが挿ってきた。玩具なんかより断然あったかくて、しなやかで。初めてを忘れた。
僕は極限まで足を開かされてたけど、それさえも「全部見たい」ってユノさんの一言で快感に変換される。痛みも苦しさもユノさんが変換してくれる。
快楽が脳天を痺れされる。


「ぁん、あ。…っ、あっ!う…声ぇ…っ」

「俺の指噛んでて」

「は、ぅ…あ.…猿ぐつわ、ある、けど、」

「…えっちすぎて目眩しそ…っ…」

「ふふ…ぁ、ユノ、、気持ち良っ、」

「俺も。チャンミンのナカ、気持ち良すぎ…いい…」


吸い込んで、押し出して、シンプルなその運動を繰り返す。隙間を作らずにぎゅっと抱き合って、汗でぬめる肌を舐めて噛んで吸って。目線が合うと唇は瞬間的に引き寄せられて唾液を交換した。


「ちょっと身体離して」

「ぅ、ぁ、っ、ふ?、ぅ、ゆ…?」

「口開いて」


腰を気持ち良く打ち付けなれながら、上から垂らされる唾液も飲まされた。


「ゆ、の…変態…っ」

「あぁ、その言葉クる…っ、、」









ピンポーンピンポーン









「……」

「……」








マタカヨ……









「シムさーん、宅急便でーす」



「……」

「…チャンミン、枕噛んでて」
 
「え」

「もう無理…出したい」

「え……でっ、も」


最後は反転させられて、バックでまたユノさんの竿を飲み込んだ。


「ふ、ぅ…っ、」

「ほら、腰振って…」




ピンポーン
 
「シムさーん」
 

「…っ、…、!」「チャ、ミ…」


手で尻を捕まれて、これでもかと奥の奥を突いて抜かれてまた突かれる。ローションかカウパーか汗の水分が弾んだ音を飛ばす。


「あれ、居ませんか?その部屋」

「呼んでも出て来られないんですよね」

「えー、おっかしいなぁ。支店長とシムさん話し合いしてるはずなのに」



「…、ぁ、ぁ、ユノ…」「だめ。止めない」




ぐっ、ぐっ、とナカで暴れ回るユノさんが熱くて、僕に興奮してるソレが嬉しくて。出せない矯声がさらに僕を煽った。


「…っ、ゆ、」「ぁ、締ま…出る…っ!」


ユノさんは僕のナカに出してすぐ抜くと、アナを指で広げながら僕自身を口に含んでくれるものだから、もう堪らなくなって。訳が分からなくなるほど身悶えた。

「ぃ、イく…し、ユノの、出ちゃうっ…、」
   
「いいひょ、ぜんふ出ひちゃいな」


ぷつりと中指が僕のナカに挿って。ぐるっとかき混ぜるように粘膜を掻っかかれて、


「あ″、が……ぃや、っ、、ぁぁ…」


後ろからユノさんの体液がこぷこぷ流れ出てしまって、もったいない。



「支店長ー!シムさーん!いませんかー?」

「なに、二人共いない?」

「また寝ちゃったんじゃない?」
      



「ぃ、ぐ…っ!」


前からは僕の体液がびゅくっと流れ出て、まさに精液まみれ。そんな不埒な僕の足を開いて満足そうに見るユノさんに、



僕はまた、欲情した。

















「声……大丈夫でしたかね、」

「大丈夫。揉み消す♪」

「揉み消すって…。……本当はね、初めてはユノさんの誕生日にシたかったんです…」

「…っ!!!か、可愛い可愛いカワイイカワイイ……、、、」

「ユノさん……大丈夫ですか?」

「でも今日も誕生日だから、良かった♡」

「え?」

「俺が6日生まれでチャンミンが18日生まれで。12日は真ん中バースデー♪」

「あー。……確かに」

「だから今日デートしようと思って、日曜だし。実はレストランとかホテルおさえてたんだ」

「……ぇえええ!?」

「ちょっと言い出せる雰囲気じゃなかったしあいつらも来ちゃったから、結局キャンセルしたけど、チャンミンのご機嫌が直って良かった良かった♪」

「え、すいません、うそ、どうしよ!」

「いいんだよ。ハッピバースデー♪ホ~ミン♪ハッピバースデー♪ホ~ミン♪」

「……それは誰?」

「2人の♡ホとミン♡」

「なるほど…♡」


































え?

俺の話も聴いてみたいって?


どれだけチャンミンのこと好きか、


教えてあげようか♡


でも、

ちょっとやそっとじゃ表現しきれない

愛だから




それはまた、次の機会に♪



























2月12日

♡HOMIN BIRTHDAY♡







後悔なんてしない
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